(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020935
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】ノンフライ麺製造用乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 21/00 20060101AFI20220126BHJP
A23L 7/109 20160101ALI20220126BHJP
F26B 15/18 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
F26B21/00 B
A23L7/109 J
F26B15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124223
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】399131677
【氏名又は名称】トーキョーメンキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】松橋 英隆
(72)【発明者】
【氏名】丸藤 謙二
【テーマコード(参考)】
3L113
4B046
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AA03
3L113AB02
3L113AB03
3L113AC36
3L113AC45
3L113AC48
3L113BA16
3L113DA02
3L113DA06
4B046LA01
4B046LB08
4B046LC20
4B046LP80
(57)【要約】
【課題】十分に広い戻り空気を流出させるための戻り流路が確保されていて、戻り空気をスムーズに排出させることができるノンフライ麺製造用乾燥装置を提供することを課題とする。
【解決手段】1食分の麺塊を投入した上下方向に通気可能なリテイナ1を多数連続的に搬送するコンベア3と、コンベア3の上下に配置される熱風噴射ユニット4,5を含んで構成され、上側の熱風噴射ユニット4は底面に、下側の熱風噴出ユニット5は上面に熱風噴出スリットノズル9,10を有し、熱風噴射ユニット4の熱風噴出スリットノズル9はリテイナ1の搬送方向に対して傾斜するように配置され、熱風噴射ユニット5の熱風噴出スリットノズル10は、熱風噴出スリットノズル9と交差するように傾斜させて配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1食分の麺塊を投入した上下方向に通気可能なリテイナを多数連続的に搬送するコンベアと、前記コンベアの上側及び下側に配置される熱風噴射ユニットを含んで構成されるノンフライ麺製造用乾燥装置であって、
前記上側の熱風噴射ユニットは、上側メインチャンバーと、前記上側メインチャンバーの底面に複数接続される連結ダクトと、前記連結ダクトのうちの複数と連通させて設置される上側サブチャンバーと、前記上側サブチャンバーに一体に設置される上側熱風噴出用スリットノズルとから成っていて、前記スリットノズルが下向きになるように設置され、
前記下側の熱風噴射ユニットは、下側メインチャンバーと、前記下側メインチャンバーの上面に複数接続される連結ダクトと、前記連結ダクトのうちの複数と連通させて設置される下側サブチャンバーと、前記下側サブチャンバーに一体に設けられる下側熱風噴出用スリットノズルから成っていて、前記スリットノズルが上向きになるように設置され、
前記上側熱風噴出用スリットノズルは、前記リテイナの搬送方向に対して傾斜するように配置され、前記下側熱風噴出用スリットノズルは、前記上側熱風噴出用スリットノズルと交差するように傾斜させて配置されることを特徴とするノンフライ麺製造用乾燥装置。
【請求項2】
前記上側熱風噴出用スリットノズルと前記下側熱風噴出用スリットノズルは、それぞれ、熱風噴射エリアの一端部から他端部にかけて斜めに延びるように配置される、請求項1に記載のノンフライ麺製造用乾燥装置。
【請求項3】
前記上側熱風噴出用スリットノズルと前記下側熱風噴出用スリットノズルはそれぞれ分割され、前記熱風噴射エリアの一端部から他端部にかけて斜めに延びるように一直線上に配置されて成る、請求項2に記載のノンフライ麺製造用乾燥装置。
【請求項4】
前記上側サブチャンバーと下側サブチャンバーは、それぞれ前後2本の前記連結ダクトに接続されて支持される、請求項1乃至3のいずれかに記載のノンフライ麺製造用乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンフライ麺製造用乾燥装置に関するものであり、より詳細には、1食分ずつリテイナに入れられて搬送されてくる麺塊に熱風を浴びせて乾燥させて、ノンフライ麺を製造するためのノンフライ麺製造用乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に即席麺は、穀粉と水を混捏してドゥ(そぼろ)を生成し、ドゥを圧延して麺帯とし、麺帯を切り出して形成した麺線を1食分ずつカットしてリテイナに入れ、乾燥処理して水分を除去した後、冷却工程を経て製品化される。乾燥処理には、油脂で揚げて水分を除去する方法と、熱風乾燥して水分を除去する方法とがあり、後者はノンフライ麺と称される。
【0003】
ノンフライ麺の製造に当たっては一般に、1食分ずつリテイナに入れられてコンベアによって搬送されてくる麺塊に対し、上方及び下方から熱風を浴びせて乾燥させる方法が採用されている。そのための装置としては、例えば、特開2014-35173号公報に記載されているような、ノズル式の乾燥装置が知られている。このノズル式乾燥装置は、1食分の麺塊を投入したリテイナを多数連続的に搬送するコンベアの上側及び下側に、多数の熱風噴出用ノズルを備えたチャンバーを配設して成る。
【0004】
この装置の場合、多数のノズルを用いる複雑な構成となるため、製品コスト及びメインテナンスコストが嵩む嫌いがある。それだけでなく、熱風は麺塊に対してスポット的に当たるため、熱風の当たらない部分が生じて乾燥ムラが起こるおそれがあり、また、麺塊から外れて麺塊に作用しないノズルもあるため、無駄にエネルギー消費するという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、本出願人は先に、シンプルな構成で製品コスト及びメインテナンスコストを削減することができ、しかも、搬送されてくる麺塊に対して、無駄なく且つほぼ均一に熱風を浴びせることができるノンフライ麺製造用乾燥装置を提案している(特開2019-105410号公報)。
【0006】
その提案に係る発明は、1食分の麺塊を投入した上下方向に通気可能なリテイナ36を多数連続的に搬送するコンベア35と、コンベア35の上側及び下側に配置される熱風噴射ユニット31,32を含んで構成されるノンフライ麺製造用乾燥装置であって、上側の熱風噴射ユニット31は底面に、また、下側の熱風噴出ユニット32は上面に、それぞれ熱風噴出用スリットノズル33,34を有し、上側のスリットノズル33は、リテイナの搬送方向に対して傾斜するように配置され、下側のスリットノズル34は、上側のスリットノズル33と交差するように傾斜させて配置されて成ることを特徴とするものである(
図5,6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-35173号公報
【特許文献2】特開2019-105410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記提案に係るノンフライ麺製造用乾燥装置は、シンプルな構成で製品コスト及びメインテナンスコストを削減することができ、搬送されてくる麺塊に対し、リテイナの搬送方向に対して傾斜するように配置されたスリットノズル33,34により上下方向から熱風噴射するので、無駄がなく且つほぼ均一な熱風噴射が可能という効果のあるものである。
【0009】
但し、この装置を、進行方向幅方向が8~20食分に分割されて、幅が1200~3200mmと広がる量産機に適用した場合は、戻り空気の流路確保の点において問題が生ずる。即ち、この装置の場合、スリットノズル33,34は直接エアチャンバー31,32に設置されて下方並びに上方に伸びているため、戻り空気の逃げ道は、上下のスリットノズル33,34間の狭い隙間Gしかない(
図6参照)。そのために熱風がスムーズに流れず、乾燥効率が低下するという問題が生ずる。
【0010】
上記特許文献1の発明においては、この戻り空気を逃がすために、チャンバーを上下に貫く気体復流路が設けられているが、その場合、チャンバーの構成が複雑になってコスト高となる嫌いがある。
【0011】
本発明は、従来技術におけるこれらの問題を解決するためになされたもので、シンプルな構成で、スリットノズルから噴射された熱風の戻り空気をスムーズに排出することを可能にし、以て、麺塊の乾燥効率を向上させることができる、ノンフライ麺製造用乾燥装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、1食分の麺塊を投入した上下方向に通気可能なリテイナを多数連続的に搬送するコンベアと、前記コンベアの上側及び下側に配置される熱風噴射ユニットを含んで構成されるノンフライ麺製造用乾燥装置であって、
前記上側の熱風噴射ユニットは、上側メインチャンバーと、前記上側メインチャンバーの底面に複数接続される連結ダクトと、前記連結ダクトのうちの複数と連通させて設置される上側サブチャンバーと、前記上側サブチャンバーに一体に設置される上側熱風噴出用スリットノズルとから成っていて、前記スリットノズルが下向きになるように設置され、
前記下側の熱風噴射ユニットは、下側メインチャンバーと、前記下側メインチャンバーの上面に複数接続される連結ダクトと、前記連結ダクトのうちの複数と連通させて設置される下側サブチャンバーと、前記下側サブチャンバーに一体に設けられる下側熱風噴出用スリットノズルから成っていて、前記スリットノズルが上向きになるように設置され、
前記上側熱風噴出用スリットノズルは、前記リテイナの搬送方向に対して傾斜するように配置され、前記下側熱風噴出用スリットノズルは、前記上側熱風噴出用スリットノズルと交差するように傾斜させて配置されることを特徴とするノンフライ麺製造用乾燥装置である。
【0013】
一実施形態においては、前記上側熱風噴出用スリットノズルと前記下側熱風噴出用スリットノズルは、それぞれ、熱風噴射エリアの一端部から他端部にかけて斜めに延びるように配置される。また、一実施形態においては、前記上側熱風噴出用スリットノズルと前記下側熱風噴出用スリットノズルはそれぞれ分割され、前記熱風噴射エリアの一端部から他端部にかけて斜めに延びるように一直線上に配置されて成る。
【0014】
一実施形態においては、前記上側サブチャンバーと下側サブチャンバーは、それぞれ前後2本の前記連結ダクトに接続されて支持される
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るノンフライ麺製造用乾燥装置の正面図である。
【
図2】本発明に係るノンフライ麺製造用乾燥装置の部分側面図である。
【
図3】本発明に係るノンフライ麺製造用乾燥装置の部分平面図である。
【
図4】本発明に係るノンフライ麺製造用乾燥装置の作用を示す簡略平面図である。
【
図5】従来のノンフライ麺製造用乾燥装置における熱風噴射ユニットの構成例を示す斜視図である。
【
図6】従来のノンフライ麺製造用乾燥装置における空気の流れを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。
図1は、本発明に係るノンフライ麺製造用乾燥装置の正面図、
図2はその部分側面図、
図3はその部分平面図であり、それらに示されるように、本乾燥装置は、架台内に、1食分の麺塊を投入した上下方向に通気可能なリテイナ1を多数連続的に搬送するコンベア3を挟んで、上側に熱風噴射ユニット4が配置され、下側に、熱風噴射ユニット4と同じ構成で上下逆向きの熱風噴射ユニット5が配置されて構成される。
【0017】
例えば、コンベア3は、リテイナ1を多数横並べにしてセットするリテイナ受け板2を、進行方向に連設したものである。リテイナ1は、底面が網板で、上面は開放された篩状のもので、必要に応じ、熱風乾燥処理時に網蓋が被せられる。
【0018】
上側の熱風噴射ユニット4は、箱型の上側メインチャンバー11と、上側メインチャンバー11の底面に複数接続される連結ダクト12と、複数の連結ダクト12に連通するように設置されてコンベア3の進行方向に延びる上側サブチャンバー13と、上側サブチャンバー13に一体に形成される上側熱風噴出用スリットノズル14とから成る。図示してないが、上側メインチャンバー11には、ヒータが付設された熱風ブロワーから延びる熱風ダクトが接続され、熱風が供給される。上側サブチャンバー13は縦長の中空体で、スリットノズル14と共にコンベア3の進行方向に延びるが、その進行方向と平行ではなく、角度を持つように配置される。
【0019】
下側の熱風噴射ユニット5は、上側の熱風噴射ユニット4と基本的同一の構成であり、箱型の下側メインチャンバー21と、下側メインチャンバー21の上面に複数接続される連結ダクト22と、複数の連結ダクト22に連通設置されてコンベア3の進行方向に延びる下側サブチャンバー23と、下側サブチャンバー23に一体に形成される下側熱風噴出用スリットノズル24とから成る。下側メインチャンバー21にも、ヒータが付設された熱風ブロワーから延びる熱風ダクトが接続される。下側サブチャンバー23は縦長の中空体で、スリットノズル24と共にコンベア3の進行方向に延びるが、その進行方向と平行ではなく、角度を持つように配置される。その傾斜は、上側サブチャンバー13と反対方向とされる。従って、上側サブチャンバー13(スリットノズル14)と下側サブチャンバー23(スリットノズル24)は、平面視において交差する。
【0020】
上下のスリットノズル14,24は、リテイナ1の搬送列ごとに配設される。従って、上下のサブチャンバー13,23は、リテイナ1の搬送列の上側あるいは下側にある連結ダクト12,22に接続されて支持されることになる。通例、上下のサブチャンバー13,23は、それぞれ前後2本の連結ダクト12,22に接続されて支持される。
【0021】
熱風噴射ユニット4,5は、その上下のスリットノズル14,24が、熱風噴射エリアの入口側端部から出口側端部にかけて斜めに配置される。
図4に示す例では、1列に6個のリテイナ1が収まる範囲が熱風噴射エリアとされており、その場合上下のスリットノズル14,24は、その一端が、熱風噴射エリアの始端に位置するリテイナ1aの側端部に掛かり、その他端が、熱風噴射エリアの終端に位置するリテイナ1bの、リテイナ1aとは逆側の側端部に掛かっている(
図4参照)。
【0022】
以上の点から明らかなように、上下の熱風噴出スリットノズル14,24の傾斜角度は、熱風噴射エリアの長さによって決まってくる。また、スリットノズル14,24は、必ずしも長尺のもの1つである必要はなく、短尺のものを2つ、一直線上に連設することとしてもよい。
【0023】
上記構成の本発明に係るノンフライ麺製造用乾燥装置の場合、1食分の麺塊が投入されてリテイナ受け板2にセットされたリテイナ1が、多数連続的にコンベア3によって搬送され、上下のスリットノズル14,24に挟まれた熱風噴射エリア内を通過する。
【0024】
図4に示される例では、熱風噴射エリア内を通過する際、先ず、熱風噴射エリアの始端において、リテイナ1(リテイナ1a)の進行方向左端が上側のスリットノズル14からの熱風噴射を受けると共に、その進行方向右端が下側のスリットノズル24からの熱風噴射を受ける。そして、搬送が進むにつれ、上下のスリットノズル14,24の作用域がそれぞれリテイナ1の内側に移行し、やがて熱風噴射エリアの終端に至り、リテイナ1(リテイナ1b)の進行方向右端が上側のスリットノズル14からの熱風噴射から外れると共に、その進行方向左端が下側のスリットノズル24からの熱風噴射から外れる。
【0025】
このように熱風噴出スリットノズル14,24は、各リテイナ1に対して斜めに横切るように向いているので、各リテイナ1内の麺塊は、上下方向からほぼ均一にむらなく熱風の噴射を受けることになる。その場合、スリットノズル14,24から噴出される熱風量は、従来のノズル式の場合に比較してかなり少なくて済む(約3分の1)。
【0026】
上側のスリットノズル14から連続的に噴射される熱風は、上方からリテイナ1内の麺塊を冷却し、リテイナ1及びコンベア3を通り抜けた後、下側サブチャンバー23間の間隙を通って下側チャンバー21に向かい、下側サブチャンバー23を抜けたところで、連結ダクト22のみが存する下側サブチャンバー23と下側チャンバー21との間の広い空間部(戻り流路)に至り、そこから横方向に流れ、外部に流出する(
図1参照)。この戻り流路には、連結ダクト22以外に障害物がないので、戻り空気はそこをスムーズに流れて排出される。
【0027】
同様に、下側のスリットノズル24から連続的に噴射される熱風は、下方からリテイナ1内の麺塊を冷却し、リテイナ1及びコンベア3を通り抜けた後、上側サブチャンバー13間の間隙を通って上側チャンバー11に向かい、上側サブチャンバー13を抜けたところで、連結ダクト12のみが存する上側サブチャンバー13と上側チャンバー11との間の広い空間部に至り、そこから横方向に流れ、外部に流出する(
図1参照)。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係るノンフライ麺製造用乾燥装置は上記のとおりのものであり、搬送されてくる麺塊に対し、リテイナの搬送方向に対して傾斜するように配置された上下の熱風噴出スリットノズルにより上下方向から熱風噴射するので、無駄がなく且つほぼ均一な熱風噴射が可能という効果があるだけでなく、上下の熱風噴射ユニットのそれぞれの中間部に十分に広い戻り空気を流出させるための戻り流路が確保されていて、戻り空気をスムーズに排出させることができるので、麺塊の乾燥効率を向上させることができる効果があり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0029】
1 リテイナ
2 リテイナ受け板
3 コンベア
4 上側熱風噴射ユニット
5 下側熱風噴射ユニット
11 上側メインチャンバー
12 連結ダクト
13 上側サブチャンバー
14 上側のスリットノズル
21 下側メインチャンバー
22 連結ダクト
23 下側サブチャンバー
24 下側のスリットノズル