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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020821
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】版胴冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 13/22 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
B41F13/22
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188059
(22)【出願日】2021-11-18
(62)【分割の表示】P 2020170709の分割
【原出願日】2016-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】516224835
【氏名又は名称】株式会社富田技研
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】村川 驍
(57)【要約】
【課題】空冷式であっても十分な冷却能力を有し、また、設置スペースを節減すること。
【解決手段】印刷機100に設けられた版胴110を冷却する版胴冷却装置10において、外気を取り入れ冷却すると共に、冷却された外気の一部を再冷却する冷却装置20と、冷却装置20により冷却された空気を加速する送風装置30と、送風装置30によって加速された空気を版胴110に吹き付ける冷却ノズル42とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機に設けられた版胴を冷却する版胴冷却装置において、
外気を取り入れ冷却すると共に、冷却された外気の一部を再冷却する冷却装置と、
この冷却装置により冷却された空気を加速するファンと、
このファンによって加速された空気を前記版胴に吹き付ける冷却ノズルを備えていることを特徴とする版胴冷却装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、チャンバと、このチャンバ内に配置された冷凍機と、冷凍機から吐出された冷気の一部を前記チャンバ内に設けられ、前記冷凍機の入口側に還流させる還流路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の版胴冷却装置。
【請求項3】
前記冷却装置は、チャンバと、このチャンバ内に配置された冷凍機と、冷凍機から吐出された冷気の一部を前記チャンバ外に設けられ、前記冷凍機の入口側に還流させる還流路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の版胴冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の印刷装置に組み込まれた版胴を冷却するための版胴冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の高速輪転印刷装置に組み込まれたドラム状の版胴は、印刷時に高温となる。高温になりすぎると印刷品質が低下するため、版胴を適温に保持する版胴冷却装置が必要となる。版胴冷却装置としては、冷却効率の高い水冷式の版胴冷却装置を用いることもできるが、湿度に影響することから、空冷式の版胴冷却装置が開発されている(例えば、特許文献1,2参照。)。このような空冷式の版胴冷却装置は、版胴の軸方向に沿って冷却空気吹付装置が設けられており、版胴の温度を温度センサで測定し、所定温度以上になると、表面に低温の空気を吹き付けて冷却する。印刷機の発熱量は大きいため、適切な温度の冷風を供給する場合、大型の空気冷却器が必要になる。このような版胴冷却装置の中には、版胴表面に吹き付けられた冷気を回収し、空気戻しダクトを通じて、再度、熱交換器に戻すようすることで、冷却効率が高められ、空気冷却器を小型にすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5309838号明細書
【特許文献2】米国特許第5375518号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した版胴冷却装置においては、次のような問題があった。すなわち、印刷機から冷却器まで空気戻しダクトを設ける場合、印刷機の内部に冷気を回収するスペースや、ダクトを設けるためのスペースが必要になり、装置が大型化する虞がある。
【0005】
そこで本発明は、空冷式であっても十分な冷却能力を有し、また、設置スペースが大型とならない版胴冷却装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の版胴冷却装置は次のように構成されている。
【0007】
印刷機に設けられた版胴を冷却する版胴冷却装置において、外気を取り入れ冷却すると共に、冷却された外気の一部を再冷却する冷却装置と、この冷却装置により冷却された空気を加速するファンと、このファンによって加速された空気を前記版胴に吹き付ける冷却ノズルとを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空冷式であっても十分な冷却能力を有し、また、設置スペースが大型とならない版胴冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る版胴冷却装置を模式的に示す説明図。
図2】同版胴冷却装置に組み込まれた冷却装置を示す斜視図。
図3】同版胴冷却装置に組み込まれた送風装置を示す斜視図。
図4】同版胴冷却装置に組み込まれた噴出装置を示す斜視図。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る版胴冷却装置を模式的に示す説明図。
図6】同版胴冷却装置に組み込まれた冷却部を示す斜視図。
図7】本発明の第3の実施の形態に係る版胴冷却装置を模式的に示す説明図。
図8】本発明の第4の実施の形態に係る版胴冷却装置を模式的に示す説明図。
図9】本発明の第5の実施の形態に係る版胴冷却装置を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る版胴冷却装置10を模式的に示す説明図、図2は版胴冷却装置10に組み込まれた冷却装置20を示す斜視図、図3は版胴冷却装置10に組み込まれた送風装置30を示す斜視図、図4は版胴冷却装置10に組み込まれた噴出装置40を示す斜視図である。なお、図中100は、版胴冷却装置10の冷却対象となる4台の版胴110が組み込まれた印刷装置、Rは冷気を示している。版胴110は色毎に設けられており、4色刷の場合は4台が1台の印刷装置に組み込まれる。
【0011】
図1に示すように、版胴冷却装置10は、冷却装置20と、4組の送風装置30と、4組の噴出装置40と、これらを接続するダクトホース50,60とを備えている。図2に示すように、冷却装置20は、軸方向を水平にした角筒状の冷却循環チャンバボックス21を備えている。冷却循環チャンバボックス21は断熱プレートにより形成されている。冷却循環チャンバボックス21の一方の側面は平板状の蓋部22で閉塞され、他方の側面は先端側へ狭まる形状の角錐台状の吐出フード23で閉塞されている。蓋部22は、外気を取り入れるための外気取入口22aが設けられている。吐出フード23の先端には4つの冷風吐出口23aが設けられている。また、吐出フード23の側面には温度・風速計投入部23bが設けられている。
【0012】
冷却循環チャンバボックス21内には、中央部に設けられた冷凍機24が中央部に位置するように吊り下げられている。冷凍機24は、熱交換器(蒸発器)24aと、この熱交換器24aの出口側に設けられた送風ファン24bを備えている。冷却循環チャンバボックス21は入口側のエリア21a、出口側のエリア21b、冷凍機24の周囲と冷却循環チャンバボックス21の内壁との間のエリア21cを有している。
【0013】
冷風吐出口23aには、ダクトホース50が接続されており、後述する高圧ブロア32の吸気口32aに接続されている。
【0014】
図3に示すように、送風装置30は、架台31と、この架台31に搭載された高圧ブロア32と、高圧ブロア32の出口側に設けられた電動バルブ33とを備えている。高圧ブロア32は版胴110に対応して4台設けられている。高圧ブロア32は吸気口32aと吐出口32bとを備えており、吸気口32aには冷却装置20からのダクトホース50が接続されている。吐出口32bにはダクトホース60が接続されており、後述するハウジング41に接続されている。
【0015】
図3中35は版胴冷却装置制御盤を示している。
【0016】
図4に示すように、噴出装置40は、版胴110の軸方向に沿って配置されたハウジング41と、このハウジング41の版胴110側に向けて設けられた冷却ノズル42と、版胴110の表面温度を非接触で測定する放射温度センサ43と、この放射温度センサ43からの出力をON/OFF信号及び比例電流として出力するセンサ中継ボックス44とを備えている。なお、放射温度センサ43及びセンサ中継ボックス44は4組の噴出装置40のうち、1組の噴出装置40に設けている。
【0017】
このように構成された版胴冷却装置10は次のようにして版胴110を冷却する。なお、以下に示す数値は例示である。目標温度を例えば-5℃に設定した冷凍機24を動作させる。これにより、エリア21aに存在する空気を冷却し、エリア21bへ吐出する。冷凍機24の吐出風量は例えば2700~3300m3/minである。冷凍機24から吐出された冷却された空気はエリア21cを流路としてエリア21aに戻り、さらに冷却される。このように冷却・循環を繰り返すことで、冷却循環チャンバボックス21内の空気は冷凍機24に予め設定した目標温度まで低下する。なお、冷凍機24の動作は、版胴110の温度とは独立して制御されており、運転・停止・霜取運転・温度設定等はリモートコントローラ(不図示)によって行われる。
【0018】
一方、放射温度センサ43により版胴110表面の温度が常時計測されている。印刷装置100が動作開始すると、版胴110の表面温度Tが上昇する。例えば、版胴110の表面温度Tに応じて、センサ中継ボックス44を介して電動バルブ33が所定量だけ開く。電動バルブ33の開度は例えば下記の通りである。なお、この例ではバルブ開度90°の場合が全開となる。
【0019】
3段階制御の場合は、表面温度Tが14℃以上の時はバルブ開度90°(流量100%)、8℃以上14℃未満の時はバルブ開度70°(流量50%)、8℃未満の時はバルブ開度30°(流量9%)とする。また、比例制御の場合は、表面温度Tの範囲が14°~8°の間では、バルブ開度を90°~30°(流量を100%~9%)の間で比例させて制御する。なお、表面温度Tが14℃以上の時はバルブ開度90°(流量100%)、8℃未満の時はバルブ開度30°(流量9%)とする。
【0020】
高圧ブロア32の作動により送られた冷気Rは、電動バルブ33を通過し、ダクトホース60を介してハウジング41内に導入される。ハウジング41に導入された冷気Rは、冷却ノズル42から版胴110の表面に向けて冷気Rを噴射する。版胴110はこの冷気Rの噴射に伴い温度が低下し、表面温度Tも低下する。
【0021】
版胴110の表面温度Tが低下すると、電動バルブ33の開閉角度が小さくなると共に、表面温度Tに基づいて高圧ブロア32の回転周波数が低下し、また停止する。同様にして、印刷装置100の運転が継続されている間、表面温度Tに伴って、高圧ブロア32の作動、及び、電動バルブ33の開閉が制御される。
【0022】
このようにして、本実施の形態に係る版胴冷却装置10によれば、冷却装置20内で冷気Rを循環させることで設定された温度まで低下させることができる。したがって、空冷式であっても十分な冷却能力を有する。また、印刷装置100から冷風を回収する必要が無いため設置スペースを減らすことができる。
【0023】
なお、上述した例では、版胴110表面の温度に基づいて電動バルブ33のON/OFFのみの制御としても良い。
【0024】
図5は本発明の第2の実施の形態に係る版胴冷却装置10Aを模式的に示す説明図、図6は版胴冷却装置10Aに組み込まれた冷却装置70を示す斜視図である。なお、図5,6において、図1図4と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0025】
図5に示すように、版胴冷却装置10Aは、冷却装置70と、送風装置30と、噴出装置40と、これらを接続するダクトホース50,60とを備えている。図6に示すように、冷却装置70は、軸方向を水平にした角筒状の冷却循環フレーム71を備えている。冷却循環フレーム71の中央部には、冷凍機72が取り付けられている。
【0026】
冷凍機72の一方の側面は平板状の蓋部74で閉塞され、他方の側面は直方体状の吐出フード75で閉塞されている。蓋部74の中央には後述する循環ダクト76の他端が接続される還流開口部74aが設けられ、その周囲には外気を取り入れるための外気取入口74bが設けられている。吐出フード75の先端には4つの冷風吐出口75a、天井側には開口部75bが設けられている。開口部75bには循環ダクト76の一端が接続され、他端は蓋部74の還流開口部74aに接続されている。
【0027】
循環ダクト76の途中には、風量調整ダンパ77が設けられている。風量調整ダンパ77により、循環させる冷気Rの割合を調整することができる。
【0028】
冷凍機72の吸気側には、熱交換器(蒸発器)72aと、冷凍機72の出口側に送風ファン72bが設けられている。
【0029】
冷風吐出口75aには、ダクトホース50が接続されている。
【0030】
送風装置30及び噴出装置40は、上述した版胴冷却装置10のものと同様である。
【0031】
このように構成された版胴冷却装置10Aは次のようにして版胴110を冷却する。なお、以下に示す数値は例示である。風量調整ダンパ77を開き、目標温度を例えば0℃に設定した冷凍機72を動作させる。冷凍機72の吐出風量は例えば2700~3300m3/minである。これにより、吐出フード75内に冷気Rが送られる。冷気Rの一部は循環ダクト76を通って還流開口部74aに送られ、再度、冷却される。このように冷却・循環を繰り返すことで、吐出フード75内の空気は冷凍機72に予め設定した温度まで低下する。
【0032】
吐出フード75内の冷気Rは、送風ファン72bの作動により送風装置30に送られる。なお、送風により不足する外気は、蓋部74の外気取入口74bから取り入れられる。なお、冷凍機72の動作は、版胴110の温度とは独立して制御されており、運転・停止・霜取運転・温度設定等はリモートコントローラ(不図示)によって行われる。
【0033】
一方、放射温度センサ43により版胴110表面の温度が常時計測されている。印刷装置100が動作開始すると、版胴110の表面温度Tが上昇する。例えば、版胴110の表面温度Tに応じて、センサ中継ボックス44を介して電動バルブ33が所定量だけ開く。また、インバータ34により高圧ブロア32が所定の回転周波数で駆動される。
【0034】
高圧ブロア32の作動により送られた冷気Rは、電動バルブ33を通過し、ダクトホース60を介してハウジング41内に導入される。ハウジング41に導入された冷気Rは、冷却ノズル42から版胴110の表面に向けて冷気Rを噴射する。版胴110はこの冷気Rの噴射に伴い温度が低下し、表面温度Tも低下する。
【0035】
版胴110の表面温度Tが低下すると、電動バルブ33の開閉角度が小さくなると共に、表面温度Tに基づいて高圧ブロア32が停止する。同様にして、印刷装置100の運転が継続されている間、表面温度Tに伴って、高圧ブロア32の作動、及び、電動バルブ33の開閉が制御される。
【0036】
このようにして、本実施の形態に係る版胴冷却装置10Aによれば、冷却装置70内で冷気Rを循環させることで設定された温度まで低下させることができる。したがって、空冷式であっても十分な冷却能力を有する。また、印刷装置100から冷風を回収する必要が無いため設置スペースを減らすことができる。
【0037】
図7は本発明の第3の実施の形態に係る版胴冷却装置10Bを模式的に示す説明図である。なお、図7において、図1図6と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図7に示すように、版胴冷却装置10Bは、2組の冷却装置20と、送風装置30と、4組の噴出装置40と、これらを接続するダクトホース50,60と、冷凍サイクルシステム80と、これら各部を連携制御する版胴冷却装置制御盤90を備えている。なお、各ダクトホース50の途中には冷風切替電磁弁51が設けられている。
【0039】
冷凍サイクルシステム80は、蒸発器を構成する冷凍機24と、凝縮器等を収容する庫外機81と、庫外機81から冷媒液を送出する冷媒液ライン82と、この冷媒液ライン82から分岐して2組の冷凍機24にそれぞれ供給する冷媒液分岐ライン83と、2組の冷凍機24から冷媒ガスを送出する冷媒ガス分岐ライン84と、これら冷媒ガス分岐ライン84が集合して庫外機81に接続された冷媒ガスライン85とを備えている。
【0040】
冷媒液分岐ライン83には電磁弁83aが設けられている。冷媒ガス分岐ライン84には逆止弁84aが設けられている。
【0041】
版胴冷却装置制御盤90は、噴出装置40のセンサ中継ボックス44が組み込まれている。また、高圧ブロア32それぞれのON/OFF、冷風切替電磁弁51それぞれのON/OFF、電磁弁83aのON/OFFを切り替える機能を有している。
【0042】
このように構成された版胴冷却装置10Bは次のようにして版胴110を冷却する。なお、高圧ブロア32及び庫外機81は常時作動させ、冷風切替電磁弁51は閉じる。2組のうち一方の冷凍機24を作動させると共に及び当該冷凍機24に接続された電磁弁83aを開く。これにより、前述したように冷凍機24内の冷気Rを予め設定した目標温度まで低下させる。そして、当該冷凍機24に接続されたダクト50の冷風切替電磁弁51を開く。
【0043】
一方、放射温度センサ43により版胴110表面の温度が常時計測されている。印刷装置100が動作開始すると、版胴110の表面温度Tが上昇する。例えば、版胴110の表面温度Tに応じて、センサ中継ボックス44を介して電動バルブ33が所定量だけ開く。
【0044】
高圧ブロア32の作動により送られた冷気Rは、電動バルブ33を通過し、ダクトホース60を介してハウジング41内に導入される。ハウジング41に導入された冷気Rは、冷却ノズル42から版胴110の表面に向けて冷気Rを噴射する。版胴110はこの冷気Rの噴射に伴い温度が低下し、表面温度Tも低下する。
【0045】
版胴110の表面温度Tが低下すると、電動バルブ33の開閉角度が小さくなると共に、表面温度Tに基づいて高圧ブロア32の回転周波数が低下し、また停止する。同様にして、印刷装置100の運転が継続されている間、表面温度Tに伴って、高圧ブロア32の作動、及び、電動バルブ33の開閉が制御される。
【0046】
なお、冷凍機24はその内部で霜が発生し、冷却効率が低下する場合がある。その場合、その冷凍機24に対応する電磁弁83aを閉じ、2組のうち他方の冷凍機24を動作させると共に当該冷凍機24に接続された電磁弁83aを開く。このようにして霜が発生した一方の冷凍機24では冷凍動作を中断して霜を自然に取り、他方の冷凍機24で冷凍動作を開始して版胴110の冷却を継続する。
【0047】
このようにして、本実施の形態に係る版胴冷却装置10Bによれば、上述した版胴冷却装置10と同様の効果が得られる。また、2組の冷凍機24を交互に運転することで、霜が付着した冷凍機24の冷却動作を一時的に止め、霜取り動作を自然に行うことができる。したがって、印刷装置100を停止させる必要は無い。
【0048】
図8は本発明の第4の実施の形態に係る版胴冷却装置200を模式的に示す説明図である。なお、図8において、図1と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
版胴冷却装置200は、印刷装置400に組み込まれた水冷式の版胴500に適用される。版胴冷却装置200は、冷却装置20と、この冷却装置20に隣接して配置された冷却水循環装置210と、この冷却水循環装置210に接続された冷却水循環パイプ220,230とを備えている。
【0050】
冷却水循環装置210は、ポンプ211と、このポンプ211の吸込側に設けられた熱交換パイプ212と、吐出側に設けられた吐出パイプ213とを備えている。吐出パイプ213には、冷却水循環パイプ220が接続されている。冷却水循環パイプ220は版胴500の内部に設けられた冷却通路510に接続されている。
【0051】
熱交換パイプ212は、中間部に熱交換部212aが設けられ、冷却装置20から出されたダクトホース50によって冷却されている。
【0052】
冷却通路510の排出側は冷却水循環パイプ230に接続され、熱交換パイプ212に接続される。
【0053】
このような版胴冷却装置200においては、次のようにして版胴500を冷却する。すなわち、冷却水循環装置210のポンプ211を駆動し、冷却水循環パイプ220、冷却通路510、冷却水循環パイプ230を通じて、冷却水を循環させる。また、冷却装置20を作動させ、ダクトホース50から冷却風を送出し、熱交換部212aを冷却する。このような冷却・循環を繰り返すことで、冷却水は冷却装置20によって冷却され、この冷却水によって版胴500が冷却される。
【0054】
このようにして、本実施の形態に係る版胴冷却装置200によれば、冷却装置20からの冷風を水冷式の冷却装置である冷却水循環装置210の冷却水の冷却に使用することで、効率良く冷却を行うことができる。また、冷却水循環装置210から冷風を回収する必要が無いため設置スペースを減らすことができる。
【0055】
図9は本発明の第5の実施の形態に係る版胴冷却装置200Aを模式的に示す説明図である。なお、図9において、図8と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
版胴冷却装置200Aは、印刷装置400に組み込まれた水冷式の版胴500に適用される。版胴冷却装置200は、冷却装置20と、この冷却装置20に隣接して配置された冷却水循環装置210と、この冷却水循環装置210に接続された冷却水循環パイプ220,230とを備えている。
【0057】
冷却水循環装置210は、ポンプ211と、このポンプ211の吸込側に設けられた熱交換パイプ212と、吐出側に設けられた吐出パイプ213とを備えている。吐出パイプ213には、冷却水循環パイプ220が接続されている。冷却水循環パイプ220は版胴500の内部に設けられた冷却通路512に接続されている。
【0058】
熱交換パイプ212は、中間部に熱交換部212aが設けられ、冷却装置20から出されたダクトホース50によって冷却されている。
【0059】
冷却通路520は、版胴500内部を往復するように配置されており、冷却水循環パイプ220と冷却水循環パイプ230とは版胴500の同じ側の端部に接続されている。
【0060】
冷却通路520の排出側は冷却水循環パイプ230に接続され、熱交換パイプ212に接続される。
【0061】
このような版胴冷却装置200Aにおいては、上述した版胴冷却装置200と同様に冷却動作が行われ、高い効率で版胴500を冷却することができると共に、冷却水循環装置210から冷風を回収する必要が無いため設置スペースを減らすことができる。
【0062】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記した各実施形態では、版胴110表面の温度に基づいて電動バルブ33の開閉量を三段階で制御したり、比例で制御したりしたが、ON/OFFのみの制御としても良い。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
10,10A,200,200A…版胴冷却装置、20,70…冷却装置、30…送風装置、40…噴出装置、42…冷却ノズル、100…印刷装置、110…版胴、R…冷気。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機に設けられた版胴の内部に設けられた冷却通路に接続され、前記版胴を冷却する版胴冷却装置において、
前記冷却通路の一端に接続される第1冷却水循環パイプと、
前記冷却通路の他端に接続される第2冷却水循環パイプと、
外気を取り入れ冷却すると共に、冷却された外気の一部を再冷却する冷却装置と、
吸込側から冷却水を吸い込んで吐出側から冷却水を吐出するポンプ、一端が前記ポンプの前記吸込側に接続され、他端が前記第1冷却水循環パイプに接続される、中間部に熱交換部を有する熱交換パイプ、及び、一端が前記ポンプの前記吐出側に接続され、他端が前記第2冷却水循環パイプに接続される吐出パイプを備える冷却水循環装置と、
前記冷却装置からの冷却風を前記熱交換部に送出して前記熱交換部を冷却するダクトホースと、
を備える版胴冷却装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、チャンバ、前記チャンバ内に配置された冷凍機、及び、前記チャンバ内または前記チャンバ外に設けられ、前記冷凍機から吐出された冷気の一部を前記冷凍機の入口側に還流させる還流路を備え、外気を取り入れて前記冷凍機により冷却すると共に、前記冷気の一部を前記冷凍機により再冷却する、請求項1に記載の版胴冷却装置。
【請求項3】
前記冷却通路は、前記版胴内を往復するように配置されており、前記冷却通路の前記一端及び前記他端は、前記版胴の同じ側の端部に配置される、請求項1または請求項2に記載の版胴冷却装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
印刷機に設けられた版胴の内部に設けられた冷却通路に接続され、前記版胴を冷却する版胴冷却装置において、前記冷却通路の一端に接続される第1冷却水循環パイプと、前記冷却通路の他端に接続される第2冷却水循環パイプと、外気を取り入れ冷却すると共に、冷却された外気の一部を再冷却する冷却装置と、吸込側から冷却水を吸い込んで吐出側から冷却水を吐出するポンプ、一端が前記ポンプの前記吸込側に接続され、他端が前記第1冷却水循環パイプに接続される、中間部に熱交換部を有する熱交換パイプ、及び、一端が前記ポンプの前記吐出側に接続され、他端が前記第2冷却水循環パイプに接続される吐出パイプを備える冷却水循環装置と、前記冷却装置からの冷却風を前記熱交換部に送出して前記熱交換部を冷却するダクトホースとを備えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記した各実施形態では、版胴110表面の温度に基づいて電動バルブ33の開閉量を三段階で制御したり、比例で制御したりしたが、ON/OFFのみの制御としても良い。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であることは言うまでもない。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
印刷機に設けられた版胴を冷却する版胴冷却装置において、
外気を取り入れ冷却すると共に、冷却された外気の一部を再冷却する冷却装置と、
この冷却装置により冷却された空気を加速するファンと、
このファンによって加速された空気を前記版胴に吹き付ける冷却ノズルを備えていることを特徴とする版胴冷却装置。
[2]
前記冷却装置は、チャンバと、このチャンバ内に配置された冷凍機と、冷凍機から吐出された冷気の一部を前記チャンバ内に設けられ、前記冷凍機の入口側に還流させる還流路を備えていることを特徴とする[1]に記載の版胴冷却装置。
[3]
前記冷却装置は、チャンバと、このチャンバ内に配置された冷凍機と、冷凍機から吐出された冷気の一部を前記チャンバ外に設けられ、前記冷凍機の入口側に還流させる還流路を備えていることを特徴とする[1]に記載の版胴冷却装置。