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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020928
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】難燃材及び燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F24B 1/20 20060101AFI20220126BHJP
   F23B 60/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
F24B1/20
F23B60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124203
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】520271355
【氏名又は名称】石垣 文隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】石垣 文隆
【テーマコード(参考)】
3K046
【Fターム(参考)】
3K046AA11
3K046AD01
3K046BA02
3K046FA04
(57)【要約】
【課題】継続して使用される部材に、燃焼による影響が及ばないようにする。
【解決手段】ワッフル容器製造器1は、生地Bを3分間、170~180℃で加熱することで、ボウル型難燃材10を焼成する。ボウル型難燃材10の生地Bの原料の許容範囲は、水の添加量を、小麦粉の添加量に対して、60~80重量%の範囲内の値とし、重曹の添加量を、小麦粉の添加量に対して、10~20重量%の範囲内の値とし、ホウ酸の添加量を、小麦粉の添加量に対して、10~15重量%の範囲内の値とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、小麦粉、及び重曹を混合した生地を加熱して形成することを特徴とする難燃材。
【請求項2】
水、小麦粉、及び重曹を混合した生地を、130~250℃の範囲内の温度で、2~15分間の範囲内で加熱して形成することを特徴とする難燃材。
【請求項3】
前記生地において、前記重曹の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~20重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃材。
【請求項4】
前記生地において、塩を添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の難燃材。
【請求項5】
機器の外側を覆うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の難燃材。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の難燃材を容器状に形成した難燃部材と、
前記難燃部材を保持する保持部材と、
前記難燃部材の内側に配置される固形燃料と、
を備えることを特徴とする燃焼装置。
【請求項7】
前記保持部材は、貫通部が形成され、前記難燃部材との間の一部に隙間を形成した状態で当該難燃部材を支え、
前記貫通部は、前記隙間に空気を導くことを特徴とする請求項6に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、他の部材を火から守ったり、断熱等を行ったりする難燃材、及び燃料を燃焼させる燃焼装置を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来、料理屋、レストランなどで簡易に用いられる、調理用簡易固形燃料は一般にアルコールを主原料としている。このような固形燃料は、固形燃料用コンロに置かれて使用される。
【0003】
固形燃料用コンロは、底部と底部の周囲に形成された側壁部からなる燃焼室を備えている。また、固形燃料用コンロには、通常、燃焼室に空気を供給するための空気孔も形成されている。
【0004】
このような固形燃料用コンロの一例として、特許文献1には、底部と、前記底部の周囲に形成された側壁部とからなる燃焼室を備える固形燃料用コンロであって、前記底部には、固形燃料を配置するための固形燃料配置部と、前記燃焼室に空気を取り入れるための空気孔が形成されており、前記空気孔の下には、前記空気孔から固形燃料が漏れ出ることを防止するための固形燃料漏れ防止機構を備える固形燃料用コンロが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-200029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている固形燃料用コンロでは、底部に固形燃料を配置するため、固形燃料に燃え残りが生じた場合、掃除が困難になるとともに、固形燃料を燃焼した際の熱による酸化により、底部の金属部に変色が生じて、見た目が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、継続して使用される部材に、燃焼による影響が及ばないようにすることができる難燃材及び燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明の難燃材は、水、小麦粉、及び重曹を混合した生地を加熱して形成することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明の難燃材は、水、小麦粉、及び重曹を混合した生地を、130~250℃の範囲内の温度で、2~15分間の範囲内で加熱して形成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明の難燃材は、請求項1または2に記載の難燃材であって、前記生地において、前記重曹の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~20重量%の範囲内の値とすることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明の難燃材は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載であって、前記生地において、塩を添加することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明の難燃材は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載であって、機器の外側を覆うことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明の燃焼装置は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の難燃材を容器状に形成した難燃部材と、前記難燃部材を保持する保持部材と、前記難燃部材の内側に配置される固形燃料とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明の燃焼装置は、前記保持部材は、貫通部が形成され、前記難燃部材との間の一部に隙間を形成した状態で当該難燃部材を支え、前記貫通部は、前記隙間に空気を導くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明における難燃材及び燃焼装置によって、継続して使用される部材に、燃焼による影響が及ばないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係るボウル型難燃材の製造方法を示す説明図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るボウル型難燃材を示す平面図及び側面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るボウル型難燃材を用いた第1の携帯コンロを示す、分解斜視図、組み立て斜視図、及び断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る難燃材を用いた第2乃至第4の携帯コンロを示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る難燃材を用いた第1及び第2の照明器具を示す斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る難燃材を用いたトーチを示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る難燃材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本発明の第1の実施形態]
以下、図1図6を参照して、本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。第1の実施形態は、水、小麦粉、及び重曹を混合した生地を加熱して難燃材を形成することを特徴とする。
【0018】
<第1の実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係るボウル型難燃材の製造方法を示す説明図である。
図2は、本発明の実施形態に係るボウル型難燃材を示す平面図及び側面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るボウル型難燃材を用いた第1の携帯コンロを示す、分解斜視図、組み立て斜視図、及び断面図である。
【0019】
<ボウル型難燃材の製造の準備>
図1に示すように、難燃材の製造方法では、ワッフル容器製造器1とボウル型難燃材10の原料(水69g、小麦粉100g、重曹10g、及びホウ酸10g)を用意する。
【0020】
尚、第1の実施形態では、原料にホウ酸を含有する構成としたが、ホウ酸は含有しなくてもある程度の難燃材が得られるので、原料にホウ酸を含有しなくてもよい。重曹は小麦粉100gに対して10~15重量%が理想である。
【0021】
ワッフル容器製造器1は、市販のものを使用しており、下方に広がる略円錐台形状の本体部2と、本体部2の上面に取り付けられる下側焼成金型3と、可動加熱部4と、可動加熱部4に取り付けられる上側焼成金型5と、本体部2と可動加熱部4の間を搖動可能の状態で接続する搖動蝶番6とを有している。
【0022】
下側焼成金型3には、ボウル型難燃材10の外周面を形成するための焼成窪み3aが形成されている。
【0023】
上側焼成金型5には、ボウル型難燃材10の内周面を形成するための焼成膨らみ5aが形成されている。
【0024】
本体部2は、電熱ヒータが設けられており、下側焼成金型3の温度調整及び加熱時間調整が可能になっている。
【0025】
可動加熱部4は、本体部2と電気的に接続された電熱ヒータが設けられており、上側焼成金型5の温度調整及び加熱時間調整が可能になっている。
【0026】
可動加熱部4は、上側焼成金型5を下側焼成金型3側に押し付ける場合に用いるハンドル4aを有している。
【0027】
<ボウル型難燃材の製造方法>
ボウル型難燃材10の製造方法では、まず、水69g、小麦粉100g、及び重曹10gを混ぜ合わせ、小麦粉及び重曹を水に溶かすことで、生地Aを生成する。
【0028】
次に、生地Aとホウ酸10gを混ぜ合わせ、ホウ酸を生地Aに溶かすことで200gの生地Bを生成する。
【0029】
次に、ワッフル容器製造器1をオンし、下側焼成金型3a及び上側焼成金型5aを170~180℃に加熱する。
【0030】
この後、可動加熱部4を開き、生地B47gを下側焼成金型3の焼成窪み3aに注入し、可動加熱部4のハンドル4aを操作して上側焼成金型5を下側焼成金型3側に押し付け、生地Bを3分間、170~180℃で加熱する。
【0031】
これにより、生地Bは、重曹の加熱により、焼成窪み3aと焼成膨らみ5aの間で膨張し、焼成する。この後、可動加熱部4を開き、焼成窪み3aから生地Bが焼成したボウル型難燃材10を取り出す。
【0032】
残りの生地B142gについても、同様の行程を実行することで、全4個のボウル型難燃材10を生成する。この後、全4個のボウル型難燃材10は、一日程度、自然乾燥させる。
【0033】
ここで、温度記載について、ワッフル容器製造器1を使うと、加熱温度が170~180℃になる。難燃材が薄型で、生地Bをオーブンでゆっくり加熱する場合には、加熱温度が130℃~130+α℃になる。従って、加熱温度及び加熱時間は、作る難燃材の形状、厚さ、量等により変化する。
【0034】
図2(a)は、ボウル型難燃材10の平面図であり、図2(b)は、ボウル型難燃材10の側面図である。
【0035】
図2(a)及び図2(b)に示す様に、生成されたボウル型難燃材10は、内周部が、略凹球面形状の表面11に網状の段部12が形成された状態となり、外周部が、略凸球面形状の表面13に網状の段部14が形成された形状となる。ボウル型難燃材10の素材内部には、重曹により膨らんだ複数の気泡が形成される。
【0036】
次に、ボウル型難燃材10を用いた携帯コンロ20について説明する。
図3(a)は、携帯コンロ20の分解斜視図、図3(b)は、携帯コンロ20の組み立て斜視図、図3(c)は、携帯コンロ20の断面図である。
【0037】
図3(a)及び図3(b)に示す様に、携帯コンロ20は、難燃材を容器状に形成したボウル型難燃材10と、前記ボウル型難燃材10を保持する保持部材21と、前記ボウル型難燃材10の内側に配置される固形燃料7とから構成される。
【0038】
保持部材21は、ボウル型難燃材10の外周を覆うボウル状に形成されたボウル部22の下側に4本の脚部23、23…23を設けたものである。また、ボウル部22の下部中央には、貫通部24が形成されている。
【0039】
図3(c)に示す様に、保持部材21は、前記ボウル型難燃材10との間の一部に隙間25を形成した状態で前記ボウル型難燃材10を支え、前記貫通部24は、前記隙間25に空気を導く。
【0040】
図3(b)及び図3(c)に示す様に、保持部材21に取り付けられたボウル型難燃材10の内側には、固形燃料7が配置される。固形燃料7は、点火され、炎8を上げる。
ボウル型難燃材10は、固形燃料7の使用後に、破棄される。
【0041】
図4(a)は、本発明の第1の実施形態に係るボウル型難燃材10を用いた第2及び第3の携帯コンロの使用方法を示す斜視図である。
【0042】
携帯コンロ30は、ボウル型難燃材10と、猫の頭を模して形成され、ボウル型難燃材10を保持する保持部材31と、ボウル型難燃材10の内側に配置される固形燃料7とから構成される。
【0043】
携帯コンロ40は、ボウル型難燃材10と、升状に形成され、ボウル型難燃材10を保持する保持部材41と、ボウル型難燃材10の内側に配置される固形燃料7とから構成される。
【0044】
携帯コンロ30、40は、並べて配置され、これらの上側及び前後に金網9が配置される。
【0045】
金網9の上側には、肉、魚、野菜等の食材を載せることで、これら食材に火を通すことが可能になる。
【0046】
携帯コンロ30、40に取り付けられたボウル型難燃材10は、固形燃料7の使用後に、破棄される。
【0047】
図4(b)は、本発明の第1の実施形態に係る難燃材を用いた第4の携帯コンロの使用方法を示す斜視図である。
【0048】
携帯コンロ50は、ボウル型難燃材10と、缶状に形成され、前記ボウル型難燃材10を保持する保持部材51と、前記ボウル型難燃材10の内側に配置される固形燃料7と、すき焼き用の鍋53を支えるコンロ台52とから構成される。コンロ台52の内側には、固形燃料7、ボウル型難燃材10及び保持部材51が配置される。
【0049】
固形燃料7は、利用者により点火され、炎8を上げ、鍋53を加熱する。
携帯コンロ50に取り付けられたボウル型難燃材10は、固形燃料7の使用後に、破棄される。
【0050】
図5(a)は、本発明の第1の実施形態に係る難燃材を用いた第1の照明器具を示す斜視図である。
【0051】
照明器具60は、レストランのテーブルに配置されるものであり、ボウル型難燃材10と、果物の実を模して形成され、前記ボウル型難燃材10を保持する保持部材61と、前記ボウル型難燃材10の内側に配置される固形燃料7とから構成される。
【0052】
固形燃料7は、店員により点火され、炎8を上げ、照明を行う。
図5(b)は、本発明の第1の実施形態に係る難燃材を用いた第2の照明器具を示す斜視図である。
【0053】
照明器具70は、イベント等で会場に配置されるものであり、難燃材を容器状に形成したボウル型難燃材110と、前記ボウル型難燃材110を保持するかがり火台71と、前記ボウル型難燃材10の内側に配置される固形燃料107とから構成される。
【0054】
ボウル型難燃材110は、図1及び図3に示したボウル型難燃材10をかがり火台71のサイズに合わせて大型化したものであり、前記生地Bを焼成したものである。
【0055】
固形燃料107も、図3に示した固形燃料7をかがり火台71のサイズに合わせて大型化したものである。
固形燃料107は、イベントの関係者により点火され、炎108を上げ、照明を行う。
【0056】
照明器具70に取り付けられたボウル型難燃材110は、固形燃料107の使用後に、破棄される。
【0057】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る難燃材を用いたトーチを示す斜視図である。
【0058】
トーチ80は、イベント等で会場や店舗に配置されるものであり、難燃材を容器状に形成したボウル型難燃材210と、コップ状に形成され、前記ボウル型難燃材210を保持する保持部81と、保持部を先端に取り付ける棒82と、前記ボウル型難燃材10の内側に配置される固形燃料207とから構成される。
【0059】
ボウル型難燃材210は、図1及び図3に示したボウル型難燃材10を保持部81のサイズに合わせて大型化したものであり、前記生地Bから焼成したものである。
【0060】
固形燃料207も、図3に示した固形燃料7を保持部81のサイズに合わせて大型化したものである。
【0061】
固形燃料207は、イベントの関係者により点火され、炎208を上げる。
<ボウル型難燃材の原料>
以上の説明では、ボウル型難燃材10の原料として、水69g、小麦粉100g、塩5g、重曹10g、及びホウ酸10gを用いている。
【0062】
しかしながら、ボウル型難燃材10の原料の許容範囲は、前記水の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、60~80重量%の範囲内の値とし、前記重曹の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~20重量%の範囲内の値とし、前記ホウ酸の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~15重量%の範囲内の値とする。水は(小麦粉100g+重曹10g+塩5gに対して、60重量%ぐらいが最適なので、実施形態では、水を69g(ml)程度としている。
【0063】
例えば、ボウル型難燃材10において、前記重曹の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~20重量%の範囲内の値としているが、前記小麦粉の添加量に対して、10重量%より低くすると、ボウル型難燃材10が燃えやすくなり、20重量%より高くすると断熱性が大きく低下する。
【0064】
また、ボウル型難燃材10において、前記ホウ酸の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10重量%より低くすると、若干燃えやすくなり、15重量%より高くすると、スポンジ状にならず、脆くなり、ワッフル容器製造器1の下側焼成金型3及び上側焼成金型5から取り出し辛らくなる。また、ホウ酸の添加量を15重量%より高くすると、燃焼時の化学反応で水が多く発生しすぎて効果が弱くなる。
【0065】
<ボウル型難燃材の加熱温度及び加熱時間>
以上の説明では、ワッフル容器製造器1は、生地Bを170~180℃で3分間加熱することで、ボウル型難燃材10を焼成した。
【0066】
しかしながら、ボウル型難燃材10の加熱温度及び加熱時間は、各種組み合わせが可能であり、130~250℃、2~15分間の範囲内を許容範囲とする。
【0067】
尚、ボウル型難燃材10の加熱温度を170~180℃、時間も3分以上としても、ある程度の範囲内で問題は無いが、表面が焦げることになる。ボウル型難燃材10の生地Bには、着色剤、香料を同時にいれることもできる。
【0068】
<構成及び効果を纏め>
本発明の第1の実施形態の構成及び効果を纏めて説明すると、ボウル型難燃材10(図1参照)、110(図5参照)、210(図6参照)は、水、小麦粉、及び重曹を混合した生地Bを加熱して形成した難燃材となっている。
【0069】
ボウル型難燃材10(図1参照)、110(図5参照)、210(図6参照)は、水、小麦粉、及び重曹を混合した生地Bを、130~250℃の範囲内の温度で、2~15分間の範囲内で加熱して形成することを特徴とする難燃材となっている。
【0070】
生地Bにおいて、前記重曹の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~20重量%の範囲内の値とする。
【0071】
燃焼装置(携帯コンロ20、30、40、50、照明器具60、70、トーチ80)は、難燃材を容器状に形成した難燃部材(ボウル型難燃材10、110、210)と、前記難燃部材を保持する保持部材(保持部材21、31、41、51、61、かがり火台71、保持部材81)と、前記難燃部材の内側に配置される固形燃料(固形燃料7、107、207)とを備える。
【0072】
前記保持部材21は、貫通部24が形成され、前記難燃部材(ボウル型難燃材10)との間の一部に隙間25を形成した状態で当該難燃部材を支え、前記貫通部24は、前記隙間25に空気を導く。
【0073】
本発明の第1の実施形態によれば、水、小麦粉、重曹、及びホウ酸を混合した生地Bを加熱して形成した難燃材(ボウル型難燃材10、110、210)を用いることで、廃棄が容易になり、継続して使用される部材(保持部材21、31、41、51、61、81、かがり火台71)に、固形燃料(固形燃料7、107、207)の燃焼による影響が及ばないようにすることができる。
【0074】
また、コンロ型の燃焼装置(携帯コンロ20、30、40、50)について、従来の固形燃料コンロは、火を防ぐため外側ケースが大きくなっているが、難燃材(ボウル型難燃材10、110、210)を使うことで、コンロ型の燃焼装置(固形燃料コンロ)を小型化できる。
【0075】
また、ボウル型難燃材10、110、210は、人体に無害なので、廃棄が容易で、教材として有用なものとなる。
【0076】
さらに、ボウル型難燃材10、110、210は、森林などに誤って放置された場合にも、自然に分解して土に返るため、非常に好適なものとなる。
【0077】
<本発明の第1の実施形態の変形例>
本発明の第1の実施形態の第1の変形例として、ボウル型難燃材10の原料に、水、小麦粉(強力粉のほうが望ましい)、塩、重曹、ホウ酸、オリーブオイル、香料、蝋を用いる。
【0078】
ボウル型難燃材10の製造方法では、まず、水69g、小麦粉100g、塩5gとし、前記重曹の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~20重量%の範囲内の値とし、前記ホウ酸の添加量を、前記小麦粉の添加量に対して、10~15重量%の範囲内の値として、水、小麦粉、塩、重曹、ホウ酸、香料を混ぜ合わせて、生地Cを生成する。
【0079】
オリーブオイルは、生地Cの表面に、微量で付けた程度とする。
また、必要に応じて生地Cに色をつける。この場合の添加剤として、水に溶ける絵の具、着色剤、メロンシロップも適用できる。
【0080】
小麦粉について、強力粉の方が、グルテンが多く、成形も容易である。
塩について、整形後の腐敗を防止するために添加している。これにより、雑菌の繁殖を抑え、カビが生えるのを防止できる。
【0081】
水について、強力粉の場合は、小麦100gに対して69g程度が好適である。薄力粉の場合は、小麦100gに対して50g程度が好適である。
【0082】
尚、強力粉、薄力粉は、メーカーによって少しずつ異なるが、堅くするためには水分を少なくした方がよい。水が多すぎるとヨーグルト状になるが、焼いてしまえばヨーグルト状の問題はない。ただし、乾燥時に割れ易くなる。
【0083】
小麦と水の割合について、最大で小麦:水が1:1でも可能である。ただし、水か多すぎると焼成後のボウル型難燃材10にひび割れが目立つことになる。
【0084】
重曹について、最大で小麦粉に対して20重量%程度、それ以上になると火をつけたとき熱伝導率が高くなり熱くなる。
【0085】
オリーブオイルについて、多すぎると燃えてしまうので、2~3重量%程度にする。これにより成形をしやすくなる。また、オリーブオイルがないと手に付着しやすくなる。機械の生地を生成する場合、必ずしも必要ではない。
【0086】
ホウ酸について、難燃成分であり、水に溶けにくく、濃度が高い場合、生地Cの整形後にホウ酸の粒々が発生するが、濃度が低い場合、完全に溶けて、乾燥させても粒子は肉眼で見ることはできない。
【0087】
香料について、固形燃料が燃焼する際、ボウル型難燃材10から匂いがします。これを利用者に感じなくさせるため、アロマのオイル等の香料を生地Cに添加します。
【0088】
このような生地Cは、ワッフル容器製造器1により3分間、170~180℃で加熱する。
これにより、ボウル型難燃材10を焼成できる。
【0089】
蝋について、ボウル型難燃材10の最終整形品の表面に蝋を塗る。これによりボウル型難燃材10の乾燥を防ぐことができる。蝋は本来可燃性のものですが、表面に塗る程度だと、すぐに溶けてなくなってしまい、重曹の自己消化能力で火は消える。
【0090】
このような変形例においても、図1乃至図6に示した第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0091】
尚、図1乃至図6に示した第1の実施形態及び変形例では、難燃材をボウル型の容器状に形成したが、難燃材の形状は用途に合わせて各種適用可能であり、板状、台状等、各種適用可能である。
【0092】
難燃材の表面形状も、網状の段部に限らず、例えば複数の突起部が配列された形状、ハニカム形状等、各種適用可能である。
【0093】
また、第1の実施形態の燃焼装置は、携帯コンロ、照明器具、及びトーチ以外のもの、例えば暖房器具、アロマオイルの揮発用、燻製装置等に適用することも可能である。
【0094】
<本発明の第1の実施形態の補足説明>
一般的に使用されるワッフル容器製造器1の加熱温度は、計測したところ170-180℃であった。
【0095】
ボウル型難燃材10は、170~180℃において、2~3分で形が安定する。この後、ボウル型難燃材10は、ワッフル容器製造器1から取り出され、乾燥させる。
【0096】
ワッフル容器製造器1は、熱源(前記ヒータ)がボウル型難燃材10の上下にあり、ボウル型難燃材10をある程度圧縮(プレス)できる。
【0097】
ボウル型難燃材10は、170~180℃において、5分以上加熱すると、やや焦げてしまう。
【0098】
第1の実施形態では、難燃材の形状をボウル型としたが、四角形、コップ型等、用途に合わせて任意の形状を採用できる。難燃材は、表面に網状の段部(編み目)がついていれば好都合である。
【0099】
難燃材が板状の場合、厚さによって温度調整及び時間が、ボウル型難燃材10と異なる。
例えば、難燃材が2cm厚で板状の場合には、1000Wのオーブントースター(推定温度200~250℃)で15分加熱する等、適宜加減を行う。
【0100】
加熱温度が130℃の場合は、難燃材が薄い場合(2~3mmm厚)に有効である。
このことから、本発明の難燃材は、水、小麦粉、及び重曹を混合した生地を、130~250℃の範囲内の温度で、2~15分間の範囲内で加熱して形成することを特徴としている。
【0101】
難燃材は、人体に無害な素材、小麦、重曹、塩が主要な原料で、ホウ酸、オリーブオイル等は含有しなくてもよい。但し、ホウ酸は、人にはほぼ無害ですが、防虫効果は得られる。
【0102】
<難燃材のテルミット反応実験>
第1の実施形態のボウル型難燃材10によるテルミット反応実験について以下に説明する。
【0103】
まず、逆さの円錐形に形成したアルミホイルの中に、砂鉄10g、アルミ粉末4g、及び紙(燃焼促進の為)を入れ、当該アルミホイルをボウル型難燃材10の中に配置する。この際、難燃材の下にチョコレートを敷く。
【0104】
次に、アルミホイルの中の砂鉄、アルミ粉末及び紙に対して、燃焼中の花火(点火剤の役割となる)を刺して着火する。
【0105】
これにより、ボウル型難燃材10の中で、アルミホイル及び紙は一瞬で燃え尽き、砂鉄とアルミ粉末によるテルミット反応が発生する。テルミット反応では、2000~3000℃が発生する。
【0106】
このようなテルミット反応中において、ボウル型難燃材10の断熱効果により、ボウル型難燃材10の下に敷かれたチョコレートは、溶けなかった。
【0107】
ボウル型難燃材10内には、テルミット反応により溶接用の鉄が得られる。テルミット反応終了後の状態で、ボウル型難燃材10は、表面が2~3mm炭化しただけで、素材自体の厚さはまだ1cm残った。
【0108】
このようにボウル型難燃材10は、テルミット反応においても、他の部材に、熱による影響が及ばないようにすることができる。
【0109】
ここで、野外等、大規模な溶接機械がない、設置できない場合には、電力を使わず、テルミット反応の熱を利用してテルミット溶接できる。従って、第1の実施形態のボウル型難燃材10を使うとまるで花火のように簡単、かつ安全にテルミット溶接を行える可能性がある。
【0110】
<第2の実施形態の構成>
図7は、本発明の第2の実施形態に係る難燃材を示す断面図である。
図7において、第2の実施形態では、エアパック302にハードディスク301を挿入し、外側を第1の実施形態で示した生地Bで包み、130度で15分加熱することで、エアパック302の外側に断熱材303のカバーを形成している。
【0111】
第2の実施形態では、ハードディスク301において、水蒸気による基盤のへのダメージを抑えるとともに、空気の層を作るため、ハードディスク301をエアパック302等の不燃材で包む。このことは、他の精密機器に本発明を適用する場合にも同様である。 第2の実施形態の構成を纏めて説明すると、断熱材303は、機器の外側を覆う。
【0112】
<第2の実施形態のテスト>
ここで、ハードディスク301、エアパック302及び断熱材303は、加熱後放置(完全に乾燥せず、硬化してない状態)でたき火テストを行った。
【0113】
ハードディスク301及びエアパック302を包んだ断熱材303は、たき火に1時間入れ、熾火に3時間入れ、そのまま放置した。この場合、断熱材303の表面は焦げて完全に炭化したが、中から取り出したハードディスク301に問題は発生していなかった。
【0114】
しかしながら、断熱材303のカバーを形成したハードディスク301であれば、たき火で1時間以上耐えることができる。この場合、ハードディスク301の外観も問題なく、そのままデータは取り出せる。この状態でS.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)値といわれるハードディスクの健康状態を示す値を測定しても異常はなく、何事もなかったかのように扱えた。
【0115】
以上の様に、第2の実施形態の断熱材303断熱材303によれば、他のハードディスク301を火から守ったり、断熱等を行ったりすることができる。
【0116】
<本発明の第2の実施形態の補足説明>
ハードディスクに接続するケーブル類は薄型であるため、逆に火災や熱で溶解、切断した方が、ハードディスク自体に熱が伝わるのを防ぐため保護できる。
【0117】
ハードディスク301と断熱材303の間は、エアパックではなく、完全な不燃材、ロックウールなどで層にすれば、更に耐熱効果を高めることができる。
【0118】
木材は、ロックウールと、断熱材303で保護でき、木材は焦げを防止できる。
具体的な製品化案では、ハードディスクの変換マウンタの形に断熱材303を作り、火災時にハードディスクに保護できるものが考えられる。この案では、NASとよばれるハードディスクをLAN,USB接続して取り込む装置に役立つ。NAS本体は、被災時に壊れる可能性が高いが、ハードディスク(データ)は、無事になる。
【0119】
尚、本発明の難燃材及び燃焼装置を構成する材料、手段や方法は上述したものに限定されず、難燃材や燃焼装置の利用目的等に応じて、必要な材料や手段のみの構成としたり、適宜他の材料や手段を付加したりすることができる。
【0120】
また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0121】
例えば、ボウル型難燃材を二重に用いる等も適用可能である。
また、上記第1及び第2の実施形態は、あくまでも、現在のところの最良の形態またはそれに近い形態にすぎない。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の難燃材及び燃焼装置は、レストラン、イベントや教育機関において効果的に利用できる。
【符号の説明】
【0123】
1…ワッフル容器製造器
2…本体部2
3…下側焼成金型
4…可動加熱部
5…上側焼成金型
6…搖動蝶番
7…固形燃料
8…炎
9…金網
10、110、210…ボウル型難燃材
21、31、41、51、61、81…保持部材
71…かがり火台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7