(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020602
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】スマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム
(51)【国際特許分類】
H04L 9/32 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
H04L9/00 675Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021119115
(22)【出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】202010699054.7
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010938091.9
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521012474
【氏名又は名称】江蘇傲為控股有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】バイ、ジェ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】契約にトラブルが発生した場合、技術の面から、電子契約に関与の何れか一方が契約を改ざんすることができないように保証する電子契約証拠保全システムを提供する。
【解決手段】システムは、電子契約プラットフォームとブロックチェーン技術とを組み合わせて電子契約に対して証拠保全を行い、ブロックチェーンの非中央集権性、改ざん不可、全過程に対するロギング、追跡可能、集合的保守及び公開透明などの特徴を利用して、電子契約証拠保全の信頼性を保証する。取引処理スマートコントラクトを構築して、電子契約をブロックチェーン証拠保全プラットフォームにアップロードして証拠保全する。ここで、ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに送信する電子契約データを暗号化及び離散化処理してデータツリーを生成し、データの改ざん防止をより容易にし、データ伝送過程の安全性とプライバシーとを向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムであって、
電子契約プラットフォームと、ブロックチェーン証拠保全プラットフォームと、電子契約プラットフォーム又はブロックチェーン証拠保全プラットフォームが作成した取引処理スマートコントラクトと、を含み、
前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームは、前記電子契約プラットフォームに証拠保全サービスを提供する複数の証拠保全ノードを含み、
前記電子契約プラットフォームは、
電子契約に対して前処理を行うことにより、証拠保全情報を得る証拠保全情報生成ステップと、
前記証拠保全情報を暗号化及び離散化処理して、対応するデータツリーを生成するデータ処理ステップと、
コントラクト取引を構築する取引構築ステップであって、前記コントラクト取引の発起側が、ユーザであり、受信側が、対応する取引処理スマートコントラクトアドレスであり、前記コントラクト取引が、ユーザ秘密鍵と電子契約プラットフォーム秘密鍵との両方により締結されるステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー及び前記コントラクト取引を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに送信するデータ送信ステップと、が配置されており、
前記証拠保全ノードは、
ユーザ公開鍵及び電子契約プラットフォーム公開鍵で、受信された前記証拠保全情報、前記データツリー及び前記コントラクト取引の正当性、完全性及び有効性を検証する検証ステップと、
前記取引処理スマートコントラクトを呼び出し、前記証拠保全情報、前記データツリー及び前記コントラクト取引を前記取引処理スマートコントラクトに伝送して、前記取引処理スマートコントラクトを実行することにより、スマートコントラクト実行結果を得るスマートコントラクト呼び出しステップと、
前記スマートコントラクト実行結果をデータブロックに生成するデータブロック生成ステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー、前記コントラクト取引、前記スマートコントラクト実行結果及び前記データブロックをブロックチェーンに記憶するブロックチェーンへの記憶ステップと、
前記コントラクト取引に対してハッシュ演算を行うことにより、取引ハッシュ値を得る取引ハッシュ演算ステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー、前記コントラクト取引、前記スマートコントラクト実行結果、前記データブロック及び前記取引ハッシュ値を前記電子契約プラットフォームに返信するデータ返信ステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー、前記コントラクト取引、前記スマートコントラクト実行結果、前記データブロック及び前記取引ハッシュ値を次の前記証拠保全ノードに伝送するデータ継続伝送ステップと、が配置されている、
ことを特徴とするスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項2】
前記取引処理スマートコントラクト内には、所定の証拠保全ノード数が設定されており、
前記証拠保全ノードは、
前記ブロックチェーンへの記憶ステップを完了した前記証拠保全ノードの数が前記所定の証拠保全ノード数を超えたかを判断する証拠保全ノード数判断ステップと、
前記ブロックチェーンへの記憶ステップを完了した前記証拠保全ノードの数が前記所定の証拠保全ノード数を超えた場合、前記取引処理スマートコントラクトの実行を完了させて前記電子契約の証拠保全フローが終了し、前記データ継続伝送ステップの実行を停止する証拠保全フロー完成ステップと、がさらに配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項3】
前記取引処理スマートコントラクト内には、所定の証拠保全時間が設定されており、
前記証拠保全ノードは、
前記データブロックの生成時間が前記所定の証拠保全時間を超えたかを判断する証拠保全時間判断ステップと、
前記データブロックの生成時間が前記所定の証拠保全時間を超えた場合、前記取引処理スマートコントラクトの実行を完了させて前記電子契約の証拠保全フローが終了し、前記データ継続伝送ステップの実行を停止する証拠保全フロー完成ステップと、がさらに配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項4】
前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームは、少なくとも1つのデータ分割ノードをさらに含み、
前記データ分割ノードは、
受信された前記データツリーを分割して複数のパケットデータを得るデータ分割ステップと、
各前記パケットデータに対して番号を付ける番号付けステップと、が配置されており、
前記取引処理スマートコントラクトは、各前記パケットデータに対して、対応する前記証拠保全ノードを割り当てて記憶し、
前記証拠保全ノードは、前記取引処理スマートコントラクトが割り当てた前記パケットデータを記憶し、記憶後続いて前記データ継続伝送ステップを実行するパケット記憶ステップがさらに配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項5】
前記電子契約プラットフォームは、
前記データツリーを分割して複数のパケットデータを得るデータ分割ステップと、
各前記パケットデータに対して番号を付け、ユーザ秘密鍵を用いて各前記パケットデータを暗号化し、暗号化後続いて前記データ送信ステップを実行する番号付け暗号化ステップと、がさらに配置されており、
前記取引処理スマートコントラクトは、各前記パケットデータに対して、対応する前記証拠保全ノードを割り当てて記憶し、
前記証拠保全ノードは、前記取引処理スマートコントラクトが割り当てた前記パケットデータを記憶し、記憶後続いて前記データ継続伝送ステップを実行するパケット記憶ステップがさらに配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項6】
前記電子契約プラットフォームは、
前記データツリーを分割して複数のパケットデータを得るデータ分割ステップと、
各前記パケットデータに対して番号を付け、電子契約プラットフォーム秘密鍵を用いて各前記パケットデータを暗号化し、暗号化後続いて前記データ送信ステップを実行する番号付け暗号化ステップと、がさらに配置され、
前記取引処理スマートコントラクトは、各前記パケットデータに対して、対応する前記証拠保全ノードを割り当てて記憶し、
前記証拠保全ノードは、前記取引処理スマートコントラクトが割り当てた前記パケットデータを記憶し、記憶後続いて前記データ継続伝送ステップを実行するパケット記憶ステップがさらに配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項7】
前記証拠保全情報生成ステップは、
電子契約に対して関連操作を行うことにより、契約操作結果を得る契約操作ステップであって、前記関連操作は、締結と、契約更新と、変更と、停止と、を含むステップと、
前記契約操作結果に対応する電子契約証明書を取得する証明書取得ステップと、
前記電子契約証明書の署名方式を選択して、前記電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得する証明書署名方式選択ステップであって、前記署名方式は、ローカル署名と、電子契約プラットフォーム署名と、証拠保全プラットフォーム署名と、を含むステップと、を含み、
前記証拠保全情報は、前記契約操作結果と、前記電子契約証明書と、前記署名証明書と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項8】
前記電子契約プラットフォームが前記証明書署名方式選択ステップで選択したのがローカル署名である場合、前記ユーザ秘密鍵を用いて前記電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得し、
前記電子契約プラットフォームは、
前記電子契約を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全するかを判断するアップロード判断ステップがさらに配置されており、
前記電子契約を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全すると決定された場合、続いて前記取引構築ステップを実行する、
ことを特徴とする請求項7に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項9】
前記電子契約プラットフォームが前記証明書署名方式選択ステップで選択したのが電子契約プラットフォーム署名である場合、前記電子契約プラットフォーム秘密鍵を用いて前記電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得し、
前記電子契約プラットフォームは、
前記電子契約を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全するかを判断するアップロード判断ステップがさらに配置されており、
前記電子契約を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全すると決定された場合、続いて前記取引構築ステップを実行する、
ことを特徴とする請求項7に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【請求項10】
前記電子契約プラットフォームが前記証明書署名方式選択ステップで選択したのが証拠保全プラットフォーム署名である場合、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム公開鍵を用いて前記電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得し、
前記電子契約プラットフォームは、
前記電子契約を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全するかを判断するアップロード判断ステップがさらに配置されており、
前記電子契約を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全すると決定された場合、続いて前記取引構築ステップを実行する、
ことを特徴とする請求項7に記載のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年7月20日に中国特許局に提出された、出願番号が202010699054.7であり、発明の名称が「スマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システム」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電子契約証拠保全の技術分野に関し、具体的には、スマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムに関する。
【背景技術】
【0003】
インターネット時代の発展に伴い、電子契約プラットフォームは、ユーザの証明書認証局(Certificate Authorrity、CA)機関から発行される証明書により電子契約に捺印し、同様の法的効力を有し、電子契約が契約形態として広く利用されるようになってきている。
【0004】
しかし、現在、電子契約を記憶するには、データベース記憶プラットフォームが採用されており、この記憶方式は、実質的には中央集権型の記憶であり、契約データが改ざん及び偽造されやすいというおそれがある。そのため、後続の電子契約データの呼び出しにおいて、記憶されていた電子契約データが信頼することができなくなり、電子契約データの記憶がその意味を失うことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願に係るスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムは、従来の電子契約の中央集権型の記憶方式において、契約データが改ざんや偽造されやすいというおそれがあり、後続の電子契約データの呼び出しにおいて、記憶されていた電子契約データが信頼することができなくなるという問題を解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
スマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムは、電子契約プラットフォームと、ブロックチェーン証拠保全プラットフォームと、電子契約プラットフォーム又はブロックチェーン証拠保全プラットフォームが作成した取引処理スマートコントラクトと、を含み、前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームは、前記電子契約プラットフォームに証拠保全サービスを提供する複数の証拠保全ノードを含み、
前記電子契約プラットフォームは、
電子契約に対して前処理を行うことにより、証拠保全情報を得る証拠保全情報生成ステップと、
前記証拠保全情報を暗号化及び離散化処理して、対応するデータツリーを生成するデータ処理ステップと、
コントラクト取引を構築する取引構築ステップであって、前記コントラクト取引の発起側が、ユーザであり、受信側が対応する取引処理スマートコントラクトアドレスであり、前記コントラクト取引が、ユーザ秘密鍵と電子契約プラットフォーム秘密鍵との両方により締結されるステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー及び前記コントラクト取引を前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに送信するデータ送信ステップと、が配置されており、
前記証拠保全ノードは、
ユーザ公開鍵及び電子契約プラットフォーム公開鍵で、受信された証拠保全情報、前記データツリー及び前記コントラクト取引の正当性、完全性及び有効性を検証する検証ステップと、
前記取引処理スマートコントラクトを呼び出し、前記証拠保全情報、前記データツリー及び前記コントラクト取引を前記取引処理スマートコントラクトに伝送して、前記取引処理スマートコントラクトを実行することにより、スマートコントラクト実行結果を得るスマートコントラクト呼び出しステップと、
前記スマートコントラクト実行結果をデータブロックに生成するデータブロック生成ステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー、前記コントラクト取引、前記スマートコントラクト実行結果及び前記データブロックをブロックチェーンに記憶するブロックチェーンへの記憶ステップと、
前記コントラクト取引に対してハッシュ演算を行うことにより、取引ハッシュ値を得る取引ハッシュ演算ステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー、前記コントラクト取引、前記スマートコントラクト実行結果、前記データブロック及び前記取引ハッシュ値を前記電子契約プラットフォームに返信するデータ返信ステップと、
前記証拠保全情報、前記データツリー、前記コントラクト取引、前記スマートコントラクト実行結果、前記データブロック及び前記取引ハッシュ値を次の前記証拠保全ノードに伝送するデータ継続伝送ステップと、が配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記の技術的構成によれば、本願に係るスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムは、電子契約プラットフォームと、ブロックチェーン証拠保全プラットフォームと、電子契約プラットフォーム又はブロックチェーン証拠保全プラットフォームが作成した取引処理スマートコントラクトと、を含み、前記ブロックチェーン証拠保全プラットフォームは、前記電子契約プラットフォームに証拠保全サービスを提供する複数の証拠保全ノードを含む。本願のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムにより、電子契約プラットフォームとブロックチェーン技術とを組み合わせて電子契約に対して証拠保全を行い、ブロックチェーンの非中央集権性、改ざん不可、全過程に対するロギング、追跡可能、集合的保守及び公開透明などの特徴を利用して、電子契約証拠保全の信頼性を保証する。取引処理スマートコントラクトを構築して、電子契約をブロックチェーン証拠保全プラットフォームにアップロードして証拠保全する。ここで、ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに送信する電子契約データを暗号化及び離散化処理してデータツリーを生成し、データの改ざん防止をより容易にし、データ伝送過程の安全性とプライバシーとを向上させる。秘密鍵署名、公開鍵検証の方式で、電子契約証拠保全過程の実行可能性をより向上させ、改ざんと偽造とが防止される。契約にトラブルが発生した場合、技術の面から、電子契約に関与の何れか一方が契約を改ざんすることができないように保証する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、本願の技術的構成をより明確に説明するために、実施例に使用が必要な図面を簡単に紹介し、当業者であれば、創造的な労力無しで、これらの図面に基づいて他の図面を容易に得ることができる。
【
図1】本願の実施例に係る第1種のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムのトポロジー図である。
【
図2】
図1に示されたスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムのデータ処理フローチャートである。
【
図3】
図2に示されたデータ処理フローチャートに対応する方法ステップのフローチャートである。
【
図4】本願の実施例に係る第2種のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムに対応するデータ分割のフローチャートである。
【
図5】本願の実施例に係る第3種のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムに対応するデータ分割のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例に係る技術的構成を明確かつ完全に説明し、説明される実施例は、全ての実施例ではなく、本願の実施例の一部にすぎない。本願における実施例に基づいて、当業者であれば、創造的な労力無しで得ることができる全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0010】
図1は、本願の実施例に係る第1種のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムのトポロジー図である。
図1に示すように、本実施例に係るスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムは、電子契約プラットフォーム1と、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2と、取引処理スマートコントラクトと、を含み、取引処理スマートコントラクトは、電子契約プラットフォーム1により作成されてもよく、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2により作成されてもよい。ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2は、ポイント・ツー・ポイント通信が可能な複数のノード21を含むことができ、少なくとも1つのノード21は、アカウント作成ノード22として、アカウント作成サービスを電子契約プラットフォーム1に提供することができ、複数のノード21は、証拠保全ノード23として、証拠保全サービスを電子契約プラットフォーム1に提供することができる。電子契約証拠保全データの基本的な情報は、表1に示される通りであり、表1は、電子契約証拠保全データの基本的な情報照合表である。
【0011】
【0012】
なお、本願で説明する電子契約プラットフォーム1及びブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2は、ある1つのブロックチェーン又は複数のブロックチェーンに通信可能に接続されたパブリックチェーン、サブチェーン又は連合チェーンのうちの1種であることができ、電子契約プラットフォーム1は、機能サブチェーン又は連合チェーンであることができ、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2は、パブリックチェーン、機能サブチェーン又は連合チェーンであることができ、電子契約プラットフォーム1は、通常のモノのネットワーク(Internet of Things、IoT)プラットフォームであることもでき、本願では特に限定しない。
【0013】
図2は、
図1に示されたスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムのデータ処理フローチャートであり、
図3は、
図2に示されたデータ処理フローチャートに対応する方法ステップのフローチャートである。
図1~
図3を参照すると、電子契約プラットフォーム1は、
電子契約に対して前処理を行うことにより、証拠保全情報を得る証拠保全情報生成ステップが配置されている。
【0014】
証拠保全情報生成ステップは、
電子契約に対して関連操作を行うことにより、契約操作結果を得る契約操作ステップであって、関連操作は、締結と、契約更新と、変更と、停止と、を含むステップと、
契約操作結果に対応する電子契約証明書を取得する証明書取得ステップであって、電子証明書は、電子契約プラットフォーム又は第三者CAプラットフォームが発行する正当な電子証明書であるステップと、
電子契約証明書の署名方式を選択して、電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得する証明書署名方式選択ステップであって、署名方式は、ローカル署名と、電子契約プラットフォーム署名と、証拠保全プラットフォーム署名と、を含むステップと、をさらに含むことができる。また、証拠保全情報は、前記契約操作結果と、電子契約証明書と、署名証明書と、を含むことができる。
【0015】
電子契約プラットフォーム1が証明書署名方式選択ステップで選択したのがローカル署名である場合、ユーザ秘密鍵を用いて電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得する。
【0016】
電子契約プラットフォーム1が証明書署名方式選択ステップで選択したのが電子契約プラットフォーム署名である場合、電子契約プラットフォーム秘密鍵を用いて電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得する。
【0017】
電子契約プラットフォーム1が証明書署名方式選択ステップで選択した証拠保全プラットフォーム署名である場合、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム公開鍵を用いて電子契約証明書に署名することにより、署名証明書を取得する。
【0018】
秘密鍵と公開鍵とは対応して出現するものであり、秘密鍵を用いて電子契約に署名した後、電子契約の呼び出しのために、その後に公開鍵を用いて署名証明書を容易に還元することができる。
【0019】
証拠保全情報を生成後、続いてデータ処理ステップを実行することにより、証拠保全情報を暗号化及び離散化処理して、対応するデータツリーを生成する。
【0020】
そして、電子契約プラットフォーム1は、電子契約をブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全するかを判断するアップロード判断ステップがさらに配置されている。電子契約をブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全しないと決定された場合、今回の電子契約の証拠保全フローは終了する。
【0021】
電子契約をブロックチェーン証拠保全プラットフォームに証拠保全すると決定された場合、続いて取引構築ステップを実行することにより、コントラクト取引を構築する。コントラクト取引の発起側は、ユーザであり、受信側は、対応する取引処理スマートコントラクトアドレスであり、コントラクト取引は、ユーザ秘密鍵と電子契約プラットフォーム秘密鍵との両方により締結される。コントラクト取引は、今回の電子契約の証拠保全過程を記録するために用いられることができる。
【0022】
最後、データ送信ステップを実行することにより、証拠保全情報、データツリー及びコントラクト取引をブロックチェーン証拠保全プラットフォームに送信する。
【0023】
アカウント作成ノード22は、証拠保全プラットフォームアカウントを電子契約プラットフォームに作成するアカウント作成ステップが配置されている。アカウント作成ステップを完了後、証拠保全ノード23は、続いて関連の証拠保全ステップを行う。
【0024】
証拠保全ノード23は、
ユーザ公開鍵及び電子契約プラットフォーム公開鍵で、受信された証拠保全情報、前記データツリー及びコントラクト取引の正当性、完全性及び有効性を検証する検証ステップと、
スマートコントラクト実行結果をデータブロックに生成するデータブロック生成ステップと、
証拠保全情報、データツリー、コントラクト取引、スマートコントラクト実行結果及びデータブロックをブロックチェーンに記憶するブロックチェーンへの記憶ステップと、
コントラクト取引に対してハッシュ演算を行い、取引ハッシュ値を得る取引ハッシュ演算ステップと、
証拠保全情報、データツリー、コントラクト取引、スマートコントラクト実行結果、データブロック及び取引ハッシュ値を電子契約プラットフォームに返信するデータ返信ステップと、
証拠保全情報、データツリー、コントラクト取引、スマートコントラクト実行結果、データブロック及び取引ハッシュ値を次の証拠保全ノードに伝送するデータ再送信ステップと、が配置されてもよい。
【0025】
本実施例にて提供される別のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムは、取引処理スマートコントラクト内に予め設定された証拠保全ノード数が設定され、証拠保全ノード23は、さらに、
ブロックチェーンへの記憶ステップを完了させた証拠保全ノード数が予め設定された証拠保全ノード数を超えるか否かを判断する証拠保全ノード数判断ステップと、
ブロックチェーンへの記憶ステップを完了させた証拠保全ノード数が予め設定された証拠保全ノード数を超える場合、取引処理スマートコントラクトの実行を完了させ、電子契約の証拠保全フローが終了し、データ再送信ステップの実行を停止する証拠保全フロー完成ステップと、が配置される。
【0026】
ブロックチェーンへの記憶ステップを完了させた証拠保全ノード数が予め設定された証拠保全ノード数を超えない場合、データ再送信ステップを実行し続ける。
【0027】
本実施例に係るさらに別のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムは、取引処理スマートコントラクト内に予め設定された証拠保全時間が設定され、
証拠保全ノード23は、
データブロックの生成時間が所定の証拠保全時間を超えたかを判断する証拠保全時間判断ステップと、
データブロックの生成時間が所定の証拠保全時間を超えた場合、取引処理スマートコントラクトの実行を完了させて電子契約の証拠保全フローを終了し、データ継続伝送ステップの実行を停止する証拠保全フロー完成ステップと、がさらに配置されている。
【0028】
データブロックの生成時間が所定の証拠保全時間を超えたとのことは、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2において当該データブロックが存在する順番以降に既に十分な数のブロックがあり、すなわち、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2において電子契約関連データを証拠保全した十分な数のデータブロックがあり、この時取引処理スマートコントラクトの実行が既に完了されたことを表す。証拠保全ノード数判断ステップと証拠保全時間判断ステップとは互いに置換関係であり、そのうち1種を選択して実行してもよく、本願では特に限定しない。
【0029】
データブロックの生成時間が所定の証拠保全時間を超えなかった場合は、続いてデータ継続伝送ステップを実行する。
【0030】
なお、所定の証拠保全ノード数及び所定の証拠保全時間は、実際の需要に応じて予め設定されることができる。ブロックチェーン証拠保全プラットフォームにおいて電子契約を証拠保全するために十分な数の証拠保全ノードを必要とすることにより、証拠保全の有効性及び信頼性を保証することができる。各証拠保全ノードは、いずれもデータブロックを再生成する必要があり、データブロックの時間属性をタグ付けするために、各データブロックがいずれも対応するタイムスタンプを有する。取引処理スマートコントラクに所定の証拠保全ノード数及び所定の証拠保全時間を設定することにより、ブロックチェーン証拠保全プラットフォームにおける電子契約の記憶の有効性及び信頼性を保証することができ、より効率的である。
【0031】
なお、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2によるブロックチェーンへの記憶について、その記憶モードが、生データを同期して記憶するか、又は、生データのデータダイジェストのみ或いは圧縮データのみを記憶するかは、本願でいずれも特に限定しない。
【0032】
図4は、本願の実施例に係る第2種のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムに対応するデータを分割するフローチャートである。
図4に示すように、本実施例に係るスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムにおいて、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2の少なくとも1つのノード21は、さらにデータ分割ノードとすることができる。
【0033】
データ分割ノードは、受信されたデータツリーを分割して複数のパケットデータを得るデータ分割ステップが配置されている。任意の正の整数であるn個のパケットデータに分割した後、続いて番号付けステップを実行して、各前記パケットデータに対して、パケットデータ1、パケットデータ2、パケットデータ3、パケットデータ4、…、パケットデータnのように番号を付けることができる。この場合、取引処理スマートコントラクトは、各パケットデータに対して、対応する証拠保全ノードを割り当てて記憶する。証拠保全ノードは、取引処理スマートコントラクトが割り当てたパケットデータを記憶し、記憶後続いてデータ継続伝送ステップを実行するパケット記憶ステップがさらに配置されている。例えば、パケットデータ1、パケットデータ2、パケットデータ3、パケットデータ4、…、パケットデータnを、それぞれ証拠保全ノード1、証拠保全ノード2、証拠保全ノード3、証拠保全ノード4、…、証拠保全ノードnに記憶することができる。
【0034】
本実施例では、データツリーは、証拠保全情報が暗号化及び離散化されて得られたものであり、ブロックチェーン証拠保全プラットフォーム2は、データツリーを複数のパケットデータに分割し、データツリーを分散的にブロックチェーン証拠保全プラットフォームの複数のノードに記憶することができる。これにより、データツリーがブロックチェーン証拠保全プラットフォームに記憶される安全性をさらに向上させることができる。データツリーのデータを証拠取得する必要がある場合、パケットデータに対して再構成及び復号化操作を行うことができる。
【0035】
図5は、本願の実施例に係る第3種のスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムに対応するデータ分割のフローチャートである。
図5に示すように、本実施例に係るスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムにおいて、電子契約プラットフォーム1は、データツリーを分割して複数のパケットデータを得るデータ分割ステップがさらに配置されている。n個のパケットデータに分割した後、続いて番号付け暗号化ステップを実行して、各パケットデータに対して、パケットデータ1、パケットデータ2、パケットデータ3、パケットデータ4、…、パケットデータnのように番号を付けることができ、ユーザ秘密鍵又は電子契約プラットフォーム秘密鍵を用いて各前記パケットデータを暗号化して、番号が暗号化データ1、暗号化データ2、暗号化データ3、暗号化データ4、…、暗号化データnであるデータを得、暗号化後続いてデータ送信ステップを実行する。この場合、取引処理スマートコントラクトは、各パケットデータに対して、対応する証拠保全ノードを割り当てて記憶する。証拠保全ノードは、取引処理スマートコントラクトが割り当てたパケットデータを記憶し、記憶後続いてデータ継続伝送ステップを実行するパケット記憶ステップがさらに配置されている。例えば、暗号化データ1、暗号化データ2、暗号化データ3、暗号化データ4、…、暗号化データnを、それぞれ証拠保全ノード1、証拠保全ノード2、証拠保全ノード3、証拠保全ノード4、…、証拠保全ノードnに記憶することができる。
【0036】
本実施例では、データツリーは、証拠保全情報が暗号化及び離散化されて得られたものであり、電子契約プラットフォームは、データツリーを複数のパケットデータに分割し、データ伝送のために、パケットデータに暗号化処理を行う必要があり、データツリーを分散的にブロックチェーン証拠保全プラットフォームの複数のノードに記憶することができる。これにより、データツリーがブロックチェーン証拠保全プラットフォームに記憶される安全性をさらに向上させることができる。
【0037】
本願に係るスマートコントラクト方式に基づく電子契約証拠保全システムは、電子契約プラットフォームとブロックチェーン技術とを組み合わせて電子契約に対して証拠保全を行い、ブロックチェーンの非中央集権性、改ざん不可、全過程に対するロギング、追跡可能、集合的保守及び公開透明などの特徴を利用して、電子契約証拠保全の信頼性を保証する。取引処理スマートコントラクトによりコントラクト取引を構築し、電子契約をブロックチェーン証拠保全プラットフォームにアップロードして証拠保全する。ここで、ブロックチェーン証拠保全プラットフォームに送信された電子契約データに対して暗号化及び離散化処理してデータツリーを生成し、データの改ざん防止をより容易にし、データ伝送過程の安全性とプライバシーとを向上させる。秘密鍵署名、公開鍵検証の方式で、電子契約証拠保全過程の実行可能性をより向上させ、改ざんと偽造とが防止される。契約にトラブルが発生した場合、技術の面から、電子契約に関与の何れか一方が契約を改ざんすることができないように保証する。
【0038】
本明細書において、各実施例間で同様や類似の部分は、相互に参照すればよい。
【外国語明細書】