(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020974
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】脱毛装置及び脱毛方法
(51)【国際特許分類】
A45D 26/00 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
A45D26/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124287
(22)【出願日】2020-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】518047609
【氏名又は名称】株式会社Eidea
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村上 知広
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より安全に脱毛処理を行うことが可能な脱毛装置及び脱毛方法を提供する。
【解決手段】光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛装置1であって、光源を備える光源部20と、皮膚の処理対象領域を撮像可能な撮像部40と、撮像部により撮像された処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定部と、毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する光源の照射強度を特定する照射強度特定部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛装置であって、
前記光源を備える光源部と、
皮膚の処理対象領域を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定部と、
前記毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の照射強度を特定する照射強度特定部と
を備えることを特徴とする脱毛装置。
【請求項2】
前記毛穴特定部により特定された毛穴ごとに、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類部を更に備え、
前記照射強度特定部は、前記毛穴画像分類部により分類された標準モデル画像に対して予め設定された前記光源の照射強度を、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射強度として特定するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の脱毛装置。
【請求項3】
前記標準モデル画像は、1本または複数の毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像である
ことを特徴とする請求項2に記載の脱毛装置。
【請求項4】
前記毛穴画像分類部による分類において、該当する標準モデル画像が存在しない場合には、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射を実行しないよう構成されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の脱毛装置。
【請求項5】
前記毛穴画像分類部は、AI画像認識により前記分類を実行する
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項6】
前記毛穴特定部は、AI画像認識により前記毛穴の特定を実行する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項7】
前記光源部は、波長の異なる複数の光源を備えており、前記毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対して照射される光の波長を変更可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項8】
光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛方法であって、
皮膚の処理対象領域を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により撮像された前記処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定工程と、
前記毛穴特定工程により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の照射強度を特定する照射強度特定工程と
を含むことを特徴とする脱毛方法。
【請求項9】
前記毛穴特定工程により特定された毛穴ごとに毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類工程を更に含み、
前記照射強度特定工程は、前記毛穴画像分類工程により分類された標準モデル画像に対して予め設定された前記光源の照射強度を、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射強度として特定する
ことを特徴とする請求項8に記載の脱毛方法。
【請求項10】
前記標準モデル画像は、1本または複数の毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像である
ことを特徴とする請求項9に記載の脱毛方法。
【請求項11】
前記毛穴画像分類工程による分類において、該当する標準モデル画像が存在しない場合には、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射を実行しない
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の脱毛方法。
【請求項12】
前記毛穴画像分類工程は、AI画像認識により前記分類を実行する
ことを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の脱毛方法。
【請求項13】
前記毛穴特定工程は、AI画像認識により前記毛穴の特定を実行する
ことを特徴とする請求項8~12のいずれか1項に記載の脱毛方法。
【請求項14】
前記毛穴特定工程により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の波長を特定する波長特定工程を更に含む
ことを特徴とする請求項8~13のいずれか1項に記載の脱毛方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱毛装置及び脱毛方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の皮膚に存在する体毛に対してレーザー光を照射することにより、該体毛を除去するレーザー脱毛装置が知られている。既存の商品化されているレーザー光やフラッシュランプの光を用いた全ての脱毛器は、皮膚上の面積比率でわずか1%前後しかない体毛に光を照射するために皮膚全体に強力な光を照射するものであり、非常に効率が悪く装置が大型化し、皮膚へのダメージやリスクも多い。また、毛根の厚みや毛の色とは無関係に光を照射するもので、最適とは言えないものであった。
【0003】
近年、このような課題を解決するために、体毛の毛根に限定してレーザー光を照射する脱毛装置が提案されている(特許文献1等)。特許文献1のレーザー脱毛装置は、処理対象となる皮膚を撮像した画像に基づいて毛根の厚み(太さ)及び毛の色を特定し、この特定した毛根の厚み及び毛の色に基づいて、照射するレーザー光の線量を決定するよう構成されている。このような特許文献1のレーザー脱毛装置によれば、処理対象とする毛に適した線量のレーザー光を照射することが可能となるため、効率的に脱毛を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたレーザー脱毛装置から照射されたレーザー光は、毛だけではなく、その周辺の皮膚にも照射されため、毛根の厚み(太さ)及び毛の色に基づいて決定された線量のレーザー光が、皮膚にも適しているとは限らないという問題がある。すなわち、例えば、毛根の厚み(太さ)が厚く、毛の色が薄い場合には、レーザー光の線量は比較的高めに設定されることとなるが、このような線量の高いレーザー光を色が濃い皮膚(黒に近い色の皮膚)に照射すると、レーザー光が過度に皮膚に吸収され、火傷をするおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、より安全に脱毛処理を行うことが可能な脱毛装置及び脱毛方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明に係る脱毛装置は、光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛装置であって、前記光源を備える光源部と、皮膚の処理対象領域を撮像可能な撮像部と、前記撮像部により撮像された前記処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定部と、前記毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の照射強度を特定する照射強度特定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る脱毛装置は、前記毛穴特定部により特定された毛穴ごとに、該毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像を前記画像データから切り出す毛穴画像形成部と、前記毛穴画像形成部により切り出された毛穴画像を、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類部とを更に備え、前記照射強度特定部は、前記毛穴画像分類部により分類された標準モデル画像に対して予め設定された前記光源の照射強度を、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射強度として特定するよう構成されても良い。
【0009】
本発明に係る脱毛装置において、前記標準モデル画像は、1本または複数の毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像であっても良い。
【0010】
本発明に係る脱毛装置は、前記毛穴画像分類部による分類において、該当する標準モデル画像が存在しない場合には、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射を実行しないよう構成されても良い。
【0011】
本発明に係る脱毛装置において、前記毛穴画像分類部は、Deep Learningなどに代表されるAI画像認識により前記分類を実行しても良く、前記毛穴特定部は、Deep Learningなどに代表されるAI画像認識により前記毛穴の特定を実行しても良い。
【0012】
本発明に係る脱毛装置において、前記光源部は、波長の異なる複数の光源を備えており、前記毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対して照射される光の波長を変更可能に構成されても良い。
【0013】
また、本発明に係る脱毛方法は、光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛方法であって、皮膚の処理対象領域を撮像する撮像工程と、前記撮像工程により撮像された前記処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定工程と、前記毛穴特定工程により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の照射強度を特定する照射強度特定工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る脱毛方法は、前記毛穴特定工程により特定された毛穴ごとに、該毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像を前記画像データから切り出す毛穴画像形成工程と、前記毛穴画像形成工程により切り出された毛穴画像を、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類工程とを更に含み、前記照射強度特定工程は、前記毛穴画像分類工程により分類された標準モデル画像に対して予め設定された前記光源の照射強度を、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射強度として特定しても良い。
【0015】
本発明に係る脱毛方法において、前記標準モデル画像は、1本または複数の毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像であっても良い。
【0016】
本発明に係る脱毛方法は、前記毛穴画像分類工程による分類において、該当する標準モデル画像が存在しない場合には、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射を実行しないとしても良い。
【0017】
本発明に係る脱毛方法において、前記毛穴画像分類工程は、Deep Learningなどに代表されるAI画像認識により前記分類を実行しても良く、前記毛穴特定工程は、Deep Learningなどに代表されるAI画像認識により前記毛穴の特定を実行しても良い。
【0018】
本発明に係る脱毛方法は、前記毛穴特定工程により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の波長を特定する波長特定工程を更に含んでいても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より安全に脱毛処理を行うことが可能な脱毛装置及び脱毛方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る脱毛装置の構成を概略的に示す図である。
【
図3】照射位置制御機構の構成を概略的に示す図である。
【
図5】
図5(a)は、撮像部により撮像した元画像を示す図であり、
図5(b)は、毛穴特定部により毛穴を特定した状態を示す図である。
【
図6】毛穴画像形成部及び毛穴画像分類部による処理を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る脱毛方法の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図8】毛穴特定工程から照射工程までの流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る脱毛方法の処理シーケンスを概略的に示す図である。
【
図11】
図11(a)は、光源部の第1変形例(単波長構成)を概略的に示す図であり、
図11(b)は、光源部の第2変形例(2波長構成)を概略的に示す図である。
【
図12】
図12(a)は、光源部及び撮像部の配置に関する第1変形例を概略的に示す図であり、
図12(b)は、同配置に関する第2変形例を概略的に示す図であり、
図12(c)は、同配置に関する第3変形例を概略的に示す図である。
【
図13】学習装置を備える変形例の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は、本発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0022】
本実施形態に係る脱毛装置1は、人の皮膚に存在する体毛に対して光源22a~22c
(
図2参照)からの光を照射することによって、該体毛を永久的又は長期的に除去(脱毛処理)する脱毛装置である。
【0023】
具体的には、脱毛装置1は、
図1に示すように、使用者が把持可能なハウジング10と、該ハウジング10内に収納された光源部20、照射位置制御機構(例えば旋回ミラーを備えたガルバノスキャナを2軸XY方向に配置し、XY方向に光ビームの照射位置を制御できる制御機構)30及び撮像部40と、撮像部40により撮像された画像データに基づき、光源部20及び照射位置制御機構30を制御する制御部100(
図4参照)とを備えている。なお、制御部100は、ハウジング10内に設けられても良いし、ハウジング10と有線又は無線によりデータ通信可能に接続された別端末内に設けられても良い。
【0024】
[ハウジングの構成]
ハウジング10は、
図1に示すように、使用者が把持可能な把持部11と、該把持部11の先端側に連続して配されたヘッド部12とを備えている。本実施形態に係る脱毛装置1では、把持部11内に光源部20及び照射位置制御機構30が配置されており、ヘッド部12内に撮像部40が配置されているが、これに限定されるものではない。また、ハウジング10の構成及び形状は、図示の例に限定されず、任意に変更可能である。
【0025】
把持部11は、使用者が把持可能な径及び長手方向の長さを有する筒状等の任意の形状に形成されており、ヘッド部12の肌対向面を処理対象となる皮膚と対向させることに適した外形形状に設計されている。これにより、ハウジング10は、把持部11を把持した状態において、処理対象となる皮膚上に脱毛装置1を位置決めさせることが容易になると共に、処理済み領域から未処理領域に向けて脱毛装置1を移動させることが容易となる。また、把持部11には、光源部20による照射のON/OFFを切り替えるための照射ボタン18(
図4参照)が設けられている。
【0026】
ヘッド部12は、脱毛処理時において処理対象となる皮膚と対向する肌対向面(本実施形態では下面)に開口13を有すると共に、該開口13を覆うようにカバー部材14が設けられている。開口13は、一回のショット(ワンショット)で処理される皮膚の処理対象領域以上の大きさを有している。カバー部材14は、ハウジング10内への埃等の進入を防ぐことが可能な防塵性と、光源部20による照射処理及び撮像部40による撮像処理を阻害しない程度の透光性とを有している。カバー部材14としては、例えば透明なガラス板等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0027】
また、ヘッド部12の内部には、照射位置制御機構30によって偏向された光源部20からのビーム光を開口13の外に向けて更に反射させるダイクロイックミラー17が設けられている。ダイクロイックミラー17は、開口13に対して約45度の角度で傾斜して設けられると共に、波長の長い赤外線の光である照射光を効率よく反射する反射面となっており、該反射面によって、照射位置制御機構30によって偏向された光源部20からのビーム光を開口13の外(皮膚の処理対象領域)に向けて効率的に反射させるよう構成されている。一方、ダイクロイックミラー17は、照射光に対し、波長の短い可視光は高い透過率で透過できるようになっており、該透過面側に、撮像部40が配置されている。これにより、撮像部40は、ダイクロイックミラー17を介して、少ない損失で開口13の外(皮膚の処理対象領域)を撮像することが可能となっている。
【0028】
さらに、ヘッド部12の内部には、開口13に向けて照明光を照射可能な照明手段(図示せず)が設けられている。照明手段は、撮像部40による撮像時に点灯し、開口13を介して皮膚の処理対象領域を照らすよう構成されている。このような照明手段としては、汎用のLED等の種々の任意の光源を用いることが可能である。
【0029】
また、ヘッド部12は、肌対向面に、処理対象となる皮膚に対する脱毛装置1の移動量を検出するための移動検出センサ15が設けられている。移動検出センサ15は、使用者が把持部11を把持した状態において、使用者の手によって隠れない位置、例えば開口13の近傍に設けられている。このような移動検出センサ15が設けられることにより、例えば、処理時間中の振動(微小移動)をリアルタイムに監視することが可能となり、これにより、ずれが一定量以上の場合にはアラーム音と表示で再照射を促す等の警告処理を行うことが可能となる。移動検出センサ15としては、例えば、光学式のマウスセンサや加速度センサ、ジャイロセンサー等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
さらに、ヘッド部12は、脱毛処理時において使用者側に向く面(本実施形態では上面)に、表示パネル16が設けられている。表示パネル16は、例えば、処理済み領域から未処理領域に向けて脱毛装置1を移動させる際に、撮像部40により撮像したリアルタイムな映像(ライブ画像)を表示させることが可能に構成されている。このように、表示パネル16にライブ画像を表示させることにより、未処理領域に対する脱毛装置1の移動を支援することが可能となる。表示パネル16としては、例えば液晶パネル等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0031】
[光源部の構成]
光源部20は、
図2に示すように、互いに異なる波長を有する複数の光源(本実施形態では第1光源22a、第2光源22b及び第3光源22c)と、これら複数の光源22a~22cから照射された光を適宜合流させるための合波手段24とを備えている。なお、光源部20は、
図1に示す例においてはハウジング10の把持部11内に配置されているが、これに限定されず、照射位置制御機構30等を介してハウジング10の開口13から光を照射可能であれば、ハウジング10内の任意の位置に配置することが可能である。
【0032】
第1光源22a~第3光源22cは、毛根に対し十分にダメージを与え、毛を永久的又は長期的に除去(脱毛処理)することが可能な照射強度(エネルギー密度)を持つビーム状の高輝度光源である。第1光源22aは、毛に多く含まれるメラニン色素に対して吸収されやすい比較的短い波長、例えば約755nmのビーム光を照射可能に構成されている。一方、第3光源22cは、メラニン色素に対する吸収が比較的少なく、皮膚に優しい比較的長い波長、例えば約1064nmのビーム光を照射可能に構成されている。また、第2光源22bは、第1光源22aと第3光源22cとの間の波長、例えば約810nmのビーム光を照射可能に構成されている。
【0033】
このような第1光源22a~第3光源22cとしては、例えば、レーザー、半導体レーザー、半導体励起固体レーザー、固体レーザー及び超高輝度LED等の種々の公知の光源を任意に採用することが可能である。これら第1光源22a~第3光源22cから照射されるビーム光は、照射面において、1本の毛根に対して必要かつ十分に大きい直径を有することが好ましい。すなわち、第1光源22a~第3光源22cから出射されるビーム光のビーム径は、画像認識精度やスキャナーの位置決め精度(位置ずれ)等を加味し、毛根又は毛穴の直径よりも大きく設定されることが好ましい。
【0034】
合波手段24は、複数の波長の光を合波する手段であり、本実施形態においては、第1光源22aのビーム光を反射させ、第2光源22b及び第3光源22cの各ビーム光を透過させることが可能な第1波長選択ミラー24aと、第2光源22bのビーム光を反射させ、第3光源22cのビーム光を透過させることが可能な第2波長選択ミラー24bとを備えている。すなわち、第1波長選択ミラー24aは、第1光源22aのビーム光と、第2光源22b及び第3光源22cの各ビーム光を合波させるように構成されている。また、第2波長選択ミラー24bは、第2光源22bのビーム光と、第3光源22cのビーム光を合波させるように構成されている。なお、合波手段24は、上述した波長選択ミラー(ダイクロイックミラー)による合波の他に、波長選択プリズム(ダイクロイックプリズム)による合波、偏光ビームスプリッタ(PBS)による合波(偏波合成)、偏光板による合波(偏波合成)等の種々の公知の手段を採用することが可能である。
【0035】
本実施形態に係る光源部20は、第1光源22a~第3光源22cの照射強度(パワー、線量)をそれぞれ調整することが可能に構成されており、これにより、光源部20から出射される光(第1光源22a~第3光源22cからの単光又は複合光)の照射強度を所定の範囲内、例えば1~100J/cm2の範囲内で調整可能に構成されている。これにより、光源部20は、処理対象となる個々の毛の毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色に応じた最適な照射強度を選択して、個々の毛に対してビーム光を照射することが可能に構成されている。なお、第1光源22a~第3光源22cの照射強度の制御手法としては、パワー出力自体の制御やパルス幅の制御等の種々の公知の方法を採用することが可能である。また、本明細書において「毛穴の大きさ」という場合には、毛穴自体の大きさ(厚さ)を指す場合と、毛の太さを指す場合と、これら毛穴及び毛を総合した大きさを指す場合とのいずれも含まれることとする。
【0036】
また、本実施形態に係る光源部20は、これら複数の光源22a~22cと合波手段24とを備えることにより、複数の波長の光源を任意の強度で合波した状態での照射も可能である。これにより、光源部20は、処理対象となる個々の毛の毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に応じて、照射強度だけでなく、最適な波長の組み合わせをも選択して、個々の毛に対してビーム光を照射することが可能に構成されている。
【0037】
[照射位置制御機構の構成]
照射位置制御機構30は、光源部20から照射されたビーム光を皮膚の処理対象領域(施術範囲となるX-Y平面)上の任意の位置(X,Y)に位置決めするためのビーム光偏向手段(走査手段)である。具体的には、照射位置制御機構30は、
図1及び
図3に示すように、光源部20から照射されたビーム光を皮膚の処理対象領域上においてX方向(第一の方向)に移動させるためのX方向偏向部34と、該ビーム光を皮膚の処理対象領域上においてY方向(第一の方向と直交する第二の方向)に移動させるためのY方向偏向部32とを備えている。
【0038】
Y方向偏向部32及びX方向偏向部34は、
図1及び
図3に示すように、ビーム光を反射可能な反射鏡32a,34aと、該反射鏡32a,34aの傾斜角度を変更させる駆動部32b,34bとを備えている。Y方向偏向部32は、光源部20から照射されたビーム光をX方向偏向部34に向けて反射させるよう配置されており、X方向偏向部34は、Y方向偏向部32により反射されたビーム光をダイクロイックミラー17に向けて更に反射させるよう配置されている。また、これらY方向偏向部32及びX方向偏向部34は、Y方向偏向部32の反射鏡32aの回転軸と、X方向偏向部34の反射鏡34aの回転軸とが互いに直交する関係となるよう配置されている。このような構成により、照射位置制御機構30は、これらX方向偏向部34及びY方向偏向部32の反射鏡32a,34aの傾斜角度をそれぞれ制御することによって、光源部20から照射されたビーム光を皮膚の処理対象領域(施術範囲となるX-Y平面)上の任意の位置(X,Y)に位置決め可能に構成されている。
【0039】
X方向偏向部34及びY方向偏向部32としては、例えば、ガルバノスキャナ(電磁的な方法)、サーボモータ(電磁的な方法)、MEMSミラー(電磁力又は静電力)、その他電磁力又は静電力でミラーを傾斜させる偏向器等を任意に用いることが可能であり、また、AO(Acousto-Optics)偏向器(音響光学的手段)等の種々の公知の構成を採用することも可能である。
【0040】
[撮像部の構成]
撮像部40は、
図1に示すように、ダイクロイックミラー17の透過面側に配置されており、ダイクロイックミラー17及び開口13を介して、皮膚の処理対象領域を撮像可能に構成されている。撮像部40は、4K解像度を有する4Kカメラであることが好ましいが、これに限定されず、視野内の毛穴を十分な解像度で撮像できる画素数を有するものであれば良い。撮像部40としては、例えば、CMOSセンサ、CCDセンサ、アレイセンサ及び撮像管等の種々の公知の撮像手段を任意に採用することが可能である。
【0041】
[制御部の構成]
制御部100は、
図4に示すように、撮像部40、移動検出センサ15及び照射ボタン18等の機器と接続するための外部インタフェース102,104,106と、脱毛装置1を動作させるための演算処理等を行う主制御部110と、照射位置制御機構30を制御する制御機構駆動制御部122と、光源部20を制御する光源制御部124と、表示パネル16を制御する表示制御部126と、脱毛処理に必要な各種データ及び情報を記憶する記憶部130とを備えている。また、制御部100は、外部ネットワークと通信できる通信処理部(図示せず)を更に備えている。
【0042】
外部インタフェース102は、撮像部40と接続するためのインタフェースであり、外部インタフェース104は、移動検出センサ15と接続するためのインタフェースであり、外部インタフェース106は、照射ボタン18と接続するためのインタフェースである。なお、脱毛装置1に設けられる外部インタフェースは、これらのインタフェースに限定されず、接続する機器に応じて任意に設けることが可能である。また、これら外部インタフェース102,104,106は、接続される機器に応じた公知のインタフェースを用いることが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0043】
記憶部130は、例えば、RAM、ROM等で構成されるメモリであり、主制御部110を動作させるための命令を含むプログラムや、学習済みの学習器(後述する毛穴特定部112、毛穴画像分類部116)の設定を行うための学習結果データ等を記憶している。なお、記憶部130は、主制御部110に含まれる後述するRAM及びROMにより構成されても良い。
【0044】
主制御部110は、ハードウェアプロセッサであるCPU、RAM、ROM等を含み、記憶部130に記憶されたプログラムをRAMに展開し、これをCPUにより解釈及び実行することにより、後述する毛穴特定部112、毛穴画像形成部114、毛穴画像分類部116、照射強度特定部118及び照射波長特定部120の各機能を実現するよう構成されている。なお、CPUは、DL(Deep Learning)を実行できる高性能のプロセッサ(高速CPU)であることが好ましい。また、主制御部110は、複数のハードウェアプロセッサを含んでいても良く、ハードウェアプロセッサは、GPU(CPU内蔵GPUを含む)、FPGA等で構成されても良い。
【0045】
毛穴特定部112は、撮像部40により撮像された処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定するよう構成されている。具体的には、毛穴特定部112は、
図5(a)に示すように、撮像部40により撮像された処理対象領域TAの画像データIを外部インタフェース102を介して取得し、該画像データIに対して必要に応じて前処理を施した上で、
図5(b)に示すように、処理対象領域TAの中に存在する毛穴の候補(毛穴候補P)を画像解析によって該画像データIから抽出するよう構成されている。前処理としては、例えば、4K画像に対し最小値フィルタをかけて毛穴を強調する処理や、以後の処理の負担を軽減するために不要な情報を間引いて2K画像とする処理等が含まれるが、これに限定されるものではない。なお、以下、「画像データI」という場合(「画像データ」に符号「I」を付す場合)には、撮像部40により撮像されたオリジナルの画像データだけでなく、毛穴特定部112において前処理された処理済みの画像データも含むものとする。
【0046】
ここで、毛穴特定部112による毛穴候補Pの抽出は、DL(Deep Learning)等のAIを駆使した画像処理(AI画像認識)により実行されることが好ましい。具体的には、元の画像データは4K×2K画素など巨大な画像であり、そのままではDL処理に適さないため、画像を256×256画素などの小領域(セル)に分割して推論を行う。毛穴特定部112は、少領域内の毛穴のXY座標の推論値と毛穴である確信度の推論値などからなる目的関数を最小化するように学習を行った学習済みの学習器(ニュートラルネットワーク)を備え、該学習器に、撮像部40により撮像された処理対象領域TAの画像データIを分割した少領域(セル)の画像を逐次入力し、少領域の画像に含まれる毛穴との確信度の高い毛穴候補の確信度や座標を該学習器から取得することにより、毛穴候補Pを抽出するよう構成されても良い。この方法は、従来技術である二値化による画像処理が一切含まれていないため撮像した画像の輝度や毛穴の向きなどにより検出精度の影響を受けにくく、様々な異なる形状や大きさの毛穴も精度良く検出が可能になる。このようにAI画像認識によって毛穴候補Pを抽出することにより、一般の画像処理では計測どころか検出さえ困難なコントラストが低く小さい毛穴(産毛等)も認識することが可能となる。
【0047】
本実施形態において、学習済みの学習器としては、ImageNet等で学習させた畳込みニューラルネットワーク(例えばResNet-50等)をファインチューニング(Fine-tuning)したものが例示されるが、これに限定されるものではない。また、上述した目的関数(少領域内の毛穴のXY座標の推論値と毛穴である確信度の推論値などからなる目的関数)としては、例えば下記目的関数が例示される。下記目的関数において、右辺第1項は、毛穴位置(毛穴のXY座標)に関するものであり、MSE(mean square error)で求める関数である。右辺第2項は、ある領域内に毛穴が存在するか否かの判定に関するものであり、バイナリクロスエントロピー(binary cross entropy)で求める関数である。右辺第3項は、過学習を防ぐための正則化項である。
【0048】
【0049】
上記目的関数(右辺第1項)において、λ
coordは、右辺第1項の右辺第2項に対する重みであり、本実施形態では例えば1.0に固定することができる。また、上記目的関数(右辺第1項及び右辺第2項)において、s
2は、全てのセルを意味し、Bは、セル内の全ての小領域を意味している。さらに、
【数2】
は、オブジェクトがあるときに1、他は0となる指示関数(indicator関数)であり、x
ijは、iセルj領域におけるオブジェクトの位置のX座標推論値であり、
【数3】
は、上記のターゲットである。また、y
ijは、iセルj領域におけるオブジェクトの位置のY座標推論値であり、
【数4】
は、上記のターゲットである。
【0050】
また、上記目的関数(右辺第2項)において、c
ijは、iセルj領域におけるオブジェクトの存在の確信度推論値であり、
【数5】
は、上記のターゲットである。さらに、λ
noconfは、オブジェクトがない場合のある場合に対する重みであり、本実施形態では毛穴ではない領域の方が多いため、例えば0.05に設定することができる。
【0051】
さらに、上記目的関数(右辺第3項)において、λL2は、L2ノルムの重みであり、本実施形態では例えば0.001に設定することができる。また、wは、全てのカーネルのパラメータである。
【0052】
なお、毛穴特定部112は、十分なコントラストがある太く黒い毛穴などに対しては、AI画像認識により毛穴候補Pを抽出する構成に代えて、撮像部40により撮像された処理対象領域TAの画像データIに対する二値化処理や閾値判定等により毛穴候補Pを抽出する方法等も任意に採用することが可能である。
【0053】
毛穴画像形成部114は、毛穴特定部112により特定された毛穴(毛穴候補P)ごとに、該毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像(毛穴画像CI)を画像データIから切り出すよう構成されている。各毛穴画像CIは、
図6に示すように、毛穴候補Pが略中心に位置し、該毛穴候補Pの周囲に皮膚が存在するよう形成されている。
【0054】
毛穴画像分類部116は、毛穴画像形成部114により切り出された毛穴画像CIを、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像MIのうちの最も確信度の高いいずれかに分類するよう構成されている。
【0055】
ここで、標準モデル画像MIは、
図6に示すように、毛穴画像CIと同様に、1本または複数の毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像である。標準モデル画像MIは、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数のものが予め用意され、記憶部130等に記憶されている。各標準モデル画像MIにおける毛穴の大きさは、人手によるアノテーションや処理に時間がかかるが精度が期待できる統計的な手法に基づいた画像処理にて事前に計測した値が登録されており、各標準モデル画像MIにおける毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色は、事前に設定したカラーチャート等に沿って登録されている。
【0056】
また、各標準モデル画像MIには、それぞれ、該標準モデル画像MIの毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色を有する施術対象にとって、脱毛効率及び安全性(火傷リスク)等の観点から最も適したビーム光の照射強度及び波長が紐づけて登録されている。なお、照射強度は、毛穴が太く、毛の色が薄く、皮膚の色が薄いほど大きい値が設定される傾向にあり、波長は、毛穴が太く、毛の色が薄く、皮膚の色が薄いほど短い波長が設定される傾向にある。
【0057】
また、毛穴特定部112にて目的関数に毛穴の大きさや毛の色、周辺の皮膚の色などの推論値を加えることで、一旦毛穴だけの認識を行い、毛穴画像形成部114にて毛穴画像CIを画像データIから切り出すことを行わず、画像データIを分割した少領域(セル)の画像からモデル画像MIに類似した画像の分類や位置を推論し、直接毛穴の位置、毛穴の大きさ、毛の色、周辺の皮膚の色を取得しても良い。
【0058】
一方、毛穴画像分類部116は、毛穴画像CIが標準モデル画像MIのいずれに対しても確信度が著しく低く該当しないと判定した場合(該当する標準モデル画像MIが存在しない場合)には、該毛穴画像CIの毛穴候補Pは毛穴ではないと判定(エラー判定)するよう構成されている。すなわち、毛穴画像分類部116は、該当する標準モデル画像MIが存在する場合には、該毛穴画像CIの毛穴候補Pは毛穴であると確定し、ビーム光の照射対象とする一方で、該当する標準モデル画像MIが存在しない場合には、該毛穴画像CIの毛穴候補Pは毛穴ではないと確定し、ビーム光の照射対象から除外するよう構成されている。これにより、本実施形態に係る脱毛装置1は、ホクロ、シミ、眼等の毛穴以外の部位に対するビーム光の照射を防ぐことができ、より一層安全性を高めることができる。
【0059】
ここで、毛穴画像分類部116による分類は、DL(Deep Learning)等のAIを駆使した画像処理(AI画像認識)により実行されることが好ましい。具体的には、毛穴画像分類部116は、毛の太さ(毛穴の大きさ)を示す推論値、毛の色を示す推論値、肌の色を示す推論値などからなる目的関数を最小化するように学習を行った学習済みの学習器(ニュートラルネットワーク)を備え、該学習器に、毛穴画像形成部114により切り出された毛穴画像CIを入力し、該毛穴画像CIに含まれる毛穴候補Pと最も確信度の高い(スコアの高い)標準モデル画像MIの情報を該学習器から取得することにより、該毛穴画像CIを複数の標準モデル画像MIのうち総合的に最も類似したいずれかに分類するよう構成されても良い。
【0060】
この場合において、学習器は、全ての標準モデル画像MIが所定の確信度を大きく下回る場合には、予め用意した標準モデル画像MIの中には毛穴画像CIと近似するものがない(分類不能)と判定する処理を実行しても良い。
【0061】
なお、毛穴画像分類部116は、AI画像認識により毛穴画像CIを分類する構成に代えて、毛穴画像CIに含まれる毛穴候補Pの毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の各特徴量を数値化し、これを予めデータベースに登録した標準モデルの各特徴量と突合させることで、最も近似する標準モデルに分類する方法等も任意に採用することが可能である。
【0062】
照射強度特定部118は、毛穴特定部112により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する光源部20からのビーム光の照射強度を特定するよう構成されている。具体的には、照射強度特定部118は、毛穴画像分類部116により分類された標準モデル画像MIに対して予め設定されたビーム光の照射強度を、毛穴画像CIの毛穴(毛穴候補P)に対するビーム光の照射強度として特定するよう構成されている。
【0063】
照射波長特定部120は、毛穴特定部112により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する光源部20からのビーム光の波長を特定するよう構成されている。具体的には、照射波長特定部120は、毛穴画像分類部116により分類された標準モデル画像MIに対して予め設定されたビーム光の波長を、毛穴画像CIの毛穴(毛穴候補P)に対するビーム光の波長として特定するよう構成されている。
【0064】
制御機構駆動制御部122は、主制御部110の毛穴特定部112により特定された毛穴1つ1つに光源部20からのビーム光が順次照射されるよう、照射位置制御機構30を制御するよう構成されている。具体的には、制御機構駆動制御部122は、主制御部110の毛穴特定部112により特定された各毛穴の座標位置(X,Y)に順次ビーム光が照射されるように、Y方向偏向部32の反射鏡32aとX方向偏向部34の反射鏡34aの傾斜角度を順次制御するよう構成されている。本実施形態に係る脱毛装置1は、このように、毛穴特定部112におけるAI画像認識により高精度に個々の毛穴の位置を特定し、個々の毛穴に向けてピンポイントにビーム光が照射されるよう照射位置制御機構30を制御するため、毛穴のみにビーム光を照射し、効率性及び安全性を向上させることができる。
【0065】
光源制御部124は、主制御部110の照射強度特定部118により特定された照射強度と、主制御部110の照射波長特定部120により特定された波長とを有するビーム光が光源部20から照射されるよう、毛穴毎に、光源部20を制御するよう構成されている。具体的には、光源制御部124は、これら照射強度及び波長を有するビーム光となるよう、毛穴毎に、発光させる光源(第1光源22a~第3光源22c)の選択制御及び該発光させる光源の出力制御を実行するよう構成されている。なお、光源制御部124は、開口13に向けて照明光を照射可能な照明手段(図示せず)の制御も実行可能としても良い。
【0066】
表示制御部126は、撮像部40により撮像したリアルタイムな映像(ライブ画像)を表示パネル16上に転送して表示させる処理を実行可能に構成されている。このような表示制御部126としては、種々の公知の制御手法を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0067】
[脱毛方法]
次に、本実施形態に係る脱毛装置1を用いた脱毛方法について、
図7~
図10を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る脱毛方法の全体の流れを概略的に示すフローチャートであり、
図8は、毛穴特定部112により特定した1つの毛穴に対する処理(毛穴特定工程から照射工程まで)の流れを概略的に示すフローチャートである。また、
図9は、本実施形態に係る脱毛方法の全体の処理シーケンスを概略的に示す図であり、
図10は、
図9中のA部分を拡大して示す図である。なお、以下で説明する脱毛方法は、脱毛装置1の記憶部130に格納されたプログラム及び学習結果データ等によって実行処理される。
【0068】
本実施形態に係る脱毛方法は、概略的には、光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛方法であって、皮膚の処理対象領域を撮像する撮像工程(S4)と、撮像工程により撮像された処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定工程(S5-1~S5-n)と、毛穴特定工程により特定された毛穴ごとに、該毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像を画像データから切り出す毛穴画像形成工程(S6)と、毛穴画像形成工程により切り出された毛穴画像を、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類工程(S7)と、毛穴画像分類工程により分類された標準モデル画像に対して予め設定された光源の照射強度及び波長を、毛穴画像の毛穴に対する光源の照射強度及び波長として特定する照射強度特定工程及び波長特定工程(S9)とを含んでいる。
以下、このような各工程を含む脱毛方法の詳細について、説明する。
【0069】
本実施形態に係る脱毛方法を開始するにあたり、まず、脱毛装置1の主電源をONし、脱毛装置1を起動させる。脱毛装置1を起動させると、撮像部40により撮像したリアルタイムな映像(ライブ画像)が表示パネル16に表示される。これにより、開口13を皮膚に押し付けた状態(人によるショット移動中)においても、表示パネル16のライブ画像により処理対象領域を視認することができる。なお、脱毛装置1は、被施術者が自ら操作しても良いし、被施術者とは異なる者(医療従事者等)が操作しても良い。以下、脱毛装置1を操作する者を「使用者」という。
【0070】
脱毛装置1を起動させた状態において、使用者は、
図7及び
図9に示すように、ハウジング10の開口13が処理対象領域に位置するよう脱毛装置1を位置決めし(S1)、位置決め完了後に、照射ボタン18のON操作を行う(S2)。照射ボタン18のON操作が行われると、表示パネル16がOFFされると共に(S3)、撮像部40によって皮膚の処理対象領域が撮像される(S4:撮像工程)。そして、撮像部40によって撮像された画像データが制御部100の主制御部110に送信され、該主制御部110における上述した毛穴特定部112の機能によって、該画像データに対して必要に応じて前処理を施した上で、該処理対象領域内に存在する毛穴(毛穴候補P)を順次特定する(S-5~S5-n:毛穴特定工程)。
【0071】
また、毛穴の特定と並行して、特定された毛穴に対して順次、照射強度及び波長の特定やビーム光の照射処理が行われる。すなわち、主制御部110は、上述した毛穴特定部112の機能によって1つ目の毛穴候補Pを特定すると、
図8及び
図10に示すように、2つ目の毛穴候補Pの特定処理とは独立して(並行して)、該1つ目の毛穴候補Pに対して照射強度及び波長の特定処理やビーム光の照射処理等を実行する。また、主制御部110は、2つ目の毛穴候補Pを特定すると、1つ目の毛穴候補Pに対する照射強度及び波長の特定処理やビーム光の照射処理等、並びに、3つ目の毛穴候補Pの特定処理とは独立して(並行して)、該2つ目の毛穴候補Pに対して照射強度及び波長の特定処理やビーム光の照射処理等を実行する。主制御部110は、このような並行処理を最後(n個目)の毛穴候補Pに至るまで実行する。このように、毛穴の認識とビーム光の照射とを並行して行うシーケンスにより、1サイクルの時間を長期化させることなく、認識処理の時間を確保することが可能となる。
【0072】
ここで、各毛穴候補Pに対する照射強度及び波長の特定やビーム光の照射処理等は、次のとおり実行される。すなわち、主制御部110は、
図8に示すように、まず、上述した毛穴画像形成部114の機能によって、特定された毛穴候補Pの毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む毛穴画像CIを画像データIから切り出すと共に(S6:毛穴画像形成工程)、上述した毛穴画像分類部116の機能によって、切り出された毛穴画像CIを複数の標準モデル画像MIのうちのいずれかに分類する(S7:毛穴画像分類工程)。なお、既述のとおり、毛穴特定工程(毛穴特定部112)において画像データIを少領域(セル)の画像に分割し、この少領域(セル)の画像を毛穴画像分類工程(毛穴画像分類部116)にて使用する場合には、毛穴画像形成工程(毛穴画像形成部114)を経ることなく、毛穴特定工程から毛穴画像分類工程に遷移しても良い。
【0073】
この毛穴画像分類工程において、主制御部110は、該当する標準モデル画像MIが存在するか否かの判定処理を行い(S8)、該当する標準モデル画像MIが存在しないと判定した場合(S8において「NO」の場合)には、該毛穴候補Pは毛穴ではないと判定し、次の工程に移行することなく(該毛穴候補Pに対するビーム光の照射を実行することなく)、該毛穴候補Pに対する処理を終了する(S9´)。
【0074】
一方、主制御部110は、該当する標準モデル画像MIが存在すると判定した場合(S8において「YES」の場合)には、上述した照射強度特定部118及び照射波長特定部120の各機能によって、該毛穴候補Pに対するビーム光の照射強度及び波長を特定する(S9:照射強度特定工程、波長特定工程)。また、これら照射強度特定工程及び波長特定工程の後又はこれらと並行して、毛穴特定工程により特定された該毛穴候補Pの座標位置(X,Y)に光源部20からのビーム光が照射されるように、制御機構駆動制御部122によって照射位置制御機構30が駆動され、照射位置が制御される(S10:照射位置制御工程)。なお、この照射位置の制御に要する時間は、移動距離等の諸条件によって異なるが、概ね数ms程度である。
【0075】
そして、これら照射強度特定工程及び波長特定工程により照射強度及び波長が特定され、かつ、照射位置制御工程により照射位置が制御された後に、照射強度特定工程及び波長特定工程により特定された照射強度及び波長を有するビーム光を光源部20から該毛穴候補Pに対して照射する(S11:照射工程)。これにより、該毛穴候補Pの毛根が加熱され、永久的又は長期的に除去される。なお、ビーム光の照射時間は、照射強度等の諸条件により異なるが、概ね数ms~数10ms程度である。また、この際におけるビーム光の照射強度及び波長は、最も近似する標準モデル画像MIに割り当てられた最適な照射強度及び波長であるため、該毛穴候補Pに対しても効果的であり、かつ、その周辺の皮膚に対しても害が少なく、安全である。
【0076】
なお、以上の各工程において、移動検出センサ15によって処理時間中の振動(微小移動)をリアルタイムに監視し、ずれが一定量以上の場合にはアラーム音と表示で再照射を促す等の警告処理を行っても良い。
【0077】
そして、以上の毛穴特定工程から照射工程までの一連の処理を最後(n個目)の毛穴候補Pに対して実行し、全ての毛穴候補Pに対する処理が終了すると、
図7及び
図9に示すように、照射ボタン18がOFF状態となり(S12)、再度、表示パネル16に撮像部40により撮像したリアルタイムな映像(ライブ画像)が表示される(S13)。
【0078】
以上説明した、脱毛装置1の位置決め(移動)から処理対象領域内の全ての毛穴に対する照射完了までを1サイクルとし、これを所望の処理対象領域の全てに亘って順次位置をずらして実行することにより、脱毛処理が行われる。なお、1サイクル内における、照射ボタン18のON操作から処理対象領域内の毛穴に対する照射完了までの目安時間(脱毛装置1の処理時間)は、毛穴が30カ所以内、照射・移動時間が20msと仮定した場合には1秒以内であり、毛穴が100カ所以内、照射・移動時間が20msと仮定した場合には3秒以内である。このように、本実施形態に係る脱毛装置1は、極めて短時間で脱毛処理を行うことが可能である。
【0079】
[本実施形態に係る脱毛装置の利点]
以上説明したとおり、本実施形態に係る脱毛装置1は、光源22a~22cを備える光源部20と、皮膚の処理対象領域を撮像可能な撮像部40と、撮像部40により撮像された処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定部112と、毛穴特定部112により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する光源22a~22cの照射強度を特定する照射強度特定部118とを備えている。
【0080】
このように構成された本実施形態に係る脱毛装置1によれば、毛穴の大きさや毛の色だけではなく、毛穴周辺の皮膚の色をも考慮して、脱毛に十分な照射強度を維持しつつ、火傷の恐れなどのない安全な照射強度となるよう光源22a~22cの制御をすることが可能となるため、より安全に脱毛処理を行うことが可能となる。
【0081】
また、本実施形態に係る脱毛装置1は、毛穴特定部112により特定された毛穴ごとに、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類部116を備えると共に、照射強度特定部118が、毛穴画像分類部116により分類された標準モデル画像に対して予め設定された光源の照射強度を、毛穴画像の毛穴に対する光源の照射強度として特定するよう構成されている。このように構成された本実施形態に係る脱毛装置1によれば、最も近似する標準モデル画像に割り当てられた、脱毛効率及び安全面が十分に担保された最適な照射強度を実際の照射強度として採用することが可能となるという利点がある。
【0082】
さらに、本実施形態に係る脱毛装置1は、毛穴特定部112において、二値化による画像処理に依らずに毛穴を特定するため、コントラストの低い毛や細い産毛に対しても安全かつ確実に脱毛処理を行うことが可能となるという利点がある。
すなわち、特許文献1のレーザー脱毛装置では、二値化をベースとした古典的な画像処理による「計測手段」によって毛根の厚み及び毛の色を特定するため、コントラストが低く細い産毛などは事実上計測以前に抽出すらできない課題があり、実用化には大きな問題がある。また、例えば特許第3872226号公報では、「サーモグラフィー」の技術を用いて毛穴の認識精度を高めることが提案されているが、毛穴の認識に特殊な赤外線を使用したサーモグラフィー技術を用いると装置が大型化、高コスト化し、毛や毛穴周辺の皮膚の色を認識することができないという問題がある。
これに対し、本実施形態に係る脱毛装置1は、従来技術である二値化による画像処理が一切含まれていないため、撮像した画像の輝度や毛穴の向きなどにより検出精度の影響を受けにくく、様々な異なる形状や大きさの毛穴も精度良く検出が可能になる。このようにAI画像認識によって毛穴候補Pを抽出することにより、一般の画像処理では計測どころか検出さえ困難なコントラストが低く小さい毛穴(産毛等)も認識することが可能となる。
【0083】
特に、本実施形態に係る脱毛装置1は、毛穴画像分類部116がAI画像認識により分類を実行するよう構成されているため、学習器の学習を深めることにより、極めて高い精度で最も近似する標準モデル画像への分類を行うことが可能となる。
【0084】
さらに、本実施形態に係る脱毛装置1は、毛穴画像分類部116による分類において該当する標準モデル画像が存在しない場合に、毛穴画像の毛穴に対する光源の照射を実行しないよう構成されているため、ホクロ、シミ、眼等の毛穴以外の部位に対するビーム光の照射を防ぐことができ、より一層安全性を高めることが可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る脱毛装置1は、毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対して照射される光の波長を変更可能に構成されているため、より一層、安全かつ効率的に脱毛処理を行うことが可能である。
すなわち、毛根にはメラニンが多く含まれているため、脱毛にはメラニンの吸収が大きい短い波長が適している。しかしその一方で、皮膚にも肌色の濃さに応じてメラニンが含まれ、同時に酸化ヘモグロビンも多く含まれているため、安全性を加味すると、総合的に最適な施術条件が存在する。一般的には、皮膚の色が濃いほど肌への吸収も増加するため、短い波長であるほど、火傷のリスクが増加する。一方、波長の長い光はメラニンの吸収は少ないが、毛根のある肌の奥まで浸透するため、短波長にて弱いパワーで施術するより脱毛効果が高く、酸化ヘモグロビンの吸収も少ないため、低リスクでの施術が可能である。
本実施形態に係る脱毛装置1は、上述の構成を備えることにより、例えば、皮膚の色が濃い場合には、照射される光の波長を比較的長い波長とすることで、火傷による肌のダメージを抑えることが可能となり、また、皮膚の色が薄い場合(特に、皮膚の色が薄く、毛根の色も薄い場合)には、照射される光の波長を比較的短かい波長とすることにより、火傷のリスクを抑えたまま毛根に対するダメージを高め、脱毛効果を高めることが可能となる。
【0086】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0087】
[光源部の変形例]
例えば、上述した実施形態では、光源部20が互いに異なる波長を有する3つの光源(第1~第3光源22a~22c)を備える3波長構成であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図11(a)に示すように、1つの光源(例えば、810nmの波長を有する第2光源22b)のみを備える単波長構成の光源部20´であっても良いし、
図11(b)に示すように、2つの光源(例えば、810nmの波長を有する第2光源22bと1064nmの波長と有する第3光源22c)を備える2波長構成の光源部20´´であっても良い。また、互いに異なる波長を有する4つ以上の光源を備える構成であっても良い。なお、単波長構成の光源部20´の場合には、主制御部110は、照射波長特定部120の機能を有さなくても良い。
【0088】
[光源部及び撮像部の配置の変形例]
また、上述した実施形態では、ヘッド部12の内部にダイクロイックミラー17を設け、このダイクロイックミラー17の反射面側に光源部20を配置し、透過面側に撮像部40を配置するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図12(a)に示すように、ダイクロイックミラー17の反射面側に撮像部40を配置し、透過面側に光源部20を配置する構成としても良い。また、ダイクロイックミラー17を設けない構成としても良い。なお、ダイクロイックミラー17を設けない構成としては、例えば、
図12(b)に示すように、開口13(皮膚の処理対象領域)に対して撮像部40を垂直に配置し、照射位置制御機構30によって偏向された光源部20からのビーム光を開口13(皮膚の処理対象領域)に対して斜め方向から照射させる構成や、
図12(c)に示すように、撮像部40によって開口13(皮膚の処理対象領域)を斜め方向から撮影すると共に、照射位置制御機構30によって偏向された光源部20からのビーム光を開口13(皮膚の処理対象領域)に対して斜め方向から照射させる構成等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0089】
[AI画像認識の変形例]
さらに、上述した実施形態では、脱毛装置1が、毛穴の特定及び毛穴画像の分類に関するAI画像認識を行うための学習済みの学習器(ニュートラルネットワーク)を備えるものとして説明したが、これに限定されず、脱毛装置1と高速通信ネットワークNWを介してデータ通信可能に接続された別装置に学習済みの学習器が設けられ、各脱毛装置1と該別装置との間でリアルタイムに通信する構成(クラウドコンピューティング)としても良い。加えて、脱毛装置1で学習を継続し、認識精度を高めたり、複数の脱毛装置1で撮像した画像をクラウド経由でアップロードし、加速度的に取得画像を増加させることで、さらに認識精度を高めた学習データをリアルタイムに共有することもできる。
【0090】
この場合において、学習済みの学習器が設けられる別装置は、
図13に示すように、脱毛装置1とデータ通信するためのインタフェース部202と、制御部204と、学習プログラム、学習データ及び学習結果データを記憶する記憶部210とを備える学習装置200であっても良い。また、この制御部204は、毛穴候補Pを抽出するAI画像認識に関し、記憶部210の学習プログラムに基づき、脱毛装置1から受信した処理対象領域TAの画像データIを入力データ、毛穴である確信度や座標を参照用データとして利用して、機械学習(AI学習プロセス)を行う構成としても良い。さらに、制御部204は、毛穴画像CIを分類するAI画像認識に関し、記憶部210の学習プログラムに基づき、脱毛装置1から受信した毛穴画像CIを入力データ、確信度を参照用データとして利用して、機械学習(AI学習プロセス)を行う構成としても良い。
【0091】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0092】
1 :脱毛装置
10 :ハウジング
11 :把持部
12 :ヘッド部
13 :開口
14 :カバー部材
15 :移動検出センサ
16 :表示パネル
17 :ダイクロイックミラー
18 :照射ボタン
20 :光源部
20´ :光源部
20´´ :光源部
22a :第1光源(光源)
22b :第2光源(光源)
22c :第3光源(光源)
24 :合波手段
24a :第1波長選択ミラー
24b :第2波長選択ミラー
30 :照射位置制御機構
32 :Y方向偏向部
32a :反射鏡
32b :駆動部
34 :X方向偏向部
34a :反射鏡
34b :駆動部
40 :撮像部
100 :制御部
102 :外部インタフェース
104 :外部インタフェース
106 :外部インタフェース
110 :主制御部
112 :毛穴特定部
114 :毛穴画像形成部
116 :毛穴画像分類部
118 :照射強度特定部
120 :照射波長特定部
122 :制御機構駆動制御部
124 :光源制御部
126 :表示制御部
130 :記憶部
200 :学習装置
202 :インタフェース部
204 :制御部
210 :記憶部
CI :毛穴画像
I :画像データ
MI :標準モデル画像
NW :高速通信ネットワーク
P :毛穴候補
TA :処理対象領域
【手続補正書】
【提出日】2021-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛装置であって、
前記光源を備える光源部と、
皮膚の処理対象領域を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定部と、
前記毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の照射強度を特定する照射強度特定部と、
前記毛穴特定部により特定された毛穴ごとに、毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類部と
を備え、
前記照射強度特定部は、前記毛穴画像分類部により分類された標準モデル画像に対して予め設定された前記光源の照射強度を、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射強度として特定するよう構成されており、
前記標準モデル画像は、1本または複数の毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像である
ことを特徴とする脱毛装置。
【請求項2】
前記毛穴特定部により特定された毛穴ごとに、該毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む毛穴画像を前記画像データから切り出す毛穴画像形成部を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の脱毛装置。
【請求項3】
前記毛穴画像分類部は、前記毛穴画像形成部により切り出された前記毛穴画像を、前記複数の標準モデル画像のうちの最も確信度の高いいずれかに分類するよう構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の脱毛装置。
【請求項4】
前記毛穴画像分類部による分類において、該当する標準モデル画像が存在しない場合には、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射を実行しないよう構成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項5】
前記毛穴画像分類部は、AI画像認識により前記分類を実行する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項6】
前記毛穴特定部は、AI画像認識により前記毛穴の特定を実行する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項7】
前記光源部は、波長の異なる複数の光源を備えており、前記毛穴特定部により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対して照射される光の波長を変更可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項8】
光源から照射される光によって脱毛処理を行う脱毛方法であって、
皮膚の処理対象領域を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により撮像された前記処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存在する毛穴を特定する毛穴特定工程と、
前記毛穴特定工程により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の照射強度を特定する照射強度特定工程と、
前記毛穴特定工程により特定された毛穴ごとに毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色が異なる複数の標準モデル画像のうちのいずれかに分類する毛穴画像分類工程と
を含み、
前記照射強度特定工程は、前記毛穴画像分類工程により分類された標準モデル画像に対して予め設定された前記光源の照射強度を、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射強度として特定し、
前記標準モデル画像は、1本または複数の毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む画像である
ことを特徴とする脱毛方法。
【請求項9】
前記毛穴特定工程により特定された毛穴ごとに、該毛穴及び該毛穴周辺の皮膚を含む毛穴画像を前記画像データから切り出す毛穴画像形成工程を更に含む
ことを特徴とする請求項8に記載の脱毛方法。
【請求項10】
前記毛穴画像分類工程において、前記毛穴画像形成工程により切り出された前記毛穴画像を、前記複数の標準モデル画像のうちの最も確信度の高いいずれかに分類する
ことを特徴とする請求項9に記載の脱毛方法。
【請求項11】
前記毛穴画像分類工程による分類において、該当する標準モデル画像が存在しない場合には、前記毛穴画像の毛穴に対する前記光源の照射を実行しない
ことを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の脱毛方法。
【請求項12】
前記毛穴画像分類工程は、AI画像認識により前記分類を実行する
ことを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の脱毛方法。
【請求項13】
前記毛穴特定工程は、AI画像認識により前記毛穴の特定を実行する
ことを特徴とする請求項8~12のいずれか1項に記載の脱毛方法。
【請求項14】
前記毛穴特定工程により特定された毛穴の大きさ、毛の色及び該毛穴周辺の皮膚の色の情報に基づき、該毛穴に対する前記光源の波長を特定する波長特定工程を更に含む
ことを特徴とする請求項8~13のいずれか1項に記載の脱毛方法。