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特開2022-20663ブレーキ要素用の金属支持体及び関連するブレーキパッド
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  • 特開-ブレーキ要素用の金属支持体及び関連するブレーキパッド 図1
  • 特開-ブレーキ要素用の金属支持体及び関連するブレーキパッド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020663
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】ブレーキ要素用の金属支持体及び関連するブレーキパッド
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/092 20060101AFI20220125BHJP
   F16D 65/095 20060101ALI20220125BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
F16D65/092 D
F16D65/092 B
F16D65/095 K
B21D28/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021168652
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2018544473の分割
【原出願日】2017-02-23
(31)【優先権主張番号】102016000018679
(32)【優先日】2016-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】514060514
【氏名又は名称】アイティーティー・イタリア・エス.アール.エル
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・シグノリーロ
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ・カルデローニ
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ・ベルトルド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両ブレーキパッドの金属支持体と金属支持体を利用するブレーキパッドを提供する。
【解決手段】第1の面及び第2の面と、第1の面及び第2の面に対して直角である周辺縁部との間に範囲が定められたブレーキパッドの金属支持体であり、第1の面は、摩擦材料のブロック又は層を受容し、第2の面は、制振要素を受容し、第1の面は、摩擦材料のブロック又は層内に完全に埋設されるような様式で周辺縁部から離間されて片持ち状に延在する少なくとも1つの突出部を備え、少なくとも1つの突起部は、第1の表面によって範囲が定められ、その上には摩擦材料のブロック又は層で塞がれた少なくとも1つの第1の空洞が存在し、第2の面は、少なくとも1つの突起部と同じように鍛造された少なくとも1つの第2の空洞と、少なくとも1つの第1の空洞における、少なくとも1つの第1の空洞と同じように成形された少なくとも1つの第1のレリーフと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ブレーキ要素(2)、特にブレーキパッドを得るための金属支持体(1)であって、第1の面(3)であって、前記第1の面(3)の第1の部分(4)上に摩擦材料のブロック又は層(5)を受容するように設計された、第1の面(3)と、前記第1の面と略平行であり、制振要素(7)を受容するように設計された第2の面(6)と、を備え、前記第1の面及び前記第2の面が、前記第1の面及び前記第2の面に対して略直角である前記金属支持体の厚さ(S)の一方向に前記第1の面と前記第2の面との間に延在する前記金属支持体の周辺縁部(8)によって、横方向の範囲が定められ、
i)-前記第1の面(3)の前記第1の部分(4)が、少なくとも1つの突出部(11)を備え、該突出部が、前記周辺縁部(8)の外周輪郭(P)と少なくとも部分的に平行に前記第1の面から片持ち状となるが、前記周辺縁部から離間され、また、上部においては、前記第1の面と略平行な第1の表面(12)によって範囲が定められ、
ii)-前記少なくとも1つの突出部(11)内に、少なくとも1つの第1の空洞(13)が存在し、前記第1の面と略平行な底部壁(15)によって範囲が定められた第1の浅い凹部(14)を前記第1の表面(12)に画定すること、
iii)-前記第2の面(6)が、第2の浅い凹部(18)を前記第2の面に画定する少なくとも1つの第2の空洞(16)を備え、該第2の空洞(16)が、前記少なくとも1つの突出部(11)の形態及び寸法と略同一の形態及び寸法、並びに前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した前記少なくとも1つの突出部(11)の高さ(H)と略同一の、前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した深さを有すること、 iv)-前記第2の空洞(16)内に、前記少なくとも1つの第1の空洞(13)に対応して、前記少なくとも1つの第1の空洞(13)の形状及び寸法と略同一の形状及び寸法、並びに前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した前記第1の空洞(13)の深さ(R)と略同一の高さを有する、少なくとも1つのレリーフ(19)が存在し、よって、前記少なくとも1つの第2の空洞(16)及び前記少なくとも1つのレリーフ(19)が、前記制振要素(7)のための受容シート(20)を画定すること、の組み合わせを特徴とする、金属支持体(1)。
【請求項2】
剪断鋼板から作製されること、並びに、前記少なくとも1つのレリーフ(11)、少なくとも1つの第1の(13)及び1つの第2の(16)空洞、並びに前記少なくとも1つの突出部(19)が、同じ鋼塊を前記第2の面(6)から前記第1の面(3)に移動させるために、前記支持体(1)自体が前記鋼板から得られる、同じ微細剪断動作による塑性変形によって得られたことを特徴とする、請求項1に記載の金属支持体(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの突出部(11)が、前記第1の面(3)のかなりの部分を占め、一方で、前記少なくとも1つの第2の空洞(16)が、前記第2の面(6)の対応するかなりの部分を占めること、並びに、前記少なくとも1つの突出部(11)内に、前記第2の空洞(16)内に存在する複数のレリーフ(19)に対応する、複数の第1の浅い凹部(14)を前記第1の表面(12)に画定する、複数の第1の空洞(13)が配設されること、を特徴とする、請求項1又は2に記載の金属支持体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突出部(11)が、前記周辺縁部(8)によって少なくとも部分的に範囲が定められた前記第1の面(3)の前記第1の部分(4)の外周輪郭(P1)を複製するように、かつ半径方向内側に、前記外周輪郭から離間された状態を維持するように成形され、よって、使用に際して、前記少なくとも1つの突出部(11)が、前記摩擦材料のブロック又は層(5)内に完全に埋設されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属支持体。
【請求項5】
前記第1(3)及び第2(6)の面、前記第1の表面(12)、並びに前記第1及び第2の空洞(13、16)のそれぞれの底部壁(15、21)が、略平坦であり、かつ互いに平行であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属支持体。
【請求項6】
車両用のブレーキパッド(2)であって、略平坦かつ互いに平行な第1(3)及び第2(6)の面と、前記第1の面及び前記第2の面に対して略直角、かつ前記金属支持体の厚さ(S)の一方向に延在する周辺縁部(8)との間に範囲が定められた、略平坦なプレート状の金属支持体(1)と、前記周辺縁部(8)によって少なくとも部分的に範囲が定められた前記第1の面の第1の部分(4)に適用された摩擦材料のブロック又は層(5)と、前記第2の面に適用された制振要素(7)と、を備え、
i)-前記第1の面の前記第1の部分(4)が、少なくとも1つの突出部(11)を備え、該突出部が、前記周辺縁部(8)と少なくとも部分的に平行に前記第1の面(3)から片持ち状となるが、前記周辺縁部から離間され、よって、前記少なくとも1つの突出部(11)が、前記摩擦材料のブロック又は層(5)内に完全に埋設されること、前記少なくとも1つの突出部(11)が、上部においては、前記第1の面と略平行な第1の表面(12)によって範囲が定められること、
ii)-前記少なくとも1つの突出部(11)内に、少なくとも1つの第1の空洞(13)が存在し、前記第1の面と略平行な底部壁(15)によって範囲が定められた第1の浅い凹部(14)を前記第1の表面(12)に画定し、前記少なくとも1つの第1の凹部(13)が、前記摩擦材料のブロック又は層(5)によって塞がれること、
iii)-前記第2の面(6)が、第2の浅い凹部(18)を前記第2の面に画定する少なくとも1つの第2の空洞(16)を備え、該第2の空洞(16)が、前記少なくとも1つの突出部(11)の形態及び寸法と略同一の形態及び寸法、並びに前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した前記少なくとも1つの突出部(11)の高さ(H)と略同一の、前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した深さを有すること、 iv)-前記第2の空洞(16)内に、前記少なくとも1つの第1の空洞(13)に対応して、第1の空洞(13)の形状及び寸法と略同一の形状及び寸法、並びに前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した前記第1の空洞の深さ(R)と略同一の高さを有する、少なくとも1つのレリーフ(19)が存在し、よって、前記少なくとも1つの第2の空洞(16)及び前記少なくとも1つのレリーフ(19)が、前記制振要素(7)が収容されるシート(20)を画定すること、の組み合わせを特徴とする、車両用のブレーキパッド。
【請求項7】
前記制振要素が、板状に作製され、かつ少なくとも1つの穿孔(22)を有し、該穿孔が、前記少なくとも1つのレリーフ(19)の形状に対して結合する形状を有し、前記少なくとも1つのレリーフ(19)と係合して、前記制振要素を前記シート(20)の適切な位置に保持することを特徴とする、請求項6に記載の車両用のブレーキパッド。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の空洞(16)が、前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した前記制振要素(7)の厚さに略等しいか、又はやや浅い深さを有することを特徴とする、請求項6又は7に記載の車両用のブレーキパッド。
【請求項9】
車両ブレーキ要素(2)用の金属支持体(1)を得るための方法であって、金属支持体(1)を剪断鋼板から分離するために、微細剪断動作によって前記剪断鋼板から作製されること、並びに同じ金属塊を第2の面(6)から第1の面(3)に移動させるように、前記微細剪断動作と同時に、前記金属支持体の前記第1の面及び前記第2の面(3、6)の塑性変形工程が行われ、前記第1の面に、前記少なくとも1つの第1の空洞(13)内に提供された少なくとも1つのレリーフ(11)を、及び前記第2の面に、少なくとも1つの突出部(19)を内側に備えた少なくとも1つの第2の空洞(16)を実装すること、を特徴とする、方法。
【請求項10】
車両ブレーキ要素(2)用の金属支持体(1)を得るための方法であって、鋼板を微細剪断動作に提供して、前記鋼板から金属支持体(1)を分離する工程であって、該金属支持体が、摩擦材料のブロック又は層(5)及び制振要素(7)をそれぞれ受容するように設計された第1(3)及び第2(6)の面と、前記第1の面及び前記第2の面に対して略垂直である前記金属支持体の厚さ(S)の一方向に、前記第1の面と前記第2の面との間に延在する周辺縁部(8)との間に範囲が定められている、分離する工程を含み、前記微細剪断動作中に、前記鋼板の塑性変形工程が、前記周辺縁部(8)によって画定された前記金属支持体の外周輪郭(P)内で行われ、それによって、同じ鋼塊が、前記第2の面(6)から前記第1の面(3)に、かつ/又はその逆に移動され、
-前記第1の面(3)に、少なくとも1つの突出部(11)を形成し、該突出部が、前記周辺縁部(8)の前記外周輪郭(P)と少なくとも部分的に平行に前記第1の面から片持ち状となるが、前記周辺縁部から離間され、また、上部においては、前記第1の面と略平行な第1の表面(12)によって範囲が定められること、
-前記少なくとも1つの突出部(11)内に、少なくとも1つの第1の空洞(13)を形成し、該第1の空洞が、前記第1の面と略平行な底部壁(15)によって範囲が定められた第1の浅い凹部(14)を前記第1の表面(12)に画定すること、
-前記第2の面(6)に、第2の浅い凹部(18)を画定する少なくとも1つの第2の空洞(16)を形成し、該第2の空洞が、前記少なくとも1つの突出部(11)の形状及び寸法と略同一の形態及び寸法、並びに前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した前記少なくとも1つの突出部(11)の高さ(H)と略同一の、前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した深さを有すること、
-前記第2の空洞(16)内に、かつ前記少なくとも1つの第1の空洞(13)に対応して、少なくとも1つのレリーフ19を形成し、該レリーフが、前記少なくとも1つの第1の空洞(13)の形状及び寸法と略同一の形状及び寸法、並びに前記第1の面及び前記第2の面に対して垂直に測定した前記第1の空洞の深さ(R)と略同一の高さを有すること、を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキパッドなどのブレーキ要素を成型することによって得るために使用することができる金属支持体又は「バックプレート」、及びそのような金属支持体を備えた関連するブレーキパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキパッドは、車輪ディスクブレーキと協働することが意図される車両車輪ブレーキ要素であり、また、実質的に平坦なプレートとして製造される「バックプレート」として知られる金属支持体と、摩擦材料のブロックであって、おそらくは金属支持体との間に配設され、「基層」という用語で知られる断熱/制振層の介在と併せて、金属支持体の第1の表面に対して一体的に成型される、摩擦材料のブロックと、「シム」という用語によって知られる制振要素であって、ブレーキキャリパー動作の可動駆動要素又は固定反応表面のいずれかの使用に際して、第1の面の反対側の金属支持体の第2の面に、及び当該「シム」に対して適用され、使用に際して摩擦材料のブロックをブレーキディスクに押し付けるように設計された、制振要素と、を備える。
【0003】
金属支持体は、一般に鋼で作製され、また、適切な厚さの金属板を微細剪断加工することによって得られる。
【0004】
摩擦材料のブロックと金属支持体との間の接着性を向上させるために、例えば米国特許出願公開第2004/016608(A1)号又は米国特許出願公開第2011/220441(A1)号において提供されるように、支持体の第1の面は、突出部又は空洞を備えることができる。
【0005】
しかしながら、そのような解決策は、通常少なくとも1つの更なる塑性変形作業を金属支持体の製造サイクルに導入する限り、実施コストが比較的高くなり得る。また、接着性の比較的少ない増加、更には、ブレーキパッドの表面全体にわたって常に一様でない増加だけしか伴わない限りにおいて、及び金属支持体の質量の配設に非対称性もたらし、それが、その共振振動の固有振動数の制御できない変化を引き起こす場合があり、その結果、使用中にノイズを発生させる、という点で、決定的にならない場合がある。
【0006】
GB2245667は、第2の面の側によって与えられる塑性変形によって得られる第1の面の突出部を有し、したがって、第2の面の側に空洞を残す、ブレーキパッドの金属支持体に関するものであるが、これは、そうした理由から、上述した問題のいずれも解決しない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、車両ブレーキ要素、特にブレーキパッドの金属支持体、及びそのような金属支持体を利用するブレーキパッドを提供することであり、それらは、説明した不利な点を含まず、また、それは特に、金属支持体の単一の微細剪断動作によって得ることができ、同時に、摩擦材料のブロック又は層の接着力を向上させ、かつ寸法を低減させ、また、摩擦材料のブロック又は層によって提供される金属支持体の面の反対側への制振要素又はシムの有効な載置を得ることを可能にする。
【0008】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲において定義されるように、ブレーキ要素、特に車両ブレーキパッドの金属支持体、及びそのような金属支持体を使用するブレーキパッド、並びに微細剪断することによって金属支持体を得るための方法に関する。
【0009】
本発明の更なる特性及び利点は、単なる一例として与えられるその例示的で非限定的な実施形態の以下の説明から、及び添付図面内の図を参照することから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って製造されるブレーキ要素、特にブレーキパッドの分解図である。
図2図1のブレーキ要素の部品を形成する金属支持体を平面II-IIに沿って切断した、拡大した正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2を参照すると、参照番号1は、特に例示される非限定的な実施例ではブレーキパッドを備える、車両用ブレーキ要素2の一部を形成する、金属支持体を示す。
【0012】
本発明による金属支持体1は、コンパクトで、単純で、かつ製造が経済的であり、また、高い信頼性を有するブレーキ要素2を得るように設計される。
【0013】
金属支持体1は、その1つの第1の部分4で摩擦材料のブロック又は層5を受容するように設計された第1の面3と、第1の面3と略平行であり、制振要素又は「シム」7を受容するように設計された第2の面6と、を備え、ブレーキパッド又はブレーキ要素2の両方の形成部は、分かるように、図1において、上から見た3/4分解不等角投影図として例示される。
【0014】
第1の面3及び第2の面6は、金属支持体1の周辺縁部8によって横方向の範囲が定められ、縁部8は、金属支持体1の厚さS(図2)の一方向において第1の面3と第2の面6との間に延在し、当該方向は、面3及び6に対して略直角である。
【0015】
面3の第1の部分4は、縁部8の外周輪郭Pに沿って部分的に延在し、金属支持体1のそれぞれの案内部分10の範囲を定める面3のそれぞれの対向する横方向部分9から離れて、面3の全体を覆う。例示される非限定的な実施例において、案内部分10は、図1においてハッチングで概略的に例示されるように成形されたラグ又はフックであるが、それらは、より一般的には、任意の形状を有することができる。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、第1の面3の第1の部分4は、少なくとも1つの突出部11(図2)を備え、当該突出部は、周辺縁部8の外周輪郭Pと少なくとも部分的に平行に第1の面3から片持ち状となるが、周辺縁部8から離間され、また、上部においては、第1の面3と略平行な第1の表面12によって範囲が定められる。
【0017】
本発明によれば、先に説明したものと組み合わせて、少なくとも1つの突出部11内には、少なくとも1つの第1の空洞13が提供され、第1の面3と略平行な底部壁15によって範囲が定められた浅い凹部14を第1の表面12に画定する。
【0018】
本発明の更に別の態様によれば、先に説明したものと組み合わせて、第2の面6は、第2の浅い凹部18を第2の面6に画定する少なくとも1つの第2の空洞16を備え、当該第2の空洞は、少なくとも1つの突出部11の形状及び寸法と略同一の形態及び寸法、並びに面3、6に対して垂直に測定した少なくとも1つの突出部11の高さH(図2)と略同一の、第1の面3及び第2の面6に対して垂直に測定した深さを有する。
【0019】
少なくとも1つの空洞16内に、及び少なくとも1つの第1の空洞13に対応して、少なくとも1つのレリーフ19が存在し、当該レリーフは、少なくとも1つの第1の空洞13の形状及び寸法と略同一の形状及び寸法、並びに面3、6に対して垂直に測定した空洞13の深さR(図2)と略同一の高さを有する。
【0020】
本発明の非第2の態様によれば、突出部11及び対応する空洞16は、空洞16及び少なくとも1つのレリーフ19が、空洞16によって範囲が定められた浅い凹部18内で、制振要素7を受容するためのシート20を画定するというように設計される。
【0021】
金属支持体1は、剪断鋼板から製造され、少なくとも1つのレリーフ11、少なくとも1つの第1の空洞13及び第2の空洞16、並びに少なくとも1つの突出部19は、同じ鋼塊を第2の面6(空洞16を作成する)から第1の面3(突出部11を作成する)まで移動させるように、支持体1自体が鋼板から得られる、同じ微細剪断動作による塑性変形によって得られ、したがって、移動されない支持体1の鋼塊部は、空洞16内の少なくとも1つの突出部19、並びに突出部11内及びその上面12の対応する少なくとも1つの空洞13を作成する。また、所望の構成に応じて、同時に動作させることによって、又は、代替的にその逆に行うことによって、すなわち、鋼塊部を第1の面3(例えば、空洞13を作成することによって)から、第2の面6(例えば、レリーフ19を作成することによって)まで移動させることによって得ることも可能である。
【0022】
図1及び図2に例示される本発明の好適な実施形態によれば、第1の面3の、特に面3の第1の部分4の、かなりの部分を占める単一の突出部11、及び第2の面6の対応するかなりの部分を占める単一の空洞16が存在する。
【0023】
ここで、及び以下、金属支持体1の面(3又は6)又は面の一部分(4)の「かなりの部分」については、面3及び6の一部、並びに/又は面3の一部分4の部が、そのような面3、6及び/又は面3の一部分4の総表面延長部の50%以上を意図する。
【0024】
図1及び図2の好ましい実施形態によれば、更に、単一の突出部11内には、浅い凹部18を画定する単一の空洞16内に複数のレリーフ19が存在する、離間された複数の浅い凹部14を表面12に画定する複数の空洞13が配設される。
【0025】
浅い凹部14及び対応するレリーフ19は、平面図において、例示される非限定的な実施形態によれば、直線状又は半月形の形態を有する。
【0026】
特に、少なくとも1つ又は単一の突出部11は、図1においてハッチングで概略的に例示され、周辺縁部8によって少なくとも部分的に範囲が定められた第1の面3の第1の部分4の外周輪郭P1の全体を複製するように成形される。輪郭P1は、案内部分10を除いて、輪郭Pを正確に複製し、また、それと平行に出現し、その方向において、当該輪郭は、摩擦材料のブロック又は層5を成型することによって受容することを意図する面3の部分4の範囲を定める。
【0027】
輪郭P1は、半径方向内側に、外周輪郭Pから離間された状態を維持するように更に成形され、よって、少なくとも1つの突出部11が、摩擦材料のブロック又は層5内に完全に埋設される。
【0028】
好ましくは、面3、6、表面12、空洞13の底部壁15、及び空洞16の底部壁21(図2)は、略平坦であり、かつ互いに平行である。
【0029】
説明される金属支持体1は、図1に例示されるように、車両用ブレーキパッド2からなるブレーキ要素の一体部分である。しかしながら、当業者には、説明されることが、任意のタイプのブレーキ要素に、したがって、ブレーキシューにも適用することができることが明白で、明らかである。
【0030】
ブレーキパッド2は、既に説明した金属支持体1であって、略平坦であり、かつ互いに平行である面3、6と、金属支持体1の厚さSの方向に延在する面3、6に対して略直角である周辺縁部8との間に範囲を定められた、略平坦なプレートの形態である、金属支持体1と、既知の方式で、例えば成型によって、輪郭P1を有し、したがって、周辺縁部8によって少なくとも部分的に範囲を定められた面3の第1の部分4に適用された、摩擦材料のブロック又は層5と、第2の面6に適用された制振要素又は「シム」7と、を備える。
【0031】
面3の部分4は、単一の突出部11を有し、又は図示されない可能な実施形態によれば、複数の突出部11であって、部分4のかなりの部分を占め、また、周辺縁部8と少なくとも部分的に平行に面3から片持ち状となるように延在するが、周辺縁部8から取り外され、よって、少なくとも1つの突出部11が、摩擦材料のブロック又は層5内に完全に埋設される、複数の突出部を有する。突出部11(複数可)は、上部においては、略平坦で、かつ面3と平行な表面12によって範囲を定められる。
【0032】
単一の突出部11内には、又は突出部11の少なくとも1つ、好ましくは全ての中には、摩擦材料のブロック又は層5によって塞がれる少なくとも1つの空洞13、好ましくは複数の空洞13が配設される。
【0033】
このようにして、金属支持体1に対する摩擦材料5のブロック又は層の驚くほど強力な接着性が得られ、プロセス条件よる接着性は、面3上に単一の突出部又は単一の空洞が存在することによって、更には、面3上に突出部及び空洞が同時に存在するが、並列に配設されることによって得られたものよりも接着性が大きい。この接着性は、現在の生産規格によって達成可能である接着性よりも更に良好であり、金属支持体は、両面において滑らかであり、また、摩擦材料によって塞がれる穴だけを有する。
【0034】
本発明の基本的な態様によれば、第2の面6は、単一の空洞16を備え、又は、図示されない1つの可能な実施形態によれば、複数の空洞16を備え、当該空洞は、面6のかなりの部分を占め、面6に、1つの浅い凹部18/複数の浅い凹部18を画定し、当該浅い凹部は、単一の突出部11又は複数の突出部11の形状及び寸法と略同一の形状及び寸法、並びに面3、6に対して垂直に測定した突出部(複数可)11の高さHと略同一の、面3、6に対して垂直に測定した深さを有する。
【0035】
更に、空洞16(複数可)内には、及び空洞13(複数可)に対応して、空洞13(複数可)の形状及び寸法と略同一の形状及び寸法、並びに面3、6に対して垂直に測定した空洞13(複数可)の深さRと略同一の高さを有する、少なくとも1つのレリーフ/複数のレリーフ19が存在する。
【0036】
このようにして、単一の空洞又は複数の空洞16、及びその中の1つのレリーフ/複数のレリーフ19は、制振要素7の形状に従って、(単一の空洞15及び対応する突出部11の事例において)制振要素7の全体、又は(複数の空洞16及び突出部11の事例において)その一部が位置付けられるシート20を画定する。
【0037】
好ましい実施形態によれば、制振要素7は、平板の形態で製造され、また、少なくとも1つの穿孔22、この事例では、複数の適切な形状の穿孔22を有し、当該穿孔は、制振要素7をシート20内の適切な位置に保持するために、1つのレリーフ/複数のレリーフ19の形状と結合し、かつそれと係合する形状を有する。
【0038】
空洞16(複数可)は、面3、6に対して垂直に測定した制振要素7の厚さに略等しい、又はやや浅い深さを有し、よって、制振要素7の厚さは、全体的に、又は部分的に厚さSのフットプリント内に残り、したがって、金属支持体1の厚さSによって補正される。同じことが、摩擦材料5のブロック及び突出部11にも当てはまり、それによって、摩擦材料の厚さの一部は、金属支持体1の厚さのフットプリント内である。このようにして、全体的な機械的抵抗及び使用される材料の量を低減させることなく、ブレーキパッド2の厚さの低減が得られる。
【0039】
しかし、とりわけ、説明される特別な幾何学的形状は、本発明によれば、単一の微細剪断動作によって突出部11及び19、並びに空洞13及び16を得ることを可能にし、同時に、金属板、特に鋼から出発する支持体1を得る。
【0040】
したがって、本発明は、車両ブレーキ要素2用の金属支持体1を得るための方法に関するものであり、面3及び6と周辺縁部8との間に範囲を定められた金属支持体1を鋼板から分離するために、(簡潔にするために図示せず)鋼板に微細剪断を受けさせる工程を含み、微細剪断動作中に、鋼板の塑性変形工程が、周辺縁部8によって画定された金属支持体1の外周輪郭P内で行われ、塑性変形工程によって、同じ鋼塊を第2の面6から第1の面3まで移動させて、
-第1の面3に少なくとも1つの突出部11を、及び突出部11内に1つ以上の空洞13を、並びに
-第2の面6に少なくとも1つの空洞16を、並びに空洞16内に、及び空洞13に1つ以上の突出部19を、同時に形成する。
【0041】
実際には、微細剪断金型は、縁部8の剪断と共に、同じく突出部11及び19、並びに空洞16及び13の形成も、同時にかつ単一の動作で得るように修正される。しかし、これは、説明される固有及び特定の幾何学的形状によってのみ可能であり、剪断金型の種々の部分で生じる反力のバランスをとることを可能にし、したがって、支持体1の複雑な形状全体を、単一の動作によって得られることを可能にする。
【0042】
最終的に、ブレーキパッド2はまた、制振要素7の適切な穿孔22bによって支持体1に一体的に提供される反応ばね23を備え、特に、ばね23は、突出部19bに固定され、当該突出部は、面6から部分的に片持ち状に、浅い凹部18の外側へ突出し、また、対応する空洞13bを、他の空洞13よりも深い突出部11の表面12に配設することによって得られる。
【0043】
空洞13の厚さ及び対応するレリーフ19の高さは、通常、レリーフ19の上部及び底部壁21が、それぞれ、面6及び面3と略面一であるように選択されるが、変形例によれば、図2においてハッチングで概略的に例示されているだけであるが、空洞13はまた、面3、6に対してオフセットして整列するように、いくらか深く配設することもできる(したがって、レリーフ19もいくらか高くなる)。
【0044】
この可能性は、本発明によって追加的な利点を提供する。実際には、空洞13、13bに対する深さの選択に応じて、及び突出部11及びレリーフ19に対する高さの選択に応じて、単純な計算、支持体1の固有振動周波数、更にはその剛性に基づいて、随意に調節することが可能である。このようにして、支持体1は、最も応力が加わる地点において局所的に補強すること、及び/又は不必要なノイズ又は振動を回避することができる。
【0045】
これらの可能性は、ここでも単一の微細剪断動作によって、金属支持体1を通る通し穴又は金属支持体に止まり穴24(図2)を配設することによって更なる調整を得るといった可能性によって更に高められる。
【0046】
この結果、本発明の目的が完全に達成される。
図1
図2
【外国語明細書】