(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020939
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】感染防止ユニット
(51)【国際特許分類】
A61G 10/00 20060101AFI20220126BHJP
A61G 5/00 20060101ALI20220126BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20220126BHJP
A62B 7/10 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
A61G10/00 K
A61G10/00 C
A61G5/00 701
A61G5/10
A62B7/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124228
(22)【出願日】2020-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591221134
【氏名又は名称】株式会社日本医化器械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【弁理士】
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】雉鼻 一郎
【テーマコード(参考)】
2E185
4C341
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185CA03
2E185CB09
2E185CC22
4C341KK10
4C341KL04
4C341KL07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者と、これを世話する医療従事者との間の感染を防止する感染防止ユニットを提供する。
【解決手段】感染防止ユニット100は、細菌やウイルスによる感染を防止するための感染防止ユニットであって、陽圧、又は陰圧のうち一方の圧を供給される第1マスク3と、陽圧、又は陰圧のうち他方の圧を供給されるブース1と、第1マスク3に一方の圧を供給するとともに、ブース1に他方の圧を供給する換気ファンフィルタユニット4と、換気ファンフィルタユニット4から陽圧を供給する陽圧供給路5と、換気ファンフィルタユニットから前記陰圧を供給する陰圧供給路6とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌やウイルスによる感染を防止するための感染防止ユニットであって、
陽圧、又は陰圧のうち一方の圧を供給される第1マスクと、
陽圧、又は陰圧のうち他方の圧を供給されるブース、又は第2マスクからなる隔離室と、
前記第1マスクに前記一方の圧を供給するとともに、前記隔離室に前記他方の圧を供給する換気ファンフィルタユニットと、
前記換気ファンフィルタユニットから前記陽圧を供給する陽圧供給路と、
前記換気ファンフィルタユニットから前記陰圧を供給する陰圧供給路と
を備えることを特徴とする感染防止ユニット。
【請求項2】
前記換気ファンフィルタユニットは、
前記陽圧を供給する給気ファンと、
前記陰圧を供給する排気ファンと、
前記給気ファン、及び前記排気ファンにより流される空気をろ過するフィルタと、
前記フィルタを挟んで前記陽圧供給路の反対側に設けられ、前記給気ファンに空気を供給する吸引口と、
前記フィルタを挟んで前記陰圧供給路の反対側、かつ前記フィルタに対し前記吸引口と同じ側において前記吸引口から隔離されて設けられ、前記排気ファンからの空気を排出する排出口と、
を有し、
前記給気ファンにより前記吸引口から前記陽圧供給路へ供給される空気と、前記排気ファンにより前記陰圧供給路から前記排出口へ排出される空気が前記フィルタの異なる部分を逆方向に通過するよう構成されている請求項1に記載の感染防止ユニット。
【請求項3】
前記隔離室がブースからなり車椅子に着脱自在に設けられるか、又は前記隔離室が第2マスクからなり車椅子に乗った患者に装着可能であり、前記換気ファンフィルタユニットが、前記車椅子に搭載可能な請求項1、又は請求項2に記載の感染防止ユニット。
【請求項4】
前記吸引口は、部屋の内側へ空気から空気を吸引し、前記排出口は、前記部屋の外側へ空気を排出する請求項2に記載の感染防止ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車椅子やベッドを利用する患者と周囲の医療従事者との間で、ウイルス感染を防止するための感染防止ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有害な微生物やウイルスに感染した患者から周囲への感染拡大を防止するため、患者を防護服やブースで覆うようにした感染防止具が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、車椅子に患者の体全体を収容するブース(隔離室)を設け、HEPAフィルタを備えた給排気ユニットにより、ブース内に陽圧、又は陰圧を供給することで、車椅子に乗った患者と周囲の医療従事者との間の感染を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の感染防止具では、患者をブースに収容する際や、何らかの原因でブースに漏れが生じた際等には、患者と医療従事者の間の感染を防止することができないという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、患者をブースに収容する際やブースに漏れが生じた場合等にも、患者と患者を世話する医療従事者との間の感染を防止することが可能な感染防止ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた発明は、細菌やウイルスによる感染を防止するための感染防止ユニットであって、陽圧、又は陰圧のうち一方の圧を供給される第1マスクと、陽圧、又は陰圧のうち他方の圧を供給されるブース、又は第2マスクからなる隔離室と、前記第1マスクに前記一方の圧を供給するとともに、前記隔離室に前記他方の圧を供給する換気ファンフィルタユニットと、前記換気ファンフィルタユニットから前記陽圧を供給する陽圧供給路と、前記換気ファンフィルタユニットから前記陰圧を供給する陰圧供給路とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の感染防止ユニットは、このように換気ファンフィルタユニットに第1マスクだけでなく、ブース又は第2マスクを連結するようにし、第1マスクが陽圧の場合には、ブース、又は第2マスクを陰圧にし、第1マスクが陰圧の場合にはブース、又は第2マスクを陽圧になるよう構成したので、例えば、白血病や抗癌剤で免疫力が低下した患者を陽圧にしたブースに収容するか、陽圧にした第2マスクを着用させるかし、当該患者を世話する医療従事者に陰圧にした第1マスクを着用させることで、ブースや第2マスクに菌やウイルス等が侵入することを抑制するとともに、第1マスクから菌やウイルス等が漏れ出ることを抑制できるので、免疫力の低下した患者からこれを世話する医療従事者への感染を効果的に防止できる。
また、患者をブースに収容する際や、第2マスクを着用させる際、あるいは、ブースや第2マスクに漏れが生じた場合であっても、医療従事者が陰圧にした第1マスクを装着しておくことで、医療従事者から患者への感染を防止できる。
一方で、ウイルスに感染した患者について、ブースに収容するか、第2マスクを装着させる場合には、ブース又は第2マスクを陰圧にし、当該患者を世話する医療従事者に陽圧にした第1マスクを装着させることで、ブースや第2マスクからウイルスが漏れ出ることを抑制するとともに、当該医療従事者の第1マスクへウイルスが侵入することを抑制できるため、より確実にウイルスに感染した患者からこれを世話する医療従事者への感染を効果的に抑制できる。また、当該患者について、ブースに収容する際やマスクを装着させる際、あるいはブースや第2マスクに漏れが生じた場合にも、当該医療従事者に陽圧にした第1マスクを装着させておくことで当該患者から当該医療従事者への感染を抑制することができる。
【0008】
前記換気ファンフィルタユニットは、前記陽圧を供給する給気ファンと、前記陰圧を供給する排気ファンと、前記給気ファン、及び前記排気ファンにより流される空気をろ過するフィルタと、前記フィルタを挟んで前記陽圧供給路の反対側に設けられ、前記給気ファンに空気を供給する吸引口と、前記フィルタを挟んで前記陰圧供給路の反対側、かつ前記フィルタに対し前記吸引口と同じ側において前記吸引口から隔離されて設けられ、前記排気ファンからの空気を排出する排出口と、を有し、前記給気ファンにより前記吸引口から前記陽圧供給路へ供給される空気と、前記排気ファンにより前記陰圧供給路から前記排出口へ排出される空気が前記フィルタの異なる部分を逆方向に通過するよう構成されていることが好ましい。
このように、前記給気ファンにより前記吸引口から前記陽圧供給路へ供給される空気と、前記排気ファンにより前記陰圧供給路から前記排出口へ排出される空気が前記フィルタの異なる部分を逆方向に通過するようにしたので、フィルタに孔の開く事故があった場合であっても、陽圧供給路から陰圧供給路へ菌やウイルス等が流出することを抑制できる。
【0009】
本発明の感染防止ユニットは、前記隔離室がブースからなり車椅子に着脱自在に設けられるか、又は前記隔離室が第2マスクからなり車椅子に乗った患者に装着可能であり、前記換気ファンフィルタユニットが、前記車椅子に搭載可能なことが好ましい。こうすることで、医療従事者は、患者との感染を防止しながら、車椅子を押して患者を搬送することができる。
【0010】
前記吸引口は、部屋の内側から空気を吸引し、前記排出口は、前記部屋の外側へ空気を排出することが好ましい。
こうすることで、当該感染防止ユニットを配置した部屋を陰圧にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る感染防止ユニットによれば、患者と当該患者を世話する医療従事者の間の感染を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る感染防止ユニットの使用状態を示す概要図である。
【
図2】
図1の感染防止ユニットの別の使用方法を示す概要図である。
【
図3】(a)
図1に示す換気ファンフィルタユニットの平面図、(b)左側面図、(c)正面図、(d)右側面図である。
【
図4】
図3の換気ファンフィルタユニットの内部を正面視で示す要部透過図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る感染防止ユニットの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
【0014】
(第1実施形態)
図1、
図2は、本発明の第1実施形態に係る感染防止ユニット100を示している。感染防止ユニット100は、ウイルス等に感染した患者Aと、この患者Aの治療や看護にあたる医療従事者Bとの間の感染を防止するために用いられる。
感染防止ユニット100は、
図1、
図2に示すように、患者Aを車椅子Cで搬送する際に収容する第1ブース(隔離室)1と、示すベッドDに寝かせた患者Aを収容する第2ブース2と、医療従事者Bに着用させる第1マスク3と、換気ファンフィルタユニット4と、換気ファンフィルタユニット4から陽圧を供給する陽圧供給路5と、換気ファンフィルタユニット4から陰圧を供給する陰圧供給路6とを備えている。
【0015】
第1ブース1は、
図1に示すように、アルミニウム等の金属パイプからなるフレーム11にビニールシート12を張設して形成され、側面視で略倒L字となるよう形成して、車椅子に腰かけた患者Aの全身を収容するよう構成されている。第1ブース1の後面1aには、ビニールシート12を貫通するエルボー管からなる吸排出口13を備えている。第1ブース1は、吸排出口13により陽圧供給路5、又は陰圧供給路6に連結される。
【0016】
第2ブース(隔離室)2は、
図2に示すように、患者Aの足側を除く3つの側方と上方にアクリルボード等を設けた直方体状に形成され、ベッドDに横たえた患者Aの上半身を収容するよう構成されている。第2ブース2は、側面21に設けられた管継手からなる吸排出口22により陽圧供給路5、又は陰圧供給路6に連結される。
【0017】
第1マスク3は、
図1に示すように、医療従事者Bの頭部全体を覆うフルフェイスのマスク本体31と、マスク本体31の後頭部側に設けられる管継手からなる吸排出口32とを備えている。ただし、第1マスク3は、頭部全体を覆うものに限らず、鼻と口の部分のみを覆うものであってもよい。第1マスク3は、吸排出口32により陰圧供給路6、又は陽圧供給路5に連結される。
【0018】
換気ファンフィルタユニット4は、
図3、
図4に示すように、直方体のケーシング41と、ケーシング41の内部に配設される給気ファン42、排気ファン43と、給気ファン42、排気ファン43により流される空気をろ過するフィルタ44と、給気ファン42に空気を供給する吸引口45と、フィルタ44を挟んで排気ファン43からの空気を排出する排出口46とを有する他、バッテリー(不図示)と、給気ファン42,排気ファン43を制御する制御部(不図示)を備えている。フィルタ44は、HEPAフィルタからなる。吸引口42にはプレフィルタが、排出口43にはスリット板がそれぞれ設けられている。
【0019】
ケーシング41の内部は、
図3、
図4に示すように、吸引口45からの空気を受け入れる吸引室411と、排出口46へ排気を送り出す排出室412と、給気ファン42を収容する給気ファン収容室413と、排気ファン43を収容する排気ファン収容室414と、フィルタ44を収容するフィルタ収容室415とを備えている。フィルタ収容室415は、仕切り47により陽圧供給室416と陰圧供給室417の二室に分割されるとともに、当該二室を連絡する開口部418を備えている。陽圧供給室416は、陽圧ノズル48により陽圧供給路5に連通し、陰圧供給室417は、陰圧ノズル49により陰圧供給路6に連通している。
一方、吸引室411と排出室412は隔離されており、給気ファン収容室413と排気ファン収容室414も隔離されている。陰圧供給室417には、陰圧供給室417の圧力を監視するための圧力ポート417aが設けられている。
【0020】
図4に示すように、陽圧供給路5、及び陽圧供給室416は、フィルタ44を挟んで、吸引口45の反対側に設けられ、吸引口45から陽圧供給路5へ流送される空気は、フィルタ44をその一方側(
図4の下側)から他方側(
図4の上側)へ通過する。
一方、陰圧供給路6、及び陰圧供給室417は、フィルタ44を挟んで、排出口46の反対側、かつフィルタ44に対し陽圧供給路5、陽圧供給室416と同じ側に設けられ、陰圧供給路6から排出口46へ流送される空気は、フィルタ44をその他方側(
図4の上側)から一方側(
図4の下側)へ通過する。
【0021】
感染防止ユニット100を用いて患者Aを搬送する際には、
図1に示すように、まず、換気ファンフィルタユニット4を車椅子Cの座席の後ろにある基台C1に載置し、陰圧供給路6を車椅子Cに取り付けた第1ブース1の吸排出口13に連結するとともに、陽圧供給路5を第1マスク3の吸排出口32に連結する。医療従事者Bは、第1マスク3を着用し、換気ファンフィルタユニット4を起動して、第1マスク3へ陽圧(一方の圧)を、第1ブース1内へ陰圧(他方の圧)を供給する。この状態で医療従事者Bは患者Aを第1ブース1へ収容するとともに、車椅子Cに座らせる。
第1マスク3は内部に陽圧が供給され、マスク本体31の開口部からは空気が流出するため、この患者Aを第1ブースへ収容する前に、患者Aがウイルスを含んだ飛沫を吐き出したような場合であっても、医療従事者Bは、ウイルスに感染することを防止できる。
【0022】
車椅子Cを用いて、患者AをベッドDまで搬送したら、
図2に示すように、車椅子Cから換気ファンフィルタユニット4を起動したまま床へ下ろし、陰圧供給路6を第1ブース1から外して、第2ブース2の吸排出口22へ付け替える。しかるのち、患者Aの上半身を第2ブース2へ収容するようにして、患者AをベッドDへ寝かせる。この間も、医療従事者Bは、内部を陽圧にした第1マスク3を着用しているので、患者Aからのウイルス感染を効果的に抑制できる。
【0023】
図4に矢印で示すように、換気ファンフィルタユニット4において、給気ファン42により、吸引口45から吸引された空気は、吸引室411、給気ファン42を経て給気ファン収容室413へ取り込まれフィルタ44の陽圧供給室416に収容された部分44aを上向きに通過してろ過されたのち陽圧供給室416から陽圧供給路5へ供給される。
【0024】
排気ファン43により、陰圧供給路6から陰圧供給室417へ取り込まれた空気は、フィルタ44の陰圧供給室417に収容された部分44bを通過してろ過されたのち、排気ファン収容室414、排気ファン43、及び排出室412を経て排出口46から排出される。
このように、給気ファン42により吸引口45から陽圧供給路5へ供給される空気と、排気ファン43により陰圧供給路6から排出口46へ排出される空気がフィルタ44の異なる部分44a,44bを上下逆方向に通過することで、例えば、フィルタ44の部分44bにウイルスが通過するような孔の開く欠陥があっても、陰圧供給路6(患者A)から搬送されたウイルスは、排気ファン43により排出口46から排出されるため、陽圧供給路5(医療従事者B)へウイルスが流送されることを抑制できる。
また、陽圧供給室416から開口部418を通じて陰圧供給室417へ空気が流入するので、これによっても、陰圧供給室417から陽圧供給室へウイルスが流出することを抑制できる。
【0025】
尚、患者Aが白血病や抗がん剤治療で免疫が低下している場合には、第1ブース1、第2ブース2に陽圧供給路5を連結し、第1マスク3に陰圧供給路6を連結して、第1、第2ブース1,2を陽圧にし、第1マスク3を陰圧にし、医療従事者Bが第1マスク3を着用した状態で患者Aをブース1,2へ収容することで、患者Aをブース1,2へ収容する際も、患者Aが菌やウイルスに感染することを抑制できる。
【0026】
(第2実施形態)
図5、
図6は、本発明の第2実施形態に係る感染防止ユニット200を示している。感染防止ユニット200は、
図6に示すように、2名の医療従事者B,Bで患者Aを世話するためのもので、2つの第1マスク3,3と、第2マスク(隔離室)201と、換気ファンフィルタユニット204と、陽圧供給路5と、陰圧供給路6とを備えている。第1マスク3,3に陽圧(一方の圧)が供給される場合には、第2マスク201には陰圧(他方の圧)が供給され、第1マスク3,3に陰圧(一方の圧)が供給される場合には、第2マスク201には陽圧(他方の圧)が供給される。第2マスク201は、第1マスク3と同様の形状を有している。
尚、第2実施形態において第1実施形態と共通する部材は、同一符号を用いて説明を省略する。
【0027】
換気ファンフィルタユニット204は、集中治療室等に固設され、吸引口45が当該室内に開口するとともに、排出口46が排出管461により室外に連通しており、室内を陰圧にすることができる。換気ファンフィルタユニット204は、複数の陽圧ノズル48,48,…と、複数の陰圧ノズル49,…とを備えており、複数の第1マスク3,…、複数の第2マスク201,…を取り付け可能である。
尚、図示は省略したが、換気ファンフィルタユニット204は、壁に埋め込むようにしてもよい。
【0028】
感染防止ユニット200を用いてウイルスに感染した患者Aの治療にあたる場合、医療従事者が着用する第1マスク3,3には陽圧を供給し、患者が着用する第2マスク201には陰圧を供給する。こうすることで、患者Aの呼気に含まれるウイルスは、第2マスク201から陰圧供給路6、換気ファンフィルタユニット204を介し室外へ排出される。
また、患者Aから第2マスク201を外して治療を行う際も、医療従事者B,Bは、陽圧にした第1マスク3,3を着用しているので、患者からのウイルスに感染することがない。
尚、第2マスク201をブースに切り替えることもできる。
また、第2実施形態においても、第1マスク3を陰圧にし、第2マスク201を陽圧にして用いることができることは、言うまでもない。
【0029】
以上、本発明に係る感染防止ユニットは、上記の実施形態に限らず、例えば、換気ファンフィルタユニットは、陽圧供給路と陰圧供給路が、フィルタを挟んで反対側に設けられ、陰圧供給路から供給された空気を、フィルタを介して陽圧供給路へ供給するようにしてもよい。ブースは、車椅子やベッドに設けるものに限られない。換気ファンフィルタユニットは、車椅子に載置できなくともよい。排出口を室内へ連通させてもよいし、吸引口を室外に連通させてもよい。車椅子にはブースではなく、第2マスクを装備してもよい。
【符号の説明】
【0030】
100,200 感染防止ユニット
1 第1ブース(隔離室)
2 第2ブース(隔離室)
3 第1マスク
4,204 換気ファンフィルタユニット
42 給気ファン
43 排気ファン
44 フィルタ
45 吸引口
46 排出口
5 陽圧供給路
6 陰圧供給路
201 第2マスク(隔離室)
A 患者
B 医療従事者
C 車椅子
D ベッド
【手続補正書】
【提出日】2020-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌やウイルスによる感染を防止するための感染防止ユニットであって、
陽圧、又は陰圧のうち一方の圧を供給される第1マスクと、
陽圧、又は陰圧のうち他方の圧を供給されるブース、又は第2マスクからなる隔離室と、
前記第1マスクに前記一方の圧を供給するとともに、前記隔離室に前記他方の圧を供給する換気ファンフィルタユニットと、
前記換気ファンフィルタユニットから前記陽圧を供給する陽圧供給路と、
前記換気ファンフィルタユニットから前記陰圧を供給する陰圧供給路と
を備え、
前記換気ファンフィルタユニットは、
前記陽圧を供給する給気ファンと、
前記陰圧を供給する排気ファンと、
前記給気ファン、及び前記排気ファンにより流される空気をろ過するフィルタと、
前記フィルタを挟んで前記陽圧供給路の反対側に設けられ、前記給気ファンに空気を供給する吸引口と、
前記フィルタを挟んで前記陰圧供給路の反対側、かつ前記フィルタに対し前記吸引口と同じ側において前記吸引口から隔離されて設けられ、前記排気ファンからの空気を排出する排出口と、
を有し、
前記給気ファンにより前記吸引口から前記陽圧供給路へ供給される空気と、前記排気ファンにより前記陰圧供給路から前記排出口へ排出される空気が前記フィルタの異なる部分を逆方向に通過するよう構成されていることを特徴とする感染防止ユニット。
【請求項2】
前記隔離室がブースからなり車椅子に着脱自在に設けられるか、又は前記隔離室が第2マスクからなり車椅子に乗った患者に装着可能であり、前記換気ファンフィルタユニットが、前記車椅子に搭載可能な請求項1に記載の感染防止ユニット。
【請求項3】
前記吸引口は、部屋の内側から空気を吸引し、前記排出口は、前記部屋の外側へ空気を排出する請求項1に記載の感染防止ユニット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた発明は、細菌やウイルスによる感染を防止するための感染防止ユニットであって、陽圧、又は陰圧のうち一方の圧を供給される第1マスクと、陽圧、又は陰圧のうち他方の圧を供給されるブース、又は第2マスクからなる隔離室と、前記第1マスクに前記一方の圧を供給するとともに、前記隔離室に前記他方の圧を供給する換気ファンフィルタユニットと、前記換気ファンフィルタユニットから前記陽圧を供給する陽圧供給路と、前記換気ファンフィルタユニットから前記陰圧を供給する陰圧供給路とを備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記換気ファンフィルタユニットは、前記陽圧を供給する給気ファンと、前記陰圧を供給する排気ファンと、前記給気ファン、及び前記排気ファンにより流される空気をろ過するフィルタと、前記フィルタを挟んで前記陽圧供給路の反対側に設けられ、前記給気ファンに空気を供給する吸引口と、前記フィルタを挟んで前記陰圧供給路の反対側、かつ前記フィルタに対し前記吸引口と同じ側において前記吸引口から隔離されて設けられ、前記排気ファンからの空気を排出する排出口と、を有し、前記給気ファンにより前記吸引口から前記陽圧供給路へ供給される空気と、前記排気ファンにより前記陰圧供給路から前記排出口へ排出される空気が前記フィルタの異なる部分を逆方向に通過するよう構成されている。
このように、前記給気ファンにより前記吸引口から前記陽圧供給路へ供給される空気と、前記排気ファンにより前記陰圧供給路から前記排出口へ排出される空気が前記フィルタの異なる部分を逆方向に通過するようにしたので、フィルタに孔の開く事故があった場合であっても、陽圧供給路から陰圧供給路へ菌やウイルス等が流出することを抑制できる。