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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020540
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】光硬化型抗菌ニス組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/02 20060101AFI20220125BHJP
   C09D 5/14 20060101ALI20220125BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20220125BHJP
   C09D 191/06 20060101ALI20220125BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20220125BHJP
   C09D 167/07 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C09D4/02
C09D5/14
C09D7/62
C09D191/06
C09D133/00
C09D167/07
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206885
(22)【出願日】2020-12-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2020124073
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】下山 浩平
(72)【発明者】
【氏名】久下沼 梨紗
(72)【発明者】
【氏名】金子 徹
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 忠司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 准平
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038BA212
4J038CG001
4J038DD201
4J038FA111
4J038FA251
4J038FA261
4J038HA066
4J038HA466
4J038KA13
4J038MA14
4J038NA05
4J038NA11
4J038NA12
4J038NA23
4J038PA17
4J038PB11
4J038PC10
(57)【要約】
【課題】抗菌性に優れると共に、塗布した後の紫外線照射による光硬化性に優れ、かつ塗膜の密着性、耐摩擦性、耐水耐摩擦性に優れ、さらにカールを生じにくい光硬化型抗菌ニス組成物を提供すること。
【解決手段】
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に5.0~90.0質量%含有し、
ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に50.0~90.0質量%含有する紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に5.0~90.0質量%含有し、
ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に50.0~90.0質量%含有する紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項2】
光重合開始剤を含有する請求項1に記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項3】
平均粒子径10μm以下のワックスを含有する請求項1又は2に記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項4】
ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂を含有する請求項1~3のいずれかに記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項5】
光硬化型抗菌ニス組成物中にジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有し、その含有量が3.0~40.0質量%である請求項1~4のいずれかに記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項6】
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に15.0~92.0質量%含有し、
オリゴマーを、全光重合性成分中に10.0~80.0質量%含有する樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
なお、窒素含有モノマー及び(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを含有しない。
【請求項7】
光重合開始剤を含有する請求項6に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項8】
平均粒子径10μm以下のワックスを含有する請求項6又は7に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項9】
ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂を含有する請求項6~8のいずれかに記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項10】
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシドネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び窒素含有モノマーから選ばれた1種以上を、全光重合性成分中に5.0質量%以上、60.0質量%以下含有し、
また、オリゴマーを、全光重合性成分中に0質量%以上、80.0質量%以下含有する樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項11】
光重合開始剤を含有する請求項10に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項12】
平均粒子径10μm以下のワックスを含有する請求項10又は11に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項13】
ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂を含有する請求項10~12のいずれかに記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材表面に抗菌塗膜層を形成させるための光硬化型抗菌ニス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、防かび性を発揮できる、活性エネルギー線重合性モノマー及びオリゴマーと銀含有抗菌剤を含む塗料であって、具体的には、重合性成分としてエポキシアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートを使用したものは公知である。
また特許文献2に記載のように、銀イオン系錯体、銀ゼオライト、銀リン酸ジルコニウム等の抗菌剤と、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を含有する紫外線硬化型塗料は公知である。
【0003】
これらの公知技術により形成された塗料による塗膜は抗菌性を有するものの、抗菌剤を添加することによる紫外線硬化性への影響と、塗膜の物性とのバランスを考慮した塗料ではなかった。
また従来、光重合性成分として、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を含有させたこともあった。この場合、トリメチロールプロパントリアクリレートの取り扱い性が困難な場合があり、安定して使用できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-028209号公報
【特許文献2】特開2000-176916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決する課題は、抗菌性に優れると共に、塗布した後の紫外線照射による光硬化性に優れ、かつ塗膜が密着性、耐摩擦性、耐水耐摩擦性に優れる光硬化型抗菌ニス組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の組成とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
1.トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に5.0~90.0質量%含有し、
ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に50.0~90.0質量%含有する紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
2.光重合開始剤を含有する1.に記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
3.平均粒子径10μm以下のワックスを含有する1.又は2.に記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
4.ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂を含有する1.~3.のいずれかに記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
5.光硬化型抗菌ニス組成物中にジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有し、その含有量が3.0~40.0質量%である1.~4.のいずれかに記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
6.トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを、全光重合性成分中に15.0~92.0質量%含有し、
オリゴマーを、全光重合性成分中に10.0~80.0質量%含有する樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
なお、窒素含有モノマー及び(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを含有しない。
7.光重合開始剤を含有する6.に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
8.平均粒子径10μm以下のワックスを含有する6.又は7.に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
9.ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂を含有する6.~8.のいずれかに記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
10.トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシドネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び窒素含有モノマーから選ばれた1種以上を、全光重合性成分中に5.0質量%以上、60.0質量%以下含有し、
また、オリゴマーを、全光重合性成分中に0質量%以上、80.0質量%以下含有する樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
11.光重合開始剤を含有する10.に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
12.平均粒子径10μm以下のワックスを含有する10.又は11.に記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
13.ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂を含有する10.~12.のいずれかに記載の樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、十分な抗菌性を有すると共に、紫外線照射による光硬化性に優れ、かつ基材表面に塗布して得た塗膜は密着性、耐摩擦性、及び耐水耐摩擦性にも優れるという効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、上記の各成分を含有するものであり、以下に順に説明する。但し、本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含有しない。ここで実質的に含有しないとは、全く含有しないこと、及び光硬化型抗菌ニス組成物や塗膜の特性に影響を及ぼさない範囲で少量含有することを意図する。
【0009】
<銀含有リン酸ジルコニウム粒子>
本発明において使用される銀含有リン酸ジルコニウム粒子は、リン酸ジルコニウムの結晶構造中に銀イオンを存在させたものである。
銀含有リン酸ジルコニウム粒子の平均粒子径は0.5~2.5μmが好ましく、0.8~1.5μmがより好ましく、0.8~1.2μmがさらに好ましい。
このような銀含有リン酸ジルコニウム粒子として、ノバロンAG-300、1100、AGC-303、AGZ-010、AGZ-020、AGZ-330、AGT-330(いずれも東亞合成社製)等を使用できる。
銀等の金属を担持して抗菌性を発揮する粒子は、例えば銀含有ゼオライトである。本発明において、銀含有リン酸ジルコニウム粒子ではなく、銀含有ゼオライトを配合すると、条件によっては、安定性及び耐摩擦性の点において不都合が生じる可能性がある。
【0010】
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物中の銀含有リン酸ジルコニウム粒子の濃度としては、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、最も好ましくは2.0質量%以上である。また、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。
0.2質量%未満であると十分な抗菌性を発揮できない可能性があり、20.0質量%を超えると、条件によるものの、安定性と耐摩擦性に劣る場合がある。
【0011】
<ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート>
本発明にて使用されるポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートは1分子中に2以上のアクリロイル基を有するものである。これらをa~cに分けて説明する。そしてこのa~cの全体から1種以上を採用できる。
a.ビスフェノールのアルキレンオキシド(1モル以上)付加物の(メタ)アクリレート、
b.ポリオールのアルキレンオキシド(1モル以上)付加物の(メタ)アクリレート(上記a以外のもの、及びポリオール部分の炭化水素基とアルキレンオキシドの炭化水素基の炭素数が違うもの)
c.上記a又はbのいずれでもないポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート。
なお、以下に記載のビスフェノールのアルキレンオキシド(Xモル)付加物のモノ(メタ)アクリレートについて、(Xモル)は、1分子のビスフェノールに付加したアルキレンオキシドの分子数を意味する。
さらに、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートとして、BA4EODA(ビスフェノールAのエチレンオキシド(4モル)付加物のジアクリレート)、GP3POTA(グリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート)、及びTMP3EOTA(トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート)から選ばれた1種以上を含有させることが好ましい。そしてこれらの3種のポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートの含有量は、それらの合計ではなくそれぞれ別々に、光硬化型抗菌ニス組成物中に、65.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、これらの化合物を含有する際には、3.0質量%以上が好ましく、7.0質量%以上がより好ましく、12.0質量%以上がさらに好ましく、15.0質量%以上が最も好ましい。
また、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)等のジペンタエリスリトールのポリアクリレート等を一例とする(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレート及び/又は、GP3POTA等のグリセリンのアルキレンオキシド付加物のポリアクリレートを使用する際には、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等の多官能アクリレートを含んでも良い。あるいは、ジアリルイソフタレート樹脂を含有することが好ましい。逆にジトリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリレートとの反応生成物を含んでも良い。ジアリルイソフタレート樹脂を含有するときは、BA4EODA(ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート)等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のポリアクリレート、及び/又は、GP3POTA等のグリセリンのアルキレンオキシド付加物のポリアクリレートを使用することが好ましい。
BA4EODA(ビスフェノールAのエチレンオキシド(4モル)付加物のジアクリレート)等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のポリアクリレート、及び/又は、TMP3EOTA(トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート)等のトリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のポリアクリレートを使用する際には、アクリル樹脂を含有することも好ましい。逆にアクリル樹脂を含有するときは、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のポリアクリレート、及び/又は、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のポリアクリレートを使用することが好ましい。
ビニルホルムアミド等のアミド基含有ビニル化合物を一例とする窒素含有モノマーを使用する際には、アクリル樹脂を含有することが好ましい。逆にアクリル樹脂を含有するときは、ビニルホルムアミド等のアミド基含有ビニル化合物及び必要によりアミン変性オリゴマーを使用することが好ましい。
【0012】
[a.]
<ビスフェノールのアルキレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAエチレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSエチレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAエチレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFエチレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート等、
ビスフェノールAプロピレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFプロピレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSプロピレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAプロピレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFプロピレンオキシド(1モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート等。
【0013】
<ビスフェノールのアルキレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAエチレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSエチレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAエチレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFエチレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等、
ビスフェノールAプロピレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFプロピレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSプロピレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAプロピレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFプロピレンオキシド(1モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等。
【0014】
<ビスフェノールのアルキレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAエチレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAジエチレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFジエチレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジエチレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジエチレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジエチレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート等、
ビスフェノールAプロピレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAジプロピレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFジプロピレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジプロピレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジプロピレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジプロピレンオキシド(2モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート等。
【0015】
<ビスフェノールのアルキレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAエチレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAジエチレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFジエチレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジエチレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジエチレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジエチレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等、
ビスフェノールAプロピレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAジプロピレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFジプロピレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジプロピレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジプロピレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジプロピレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等。
【0016】
<ビスフェノールのアルキレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAエチレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAテトラエチレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFテトラエチレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAテトラエチレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFテトラエチレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等、
ビスフェノールAプロピレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAテトラプロピレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFテトラプロピレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラプロピレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAテトラプロピレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFテトラプロピレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等。
【0017】
<ビスフェノールのアルキレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAエチレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAヘキサエチレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFヘキサエチレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSヘキサエチレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAヘキサエチレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFヘキサエチレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等、
ビスフェノールAプロピレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAヘキサプロピレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールFヘキサプロピレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSヘキサプロピレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAヘキサプロピレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFヘキサプロピレンオキシド(6モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等。
【0018】
[b.]
<その他のポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート>
上記aの化合物の他に、独立して、アルキレンオキシド部分が炭素数2以上のアルキレン基を有したり、アルキレンオキシド基が付加するモル数が1モル、2モル、又は3モル以上でも良く、(メタ)アクリロイル基の数が1及び2のいずれでも良い。
【0019】
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ジ-トリメチロールプロパンペンタエリスリトール等のポリオールに、エチレングリコール、プロピレングリコール等(メタクリロイル基導入後にアルキレンオキシド部分となるもの)を1モル以上付加してなる付加物の、1つ以上の(メタ)アクリレートである。
但しポリオール部分の炭化水素基とアルキレンオキシドの炭化水素基の炭素数が違う基であるため、例えばジエチレングリコール(メタ)アクリレートやジプロピレングリコール(メタ)アクリレートのようにそうではないものはb成分としない。
【0020】
具体的には、
プロピレングリコールのエチレンオキシド(4モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、
ジグリセリンのエチレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート。
【0021】
トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールのエチレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド(4モル)付加物のテトラ(メタ)アクリレート。
【0022】
[c.]
<上記a及びbのいずれでもない多価アクリレート>
本発明において使用できる、上記のaとbのいずれでもないc.の多価アクリレートとして以下のものを使用できる。なお下記の化合物の記載のうち、ポリオール部分の前の(ポリ)は、モノ-又はジ-以上のポリオールの縮合体を意味する。
光硬化型抗菌ニス組成物が上記a及びbのいずれでもない多価アクリレートを含有する際には、光硬化型抗菌ニス組成物中に、50.0質量%以下が好ましく、45.0質量%以下がより好ましく、40.0質量%以下が更に好ましい。また、2.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、15.0質量%以上がさらに好ましく、20.0質量%以上が最も好ましい。
((ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の(ポリ)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレンオキシドとしての繰り返し数1~10)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(PO(プロピレンオキシド))の繰り返し数1~10)、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート。
【0023】
((ポリ)グリセリンポリ(メタ)アクリレート)
グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、
((ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート)
トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート。
【0024】
((ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート)
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート。
なお、(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートを含有させる場合には、全光重合性成分中に15.0質量以上であり、20.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましい。また90.0質量%以下であり、70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましい。
【0025】
(その他の多価アクリレート)
上記に包含されない多価アクリレートとして以下のものを使用できる。
ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキシドヘプタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のモノマー等、
プロポキシドネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等。
【0026】
<窒素含有モノマー>
本発明において使用しても良い窒素含有モノマーとしては、他の成分中て例示された窒素含有モノマーに加えて、アクリロイルモルフォリン、ビニルホルムアミド、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム等を含有できる。
光硬化型抗菌ニス組成物が窒素含有モノマーを含有する際には、光硬化型抗菌ニス組成物中に、50.0質量%以下が好ましく、45.0質量%以下がより好ましく、40.0質量%以下が更に好ましい。また、3.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、20.0質量%以上がさらに好ましく、30.0質量%以上が最も好ましい。
特にアクリロイルモルフォリンを含有する場合、その含有量は、光硬化型抗菌ニス組成物中の50.0質量%以下にすることが好ましく、45.0質量%以下にすることがより好ましい。また光硬化型抗菌ニス組成物中の30.0質量%以上にすることが好ましく、35.0質量%以上にすることがより好ましい。
さらに光硬化型抗菌ニス組成物がオリゴマーを含有する際の含有量は、全光重合性成分中に5.0~45.0質量%であることが好ましい。また、オリゴマーを含有しない場合には、50.0~95.0質量%であることが好ましい。
【0027】
<平均粒子径10μm以下のワックス>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、平均粒子径10μm以下のワックスを含有することができる。そのワックスとして、蜜蝋、ラノリンワックス、鯨蝋、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等の動植物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の鉱物、石油系ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体等の水素化ワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス等が挙げられる。
そしてワックスの平均粒子径が好ましくは8.0μm以下、より好ましくは6.0μm以下、さらに好ましくは4.0μm以下のものを使用できる。
また、使用するワックスの平均粒子径を、光硬化型抗菌ニス組成物の粘度に応じて適宜選択してもよい。
【0028】
ワックスの、光硬化型抗菌ニス組成物中の含有量は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2.5質量%以上である。また好ましくは10.0質量%以下であり、より好ましくは8.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。
ワックスの含有量が0.5質量%より少ないとスクラッチ性が低下する可能性があり、一方、10.0質量%より多いと印刷装置を汚す等して作業性が低下する傾向にある。
【0029】
<ジアリルフタレート系樹脂>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、ジアリルフタレート系樹脂を含有できる。
ジアリルフタレート系樹脂は、例えばジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルオルソフタレート等の単独またはそれらの混合物からなる樹脂である。また、ジアリルイソフタレート樹脂はジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等の多官能アクリレートとの反応生成物でも良い。
【0030】
<アクリル樹脂>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、アクリル樹脂を含有できる。このようなアクリル樹脂として、(メタ)アクリレート等からなる共重合体などが挙げられる。
このアクリル樹脂を構成する(メタ)アクリレート等としては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸2量体、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の酸基含有モノマーを共重合体成分として有することができる。
また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーを共重合成分として有することができる。
上記の共重合成分と共にアクリル樹脂を構成する他のモノマーとして、以下のモノマーを採用できる。
エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アルキルアミド、N-メチロール(メタ)アルキルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アルキルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アルキルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アルキルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アルキルアミド、N-モノブチル(メタ)アルキルアミド、N-モノオクチル(メタ)アルキルアミド等のアクリルアミド、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルケトン、t-ブチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン等のその他のモノマー。
【0031】
また、アクリル樹脂として、アクリルオリゴマーを含有しても良い。そのアクリルオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル基含有(メタ)アクリレートオリゴマー、サートマーCN704等のエステル基含有(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレートオリゴマー等を使用できる。
中でも、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ビームセット265(荒川化学工業社)等を使用できる。
【0032】
ジアリルフタレート系樹脂を含有させ、かつ上記アクリル樹脂を含有しないか、またはアクリル樹脂よりも多量に含有する場合において、光硬化型抗菌ニス組成物の固形分全量に対するジアリルフタレート系樹脂の含有量は、好ましくは13.0質量%以上であり、より好ましくは15.0質量%以上であり、さらに好ましくは18.0質量%以上である。また好ましくは50.0質量%以下であり、より好ましくは45.0質量%以下であり、さらに好ましくは40.0質量%以下である。
また、ジアリルフタレート系樹脂より多量にアクリル樹脂を含有させる場合において、光硬化型抗菌ニス組成物の固形分全量に対するアクリル樹脂の含有量は、好ましくは10.0質量%以上であり、より好ましくは13.0質量%以上であり、さらに好ましくは15.0質量%以上である。また好ましくは65.0質量%以下であり、より好ましくは60.0質量%以下であり、さらに好ましくは55.0質量%以下である。
【0033】
<その他反応性モノマー>
上記各成分とは別に含有できるその他反応性モノマーとして、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルエーテル化合物、ポリアリル化合物等を含有できる。
【0034】
<オリゴマー>
本発明において使用できるオリゴマーとしては、公知又は市販のエチレン性不飽和結合を備えたポリマー又はオリゴマーを用いることができる。エチレン性不飽和結合を備えたポリマー又はオリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基やビニル基等からなる群より選ばれる1種以上のエチレン性不飽和結合を1つ以上有するものを用いることができる。例えば、ポリジアリルフタレート、ネオペンチルグリコールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4一ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエーテル(メタ)アクリレート、未反応の不飽和基を備えたアクリル樹脂、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン、アクリル変性フェノール系樹脂、アクリル化アミン化合物オリゴマー等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
具体的には、例えば、共栄社化学社製の「ライトアクリレート」、「ライトエステル」、「エポキシエステル」、「ウレタンアクリレート」及び「高機能性オリゴマー」シリーズ、新中村化学社製の「NKエステル」及び「NKオリゴ」シリーズ、日立化成社製の「ファンクリル」シリーズ、東亞合成社製の「アロニックス」シリーズ、大八化学工業社製の「機能性モノマー」シリーズ、大阪有機化学工業社製の「特殊アクリルモノマー」シリーズ、三菱ケミカル社製の「アクリエステル」及び「ダイヤビームオリゴマー」シリーズ、日本化薬社製の「カヤラッド」及び「カヤマー」シリーズ、日本触媒社製の「(メタ)アクリル酸/メタクリル酸エステルモノマー」シリーズ、日本合成化学工業社製の「NICHIGO-UV紫光ウレタンアクリレートリゴマー」シリーズ、日本酢ビ・ポバール社製の「カルボン酸ビニルエステルモノマー」シリーズ、興人社製の「機能性モノマー」シリーズ、ダイセルオルネクス社製の「EBECRYL」、「ACA」、「KRM」、「IRR」、「RDX」及び「OTA」シリーズ、アルケマ社製の「CN」及び「SR」シリーズ、BASF社製「Laromer」シリーズ、コグニス社製「フォトマー」シリーズ、根上工業社製「アートレジン」シリーズ、日油化学社製の「ブレンマー」シリーズ、第一工業製薬社製の「ニューフロンティア」シリーズ、MIWON社製の「Miramer」シリーズ、DSM社製の「AgiSyn」シリーズ、荒川化学社製「ビームセット」シリーズの変性アクリルオリゴマーである255、261、265、271、サートマー社製「CN371」(分子内に2個の光重合性官能基及び2個のアミノ基を有するアクリル化アミン化合物のオリゴマー)、サートマー社製「CN704」(多官能ウレタンアクリレートオリゴマー等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができるが特に限定されない。
【0035】
(紙用光硬化型抗菌ニス組成物)
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物において、特に紙に使用するに適切なものは以下の通りである。
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを含有し、中でもジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有することが好ましい。
全光重合性成分中の(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートの含有量は5.0質量%以上であり、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましい。また90.0質量%以下であり、70.0質量%以下がより好ましく、50.0質量%以下がさらに好ましく、40.0質量%以下が最も好ましい。
さらに、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを含有する。
そして、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートとして、ビスフェノールAのエチレンオキシド(4モル)付加物のジアクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート、プロポキシドネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレンオキシドとしての繰り返し数1~10)及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレンオキシドとしての繰り返し数1~10)から選ばれた1種以上とすることが好ましい。
全光重合性成分中の、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートの含有量は50.0質量%以上であり、60.0質量%以上が好ましく、70.0質量%以上がより好ましい。また、90.0質量%以下であり、85.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましい。
さらにオリゴマーを含有でき、その際には、全光重合性成分中に30.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下さらに好ましい。
またこの場合に、抗菌ニス組成物を塗布等するに適した紙としては特に限定されず、非塗工紙、塗工紙、厚紙、ダンボール紙等、周知の紙であれば良く、塗布手段も特に限定されない。
【0036】
(樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物1)
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物において、特に樹脂フィルム及び紙のいずれにも使用するに適切な樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物1は以下の組成物である。
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、さらに、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを含有する。
そして、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートとして、ビスフェノールAのエチレンオキシド(4モル)付加物のジアクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート、プロポキシドネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレンオキシドとしての繰り返し数1~10)及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレンオキシドとしての繰り返し数1~10)から選ばれた1種以上とすることが好ましい。
全光重合性成分中の、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートの含有量は15.0質量%以上であり、20.0質量%以上が好ましく、25.0質量%以上がより好ましい。また、92.0質量%以下であり、90.0質量%以下が好ましく、85.0質量%以下がより好ましい。
また、オリゴマーを全光重合性成分中に10.0質量%以上含有し、20.0質量%以上が好ましく、25.0質量%以上がより好ましい。また、80.0質量%以下であり、70.0質量%以下が好ましく、65.0質量%以下より好ましい。
なお、窒素含有モノマー及び(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを含有しない。
またこの場合に、抗菌ニス組成物を塗布等するに適した樹脂フィルム及び紙としては特に限定されず、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等の周知の樹脂フィルムや、非塗工紙、塗工紙、厚紙、ダンボール紙等、周知の紙であれば良く、塗布手段も特に限定されない。
【0037】
(樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物2)
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物において、特に樹脂フィルム及び紙のいずれにも使用するに適切な樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物2は以下の組成物である。
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、さらに、全光重合性成分中の、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシドネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び窒素含有モノマーから選ばれた1種以上を含有する。そしてそれを5.0質量%以上含有し、20.0質量%以上が好ましく、25.0質量%以上がより好ましい。また、60.0質量%以下含有し、50.0質量%以下が好ましく、45.0質量%以下がより好ましい。
また、オリゴマーを含有しても良く含有しなくてもよい。含有する際には、全光重合性成分中に15.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましく、50.0質量%以上がさらに好ましい。また、80.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以下がより好ましく、65.0質量%以下さらに好ましい。
またこの場合に、抗菌ニス組成物を塗布等するに適した樹脂フィルム及び紙としては特に限定されず、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等の周知の樹脂フィルムや、非塗工紙、塗工紙、厚紙、ダンボール紙等、周知の紙であれば良く、塗布手段も特に限定されない。
【0038】
<光重合開始剤>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は光重合開始剤を含有し、使用できる光重合開始剤は例えば下記のものが挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤である、ビス-2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド(OmniradTPO)、ビス(2,4,6-トリメチルべンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Omnirad 819、又はSB-PI719)、エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(TPOL)等、
α-ヒドロキシケトン系重合開始剤である、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(Omnirad127)、2-ヒドロキシ-4’-ヒドロキシエトキシ-2-メチルプロピオフェノン(Omnirad2959)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad184)、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}(ESACURE ONE)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等。
【0039】
その他、ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、エチルミヒラーズケトン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、4’-(メチルチオ)-α-モルホリノ-α-メチルプロピオフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、である。
このような光重合開始剤は市販されており、たとえばIGM Resins B.V.社からOmnirad907、Omnirad369、Omnirad184、Omnirad379、Omnirad819、TPO等の商品名で入手することができる。複数の光重合開始剤は、併用されてもよい。
【0040】
なかでも、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤とα-ヒドロキシケトン系重合開始剤を併用することが好ましく、さらに、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを併用することが好ましい。
なお、チオキサントン系光重合開始剤を含有しなくても良い。
また光重合開始剤は、全光重合性成分中2.0~10.0質量%含有することが好ましく、6.0~9.0質量%含有することがより好ましい。
【0041】
<光増感剤>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物には、さらに、発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線に対する硬化性を促進する等のために、400nm以上の主に紫外線の波長域で光吸収特性を有し、その範囲の波長の光により硬化反応の増感機能が発現する光増感剤(化合物)を併用使用することができる。なお、上記「400nm以上の波長の光により増感機能が発現する」とは、400nm以上の波長域で光吸収特性を有することをいう。このような増感剤を用いることで、本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、LED硬化性を促進され得る。
【0042】
上記光増感剤は、アントラセン系増感剤、チオキサントン系増感剤等であり、好ましくは、チオキサントン系増感剤である。光増感剤は、併用されてもよい。具体的には、光増感剤は、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)アントラセン等のアントラセン系増感剤、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系増感剤等である。市販品の代表例は、アントラセン系増感剤としては、DBA、DEA(川崎化成工業(株)製)、チオキサントン系増感剤としては、DETX、ITX(LAMBSON社製)等である。
【0043】
光増感剤が含まれる場合、光増感剤の含有量は、光硬化型抗菌ニス組成物中、0を超え、5.0質量%以下であることが好ましい。光増感剤の含有量が5.0質量%を超える場合、光硬化型抗菌ニス組成物は、光増感剤を配合することによる効果が向上しにくく、過剰添加となる傾向がある。
【0044】
なお、光増感剤として、チオキサントン系増感剤を含む場合、本発明の光硬化型抗菌ニス組成物を黄色に変色させる傾向があるため、顔料等に基づく色(本来の色相)より黄味がかった色相になるので、色毎に、チオキサントン系増感剤の含有量を適宜決めることが好ましい。
具体的には、色味の変化の影響を受けやすい場合、およびクリアーな光硬化型抗菌ニス組成物の場合には、光増感剤として、チオキサントン系増感剤を含まないことが好ましい。また、マゼンタやシアンの場合でも、光増感剤は、色相に問題が生じない範囲で使用することが好ましい。イエローの光硬化型抗菌ニス組成物の場合には、変色があっても色相に影響しにくく、かつ、光重合性が他の色相より乏しいことから、光重合開始剤として、チオキサントン系増感剤を併用使用することが好ましい。
【0045】
<溶媒>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は溶媒を含有しなくてもよく、また含有してもよい。含有するときには、銀含有リン酸ジルコニウム粒子以外の溶解すべき固形分を溶解し、光硬化型抗菌ニス組成物を用いて基材表面に層を形成した後に適切な時間で乾燥できることが好ましい。このような溶媒として以下のものを採用できる。なお、本発明において各成分の含有量は、非反応性溶媒を含有する場合には、それを除く光硬化型抗菌ニス組成物を基にして求める。
プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルやジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル、
アルキル基が炭素数3~6のジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の(ポリ)エチレングリコールジアルキルエーテル、
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル等の(ポリ)プロピレングリコールジアルキルエーテル、
プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)プロピレングリコールモノアルキルエーテル、
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の(ポリ)プロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等の(ポリ)エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の(ポリ)エチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、
エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート等の(ポリ)エチレングリコールジエステル、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の(ポリ)エチレングリコールモノエーテルモノエステル等のアルキレングリコール誘導体。
【0046】
<その他の樹脂>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、その性能が低下しない範囲内で、上記ジアリルフタレート系樹脂やアクリル樹脂以外の樹脂、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系樹脂及びエチレン-酢酸ビニル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、スチレン-マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂等を併用することも可能である。
【0047】
<その他の成分>
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物には、必要に応じて、界面活性剤、可塑剤、重合禁止剤、表面調整剤、光安定化剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を本発明の効果が毀損されない範囲で使用できる。また、本発明の光硬化型抗菌ニス組成物に無機又は有機の公知の色材を含有させても良い。
【0048】
(光硬化型抗菌ニス組成物の製造)
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物を製造する方法について説明する。
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、上記の各材料を、例えば、分散混合し、光硬化型抗菌ニス組成物の粘度を調整することによって得ることができる。
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物中における溶剤の含有量は、光硬化型抗菌ニス組成物全量に対する含有量である。
【0049】
(用途)
本発明の光硬化型抗菌ニス組成物は、紙基材、各種樹脂シート等の樹脂成形体表面、金属表面、セラミックス表面、木質材表面を含む周知の材料の表面に抗菌層を形成させるために使用できる。その中でも特に耐摩擦性が要求される場合に適している。
また光硬化型抗菌ニス組成物の塗布手段は、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、活版印刷、ローラによる塗装、噴霧塗装等、公知の印刷や塗装の手段を採用できる。
【実施例0050】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例、比較例で使用した材料は次の通りである。表中の各成分及び合計に関する欄の数値の単位は「質量%」である。
実施例1~11は紙用光硬化型抗菌ニス組成物に関する実施例であり、実施例12~14と、実施例15~19は、それぞれ、オリゴマーを含有することで共通する樹脂と紙用の光硬化型抗菌ニス組成物に関する実施例である。
【0051】
<銀含有リン酸ジルコニウム粒子>
ノバロンAG-300:商品名「ノバロンAG-300」、銀イオンをリン酸ジルコニウムに担持した粒子、固形分100%、東亞合成社製
銀担持結晶性アルミノ珪酸塩:M/nO・NaO・Al・2.5SiO・XHO(M:銀、亜鉛イオンの混合物、X:3.2~7.6)
【0052】
(樹脂ワニス1)
ダイソーイソダップ(ジアリルイソフタレート樹脂、大阪ソーダ社製、登録商標)35質量部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート65質量部、重合禁止剤(IRGANOX1076:BASFジャパン社製のオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.3質量部の比率で仕込み、100℃で熱溶解させて仕掛ワニスを調製した。この仕掛ワニス100質量部に対して、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、ALCH)0.6質量部を添加し、110℃で1時間撹拌して樹脂ワニス1を調製した。
【0053】
<樹脂またはオリゴマー>
ビームセット265(光硬化型アクリル樹脂、荒川化学工業社製)
サートマーCN704(ポリエステルアクリレート、サートマー社製)
<モノマー>
BA4EODA(ビスフェノールAのエチレンオキシド(4モル)付加物のジアクリレート)
GP3POTA(グリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート)
TMP3EOTA(トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリアクリレート)
PONPGDA(プロポキシドネオペンチルグリコールジアクリレート)
DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート)
TEGDA(トリエチレングリコールジアクリレート)
ACMO(アクリロイルモルフォリン)
DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
HDODA(ヘキサンジオールジアクリレート)
TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)
【0054】
<光重合開始剤>
Omnirad184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、IGM Resins B.V.社製)
OmniradTPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキシド、IGM Resins B.V.社製)
<重合禁止剤>
Irganox1010(商品名「Irganox1010」、BASF社製)
<ワックス>
TF6500UV(平均粒子径3.0±0.4μm、森村ケミカル社製)
CERIDUST 9202F(平均粒子径2.0-6.0μm、クラリアントジャパン社製)
Spray30(平均粒子径6.1μm、サゾール社製)
【0055】
(実施例1~19、参考例1及び比較例1~10)
<光硬化型抗菌ニス組成物の製造>
表1の配合(各材料の配合比率は質量%である)に従い、各材料を撹拌混合して実施例、参考例及び比較6の光硬化型抗菌ニス組成物を得た。
【0056】
<評価方法及び評価基準>
(塗工物の作成)
実施例、参考例及び比較例の抗菌ニスを、RI-2型展色機2分割ロール(明製作所製)により、抗菌ニスの塗布量を0.1mL/204cmとなるようにアート紙(三菱特アート110K)に展色したものを試験片とし、その後、160W/cmのメタルハライドランプ(焦点距離13cm、集光型、1灯;ヘレウス社製)を使用して試験片に紫外線を照射した。
【0057】
<光硬化性>
塗工物の塗面の中央に指先で軽く触れたときに、指先に塗膜が付着する度合いを評価した。
○:塗膜が全く付着しない。
△:塗膜が付着するが、タックが認められない。
×:塗膜が付着し、タックが認められる。
【0058】
<密着性>
実施例、参考例及び比較例の抗菌ニスを、RI-2型展色機2分割ロール(明製作所製)により、抗菌ニスの塗布量を0.1mL/204cmとなるようにUFコート紙(王子マテリア社)及びポリプロピレンシートに展色し、その後、160W/cmのメタルハライドランプ(焦点距離13cm、集光型、1灯;ヘレウス社製)により紫外線を照射して塗工物を得た。
各塗工物の塗膜にニチバン製セロハンテープを貼り、指で上からこすって密着させたのちすばやく剥がして塗膜の剥がれる度合いを評価した。
○:塗膜が剥がれなかった。
×:塗膜が剥がれた。
【0059】
<耐摩擦性>
得られた各塗工物を、学振型摩擦堅牢度試験機を用いて評価した。
評価条件:1000g×500回、当紙:印刷面
○:500回こすっても塗工面が取れなかった。
△:200回~499回こすって塗工面が取れた。
×:1回~199回こすって塗工面が取れた。
【0060】
<耐水耐摩擦性>
得られた各塗工物を、学振型摩擦堅牢度試験機を用いて評価した。
評価条件:200g×10回、摩擦子:水を5滴滴下したカナキン
○:10回こすっても塗工面が取れなかった。
△:3回~9回こすって塗工面が取れた。
×:1回~2回こすって塗工面が取れた。
【0061】
<カール性>
得られた各塗工物を5cm×5cmにカットし、室温にて24時間基盤上に放置して、カットした紙片またはフィルム片の四隅の、基材表面からの浮き上がりを評価。
〇:四隅の浮き上がりの合計値が10mm以下。
×:四隅の浮き上がりの合計値が10mmより大きい。
【0062】
【表1】
【0063】
本発明に沿った例である実施例1~19によれば、光硬化型抗菌ニス組成物は光硬化性、密着性、耐摩擦性および耐水耐摩擦性に優れていた。そしてこれらの効果はトリメチロールプロパントリアクリレートを含有する参考例と同様であった。
これに対し、銀イオンをリン酸ジルコニウムに担持した粒子ではなく銀担持結晶性アルミノ珪酸塩を使用した比較例1によれば、特に耐水耐摩擦性に劣っており、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを含有しない比較例2によれば、光硬化性、耐摩擦性及び耐水耐摩擦性に劣り、同じく、ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを含有しない比較例3によれば、密着性に劣っていた。
その他の多価アクリレートを過剰に含有する比較例4によれば、密着性とカール性に劣っていた。アクリル樹脂の含有量が過剰である比較例5によれば、密着性、耐摩擦性及び耐水耐摩擦性に劣っていた。ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを過剰に含有する比較例6~8によれば、密着性とカール性に劣っていた。窒素含有モノマーを過剰に含有する比較例9によれば、密着性、耐摩擦性及び耐水耐摩擦性に劣っていた。ジアリルフタレート系樹脂を過剰に含有する比較例10によれば、密着性とカール性に劣っていた。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを、全重合性成分中に5.0~90.0質量%含有し、
ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを、全重合性成分中に50.0~90.0質量%含有し、
光重合開始剤、
平均粒子径10μm以下のワックス
及び、ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂
を含有する紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項2】
光硬化型抗菌ニス組成物中にジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有し、その含有量が3.0~40.0質量%である請求項1に記載の紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
【請求項3】
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
ポリオールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートを、全重合性成分中に15.0~92.0質量%含有し、
光重合開始剤、
平均粒子径10μm以下のワックス
及び、ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂
を含有し、
変性アクリルオリゴマー及び/又は多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを、全光重合性成分中に10.0~80.0質量%含有する樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。
なお、窒素含有モノマー及び(ポリ)ペンタエリスリトール(ポリ)(メタ)アクリレートを含有しない。
【請求項4】
トリメチロールプロパントリアクリレートを実質的に含まず、銀含有リン酸ジルコニウム粒子を含み、
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシドネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び窒素含有モノマーから選ばれた1種以上を、全重合性成分中に5.0質量以上、60.0質量%以下含有し、
また、オリゴマーを、全光重合性成分中に0質量%以上、80.0質量%以下
光重合開始剤、
平均粒子径10μm以下のワックス
及び、ジアリルフタレート系樹脂及び/又はアクリル樹脂
を含有する樹脂用及び紙用光硬化型抗菌ニス組成物。