(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020961
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】旋回用減速機付油圧モータ
(51)【国際特許分類】
F16H 1/48 20060101AFI20220126BHJP
F03C 2/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
F16H1/48
F03C2/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124263
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100156649
【弁理士】
【氏名又は名称】野原 淳史
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(72)【発明者】
【氏名】武田 佑太
【テーマコード(参考)】
3H084
3J027
【Fターム(参考)】
3H084AA45
3H084BB26
3H084BB27
3H084CC48
3H084CC63
3J027FA36
3J027FB10
3J027GA01
3J027GB03
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE26
(57)【要約】
【課題】プレートを内径支持にすることで該プレートが設置されるキャリアのサイズアップを抑制し、コンパクトな構造にする。
【解決手段】旋回用減速機付油圧モータ10は、下の減速機構11と、上の減速機構12とを有する。減速機構12の太陽歯車14はスプライン結合してモータ軸15に同軸上に設ける。モータ軸15の先端に凸部16が形成され、凸部16の先端は減速機構11の太陽歯車13の上面において内穴13aに挿入されている。キャリア17は出力軸18に形成された歯車に噛み合い、出力軸18の先端には凸部19が形成され、凸部19の先端は太陽歯車13の下面において内穴13aに挿入されている。太陽歯車13の上面と太陽歯車14の下面との間には、モータ軸15の凸部16の外径に嵌挿されたプレート20が装着される。太陽歯車13の下面と出力軸18の上面との間には、出力軸18の凸部19の外径に嵌挿されたプレート21が装着される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに回転可能に支持されたモータ軸と、
前記モータ軸の回転を減速する上段遊星歯車減速機構と、
前記上段遊星歯車減速機構に対向して設けられ前記モータ軸の回転を減速する下段遊星歯車減速機構と、
前記下段遊星歯車減速機構によって減速された回転を出力するための出力軸と、
を備え、
前記上段遊星歯車減速機構は前記モータ軸にスプライン結合された上段太陽歯車と、前記上段太陽歯車と内歯車とに噛み合い前記上段太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の上段遊星歯車と、該複数の上段遊星歯車を回転可能に支持する上段キャリアと、を有し、
前記下段遊星歯車減速機構は、前記上段キャリアにスプライン結合された下段太陽歯車と、該下段太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の下段遊星歯車と、該複数の下段遊星歯車を回転可能に支持する下段キャリアと、を有し、
前記上段太陽歯車の下面と前記下段太陽歯車の上面との間には第1のプレートが設けられ、
前記出力軸の上面と前記下段太陽歯車の下面との間には第2のプレートが設けられ、
前記第1のプレートは前記モータ軸の凸部の外径に嵌挿され、前記第2のプレートは前記出力軸の凸部の外径に嵌挿されることを特徴する旋回用減速機付油圧モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルやクレーン等の旋回時に使用される旋回用減速機付油圧モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の旋回用減速機付油圧モータの減速機構は、例えば特許文献1の
図2、
図3に示すようにハウジング16内に設けられた下段の遊星歯車減速機構24と、上段の遊星歯車減速機構25とを有し、これらの遊星歯車減速機構24、25の太陽歯車24A、26は同軸上に位置し、これらの太陽歯車24A、26が直接接触しないように太陽歯車24Aの上面と太陽歯車26の下面との間にプレート35が設けられ、該プレート35はキャリア28に形成された凹み部(図示しない)に装着され、該プレート35の外径と該凹み部によってプレート35の上下及び左右方向への移動を規制されている。
【0003】
同様に太陽歯車24Aの下面とキャリア24Cの上面との間にプレート35と同様のプレートが設けられ、該プレートがキャリア24Cに形成された凹み部に装着され上下及び左右方向への移動が規制されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、プレートの移動を規制するため機構をキャリアに設けた場合、該キャリアの外径によって支持する構造となるため、プレートのサイズによってキャリア自体が大きくなり、製品のコストを上げる要因となる。
【0006】
本発明は係る課題を解決するためになされたもので、プレートを内径支持にすることで該プレートが設置されるキャリアのサイズアップを抑制し、コンパクトな構造にすると共に、コストを抑えることが可能な旋回用減速機付油圧モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための発明は、
ハウジングに回転可能に支持されたモータ軸と、
前記モータ軸の回転を減速する上段遊星歯車減速機構と、
前記上段遊星歯車減速機構に対向して設けられ前記モータ軸の回転を減速する下段遊星歯車減速機構と、
前記下段遊星歯車減速機構によって減速された回転を出力するための出力軸と、
を備え、
前記上段遊星歯車減速機構は前記モータ軸にスプライン結合された上段太陽歯車と、前記上段太陽歯車と内歯車とに噛み合い前記上段太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の上段遊星歯車と、該複数の上段遊星歯車を回転可能に支持する上段キャリアと、を有し、
前記下段遊星歯車減速機構は、前記上段キャリアにスプライン結合された下段太陽歯車と、該下段太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の下段遊星歯車と、該複数の下段遊星歯車を回転可能に支持する下段キャリアと、を有し、
前記上段太陽歯車の下面と前記下段太陽歯車の上面との間には第1のプレートが設けられ、
前記出力軸の上面と前記下段太陽歯車の下面との間には第2のプレートが設けられ、
前記第1のプレートは前記モータ軸の凸部の外径に嵌挿され、前記第2のプレートは前記出力軸の凸部の外径に嵌挿されることを特徴する旋回用減速機付油圧モータである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、プレートの内径部にモータ軸及び出力軸の凸部を挿入することにより、該
プレートの上下及び左右方向の移動を抑制できる。このため、プレートの大きさを抑え、コンパクトな構造にすると共に、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る旋回用減速機付油圧モータの要部略縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る旋回用減速機付油圧モータにつき、好適の実施の形態を挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施に形態による旋回用減速機付油圧モータ10の要部略縦断面図を示す。旋回用減速機付油圧モータ10は、ハウジング25に収納された下段遊星歯車減速機構11(以下、減速機構11という)と、上段遊星歯車減速機構12(以下、減速機構12という)を有する。
【0012】
減速機構11は、減速機構12の回転を減速して出力軸18に伝達するもので、該減速機構11は、該減速機構12の上段キャリア24にスプライン結合された下段太陽歯車13と、該下段太陽歯車13との周囲を自転しつつ公転する複数の下段遊星歯車23と、該下段遊星歯車23を回転可能に支持する下段キャリア17により構成される。減速機構11の下段キャリア17は、出力軸18の上端側に設けられた雄スプライン部(図示しない)でスプライン結合されている。また、下段太陽歯車13が下側に移動することを規制するために該下段太陽歯車13の下面と出力軸18の上面との間にはプレート21が設置されている。プレート21は出力軸18の上側に設けられた凸部19の外径に嵌挿され、左右方向への移動が規制されている。
【0013】
減速機構12は、モータ軸15の回転を減速して下段の減速機構11に伝達するもので、該減速機構12は、上段太陽歯車14と、上段遊星歯車22と、上段キャリア24とにより大略構成されている。
【0014】
上段大陽歯車14は、モータ軸15に接続されたもので、内径部に設けられてた雌スプライン部(図示しない)が該モータ軸15の下端側に形成された雄スプライン部(図示しない)にスプライン結合され、モータ軸15と一体的に回転するものである。
【0015】
上段遊星歯車22は、上段太陽歯車14と噛み合う複数の遊星歯車であり、該上段遊星歯車22は上段キャリア24によって回転支持されている。そして上段キャリア24の内側に設けられて雌スプライン部(図示しない)と、下端太陽歯車13の上端側がスプライン結合される構成となっている。
【0016】
また、上段太陽歯車14が下側に移動することを規制するために、該上段太陽歯車14の下面と下段太陽歯車13の上面との間にプレート20を設置している。プレート20はモータ軸15の下側に設けられた凸部16の外径に嵌挿され、左右方向への移動が規制されている。モータ軸15の凸部16及び出力軸18の凸部19は組立作業の作業性を確保するため、下段太陽歯車13の内穴13aに挿入されている。
【0017】
旋回用減速機付油圧モータ10では、プレート20,21を内径支持にすることでプレート20,21が設置されるキャリア24,17のサイズアップを抑制し、コンパクトな構造にすると共に、コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0018】
10 旋回用減速機付油圧モータ 11、12 遊星歯車減速機構(減速機構)
13、14 太陽歯車 15 モータ軸
16、19 凸部 17、24 キャリア
18 出力軸 20、21 プレート
22、23 遊星歯車 25 ハウジング