(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020772
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】蓄電デバイス用外装材
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20220125BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20220125BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20220125BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20220125BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/129
H01M50/121
H01G11/78
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182942
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2016254888の分割
【原出願日】2016-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】南堀 勇二
(57)【要約】
【課題】成形性に優れ、表面における良好な印字性を確保できると共に、耐溶剤性にも優れた蓄電デバイス用外装材を提供する。
【解決手段】耐熱性樹脂からなる基材層と、内側層としてのシーラント層と、基材層とシーラント層の間に配置された金属箔層と、を含み、基材層における金属箔層側とは反対側の面に保護層が積層され、保護層は、少なくとも両末端のそれぞれに独立に、水酸基またはカルボキシル基を有する数平均分子量が5000~50000のポリエステルポリオールと、少なくとも脂肪族系多官能イソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート硬化剤により形成されたポリエステル樹脂を40質量%以上含有する構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性樹脂からなる基材層と、内側層としてのシーラント層と、前記基材層と前記シーラント層の間に配置された金属箔層と、を含む蓄電デバイス用外装材において、
前記基材層における前記金属箔層側とは反対側の面に保護層が積層され、
前記保護層は、少なくとも両末端のそれぞれに独立に、水酸基またはカルボキシル基を有する数平均分子量が5000~50000のポリエステルポリオールと、少なくとも脂肪族系多官能イソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート硬化剤により形成されたポリエステル樹脂を40質量%以上含有することを特徴とする蓄電デバイス用外装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン、タブレット等の携帯機器に使用される電池やコンデンサ、ハイブリッド自動車、電気自動車、風力発電、太陽光発電、夜間電気の蓄電用に使用される電池やコンデンサ等の蓄電デバイス用の外装材および該外装材で外装された蓄電デバイスに関する。
【0002】
なお、本願の特許請求の範囲および本明細書において、「ポリエステルポリオール」の語は、
1)主鎖の長さ方向における両方の末端に水酸基を有するポリエステル
2)主鎖の長さ方向における両方の末端にカルボキシル基を有するポリエステル
3)主鎖の長さ方向における一方の末端に水酸基を有し、他方の末端にカルボキシル基を有するポリエステル
を包含する意味で用いている。
【背景技術】
【0003】
近年、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル電気機器の薄型化、軽量化に伴い、これらに搭載されるリチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気2重層コンデンサ等の蓄電デバイスの外装材としては、従来の金属缶に代えて、耐熱性樹脂層(基材層)/接着剤層/金属箔層/接着剤層/熱可塑性樹脂層(内側シーラント層)からなる積層体が用いられている(特許文献1参照)。また、電気自動車等の電源、蓄電用途の大型電源、キャパシタ等も上記構成の積層体(外装材)で外装されることも増えてきている。前記積層体に対して張り出し成形や深絞り成形が行われることによって、略直方体形状等の立体形状に成形される。このような立体形状に成形することにより蓄電デバイス本体部を収容するための収容空間を確保することができる。
【0004】
また、外装材の保護や成形性(滑り性)の向上を図るために前記基材層の外側にマットニス層(保護層)を設けた構成のものも提案されている。前記マットニス層としては、例えばセルローズ系、ポリアミド系、塩酢ビ系、変性ポリオレフィン系、ゴム系、アクリル系、ウレタン系等のオレフィン系、あるいはアルキッド系合成樹脂に、シリカ系、カオリン系などの無機材料系のマット剤を適量添加したマットニスを用いることが記載されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-288865号公報
【特許文献2】特開2011-54563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、電池用の外装材では、電池の製造工程において電解液を本体部の内部に注入する際に外装材の表面(外面)に電解液(溶剤含有)が付着することがあるが、外装材の外面の耐溶剤性が良好でない場合には外装材の外観不良を生じる。例えばウレタン系樹脂で保護層を形成した場合には外装材の成形性は良いが、外装材の外面の耐溶剤性は劣っている(十分な耐溶剤性が得られない)。
【0007】
また、フッ素系樹脂で保護層を形成した場合には外装材の耐溶剤性は良好であるものの、外装材の表面(外面)に印刷する文字やバーコード等の付着性が不十分であるし、印字等に滲みが生じやすく、このように印字性が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、成形性に優れ、表面における良好な印字性を確保できると共に、耐溶剤性にも優れた蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装ケースおよび蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]耐熱性樹脂からなる基材層と、内側層としてのシーラント層と、前記基材層と前記シーラント層の間に配置された金属箔層と、を含む蓄電デバイス用外装材において、
前記基材層における前記金属箔層側とは反対側の面に保護層が積層され、
前記保護層は、少なくとも両末端のそれぞれに独立に、水酸基またはカルボキシル基を有する数平均分子量が5000~50000のポリエステルポリオールと、少なくとも脂肪族系多官能イソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート硬化剤により形成されたポリエステル樹脂を40質量%以上含有することを特徴とする蓄電デバイス用外装材。
【0011】
[2]前記水酸基のモル数と前記カルボキシル基のモル数の合計に対する前記多官能イソシアネート硬化剤のイソシアネート基のモル数の比である当量比[NCO]/[OH+COOH]が0.5~5である前項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0012】
[3]前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物は、トリメチロールプロパンと脂肪族系ジイソシアネート化合物とのアダクト体およびペンタエリスリトールと脂肪族系ジイソシアネート化合物とのアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族系多官能イソシアネート化合物である前項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0013】
[4]前記保護層を構成する前記ポリエステル樹脂は、前記ポリエステルポリオール、前記多官能イソシアネート硬化剤および3価以上の多価アルコールにより形成されたポリエステル樹脂である前項1~3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0014】
[5]前記保護層は、平均粒径1μm~10μmの固体微粒子を含有する前項1~4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0015】
[6]前記保護層は、滑剤を含有する前項1~5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0016】
[7]前記基材層と前記金属箔層の間に着色層が配置されている前項1~6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0017】
[8]前記基材層と前記着色層とが易接着層を介して積層一体化されている前項7に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0018】
[9]前項1~8のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材の成形体からなる蓄電デバイス用外装ケース。
【0019】
[10]蓄電デバイス本体部と、
前項1~8のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材及び/又は前項9に記載の蓄電デバイス用外装ケースからなる外装部材とを備え、
前記蓄電デバイス本体部が、前記外装部材で外装されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【発明の効果】
【0020】
[1]の発明では、保護層が、少なくとも両末端のそれぞれに独立に、水酸基またはカルボキシル基を有するポリエステルポリオールと、少なくとも脂肪族系多官能イソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート硬化剤により形成された数平均分子量が5000~50000のポリエステル樹脂を40質量%以上含有する構成であるので、成形性に優れていて、外装材の表面(保護層の表面)に良好状態に印字できると共に、保護層の表面は耐溶剤性にも優れている。
【0021】
[2]の発明では、当量比[NCO]/[OH+COOH]が0.5~5の範囲であるから、外装材の表面(保護層の表面)により良好状態に印字できると共に、保護層の表面の耐溶剤性をより向上させることができる。
【0022】
[3]の発明では、前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物が、上記特定の脂肪族系多官能イソシアネート化合物であるので、外装材の表面(保護層の表面)により良好状態に印字できると共に、保護層の表面の耐溶剤性をさらに向上させることができる。
【0023】
[4]の発明では、保護層を構成するポリエステル樹脂が、ポリエステルポリオール、多官能イソシアネート硬化剤および3価以上の多価アルコールにより形成された樹脂であるので、該樹脂の架橋密度が高いものとなり、外装材の表面(保護層の表面)の耐溶剤性をさらに向上させることができる。
【0024】
[5]の発明では、保護層は、平均粒径1μm~10μmの固体微粒子を含有するので、外装材の成形性をさらに向上させることができる。
【0025】
[6]の発明では、保護層は滑剤を含有するので、外装材の表面(保護層の表面)の滑り性を向上させることができて成形性を向上させることができる。
【0026】
[7]の発明では、基材層(耐熱性樹脂層)と金属箔層の間に着色層が配置されているので、着色層の色が基材層(耐熱性樹脂層)を通して外観されるので、外装材の意匠性を向上させることができる。また、着色層を基材層に対して内部側に配置しているので、着色層に傷が付いたり、色が剥がれたりすることがなくて耐久性を確保できる。
【0027】
[8]の発明では、基材層と着色層とが易接着層を介して積層一体化されているので、外装材を成形した際に着色層が基材層から剥離することを十分に防止できる。
【0028】
[9]の発明では、表面における良好な印字性を確保できると共に、耐溶剤性にも優れ、良好状態に成形された蓄電デバイス用外装ケースを提供できる。
【0029】
[10]の発明では、表面における良好な印字性を確保できるとともに耐溶剤性にも優れ、良好状態に成形された蓄電デバイス用外装材及び/又は外装ケースで外装された蓄電デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る蓄電デバイス用外装材の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る蓄電デバイスの一実施形態を示す断面図である。
【
図3】
図2の蓄電デバイスを構成する外装材(平面状のもの)、蓄電デバイス本体部及び外装ケース(立体形状に成形された成形体)をヒートシールする前の分離した状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る蓄電デバイス用外装材1の一実施形態を
図1に示す。この実施形態の蓄電デバイス用外装材1は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として好適に用いられるものであるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【0032】
前記蓄電デバイス用外装材1は、金属箔層4の一方の面(上面)に第1接着剤層(外側接着剤層)5を介して基材層(耐熱性樹脂層)2が積層一体化されると共に、前記金属箔層4の他方の面(下面)に第2接着剤層(内側接着剤層)6を介してシーラント層(内側層)3が積層一体化され、前記基材層2における前記金属箔層4側とは反対側の面に保護層7が積層一体化された構成からなる(
図1参照)。
【0033】
本実施形態では、前記基材層(耐熱性樹脂層)2の下面に易接着層8が積層され、該易接着層8の下面に着色層9が積層され、該着色層9と前記金属箔層4とが第1接着剤層5を介して接着一体化されている(
図1参照)。即ち、前記金属箔層4と前記基材層(耐熱性樹脂層)2との間に着色層9が配置されている。また、本実施形態では、前記基材層(耐熱性樹脂層)2の下面にグラビアコート法により易接着層8が積層され、該易接着層8の下面に印刷により前記着色層9が積層されている。
【0034】
[保護層]
本発明において、前記保護層7は、少なくとも主鎖の長さ方向の両末端のそれぞれに独立に、水酸基またはカルボキシル基を有する数平均分子量が5000~50000のポリエステルポリオールと、少なくとも脂肪族系多官能イソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート硬化剤により形成されたポリエステル樹脂を40質量%以上含有する構成である。このような構成が採用されているので、本発明の外装材1は、成形性に優れ、外装材の表面(保護層7の表面)に良好状態に印字できると共に、保護層7の表面は耐溶剤性にも優れている。
【0035】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールおよび多塩基カルボン酸を混合して縮重合反応を行うことによって得られる、少なくとも両末端のそれぞれに独立に、水酸基またはカルボキシル基を有するポリエステルポリオールを用いるのが、耐溶剤性をより向上できる点で好ましい。即ち、前記ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールおよび多塩基カルボン酸の縮重合体であるのが好ましい。例えば、多価アルコールおよびジカルボン酸を配合して縮重合反応を210℃で20時間行うことによって、前記「少なくとも両末端のそれぞれに独立に、水酸基またはカルボキシル基を有するポリエステルポリオール」を製造できる。前記多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9-ナノンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等が挙げられる。前記多塩基カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、グルタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0036】
前記ポリエステルポリオールとしては、数平均分子量(Mn)が5000~50000のポリエステルポリオールを使用する。数平均分子量が5000未満では、耐溶剤性が劣っていて、外装材の外面に溶剤が付着した際に保護層の表面が白く濁るという問題を生じる。一方、数平均分子量が50000を超えると粘度が高くなって塗布液の粘度が高くなり塗布が困難又は塗布性が低下するという問題を生じる。中でも、前記ポリエステルポリオールの数平均分子量は、8000~40000であるのが好ましく、10000~30000の範囲であるのが特に好ましい。なお、塗布性(塗工性)を十分に向上させることができるのは、ポリエステルポリオールの数平均分子量が5000~45000の範囲である。
【0037】
前記ポリエステルポリオールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算値の値である。具体的には、例えば、カラムとしてKF805L、KF803L、及びKF802(以上、昭和電工株式会社製)を用いてカラム温度40℃で、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、流量0.2mL/分、検出器:示差屈折率(RI)計、試料濃度0.02質量%で、標準試料として分子量が既知のポリスチレンを用いて測定した数平均分子量である。
【0038】
前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物(硬化剤)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、テトラメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。このように前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物としては、非環式のものも、環式(脂環式)のものも含む。また、脂肪族系多官能イソシアネート化合物の変性体を使用してもよい。前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物の変性体としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアヌレート化、ポリメリック化、カルボジイミド化等の多量化反応により得られる脂肪族系多官能イソシアネート化合物変性体を例示でき、具体的には例えば、脂肪族系多官能イソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネートの他、炭酸ガスと脂肪族系多官能イソシアネート化合物単量体とから得られる2,4,6-オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0039】
中でも、前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物としては、トリメチロールプロパンと脂肪族系多官能イソシアネート化合物とのアダクト体およびペンタエリスリトールと脂肪族系多官能イソシアネート化合物とのアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族系多官能イソシアネート化合物を用いるのが好ましく、さらにはトリメチロールプロパンと脂肪族系ジイソシアネート化合物とのアダクト体およびペンタエリスリトールと脂肪族系ジイソシアネート化合物とのアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族系多官能イソシアネート化合物を用いるのが特に好ましい。
【0040】
なお、上記硬化剤としては、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物と共に、芳香族系多官能イソシアネート化合物を併用してもよい。前記芳香族系多官能イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0041】
前記多官能イソシアネート硬化剤における前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物の含有率は、30質量%~100質量%に設定されるのが好ましく、中でも50質量%~100質量%に設定されるのがより好ましく、さらに70質量%~100質量%に設定されるのが特に好ましい。
【0042】
前記保護層7を構成する前記ポリエステル樹脂は、「前記ポリエステルポリオール」、「前記脂肪族系多官能イソシアネート化合物を含む前記多官能イソシアネート硬化剤」および「イソシアネート基と反応し得る官能基を1分子中に複数個有する脂肪族化合物」により形成されたポリエステル樹脂であってもよい。前記脂肪族化合物には、酸素、窒素、硫黄、塩素等の原子が結合した化合物も包含される。前記脂肪族化合物には、前記ポリエステルポリオールおよび前記多官能イソシアネート化合物を含まない。前記脂肪族化合物としては、前記ポリエステルポリオールの数平均分子量より分子量の小さいものを使用するのが好ましく、この場合には硬化反応が迅速に進むので生産性を向上できる利点がある上に、外装材の製造の際に先に保護層を形成した後に金属箔、シーラントフィルム(シーラント層)をラミネートする製造手順を採用しても保護層が加工機のロールに付着して剥がれてしまう(ロールの表面を汚染する)ことを十分に防止できる。中でも、前記「イソシアネート基と反応し得る官能基を1分子中に複数個有する脂肪族化合物」の分子量は60~9500であるのがより好ましく、100~1000の範囲であるのが特に好ましい。
【0043】
前記脂肪族化合物に関して、イソシアネート基と反応し得る官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。前記「イソシアネート基と反応し得る官能基を1分子中に複数個有する脂肪族化合物」としては、具体的には、特に限定されるものではないが、例えば、多価アルコール、脂肪族ジアミン、ジカルボン酸等が挙げられる。前記多価アルコールは、1分子中にアルコール性水酸基を2個以上有するアルコールである。前記多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン(TMP)、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、エチレングリコール、グリセリン、カルビトール、ソルビトール等が挙げられる。中でも、3価以上の多価アルコールを用いるのが好ましい。
【0044】
前記ポリエステル樹脂中における前記脂肪族化合物の含有率は1質量%~30質量%であるのが好ましい。中でも、1質量%~15質量%であるのがより好ましく、3質量%~10質量%であるのが特に好ましい。
【0045】
前記保護層7における前記ポリエステル樹脂の含有率は、40質量%~99.9質量%に設定されるのが好ましい。中でも、前記保護層7における前記ポリエステル樹脂の含有率は、50質量%~95質量%に設定されるのがより好ましく、60質量%~90質量%に設定されるのが特に好ましい。
【0046】
前記保護層7は、さらに固体微粒子を含有する構成であるのが好ましい。固体微粒子を含有することにより、蓄電デバイス用外装材1の表面(保護層7の外面)に良好な滑り性が付与され、蓄電デバイス用外装材1の成形性をより一層向上させることができる。前記保護層7の表面(外面)のグロス値は、滑り性向上の観点から、30%以下に設定されるのが好ましく、1%~15%に設定されるのがより好ましい。前記グロス値は、BYK社製のグロス測定器「micro-TRI-gloss-s」により60°反射角で測定して得られた値である。前記固体微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、カオリン微粒子、酸化カルシウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸カルシウム微粒子、硫酸バリウム微粒子、ケイ酸カルシウム微粒子、シリコーン樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズ、フッ素樹脂ビーズ等が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子、硫酸バリウム微粒子、アクリル樹脂ビーズを用いるのが好ましい。前記固体微粒子としては、平均粒径1μm~10μmの固体微粒子を用いるのが好ましい。
【0047】
前記保護層7における前記固体微粒子の含有率は、0.1質量%~60質量%に設定されるのが好ましい。0.1質量%以上であることで成形時の滑り性を向上させることができると共に、60質量%以下であることで、保護層形成時の塗布加工適性を向上できるし、保護層の保形性を十分に確保できる。中でも、前記保護層7における前記固体微粒子の含有率は、5質量%~45質量%に設定されるのがより好ましく、10質量%~30質量%に設定されるのが特に好ましい。
【0048】
前記保護層7は、滑剤を含有する構成であるのが好ましい。滑剤を含有することで良好な滑り性が付与され、蓄電デバイス用外装材1の成形性をさらに向上させることができる。前記滑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸アマイド、シリコーン、ワックス(ポリエチレンワックス、フッ素含有ポリエチレンワックス等)などが挙げられる。
【0049】
前記保護層7には、添加剤を含有させてもよい。前記添加剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応促進剤等が挙げられる。この反応促進剤は、前記ポリエステルポリオールと多官能イソシアネート化合物との反応を効率良く進行させるためのものである。前記反応促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、第3級アミン(トリブチルアミン、トリエタノールアミン等)などが挙げられる。
【0050】
前記保護層7の厚さ(乾燥後の厚さ)は、1μm~10μmに設定されるのが好ましい。前記保護層7の厚さをこのような薄い範囲に設定するには、前記保護層7が塗膜(塗布により形成された塗膜)で形成されているのが好ましい。
【0051】
[基材層(耐熱性樹脂層)]
前記基材層(耐熱性樹脂層)2は、外装材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である、即ち成形時の金属箔のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。前記基材層2を構成する耐熱性樹脂としては、外装材1をヒートシールする際のヒートシール温度で溶融しない耐熱性樹脂を用いる。前記耐熱性樹脂としては、シーラント層3を構成する熱可塑性樹脂の融点より10℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが好ましく、熱可塑性樹脂の融点より20℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが特に好ましい。
【0052】
前記基材層(耐熱性樹脂層)2は、熱水収縮率が2%~20%の耐熱性樹脂延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。熱水収縮率が2%以上であることにより、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において着色層9が耐熱性樹脂層2から剥離するのを十分に防止できる。また、熱水収縮率が20%以下であることにより、深絞り成形や張り出し成形等の成形を行った際に外装材1の着色層9が耐熱性樹脂層2から剥離するのを十分に防止できる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2.5~10%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが好ましい。更に、熱水収縮率が3.0%~6.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのがより好ましく、さらには熱水収縮率が3.5%~5.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが特に好ましい。
【0053】
なお、前記「熱水収縮率」とは、耐熱性樹脂延伸フィルム2の試験片(10cm×10cm)を95℃の熱水中に30分間浸漬した際の浸漬前後の試験片の延伸方向における寸法変化率であり、次式で求められる。
【0054】
熱水収縮率(%)={(X-Y)/X}×100
X:浸漬処理前の延伸方向の寸法
Y:浸漬処理後の延伸方向の寸法。
【0055】
なお、2軸延伸フィルムを採用する場合におけるその熱水収縮率は、2つの延伸方向における寸法変化率の平均値である。
【0056】
前記耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率は、例えば、延伸加工時の熱固定温度を調整することにより制御することができる。
【0057】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム2としては、特に限定されるものではないが、例えば、延伸ナイロンフィルム等の延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリエステルフィルム等が挙げられる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム2としては、二軸延伸ナイロンフィルム等の二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが特に好ましい。また、前記耐熱性樹脂延伸フィルム2としては、同時2軸延伸法により延伸された耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。また、「T方向における熱水収縮率」に対する「M方向における熱水収縮率」の比(MD/TD)が0.9~1.1の範囲にある耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。前記比(MD/TD)が0.9~1.1の範囲にある構成を採用した場合には、特に良好な成形性を有した外装材1を得ることができる。なお、前記「M方向」は、「機械流れ方向」を意味し、前記「T方向」は、「M方向に対して直交する方向」を意味する。前記ナイロンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロン、6,6ナイロン、MXDナイロン等が挙げられる。なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2は、単層(単一の延伸フィルム)で形成されていても良いし、或いは、例えば延伸ポリエステルフィルム/延伸ポリアミドフィルムからなる複層(延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルムからなる複層等)で形成されていても良い。
【0058】
中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2として、収縮率が2~20%の2軸延伸ポリアミドフィルム、収縮率が2~20%の2軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム又は収縮率が2~20%の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いるのが好ましい。この場合には、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色層9が耐熱性樹脂層2から剥離することを防止する効果をさらに高めることができる。
【0059】
前記基材層(耐熱性樹脂層)2の厚さは、12μm~50μmであるのが好ましい。ポリエステルフィルムを用いる場合には厚さは12μm~50μmであるのが好ましく、ナイロンフィルムを用いる場合には厚さは15μm~50μmであるのが好ましい。上記好適下限値以上に設定することで外装材として十分な強度を確保できると共に、上記好適上限値以下に設定することで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性をより向上させることができる。
【0060】
[易接着層]
前記基材層(耐熱性樹脂層)2における内面(金属箔層4側の面)に易接着層8を積層してもよい。もともと接着性の乏しい耐熱性樹脂層2の表面に、粘着性、接着性に優れる極性樹脂等をコートして易接着層8を積層することによって、着色層9との密着性、接着性をより向上させることができる。なお、前記耐熱性樹脂層2の内面(易接着層8を積層する面)には、易接着層8を積層する前に予めコロナ処理等を行って濡れ性を高めておくのが好ましい。
【0061】
前記易接着層8の形成方法は、特に限定されないが、例えば、基材層(耐熱性樹脂層)2の表面に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂の水性エマルジョン(水系エマルジョン)を塗布して乾燥させることによって易接着層8を形成することができる。前記塗布方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スプレーコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、リップコート法等が挙げられる。
【0062】
前記易接着層8は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる構成であるのが好ましい。このような構成を採用することにより、耐熱性樹脂層2と着色層9との接着力をより向上させることができて、この外装材に深絞り成形、張り出し成形等の成形を行った時、封止のために外装材をシールした時に、着色層9が耐熱性樹脂層2から剥離することを十分に防止できるし、外装材1が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、着色層9が耐熱性樹脂層2から剥離することを十分に防止できる。
【0063】
中でも、前記易接着層8は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成、又は、(メタ)アクリル酸エステル樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるのが特に好ましい。この場合には、耐熱性樹脂層2と着色層9との接着力をより一層向上させることができる。
【0064】
上記前者の構成を採用する場合において、易接着層8におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2~40/60の範囲であるのが好ましく、この場合には耐熱性樹脂層2と着色層9との接着力をさらに向上させることができる。前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりもウレタン樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、耐溶剤性、接着力が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりもウレタン樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、易接着層8におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10~50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0065】
また、上記後者の構成を採用する場合において、易接着層8における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2~40/60の範囲であるのが好ましく、この場合には耐熱性樹脂層2と着色層9との接着力をさらに向上させることができる。前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、耐溶剤性、接着力が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、易接着層8における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10~50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0066】
前記易接着層8を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂-水系エマルジョン)には、グリコール類、グリコールのエチレンオキサイド付加物等の界面活性剤を添加してもよく、この場合には樹脂水性エマルジョンにおいて十分な消泡効果を得ることができるので、表面平滑性に優れた易接着層8を形成できる。前記界面活性剤は、前記樹脂水性エマルジョン中に0.01質量%~2.0質量%含有せしめるのが好ましい。
【0067】
また、前記易接着層8を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂-水系エマルジョン)には、シリカ、コロイダルシリカ等の無機微粒子を含有させるのが好ましく、この場合にはブロッキング防止効果を得ることができる。前記無機微粒子は、前記樹脂分100質量部に対して0.1質量部~10質量部添加するのが好ましい。
【0068】
前記易接着層8の形成量(乾燥後の固形分量)は、0.01g/m2~0.5g/m2の範囲であるのが好ましい。0.01g/m2以上であることで、耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層9とを十分に接着できるし、0.5g/m2以下であることでコストを低減できて経済的である。
【0069】
前記易接着層(乾燥後)8における前記樹脂の含有率は、88質量%~99.9質量%であるのが好ましい。
【0070】
[着色層]
前記基材層2と前記金属箔層4の間に着色層9が配置された構成を採用してもよい。このような構成を採用することで、外装材1の外面側に色(無彩色を含む)や意匠を付与することができる。
【0071】
前記着色層9としては、特に限定されるものではないが、例えば、黒インキ層、白インキ層、灰色インキ層、赤インキ層、青インキ層、緑インキ層、黄インキ層などが挙げられる。
【0072】
前記黒インキ層9について説明する。前記黒インキ層10は、通常、カーボンブラックを含有する組成物で形成される。
【0073】
中でも、前記黒インキ層9は、カーボンブラック、ジアミン、ポリオール及び硬化剤を含有してなる構成であるのが好ましいが、特にこのような構成に限定されるものではない。
【0074】
前記黒インキ層(乾燥後のインキ層)9において、カーボンブラックの含有率は15質量%~60質量%であり、前記ジアミン、ポリオール及び硬化剤の合計の含有率は40質量%~85質量%であるのが好ましい。中でも、カーボンブラックの含有率は20質量%~50質量%であるのが特に好ましい。
【0075】
カーボンブラックの含有率が15質量%未満では、金属箔層4による金属光沢感が残ってしまって重厚感が損なわれるし、成形をした時に部分的な色ムラを生じやすいので、好ましくない。一方、カーボンブラックの含有率が60質量%を超えると、黒インキ層9が硬く、脆くなるため、金属箔層4に対する接着力が低下して、成形時に金属箔層4と黒インキ層9との間で剥離を生じる可能性があるので、好ましくない。
【0076】
前記黒インキ層9は、前記カーボンブラック、前記ジアミン及び前記ポリオールの合計量100質量部あたり前記硬化剤を2質量部~20質量部含有する構成であるのが好ましい。硬化剤が2質量部未満では、成形時に金属箔層4と黒インキ層9との間で剥離を生じやすくなり、硬化剤が20質量部を超えると、巻き取り状態の外装材1を繰り出す(巻き出す)際にブロッキングが発生し、耐熱性樹脂層2やシーラント層(熱可塑性樹脂層)3の外面に転写、付着が発生する等の不具合を生じやすいので、好ましくない。
【0077】
前記カーボンブラックとしては、平均粒子経が0.2μm~5μmのものを用いるのが好ましい。
【0078】
前記ジアミンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、ダイマージアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン等が挙げられる。中でも、前記ジアミンとして、エチレンジアミン、ダイマージアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミンからなる群より選ばれる1種または2種以上のジアミンを用いるのが好ましい。
【0079】
前記ジアミンは、ポリオールより硬化剤(イソシアネート等)との反応速度が速く、短時間での硬化を実現できる。即ち、前記ジアミンは、前記ポリオールと共に前記硬化剤と反応し、インキ組成物の架橋硬化を促進する。
【0080】
前記ポリオールとしては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上を用いるのが好ましい。
【0081】
前記ポリオールの数平均分子量は、1000~8000の範囲であるのが好ましい。1000以上であることで硬化後の接着強度を増大させることができると共に、8000以下であることで硬化剤との反応速度を増大させることができる。
【0082】
前記硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアネート化合物等が挙げられる。前記イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物を使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0083】
前記着色インキ層(黒インキ層を除く)9について説明する。前記着色インキ層(黒インキ層を除く)9は、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂バインダーと、無機顔料を含む着色顔料と、を含む着色インキ組成物の硬化膜からなる構成であるのが好ましい。
【0084】
前記着色顔料としては、少なくとも無機顔料を含む構成が採用される。前記着色顔料としては、前記無機顔料以外に、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料等が挙げられる。また、前記無機顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、アルミニウム粉等が挙げられる。前記無機顔料としては、平均粒径が0.1μm~5μmのものを使用するのが好ましく、平均粒径が0.5μm~2.5μmであるものを使用するのが特に好ましい。前記着色顔料を分散する際には、顔料分散機を用いて着色顔料を分散させるのが好ましい。前記着色顔料を分散するに際し、界面活性剤等の顔料分散剤を使用することもできる。
【0085】
前記着色顔料の50質量%以上が前記無機顔料で構成されているのが好ましい。この場合には、金属箔層4を隠蔽する隠蔽力がより十分に得られて重厚感、高級感を十分に付与できる特定の色調の着色インキ層9を形成できる。中でも、前記着色顔料の60質量%以上が前記無機顔料で構成されているのがより好ましい。
【0086】
前記着色層9の厚さ(乾燥後)は、1μm~4μmであるのが好ましい。1μm以上であることで、着色層9の色調に透明感が残ることがなく、金属箔層4の色、光沢を十分に隠蔽できる。また、4μm以下であることで、成形時に着色層9が部分的に割れてしまうことを十分に防止できる。
【0087】
前記着色層9は、特に限定されるものではないが、例えば、
1)カーボンブラック、ジアミン、ポリオール、硬化剤及び有機溶媒を含有するインキ組成物
又は
2)主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂バインダーと、無機顔料を含む着色顔料と、を含む着色インキ組成物
をグラビア印刷法等で前記耐熱性樹脂層2の下面の易接着層8の表面に印刷する(塗布する)ことによって、形成することができる。前記有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン等が挙げられる。
【0088】
前記着色層9の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷法、リバースロールコート法、リップロールコート法等が挙げられる。
【0089】
[シーラント層(内側層)]
前記シーラント層(内側層)3は、熱可塑性樹脂層で形成される。前記シーラント層(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、外装材1にヒートシール性を付与する役割を担う
ものである。
【0090】
前記熱可塑性樹脂層3としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂未延伸フィルム層であるのが好ましい。前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。
【0091】
中でも、前記熱可塑性樹脂層3としては、エラストマー変性オレフィン系樹脂を含有してなる中間層の両面に、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有してなるランダム共重合体層がそれぞれ積層されてなる3層構成であるのが、ヒートシールの際に絶縁性を十分に確保できる点で、より好ましい。
【0092】
前記中間層を構成するエラストマー変性オレフィン系樹脂(ポリプロピレンブロックコポリマー)は、エラストマー変性ホモポリプロピレンまたは/およびエラストマー変性ランダム共重合体からなるのが好ましい。前記エラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分として「プロピレン」及び「プロピレンを除く他の共重合成分」を含有するランダム共重合体のエラストマー変性体であり、前記「プロピレンを除く他の共重合成分」としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4メチル-1-ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。前記エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いるのが好ましい。前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、EPR(エチレンプロピレンラバー)、プロピレン-ブテンエラストマー、プロピレン-ブテン-エチレンエラストマー、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)等が挙げられ、中でも、EPR(エチレンプロピレンラバー)を用いるのが好ましい。前記エラストマー変性オレフィン系樹脂に関して、「エラストマー変性」の態様としては、エラストマーをグラフト重合したものであってもよいし、エラストマーをオレフィン系樹脂(ホモポリプロピレンまたは/および前記ランダム共重合体)に添加したものであってもよいし、或いは、その他の変性態様であってもよい。
【0093】
前記ランダム共重合体(層)は、共重合成分として「プロピレン」及び「プロピレンを除く他の共重合成分」を含有するランダム共重合体である。前記ランダム共重合体に関して、前記「プロピレンを除く他の共重合成分」としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4メチル-1-ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。
【0094】
前記熱可塑性樹脂層3の厚さは、20μm~80μmに設定されるのが好ましい。20μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できると共に、80μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記熱可塑性樹脂層3の厚さは30μm~50μmに設定されるのが特に好ましい。前記熱可塑性樹脂層3は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0095】
[金属箔層]
前記金属箔層4は、外装材1に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記金属箔層4としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられ、アルミニウム箔が一般的に用いられる。アルミニウム箔としては、JIS H4160-2006に規定されるA8079H-O、A8021H-Oが好ましい。前記金属箔層4の厚さは、20μm~100μmであるのが好ましい。20μm以上であることで金属箔を製造する際の圧延時のピンホール発生を防止できると共に、100μm以下であることで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
【0096】
前記金属箔層4は、少なくとも内側の面4a(内側接着剤層6側の面)に、化成処理が施されているのが好ましい。このような化成処理が施されていることによって内容物(電池の電解液、食品、医薬品等)による金属箔表面の腐食を十分に防止できる。例えば次のような処理をすることによって金属箔に化成処理を施す。即ち、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸、クロム酸及びフッ化物の金属塩の混合物からなる水溶液
2)リン酸、クロム酸、フッ化物金属塩及びフッ化物非金属塩の混合物からなる水溶液
3)アクリル系樹脂又は/及びフェノール系樹脂と、リン酸と、クロム酸と、フッ化物金属塩との混合物からなる水溶液
のいずれかを塗工した後乾燥することにより化成処理を施す。
【0097】
[外側接着剤層(第1接着剤層)]
前記外側接着剤層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、2液硬化型接着剤により形成された接着剤層等が挙げられる。前記2液硬化型接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、2液硬化型ポリエステルウレタン系接着剤等が挙げられる。前記2液硬化型ウレタン系接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオール成分及びイソシアネート成分を含有してなる2液硬化型のウレタン系接着剤等が挙げられる。この2液硬化型ウレタン系接着剤は、特にドライラミネート法で接着する際に好適に用いられる。前記ポリオール成分としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。前記イソシアネート成分としては、特に限定されるものではないが、例えばTDI(トリレンジイソシアネート)、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、MDI(メチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート)等のジイソシアネート類などが挙げられる。前記外側接着剤層5の厚さは、2μm~5μmに設定されるのが好ましく、中でも3μm~4μmに設定されるのが特に好ましい。なお、前記外側接着剤層5には、無機系や有機系のアンチブロッキング剤、アマイド系のスリップ剤が添加されていても良い。
【0098】
前記外側接着剤層5は、例えば、前記2液硬化型接着剤等の接着剤が、前記「金属箔層4の上面」に、又は/及び、「前記耐熱性樹脂層2の下面に易接着層8を介して積層された着色層9の下面」に、グラビアコート法等の手法により塗布されることによって形成される。前記外側接着剤層5の形成手法は、その例を示したものに過ぎず特にこのような形成手法に限定されるものではない。
【0099】
[内側接着剤層(第2接着剤層)]
前記内側接着剤層6は、金属箔層4とシーラント層3とを接着する内側接着剤層5は、電解液等の影響によるラミネート強度の経時的劣化を防ぐために、少なくとも金属箔層4とシーラント層3との双方に対して、いずれにも良好な接着性を有する接着性樹脂を用いるのがよい。その具体的な樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸等のジカルボン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水メサコン酸等のジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体等を、ポリプロピレンにグラフト付加変性または共重合させた樹脂等が挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸でグラフト付加変性された樹脂を用いるのが好ましく、特に無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が好適である。かかる樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンを有機溶媒に溶解させ、これをラジカル発生剤の存在下に酸(無水マレイン酸等)と反応させる溶液法、ポリプロピレンを加熱溶融させ、これをラジカル発生剤の存在下に酸(無水マレイン酸等)と反応させる溶融法等を例示できる。
【0100】
また、前記内側接着剤層6は、耐電解液性の充分な確保による外装材の耐用寿命の増大を図る観点から、化学構造中にカルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物とを含有してなる接着剤組成物により構成されるのが特に好ましい。この内側接着剤層6は、例えば、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物と、有機溶媒と、を含有してなる接着剤液を、金属箔層4又は/及びシーラント層3に塗布して乾燥せしめることによって形成することができる。
【0101】
前記カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂(以下、「カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂」と言う場合がある)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィンにエチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂、オレフィンモノマーとエチレン性不飽和カルボン酸との共重合樹脂等が挙げられる。前記ポリオレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンモノマーの単独重合体又はこれらオレフィンモノマーの共重合体等が挙げられる。前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらエチレン性不飽和カルボン酸は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、前記カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂としては、有機溶媒に溶解するものが好ましく用いられる。
【0102】
中でも、前記カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂としては、プロピレンの単独重合体又はプロピレンとエチレンとの共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂を用いるのが好ましい。なお、前記カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂は、単一の組成であってもよいし、融点の異なる2種類以上の混合物であっても良い。
【0103】
前記多官能イソシアネート化合物は、前記カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂と反応して、接着剤組成物を硬化させる硬化剤として作用するものである。この多官能イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はこれらジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物、ビュレット変性物、或いは前記ジイソシアネート化合物をトリメチロールプロパン等の多価アルコールでアダクト変性した変性物等が挙げられる。前記多官能イソシアネート化合物は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、前記多官能イソシアネート化合物としては、有機溶媒に溶解する多官能イソシアネート化合物が好ましく用いられる。
【0104】
前記有機溶媒としては、前記カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂を溶解させる又は分散させることができるものであれば特に限定されない。これらの中でも、前記カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂を溶解させることができる有機溶媒が好ましく用いられる。また、前記有機溶媒としては、前記接着剤液から該有機溶媒を加熱等により揮発させて除去することが容易な有機溶媒が好ましく用いられる。前記カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂を溶解させることができ且つ加熱等により揮発させて除去することが容易な有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒、n-ヘキサン等の脂肪族系有機溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン(MCH)等の脂環族系有機溶媒、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系有機溶媒等が挙げられる。これら有機溶媒は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0105】
前記接着剤液や前記接着樹脂組成物において、カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂のカルボキシル基を構成するヒドロキシル基に対する、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比[NCO]/[OH]は0.5~10.0に設定されるのが好ましい。このような範囲に設定されていれば、初期の接着性能に優れた接着剤組成物とすることができると共に、電池の電解液による金属箔層4とシーラント層3との間の接着強度の経時的低下をより長期にわたって十分に抑制することができて耐電解液性能をさらに向上させることができる。前記当量比[NCO]/[OH]は1.0~9.0に設定されるのがより好ましく、中でも1.0~6.0に設定されるのが特に好ましい。
【0106】
前記接着剤液や前記接着剤組成物に、必要に応じて、反応促進剤、粘着付与剤、可塑剤等の添加剤を含有せしめても良い。
【0107】
前記内側接着剤層6の厚さは、1μm~10μmに設定されるのが好ましい。1μm以上であることで十分な接着力を得ることができると共に、10μm以下であることで水蒸気バリア性も向上できる。
【0108】
なお、上記実施形態では、易接着層8、着色層9、第1接着剤層5、第2接着剤層6を設けた構成を採用しているが、これらの層は、いずれも必須の構成層ではなく、これらを設けない構成を採用することもできる。
【0109】
本発明の蓄電デバイス用外装材1を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、蓄電デバイス用外装ケース10を得ることができる(
図3参照)。なお、本発明の外装材1は、成形に供されずにそのまま使用することもできる(
図3参照)。
【0110】
本発明の外装材1を用いて構成された蓄電デバイス30の一実施形態を
図2に示す。この蓄電デバイス30は、リチウムイオン2次電池である。本実施形態では、
図2、3に示すように、外装材1を成形して得られた外装ケース10と、成形に供されなかった平面状の外装材1とにより、外装部材15が構成されている。しかして、本発明の外装材1を成形して得られた外装ケース10の収容凹部内に、略直方体形状の蓄電デバイス本体部(電気化学素子等)31が収容され、該蓄電デバイス本体部31の上に、本発明の外装材1が成形されることなくその内側層3側を内方(下側)にして配置され、該平面状外装材1の内側層3の周縁部と、前記外装ケース10のフランジ部(封止用周縁部)29の内側層3とがヒートシールによりシール接合されて封止されることによって、本発明の蓄電デバイス30が構成されている(
図2、3参照)。なお、前記外装ケース10の収容凹部の内側の表面は、内側層(シーラント層)3になっており、収容凹部の外面が保護層7になっている(
図3参照)。
【0111】
図2において、39は、前記外装材1の周縁部と、前記外装ケース10のフランジ部(封止用周縁部)29とが接合(融着)されたヒートシール部である。なお、前記蓄電デバイス30において、蓄電デバイス本体部31に接続されたタブリードの先端部が、外装部材15の外部に導出されているが、図示は省略している。
【0112】
前記蓄電デバイス本体部31としては、特に限定されるものではないが、例えば、電池本体部、キャパシタ本体部、コンデンサ本体部等が挙げられる。
【0113】
前記ヒートシール部39の幅は、0.5mm以上に設定するのが好ましい。0.5mm以上とすることで封止を確実に行うことができる。中でも、前記ヒートシール部39の幅は、3mm~15mmに設定するのが好ましい。
【0114】
上記実施形態では、外装部材15が、外装材1を成形して得られた外装ケース10と、平面状の外装材1と、からなる構成であったが(
図2、3参照)、特にこのような組み合わせに限定されるものではなく、例えば、外装部材15が、一対の外装材1からなる構成であってもよいし、或いは、一対の外装ケース10からなる構成であってもよい。
【実施例0115】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0116】
<実施例1>
平均粒子径0.8μmのカーボンブラック50質量部、エチレンジアミン5質量部、ポリエステル系ポリオール(数平均分子量:2500)45質量部を配合して、主剤を得た。前記主剤100質量部に対して硬化剤であるトリレンジイソシアネート(TDI)3質量部を配合し、さらにトルエンを50質量部配合して良く撹拌することによって、インキ組成物を得た。
【0117】
また、水系ウレタン樹脂として三井化学株式会社製「タケラックW-6010」70質量部、水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX-521」30質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST-C」(平均粒径10nm~20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の易接着層形成用接着剤組成物を得た。
【0118】
次に、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸ナイロン(6ナイロン)フィルム(耐熱性樹脂延伸フィルム層、MD/TD=0.95)2の一方の面に、前記易接着層形成用接着剤組成物をグラビアロールコート法により塗布して乾燥させた後、40℃環境下で1日放置することにより硬化反応を進行させて、形成量0.1g/m2の易接着層8を形成した。
【0119】
次に、前記二軸延伸ナイロンフィルム2の易接着層8の表面に、前記インキ組成物をグラビア印刷法により印刷した(塗布した)後、40℃環境下で1日間放置することによって、乾燥と共に架橋反応を進行させて、厚さ3μmの着色層(黒インキ層)9を形成して第1積層体を得た。
【0120】
更に、前記第1積層体の二軸延伸ナイロンフィルム2の上に(未積層面に)、主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)55質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体(表中で「アダクト体A」と表記する)13質量部、平均粒径2μmの粉状シリカ2質量部、平均粒径2μmの硫酸バリウム20質量部、平均粒径7μmのアクリル系樹脂ビーズ5質量部、ポリエチレンワックス5質量部および溶剤100質量部(メチルエチルケトン50質量部:トルエン50質量部)からなる保護層形成用組成物を塗布した後、60℃環境下で3日間放置することによって反応を進行させて、厚さ2μmの保護層7を形成して、第2積層体を得た。なお、前記保護層形成用組成物において当量比[NCO]/[OH+COOH]は、2.9であった。
【0121】
一方、厚さ35μmのアルミニウム箔4の両面に、ポリアクリル酸、リン酸、三価クロム化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、クロム付着量が5mg/m2となるようにした。
【0122】
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、ポリエステル系ポリウレタン接着剤5を介して前記第2積層体をその着色層(黒インキ層)9側で貼り合わせ、次いでアルミニウム箔4の他方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン接着剤6を介して厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層)3を貼り合わせた後、40℃環境下で5日間放置することによって、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0123】
<実施例2>
前記保護層形成用組成物において、「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)55質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体13質量部」を「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:9800)63質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体5質量部」に変更し、当量比[NCO]/[OH+COOH]が1.8の保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0124】
<実施例3>
実施例2の保護層形成用組成物に対して更にエルカ酸アマイドを5000ppmの濃度で追加含有させたものを保護層形成用組成物として用いた以外は、実施例2と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0125】
<実施例4>
保護層形成用組成物において、「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)55質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体13質量部」を「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:14500)65質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体3質量部」に変更し、当量比[NCO]/[OH+COOH]が1.6の保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0126】
<実施例5>
保護層形成用組成物において、「トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体3質量部」を「トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体1.5質量部およびトリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネート(TDI)とのアダクト体1.5質量部」に変更した以外は、実施例4と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0127】
<実施例6>
保護層形成用組成物において、「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)55質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体13質量部」を「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:14500)65質量部、ペンタエリスリトールとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体3質量部」に変更し、当量比[NCO]/[OH+COOH]が1.7の保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0128】
<実施例7>
主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:14500)に代えて、主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:19600)を用いた以外は、実施例4と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0129】
<実施例8>
主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:14500)に代えて、主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:28500)を用いた以外は、実施例4と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0130】
<実施例9>
主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)に代えて、主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:49000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0131】
<実施例10>
主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:9800)に代えて、主鎖の長さ方向の両末端にカルボキシル基を有したポリエステル(数平均分子量:9800)を用いた以外は、実施例3と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0132】
<実施例11>
保護層形成用組成物として、主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:9800)57質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体10質量部、トリメチロールプロパン(多価アルコール)1質量部、平均粒径2μmの粉状シリカ2質量部、平均粒径2μmの硫酸バリウム20質量部、平均粒径7μmのアクリル系樹脂ビーズ5質量部、ワックス5質量部からなる保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0133】
<実施例12>
保護層形成用組成物として、主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:9800)57質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体10質量部、ペンタエリスリトール(多価アルコール)1質量部、平均粒径2μmの粉状シリカ2質量部、平均粒径2μmの硫酸バリウム20質量部、平均粒径7μmのアクリル系樹脂ビーズ5質量部、ワックス5質量部からなる保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0134】
<実施例13>
保護層形成用組成物として、主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:9800)57質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体10質量部、グリセリン(多価アルコール)1質量部、平均粒径2μmの粉状シリカ2質量部、平均粒径2μmの硫酸バリウム20質量部、平均粒径7μmのアクリル系樹脂ビーズ5質量部、ワックス5質量部からなる保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0135】
<実施例14>
保護層形成用組成物において、「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)55質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体13質量部」を「主鎖の長さ方向の両末端の水酸基を含めて4つの水酸基を備えた(主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有し、主鎖の連鎖の途中位置に2つの水酸基を有した)ポリエステル(数平均分子量:14200)65質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体3質量部」に変更し、当量比[NCO]/[OH+COOH]が0.8の保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0136】
<実施例15>
保護層形成用組成物において、「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)55質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体13質量部」を「主鎖の長さ方向の両末端の水酸基を含めて4つの水酸基を備えた(主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有し、主鎖の連鎖の途中位置に2つの水酸基を有した)ポリエステル(数平均分子量:11200)65質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体3質量部」に変更し、当量比[NCO]/[OH+COOH]が0.9の保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0137】
<比較例1>
保護層形成用組成物として、フッ素含有ポリオール(数平均分子量:15000)65質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体3質量部、平均粒径2μmの粉状シリカ2質量部、平均粒径2μmの硫酸バリウム20質量部、平均粒径7μmのアクリル系樹脂ビーズ5質量部、ワックス5質量部からなる保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0138】
<比較例2>
保護層形成用組成物として、ポリウレタンポリオール(数平均分子量:5400)53質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体15質量部、平均粒径2μmの粉状シリカ2質量部、平均粒径2μmの硫酸バリウム20質量部、平均粒径7μmのアクリル系樹脂ビーズ5質量部、ワックス5質量部からなる保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0139】
<比較例3>
保護層形成用組成物として、アクリル系ポリオール(数平均分子量:3400)53質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体15質量部、平均粒径2μmの粉状シリカ2質量部、平均粒径2μmの硫酸バリウム20質量部、平均粒径7μmのアクリル系樹脂ビーズ5質量部、ワックス5質量部からなる保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0140】
<比較例4>
保護層形成用組成物において、「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:5300)55質量部、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体13質量部」を「主鎖の長さ方向の両末端に水酸基を有したポリエステル(数平均分子量:3900)53質量部、ペンタエリスリトールとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体15質量部」に変更し、当量比[NCO]/[OH+COOH]が2.6の保護層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0141】
<比較例5>
保護層形成用組成物において、「トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体13質量部」を「トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネート(TDI)とのアダクト体13質量部」に変更した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0142】
なお、表中において、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)とのアダクト体を「アダクト体A」と表記し、ペンタエリスリトールとヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)とのアダクト体を「アダクト体B」と表記し、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネート(TDI)とのアダクト体を「アダクト体C」と表記した。
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
上記のようにして得られた各蓄電デバイス用外装材について下記評価法に基づいて評価を行った。その結果を表1~3に示す。
【0147】
<成形性評価法>
株式会社アマダ製の張り出し成形機(品番:TP-25C-X2)を用いて蓄電デバイス用外装材に対して縦55mm×横35mm×深さ8mmの直方体形状に張り出し成形を行い、下記判定基準に基づいて成形性を評価した。
(判定基準)
「◎」…ピンホールが全くなく、割れも全く発生しなかった。
「○」…ピンホール、割れが全くないが、保護層に僅かな白濁が認められる。
「△」…ピンホールがごく一部で僅かに発生したものの実質的に殆どなかった。
「×」…ピンホールと割れがコーナー部に発生した。
【0148】
<印字性評価法>
各外装材の保護層の表面(外面)に対してインクジェットプリンターを使用して白色インキでバーコード(ドットサイズ:直径0.25mm)を印刷した。次に、印刷されたバーコードをバーコードリーダーで問題なく読み取れるか否か、また印刷されたバーコードに滲みがあるか否か、の観点で下記判定基準に基づいて印字性を評価した。
(判定基準)
「◎」…バーコードリーダーで問題なく読み取れる。滲みはなかった。
「○」…バーコードリーダーで問題なく読み取れる。僅かな滲みはあるが問題ない。
「△」…滲みがある程度認められるが、バーコードリーダーで問題なく読み取れる。
「×」…バーコードリーダーで読み取れなかった。滲みの程度が大きかった。
【0149】
<耐溶剤性評価法(エタノール)>
各外装材を縦10cm×横10cmの大きさにカットして試験片を得、該試験片の保護層の表面(外面)に1mL(1cc)のエタノールを滴下した後、直径1cm、質量1kgの分銅の表面に綿を巻き付けた摺動部材により上記試験片の液滴付着箇所を10往復擦った。10往復させた後の試験片の保護層の表面(外面)の外観を目視で調べて下記判定基準に基づいて耐溶剤性(エタノール)を評価した。
(判定基準)
「◎」…10往復させた後でも外観に変化がなかった。
「○」…1~7往復目までは外観に変化がなかったが8往復後に外観に変化が生じた。
「△」…1~4往復目までは外観に変化がなかったが5往復後に外観に変化が生じた。
「×」…1往復で外観に変化が生じた(耐溶剤性不良)。
【0150】
<耐溶剤性評価法(メチルエチルケトン)>
1mLのエタノールに代えて、1mLのメチルエチルケトン(MEK)を使用した以外は、上記耐溶剤性評価法(エタノール)と同様にして、耐溶剤性(メチルエチルケトン)を評価した。なお、判定基準は、耐溶剤性評価法(エタノール)での上記判定基準と同一である。
【0151】
表から明らかなように、本発明の実施例1~15の蓄電デバイス用外装材は、成形性に優れていて、印字性が良好であると共に、耐溶剤性にも優れていた。
【0152】
これに対し、本発明の規定範囲を逸脱する比較例1~5では、次のような問題があった。即ち、比較例1の外装材では、印字性が悪かった。また、比較例2~5の外装材では、MEKに対する耐溶剤性が著しく悪かった。