(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020898
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】水下出隅部材及び換気部材構造体
(51)【国際特許分類】
E04D 13/152 20060101AFI20220126BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
E04D13/152 Z
E04B1/70 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124140
(22)【出願日】2020-07-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】592114080
【氏名又は名称】株式会社ハウゼコ
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】神戸 睦史
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DB02
2E001FA04
2E001FA17
2E001FA19
2E001GA60
2E001HB02
2E001HE02
2E001NA07
2E001NB03
2E001ND11
(57)【要約】
【課題】 様々な勾配の屋根に容易に対応できると共に、様々な形状の換気部材に適用できる水下出隅部材及び換気部材構造体を提供する。
【解決手段】 水下出隅部材40は、片流れの屋根構造を有する家屋の水下出隅部分において、軒下と外壁との間に水平方向に設置される軒側換気部材と、ケラバ下と外壁との間に屋根の勾配に対応して設置されるケラバ側換気部材とが形成する出隅部分に設置される。この水下出隅部材40は、垂直方向に延びる第1側面部41と、第1側面部41と平面視直角方向に接続する第2側面部42と、第2側面部42と平面視直角方向に接続すると共に、第1側面部41に対向する位置に配置される第3側面部43と、各側面部の下端に接続する平面視略L字形状の底面部44とを備える。第2側面部42及び第3側面部43の各々の上端側からの一部は、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて切り取り可能に構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の軒下と外壁との間に建築物の内部空間の換気を行うための軒側換気部材が設置されると共に、屋根のケラバ下と外壁との間に建築物の内部空間の換気を行うためのケラバ側換気部材が設置された建築物の水下側において、前記軒側換気部材と前記ケラバ側換気部材とが形成する出隅部分に設置される水下出隅部材であって、
設置状態において、垂直方向に延びると共に、前記軒側換気部材に取り付けられる第1側面部と、
設置状態において、前記第1側面部と平面視直角方向に接続すると共に、前記ケラバ側換気部材に取り付けられる第2側面部と、
設置状態において、前記第2側面部と平面視直角方向に接続すると共に、前記第1側面部に対して前記建築物の外壁側に配置される第3側面部とを備え、
前記第2側面部及び前記第3側面部の各々は、前記ケラバ側換気部材の設置角度に応じた形状に調整可能に構成される、水下出隅部材。
【請求項2】
前記第1側面部及び前記第2側面部の各々は矩形平板状を有し、前記第3側面部は平板状を有し、前記第2側面部は、その上端の高さが前記第1側面部の上端の高さよりも高く設計され、前記第2側面部及び前記第3側面部の各々は、それらの上端側からの一部が切り取り可能に構成される、請求項1記載の水下出隅部材。
【請求項3】
前記第1側面部、前記第2側面部及び前記第3側面部の各々の下端に接続する平面視略L字形状の底面部を更に備えた、請求項2記載の水下出隅部材。
【請求項4】
前記底面部は、前記第1側面部及び前記第2側面部の前記下端から斜め上方に立ち上がる傾斜部を含み、前記第3側面部の下部は、前記傾斜部に合わせた形状に切り欠かれる、請求項3記載の水下出隅部材。
【請求項5】
前記第1側面部は、前記第2側面部と接続する部分の上端に前記第3側面部側に向かって水平方向に延びる折曲片を備え、設置状態において、少なくとも前記折曲片の第2側面部と対向する側の端部に、前記軒側換気部材の水下出隅側端部の一部が水平状態で当接する、請求項2から請求項4のいずれかに記載の水下出隅部材。
【請求項6】
前記第2側面部には、前記第1側面部側から前記第3側面部側に向かって斜め上方に延びる複数の第1切取り補助線が設けられ、前記第3側面部には、前記ケラバ側換気部材の底部の形状を反映した複数の第2切取り補助線が設けられる、請求項2から請求項5のいずれかに記載の水下出隅部材。
【請求項7】
所定形状に形成された1枚の金属製板材を折り曲げることで形成される、請求項2から請求項6のいずれかに記載の水下出隅部材。
【請求項8】
建築物の水下出隅部分において建築物の内部空間の換気を行う換気部材構造体であって、
屋根の軒下と外壁との間に水平方向に設置される軒側換気部材と、
屋根のケラバ下と外壁との間に屋根の勾配に対応して設置されるケラバ側換気部材と、
前記軒側換気部材と前記ケラバ側換気部材とが形成する出隅部分に設置される請求項1から請求項7のいずれかに記載の水下出隅部材とを備え、
前記水下出隅部材の前記第1側面部の上端は水平方向に延びるように構成され、前記水下出隅部材の前記第2側面部の上端は、前記ケラバ側換気部材の設置角度に沿って前記第1側面部から前記第3側面部に向かって斜め上方に延びるように構成され、前記第3側面部の上端は前記ケラバ側換気部材の底面部と接するように構成される、換気部材構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水下出隅部材及び換気部材構造体に関し、特に片流れや切妻等の屋根構造を有する家屋等の建築物の水下側において、屋根の軒下と外壁との間に建築物の内部空間の換気を行うために設置される軒側換気部材及び屋根のケラバ下と外壁との間に建築物の内部空間の換気を行うために設置されるケラバ側換気部材が形成する出隅部分に設置される水下出隅部材及び家屋等の建築物の水下出隅部分において、建築物の内部空間の換気を行うために設置される換気部材構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋等の壁体内部空間や小屋裏空間といった建築物の内部空間の換気を行うのに、屋根の軒下に換気部材を設置することが行われている。又、建築条件や換気効率の向上等の様々な理由により、屋根の軒下だけでなくケラバ下にも換気部材を設置する場合もある。通常、軒側に設置される換気部材は軒に沿って水平の状態で設置され、ケラバ側に設置される換気部材は屋根勾配に応じて傾斜した状態で設置される。すると、この軒側の換気部材とケラバ側の換気部材とが形成する水下出隅部分は、軒側が水平でケラバ側が傾斜することになる。又、屋根勾配は建築物毎に異なるため、ケラバ側の換気部材の傾斜角度に応じて異なるものとなる。
【0003】
このような建築物毎に異なる水下出隅部分の施工にあたっては、現場にある材料をその場で加工して水下出隅部分を覆ったり、軒側の換気部材及びケラバ側の換気部材の各々の端部にエンドキャップを被せたりして対応することがよく行われている。
【0004】
しかしながら、現場にある材料を用いた場合、加工には手間がかかり、施工者によって加工の精度に差が出てしまうものでもあった。又、エンドキャップを用いた場合、それぞれの端部は処理されるが、出隅部分の連続性は失われるため、景観の面で改良が求められていた。更に、予め屋根の勾配に合わせた出隅部材を準備しておく方法もあるが、屋根の勾配は設計によって様々であり、異なる屋根勾配に合わせた複数種類の在庫を抱えたり、個別注文でその都度対応したりする場合は、コストが上がってしまう欠点があった。
【0005】
そのような問題点を解消するために、複数の屋根勾配に対応した複数の部材を用意せずとも一つの部材で様々な屋根勾配に設置された換気部材に取り付けられる出隅部材に関する技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、建物の外壁と軒との間に設置されて小屋裏の換気を行うための軒天換気材の端部同士を建物の外壁のコーナー部において連結するために、水平に設置される軒天換気材の端部を受け入れる第1の受け口と、第1の受け口と口向きが交差し、傾斜させて設置される軒天換気材の端部を受け入れる第2の受け口とを備え、第2の受け口には、軒天換気材の端部に挿入され、受け入れ角度を調整可能にして軒天換気材を支持する角度調整舌部が設けられたコーナー用カバー部材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来のコーナー用カバー部材は、その角度調整舌部が、外観が略直方体状に形成された軒天換気材の上部内に挿入され、軒天換気材の上面部は角度調整舌部上に配置されるものである。角度調整舌部は長四角形の平板状に形成され、これによって上下方向に遊びがあるように、軒天換気材の上部に挿入可能に形成されていることで、第2の受け口による軒天換気材の端部の受け入れ角度が調整可能となっている。即ち、軒天換気部材の上面部とコーナー用カバー部材の角度調整舌部とが接する部分を軒天換気部材の端部の受け入れ角度によって変化させることで、調整を行っていると言える。
【0009】
しかしながら、コーナー用カバー部材の角度調整舌部を利用して軒天換気部材の受け入れ角度を調整するためには、受け入れられる側の軒天換気部材(傾斜して設置される換気部材)にはコーナー用カバー部材の角度調整舌部上に配置される上面部に相当する部分が設けられている必要があり、適用できる換気部材の形状が限られるものであった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、様々な勾配の屋根に容易に対応できると共に、様々な形状の換気部材に適用できる水下出隅部材及び換気部材構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、屋根の軒下と外壁との間に建築物の内部空間の換気を行うための軒側換気部材が設置されると共に、屋根のケラバ下と外壁との間に建築物の内部空間の換気を行うためのケラバ側換気部材が設置された建築物の水下側において、軒側換気部材とケラバ側換気部材とが形成する出隅部分に設置される水下出隅部材であって、設置状態において、垂直方向に延びると共に、軒側換気部材に取り付けられる第1側面部と、設置状態において、第1側面部と平面視直角方向に接続すると共に、ケラバ側換気部材に取り付けられる第2側面部と、設置状態において、第2側面部と平面視直角方向に接続すると共に、第1側面部に対して建築物の外壁側に配置される第3側面部とを備え、第2側面部及び第3側面部の各々は、ケラバ側換気部材の設置角度に応じた形状に調整可能に構成されるものである。
【0012】
このように構成すると、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて、第2側面部及び第3側面部の形状を調整できる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1側面部及び第2側面部の各々は矩形平板状を有し、第3側面部は平板状を有し、第2側面部は、その上端の高さが第1側面部の上端の高さよりも高く設計され、第2側面部及び第3側面部の各々は、それらの上端側からの一部が切り取り可能に構成されるものである。
【0014】
このように構成すると、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて、第2側面部及び第3側面部の一部を切り取ることが可能となる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1側面部、第2側面部及び第3側面部の各々の下端に接続する平面視略L字形状の底面部を更に備えたものである。
【0016】
このように構成すると、取付け状態において、換気部材の水下出隅部材と接続する部分の底側が底面部によって覆われる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、底面部は、第1側面部及び第2側面部の下端から斜め上方に立ち上がる傾斜部を含み、第3側面部の下部は、傾斜部に合わせた形状に切り欠かれるものである。
【0018】
このように構成すると、底面部が底上げされ外部から視認しにくくなる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、第1側面部は、第2側面部と接続する部分の上端に第3側面部側に向かって水平方向に延びる折曲片を備え、設置状態において、少なくとも折曲片の第2側面部と対向する側の端部に、軒側換気部材の水下出隅側端部の一部が水平状態で当接するものである。
【0020】
このように構成すると、水下出隅部材を軒側換気部材に取り付ける際の位置決めが容易となる
請求項6記載の発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、第2側面部には、第1側面部側から第3側面部側に向かって斜め上方に延びる複数の第1切取り補助線が設けられ、第3側面部には、ケラバ側換気部材の底部の形状を反映した複数の第2切取り補助線が設けられるものである。
【0021】
このように構成すると、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて、第1切取り補助線及び第2切取り補助線に沿って第2側面部及び第3側面部を切り取ることが可能となる。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項2から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、所定形状に形成された1枚の金属製板材を折り曲げることで形成されるものである。
【0023】
このように構成すると、部品点数が低減する。
【0024】
請求項8記載の発明は、建築物の水下出隅部分において建築物の内部空間の換気を行う換気部材構造体であって、屋根の軒下と外壁との間に水平方向に設置される軒側換気部材と、屋根のケラバ下と外壁との間に屋根の勾配に対応して設置されるケラバ側換気部材と、軒側換気部材とケラバ側換気部材とが形成する出隅部分に設置される請求項1から請求項7のいずれかに記載の水下出隅部材とを備え、水下出隅部材の第1側面部の上端は水平方向に延びるように構成され、水下出隅部材の第2側面部の上端は、ケラバ側換気部材の設置角度に沿って第1側面部から第3側面部に向かって斜め上方に延びるように構成され、第3側面部の上端はケラバ側換気部材の底面部と接するように構成されるものである。
【0025】
このように構成すると、第1側面部の形状は軒側換気部材の設置角度に応じたものとなり、第2側面部及び第3側面部の各々の形状はケラバ側換気部材の設置角度に応じたものとなる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて、第2側面部及び第3側面部の形状を調整できるため、様々な勾配の屋根に設置された換気部材に容易に対応できると共に、様々な形状の換気部材に適用できる。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて、第2側面部及び第3側面部の一部を切り取ることが可能となるため、一つの部材で様々な勾配の屋根に設置された換気部材に対応でき、コスト的に有利になる。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、取付け状態において、換気部材の水下出隅部材と接続する部分の底側が底面部によって覆われるため、建築物の外壁に当たることで上方に跳ね返る雨水の侵入を防止できる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、底面部が底上げされ外部から視認しにくくなるため、美観が向上する。
【0030】
請求項5記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、水下出隅部材を軒側換気部材に取り付ける際の位置決めが容易となるため、施工効率が向上する。
【0031】
請求項6記載の発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて、第1切取り補助線及び第2切取り補助線に沿って第2側面部及び第3側面部を切り取ることが可能となるため、施工効率が向上する。
【0032】
請求項7記載の発明は、請求項2から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、部品点数が低減するため、コスト的に有利になる。
【0033】
請求項8記載の発明は、第1側面部の形状は軒側換気部材の設置角度に応じたものとなり、第2側面部及び第3側面部の各々の形状はケラバ側換気部材の設置角度に応じたものとなるため、様々な勾配の屋根に設置された換気部材に容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】この発明の第1の実施の形態による換気部材構造体の外観形状を示す概略図である。
【
図2】
図1で示した換気部材構造体の軒側換気部材の外観形状を示す概略斜視図である。
【
図3】
図1で示した換気部材構造体の水下出隅部材の組立て前の状態を示す展開図である。
【
図4】
図3で示した水下出隅部材の組立て後の外側形状を示す概略斜視図である。
【
図5】
図3で示した水下出隅部材の組立て後の内側形状を示す概略斜視図である。
【
図6】
図1で示した軒側換気部材及びケラバ側換気部材の設置状態を示す概略図である。
【
図7】
図4で示した水下出隅部材の第2側面部及び第3側面部の加工状態を示す概略図である。
【
図8】
図6で示した軒側換気部材及びケラバ側換気部材の各々に
図7(2)で示した水下出隅部材を取り付ける状態を示す概略図である。
【
図9】
図7(2)で示した水下出隅部材と軒側換気部材との取付け状態における各々の位置関係を示す概略端面図である。
【
図10】
図7(2)で示した水下出隅部材とケラバ側換気部材との取付け状態における各々の位置関係を示す概略端面図である。
【
図11】この発明の第2の実施の形態による換気部材構造体の設置状態を示す概略図である。
【
図12】この発明の第3の実施の形態による換気部材構造体の水下出隅部材の外側形状を示す概略斜視図であって、
図4に対応するものである。
【
図13】この発明の第4の実施の形態による換気部材構造体の水下出隅部材の外側形状を示す概略斜視図であって、
図4に対応するものである。
【
図14】
図13で示した水下出隅部材に間隙材を取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、この発明の第1の実施の形態による換気部材構造体の外観形状を示す概略図である。
【0036】
図1を参照して、換気部材構造体10は、片流れの屋根構造を有する家屋1等の建築物の水下出隅部分において、外壁4と図示しない胴縁との間に形成される図示しない壁体内部空間等の建築物の内部空間の換気を行うために、屋根の軒2側において軒下と外壁4との間に水平方向に設置される長尺の軒側換気部材20、屋根のケラバ3側においてケラバ下と外壁5との間に屋根の勾配に対応して設置される長尺のケラバ側換気部材30、及び軒側換気部材20とケラバ側換気部材30とが形成する出隅部分9に設置される水下出隅部材40を備えるものである。
【0037】
この換気部材構造体10の具体的な設置状態について説明する前に、換気部材構造体10を構成する各部材について説明する。まず、軒側換気部材20について説明する。
【0038】
図2は、
図1で示した換気部材構造体の軒側換気部材の外観形状を示す概略斜視図である。
【0039】
図2を参照して、軒側換気部材20は、長尺のガルバリウム鋼板(登録商標)等の金属板を折り曲げや打ち抜き加工等して形成されるものである。具体的には、
図1で示す家屋1への設置状態において、垂直方向に延びると共に屋外側に位置する屋外側側面部21と、垂直方向に延びると共に
図1で示す外壁4側に位置する壁側側面部23aと、屋外側側面部21の下端と壁側側面部23aの上端とを接続する底面部22と、複数の切り起こし孔からなる換気孔28を有する換気部27とを有するものである。
【0040】
屋外側側面部21の上方は、平坦部35a及び垂下部36aとからなる逆L字形状に折り曲げられ、平坦部35aの上面には発泡ゴム等からなる水密材29が設けられている。又、底面部22は、屋外側側面部21との接続部分から壁側側面部23aに向かって斜め上方に立ち上がる傾斜部24aと、傾斜部24aの上端から壁側側面部23aに向かって水平方向に延び、壁側側面部23aの上端と接続する水平部25aとからなる。底面部22の傾斜部24aには矩形形状に切り抜かれた複数の開口26が形成されており、底面部22の水平部25aの上面には、換気部27が載置されている。家屋1の壁体内部空間の換気は、底面部22の傾斜部24aの複数の開口26と換気部27の複数の換気孔28を介して行われる。
【0041】
次に、換気部材構造体10を構成するケラバ側換気部材30については、軒側換気部材20と同様の構成を有するものであるため、ここでの説明は省略する。
【0042】
次に、換気部材構造体10を構成する水下出隅部材40について説明する。
【0043】
図3は、
図1で示した換気部材構造体の水下出隅部材の組立て前の状態を示す展開図であり、
図4は、
図3で示した水下出隅部材の組立て後の外側形状を示す概略斜視図であり、
図5は、
図3で示した水下出隅部材の組立て後の内側形状を示す概略斜視図である。尚、
図4及び
図5で示す組立て後の水下出隅部材の上下方向は、設置状態の上下方向と同一である。
【0044】
図3を参照して、水下出隅部材40は、ガルバリウム鋼板(登録商標)等の1枚の金属板を
図3で示すような形状に打ち抜いたブランク板140(金属製板材)を折り曲げて形成されている。具体的には、
図4及び
図5を参照して、垂直方向に延びる矩形平板形状の第1側面部41と、第1側面部41と平面視直角方向に接続する矩形平板状の第2側面部42と、第2側面部42と平面視直角方向に接続すると共に、第1側面部41に対向する側(設置状態において第1側面部41に対して
図1で示す家屋1の外壁4側)に配置される平板状の第3側面部43と、第1側面部41、第2側面部42及び第3側面部43の各々の下端64、65及び66に接続する平面視略L字形状の底面部44とを備えている。
【0045】
第2側面部42は、その上端62の高さH2が第1側面部41の上端61の高さH1よりも高く設計されている。又、第3側面部43の上端の高さH3は、第2側面部42の高さH2と同一の高さである。更に、第2側面部42及び第3側面部43の各々は、具体的には後述するが、それらの上端62、63側からの一部が切り取り可能となっているものである。更に、第1側面部41の上端61の第2側面部42と接続する部分側には、第3側面部43側に向かって水平方向に延びる矩形平板状の折曲片48が設けられている。折曲片48の上面には発泡ゴム等からなる水密材68が設けられている。
【0046】
底面部44は、第1側面部41の下端64及び第2側面部42の下端65の各々から斜め上方に立ち上がる傾斜部45a、45bと、傾斜部45a、45bに接続し水平方向に延びる水平部46a、46bとからなるものである。水平部46a、46bの傾斜部45a、45bと接続する側に対向する側の端部の各々には垂直下方に延びる垂下部47a、47bが設けられている。第3側面部43の下部58は、傾斜部45b及び水平部46bに合わせた形状に切り欠かれている。
【0047】
これらのように構成した効果については後述する。
【0048】
次に、水下出隅部材40の具体的な組立て手順について説明する。
【0049】
図3から
図5を再度参照して、ブランク板140は、組立て後の水下出隅部材40の第1側面部41に相当する第1側面部相当部141、第2側面部42に相当する第2側面部相当部142、第3側面部43に相当する第3側面部相当部143、底面部44に相当する底面部相当部144、垂下部47a、47bに相当する垂下部相当部147a、147b及び折曲片48に相当する折曲片相当部148とから主に構成されている。
【0050】
まず、
図3で示すブランク板140の第1側面部相当部141及び第2側面部相当部142を底面部相当部144との接続部分151、152に沿って垂直方向に立ち上げる。その際、第3側面部相当部143は第2側面部相当部142に接続部分154を介して接続しているため、第2側面部相当部142と共に垂直方向に立ち上がる。
【0051】
次に、底面部相当部144の傾斜部相当部145a、145bを第1側面部相当部141及び第2側面部相当部142の各々と底面部相当部144との接続部分151、152に沿って斜め上方に立ち上げる。立ち上げる際の立ち上げ角度は、この実施の形態では水平面に対して約55°に設定しているが、設置する建築物や組み合わせる換気部材の形状によって適宜変更可能である。又、底面部相当部144の水平部相当部146aを傾斜部相当部145aと水平部相当部146aとの接続部分156aに沿って水平方向に折り曲げる。同様に底面部相当部144の水平部相当部146bを傾斜部相当部145bと水平部相当部146bとの接続部分156bに沿って水平方向に折り曲げる。
【0052】
更に、垂下部相当部147aを水平部相当部146aと垂下部相当部147aの接続部分157aに沿って垂直下方に折り曲げる。同様に垂下部相当部147bを水平部相当部146bと垂下部相当部147bとの接続部分157bに沿って垂直下方に折り曲げる。
【0053】
更に、第1側面部相当部141を第1側面部相当部141と第2側面部相当部142との接続部分153に沿って直角に折り曲げ、第1側面部41及び第2側面部42を形成する。その際、底面部相当部144は、傾斜部相当部145a及び傾斜部相当部145bの互いに向き合う側の端部を付き合わせ、水平部相当部146bの上の一部に水平部相当部146aの一部を重ね合わせる。この重ね合わせた部分はリベット60を打ち込む等して固定する。これによって、傾斜部45a、45b及び水平部46a、46bを有する底面部44を形成する。加えて、第3側面部相当部143を第2側面部相当部142と第3側面部相当部143との接続部分154に沿って直角に折り曲げ、第3側面部43を形成する。
【0054】
更に、折曲片相当部148を第1側面部相当部141と折曲片相当部148との接続部分155に沿って水平方向に折り曲げることで折曲片48を形成する。最後に、形成した折曲片48の上面49にウレタンフォームや発泡ゴムからなる水密材68を接着剤等で取り付けて、
図4及び
図5で示す水下出隅部材40が完成する。
【0055】
尚、上述の組立て手順は一例を示すものであり、前後しても構わない。
【0056】
次に、
図1で示した換気部材構造体10の施工方法に関して説明する。
【0057】
図6は、
図1で示した軒側換気部材及びケラバ側換気部材の設置状態を示す概略図である。
【0058】
図6を参照して、まず家屋1の軒2の下と外壁4の上端部との間には、軒2と略平行に伸びる下地木6が予め設けられており、この下地木6に軒側換気部材20が取り付けられる。設置に際しては、軒側換気部材20の屋外側側面部21を外方に向け、底面部22が外壁4の上端部上方に位置するようにし、垂下部36を下地木6に当接するようにした上で、屋外側側面部21の横方向から図示しないビス又は釘を打ち込んで下地木6に固定する。軒側換気部材20の底面部22と外壁4の上端部との間には図示しないシーリング材を充填する。
【0059】
又、家屋1のケラバ3の下と外壁5の上端部との間には、ケラバ3と略平行に伸びる下地木7が予め設けられており、この下地木7にケラバ側換気部材30が取り付けられる。このケラバ側換気部材30の具体的な設置状態については軒側換気部材20と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0060】
このようにすると、軒側換気部材20は水平に設置され、ケラバ側換気部材30は屋根勾配に応じて傾斜して設置される。設置された軒側換気部材20とケラバ側換気部材30とは出隅部分9を形成する。
【0061】
次に、水下出隅部材40の出隅部分9への設置について説明する。
【0062】
図7は、
図4で示した水下出隅部材の第2側面部及び第3側面部の加工状態を示す概略図であって、(1)は第2側面部及び第3側面部の切取り箇所を示す図であり、(2)は第2側面部及び第3側面部の切取り後の状態を示す図である。
【0063】
図7の(1)を参照して、水下出隅部材40の第2側面部42に示す二点鎖線の線分73は、第1側面部41の上端61と第2側面部42との接点74において、第1側面部41と第2側面部42との接続部分53から第2側面部42と第3側面部43との接続部分54まで水平に延びるものである。この線分73を基準として、第2側面部42の
図6で示すケラバ側換気部材30の設置角度(屋根勾配)θと同一の角度で斜め上方に傾斜した位置に第1切取り線75を印付ける。
【0064】
又、水下出隅部材40の第3側面部43には、第3側面部43の下端66からケラバ側換気部材30の設置角度(屋根勾配)θに応じた分だけ上方の位置に、ケラバ側換気部材30の底面部の形状を反映した第2切取り線76を印付ける。
【0065】
更に、
図7の(2)を参照して、第2側面部42及び第3側面部43の各々を第1切取り線75及び第2切取り線76に沿って切り取る。
【0066】
図8は、
図6で示した軒側換気部材及びケラバ側換気部材の各々に
図7(2)で示した水下出隅部材を取り付ける状態を示す概略図であり、
図9は、
図7(2)で示した水下出隅部材と軒側換気部材との取付け状態における各々の位置関係を示す概略端面図であり、
図10は、
図7(2)で示した水下出隅部材とケラバ側換気部材との取付け状態における各々の位置関係を示す概略端面図である。尚、
図9は、家屋の壁側を左側、屋外側を右側として、水下出隅部材と軒側換気部材とが接している部分を任意の垂直方向のラインで切り取った図であり、説明のために屋根材等の周辺部材を省略している。又、
図10は、家屋の壁側を右側、屋外側を左側として、水下出隅部材とケラバ側換気部材の第3側面部が接している部分を垂直方向のラインで切り取った図であり、
図9と同様に説明のために屋根材等の周辺部材を省略している。
【0067】
図8を参照して、第2側面部42及び第3側面部43を切取り加工後の水下出隅部材40の第1側面部41の内側及び第2側面部42の内側には、図示しないシーリング材を予め塗布しておく。次に、第1側面部41が軒側換気部材20の屋外側側面部21の水下出隅側部分に被さるようにして、又、第2側面部42がケラバ側換気部材30の屋外側側面部31の水下出隅側部分を被さるようにして取り付ける。そして、第1側面部41及び第2側面部42の各々の外側から横方向にビス70を打ち込んで固定する。このようにして換気部材構造体10の施工が完了する。すると、換気部材構造体10の軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30の各々の水下出隅部材40が取り付けられた部分は、水下出隅部材40の第1側面部41、第2側面部42、第3側面部43及び底面部44の各々に覆われることになる。
【0068】
尚、設置後の軒側換気部材20と水下出隅部材40との具体的な位置関係については、
図9を併せて参照して、切取り加工後の水下出隅部材40の第1側面部41は、軒側換気部材20の屋外側側面部21の外側に当接する。又、底面部44については、傾斜部45a及び水平部46aの各々が、軒側換気部材30の底面部22の傾斜部24a及び水平部25aの各々を覆うように当接する。更に、垂下部47aについては、図示しない家屋の下地材に当接した軒側換気部材20の壁側側面部23aに当接する。
【0069】
又、設置後のケラバ側換気部材30と水下出隅部材40との具体的な位置関係については、
図10を更に参照して、切取り加工後の水下出隅部材40の第2側面部42は、ケラバ側換気部材30の屋外側側面部31の外側に当接する。又、切取り加工後の水下出隅部材40の第3側面部43の上端63は、ケラバ側換気部材30の底面部32に当接する。切取り加工後の水下出隅部材40の底面部44については、傾斜部45b及び水平部46bの各々が、軒側換気部材30の底面部32の傾斜部24b及び水平部25bの各々の下方の軒側換気部材30の傾斜に応じた分だけ離れた位置において、軒側換気部材30の底面部32の傾斜部24b及び水平部25bの各々を覆うように配置されている。更に、垂下部47bについては、図示しない外壁用の下地材に当接する。
【0070】
更に、設置後の水下出隅部材40の第1側面部の上端61は、軒側換気部材20の設置角度(水平)に沿って水平に延び、水下出隅部材40の第2側面部42の上端62は、ケラバ側換気部材30の設置角度に応じて傾斜しており、水下出隅部材40の第3側面部43の上端63はケラバ側換気部材30の底面部32と接するようになっている。換言すると、水下出隅部材40の第1側面部41の上端61は水平方向に延びるように構成され、水下出隅部材40の第2側面部42の上端62は、ケラバ側換気部材30の設置角度に沿って第1側面部41から第3側面部43に向かって斜め上方に延びるように構成され、第3側面部43の上端63はケラバ側換気部材30の底面部32と接するように構成されるものである。
【0071】
このようにすることで、水下出隅部材40の第1側面部41の形状は軒側換気部材20の設置角度に応じたものとなり、第2側面部42及び第3側面部43の各々の形状はケラバ側換気部材30の設置角度に応じたものとなるため、様々な勾配の屋根に設置された換気部材に容易に対応できる。又、水下出隅部材40の第2側面部42及び第3側面部43の各々の形状はケラバ側換気部材30の形状に応じたものとなるため、様々な形状の換気部材に適用できる。
【0072】
このように構成された換気部材構造体10の水下出隅部材40は、ケラバ側換気部材30の設置角度に応じて第2側面部42及び第3側面部43の一部を切り取ることによって第2側面部42及び第3側面部43の形状を調整できるため、一つの部材で様々な勾配の屋根に設置されたケラバ側換気部材30に対応でき、コスト的に有利になる。
【0073】
更に、水下出隅部材40は、取付け状態において、軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30の水下出隅部材40と接続する部分の底側が水下出隅部材の底面部44によって覆われるため、家屋1(建築物)の外壁に当たることで上方に跳ね返る雨水の侵入を防止できる。又、傾斜部45a、45bによって底面部44が底上げされ外部から視認しにくくなるため、美観が向上する。
【0074】
更に、水下出隅部材40は、所定形状に形成された1枚のブランク板140を折り曲げることで形成されていることにより、部品点数が低減するため、コスト的に有利になる。又、隙間が少ない部材となり、設置状態における防水性が向上する。
【0075】
図11は、この発明の第2の実施の形態による換気部材構造体の設置状態を示す概略図である。尚、この図では説明の都合上、屋根材等の換気部材構造体の周辺部材は省略している。
【0076】
この実施の形態による、換気部材構造体80の軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30の構成は、第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さず、相違点のみ説明する。又、この実施の形態による、換気部材構造体80の水下出隅部材40の構成は、基本的には、第1の実施の形態で示した切取り加工を施したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さず、相違点のみ説明する。
【0077】
図11を参照して、換気部材構造体80の設置状態において、水下出隅部材40の折曲片48の第2側面部42と対向する側の端部77には、軒側換気部材20の水下出隅側端部の一部である軒側換気部材20の平坦部35aの水下出隅側端部37が水平状態で当接している。又、折曲片48の第3側面部43側の端部78には、ケラバ側換気部材30の水下出隅側端部の一部であるケラバ側換気部材の平坦部35bの水下出隅側端部38が斜め下方向に傾斜した状態で当接している。
【0078】
尚、水下出隅部材40の折曲片48の大きさは、軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30との設置位置に応じて設計されている。この水下出隅部材40の軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30への取付けに際しては、水下出隅部材40の折曲片48の端部77を軒下に設置されている軒側換気部材20の平坦部35aの水下側端部37に当接させると共に、水下出隅部材40の折曲げ片48の端部78をケラバ下に設置されているケラバ側換気部材30の平坦部35bの水下出隅側端部38に当接させるようにするだけで、水下出隅部材40の設置位置を決定することができる。
【0079】
又、換気部材構造体80の設置状態においては、軒側換気部材20の水密材29、水下出隅部材40の水密材68及びケラバ側換気部材30の水密材39が連続した状態になる。
【0080】
このようにすることで、水下出隅部材40を軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30に取り付ける際の位置決めが容易となるため、施工効率が向上する。又、軒側換気部材20の水密材29、ケラバ側換気部材30の水密材39及び水下出隅部材40の水密材68の各々が連続した状態になるため、換気部材構造体80の水密性が向上する。
【0081】
図12は、この発明の第3の実施の形態による換気部材構造体の水下出隅部材の外側形状を示す概略斜視図であって、
図4に対応するものである。
【0082】
図1を再度参照して、この実施の形態による換気部材構造体90の軒側換気部材20、ケラバ側換気部材30及び水下出隅部材100の各々の構成及び軒側換気部材20、ケラバ側換気部材30及び水下出隅部材100の各々の設置状態については基本的に第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さず、相違点のみ説明する。
【0083】
図12を併せて参照して、換気部材構造体90の水下出隅部材100は、第1の実施の形態の切取り加工を施す前の水下出隅部材40に相当する形状において、第2側面部102の外側には、第1側面部101の上端108と第2側面部102との接点104を始点として、第1側面部側101から第3側面部103に向かって斜め上方に延びると共に、傾斜角度の異なる複数の第1切取り補助線105a~105dが設けられている。又、第3側面部103の外側には、ケラバ側換気部材の底部の形状を反映した複数の第2切取り補助線106a~106dが高さ方向に設けられている。この第1切取り補助線105a~105d及び第2切取り補助線106a~106dの各々は、例えば、3寸、4寸、5寸、6寸といった標準的な屋根勾配に合わせて設けられる。
【0084】
水下出隅部材100の設置の際には、まず第1切取り補助線105a~105dのいずれか及び第2切取り補助線106a~106dいずれかをケラバ側換気部材の設置角度に応じて選択する。次に、選択したものに沿って第1の実施の形態と同様に第2側面部102及び第3側面部103の一部を切り取る。この切取り加工を施した水下出隅部材100を軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30に第1の実施の形態と同様の方法で取り付けることで、換気部材構造体90の設置が完了する。
【0085】
このようにすることで、水下出隅部材100は、ケラバ側換気部材の設置角度に応じて、第1切取り補助線105a~105d及び第2切取り補助線106a~106dに沿って第2側面部102及び第3側面部103を切り取ることが可能となるため、施工効率が向上する。
【0086】
図13は、この発明の第4の実施の形態による換気部材構造体の水下出隅部材の外側形状を示す概略斜視図であって、
図4に対応するものであって、
図14は、
図13で示した水下出隅部材に間隙材を取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【0087】
図1を再度参照して、この実施の形態による換気部材構造体110の軒側換気部材20、ケラバ側換気部材30及び水下出隅部材120の各々の構成及び軒側換気部材20、ケラバ側換気部材30及び水下出隅部材120の各々の設置状態については基本的に第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さず、相違点のみ説明する。
【0088】
図13を併せて参照して、換気部材構造体110の水下出隅部材120は、第2側面部122の上端132の高さH
4が第1側面部121の上端131の高さH
3と同一に設定されたものである。又、第3側面部123は、第1の実施の形態によるものと比較して大きく切り欠かれており、その上端133がケラバ側換気部材30の底面部32の形状を反映したものとなっている。
【0089】
この状態の水下出隅部材120を
図1で示す軒先換気部材20及びケラバ換気部材30に取り付けた場合、図示はしないが水下出隅部材120の第2側面部122の上端132とケラバ3と間には隙間が生じる。又、第3側面部123の上端133とケラバ側換気部材30の底面部との間にも隙間が生じる。そのため、水下出隅部材120の設置に際しては、次のように第2側面部122及び第3側面部123の形状を調整する。
【0090】
図14を併せて参照して、水下出隅部材120の第2側面122の上端132とケラバ3との隙間に応じた形状を有する第1の間隙材125を第2側面部122の外方側にビス127で取り付ける。又、水下出隅部材120の第3側面123の上端133と
図1で示すケラバ側換気部材30の底面部との隙間に応じた形状を有する第2の間隙材126を第3側面部123の外方側にビス128で取り付ける。第1の間隙材125は、その上端135が
図1で示すケラバ側換気部材30の設置角度に応じて斜めに傾斜したものとなっている。又、第2の間隙材126については、その上端136が
図1で示すケラバ側換気部材30の底部の形状を反映したものとなっている。このようにして形状を調整した水下出隅部材120を第1の実施の形態と同様に軒側換気部材20及びケラバ側換気部材30に取り付けることで、換気部材構造体110の設置が完了する。
【0091】
このような水下出隅部材120は、ケラバ側換気部材30の設置角度に応じて、水下出隅部材の120の第2側面部122及び第3側面部123の形状を調整できるため、様々な勾配の屋根に設置された換気部材に容易に対応できる。
【0092】
尚、上記の各実施の形態では、軒側換気部材及びケラバ側換気部材は特定の構成を有するものであったが、これに限らず他の構成によるものであってもよい。
【0093】
又、上記の各実施の形態では、換気部材構造体は片流れの屋根構造を有する家屋に適用されるものであったが、これに限らず、水下出隅が形成されるものであれば、例えば切妻等の両流れの屋根構造を有する家屋であってもよいし、家屋以外の建築物に適用されるものであってもよい。
【0094】
更に、上記の各実施の形態では、一例として妻側から見て右斜め下方に下がる片流れの屋根構造を有する水下出隅部分に適用するものを説明したが、他の水下出隅部分にも同様に適用できる。例えば、左斜め下方に下がる屋根構造を有する水下出隅部分については、上記の各実施の形態で述べた水下出隅部材を左右対称に構成した部材を適用することができる。
【0095】
更に、上記の各実施の形態では、換気部材構造体は壁体内部空間を換気するものであったが、これに限らず、建築物の内部空間であれば小屋裏空間といった他の空間を換気する場合にも適用できる。
【0096】
更に、上記の各実施の形態では、軒側換気部材、ケラバ側換気部材及び水下出隅部材の各々は、ガルバリウム鋼板(登録商標)等の金属板からなるものであったが、ステンレス等の他の素材からなるものであってもよい。
【0097】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材の第1側面部、第2側面部及び第3側面部の各々は平板状のものであったが、厚みのある構造であってもよい。
【0098】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材の第1側面部、第2側面部及び第3側面部の各々は特定形状を有するものであったが、他の形状であってもよい。
【0099】
更に、上記の第1から第3の実施の形態では、水下出隅部材の第3側面部は、その上端の高さが第2側面部の上端と同一の高さになるように設定されているが、第2側面部より高くても低くてもどちらでもよい。
【0100】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材は底面部を備える構成であったが、底面部はないものであってもよい。
【0101】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材の底面部は傾斜部及び水平部を有するものであったが、これに限らず、平面視略L字形状であれば他の形状であってもよい。例えば、底面部が全て傾斜部からなるものや、全て水平部からなるものであってもよい。又、底面部の軒側換気部材を覆う側とケラバ側換気部材を覆う側とで異なる底面部の形状を組み合わせたものであってもよい。例えば、底面部の軒側換気部材の底面部を覆う側に傾斜部及び水平部を設ける一方で、ケラバ側換気部材の底面部を覆う側を水平部のみとする構成としてもよい。
【0102】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材の底面部の水平部はその一部が互いに重なり合う構成であったが、これに限らず、傾斜部のように互いに付き合う構成にしてもよい。
【0103】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材には垂下部が設けられるものであったが、垂下部はなくてもよい。
【0104】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材には折曲片及び水密材が設けられた構成であったが、折曲片及び水密材はなくてもよい。
【0105】
更に、上記の各実施の形態では、軒側換気部材の底面部と水下出隅部材の底面部との各々は傾斜部及び水平部を有し、互いの傾斜部及び水平部が当接するものであったが、これに限らない。軒側換気部材の底面部が水下出隅部材の底面部に覆われていれば、ケラバ側換気部材のように互いに当接していなくてもよい。
【0106】
更に、上記の第1から第3の実施の形態では、水下出隅部材を形成する所定形状のブランク板は1枚の金属板を所定形状に打ち抜くことで得られるものであったが、これに限らず、所定形状に形成されていれば、のこぎり等の刃物で切り欠いたり切断したりする等の打ち抜き以外の方法によって得られるものであってもよい。
【0107】
更に、上記の第1から第3の実施の形態では、水下出隅部材は1枚の金属板から形成されるものであったが、2枚以上の金属板を溶接等で組み合わせて形成されるものであってもよい。
【0108】
更に、上記の第4の実施の形態では、水下出隅部材の隙間材は特定形状の板状のものであったが、これに限らない。厚みのある立体形状のものであってもよい。取り付け方も適宜決定してよい。
【0109】
更に、上記の第1から第3の実施の形態では、水下出隅部材の第2側面部及び第3側面部をケラバ側換気部材の傾斜角度に応じて特定の位置で切り取ることで水下出隅部材の形状を調整するものであり、又、上記の第4の実施の形態では、水下出隅部材の第2側面部及び第3側面部に間隙材を取り付けることで水下出隅部材の形状を調整するものであったが、これに限らない。例えば、第2側面部を切り取る構成とする一方で第3側面部に間隙材を取り付ける構成としてもよい。又、その逆の構成としてもよい。更に、初めから屋根の勾配(ケラバ側換気部材の傾斜角度)を加味した形状の出隅部材を準備するものであってもよい。
【0110】
更に、上記の各実施の形態では、水下出隅部材の第1側面部の形状は調整しないものであったが、切り取りや、間隙材の取付け等によって、形状を調整するものであってもよい。
【0111】
更に、上記の各実施の形態では説明しなかったが、軒側換気部材は軒に沿って複数設けられるものであってもよい。又、ケラバ側換気部材についても同様に、ケラバに沿って複数設けられるものであってもよい。
【0112】
更に、上記の第2の実施の形態では、水下出隅部材の折曲片には軒側換気部材又はケラバ側換気部材の双方の水下出隅側端部の一部が当接する構成であったが、これに限らない。水下出隅部材の折曲片には、軒側換気部材及びケラバ側換気部材のいずれか一方の水下出隅側端部の一部のみが当接するものであってもよいし、軒側換気部材及びケラバ側換気部材のいずれも当接しないものであってもよい。水下出隅部材の折曲片と軒側換気部材及びケラバ側換気部材とが当接しないことで生じる隙間は空けたままにしておいてもよいし、パッキン等でその隙間を埋めるようにしたものであってもよい。
【0113】
更に、上記の第3の実施の形態では、第1切取り補助線及び第2切取り補助線は3~6寸の屋根勾配に対応して4本ずつ設けられるものであったが、これに限らず、屋根勾配に対応して、任意の角度で任意の本数設けられるものであってもよい。
【0114】
更に、上記の第3の実施の形態では、第1切取り補助線及び第2切取り補助線は第2側面部及び第3側面部の外側に設けられるものであったが、これに限らず内側に設けられるものであってもよい。
【0115】
更に、上記の第4の実施の形態では、第1側面部及び第2側面部の上端の高さは同一であったが、第2側面部の上端の高さが第1側面部の上端の高さより、低いものであってもよい。
【0116】
更に、上記の第4の実施の形態では、第1の間隙材及び第2間隙材は特定形状を有するものであったが、これに限らず、水下出隅材と軒及びケラバとの隙間を埋めるものであれば、任意の形状を適用できる。
【0117】
更に、上記の第4の実施の形態では、第1の間隙材及び第2間隙材は第2側面部及び第3側面部の外側にビスで取り付けられるものであったが、これに限らず、接着剤等他の固定手段を用いるものであってもよい。又、第2側面部及び第3側面部の内側に取り付けるものであってもよい。
【符号の説明】
【0118】
2…軒
3…ケラバ
4、5…外壁
9…出隅部分
10、80、90、110…換気部材構造体
20…軒側換気部材
30…ケラバ側換気部材
40、100、120…水下出隅部材
41、101、121…第1側面部
42,102、122…第2側面部
43、103、123…第3側面部
44…底面部
45a、45b…傾斜部
46a、46b…水平部
58…第3側面部の下部
61…第1側面部の上端
62…第2側面部の上端
63…第3側面部の上端
48…折曲片
105a~105d…第1切取り補助線
106a~106d…第2切取り補助線
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。