(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020583
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/415 20060101AFI20220125BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220125BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220125BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220125BHJP
A61K 31/4155 20060101ALI20220125BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220125BHJP
C12N 9/99 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61K31/415
A61P35/00 ZNA
A61K45/00
A61P43/00 111
A61K31/4155
A61K31/4439
C12N9/99
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021117492
(22)【出願日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】63/054016
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジョージ ダン
(72)【発明者】
【氏名】ニコール リー グッドマン ミラー
(72)【発明者】
【氏名】トッド リー ヴァナーズデル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんを処置するための改善された治療を提供する。
【解決手段】下記構造の化合物に例示されるサイクリン依存性キナーゼ2(CDK2)阻害薬と、サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬とを、任意選択で、追加の抗がん剤とのさらなる組合せで含む、がんの処置において使用するための併用療法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)ある量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法。
【請求項2】
前記対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与することをさらに含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が、
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート;および
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)乳癌であり、前記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)式(I)の化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である、組合せ。
【請求項10】
(c)追加の抗がん剤をさらに含み、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である、請求項9に記載の組合せ。
【請求項11】
式(I)の化合物が、
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート;および
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、請求項9または10に記載の組合せ。
【請求項12】
式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、請求項9から11のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項13】
前記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項9から12のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項14】
前記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、請求項9から13のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項15】
前記がんが、HR+、HER2-乳癌であり、前記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、請求項9から14のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項16】
前記内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、請求項15に記載の組合せ。
【請求項17】
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法。
【請求項18】
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、
(c)アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される、ある量の内分泌治療剤と
を投与することを含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法。
【請求項19】
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である、組合せ。
【請求項20】
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、
(c)アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤と
を含む組合せであって、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は、EFS-Webを介して電子的に出願されており、.txt形式で電子的に提出された配列表を含む。その.txtファイルは、2021年7月7日に作成され、サイズが1KBである「PC072650ASEQLISTING_ST25.txt」と標題された配列表を含む。この.txtファイルに含まれる配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、がんを処置するために有用な併用療法に関する。詳細には、本発明は、本明細書および米国特許第11,014,911号にさらに記載のとおりの式(I)のサイクリン依存性キナーゼ2(CDK2)阻害薬と、サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬とを、任意選択で追加の抗がん剤とさらに組み合わせて含む併用療法に関する。本発明はまた、関連する処置方法、医薬組成物、および薬学的使用に関する。
【背景技術】
【0003】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および関連セリン/トレオニンプロテインキナーゼは、細胞分裂および増殖の制御において必須の機能を果たす重要な細胞酵素である。CDK1~4、6、10、11は、細胞周期の進行において直接的な役割を果たすと報告されている一方で、CDK3、5および7~9は、間接的な役割(例えば、他のCDKの活性化、転写または神経機能の制御により)を果たし得る。CDK触媒ユニットは、サイクリンとして既知の調節サブユニットへの結合、続く、リン酸化により活性化される。サイクリンは、4つの一般的クラス(G1、G1/S、SおよびMサイクリン)に分類することができ、それらの発現レベルは、細胞周期における異なる時点で変動する。サイクリンB/CDK1、サイクリンA/CDK2、サイクリンE/CDK2、サイクリンD/CDK4、サイクリンD/CDK6、およびおそらく他のヘテロダインが、細胞周期進行の重要な制御因子である。
【0004】
CDK2の過剰発現は、細胞周期の異常な制御と関連している。サイクリンE/CDK2複合体は、G1/S遷移、ヒストン生合成および中心体複製の制御において重要な役割を果たす。サイクリンD/Cdk4/6およびサイクリンE/Cdk2による網膜芽細胞腫(RB)の進行性リン酸化は、G1転写因子、E2Fを放出し、S期エントリーを促進する。初期S期中のサイクリンA/CDK2の活性化は、S期完了のためのDNA複製およびE2Fの不活性化を可能にする内在性基質のリン酸化を促進する(Asgharら、The history and future of targeting cyclin-dependent kinases in cancer therapy、Nat.Rev.Drug.Discov.2015;14(2):130~146)。
【0005】
CDK2のための制御サイクリンであるサイクリンEは往々にして、がんで過剰発現される。サイクリンE増幅または過剰発現は長らく、乳癌における不十分な転帰と関連づけられている(Keyomarsiら、Cyclin E and survival in patients with breast cancer.N Engl J Med.(2002)347:1566~75)。サイクリンE2(CCNE2)過剰発現は、乳癌細胞における内分泌抵抗性と関連し、CDK2阻害は、タモキシフェン抵抗性およびCCNE2過剰発現細胞においてタモキシフェンまたはCDK4阻害薬に対する感受性を復活させると報告されている(Caldonら、Cyclin E2 overexpression is associated with endocrine resistance but not insensitivity to CDK2 inhibition in human breast cancer cells. Mol.Cancer Ther.(2012)11:1488~99;Herrera-Abreuら、Early Adaptation and Acquired Resistance to CDK4/6 Inhibition in Estrogen Receptor-Positive Breast Cancer、Cancer Res.(2016)76:2301~2313)。サイクリンE増幅も報告によると、ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)乳癌におけるトラスツズマブ抵抗性に寄与している(Scaltritiら、Cyclin E amplification/overexpression is a mechanism of trastuzumab resistance in HER2+ breast cancer patients、Proc Natl Acad Sci.(2011)108:3761~6)。サイクリンE過剰発現はまた、基底細胞様および三重陰性乳癌(TNBC)、さらには炎症性乳癌において役割を果たすと報告されている(Elsawaf & Sinn、Triple Negative Breast Cancer:Clinical and Histological Correlations、Breast Care(2011)6:273-278;Alexanderら、Cyclin E overexpression as a biomarker for combination treatment strategies in inflammatory breast cancer、Oncotarget(2017)8:14897~14911)。
【0006】
サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現はまた、卵巣、胃、子宮内膜、および他のがんにおける不十分な転帰と関連づけられている(Nakayamaら、Gene amplification CCNE1 is related to poor survival and potential therapeutic target in ovarian cancer、Cancer(2010)116:2621~34;Etemadmoghadamら、Resistance to CDK2 Inhibitors Is Associated with Selection of Polyploid Cells in CCNE1-Amplified Ovarian Cancer、Clin Cancer Res(2013)19:5960~71;Au-Yeungら、Selective Targeting of Cyclin E1-Amplified High-Grade Serous Ovarian Cancer by Cyclin-Dependent Kinase 2 and AKT Inhibition、Clin.Cancer Res.(2017)23:1862~1874;Ayhanら、CCNE1 copy-number gain and overexpression identify ovarian clear cell carcinoma with a poor prognosis、Modern Pathology (2017)30:297~303;Ooiら、Gene amplification of CCNE1, CCND1, and CDK6 in gastric cancers detected by multiplex ligation-dependent probe amplification and fluorescence in situ hybridization、Hum Pathol.(2017)61:58~67;Noskeら、Detection of CCNE1/URI(19q12) amplification by in situ hybridisation is common in high grade and type II endometrial cancer、Oncotarget(2017)8:14794~14805)。
【0007】
CDK4およびCDK6の変異が、黒色腫および他の腫瘍のサブグルーブにおいて記載されている(Zuo Lら、Germline mutations in the p16INK4a binding domain of CDK4 in familial melanoma.Nature Genet.(1996)12、97~99;Ortega Sら、Cyclin D-dependent kinases, INK4 inhibitors and cancer.Biochim.Biophys.Acta(2002)1602:73~87;Smalley KSMら、Identification of a novel subgroup of melanomas with KIT/cyclin-dependent kinase-4 overexpression.Cancer Res(2008)68:5743~52)。CDKおよびサイクリンの調節サブユニットの増幅、ならびに内因性INK4 CDK阻害因子の変異、遺伝子欠失、または転写サイレンシングも、その経路が活性化され得る機構として報告されている(Smalley KSM(2008))。
【0008】
CDK阻害薬の開発は、文献において概説されている。例えば、Sanchez-Martinezら、Cyclin dependent kinase(CDK) inhibitors as anticancer drugs、Bioorg.Med.Chem.Lett.(2015)25:3420~3435(およびそこに引用されている参照文献);およびYuanら、Selective inhibition of CDK4/6:a safe and effective strategy for developing anticancer drugs、Acta Pharmaceutica Sinica B(2020)、press、https://doi.org/10.1016/j.apsb.2020.05.001を参照されたい。パルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブを含むCDK4/6阻害薬での治験は、乳がんおよび他のがんについて、単一薬剤として、または他の治療薬と組み合わせて継続している。パルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブは、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)進行性または転移性乳癌の処置について、第一選択の設定ではレトロゾールなどのアロマターゼ阻害薬と、および第二またはそれ以降の選択の治療ではフルベストラントと組み合わせて、ある特定の患者で承認されている(O’Learyら、Treating cancer with selective CDK4/6 inhibitors.Nature Reviews(2016)13:417~430)。CDK4/6阻害薬は、ER陽性転移性乳癌において有意な臨床有効性を示している一方で、他のキナーゼと同様に、それらの効果は、一次または後天性抵抗性の発生により経時的に限定され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第11,014,911号
【特許文献2】国際公開WO2003/062236
【特許文献3】米国特許第6,936,612号
【特許文献4】米国特許第7,456,168号
【特許文献5】米国特許第RE47,739号
【特許文献6】国際公開WO2005/005426
【特許文献7】米国特許第7,345,171号
【特許文献8】米国特許第7,863,278号
【特許文献9】国際公開WO2008/032157
【特許文献10】米国特許第7,781,583号
【特許文献11】国際公開WO2014/128588
【特許文献12】米国特許出願公開第2018/0065964号
【特許文献13】国際公開WO2016/193860
【特許文献14】米国特許出願公開第2018/0207100号
【特許文献15】米国特許第6,106,864号
【特許文献16】WO00/35298
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Asgharら、The history and future of targeting cyclin-dependent kinases in cancer therapy、Nat.Rev.Drug.Discov.2015;14(2):130~146
【非特許文献2】Keyomarsiら、Cyclin E and survival in patients with breast cancer.N Engl J Med.(2002)347:1566~75
【非特許文献3】Caldonら、Cyclin E2 overexpression is associated with endocrine resistance but not insensitivity to CDK2 inhibition in human breast cancer cells. Mol.Cancer Ther.(2012)11:1488~99
【非特許文献4】Herrera-Abreuら、Early Adaptation and Acquired Resistance to CDK4/6 Inhibition in Estrogen Receptor-Positive Breast Cancer、Cancer Res.(2016)76:2301~2313
【非特許文献5】Scaltritiら、Cyclin E amplification/overexpression is a mechanism of trastuzumab resistance in HER2+ breast cancer patients、Proc Natl Acad Sci.(2011)108:3761~6
【非特許文献6】Elsawaf & Sinn、Triple Negative Breast Cancer:Clinical and Histological Correlations、Breast Care(2011)6:273-278
【非特許文献7】Alexanderら、Cyclin E overexpression as a biomarker for combination treatment strategies in inflammatory breast cancer、Oncotarget(2017)8:14897~14911
【非特許文献8】Nakayamaら、Gene amplification CCNE1 is related to poor survival and potential therapeutic target in ovarian cancer、Cancer(2010)116:2621~34
【非特許文献9】Etemadmoghadamら、Resistance to CDK2 Inhibitors Is Associated with Selection of Polyploid Cells in CCNE1-Amplified Ovarian Cancer、Clin Cancer Res(2013)19:5960~71
【非特許文献10】Au-Yeungら、Selective Targeting of Cyclin E1-Amplified High-Grade Serous Ovarian Cancer by Cyclin-Dependent Kinase 2 and AKT Inhibition、Clin.Cancer Res.(2017)23:1862~1874
【非特許文献11】Ayhanら、CCNE1 copy-number gain and overexpression identify ovarian clear cell carcinoma with a poor prognosis、Modern Pathology (2017)30:297~303
【非特許文献12】Ooiら、Gene amplification of CCNE1, CCND1, and CDK6 in gastric cancers detected by multiplex ligation-dependent probe amplification and fluorescence in situ hybridization、Hum Pathol.(2017)61:58~67
【非特許文献13】Noskeら、Detection of CCNE1/URI(19q12) amplification by in situ hybridisation is common in high grade and type II endometrial cancer、Oncotarget(2017)8:14794~14805
【非特許文献14】Zuo Lら、Germline mutations in the p16INK4a binding domain of CDK4 in familial melanoma.Nature Genet.(1996)12、97~99
【非特許文献15】Ortega Sら、Cyclin D-dependent kinases, INK4 inhibitors and cancer.Biochim.Biophys.Acta(2002)1602:73~87
【非特許文献16】Smalley KSMら、Identification of a novel subgroup of melanomas with KIT/cyclin-dependent kinase-4 overexpression.Cancer Res(2008)68:5743~52
【非特許文献17】Sanchez-Martinezら、Cyclin dependent kinase(CDK) inhibitors as anticancer drugs、Bioorg.Med.Chem.Lett.(2015)25:3420~3435
【非特許文献18】Yuanら、Selective inhibition of CDK4/6:a safe and effective strategy for developing anticancer drugs、Acta Pharmaceutica Sinica B(2020)、press、https://doi.org/10.1016/j.apsb.2020.05.001
【非特許文献19】O’Learyら、Treating cancer with selective CDK4/6 inhibitors.Nature Reviews(2016)13:417~430
【非特許文献20】W.A.Weber、Assessing tumor response to therapy、J.Nucl.Med.50 Suppl.1:1S~10S(2009)
【非特許文献21】Eisenhauerら、New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、Eur J of Cancer、2009;45(2):228~47
【非特許文献22】Holford,N.H.G. and Scheiner,L.B.、Clin.Pharmacokinet.6:429~453(1981)
【非特許文献23】Loewe,S. and Muischnek,H.、Arch.Exp.Pathol.Pharmacol.114:313~326(1926)
【非特許文献24】Chou,T.C. and Talalay,P.、Adv.Enzyme Regul.22:27~55(1984)
【非特許文献25】Ma & Motsinger-Reif、Current Method for Quantifying Drug Synergism,Proteom.Bioinform(2019)1(2):43~48
【非特許文献26】Tangら、What is Synergy? The Saariselka Agreement Revisited、Front Pharmacol.(2015)Article 181、6:1~5
【非特許文献27】Fryら、Cell cycle and biochemical effects of PD 0183812. A potent inhibitor of the cyclin D-dependent kinases CDK4 and CDK6、J.Biol.Chem.(2001)、276:16617~16623
【非特許文献28】WHO Drug Information、Vol.27、No.2、page 172(2013)
【非特許文献29】WHO Drug Information、Vol.29、No.1、108~109頁(2015)
【非特許文献30】WHO Drug Information、Vol.29、No.3、386頁(2015)
【非特許文献31】WHO Drug Information、Vol.32、No.1、176~177頁(2018)
【非特許文献32】WHO Drug Information、Vol.32、No.4、608頁(2018)
【非特許文献33】Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH、2002)
【非特許文献34】Ishiji,T、2000[0021]、J Dermatol.、27:73~86
【非特許文献35】Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)
【非特許文献36】Expert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986、Liang and Chen (2001)
【非特許文献37】“Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1”、H.Lieberman and L.Lachman、Marcel Dekker,N.Y.、N.Y.1980(ISBN 0-8247-6918-X)
【非特許文献38】Vermaら、Pharmaceutical Technology On-line、25(2)、1~14(2001)
【非特許文献39】Morrison,J.F.(1969)Kinetics of the reversible inhibition of enzyme-catalysed reactions by tight-binding inhibitors、Biochimica et biophysica acta 185、269~286
【非特許文献40】Murphy,D.J.(2004) and Determination of accurate Ki values for tight-binding enzyme inhibitors:an in silico study of experimental error and assay design、Analytical biochemistry 327、61~67
【非特許文献41】https://horizondiscovery.com/-/media/Files/Horizon/resources/Technical-manuals/hd-technical-manual-chalice-analyzer-viewer.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それにもかかわらず、がんを処置するための改善された治療が依然として必要とされている。本発明の組合せ、方法および使用は、単独のいずれかの治療剤での処置よりも高い有効性;薬物-薬物相互作用を減少させる可能性;改善された投与スケジュールを実行可能にする可能性;副作用を減少させる可能性;抵抗性機構を克服する可能性などの1つまたは複数の利点を有すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、それを必要とする対象において異常な細胞増殖、特に、がんを処置するための治療方法、組合せ、使用および組成物に関する。
【0013】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0014】
【化1】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)ある量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0015】
この態様の一部の実施形態では、本発明は、上記対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与することをさらに含み、(a)、(b)および(c)の量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0017】
【化2】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である、組合せを提供する。
【0018】
この態様の一部の実施形態では、上記組合せはさらに、(c)追加の抗がん剤を含み、(a)、(b)および(c)の組合せは、がんの処置において有効である。
【0019】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0020】
【化3】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0021】
この態様の一部の実施形態では、使用するための上記組合せはさらに、(c)追加の抗がん剤を含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0023】
【化4】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せの使用であって、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0024】
この態様の一部の実施形態では、上記組合せはさらに、(c)追加の抗がん剤を含み、(a)、(b)および(c)の組合せの使用は、がんの処置において有効である。
【0025】
本明細書に記載の組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物とCDK4/6阻害薬との組合せは相乗的である。本明細書に記載の組合せおよび使用の一部の実施形態では、式(I)の化合物と、CDK4/6阻害薬と、および追加の抗がん剤の組合せは相乗的である。
【0026】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0027】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、
構造:
【0028】
【化5】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A);
構造:
【0029】
【化6】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート(化合物B);および
構造:
【0030】
【化7】
を有する(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(化合物C);
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される。
【0031】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)である。
【0032】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)であり、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0033】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、本発明はさらに、1種または複数の追加の抗がん剤を含む。好ましい実施形態では、上記がんは、乳癌(HR+/HER2-乳癌を含む)であり、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)、または選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)である。好ましい実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0034】
本発明の方法、組合せおよび使用を含む本明細書に記載の態様のそれぞれの実施形態を、組み合わせる実施形態と相反しない、本明細書に記載の本発明の1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】HCC1428細胞の増殖に対する、化合物Cおよびパルボシクリブを組み合わせることの効果を実証する用量マトリックス(A)およびアイソボログラム(B)である。
【
図2】HCC1428細胞の増殖に対する、化合物Bおよびパルボシクリブを組み合わせることの効果を実証する用量マトリックス(A)およびアイソボログラム(B)である。
【
図3】HCC1428細胞の増殖に対する、化合物Aおよびパルボシクリブを組み合わせることの効果を実証する用量マトリックス(A)およびアイソボログラム(B)である。
【
図4】MCF7細胞の増殖に対する、化合物Aおよびパルボシクリブを組み合わせることの効果を実証する用量マトリックス(A)およびアイソボログラム(B)である。
【
図5】T47D細胞の増殖に対する、化合物Aおよびパルボシクリブを組み合わせることの効果を実証する用量マトリックス(A)およびアイソボログラム(B)である。
【
図6】MCF-7乳癌異種移植片モデルにおけるパルボシクリブ(10mpk)ならびに25mpk(A)、75mpk(B)および150mpk(C)の化合物Aの組合せでの効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、本明細書に含まれる本発明の好ましい実施形態および実施例の次の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得るであろう。本明細書において使用される専門用語は具体的な実施形態を説明することを目的としているにすぎず、限定的であることを意図したものではないことは理解されるべきである。さらに、本明細書において具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される専門用語には、関連分野で公知のとおりのその従来の意味が与えられていることは理解されるべきである。
【0037】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別段に示されていない限り、複数形の言及も含む。例えば、「1つの(a)」置換基には、1個または複数の置換基が含まれる。
【0038】
本明細書に記載の本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれかの要素の非存在下でも適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各事例において、「を含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語はいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。
【0039】
「異常な細胞増殖」は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、正常な制御機構に依存しない細胞増殖を指す(例えば、接触阻害の喪失)。異常な細胞増殖は、良性(非がん性)、または悪性(がん性)であり得る。
【0040】
数値で定義されるパラメーターを修飾するために使用される「約」という用語は、パラメーターが、そのパラメーターについての規定の数値を10%上回る、または下回るほど変化し得ることを意味する。例えば、「約5mg」の用量は、5mg±10%を意味し、すなわち、その用量は、4.5mgおよび5.5mgの間で変動し得る。
【0041】
「投与」および「処置」という用語は、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生体液に適用される場合、外来の医薬品、治療剤または診断剤、または組成物を、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生体液に接触させることを指す。細胞の処置は、試薬と細胞との接触、さらには試薬と流体との接触を包含し、ここで、流体が細胞と接触している。「投与」および「処置」はまた、試薬、診断薬、結合化合物による、または別の細胞による例えば、細胞のin vitroおよびex vivo処置を意味する。
【0042】
「がん」、「がん性」、または「悪性」という用語は、典型的には未制御の細胞増殖により特徴づけられる哺乳動物における生理学的状態を指すか、またはそれを説明する。本明細書で使用される場合、「がん」は、異常な細胞増殖に起因する任意の悪性および/または侵襲性増殖または腫瘍を指す。本明細書で使用される場合、「がん」は、それらを形成する細胞の種類で名付けられる固形腫瘍、さらに、血液、骨髄、またはリンパ系のがんを指す。固形腫瘍の例には、これに限定されないが、肉腫および癌腫が含まれる。血液のがんの例には、これに限定されないが、白血病、リンパ腫および骨髄腫が含まれる。「がん」という用語は、これに限定されないが、身体の特異的な部位に由来する原発性がん、始まった場所から身体の他の部分へと転移している転移性癌、寛解後の元の原発性がんからの再発、および後のものとは異なる種類の先行がんの履歴を有する人における新たな原発性がんである二次原発性がんを含む。
【0043】
「患者」または「対象」という用語は、ヒトおよび哺乳類獣医学上の患者、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコを含む、治療が望ましいか、または治験、疫学的研究に参加しているか、または対照として使用されている任意の単一の対象を指す。一部の実施形態では、上記対象は、ヒトである。
【0044】
一部の実施形態では、上記対象は、成人対象である。一部の実施形態では、成体対象は、任意の閉経状態の女性または男性である。一部のそのような実施形態では、上記対象は、閉経後の女性または男性である。一部のそのような実施形態では、上記対象は、閉経後女性である。一部のそのような実施形態では、上記対象は、閉経前または閉経周辺期の女性である。一部のそのような実施形態では、上記対象は、黄体形成ホルモン関連ホルモン(LHRH)アゴニストで処置されている閉経前または閉経周辺期の女性である。一部のそのような実施形態では、上記対象は男性である。一部のそのような実施形態では、上記対象は、LHRHアゴニストで処置されている男性である。一部の実施形態では、上記対象は、誕生から18歳の間の年齢のヒト小児である。一部の実施形態では、上記対象は、小児がんを有する誕生から15歳の間の年齢の小児である。
【0045】
がんを「処置する」または「処置すること」またはその「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明による併用療法を、がんを有するか、またはがんと診断されている対象に投与して、例えば、がん細胞の数の減少、腫瘍サイズの縮小、周辺器官へのがん細胞浸潤の速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖の速度の低下、そのような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状の進行の好転、緩和、阻害、もしくはその予防などの少なくとも1つのプラスの治療効果を達成することを意味する。「処置すること」をすぐ上で定義したとおり、「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、処置する行動を指す。「処置すること」という用語にはまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置が含まれる。
【0046】
本発明の目的では、有利なまたは所望の臨床結果には、これに限定されないが、次のうちの1つまたは複数が含まれる:新生物またはがん性細胞の増殖の減少(またはその破壊);転移性または新生細胞の阻害;腫瘍のサイズの縮小または減少;がんの寛解;がんから生じる症状の軽減;がんに罹患しているものの生活の質の向上;がんを処置するために必要とされる他の薬物の用量の減少;がんの進行の遅延;がんの治癒;がんの1つまたは複数の抵抗性機構の克服;および/またはがんを有する患者の生存の延長。がんにおけるプラスの治療効果はいくつかの方法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、Assessing tumor response to therapy、J.Nucl.Med.50 Suppl.1:1S~10S(2009)を参照されたい。例えば、腫瘍増殖阻害(T/C)に関しては、米国国立癌研究所(NCI)標準によると、42%以下のT/Cが、抗腫瘍活性の最低レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルと判断され、ここで、T/C(%)=処置済みの腫瘍体積中央値/対照の腫瘍体積中央値×100である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「完全奏功」または「CR」という用語は、処置に応じたがんのすべての徴候の消失(例えば、すべての標的病変の消失)を意味する。これは、がんが治癒していることを常に意味するものではない。
【0048】
本明細書で使用される場合、「無病生存期間」(DFS)という用語は、がんのいずれの徴候または症状を伴わずに患者が生存している、がんについての一次処置が終わった後の時間の長さを意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「奏功期間」(DoR)という用語は、がんの増殖または伝播を伴わずに、腫瘍が処置に応答し続けている時間の長さを意味する。DoRの改善を実証する処置は、疾患進行において永続的で有意味な遅延をもたらし得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「客観的奏功」および「全体奏功」という用語は、完全奏功(CR)または部分奏功(PR)を含む測定可能な応答を指す。「全体奏功率」(ORR)という用語は、完全奏功(CR)率および部分奏功(PR)率の合計を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「全生存期間」(OS)という用語は、がんなどの疾患についての診断日または処置開始のいずれかから、疾患を有すると診断された患者がまだ生存している時間の長さを意味する。OSは典型的には、対照群の(すなわち、別の薬物またはプラセボを摂取している)患者と比較した場合の、ある特定の処置を投与されている患者における平均余命の延長として測定される。
【0052】
本明細書で使用される場合、「部分奏功」または「PR」という用語は、処置に応答しての1つもしくは複数の腫瘍もしくは病変のサイズ、または身体におけるがんの規模の縮小を指す。例えば、一部の実施形態では、PRは、基線SLDを基準として、標的病変の最長直径(SLD)の合計の少なくとも30%の減少を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存」または「PFS」という用語は、処置されている疾患(例えば、がん)が憎悪していない、処置中およびその後の時間の長さを指す。「腫瘍進行までの時間」とも称されるPFSは、患者がCRまたはPRを経験している時間の量、さらには患者がSDを経験している時間の量を含み得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」または「PD」という用語は、増殖している、転移している、または増悪しているがんを指す。一部の実施形態では、PRは、処置が開始されて以降に記録された最小SLDを基準として、標的病変のSLDの少なくとも20%の上昇、または1つもしくは複数の新たな病変の存在を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「安定な疾患」(SD)という用語は、規模または重症度のいずれかにおいて低下も上昇もしていないがんを指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「持続奏功」という用語は、処置の休止後に腫瘍増殖を減少させることに対する持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、医薬品投与相の開始時のサイズと比較して、同じか、または小さいサイズであり得る。一部の実施形態では、持続奏功は、処置期間と少なくとも同じ期間、処置期間の少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、もしくは3倍の長さを有するか、またはそれよりも長い。
【0057】
「客観的奏功」、「完全奏功」、「部分奏功」、「進行性疾患」、「安定な疾患」、「無増悪生存」、「奏功期間」を含むがんを処置する方法の抗がん効果は、本明細書で使用される場合、試験責任者により、RECIST v1.1を使用して定義および評定され得る(Eisenhauerら、New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、Eur J of Cancer、2009;45(2):228~47)。
【0058】
本明細書における方法、組合せおよび使用の治療効果は、完全奏功(CR)、無病生存期間(DFS)、奏功危難(DoR)、全体奏功率(ORR)、全生存期間(OS)、部分奏功(PR)、または無増悪生存(PFS)のうちのいずれかを基準として定義され得る。一部の実施形態では、本発明の組合せに対する奏功は、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)1.1奏功基準を使用して評定されるPR、CR、PFS、DFS、ORまたはOSのうちのいずれかである。
【0059】
一部の実施形態では、本明細書における方法、組合せおよび使用は、ネオアジュバント療法、アジュバント療法、第一選択療法、第二選択療法、または第三選択またはさらに後の選択療法に関する。本明細書にさらに記載のとおりの各症例では、上記がんは、限局性、進行性または転移性であってよく、介入は、疾患の連続に沿った時点で(すなわち、がんの任意のステージで)行われ得る。
【0060】
対象においてがんを処置するために有効である本発明の方法、組合せまたは使用のための処置計画は、対象の病態、年齢、および体重、ならびに対象において抗がん応答を誘導する上記治療の能力などの因子に従って変動し得る。本発明の態様のすべての実施形態が、すべての対象におけるプラスの治療効果の達成において有効ではあり得ないが、スチューデントt検定、chi2検定、MannおよびWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H-test)、Jonckheere-Terpstrat検定およびWilcon on検定などの当技術分野で公知の任意の統計学的検定により決定される、統計学的に有意な数の対象において、プラスの治療効果を達成するはずである。
【0061】
「処置計画」、「投与プロトコル」および「投与計画」という用語は、本発明の組合せにおける各治療剤の用量および投与タイミングを指すために互換的に使用され得る。
【0062】
「寛解すること」は、組合せを投与しない場合と比較した場合に、本明細書に記載の組合せで処置した場合の1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。「寛解すること」には、症状の持続期間の短縮または減少も含まれる。
【0063】
本明細書で使用される場合、化合物または医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」は、疾患の発生中に疾患、その合併症および中間病的表現型が提示する生化学的、組織学的および/または行動症状を含めて、任意の1つまたは複数の有利なまたは所望の転帰に影響を及ぼすために十分な量である。
【0064】
治療的使用では、「治療有効量」は、処置される障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度軽減するであろう、投与される化合物または組合せの量を指す。がんの処置に関連して、治療有効量は、(1)腫瘍のサイズを縮小する、(2)腫瘍転位を阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(3)腫瘍増殖または腫瘍侵襲性をある程度阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(4)がんと関連する1つまたは複数の徴候または症状をある程度軽減する(または、好ましくは、除去する)、(5)疾患を処置するために必要とされる他の薬物の用量を減少させる、および/または(6)別の薬物の効果を強化する、および/または(7)患者において疾患の進行を遅延させる効果を有する量を指す。
【0065】
有効な投薬量を、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効な投薬量は、直接的に、または間接的に予防的または治療的処置を達成するために十分な量である。臨床の状況で理解されるとおり、薬物、化合物または医薬組成物の有効な投薬を、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成してもよいし、または達成しなくてもよい。
【0066】
がんを有すると診断されているか、またはその疑いのある対象に適用される場合の「腫瘍」は、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織腫瘤を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞または液体領域を通常は含まない組織の異常な増殖または腫瘤である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は一般的に、固形腫瘍を形成しない(米国国立癌研究所、Dictionary of Cancer Terms)。
【0067】
「腫瘍量(Tumor burden)」または「腫瘍量(tumor load)」は、身体中に分散している腫瘍物質の合計量を指す。腫瘍量は、リンパ節および骨髄を含む身体中のがん細胞の合計数または腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍量は、例えば、カリパスを使用する、または身体では、イメージング技術、例えば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影法(CT)、または磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを使用するなどの、当技術分野で公知の様々な方法により決定することができる。
【0068】
「腫瘍サイズ」という用語は、腫瘍の長さおよび幅として測定され得る腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍サイズは、例えば、対象から除去したら腫瘍の寸法を測定することにより、例えば、カリパスを使用する、または身体ではイメージング技術、例えば、骨スキャン、超音波、CRまたはMRIスキャンを使用するなどの、当技術分野で公知の様々な方法により決定することができる。
【0069】
「相加的」という用語は、2つの化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの結果が、個々でのそれぞれの化合物、構成成分、または標的薬剤の合計以下であることを意味するために使用される。
【0070】
「相乗効果」または「相乗的」という用語は、2つの化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの結果が、個々でのそれぞれの化合物、構成成分、または標的薬剤の合計を上回ることを意味するために使用される。処置される疾患、状態または障害におけるこの改善は「相乗」効果であり、相乗効果をもたらす組合せは、相乗的組合せと称され得る。「相乗的量」は、「相乗的」と本明細書において定義されるとおりの相乗効果をもたらす2つの化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの量である。相乗効果は、例えば、Sigmoid-Emax式(Holford,N.H.G. and Scheiner,L.B.、Clin.Pharmacokinet.6:429~453(1981))、Loewe相加性の式(Loewe,S. and Muischnek,H.、Arch.Exp.Pathol.Pharmacol.114:313~326(1926))およびメジアン効果式(median-effect equation)(Chou,T.C. and Talalay,P.、Adv.Enzyme Regul.22:27~55(1984))などの適切な方法を使用して計算することができる。上で言及した各式を実験データに適用して、薬物組合せの効果の評定を援助する対応グラフを生成することができる。上で言及した式と関連する対応グラフは、それぞれ濃度-効果曲線、アイソボログラム曲線および併用指数曲線である。Ma & Motsinger-Reif、Current Method for Quantifying Drug Synergism,Proteom.Bioinform(2019)1(2):43~48;Tangら、What is Synergy? The Saariselka Agreement Revisited、Front Pharmacol.(2015)Article 181、6:1~5。
【0071】
いくつかのCDK4/6阻害薬が承認されているか、または現在、臨床開発中であり、パルボシクリブ(PD-0332991またはPF-00080665としても公知)、リボシクリブ(LEE-011としても公知)、アベマシクリブ(LY2835219としても公知)、レロシクリブ(G1T38としても公知)およびトリラシクリブ(GTI128としても公知)を含む。そのような化合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、本発明においてCDK4/6阻害薬として有用であり得る。CDK4/6阻害薬は、CDKおよび他のプロテインキナーゼの阻害を測定するためにルーチン的に使用される標準的なアッセイを使用して同定することができる。例えば、Fryら、Cell cycle and biochemical effects of PD 0183812. A potent inhibitor of the cyclin D-dependent kinases CDK4 and CDK6、J.Biol.Chem.(2001)、276:16617~16623を参照されたい。
【0072】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ、レロシクリブおよびトリラシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの他の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、リボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの他の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、アベマシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれのさらに他の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、レロシクリブもしくはトリラシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0073】
パルボシクリブ、または6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン(PD-0332991とも称される)は、CDK4およびCDK6の効力のある選択的な阻害薬であり、構造:
【0074】
【0075】
パルボシクリブは、WHO Drug Information、Vol.27、No.2、page 172(2013)に記載されている。パルボシクリブならびにその薬学的に許容できる塩および製剤は、国際公開WO2003/062236および米国特許第6,936,612号、同第7,456,168号および同第RE47,739号;国際公開WO2005/005426および米国特許第7,345,171号および同第7,863,278号;国際公開WO2008/032157および米国特許第7,781,583号;国際公開WO2014/128588および米国特許出願公開第2018/0065964号;ならびに国際公開WO2016/193860および米国特許出願公開第2018/0207100号に開示されている。上述の参照文献のそれぞれの内容はそれらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
リボシクリブは、WHO Drug Information、Vol.29、No.1、108~109頁(2015)に記載されている。アベマシクリブは、WHO Drug Information、Vol.29、No.3、386頁(2015)に記載されている。トリラシクリブは、WHO Drug Information、Vol.32、No.1、176~177頁(2018)に記載されている。レロシクリブは、WHO Drug Information、Vol.32、No.4、608頁(2018)に記載されている。
【0077】
式(I)のCDK2阻害薬、またはCDK4/6阻害薬に対する本明細書におけるすべての言及は、(化学的に実行可能な程度に)その薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物および複合体、ならびにその薬学的に許容できる塩の溶媒和物、水和物および複合体に対する言及を含み、その非晶質および多形体、立体異性体、および同位体標識されたバージョンを含む。
【0078】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる塩」という用語は、親化合物の生物学的有効性および特性を維持している塩を指す。「薬学的に許容できる塩」という語句は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、本明細書に開示の式の化合物中に存在し得る酸性または塩基性基の塩を含む。例えば、もともと塩基性である本発明の化合物は、様々な無機および有機酸と共に広範囲の様々な塩を形成することができる。そのような塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容できるアニオンを含有する塩を形成するものである。一および二酸付加塩に適したアニオンの例には、これに限定されないが、酢酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、デカン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩(edislyate)、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオドード(triethiodode)、および吉草酸塩が含まれる。別法では、もともと酸性である化合物は、非毒性塩基塩を形成する様々な薬理学的に許容できるカチオンと共に塩基塩を形成し得る。そのような非毒性塩基塩には、これに限定されないが、アルカリ金属カチオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)などのそのような薬理学的に許容できるカチオンに由来するもの、N-メチルグルカミン-(メグルミン)などのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、ならびに薬学的に許容できる有機アミンの低級アルカノールアンモニウムおよび他の塩基塩が含まれる。そのような塩に適したカチオンの例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、マグネシウム、ヒスチジン、リチウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トリエチルアミンおよび亜鉛を含むアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩および他のカチオンが含まれる。塩は、従来の技術により調製することができる。酸および塩基の半塩、例えば、半硫酸塩および半カルシウム塩も形成することができる。適切な塩についての概説については、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH、2002)を参照されたい。薬学的に許容できる塩を作製するための方法は、当業者に知られている。
【0079】
治療方法、組合せ、使用
本発明は、がんを処置するために有用であり得る方法、組合せおよび使用を提供する。本明細書において提供される一部の実施形態は、次の効果の1つまたは複数をもたらす:(1)がん細胞増殖を阻害する;(2)がん細胞侵襲性を阻害する;(3)がん細胞のアポトーシスを誘導する;(4)がん細胞転移を阻害する;(5)血管新生を阻害する;または(6)がん処置に関連する1つまたは複数の抵抗性機構を克服する。
【0080】
本発明は、式(I)の化合物:
【0081】
【化9】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]
を含む、方法、組合せおよび使用を提供する。
【0082】
本明細書において挙げられる各事例では、「式(I)の化合物」に対する言及は、「式(I)のCDK2阻害薬」により置き換えられ得る。
【0083】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0084】
【化10】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)ある量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0085】
この態様の一部の実施形態では、本発明は、上記対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与することをさらに含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0086】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0087】
【化11】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0088】
この態様の一部の実施形態では、上記組合せはさらに、(c)追加の抗がん剤を含み、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である。
【0089】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0090】
【化12】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0091】
この態様の一部の実施形態では、使用のための上記組合せはさらに、(c)追加の抗がん剤を含む。
【0092】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0093】
【化13】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せの使用であって、(a)および(b)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0094】
この態様の一部の実施形態では、上記組合せはさらに、(c)追加の抗がん剤を含み、(a)、(b)および(c)の組合せの使用は、がんの処置において有効である。
【0095】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、
構造:
【0096】
【化14】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A);
構造:
【0097】
【化15】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート(化合物B);および
構造:
【0098】
【化16】
を有する
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(化合物C);
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される。
【0099】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、
構造:
【0100】
【化17】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)である。
【0101】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。一部のそのような実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブである。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。
【0102】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)であり、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0103】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)ある量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0104】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)ある量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と、
(c)ある量の追加の抗がん剤と
を投与することを含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0105】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)ある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0106】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)ある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と、
(c)ある量の追加の抗がん剤と
を投与することを含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0107】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0108】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と、
(c)追加の抗がん剤と
を含む組合せであって、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0109】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0110】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と、
(c)追加の抗がん剤と
を含む組合せであって、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0111】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0112】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と、
(c)追加の抗がん剤と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0113】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0114】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と、
(c)追加の抗がん剤と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0115】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せの使用であって、(a)および(b)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0116】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と、
(c)追加の抗がん剤と
を含む組合せの使用であって、(a)、(b)および(c)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0117】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と
を含む組合せの使用であって、(a)および(b)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0118】
別の態様では、本発明は、
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、
(b)パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と、
(c)追加の抗がん剤と
を含む組合せの使用であって、(a)、(b)および(c)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0119】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、子宮癌、結腸癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
【0120】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部のそのような実施形態では、上記がんは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。
【0121】
サイクリンE優性がんの例には、これに限定されないが、卵巣癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、子宮癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸癌、前立腺癌または膵臓癌が含まれる。
【0122】
網膜芽細胞腫遺伝子産物、RBが、網膜芽細胞腫、骨肉腫および小細胞肺癌(SCLC)、前立腺癌、子宮癌、膀胱癌、肝臓癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、子宮頸癌、神経膠芽腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、リンパ腫、乳癌、および頭頚部癌などのいくつかの腫瘍型において変異または欠失していることがある。ヒトがんでは、RBの機能は、結合タンパク質(例えば、子宮頸癌ではヒトパピローマウイルス-E7タンパク質;Ishiji,T、2000、J Dermatol.、27:73~86)による中和またはそのリン酸化を最終的に担う経路の調節解除により破壊され得る。
【0123】
「RB経路」では、これに限定されないが、経路内の網膜芽細胞腫タンパク質(RB)、ならびにCDK、E2f、非定型プロテインキナーゼC、およびSkp2を含む他のタンパク質/タンパク質ファミリーを含む分子シグナル伝達の経路全体が意味されている。RB経路の不活性化は多くの場合に、p16INK4a、サイクリンD1、およびCDK4の混乱から生じる。
【0124】
「RB+」、「RB+」または「RB陽性」という用語は、検出可能量の機能性RBタンパク質を発現する細胞を説明するために使用され得る。RB陽性には、野生型および非変異型RBタンパク質が含まれる。野生型RB(RB-WT)は、対応する集団では正常に存在し、かつこのタンパク質に現在割り当てられている機能を有するRBタンパク質の形態を意味すると一般的に理解されている。RB陽性は、機能性RB遺伝子を含む細胞であり得る。RB陽性である細胞は、検出可能なRBタンパク質機能をコードし得る細胞でもあり得る。
【0125】
「RB-」、「RBマイナス」、「RB欠失」または「RB陰性」という用語は、検出可能な量の機能性RBタンパク質を産生しない細胞を含む、RBの機能が破壊されているいくつかの種類の細胞を説明している。RB陰性である細胞は、機能性RB遺伝子を含まない細胞であり得る。RB陰性である細胞は、RBタンパク質をコードし得るが、そのタンパク質が適正に機能しない細胞でもあり得る。
【0126】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、網膜芽細胞腫野生型(RB WT)として特徴づけられる。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、RB陽性として特徴づけられる。RB陽性腫瘍は、少なくとも一部の機能性網膜芽細胞腫遺伝子を含む。
【0127】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、RB陰性として特徴づけられる。RB陰性がんは、ミスセンス変異(すなわち、間違ったアミノ酸をコードする)またはノンセンス変異(すなわち、停止コドンをコードする)をコードし得る機能欠損変異により特徴づけられ得る。別法では、RB陰性がんは、網膜芽細胞腫遺伝子の全部または一部の欠失により特徴づけられ得る。
【0128】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、進行性または転移性癌である。
【0129】
本明細書に記載の方法、組合せ、および使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、難治性であり、すなわち、上記がんは、治療剤またはクラス(標準治療剤またはクラスを含む)での処置に全く応答しないか、または当初は応答するが、非常に短期間で再び増殖し始める。
【0130】
本明細書に記載の方法、組合せ、使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、治療剤またはクラス(標準治療剤またはクラスを含む)に対して抵抗性である。本明細書に記載の方法、組合せ、使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、治療剤またはクラス(標準治療剤またはクラスを含む)に対する先天性または後天性抵抗性により特徴づけられる。
【0131】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、上記CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩とを、連続して、同期で、または同時に投与する。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、化合物Aと、および上記CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩とを連続して、同期で、または同時に投与する。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、化合物Aと、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0132】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の好ましい実施形態では、上記がんは、本明細書にさらに記載のとおりの乳癌である。本明細書に記載の乳癌サブタイプのそれぞれの一部の実施形態では、上記乳癌は、進行性または転移性乳癌である。
【0133】
一部の実施形態では、上記乳癌は、ホルモン受容体陽性(HR+)である、すなわち、上記乳癌は、エストロゲン受容体陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体陽性(PR+)である。一部の実施形態では、上記乳癌は、ホルモン受容体陰性(HR-)である、すなわち、上記乳癌は、エストロゲン受容体陰性(ER-)およびプロゲステロン受容体陰性(PR-)である。
【0134】
上記がんがHR+乳癌である一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用はさらに、追加の抗がん剤を含み、ここで、上記追加の抗がん剤は内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERDまたはSERMである。好ましい実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0135】
一部の実施形態では、上記乳癌は、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)である。一部の実施形態では、上記乳癌は、ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)である。
【0136】
一部の実施形態では、上記乳癌は、BRCA1またはBRCA2遺伝子と関連する。
【0137】
好ましい実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、上記HR+/HER2-乳癌は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して難治性である。一部のそのような実施形態では、上記HR+/HER2-乳癌は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部の実施形態では、上記HR+/HER2-乳癌は、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、上記HR+/HER2-乳癌は、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。上述のそれぞれの一部の実施形態では、上記HR+/HER2-乳癌は、進行性または転移性HR+/HER2-乳癌である。
【0138】
一部の実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2+乳癌である。他の実施形態では、上記乳癌は、HR-/HER2+乳癌である。上記乳癌がHER2+である一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用はさらに、追加の抗がん剤を含み、ここで、上記追加の抗がん剤は、HER2-標的薬(例えば、トラスツズマブエムタンシン、fam-トラスツズマブデルクステカン、ペルツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブまたはツカチニブ)、またはPI3K/AKT分子経路を標的とする薬剤(例えば、イパタセルチブ)である。
【0139】
他の実施形態では、上記乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)であり、すなわち、上記乳癌は、ER-、PR-およびHER2-である。一部の実施形態では、上記TNBCは、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して難治性である。一部の実施形態では、上記TNBCは、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部の実施形態では、上記TNBCは、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部のそのような実施形態では、上記TNBCは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、上記TNBCは、局所再発性/進行性または転移性TNBCである。一部の実施形態では、上記TNBCは、進行性または転移性TNBCである。
【0140】
上述のそれぞれの一部の実施形態では、上記乳癌は、1種または複数の標準治療剤での処置に対して難治性である。上述のそれぞれの一部の実施形態では、上述の乳癌は、1種または複数の標準治療剤での処置に対して抵抗性である。
【0141】
一部のそのような実施形態では、上記乳癌は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの内分泌治療剤での処置に対して難治性または抵抗性である。一部の実施形態では、上記乳癌は、CDK4/6阻害薬での処置に対して難治性または抵抗性である。例えば、一部の実施形態では、上記乳癌は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩での処置に対して難治性または抵抗性である。他の実施形態では、上記乳癌は、白金製剤、タキサン、アンスラサイクリンまたは代謝拮抗薬などの抗新生物化学療法薬での処置での処置に対して難治性または抵抗性である、またはそれらでの処置に対して進行している。
【0142】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、肺癌である。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性肺癌である。
【0143】
一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、網膜芽細胞腫(RB)機能の喪失により特徴づけられる。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、網膜芽細胞腫(RB)機能の喪失により特徴づけられる進行性または転移性SCLCである。
【0144】
他のそのような実施形態では、上記肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記NSCLCは、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、上記NSCLCは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部のそのような実施形態では、上記NSCLCは、進行性または転移性NSCLCである。一部のそのような実施形態では、上記NSCLCは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる進行性または転移性NSCLCである。
【0145】
一部の実施形態では、上記がんは、SCLCまたはNSCLCを含む肺癌であり、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用はさらに、追加の抗がん剤を含む。
【0146】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌(FTC)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、上皮性卵巣癌(EOC)である。一部のそのような実施形態では、上記腹膜癌は、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、上記がんは、上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌腫症(PPC)またはファロピウス管癌(FTC)である。一部の実施形態では、上記卵巣癌は、持続性、難治性または再発性卵巣癌である。一部の実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌である。一部のそのような実施形態では、上記がんは、進行性または転移性卵巣癌である。一部のそのような実施形態では、上記がんは、白金抵抗性進行性または転移性卵巣癌である。一部のそのような実施形態では、上記がんは、進行性または転移性EOC、PPCまたはFTCである。一部のそのような実施形態では、上記がんは、白金抵抗性進行性または転移性EOC、PPCまたはFTCである。
【0147】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれはさらに、追加の抗がん剤を含む。一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、そのがんの種類のための標準治療剤である。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれはさらに、追加の抗がん剤を含み、ここで、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、上記CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、上記追加の抗がん剤とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0148】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、乳癌(HR+またはHR+/HER2-乳癌を含む)であり、上記方法、組合せおよび使用はさらに、追加の抗がん剤を含む。一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部の実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬である。一部のそのような実施形態では、上記アロマターゼ阻害薬は、レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンからなる群から選択される。一部の好ましい実施形態では、上記アロマターゼ阻害薬は、レトロゾールである。一部の実施形態では、上記内分泌治療剤は、SERDである。一部のそのような実施形態では、上記SERDは、フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health)、SAR439859(Sanofi)、RG6171(Roche)、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1治療薬)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Lilly)、およびSHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)からなる群から選択される。一部の好ましい実施形態では、上記SERDは、フルベストラントである。一部の実施形態では、上記内分泌治療剤は、SERMである。一部のそのような実施形態では、上記SERMは、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェンおよびアフィモキシフェンからなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、上記SERMは、タモキシフェンまたはラロキシフェンである。
【0149】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記がんは、乳癌(HR+またはHR+/HER2-乳癌を含む)であり、上記方法、組合せおよび使用はさらに、追加の抗がん剤を組み、ここで、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)であり、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩であり、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤であり、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0150】
医薬組成物、医薬品およびキット
本発明はさらに、式(I)の化合物:
【0151】
【化18】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]
を含む医薬組成物、医薬品およびキットを提供する。
【0152】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む医薬組成物を提供する。この態様の一部の実施形態では、上記医薬組成物はさらに、追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)を含む。
【0153】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む第1の医薬組成物、およびCDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む第2の医薬組成物を提供し、ここで、上記第1および第2の医薬組成物は連続して、同期で、または同時に投与される。この態様の一部の実施形態はさらに、追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む第3の医薬組成物を含み、ここで、第1、第2および第3の医薬組成物は連続して、同期で、または同時に投与される。
【0154】
別の態様では、本発明は、対象においてがんを処置するための医薬品の製造において使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩とを含む組合せを提供する。別の態様では、本発明は、対象においてがんを処置するための医薬品の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩とを含む組合せの使用を提供する。これらの態様の一部の実施形態では、上記組合せはさらに、医薬品の製造において使用するための追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)を含む。
【0155】
別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供し、ここで、上記医薬品は、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用するために適合されている。別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供し、ここで、上記医薬品は、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、追加の抗がん剤、例えば、内分泌治療剤と組み合わせて使用するために適合されている。別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供し、ここで、上記医薬品は、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用するために適合されている。別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供し、ここで、上記医薬品は、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)と組み合わせて使用するために適合されている。
【0156】
本明細書に記載の医薬組成物および医薬品のそれぞれの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)である。
【0157】
本明細書に記載の医薬組成物および医薬品のそれぞれの好ましい実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0158】
本明細書に記載の医薬組成物および医薬品のそれぞれの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)であり、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0159】
別の態様では、本発明は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含むキットを提供し、ここで、上記第1の容器は、本明細書にさらに記載のとおりの式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;上記第2の容器は、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;上記添付文書は、上記医薬品を使用して、対象においてがんを処置するための指示書を含む。別の態様では、本発明は、第1の容器、第2の容器、第3の容器、および添付文書を含むキットを提供し、ここで、上記第1の容器は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;上記第2の容器は、CDK4/6阻害薬またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;上記第3の容器は、追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)の少なくとも1つの用量を含み;上記添付文書は、上記医薬品を使用して、対象においてがんを処置するための指示書を含む。
【0160】
本明細書におけるキットの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)である。本明細書におけるキットの好ましい実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0161】
本明細書におけるキットの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)であり、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0162】
追加の抗がん剤を含む医薬組成物、医薬品、およびキットの実施形態では、上記追加の抗がん剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0163】
本明細書に記載の医薬組成物、医薬品およびキットは、本発明の方法、組合せおよび使用に関して上記したがんを処置するために有用であり得る。一部の実施形態では、上記医薬組成物、医薬品およびキットは、乳癌(HR+/HER2-、HR+/HER2+、HR-/HER2+またはTNBCを含む)、肺癌(SCLCまたはNSCLCを含む)、卵巣癌(EOCを含む)、腹膜癌(PPCを含む)、ファロピウス管癌(FTCを含む)、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択されるがんを処置するために有用であり得る。
【0164】
追加の方法および使用
本発明はさらに、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を単一の薬剤として、任意選択で、さらに下記するとおりの追加の抗がん剤との組合せで含む方法および使用を提供する。
【0165】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、がんを処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の化合物Aを投与することを含み、上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される方法を提供する。
【0166】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において肺癌を処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を投与することを含む方法を提供する。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、RB陰性である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性肺癌である。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性NSCLCである。
【0167】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌を処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、上記がんは、卵巣癌である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、上皮性卵巣癌(EOC)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部の実施形態では、上記がんは、腹膜癌である。一部のそのような実施形態では、上記腹膜癌は、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、上記がんは、ファロピウス管癌(FTC)である。
【0168】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において乳癌を処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-進行性または転移性乳癌である。一部の実施形態では、上記乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)である。一部のそのような実施形態では、上記TNBCは、局所再発性、進行性、または転移性TNBCである。上述の一部の実施形態では、上記乳癌は、進行性または転移性であり得るHR+/HER2-乳癌またはTNBCであり、上記対象は、任意の閉経状態の女性または男性である。
【0169】
上述の方法の一部の実施形態では、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を単一の薬剤として投与する。
【0170】
他の実施形態では、上述の方法はさらに、上記対象に、ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を、ある量の追加の抗がん剤と組み合わせて投与することを含み、ここで、化合物Aおよび上記追加の抗がん剤の量が、合わせると、がんの処置において有効である。上記がんが乳癌である一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。好ましい実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0171】
別の態様では、本発明は、がんの処置において使用するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を提供する。一部の実施形態では、本発明は、がんの処置において使用するための化合物Aを提供し、ここで、上記がんは、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
【0172】
別の態様では、本発明は、肺癌の処置において使用するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を提供する。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、RB陰性である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性肺癌である。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性NSCLCである。
【0173】
別の態様では、本発明は、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌の処置において使用するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を提供する。一部の実施形態では、本発明は、卵巣癌の処置において使用するための化合物Aを提供する。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、上皮性卵巣癌(EOC)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部の実施形態では、本発明は、腹膜癌の処置において使用するための化合物Aを提供する。一部のそのような実施形態では、上記腹膜癌は、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、本発明は、ファロピウス管癌(FTC)の処置において使用するための化合物Aを提供する。
【0174】
別の態様では、本発明は、乳癌の処置において使用するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を提供する。一部の実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-進行性または転移性乳癌である。一部の実施形態では、上記乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)である。一部のそのような実施形態では、上記TNBCは、局所再発性、進行性、または転移性TNBCである。上述の一部の実施形態では、上記乳癌は、進行性または転移性であり得るHR+/HER2-乳癌またはTNBCであり、上記対象は、任意の閉経状態の女性または男性である。
【0175】
上述の一部の実施形態では、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を単一の薬剤として使用する。
【0176】
上述の他の実施形態では、本発明は、がんの処置において使用するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)を提供し、ここで、化合物Aを、追加の抗がん剤と組み合わせて投与する。一部のそのような実施形態では、化合物Aおよび上記追加の抗がん剤は、合わせると、がんの処置において有効である。上記がんが乳癌である一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールである。他のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、フルベストラントである。
【0177】
別の態様では、本発明は、がんを処置するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)の使用を提供する。一部の実施形態では、本発明は、がんの処置において使用するための化合物Aを提供し、ここで、上記がんは、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
【0178】
別の態様では、本発明は、肺癌を処置するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)の使用を提供する。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、RB陰性である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性肺癌である。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性NSCLCである。
【0179】
別の態様では、本発明は、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌を処置するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)の使用を提供する。一部の実施形態では、本発明は、卵巣癌を処置するための化合物Aの使用を提供する。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、上皮性卵巣癌(EOC)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部の実施形態では、本発明は、腹膜癌を処置するための化合物Aの使用を提供する。一部のそのような実施形態では、上記腹膜癌は、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、本発明は、ファロピウス管癌(FTC)を処置するための化合物Aの使用を提供する。
【0180】
別の態様では、本発明は、乳癌を処置するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)の使用を提供する。一部の実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-進行性または転移性乳癌である。一部の実施形態では、上記乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)である。一部のそのような実施形態では、上記TNBCは、局所再発性、進行性、または転移性TNBCである。上述の一部の実施形態では、上記乳癌は、進行性または転移性であり得るHR+/HER2-乳癌またはTNBCであり、上記対象は、任意の閉経状態の女性または男性である。
【0181】
上述の一部の実施形態では、本発明は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)の、単一の薬剤としての使用を提供する。
【0182】
上述の他の実施形態では、本発明は、がんを処置するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)の使用を提供し、ここで、化合物Aを、追加の抗がん剤と組み合わせて投与する。一部のそのような実施形態では、化合物Aおよび上記追加の抗がん剤の使用は、合わせると、がんの処置において有効である。上記がんが乳癌である一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールである。他のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、フルベストラントである。
【0183】
本発明はさらに、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を単一の薬剤として、任意選択で、下でさらに記載するとおりの追加の抗がん剤と組み合わせて含む、方法および使用を提供する。
【0184】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象において、がんを処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、がんを処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の、化合物Aと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供し、ここで、上記がんは、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
【0185】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において肺癌を処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、RB陰性である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性肺癌である。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性NSCLCである。
【0186】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌を処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、上記がんは、卵巣癌である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、上皮性卵巣癌(EOC)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部の実施形態では、上記がんは、腹膜癌である。一部のそのような実施形態では、上記腹膜癌は、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、上記がんは、ファロピウス管癌(FTC)である。
【0187】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、乳癌を処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-進行性または転移性乳癌である。一部の実施形態では、上記乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)である。一部のそのような実施形態では、上記TNBCは、局所再発性、進行性、または転移性TNBCである。上述の一部の実施形態では、上記乳癌は、進行性または転移性であり得るHR+/HER2-乳癌またはTNBCであり、上記対象は、任意の閉経状態の女性または男性である。
【0188】
上述の方法の一部の実施形態では、化合物Aと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を単一の薬剤として投与する。
【0189】
上述の方法の他の実施形態では、上記方法はさらに、上記対象に、ある量の追加の抗がん剤を投与することを含み、ここで、化合物Aと薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の量と、追加の抗がん剤の量とは、合わせると、がんの処置において有効である。上記がんが乳癌である一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールである。他のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、フルベストラントである。
【0190】
別の態様では、本発明は、がんの処置において使用するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、がんの処置において使用するための、化合物Aと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供し、ここで、上記がんは、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
【0191】
別の態様では、本発明は、肺癌の処置において使用するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供する。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、RB陰性である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性肺癌である。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性NSCLCである。
【0192】
別の態様では、本発明は、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌の処置において使用するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、卵巣癌の処置において使用するための、化合物Aと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供する。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、上皮性卵巣癌(EOC)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部の実施形態では、本発明は、腹膜癌の処置において使用するための、化合物Aおよび薬学的に許容できる添加剤を含む医薬組成物を提供する。一部のそのような実施形態では、上記腹膜癌は、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、本発明は、ファロピウス管癌(FTC)の処置において使用するための、化合物Aと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0193】
別の態様では、本発明は、乳癌の処置において使用するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-進行性または転移性乳癌である。一部の実施形態では、上記乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)である。一部のそのような実施形態では、上記TNBCは、局所再発性、進行性、または転移性TNBCである。上述の一部の実施形態では、上記乳癌は、進行性または転移性であり得るHR+/HER2-乳癌またはTNBCであり、上記対象は、任意の閉経状態の女性または男性である。
【0194】
上述の一部の実施形態では、本発明は、単一薬剤として使用するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0195】
上述の他の実施形態では、本発明は、がんの処置において使用するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物であって、化合物Aと薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物が、追加の抗がん剤と組み合わせて投与される医薬組成物を提供する。一部のそのような実施形態では、化合物Aと薬学的に許容できる添加剤と上記追加の抗がん剤とを含む医薬組成物は、合わせると、がんの処置において有効である。上記がんが乳癌である一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールである。他のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、フルベストラントである。
【0196】
別の態様では、本発明は、がんを処置するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、本発明は、がんを処置するための、化合物Aと薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供し、ここで、上記がんは、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
【0197】
別の態様では、本発明は、肺癌を処置するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供する。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、上記SCLCは、RB陰性である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。この態様の一部の実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性肺癌である。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、上記肺癌は、進行性または転移性NSCLCである。
【0198】
別の態様では、本発明は、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌を処置するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、本発明は、卵巣癌を処置するための化合物Aと薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供する。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、上皮性卵巣癌(EOC)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌(EOCを含む)である。一部のそのような実施形態では、上記卵巣癌は、白金抵抗性進行性または転移性卵巣癌(EOCを含む)である。一部の実施形態では、本発明は、腹膜癌を処置するための化合物Aと薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供する。一部のそのような実施形態では、上記腹膜癌は、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、本発明は、ファロピウス管癌(FTC)を処置するための化合物Aと薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供する。
【0199】
別の態様では、本発明は、乳癌を処置するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、上記乳癌は、HR+/HER2-進行性または転移性乳癌である。一部の実施形態では、上記乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)である。一部のそのような実施形態では、上記TNBCは、局所再発性、進行性、または転移性TNBCである。上述の一部の実施形態では、上記乳癌は、進行性または転移性であり得るHR+/HER2-乳癌またはTNBCであり、上記対象は、任意の閉経状態の女性または男性である。
【0200】
上述の一部の実施形態では、本発明は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを単一の薬剤として含む医薬組成物の使用を提供する。
【0201】
上述の他の実施形態では、本発明は、がんを処置するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物であって、化合物Aと薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物が追加の抗がん剤と組み合わせて投与される、医薬組成物の使用を提供する。一部のそのような実施形態では、化合物Aと薬学的に許容できる添加剤と追加の抗がん剤とを含む医薬組成物の使用は、合わせると、がんの処置において有効である。上記がんが乳癌である一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、レトロゾールである。他のそのような実施形態では、上記内分泌治療剤は、フルベストラントである。
【0202】
剤形および計画
本発明の方法および併用療法の各治療剤を、単独か、または治療剤と、薬務により1種または複数の薬学的に許容できる担体、添加剤、または希釈剤とを含む医薬品(本明細書では医薬組成物とも称される)においてかのいずれかで投与することができる。
【0203】
本明細書で使用される場合、「組合せ」または「併用療法」という用語は、単独か、または医薬組成物もしくは医薬品の形態においてかのいずれかでの、連続的か、同時か、または同期での本発明の併用療法の各治療剤の投与を指す。
【0204】
本明細書で使用される場合、「連続的な」または「連続的に」という用語は、本発明の併用療法の各治療剤の単独か、または医薬品においてかのいずれかでの順々の投与を指し、ここで、各治療剤を任意の順序で投与することができる。併用療法における治療剤が異なる剤形である、例えば、一方の薬剤が錠剤であり、他方の薬剤が滅菌液体である、および/または薬剤が異なる投与スケジュールで投与される、例えば、一方の薬剤が毎日投与され、第2の薬剤が週1回などのより低い頻度で投与される場合に、連続的な投与は特に有用であり得る。
【0205】
本明細書で使用される場合、「同時に」という用語は、本発明の併用療法における各治療剤の単独か、または別々の医薬品においてかのいずれかでの投与を指し、ここで、第2の治療剤は、第1の治療剤の直後に投与されるが、治療剤は任意の順序で投与され得る。好ましい一実施形態では、上記治療剤は同時に投与される。
【0206】
本明細書で使用される場合、「同期の」という用語は、本発明の併用療法の各治療剤の同じ医薬品中での投与を指す。
【0207】
当業者には理解されるであろうとおり、上記併用療法は、対象に、それらの処置の種々の段階で有用に投与することができる。
【0208】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記併用療法を、以前に処置されていない、すなわち、処置ナイーブである対象に投与する。
【0209】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記併用療法を、生物学的療法薬または化学療法薬での先行する治療後に持続奏功を達成することができていない、すなわち、処置を経験している対象に投与する。
【0210】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、上記併用療法は、腫瘍を除去するための外科手術の前に、またはその後に投与することができ、および/または放射線療法の前に、その間に、またはその後に使用することができ、および/または化学療法の前に、その間に、またはその後に使用することができる。
【0211】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、本発明は、本明細書にさらに記載するとおりのがんを処置するためのそれぞれの場合における、ネオアジュバント療法、アジュバント療法、第一選択、第二選択、または第三選択またはその後の療法に関する。上述の実施形態のそれぞれで、上記がんは、限局性、進行性または転移性であり得、介入を疾患の連続に沿った時点で(すなわち、がんの任意のステージで)行うことができる。
【0212】
ある特定の腫瘍における本明細書に記載の組合せの有効性を、他の承認されているか、または実験的ながん療法、例えば、放射線、外科手術、化学療法薬、標的療法、腫瘍において調節不全となっている他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、およびPD-1またはPD-L1アンタゴニストなどの他の免疫強化薬などと組み合わせることにより強化することができる。本発明の方法、組合せおよび使用はさらに、1種または複数の追加の抗がん剤を含み得る。
【0213】
本発明の組合せの投与は、作用部位への上記化合物の送達を可能にする任意の方法により影響を受け得る。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または輸液を含む)、局所、および直腸投与が含まれる。
【0214】
投与計画を、最適な所望の応答が得られるように調整することができる。例えば、本発明の併用療法の治療剤を、単一のボーラス剤として、経時的に投与される複数回に分割された用量として投与することができるか、または上記用量を、治療状況の急迫により示されるとおりに比例して減少させる、または増加させることができる。投与の容易さ、および投薬量の均一性のために、治療剤を投薬単位形態で製剤化することが特に有利であり得る。投薬単位形態は、本明細書で使用される場合、処置される哺乳動物対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果が生じるように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態の仕様は、(a)化学療法薬および達成される特定の治療または予防効果の特有の特徴、ならびに(b)このような活性化合物を配合して個体の感受性を処置する分野に固有の制約により決定され、それらに直接依存し得る。
【0215】
したがって、当業者は、本明細書において提供する本開示に基づき、用量および投与計画が治療分野で周知の方法に従って調整されることを認めるであろう。すなわち、最大許容用量を容易に確立することができ、対象に検出可能な治療効果を与える有効量を決定することもでき、同様に、上記対象に検出可能な治療効果を与えるための各薬剤の投与についての時間に関する要件を決定することが可能である。したがって、ある特定の用量および投与計画を本明細書において例示するが、これらの例は、本発明を実施する際に対象に提供され得る用量および投与計画を何ら限定するものではない。
【0216】
緩和される状態の種類および重症度と共に投薬量の値は変動し得て、単回または複数の用量を含み得ることに注意されたい。さらに、任意の特定の対象について、具体的な投与計画を、個々の必要性、および上記組成物を投与するか、または投与を管理する人の専門的判断に従って、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質および処方医の裁量などの因子を考慮して、経時的に調整すべきであることは理解されるべきである。本明細書に記載の投薬量範囲は、例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲および実行を制限することを意図したものではない。例えば、用量を、毒性作用および/または臨床検査値などの臨床効果を含み得る薬物動態または薬力学的パラメーターに基づき調整することができる。したがって、本発明は、当業者により決定されるとおりの患者内用量漸増を包含する。化学療法薬を投与するための適切な投薬量および計画の決定は、関連分野において周知であり、本明細書に開示の教示をいったん提供されれば、当業者により達成されることが理解されるであろう。
【0217】
一部の実施形態では、上記併用療法における治療剤の少なくとも1種を、その薬剤が単独治療として同じがんを処置するために使用される場合に典型的に使用されるのと同じ投与計画(用量、頻度、および処置期間)を使用して投与する。他の実施形態では、対象は、併用療法における治療剤の少なくとも1種を、同じ薬剤が単独治療として使用される場合よりも少ない全量で、例えば、少ない用量の治療剤、少ない頻度の投与および/または短い投与期間で投与される。
【0218】
低分子阻害薬の有効な投薬量は典型的には、単回または分割用量で、1日あたり体重1kgあたり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.01~約7g/日、好ましくは約0.02~約2.5g/日、より好ましくは約0.02~約1.0g/日になるであろう。一部の事例では、上記範囲の下限の投薬レベルでも十分すぎることがある一方で、他の症例では、いずれの有害な副作用も惹起することなく、さらに多い用量を使用することができるが、ただし、そのような多い用量は最初は、1日を通じて投与するように複数の小さな用量に分割することを条件とする。上記投薬量を、単回用量(QD)として投与することができるか、または任意選択で、BID(1日2回)、TID(1日3回)またはQID(1日4回)投与に適したより小さな用量に細分することができる。
【0219】
一部の実施形態では、式(I)のCDK2阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を、1日あたり約1mg~約1000mgの1日投薬量で投与する。一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を1日あたり約10mg~約500mgの1日投薬量で投与し、一部の実施形態では、1日あたり約25mg~約300mgの投薬量で投与する。一部の実施形態では、これを、約1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、260、270、275、280、290、300、325、350、375、400、425、450、475または500mgの投薬量で、QD、BID、TIDまたはQIDスケジュールで投与する。
【0220】
ある特定の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物であり、これを1日あたり約25mg~約125mgの1日投薬量で、時には、1日あたり25mg、50mg、75mg、100mg、または125mgの投薬量で経口投与する。他の実施形態では、上記CDK4/6阻害薬は、リボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物であり、これを1日あたり約200mg~約600mgの1日投薬量で経口投与するか;または上記CDK4/6阻害薬は、アベマシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物であり、これを1日あたり約150mg~約400mgの1日投薬量で経口投与する。
【0221】
一部の実施形態では、上記内分泌治療剤はレトロゾールであり、これを2.5mgの用量で毎日経口投与することができる。一部の実施形態では、上記内分泌治療剤は、フルベストラントであり、これを1回または2回の注射で、それぞれ250mgまたは500mgの用量で、1カ月目の1、15、29日目に、次いで、その後は毎月1回、筋肉内投与することができる。
【0222】
投与もしくは投与計画の繰り返し、または併用療法に含まれる各化合物での投与もしくは投与計画の調整を、所望の処置を達成するために必要であれば行うことができる。「断続的投与スケジュール」は、本明細書で使用される場合、投与中断期間、例えば、無処置日を含む投与または投与計画を指す。処置サイクル間に7日間の処置中断を伴う14または21日間の処置サイクルの繰り返しは、断続的投与スケジュールの一例である。2または3週間の処置および1週間の無処置を含むそのようなスケジュールは時には、2/1週または3/1週処置サイクルとそれぞれ称される。別法では、断続的投与は、5日間の処置および2日間の無処置を含む7日間の処置サイクルを含み得る。
【0223】
「連続投与スケジュール」は、本明細書で使用される場合、投与の中断を含まない、例えば、無処置日を含まない投与または投与計画である。処置サイクル間に投与の中断を含まない21または28日間の処置サイクルの繰り返しが、連続投与スケジュールの一例である。
【0224】
一部の実施形態では、式(I)の化合物および上記CDK4/6阻害薬を断続的投与スケジュールで投与する。他の実施形態では、式(I)の化合物および上記CDK4/6を連続投与スケジュールで投与する。
【0225】
さらに他の実施形態では、式(I)の化合物および上記CDK4/6のうちの一方を、断続的投与スケジュール(例えば、2/1週または3/1週スケジュール)で投与し、他方を、連続投与スケジュールで投与する。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物を断続的投与スケジュールで投与し、上記CDK4/6阻害薬を連続投与スケジュールで投与する。他のそのような実施形態では、式(I)の化合物を連続投与スケジュールで投与し、上記CDK4/6阻害薬を断続的投与スケジュールで投与する。
【0226】
本発明の一部の実施形態では、式(I)の化合物および上記CDK4/6阻害薬を、上記がんの処置において、合わせると有効である量で投与する。
【0227】
本発明の一部の実施形態では、式(I)の化合物および上記CDK4/6阻害薬を、合わせると相乗的である量で投与する。
【0228】
本発明の一部の実施形態では、式(I)の化合物および上記CDK4/6阻害薬を、合わせると相加的である量で投与する。
【0229】
医薬組成物および投与経路
「医薬組成物」は、活性成分としての本明細書に記載の治療剤、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグの1種または複数と、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または添加剤との混合物を指す。一部の実施形態では、上記医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または添加剤を含む。
【0230】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」は、生体に対して有意な刺激をもたらさず、かつ活性化合物または治療剤の生物学的活性および特性を排除しない担体または希釈剤を指す。
【0231】
薬学的に許容できる担体は、任意の従来の薬学的担体または添加剤を含み得る。担体および/または添加剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する添加剤の作用、ならびに剤形の性質などの因子に大きく依存することとなる。
【0232】
適切な薬学的担体には、不活性な希釈剤または増量剤、水、および様々な有機溶媒(水和物および溶媒和物など)が含まれる。医薬組成物は、所望の場合には、香味剤、結合剤、添加剤などの追加の成分を含有し得る。したがって、経口投与では、クエン酸などの様々な添加剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸およびある特定の複雑ケイ酸塩などの様々な崩壊剤と、ならびにスクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの結合剤と一緒に使用することができる。限定ではないが、添加剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン種、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤が多くの場合に、製錠の目的のために有用である。同様の種類の固体組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において使用することもできる。したがって、物質の非限定的例には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。経口投与のために水性懸濁剤またはエリキシル剤が望ましい場合、その中の活性化合物を、様々な甘味剤または香味剤、着色剤または色素および、所望の場合には、乳化剤または懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組合せなどの希釈剤と一緒に合わせることができる。
【0233】
上記医薬組成物は、例えば、経口投与では錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、液剤もしくは懸濁剤として、非経口注射では滅菌溶液、懸濁剤もしくは乳剤として、局所投与では軟膏剤もしくはクリーム剤として、または直腸投与では坐剤として適した形態であり得る。
【0234】
例示的な非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が含まれる。そのような剤形は、所望の場合には、適切に緩衝されていてよい。
【0235】
上記医薬組成物は、正確な量の単回投与に適した単位剤形であってよい。
【0236】
本発明の併用療法の治療剤を送達するために適した医薬組成物、およびそれらを調製する方法は、当業者には容易に分かるであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、その開示が全体で、参照により本明細書に組み込まれる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見い出すことができる。
【0237】
本発明の併用療法の治療剤は、経口投与することができる。経口投与は、上記治療剤が消化管に入るような嚥下を伴ってもよいし、または上記治療剤が口から直接、血流に入る頬側もしくは舌下投与を使用してもよい。
【0238】
経口投与に適している製剤には、錠剤などの固体製剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、チューイング剤、マルチ微粒子およびナノ微粒子、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤(粘膜粘着剤を含む)、卵形剤、噴霧剤ならびに液体製剤が含まれる。
【0239】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質カプセル剤または硬質カプセル剤中の充填剤として使用することもでき、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切なオイル、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体の復元により、例えばサシェから調製することもできる。
【0240】
本発明の併用療法の治療剤はまた、その開示がその全体で参照により本明細書に組み込まれるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986、Liang and Chen (2001)に記載されているものなどの急速溶解、急速分解剤形で使用することができる。
【0241】
錠剤剤形では、上記治療剤は、剤形の1重量%~80重量%、より典型的には剤形の5重量%~60重量%を構成していてよい。活性薬剤に加えて、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが包含される。一般に、上記崩壊剤は、剤形の1重量%~25重量%、好ましくは5重量%~20重量%を構成し得る。
【0242】
結合剤を一般に使用して、錠剤製剤に粘着性を付与する。適切な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが包含される。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有してよい。
【0243】
錠剤はまた任意選択で、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を包含してよい。存在する場合には、界面活性剤は典型的には、錠剤の0.2重量%~5重量%の量であり、流動促進剤は、典型的には、錠剤の0.2重量%~1重量%の量である。
【0244】
錠剤はまた、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤を含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%の量で存在する。
【0245】
他の従来の成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤、防腐剤、および矯味剤が包含される。
【0246】
例示的な錠剤は、活性薬剤約80重量%まで、結合剤約10重量%~約90重量%、希釈剤約0重量%~約85重量%、崩壊剤約2重量%~約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%~約10重量%を含有し得る。
【0247】
錠剤ブレンドを、直接か、ローラーによって圧縮して、錠剤を形成してよい。別法では、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を湿式、乾式、もしくは溶融造粒するか、溶融凝固させるか、または押し出し、その後に錠剤化してよい。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていてもよいか、もしくはコーティングされていなくてもよく、またはカプセル封入されていてもよい。
【0248】
錠剤の製剤化は、その開示がその全体で参照により本明細書に組み込まれる“Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol. 1”、H. Lieberman and L. Lachman、Marcel Dekker,N.Y.、N.Y.1980(ISBN 0-8247-6918-X)において詳細に論じられている。
【0249】
経口投与するための固体製剤を、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が包含される。
【0250】
適切な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液および浸透性コーティングされた粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On-line、25(2)、1~14(2001)において見出すことができる。制御放出を達成するためにチューインガムを使用することは、WO00/35298に記載されている。これらの参照文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0251】
本明細書に記載のキットは、異なる剤形、例えば、経口および非経口を投与するために、異なる投薬間隔で別々の組成物を投与するために、または別々の組成物を相互に用量決定するために特に適し得る。服薬遵守を助けるために、上記キットは典型的には、投与指示書を含み、メモリーエイドを装備していてよい。上記キットはさらに、希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジなどの医薬品の投与において有用であり得る他の材料を含んでよい。
【0252】
追加の抗がん剤
本発明の方法、組合せおよび使用は加えて、下記の抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬または抗新生物薬などの1種または複数の追加の抗がん剤を含んでもよく、ここで、上記量が、合わせると、がんの処置において有効である。本発明の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、上記追加の抗がん剤は、緩和ケア薬を含み得る。追加の抗がん剤には、低分子治療薬およびその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物、治療用抗体、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、ヘテロ-二機能性タンパク質分解薬(例えば、タンパク質分解標的キメラまたはPROTAC)、またはアンチセンス分子が含まれ得る。
【0253】
一部の実施形態では、本発明の方法、組合せおよび使用はさらに、次から選択される1種または複数の追加の抗がん剤を含む:
抗血管新生薬には、例えば、VEGF阻害薬、VEGFR阻害薬、TIE-2阻害薬、PDGFR阻害薬、アンジオポエチン阻害薬、PKCβ阻害薬、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害薬、インテグリン(アルファ-v/ベータ-3)、MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害薬、およびMMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害薬が含まれる。
【0254】
シグナル伝達阻害薬には、例えば、キナーゼ阻害薬(例えば、チロシンキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼまたはサイクリン依存性キナーゼの阻害薬)、プロテアソーム阻害薬、PI3K/AKT/mTOR経路阻害薬、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1および2(IDH1およびIDH2)阻害薬、B細胞リンパ腫2(BCL2)阻害薬、ニューロトロフィン受容体キナーゼ(NTRK)阻害薬、トランスフェクション中再構成(RET)阻害薬、Notch阻害薬、PARP阻害薬、ヘッジホッグ経路阻害薬、および核外輸送の選択的阻害薬(SINE)が含まれる。
【0255】
シグナル伝達阻害薬の例には、これに限定されないが:アカラブルチニブ、アファチニブ、アレクチニブ、アルペリシブ、アキシチニブ、ビニメチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、カルフィルゾミブ、セリチニブ、コビメチニブ、コパンリシブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、デュベリシブ、エナシデニブ、エンコラフェニブ、エントレクチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ、グラスデギブ、イブルチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、イパタセルチブ、イボシデニブ、イキサゾミブ、ラパチニブ、ラロトレクチニブ、レンバチニブ、ロルラチニブ、ミドスタウリン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニラパリブ、オラパリブ、オシメルチニブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルカパリブ、ルクソリチニブ、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タラゾパリブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラックス、およびビスモデギブ、ならびにそれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物が含まれる。
【0256】
抗新生物薬には、例えば、アルキル化薬、白金配位複合体、細胞傷害性抗生物質、代謝拮抗薬、生物応答調節薬、ヒストン脱アセチル化(HDAC)阻害薬、ホルモン薬、モノクローナル抗体、成長因子阻害薬、タキサン、トポイソメラーゼ阻害薬、ビンカアルカロイドおよび多種の薬剤が含まれる。
【0257】
アルキル化薬には、アルトレタミン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロフォスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、チオテパ、およびトラベクテジンが含まれる。
【0258】
白金配位複合体には、カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンが含まれる。
【0259】
細胞傷害性抗生物質には、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、およびバルルビシンが含まれる。
【0260】
代謝拮抗薬には、メトトレキサート、ペメトレキセド、プララトレキサート、およびトリメトレキサートなどの抗葉酸薬;アザチオプリン、クラドリビン、フルダラビン、メルカプトプリン、およびチオグアニンなどのプリン類似体;ならびにアザシチジン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、およびトリフルリジン/チプラシルなどのピリミジン類似体が含まれる。
【0261】
生物応答調節薬には、アルデスロイキン(IL-2)、デニロイキン-ディフティトックス、およびインターフェロンガンマが含まれる。
【0262】
ヒストンデアセチラーゼ阻害薬には、ベリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、およびボリノスタットが含まれる。
【0263】
内分泌治療剤(すなわち、ホルモン療法剤)には、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体およびペプチドホルモンが含まれる。抗エストロゲンの例には、レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害薬;フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health/Menarini)、アムセネストラント(SAR439859、Sanofi)、ギレデストラント(GDC9545、Roche)、RG6171(Roche)、カミゼストラント(AZD9833、AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Eli Lilly)、SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)などのSERD;ならびにタモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、アフィモキシフェンなどのSERMが含まれる。GnRH類似体の例には、デガレリクス、ゴセレリン、ヒストレリン、ロイプロリド、およびトリプトレリンが含まれる。ペプチドホルモンの例には、ランレオチド、オクトレオチド、およびパシレオチドが含まれる。抗アンドロゲンの例には、アビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、シプロテロン、エンザルタミド、フルタミド、およびニルタミド、ならびにそれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物が含まれる。
【0264】
モノクローナル抗体には、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、セミプリマブ、セツキシマブ、ダラツムマブ、ジヌツキシマブ、デュルバルマブ、エロツズマブ、ゲムツズマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブパスドトックス、ネシツムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、オララツマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、およびトラスツズマブが含まれる。
【0265】
タキサンには、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセルおよびパクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤が含まれる。
【0266】
トポイソメラーゼ阻害薬には、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、およびトポテカンが含まれる。
【0267】
ビンカアルカロイドには、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、およびその薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0268】
多種の抗新生物薬には、アスパラギナーゼ(ペグアスパラガーゼ)、ベキサロテン、エリブリン、エベロリムス、ヒドロキシ尿素、イキサベピロン、レナリドマイド、ミトタン、オマセタキシン、ポマリドミド、タグラクソフスプ、テロトリスタット、テムシロリムス、サリドマイド、およびベネトクラックスが含まれる。
【0269】
一部の実施形態では、追加の抗がん剤は、アビラテロン酢酸塩;アカラブルチニブ;アド-トラスツズマブエムタンシン;アファチニブ二マレイン酸塩;アフィモキシフェン;アルデスロイキン;アレクチニブ;アレムツズマブ;アルペリシブ;アミフォスチン;アナストロゾール;アパルタミド;アプレピタント;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ-エルウィニア-クリサンテミ(erwinia chrysanthemi);アテゾリズマブ;アバプリチニブ;アベルマブ;アキシカブタゲン-シロルユーセル;アキシチニブ;アザシチジン;AZD9833(AstraZeneca);AZD9496(AstraZeneca);バゼドキシフェン;ベリノスタット;ベンダムスチン塩酸塩;ベバシズマブ;ベキサロテン;ビカルタミド;ビニメチニブ;ブレオマイシン硫酸塩;ブリナツモマブ;ボルテゾミブ;ボスチニブ;ブレンツキシマブ-ベドチン;ブリガチニブ;カバジタキセル;カボザンチニブ-s-リンゴ酸塩;カラスパルガーゼペゴル-mknl;カペシタビン;カプラシズマブ-yhdp;カプマチニブ塩酸塩;カルボプラチン;カルフィルゾミブ;カルムスチン;セミプリマブ-rwlc;セリチニブ;セツキシマブ;クロラムブシル;シスプラチン;クラドリビン;クロファラビン;コビメチニブ;コパンリシブ塩酸塩;クリゾチニブ;シクロフォスファミド;シタラビン;D-0502(Inventisbio);ダブラフェニブメシル酸塩;ダカルバジン;ダコミチニブ;ダクチノマイシン;ダラツムマブ;ダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ-fihj;ダルベポエチン-アルファ;ダロルタミド;ダサチニブ;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デフィブロチドナトリウム;デガレリクス;デニロイキン-ディフティトックス;デノスマブ;デキサメタゾン;デクスラゾキサン塩酸塩;ジヌツキシマブ;ドセタキセル;ドキソルビシン塩酸塩;デュルバルマブ;デュベリシブ;エラセストラント;エロツズマブ;エルトロンボパグ-オラミン;エマパルマブ-lzsg;エナシデニブメシル酸塩;エンコラフェニブ;エンホルツマブ-ベドチン-ejfv;エヌトレクチニブ;エンザルタミド;エピルビシン塩酸塩;エポエチンアルファ;エルダフィチニブ;エリブリンメシル酸塩;エルロチニブ塩酸塩;エトポシド;エトポシドリン酸塩;エベロリムス;エキセメスタン;fam-トラスツズマブ-デルクステカン-nxki;フェドラチニブ塩酸塩;フィルグラスチム;フルダラビンリン酸塩;フルオロウラシル;フルタミド;ホスタマチニブ二ナトリウム;フルベストラント;ゲフィチニブ;ゲムシタビン塩酸塩;ゲムツズマブ-オゾガマイシン;ギルテリチニブフマル酸塩;グラスデギブマレイン酸塩;グルカルピダーゼ;ゴセレリン酢酸塩;グラニセトロン;グラニセトロン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;イブリツモマブ-チウキセタン;イブルチニブ;イダルビシン塩酸塩;イデラリシブ;イホスファミド;イマチニブメシル酸塩;イミキモド;イノツズマブ-オゾガマイシン;組換え型インターフェロンアルファ-2b;ヨーベングアンI-131;イパタセルチブ;イピリムマブ;イリノテカン塩酸塩;イサツキシマブ-irfc;イボシデニブ;イキサベピロン;イキサゾミブクエン酸塩;ランレオチド酢酸塩;ラパチニブ二トシル酸塩;ラロトレクチニブ硫酸塩;ラソフォキシフェン;レナリドマイド;レンバチニブメシル酸塩;レトロゾール;ロイコボリンカルシウム;ロイプロリド酢酸塩;ロムスチン;ロルラチニブ;LSZ102(Novartis);ルルビネクチン;LY3484356(Lilly);メゲストロール酢酸塩;メルファラン塩酸塩;メルファラン;メルカプトプリン;メトトレキサート;ミドスタウリン;マイトマイシン;ミトキサントロン塩酸塩;モガムリズマブ-kpkc;モキセツモマブ-パスドトックス-tdfk;ネシツムマブ;ネララビン;ネラチニブマレイン酸塩;ニロチニブ;ニルタミド;ニラパリブトシル酸塩一水和物;ニボルマブ;オビヌツズマブ;オファツムマブ;オラパリブ;オマセタキシンメペコハク酸塩;オンダンセトロン塩酸塩;オシメルチニブメシル酸塩;オキサリプラチン;パクリタキセル;パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤;パリフェルミン;パロノセトロン塩酸塩;パミドロネート二ナトリウム;パニツムマブ;パノビノスタット;パゾパニブ塩酸塩;ペグアスパラガーゼ;ペグフィルグラスチム;ペグインターフェロンアルファ-2b;ペムブロリズマブ;ペメトレキセド二ナトリウム;ペミガチニブ;ペルツズマブ;ペキシダルチニブ塩酸塩;プレリキサフォル;ポラツズマブ-ベドチン-piiq;ポマリドミド;ポナチニブ塩酸塩;プララトレキサート;プレドニゾン;プロカルバジン塩酸塩;プロプラノロール塩酸塩;二塩化ラジウム223;ラロキシフェン塩酸塩;ラムシルマブ;ラスブリカーゼ;ラブリズマブ-cwvz;組換え型インターフェロンアルファ-2b;レゴラフェニブ;RG6171(Roche);リントデストラント;リプレチニブ;リツキシマブ;ロラピタント塩酸塩;ロミデプシン;ロミプロスチム;ルカパリブカンシル酸塩;ルクソリチニブリン酸塩;サシツズマブ-ゴビテカン-hziy;SAR439859(Sanofi);セリネクソル;セルパーカチニブ;セルメチニブ硫酸塩;SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine);シルツキシマブ;シプリューセル-t;ソニデジブ;ソラフェニブトシル酸塩;タグラクソフスプ-erzs;タラゾパリブトシル酸塩;タリモジン-ラヘルパレプベク;タモキシフェンクエン酸塩;タゼメトスタット臭化水素酸塩;テモゾロミド;テムシロリムス;サリドマイド;チオグアニン;チオテパ;チサゲンレクロイセル;トシリズマブ;トポテカン塩酸塩;トレミフェン;トラベクテジン;トラメチニブ;トラスツズマブ;トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk;トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩;ツカチニブ;ウリジン三酢酸塩;バルルビシン;バンデタニブ;ベムラフェニブ;ベネトクラックス;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビノレルビン酒石酸塩;ビスモデギブ;ボリノスタット;ザヌブルチニブ;ziv-アフリベルセプト;ZN-c5(Zentalis);およびゾレドロン酸;または上述のものの遊離塩基、薬学的に許容できる塩、もしくは溶媒和物形態;またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0270】
本発明の好ましい実施形態には、実施形態A1~A20およびE1~E97が含まれる:
A1.
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0271】
【化19】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)ある量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法。
【0272】
A2.
上記対象に、
(c)ある量の追加の抗がん剤を投与することをさらに含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である、実施形態A1に記載の方法。
【0273】
A3.
式(I)の化合物が、
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート;および
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、実施形態A1またはA2に記載の方法。
【0274】
A4.
式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、実施形態A1~A3のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
A5.
上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、実施形態A1~A4のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
A6.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態A1~A5のいずれか1つに記載の方法。
【0277】
A7.
上記がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)乳癌であり、上記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態A2~A6のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
A8.
上記内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、実施形態A7に記載の方法。
【0279】
A9.
(a)式(I)の化合物:
【0280】
【化20】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である、組合せ。
【0281】
A10.
さらに(c)追加の抗がん剤を含み、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である、実施形態A9に記載の組合せ。
【0282】
A11.
式(I)の化合物が、
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート;および
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、実施形態A9またはA10に記載の組合せ。
【0283】
A12.
式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、実施形態A9~A11のいずれか1つに記載の組合せ。
【0284】
A13.
上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、実施形態A9~A12のいずれか1つに記載の組合せ。
【0285】
A14.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態A9~A13のいずれか1つに記載の組合せ。
【0286】
A15.
上記がんが、HR+、HER2-乳癌であり、上記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態A9~A14のいずれか1つに記載の組合せ。
【0287】
A16.
上記内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、実施形態A15に記載の組合せ。
【0288】
A17.
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法。
【0289】
A18.
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、
(c)アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される、ある量の内分泌治療剤と
を投与することを含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法。
【0290】
A19.
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である、組合せ。
【0291】
A20.
(a)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、
(b)パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、
(c)アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤と
を含む組合せであって、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である組合せ。
【0292】
E1.
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0293】
【化21】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)ある量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を投与することを含み、(a)および(b)における量が、合わせると、がんの処置において有効である方法。
【0294】
E2.
上記対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与することをさらに含み、(a)、(b)および(c)における量が、合わせると、がんの処置において有効である、実施形態E1に記載の方法。
【0295】
E3.
式(I)の化合物が、
構造:
【0296】
【化22】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
構造:
【0297】
【化23】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート;および
構造:
【0298】
【化24】
を有する(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、実施形態E1またはE2に記載の方法。
【0299】
E4.
式(I)の化合物が、構造:
【0300】
【化25】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、実施形態E1~E3のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
E5.
上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、実施形態E1~E4のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
E6.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態E1~E5のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
E7.
上記がんが、乳癌である、実施形態E6に記載の方法。
【0304】
E8.
上記乳癌が、ホルモン受容体陽性(HR+)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)乳癌である、実施形態E7に記載の方法。
【0305】
E9.
上記乳癌が、三重陰性乳癌(TNBC)である、実施形態E7に記載の方法。
【0306】
E10.
上記がんが、肺癌である、実施形態E6に記載の方法。
【0307】
E11.
上記肺癌が、小細胞肺癌(SCLC)である、実施形態E10に記載の方法。
【0308】
E12.
上記肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態E10に記載の方法。
【0309】
E13.
上記がんが、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌である、実施形態E6に記載の方法。
【0310】
E14.
上記がんが、上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌腫症(PPC)、またはファロピウス管癌(FTC)である、実施形態E13に記載の方法。
【0311】
E15.
上記卵巣癌が、持続性、難治性または再発性卵巣癌である、実施形態E13またはE14に記載の方法。
【0312】
E16.
上記卵巣癌が、白金抵抗性卵巣癌である、実施形態E13~E15のいずれか1つに記載の方法。
【0313】
E17.
上記がんが、進行性または転移性がんである、実施形態E1~E16のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
E18.
上記がんが、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる、実施形態E1~E17のいずれか1つに記載の方法。
【0315】
E19.
式(I)の化合物および上記CDK4/6阻害薬を連続して、同期で、または同時に投与する、実施形態E1~E18のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
E20.
上記がんが、HR+/HER2-乳癌であり、上記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態E2~E8のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
E21.
上記内分泌治療剤が、レトロゾールである、実施形態E20に記載の方法。
【0318】
E22.
上記内分泌治療剤が、フルベストラントである、実施形態E20に記載の方法。
【0319】
E23.
(a)式(I)の化合物:
【0320】
【化26】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である、組合せ。
【0321】
E24.
さらに(c)追加の抗がん剤を含み、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である、実施形態E23に記載の組合せ。
【0322】
E25.
式(I)の化合物が、
構造:
【0323】
【化27】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
構造:
【0324】
【化28】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート;および
構造:
【0325】
【化29】
を有する(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、実施形態E23またはE24の組合せ。
【0326】
E26.
式(I)の化合物が、構造:
【0327】
【化30】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、実施形態E23~E25のいずれか1つに記載の組合せ。
【0328】
E27.
上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、実施形態E23~E26のいずれか1つに記載の組合せ。
【0329】
E28.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態E23~E27のいずれか1つに記載の組合せ。
【0330】
E29.
上記がんが、乳癌である、実施形態E28に記載の組合せ。
【0331】
E30.
上記乳癌が、ホルモン受容体陽性(HR+)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)乳癌である、実施形態E29に記載の組合せ。
【0332】
E31.
上記乳癌が、三重陰性乳癌(TNBC)である、実施形態E29に記載の組合せ。
【0333】
E32.
上記がんが、肺癌である、実施形態E28に記載の組合せ。
【0334】
E33.
上記肺癌が、小細胞肺癌(SCLC)である、実施形態E32に記載の組合せ。
【0335】
E34.
上記肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態E32に記載の組合せ。
【0336】
E35.
上記がんが、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌である、実施形態E28に記載の組合せ。
【0337】
E36.
上記がんが、上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌腫症(PPC)、またはファロピウス管癌(FTC)である、実施形態E35に記載の組合せ。
【0338】
E37.
上記卵巣癌が、持続性、難治性または再発性卵巣癌である、実施形態E35またはE36に記載の組合せ。
【0339】
E38.
上記卵巣癌が、白金抵抗性卵巣癌である、実施形態E33~E37のいずれか1つに記載の組合せ。
【0340】
E39.
上記がんが、進行性または転移性がんである、実施形態E23~E38のいずれか1つに記載の組合せ。
【0341】
E40.
上記がんが、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる、実施形態E23~E39のいずれか1つに記載の組合せ。
【0342】
E41.
相乗的組合せとして存在する、実施形態E23~E40のいずれか1つに記載の組合せ。
【0343】
E42.
上記がんが、HR+/HER2-乳癌であり、上記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態E24~E30のいずれか1つに記載の組合せ。
【0344】
E43.
上記内分泌治療剤が、レトロゾールである、実施形態E42に記載の組合せ。
【0345】
E44.
上記内分泌治療剤が、フルベストラントである、実施形態E42に記載の組合せ。
【0346】
E45.
(a)式(I)の化合物:
【0347】
【化31】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む、がんの処置において使用するための組合せ。
【0348】
E46.
(c)追加の抗がん剤をさらに含む、実施形態E45に記載の組合せ。
【0349】
E47.
式(I)の化合物が、
構造:
【0350】
【化32】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
構造:
【0351】
【化33】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート;および
構造:
【0352】
【化34】
を有する(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、実施形態E45またはE46に記載の組合せ。
【0353】
E48.
式(I)の化合物が、
構造:
【0354】
【化35】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、実施形態E45~E47のいずれか1つに記載の組合せ。
【0355】
E49.
上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、実施形態E45~E48のいずれか1つに記載の組合せ。
【0356】
E50.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態E45~E49のいずれか1つに記載の組合せ。
【0357】
E51.
上記がんが、乳癌である、実施形態E50に記載の組合せ。
【0358】
E52.
上記乳癌が、ホルモン受容体陽性(HR+)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)乳癌である、実施形態E51に記載の組合せ。
【0359】
E53.
上記乳癌が、三重陰性乳癌(TNBC)である、実施形態E51に記載の組合せ。
【0360】
E54.
上記がんが、肺癌である、実施形態E50に記載の組合せ。
【0361】
E55.
上記肺癌が、小細胞肺癌(SCLC)である、実施形態E54に記載の組合せ。
【0362】
E56.
上記肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態E54に記載の組合せ。
【0363】
E57.
上記がんが、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌である、実施形態E50に記載の組合せ。
【0364】
E58.
上記がんが、上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌腫症(PPC)、またはファロピウス管癌(FTC)である、実施形態E57に記載の組合せ。
【0365】
R59.
上記卵巣癌が、持続性、難治性または再発性卵巣癌である、実施形態E57またはE58に記載の組合せ。
【0366】
E60.
上記卵巣癌が、白金抵抗性卵巣癌である、実施形態E57~E59のいずれか1つに記載の組合せ。
【0367】
E61.
上記がんが、進行性または転移性がんである、実施形態E45~E60のいずれか1つに記載の組合せ。
【0368】
E62.
上記がんが、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる、実施形態E45~E61のいずれか1つに記載の組合せ。
【0369】
E63.
上記組合せが、相乗的組合せとして存在する、実施形態E45~E62のいずれか1つに記載の組合せ。
【0370】
E64.
上記がんが、HR+/HER2-乳癌であり、上記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態E46~E52のいずれか1つに記載の組合せ。
【0371】
E65.
上記内分泌治療剤が、レトロゾールである、実施形態E64に記載の組合せ。
【0372】
E66.
上記内分泌治療剤が、フルベストラントである、実施形態E64に記載の組合せ。
【0373】
E67.
(a)式(I)の化合物:
【0374】
【化36】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1~3個のR
3により置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルにより置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は独立に、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシにより置換されていてもよい]と、
(b)サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬と
を含む組合せの使用であって、(a)および(b)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用。
【0375】
E68.
上記組合せがさらに、(c)追加の抗がん剤を含み、(a)、(b)および(c)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、実施形態E67に記載の使用。
【0376】
E69.
式(I)の化合物が、
構造:
【0377】
【化37】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート;
構造:
【0378】
【化38】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート
;および
構造:
【0379】
【化39】
を有する(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート;
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、実施形態E67またはE68に記載の使用。
【0380】
E70.
式(I)の化合物が、構造:
【0381】
【化40】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートである、実施形態E67~E69のいずれか1つに記載の使用。
【0382】
E71.
上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩である、実施形態E67~E70のいずれか1つに記載の使用。
【0383】
E72.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態E67~E71のいずれか1つに記載の使用。
【0384】
E73.
上記がんが、乳癌である、実施形態E72に記載の使用。
【0385】
E74.
上記乳癌が、ホルモン受容体陽性(HR+)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)乳癌である、実施形態E73に記載の使用。
【0386】
E75.
上記乳癌が、三重陰性乳癌(TNBC)である、実施形態E73に記載の使用。
【0387】
E76.
上記がんが、肺癌である、実施形態E72に記載の使用。
【0388】
E77.
上記肺癌が、小細胞肺癌(SCLC)である、実施形態E76に記載の使用。
【0389】
E78.
上記肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態E76に記載の使用。
【0390】
E79.
上記がんが、卵巣癌、腹膜癌、またはファロピウス管癌である、実施形態E72に記載の使用。
【0391】
E80.
上記がんが、上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌腫症(PPC)、またはファロピウス管癌(FTC)である、実施形態E79に記載の使用。
【0392】
E81.
上記卵巣癌が、持続性、難治性または再発性卵巣癌である、実施形態E79またはE80に記載の使用。
【0393】
E82.
上記卵巣癌が、白金抵抗性卵巣癌である、実施形態E79~E81のいずれか1つに記載の使用。
【0394】
E83.
上記がんが、進行性または転移性がんである、実施形態E67~E82のいずれか1つに記載の使用。
【0395】
E84.
上記がんが、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現により特徴づけられる、実施形態E67~E83のいずれか1つに記載の使用。
【0396】
E85.
上記組合せが、相乗的組合せとして存在する、実施形態E67~E84のいずれか1つに記載の使用。
【0397】
E86.
上記がんが、HR+/HER2-乳癌であり、上記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害薬、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態E68~E74のいずれか1つに記載の使用。
【0398】
E87.
上記内分泌治療剤が、レトロゾールである、実施形態E86に記載の使用。
【0399】
E88.
上記内分泌治療剤が、フルベストラントである、実施形態E86に記載の使用。
【0400】
E89.
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートを投与することを含む方法。
【0401】
E90.
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、上記対象に、治療有効量の、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【0402】
E91.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態E89またはE90に記載の方法。
【0403】
E92.
がんの処置において使用するための、化合物(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート。
【0404】
E93.
がんの処置において使用するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物。
【0405】
E94.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態E92に記載の化合物または実施形態E93に記載の医薬組成物。
【0406】
E95.
がんを処置するための(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートの使用。
【0407】
E96.
がんを処置するための、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマートと、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物の使用。
【0408】
E97.
上記がんが、乳癌、肺癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、膀胱癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態E95またはE96に記載の使用。
【0409】
下に列挙する例示的な具体的な実施形態を含む本発明のこれらの、および他の態様は、本明細書に含まれる教示から明らかであろう。
【実施例0410】
(実施例1)
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A)の調製
【0411】
【化41】
化合物Aを、米国特許第11,014,911号の実施例13に記載のとおりに調製した。
【0412】
中間体1:ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート;および中間体2:ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマートの調製
【0413】
【化42】
13℃のメタノール(5L)中の(±)-3-オキソシクロペンタンカルボン酸(CAS#98-78-2、900g、7.02mol)の溶液をそれぞれ含有する2つの並行して扱う反応物をそれぞれ、オルトギ酸トリメチル(4.47kg、42.15mol、4.62L)および4-トルエンスルホン酸一水和物(26.72g、140.5mmol)で処理した。混合物を13℃で、25時間撹拌した。各バッチを飽和NaHCO
3水溶液(1L)で別々にクエンチし、次いで、2つのバッチを合わせ、真空下で濃縮して、大部分のメタノールを除去した。残渣を酢酸エチル(4L)で希釈し、層を分離した。水層を酢酸エチル(2×1L)でさらに抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液(3×1L)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、(±)-メチル3,3-ジメトキシシクロペンタンカルボキシラート(1a、2.5kg、13.28mol、94%)を薄黄色の油状物として得た。
1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 3.67 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 2.94-2.82 (m, 1H),
2.16-2.00 (m, 2H), 1.99-1.76 (m, 4H).
【0414】
n-ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中2.5M溶液3.44L、8.6mol)を、-65℃のTHF(3L)を含有する反応器に添加した。無水アセトニトリル(453mL、353g、8.61mol)を、内部温度を-55℃未満に維持するように十分にゆっくり滴下添加した。混合物をさらに1時間、-65℃で撹拌した。THF(1L)中の(±)-メチル3,3-ジメトキシシクロペンタンカルボキシラート(1a、810g、4.30mol)の溶液を次いで、内部温度を-50℃未満に維持するように十分にゆっくり滴下添加した。さらに1時間、-65℃で撹拌した後に、反応物を水(4L)でクエンチし、HCl水溶液(1M)でpH7に中和し、酢酸エチル(3×3L)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液(2×3L)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粗製の(±)-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-3-オキソプロパンニトリル(1b、722g、3.66mol、85%)を赤色の油状物として得、これをさらに精製せずに使用した。
【0415】
固体の水酸化ナトリウム(131.4g、合計3.29mol)を、16~25℃のエタノール(3L)中の塩酸tert-ブチルヒドラジン(409.4g、3.29mol)の懸濁液に少しずつ添加した。撹拌を25℃で1時間継続した。エタノール中の粗製の(±)-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-3-オキソプロパンニトリル(1b、540g、2.74mol)溶液を25℃で添加し、次いで、混合物を内部75℃に加熱し、30時間撹拌した。反応物を濾過し、濾液を真空下で濃縮して、粗製物を赤色の油状物として得た。この生成物を、3つ以上の同様に調製したバッチ(それぞれ、540gの1bから出発し;4つのバッチで合計2.16kg、10.96mol)からの粗製物と合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0~35%酢酸エチルで溶離)により精製して、(±)-1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-アミン(1c、1.60kg、5.98mol、収率54%)を赤色の油状物として得た。1H NMR (クロロホルム-d) δ = 5.41 (s,
1H), 3.50 (br. s., 2H), 3.22 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.13 (tt, J=7.9, 9.6 Hz,
1H), 2.25 (dd, J=8.0, 13.3 Hz, 1H), 2.09-2.00 (m, 1H), 1.99-1.91 (m, 1H), 1.83
(dd, J=10.8, 12.8 Hz, 2H), 1.78-1.68 (m, 1H), 1.60 (s, 9H).
【0416】
クロロギ酸ベンジル(563.6mL、676.3g、3.96mol)を、冷却された(0~5℃)アセトニトリル(3.5L)中の(±)-1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-アミン(1c、530g、1.98mol)の溶液に添加した。混合物を23℃で2時間撹拌し、次いで、固体の炭酸水素ナトリウム(532.9g、6.34mol)を少しずつ添加した。撹拌を、23℃で26時間継続した。得られた懸濁液を濾過し、濾液を真空下で濃縮して、粗製の(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1d、980g、最大1.98mol)を赤色の油状物として得、これをさらに精製せずに、次のステップで使用した。
【0417】
18℃のアセトン(2L)および水(2L)中の粗製の(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1d、980g、最大1.98mol)の溶液を4-トルエンスルホン酸一水和物(48.75g、256.3mmol)で処理した。混合物を内部60℃に20時間加熱した。真空下で濃縮して大部分のアセトンを除去した後に、水性残渣をジクロロメタン(3×3L)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粗製の赤色の油状物を得た。この粗製物を、2つの他の同様に調製されたバッチからの粗製物(それぞれ1.98molの1cに由来、3つのバッチで合計5.94mol)と合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0~50%酢酸エチルで溶離)により精製して、(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-オキソシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1e、1.6kg)を黄色の固体として得た。この固体を10:1の石油エーテル/酢酸エチル(1.5L)中、20℃で、18時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケーキを石油エーテル(2×500mL)で洗浄し、固体を真空下で乾燥して、(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-オキソシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1e、1.4kg、3.9mol、3つのバッチで合わせて66%)を得た。1H NMR (DMSO--d6) δ = 9.12 (br. s., 1H), 7.56-7.13 (m, 5H),
6.03 (s, 1H), 5.12 (s, 2H), 3.41-3.27 (m, 1H), 2.48-2.39 (m, 1H), 2.34-2.10 (m,
4H), 1.98-1.81 (m, 1H), 1.48 (s, 9H).
【0418】
THF(1.5L)中の(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-オキソシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1e、320g、0.900mol)の溶液を真空下で脱気し、乾燥窒素でパージし(3サイクル)、次いで、内部-65℃に冷却した。水素化トリエチルホウ素リチウムの溶液(THF中1.0M、1.80L、1.80mol)を、内部温度を-55℃未満に維持する速度で滴下添加し、次いで、撹拌を-65℃で1.5時間継続した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(1.5L)で-40~-30℃でクエンチした。過酸化水素(30%水溶液、700g)を、内部温度を-10~0℃に維持しながら混合物に滴下添加した。混合物を10℃で1時間撹拌し、次いで、酢酸エチル(3×2L)で抽出した。合わせた有機層を飽和Na2SO3水溶液(2×1L)および飽和NaCl水溶液(2×1L)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して粗製の黄色の油状物にした。このバッチからの粗製物を、精製のために、3つの他の同様に調製されたバッチからの粗製物(それぞれ0.900molの1eから出発、合計で3.60mol)と合わせた。クロマトグラフィーの前に、合わせた混合物はNMRによると、約3.3:1のcis/trans比を示した。合わせた粗製物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0~50%酢酸エチルで溶離)により2回精製して、(±)-トランス-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1f、960g)を薄黄色の固体として得、これを下記のとおりに摩砕によりさらに精製した。
【0419】
1fの先行するバッチを、合計120gの1e(0.34mol)から出発する、より小さなスケールの反応から得た。このバッチからのカラム処理された生成物を、上のバッチからのカラム処理された生成物(3.60molの1eに由来し、合わせたバッチ全部で合計3.94molの1eが使用された)と合わせ、10:1のジクロロメタン/メタノール(1.5L)に懸濁し、20℃で16時間撹拌した。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを石油エーテル(2×500mL)で洗浄した。固体を真空下で乾燥して、純粋な(±)-トランス-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1f、840g、2.35mol、合わせたバッチ全部で合計収率60%)を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 9.07 (br. s., 1H), 7.45-7.27 (m, 5H),
5.92 (s, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.57 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.21-4.07 (m, 1H), 2.88 (五重線, J=8.6 Hz, 1H), 2.24-2.13 (m, 1H),
1.92-1.78 (m, 1H), 1.78-1.62 (m, 2H), 1.61-1.53 (m, 1H), 1.47 (s, 9H),
1.52-1.43 (m, 1H). MS: 358 [M+H]+.
【0420】
(±)-トランス-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバマート(1f、700g、1.96mol)の鏡像異性体をキラルSFCにより分離した。
【0421】
第1に溶離する鏡像異性体ピークからの生成物(固体310g)をメタノール/石油エーテル(1:10、1L)に懸濁し、25℃で1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、フィルターパッドを石油エーテル(2×500mL)で洗浄し、固体を真空下で乾燥して、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(中間体1、255g、713mmol、36%、>99%ee)を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 9.08 (br. s., 1H), 7.58-7.20 (m, 5H),
5.92 (s, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.57 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.19-4.09 (m, 1H), 2.88 (五重線, J=8.6 Hz, 1H), 2.24-2.13 (m, 1H),
1.91-1.79 (m, 1H), 1.79-1.61 (m, 2H), 1.61-1.53 (m, 1H), 1.47 (s, 9H), 1.52-1.44
(m, 1H). MS: 358 [M+H]+.旋光度[α]D+3.76(c1.0、MeOH)。キラル純度:>99%ee、保持時間3.371分。キラルSFC分析を、40℃に加熱したChiralPak AD-3 150×4.6mm ID、3μmカラムで、CO2および5.5分かけて0~40%メタノール+0.05%DEAの勾配、次いで、40%で3分間保持の移動相;2.5mL/分の流速で溶離して行った。
【0422】
第2に溶離する鏡像異性体ピーク(固体300g)からの生成物をメタノール/石油エーテル(1:10、1L)に懸濁し、25℃で1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、フィルターパッドを石油エーテル(2×500mL)で洗浄し、固体を真空下で乾燥して、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(中間体2、255g、713mmol、36%、94%ee)を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 9.08 (br. s., 1H), 7.55-7.19 (m, 5H),
5.92 (s, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.57 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.23-4.07 (m, 1H), 2.88 (五重線, J=8.7 Hz, 1H), 2.23-2.14 (m, 1H),
1.90-1.79 (m, 1H), 1.77-1.61 (m, 2H), 1.61-1.53 (m, 1H), 1.47 (s, 9H),
1.52-1.44 (m, 1H). MS: 358 [M+H]+.旋光度[α]D-2.43(c1.0、MeOH)。キラル純度:94%ee、保持時間3.608分。キラルSFC分析を、40℃に加熱したChiralPak AD-3 150×4.6mm ID、3μmカラムで、CO2および5.5分かけて0~40%メタノール+0.05%DEAの勾配、次いで、40%で3分間保持の移動相;2.5mL/分の流速で溶離して行った。
【0423】
[α]D-3.1(c1.1、MeOH)および96%eeを有する先行のバッチからの第2に溶離する鏡像異性体の試料をジクロロエタン/ペンタンから結晶化させた。結晶構造を低分子X線結晶学により得たところ、これは、(1R,3S)幾何学的配置を示した。したがって、中間体2の絶対立体化学を、その比較可能な旋光度および分析方法における溶離の順序に基づき、(1R,3S)と指定した。したがって、中間体2の鏡像異性体である中間体1を、(1S,3R)立体化学と指定した。
【0424】
中間体11B:(1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-アミンの調製
【0425】
【化43】
ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(中間体1、20g、56mmol)およびイミダゾール(5.71g、83.9mmol)を超音波処理で、DMF(200mL)に溶解した。溶液が室温である間に、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(11.0g、72.7mmol)を少しずつ添加した。添加が完了した後に、透明な溶液を25℃で1時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)と飽和NaCl水溶液(200mL)との間で分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗製のベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(11A、26g、99%)を無色の油状物として得た。MS:472 [M+H]
+。
【0426】
粗製のベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(11A、26g、55mmol)を、酢酸エチル(100mL)およびTHF(100mL)に溶解した。Pd/C(50%湿潤、4g)を添加し、溶液を脱気し、25℃で、水素バルーン下で2時間撹拌した。次いで、混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮して、粗製の1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-アミン(11B、19g、>99%)を薄黄色の油状物として得た。MS:338 [M+H]+。
【0427】
中間体5:リチウム3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシラートの調製
【0428】
【化44】
ジクロロメタン(50mL)中の塩化メタンスルホニル(11.32g、98.8mmol)の溶液を、冷却(0℃)されたジクロロメタン(250mL)中のメチル3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(CAS# 1208081-25-7、15.0g、88.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(14.8g、115mmol)の混合物に滴下添加した。添加が完了した後に、混合物を0℃で45分間撹拌した。反応混合物を飽和NH
4Cl水溶液で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、メチル1-メチル-3-{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(5a、22.6g、>99%)を黄色の油状物として得、これをさらに精製せずに使用した。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 6.98 (s, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.20 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 3.03 (s,
3H).
【0429】
室温のメタノール(200mL)中のメチル1-メチル-3-{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(5a、22.6g、91.0mmol)の溶液を、固体ナトリウムメトキシド(9.84g、182mmol)で少量ずつ処理した。反応物を30分間、70℃に加熱した。TLCが、エステルの部分的な加水分解を示唆したので、再エステル化のために、混濁した混合物を、酢酸エチル中4M HCl(40mL、160mmol)で酸性化し、加熱を70℃で5時間継続した。混合物を濃縮乾固して、白色の固体を残した。この固体を、酢酸エチル/石油エーテル(1/3、3×200mL)で抽出した。合わせた抽出物を濃縮乾固し、次いで、残留した固体を酢酸エチル/石油エーテル(1/3、100mL)で再抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、メチル3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(5b、14.5g、86%、NMRによる80%純粋)を薄黄色の液体として得、これを放置すると固化した。主な構成成分のみ:1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 6.83 (s, 1H), 4.45 (s, 2H), 4.16 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.39 (s,
3H).
【0430】
THF(150mL)および水(50mL)中のメチル3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(5b、14.5g、78.7mmol)および水酸化リチウム一水和物(3.47g、82.7mmol)の溶液を室温で16時間撹拌した。THFを真空下で除去し、残渣を水(100mL)に溶解し、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機層を廃棄した。水層を濃縮し、真空下で乾燥して、リチウム3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(中間体5、12.85g、92%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 6.37 (s, 1H), 4.24 (s, 2H), 4.01 (s,
3H), 3.20 (s, 3H). MS: 171 [M+H]+.
【0431】
化合物Aの調製:
【0432】
【化45】
プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、EtOAc中50重量%溶液、50.3g、79.1mmol)を、室温(26℃)の2-メチルテトラヒドロフラン(100.0mL)中の1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-アミン(11B、8.90g、26.4mmol)、リチウム3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(中間体5、5.83g、34.3mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(10.2g、79.1mmol)の溶液に添加した。得られた混合物をこの温度で、18時間撹拌した。混合物を濃縮乾固した後に、残渣をジクロロメタン(150mL)に溶解し、溶液を水(2×30mL)、飽和NaHCO
3水溶液(2×30mL)および飽和NaCl水溶液(30mL)で連続的に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して粗製のN-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13A、12.9g、100%)を油状物として得た。MS:490 [M+H]
+。
【0433】
粗製のN-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13A、12.9g、26.3mmol)をギ酸(80mL)に溶解し、室温(27℃)で30分間撹拌した。混合物を濃縮乾固し、残渣をメタノール(80mL)に溶解した。水(15mL)中の水酸化リチウム一水和物(3.43g、81.8mmol)の溶液を添加し、混合物を室温(27℃)で1時間撹拌した。混合物を濃縮乾固し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0~80%酢酸エチルで溶離)により精製して、N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13B、8.0g、78%)を黄色のゴムとして得た。MS:376 [M+H]+。
【0434】
ジクロロメタン(80mL)およびTHF(80mL)中のN-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13B、8.0g、21mmol)の溶液をDMAP(260mg、2.13mmol)、ピリジン(5.06g、63.9mmol)、およびクロロギ酸4-ニトロフェニル(8.59g、42.6mmol)で処理した。得られた黄色の懸濁液を室温で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0~45%酢酸エチルで溶離)により精製して、(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(13C、10.6g、92%)を薄茶色のゴムとして得た。MS:541 [M+H]+。
【0435】
ギ酸(80mL)中の(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(13C、10.6g、19.6mmol)の溶液を70℃で18時間撹拌した。溶液を濃縮乾固した。残渣をジクロロメタン(150mL)に溶解し、溶液を飽和NaHCO3水溶液で中和した。有機層を水(30mL)および飽和NaCl水溶液(30mL)で洗浄し、炭酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗製の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(13D、8.5g、90%、LCMSによると純度86%)を薄黄色のガラス状物として得た。MS:485 [M+H]+。
【0436】
室温(27℃)のTHF(30mL)中の粗製の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(13D、1.7g、3.5mmol)および2-プロピルアミン(1.04g、17.5mmol)の溶液を6時間撹拌した。溶液を濃縮乾固し、残渣を、1.7g、3.5mmolの13Dから得られた第2のバッチからの残渣と合わせて(2つのバッチで合わせて合計6.27mmolの13Dを消費)、粗製物3.2gを得た。この生成物を、分取HPLCによりPhenomenex Gemini C18 250×50mm×10μmカラムで、アセトニトリル中15~45%水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)で溶離して精製した。凍結乾燥後に、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバマート(化合物A、2.06g、78%)を白色の結晶質固体一水和物として得た。MS: 405 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.23 (br s, 1H), 10.73 (br s, 1H), 7.11
(s, 1H), 6.96 (br d, J=7.0 Hz, 1H), 6.41 (br s, 1H), 5.00 (br s, 1H), 4.33 (s,
2H), 4.04 (s, 3H), 3.57 (qd, J=6.6, 13.4 Hz, 1H), 3.26 (s, 3H), 3.17-2.96 (m,
1H), 2.48-2.39 (m, 1H), 2.03 (br d, J=6.8 Hz, 1H), 1.95-1.83 (m, 1H), 1.73 (br
d, J=8.5 Hz, 2H), 1.61 (br s, 1H), 1.03 (br d, J=6.3 Hz, 6H).旋光度[α]D+4.8(c1.0、MeOH)。キラル分析用SFCによるとキラル純度:>99%ee。C19H28N6O4-H2Oでの分析計算値:C、54.02;H、7.16;N、19.89。実測値:C、53.94;H、7.22;N、19.81。
【0437】
(実施例2)
(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート(化合物B)の調製
【0438】
【化46】
化合物Bを下記のとおりに調製し、米国特許第11,014,911号の実施例370においてのとおりに特徴づけた。
【0439】
中間体1A:(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナートの調製
【0440】
【化47】
室温の無水ジクロロメタン(50mL)中のベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(中間体1、5.00g、14.0mmol)およびクロロギ酸4-ニトロフェニル(4.23g、21.0mmol)の溶液をピリジン(3.40mL、42.0mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(170mg、1.4mmol)で処理した。室温で終夜撹拌した後に、溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0~100%酢酸エチルで溶離)により精製して、(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(1A、7.30g、100%)を固体泡状物として得た。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.24-8.14 (m, 2H), 7.36-7.22 (m, 7H), 6.21 (br. s., 1H), 6.06
(br. s., 1H), 5.25 - 5.15 (m, 1H), 5.12 (s, 2H), 3.15-2.97 (m, 1H), 2.58-2.47
(m, 1H), 2.09-1.78 (m, 5H), 1.51 (s, 9H). MS: 523 [M+H]
+.
【0441】
中間体4B:(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマートの調製
【0442】
【化48】
THF(300mL)中の(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(1A、22.0g、42.1mmol)、(S)-(+)-sec-ブチルアミン(4.00g、54.7mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(36.7mL、211mmol)の溶液を10℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮乾固し、残渣を酢酸エチル(500mL)で希釈した。溶液を1M NaOH水溶液(4×200mL)および飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗製のベンジル{3-[(1S,3R)-3-{[(2S)-ブタン-2-イルカルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(4A、18g、94%、LCMSによると純度約80%)を得た。MS:479 [M+Na]
+。
【0443】
室温(10℃)の酢酸エチル(200mL)およびTHF(100mL)中の粗製のベンジル{3-[(1S,3R)-3-{[(2S)-ブタン-2-イルカルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(4A、18g、39mmol)の溶液を脱気し、Pd/C触媒(湿潤、5g)で処理した。懸濁液を水素バルーン下で16時間撹拌した。混合物を濾過して、触媒を除去し、濾液を濃縮乾固した。精製のために、このバッチを、20gの4Aから同じ方法により得た粗製物の第2のバッチと合わせ(両方のバッチでの合計:38g、83mmol)、分取HPLCにより、Phenomenex Gemini C18 250×50mm×10μmカラムで、アセトニトリル中30~50%水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)で溶離して精製した。凍結乾燥後に、(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマート(4B、合わせたバッチで20.1g、75%)。MS: 323 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 6.86 (br d, J=8.3 Hz, 1H),
5.22 (s, 1H), 4.94 (br s, 1H), 4.82-4.49 (m, 2H), 3.46-3.36 (m, 1H), 2.90-2.71
(m, 1H), 2.38-2.24 (m, 1H), 1.91-1.75 (m, 2H), 1.74-1.53 (m, 3H), 1.52-1.46 (m,
9H), 1.43-1.27 (m, 2H), 1.01 (d, J=6.5 Hz, 3H), 0.81 (t, J=7.4 Hz, 3H).旋光度[α]D+4.0(c1.3、MeOH)。キラル純度:キラル分析用SFCによると98%de。
【0444】
化合物B:(1R,3S)-3-[3-({[2-(メチルスルホニル)フェニル]アセチル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバマートの調製
【0445】
【化49】
中間体1Cを中間体1Dに変換するための実施例3(下記)に記載の条件下で、中間体4Bを2-(メチルスルホニル)フェニルアセトアミド中間体に変換した。中間体1Dを化合物Cに変換するための実施例3に記載の条件下で、フェニルアセトアミド中間体を化合物Bに変換した。
【0446】
(実施例3)
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(化合物C)の調製
【0447】
【化50】
化合物Cを、米国特許第11,014,911号の実施例1に記載のとおりに調製した。
化合物Cの調製
【0448】
【化51】
室温の無水ジクロロメタン(50mL)中のベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバマート(中間体1、5.00g、14.0mmol)およびクロロギ酸4-ニトロフェニル(4.23g、21.0mmol)の溶液をピリジン(3.40mL、42.0mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(170mg、1.4mmol)で処理した。室温で終夜撹拌した後に、溶液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0~100%酢酸エチルで溶離)により精製して、(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(1A、7.30g、100%)を固体の泡状物として得た。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.24-8.14 (m, 2H), 7.36-7.22 (m, 7H), 6.21 (br. s., 1H), 6.06
(br. s., 1H), 5.25 - 5.15 (m, 1H), 5.12 (s, 2H), 3.15-2.97 (m, 1H), 2.58-2.47
(m, 1H), 2.09-1.78 (m, 5H), 1.51 (s, 9H). MS: 523 [M+H]
+.
【0449】
2-メチルテトラヒドロフラン(300mL)中の(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボナート(1A、36g、69mmol)の溶液を10℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(26.7g、36mL、207mmol)およびプロパン-1-アミン(6.11g、8.52mL、103mmol)を添加し、溶液を10℃で16時間撹拌した。濃縮乾固した後に、残渣を酢酸エチル(600mL)で希釈し、1M NaOH(4×200mL)で、次いで、飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗製のベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(プロピルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバマート(1B、30g、98%)を得、これをさらに精製せずに使用した。
【0450】
室温(20~25℃)の酢酸エチル(300mL)およびTHF(150mL)中のPd/C(50%H2O、8g)および粗製のベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(プロピルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバマート(1B、30g、68mmol)の懸濁液を脱気し、水素でパージし(3サイクル)、次いで、室温で、水素バルーン下で16時間撹拌した。懸濁液を濾過し、濾液を真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(50mL)および石油エーテル(300mL)から結晶化させて、(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(1C、17.65g、84%)を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.00 (br t, J=5.6 Hz, 1H), 5.23 (s, 1H),
4.95 (br s, 1H), 4.82-4.58 (m, 2H), 2.91 (q, J=6.6 Hz, 2H), 2.85-2.73 (m, 1H),
2.37-2.21 (m, 1H), 1.92-1.76 (m, 2H), 1.72-1.52 (m, 3H), 1.48 (s, 9H),
1.44-1.32 (m, 2H), 0.82 (t, J=7.4 Hz, 3H). MS: 309 [M+H]+.]+.旋光度[α]D-4.04(c0.89、MeOH)。キラル純度:キラル分析用SFCによると98%ee。
【0451】
冷却(10℃)されたジクロロメタン(250mL)中の(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(1C、8.65g、28.05mmol)、(2-メトキシピリジン-4-イル)酢酸(CAS#464152-38-3、5.86g、33.7mmol)ジイソプロピルエチルアミン(14.7mL、84.1mmol)およびプロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、EtOAc中50重量%溶液、53.5g、84.1mmol)の混合物を16時間撹拌した。反応物を飽和Na2CO3水溶液(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機層をさらなる飽和Na2CO3水溶液(2×200mL)および飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。精製のために、このバッチを、1.0gおよび8.0gの1Cから得られた2つの他の同様に調製したバッチと合わせた(3つのバッチでの合計SM=17.65g、57.23mmolの1C)。シリカゲルクロマトグラフィー(0~60%EtOAc/石油エーテルで溶離)により、(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(1D、25g、合わせたバッチで収率95%)を得た。MS:458 [M+H]+。
【0452】
ギ酸(50mL)中の(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(1D、20.5g、44.8mmol)の溶液を75℃で20時間撹拌した。精製のために、このバッチを、より小さなバッチと合わせ(4.50g、9.84mmolの1Dから得た、合計25.0g、54.6mmol)、濃縮乾固し、分取HPLC[Phenomenex Gemini C18 250×50mm×10μmカラム;15分かけてACN中の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)の勾配で溶離;流速110mL/分]により精製した。純粋な(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバマート(化合物C)、16.61g、合わせたバッチで収率76%)を淡黄色の固体として。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 11.62-9.81 (m, 1H), 9.06 (br s, 1H), 8.06 (d, J=5.3 Hz, 1H), 6.79
(d, J=5.3 Hz, 1H), 6.66 (s, 1H), 6.50 (s, 1H), 5.24-4.94 (m, 2H), 3.88 (s, 3H),
3.58 (s, 2H), 3.19-2.83 (m, 3H), 2.54-2.28 (m, 1H), 2.04 (br s, 1H), 1.97-1.70
(m, 4H), 1.54-1.34 (m, 2H), 0.85 (br t, J=7.0 Hz, 3H). MS: 402 [M+H]+.旋光度[α]D+17.1(c1.06、MeOH)。キラル純度:キラル分析用SFCによると96%ee。
【0453】
(実施例4)
生化学アッセイ
CDK2/サイクリンE1全長モビリティシフトアッセイ
CDK2/サイクリンE1アッセイの目的は、蛍光ベースのマイクロ流体モビリティシフトアッセイを使用することにより、低分子阻害薬の阻害(阻害%、KiappおよびKi値)を評価することである。CDK2/サイクリンE1全長は、基質であるペプチドFL-ペプチド-18(5-FAM-QSPKKG-CONH2、CPC Scientific、Sunnyvale、CA)(配列番号1)へのホスホリル転移に伴うATPからのADPの産生を触媒する。モビリティシフトアッセイは電気泳動により、キナーゼ反応の後に、蛍光標識されたペプチド(基質およびリン酸化生成物)を分離する。基質および生成物の両方が測定され、これらの値の比が、LabChip EZ Readerにより、生成物への基質の変換%を生成するために使用される。野生型CDK2/野生型全長サイクリンE1酵素複合体を社内で生産し(バキュロウイルス発現、LJIC-2080/LJIC-2103)、CDK7/サイクリンH1/Mat1酵素複合体により、50:1のCDK2:CDK7比(濃度、mg/mL)を用いて、10mM MgCl2および5mM ATPの存在下で、室温で、1時間リン酸化した。典型的な反応溶液(最終反応体積50μL)は、pH7.15の25mM HEPESバッファー中に2%DMSO(±阻害薬)、4mM MgCl2、1mM DTT、150μM ATP(ATP Km=67.4μM)、0.005%Tween-20、3μM FL-ペプチド-18、および0.36nM(触媒的にコンピテントな活性部位)リン酸化野生型全長CDK2/サイクリンE1酵素複合体を含有した。アッセイを、酵素および阻害薬を室温で、反応混合物中で15分間予備インキュベーションした後に、ATPを添加して開始した。反応を、室温での45分後に、80mM EDTA50μLを添加することにより停止した。変数1、2として酵素濃度を用いて、データを強結合競合阻害式(Morrison tight-binding competitive inhibition equation)に当てはめることで、Ki値を決定した。
【0454】
CDK4/サイクリンD1モビリティシフトアッセイ
CDK4/サイクリンD1アッセイの目的は、蛍光ベースのマイクロ流体モビリティシフトアッセイを使用することにより、低分子阻害薬の存在下で、阻害(阻害%、KiappおよびKi値)を評価することである。CDK4/サイクリンD3は、基質ペプチド5-FAM-Dyrktide(5-FAM-RRRFRPASPLRGPPK)(配列番号2)へのホスホリル転移に伴うATPからのADPの産生を触媒する。モビリティシフトアッセイは電気泳動により、キナーゼ反応の後に、蛍光標識されたペプチド(基質およびリン酸化生成物)を分離する。基質および生成物の両方が測定され、これらの値の比が、LabChip EZ Readerにより、生成物への基質の変換%を生成するために使用される。典型的な反応溶液は、pH7.5の40mM HEPESバッファー中に2%DMSO(±阻害薬)、10mM MgCl2、1mM DTT、3.5mM ATP、0.005%TW-20、3μM 5-FAM-Dyrktide、3nM(活性部位)活性化CDK4/サイクリンD1を含有した。
【0455】
活性化CDK4/サイクリンD1(2007 E1/2008+PO4)での阻害薬Ki決定を、22℃で、反応ミックス中で、酵素および阻害薬を18分間予備インキュベーションした後に、ATP(最終反応体積50μL)の添加で開始した。反応を195分後に、30mM EDTA50μLを添加することにより停止した。変数として酵素濃度を用いて、Morrison式に当てはめた阻害薬濃度を関数とするフラクショナルベロシティー(fractional velocity)のプロットから、Ki決定を行った。
【0456】
CDK6/サイクリンD3モビリティシフトアッセイ
CDK6/サイクリンD3アッセイの目的は、蛍光ベースのマイクロ流体モビリティシフトアッセイを使用することにより、低分子阻害薬の存在下で、阻害(阻害%、KiappおよびKi値)を評価することである。CDK6/サイクリンD3は、基質ペプチド5-FAM-Dyrktide(5-FAM-RRRFRPASPLRGPPK)(配列番号2)へのホスホリル転移に伴うATPからのADPの産生を触媒する。モビリティシフトアッセイは電気泳動により、キナーゼ反応の後に、蛍光標識されたペプチド(基質およびリン酸化生成物)を分離する。基質および生成物の両方が測定され、これらの値の比が、LabChip EZ Readerにより、生成物への基質の変換%を生成するために使用される。典型的な反応溶液は、pH7.5の40mM HEPESバッファー中に2% DMSO(±阻害薬)、2%グリセロール、10mM MgCl2、1mM DTT、3.5mM ATP、0.005% Tween 20(TW-20)、3μM 5-FAM-Dyrktide、4nM(活性部位)活性化CDK6/サイクリンD3を含有した。
【0457】
活性化CDK6/サイクリンD3(LJIC-2009G1/2010+PO4)での阻害薬Ki決定を、22℃で、反応ミックス中で、酵素および阻害薬を18分間予備インキュベーションした後に、ATP(最終反応体積50μL)の添加で開始した。反応を、95分後に、30mM EDTA50μLを添加することにより停止した。変数として酵素濃度を用いて、Morrison式に当てはめた阻害薬濃度を関数とするフラクショナルベロシティーのプロットから、Ki決定を行った。
【0458】
CDK4およびCDK6モビリティシフトアッセイにより生成された強結合阻害薬データを当てはめるために、式および原理を、Morrison,J.F.(1969)Kinetics of the reversible inhibition of enzyme-catalysed reactions by tight-binding inhibitors、Biochimica et biophysica acta 185、269~286;およびMurphy,D.J.(2004) and Determination of accurate Ki values for tight-binding enzyme inhibitors:an in silico study of experimental error and assay design、Analytical biochemistry 327、61~67から得る。
【0459】
生物学的活性データ
化合物A、B、CおよびDでの生物学的活性データ(Ki(nM))を下の表1に示す。
【0460】
【0461】
(実施例5)
HCC1428乳癌細胞におけるin vitroスクリーニング
HCC1428ヒトER+乳癌細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から得、10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシンを補充されたRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地中で維持した。すべての細胞を37℃、5%CO2の加湿インキュベーター中で維持した。1ウェルあたり2000細胞を96ウェルプレートに播種し、終夜インキュベートした。
【0462】
パルボシクリブは5ポイント用量曲線で、2.5μMから出発して9.765625nMまで4倍希釈してプレートに添加し、それぞれの試験CDK2阻害薬は、化合物Cでは1μM~0.46nMまたは化合物Aおよび化合物Bでは3μM~1.37nMのいずれかの8ポイント3倍希釈用量曲線でプレートに添加するマトリックス形式で、試験化合物を添加した。細胞を6~8日間、37℃、5%CO2でインキュベートした。CyQuant Direct増殖試薬(Invitrogen)を製造者指示書に従って添加し、蛍光をTecan M1000プレートリーダーで読み取った。データをChalice Bioinformatics Software v1.6で解析し、「相乗効果スコア」計算値を生成したが、ここで、S=fcov ln fX ln fY Σ max(0,Iデータ)max(0,Iデータ-ILoewe)であり、これは、Loewe相加性を上回る、ポジティブゲーティングした阻害加重体積(positive-gated, inhibition-weighted volume over Loewe additivity)である。fX、Yは、それぞれの単一薬剤で使用される希釈係数であり、包含係数fcovは、合計/試験された組合せ用量マトリックスポイントの比によりスコアをスケールアップすることで、データの欠損を補償する。(https://horizondiscovery.com/-/media/Files/Horizon/resources/Technical-manuals/hd-technical-manual-chalice-analyzer-viewer.pdf)。
【0463】
完全用量応答マトリックスおよびアイソボログラムを、試験化合物およびパルボシクリブの組合せについて生成し、HCC1428細胞の増殖に対する効果を実証した。相乗効果スコアを、記載のとおりに計算した。
【0464】
図1は、7日間の化合物Cおよびパルボシクリブでの完全用量応答マトリックスを示している。
図1Aは、用量を関数として化合物活性を示すヒートマップを示しており、ここで、濃色および小さい数字(左下)は、無活性または限られた活性を示しており、淡色および大きな数字(右上)は、強活性を示している。1.88の相乗効果スコアが計算された。
図1Bは、実験阻害(曲線)が相加性を超える用量組合せを示すアイソボログラムを示している(ダイアゴナル)。
【0465】
図2は、8日間の化合物Bおよびパルボシクリブでの完全用量応答マトリックスを示している。
図2Aは、用量を関数として化合物活性を示すヒートマップを示している。3.27の相乗効果スコアが計算された。
図2Bは、実験阻害(曲線)が相加性を超える用量組合せを示すアイソボログラムを示している(ダイアゴナル)。
【0466】
図3は、8日間の化合物Aおよびパルボシクリブでの完全用量応答マトリックスを示している。
図3Aは、用量を関数として化合物活性を示すヒートマップを示している。2.86の相乗効果スコアが計算された。
図3Bは、実験阻害(曲線)が相加性を超える用量組合せを示すアイソボログラムを示している(ダイアゴナル)。
【0467】
(実施例6)
MCF7乳癌細胞でのin vitroスクリーニング
MCF7ヒトER+乳癌細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から得、10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシンを補充されたRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地中で維持した。すべての細胞を37℃、5%CO2の加湿インキュベーター中で維持した。1ウェルあたり2000細胞を96ウェルプレートに播種し、終夜インキュベートした。パルボシクリブは5ポイント用量曲線で、2.5μMから出発して9.765625nMまで4倍希釈してプレートに添加し、それぞれの試験CDK2阻害薬は、化合物Aでは3μM~1.37nMの8ポイント3倍希釈用量曲線でプレートに添加するマトリックス形式で、化合物を添加した。細胞を6~8日間、37℃、5%CO2でインキュベートした。CyQuant Direct増殖試薬(Invitrogen)を製造者指示書に従って添加し、蛍光をTecan M1000プレートリーダーで読み取った。データをChalice Bioinformatics Software v1.6で解析し、「相乗効果スコア」計算値を生成したが、ここで、S=fcov ln fX ln fY Σ max(0,Iデータ)max(0,Iデータ-ILoewe)であり、これは、Loewe相加性を上回る、ポジティブゲーティングした阻害加重体積である。fX、Yは、それぞれの単一薬剤で使用される希釈係数であり、包含係数fcovは、合計/試験された組合せ用量マトリックスポイントの比によりスコアをスケールアップすることで、データの欠損を補償する。(https://horizondiscovery.com/-/media/Files/Horizon/resources/Technical-manuals/hd-technical-manual-chalice-analyzer-viewer.pdf)。
【0468】
図4は、MCF7細胞における7日間の化合物Aおよびパルボシクリブでの完全用量応答マトリックスを示している。
図4Aは、用量を関数として化合物活性を示すヒートマップを示している。1.14の相乗効果スコアが計算された。
図4Bは、実験阻害(曲線)が相加性を超える用量組合せを示すアイソボログラムを示している(ダイアゴナル)。
【0469】
(実施例7)
T47D乳癌細胞におけるin vitroスクリーニング
T47DヒトER+乳癌細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から得、10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシンを補充されたRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地中で維持した。すべての細胞を37℃、5%CO2の加湿インキュベーター中で維持した。1ウェルあたり2000細胞を96ウェルプレートに播種し、終夜インキュベートした。パルボシクリブは5ポイント用量曲線で、2.5μMから出発して9.765625nMまで4倍希釈プレートに添加し、それぞれのCDK2阻害薬は、化合物Aでは3μM~1.37nMの8ポイント3倍希釈用量曲線でプレートに添加するマトリックス形式で、化合物を添加した。細胞を6~8日間、37℃、5%CO2でインキュベートした。CyQuant Direct増殖試薬(Invitrogen)を製造者指示書に従って添加し、蛍光をTecan M1000プレートリーダーで読み取った。データをChalice Bioinformatics Software v1.6で解析し、「相乗効果スコア」計算値を生成したが、ここで、S=fcov ln fX ln fY Σ max(0,Iデータ)max(0,Iデータ-ILoewe)であり、これは、Loewe相加性を上回る、ポジティブゲーティングした阻害加重体積である。fX、Yは、それぞれの単一薬剤で使用される希釈係数であり、包含係数fcovは、合計/試験された組合せ用量マトリックスポイントの比によりスコアをスケールアップすることで、データの欠損を補償する。(https://horizondiscovery.com/-/media/Files/Horizon/resources/Technical-manuals/hd-technical-manual-chalice-analyzer-viewer.pdf)。
【0470】
図5は、T47D細胞における7日間の化合物Aおよびパルボシクリブでの完全用量応答マトリックスを示している。
図5Aは、用量を関数として化合物活性を示すヒートマップを示している。3.11の相乗効果スコアが計算された。
図5Bは、実験阻害(曲線)が相加性を超える用量組合せを示すアイソボログラムを示している(ダイアゴナル)。
【0471】
(実施例8)
細胞増殖アッセイ
試験化合物の機能効果を、3種のER+乳癌細胞系において7日間抗増殖アッセイで測定した。細胞を96ウェルプレートに接種し、化合物処置前に、終夜接着させた。DMSO中10μMの最大用量および2連での1:3希釈用量曲線を使用して、CyQuant Direct Cell Proliferation Assay Kitにより測定されたとおりEC50値(nM)を決定した。データを下の表2に示す。
【0472】
【0473】
(実施例9)
MCF-7乳癌異種移植片におけるin vivo研究
MCF7モデルを、継代0腫瘍断片をレシピエントマウスに移植することにより樹立した。MCF7ドナーマウスを樹立するために、腫瘍細胞(5×106細胞/マウス、50%Cultrex(登録商標)Basement Membrane Matrixと共に)を雌のNSGマウスに皮下移植した。700~800mm
3の範囲に達したら、続いて、研究拡大のために、ドナー腫瘍を二次レシピエントマウスに移植した。腫瘍体積が100mm
3~291mm
3の間の範囲に達したら、担腫瘍マウスを群(1群あたりn=10)に無作為に割り当て、1)ビヒクル(0.1%Tween80を含む水中0.5%MC);2~4)それぞれ、25、75および150mg/kgの化合物A(遊離塩基、MW=404.22、バッチ番号006)BID、パルボシクリブ(遊離塩基、MW=447.53、バッチ番号039)および化合物A/パルボシクリブ組合せを投与した。150mg/kg化合物A、po、BIDは、このモデルでの最大耐量である。化合物AおよびパルボシクリブをBID(7時間あけて)で(p.o.)投与した。TGIを1回目の投与後21日目(または腫瘍断片移植後42日目)に評価した。腫瘍増殖阻害曲線を
図6に示す。パルボシクリブ(10mpk)と25mpk(
図6A)または75mpk(
図6B)の化合物Aとの組合せでの強化は、統計学的に有意ではなかった。腫瘍増殖阻害の有意な強化は、パルボシクリブ(10mpk)と150mpkの化合物Aとの組合せで観察された(
図6C)。150mpk組合せ群では、マウスの50%が死亡していることが見い出されたか、または重度の貧血により21日間の終了までに安楽死させた。
【0474】
(実施例10)
単一の薬剤としての、およびパルボシクリブとの組合せでの化合物Aのフェーズ1/2a研究
単一薬剤として、次いで、CDK4/6阻害薬(パルボシクリブ)と組み合わせて、およびパルボシクリブおよびレトロゾールと組み合わせて投与される化合物Aのフェーズ1/2a、オープンラベル多施設、複数回投与、用量漸増、安全性、PKおよびPD研究を、選択された腫瘍適応症において行う。次のコホートの成人参加者が登録される:(1)進行性または転移性SCLCを有する参加者、(2)進行性白金抵抗性卵巣癌を有する参加者、(3)局所再発性、進行性または転移性TNBCを有する参加者、(4)HR+/HER2-進行性または転移性乳癌を有する任意の閉経状態の女性および男性、ならびに(5)進行性または転移性NSCLCを有する参加者。
【0475】
用量漸増をPart 1Aで行って、進行性または転移性SCLC、進行性白金抵抗性卵巣癌、局所再発性/進行性または転移性TNBCを有する参加者、HR+/HER2-進行性または転移性乳癌を有する任意の閉経状態の女性および男性、ならびに進行性または転移性NSCLCにおける、単一薬剤としての化合物Aの最大耐量(MTD)および推奨フェーズ2用量(RP2D)を決定する。
【0476】
パルボシクリブとの組合せでの化合物A、ならびにパルボシクリブおよびレトロゾールとの組合せでの化合物Aでの用量設定をPart 1Bで行う。Part 1Bは、進行性白金抵抗性上皮性卵巣癌(EOC)、原発性腹膜癌腫症(PPC)、およびファロピウス管癌(FTC)、局所再発性/進行性または転移性TNBCを有する参加者、ならびにHR+/HER2-進行性または転移性乳癌を有する任意の閉経状態の女性および男性を含むこととなる。
【0477】
用量拡大はPart2で行い、単一薬剤としての、パルボシクリブとの組合せでの、ならびにパルボシクリブおよびレトロゾールとの組合せでの化合物Aを、SCLC、卵巣癌、TNBC、およびHR-陽性HER2-陰性進行性または転移性乳癌を含む用量拡大アームで含む。
【0478】
過量制御を伴う漸増(EWOC)基準と共にBayesロジスティック回帰モデル(BLRM)をPart 1Aおよび1Bで用いて、用量漸増をガイドし、単一薬剤としての、およびパルボシクリブとの組合せでの、またはパルボシクリブおよびレトロゾールとの組合せでの化合物AのMTD/RP2Dを決定することとする。
【0479】
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。上述の発明を多少詳細に、実例および実施例で記載してきたが、本発明の教示を考慮することで、添付の特許請求の範囲の意図および範囲から逸脱することなく、それらに対して一定の変化および変更を行うことができることは当業者には容易に分かるであろう。