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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020978
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】電力制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20220126BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220126BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20220126BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/46
H02J3/38 180
H02J7/00 303A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124293
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 泰気
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 篤
(72)【発明者】
【氏名】神谷 洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏行
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HA10
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA02
5G066JA04
5G066JB03
5G066JB06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
(57)【要約】
【課題】 発電装置が一定の電力を出力する動作モードにおいて、余剰電力が過剰になることを防止できる電力制御システムを提供する。
【解決手段】 電力制御システム1は、発電装置20と、商用電力系統又は発電装置20から電力を受給して蓄える蓄電池30と、を備える。商用電力系統からの電力供給が停止しているとき、発電装置20から一定の電力が出力され、その電力が第1負荷L1に供給されるとともに、その余剰電力が蓄電池30に供給され、蓄電池30の蓄電率が所定値以上であるとき、前記余剰電力が第2負荷L2に供給されて消費される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、
商用電力系統又は前記発電装置から電力を受給して蓄える蓄電池と、
を備え、
前記商用電力系統からの電力供給が停止しているとき、前記発電装置から一定の電力が出力され、その電力が第1負荷に供給されるとともに、その余剰電力が前記蓄電池に供給され、前記蓄電池の蓄電率が所定値以上であるとき、前記余剰電力が第2負荷に供給されて消費される、電力制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力制御システムにおいて、
前記発電装置は、発電に伴って発生した熱を用いて、冷媒を加熱する第1加熱装置を含み、
前記第2負荷は、前記冷媒を加熱する第2加熱装置を含む、電力制御システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電力制御システムにおいて、
前記第1負荷の消費電力が前記発電装置から出力される電力より大きいとき、前記蓄電池から前記第1負荷へ電力が供給される、電力制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御システムに関する。とくに、商用電力系統から需要家(一般住宅)への電力供給が停止しているとき(停電時)、需要家に設置されている発電装置が出力する電力の負荷への供給経路を制御する電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、電力制御システムが記載されている。この電力制御システムは、発電装置(自家発電装置)及び蓄電池を含む。商用電力系統から需要家へ電力を供給可能なとき(非停電時)、商用電力系統及び発電装置のいずれか一方又は両方から、負荷(例えば、照明、テレビなど)へ電力が供給される(連系運転モード)。一方、商用電力系統からの電力供給が停止しているとき(停電時)、発電装置から出力された電力が、負荷に供給される(自立運転モード)。連系運転モード及び自立運電モードにおいても、蓄電池の蓄電率(最大蓄電量に対する現在の蓄電量(残量))に応じて、蓄電池の充放電が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-212655号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
上記従来の電力制御システムは、発電装置の動作モードとして、負荷追従モード及び定格モードを有する。負荷追従モードは、負荷の消費電力に基づいて、発電装置の発電量を調整する動作モードである。定格モードは、負荷の消費電力の大きさに関わらず、発電装置が一定の電力(定格電力)を出力する動作モードである。商用電力系統からの電力供給が停止していて、発電装置の動作モードが定格モードに設定され、負荷の消費電力が定格電力より小さく、且つ蓄電池が満充電状態であるとき、発電装置から出力される電力があまり消費されず、余剰電力が過剰になり、好ましくない。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、発電装置が一定の電力を出力する動作モードにおいて、余剰電力が過剰になることを防止できる電力制御システムを提供することにある。
【0006】
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するために、本発明に係る電力制御システムは、発電装置と、商用電力系統又は前記発電装置から電力を受給して蓄える蓄電池と、を備える。前記商用電力系統からの電力供給が停止しているとき、前記発電装置から一定の電力が出力され、その電力が第1負荷に供給されるとともに、その余剰電力が前記蓄電池に供給され、前記蓄電池の蓄電率が所定値以上であるとき、前記余剰電力が第2負荷に供給されて消費される。
【0007】
本発明の一態様に係る電力制御システムにおいて、前記発電装置は、発電に伴って発生した熱を用いて、冷媒を加熱する第1加熱装置を含み、前記第2負荷は、前記冷媒を加熱する第2加熱装置を含む。
【0008】
本発明の他の態様に係る電力制御システムにおいて、前記第1負荷の消費電力が前記発電装置から出力される電力より大きいとき、前記蓄電池から前記第1負荷へ電力が供給される。
【0009】
本発明に係る電力制御システムにおいて、発電装置が出力する(電力定格電力)が第1負荷にてあまり消費されず、且つ蓄電池の充電電力としても利用されない場合、その余剰電力が第2負荷にて消費される。よって、余剰電力が過剰になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る電力制御システムのブロック図である。
図2図1の電路切り替え装置の動作を示すブロック図である。
図3】連系運転モードにおける電力の供給経路を示すブロック図である。
図4】自立運転モードにおける電力の供給経路を示すブロック図である。
図5】本発明の変形例に係る電力制御システムのブロック図である。
図6図5の電路切り替え装置の動作を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る電力制御システム1について説明する(図1参照)。電力制御システム1は、上記従来の電力制御システムと同様に、需要家(例えば、一般住宅)に適用される。
【0012】
電力制御システム1は、モード切り替え器10、発電装置20、蓄電池30、充電装置40、電力変換装置50及び電路切り替え装置60、並びにこれらの装置を接続する電力供給路としての電線70を含む。同図に示すように、電力制御システム1が、商用電力系統に接続されている。また、電力制御システム1に、第1負荷L1及び第2負荷L2が接続されている。
【0013】
モード切り替え器10は、連系運転モードと自立運転モードとを切り替えるため(電力制御システム1が商用電力系統に接続された状態と切り離された状態とを切り替えるため)に用いられる。モード切り替え器10は、スイッチ10a及びスイッチ10bを備える。本実施形態において、スイッチ10aとして、第1接点11a、第2接点12a及び第3接点13aを有する周知の双投型(c型)スイッチを採用している。すなわち、第1接点11aと第3接点13aとが導通し、且つ第2接点12aが他の接点から切り離された状態と、第2接点12aと第3接点13aとが導通し、且つ第1接点11aが他の接点から切り離された状態とを切り替え可能である。また、本実施形態において、スイッチ10bとして、第1接点11b及び第2接点12bを有する周知の片切型(b型)スイッチを採用している。すなわち、第1接点11bと第2接点12bとが導通した状態と、第1接点11bと第2接点12bとが切り離された状態とを切り替え可能である。なお、本実施形態では、スイッチ10a及びスイッチ10bの操作は手動により行われる。
【0014】
発電装置20は、例えば、ガスエンジン駆動式発電機を備える。すなわち、発電装置20は、ガス燃料を燃焼させてピストンを駆動して回転駆動力を出力するガスエンジン及びガスエンジンの回転駆動力を交流電力に変換する発電機を備える。
【0015】
さらに、発電装置20は、温水式床暖房装置の循環液(温水)の循環路R(環状に接続されたパイプ)に接続されている。発電装置20は、床下パネルPにて熱を放出して冷めた循環液を、ガスエンジンの排熱を用いて加熱して、再び床下パネルPへ送出する加熱装置(本発明の第1加熱装置)及び循環装置(ポンプ)を備える。
【0016】
なお、発電装置20は、上記のガスエンジン、発電機、加熱装置、及び循環装置を制御するコントローラー(コンピューター装置)を含む。
【0017】
発電装置20の電力出力端子が、スイッチ10aの第3接点13aに接続されている。電力出力端子とスイッチ10aの第3接点13aとの中間点に第1負荷L1が接続されている。
【0018】
第1負荷L1は、例えば、家電製品(照明、テレビなど)であり、それらの使用状況に応じて、第1負荷L1全体としての消費電力が変化する。
【0019】
蓄電池30は、電気的エネルギー(直流電力(例えば、「48V DC」))を化学的エネルギーに変換して蓄えることができる。また、蓄電池30は、前記蓄えた化学的エネルギーを電気的エネルギー(直流電力(例えば、「48V DC」))に変換して出力(放電)する。本実施形態では、蓄電池30として、周知の鉛蓄電池を採用している。なお、蓄電池30の電池の形式は鉛蓄電池に限られず、他の形式(例えば、リチウムイオン電池)を採用してもよい。
【0020】
充電装置40は、スイッチ10bを介して、商用電力系統及び蓄電池30に接続されている。すなわち、スイッチ10bの第1接点11bが商用電力系統に接続されている。そして、充電装置40の入力端子が、第2接点12bに接続され、充電装置40の出力端子が、充電池30の端子に接続されている。充電装置40は、商用電力系統の供給電力である交流電力(例えば、「100V AC」、「117V AC」,「230V AC」など)を、蓄電池30の充電電力である直流電力(「48V DC」)に変換して、蓄電池30を充電する。充電装置40は、蓄電池30の端子電圧に基づいて、蓄電池30の蓄電率を監視し、蓄電率が増大して所定値(例えば、100%)に達したとき、充電を停止する。すなわち、充電装置40は、蓄電池30の過充電を防止する機能を有する。蓄電池30が放電し(電力が消費され)、蓄電池30の蓄電率がある程度減少すると(例えば、蓄電率が30%を下回ったとき)、充電装置40は、蓄電池30の充電を再開する。
【0021】
電力変換装置50は、周知のAC-DCコンバーター51及びDC-ACインバーター52を含む。電力変換装置50は、自立運転モードにおいて動作し、連系運転モードでは動作しない。
【0022】
AC-DCコンバーター51は、交流電力を直流電力に変換するためのスイッチング装置、トランスなどを含む。AC-DCコンバーター51の入力端子(交流電力入力端子)が、スイッチ10aの第2接点12aに接続され、AC-DCコンバーター51の出力端子(直流電力出力端子)が、後述する電炉切り替え装置60に接続されている。AC-DCコンバーター51は、自立運転モードにおいて、商用電力系統の供給電力を直流電力に変換して出力する。その直流電力の電圧は、蓄電池30の充電電力の電圧と同等(「48V DC」)である。
【0023】
DC-ACインバーター52は、直流電力を交流電力に変換するためのスイッチング装置、トランスなどを含む。DC-ACインバーター52の入力端子(直流電力入力端子)が、蓄電池30の端子(充電装置40の出力端子の接続点と同一の接続点)に接続され、DC-ACインバーター52の出力端子(交流電力出力端子)が、スイッチ10aの第2接点12aに接続されている。DC-ACインバーター52は、自立運転モードにおいて、蓄電池30の出力電力である直流電力(「48V DC」)を商用電力系統の供給電力に変換して出力する。その交流電力の電圧は、商用電力系統の電力の電圧と同等(例えば、「100V AC」、「117V AC」,「230V AC」など)である。
【0024】
電路切り替え装置60は、AC-DCコンバーター51、蓄電池30及び後述する第2負荷L2との間に設けられている。電路切り替え装置60は、例えば、c接点型のリレー(DCパワーリレー)を備える。電路切り替え装置60は、電力変換装置50、蓄電池30の蓄電率(端子電圧)に応じて、蓄電池30及び第2負荷L2の間の電力(電流)の電路(AC-DCコンバーター51、蓄電池30及び第2負荷L2の接続状態)を切り替える。具体的には、次の第1状態(図2(A))と第2状態(図2(B))とが切り替わる。第1状態は、AC-DCコンバーター51と蓄電池30とが接続され、第2負荷L2がAC-DCコンバーター51及び蓄電池30から切り離された状態である。第2状態は、AC-DCコンバーター51と第2負荷L2とが接続され、蓄電池30がAC-DCコンバーター51及び第2負荷L2から切り離された状態である。なお、蓄電池30と第2負荷L2とは直接的には接続されない。第1状態において蓄電池30が充電され、蓄電率が増大して所定値(例えば、100%)に達すると、電路切り替え装置60は、第2状態に切り替わる。そして、第2状態において蓄電池30が放電し、蓄電池30の蓄電率が減少し、所定値(例えば、30%)を下回ると、電路切り替え装置60は、第1状態に切り替わる。
【0025】
第2負荷L2は、上記の温水式床暖房装置の循環液(温水)の循環路Rの中間部に設けられた電気ヒーター(本発明の第2加熱装置)である。すなわち、第2負荷L2は、直流電流が流れることにより発熱する電気抵抗体から構成されている。
【0026】
つぎに、上記のように構成された電力制御システム1の連系運転モード及び自立運転モードにおける各装置の動作及び電力供給経路について説明する。
【0027】
(連系運転モード)
通常状態(非停電状態)において、スイッチ10aの第1接点11aと第3接点13aとが導通した状態に設定され、且つスイッチ10bの第1接点11bと第2接点12bとが導通した状態に設定される(図3参照)。この連系運転モードにおいて、電力変換装置50は、停止している。すなわち、AC-DCコンバーター51及びDC-ACインバーター52の出力端子から電力が出力されない。また、連系運転モードにおいて、発電装置20が動作して一定の電力を出力している。その出力電力は、定格電力(例えば、1.5kW)である。第1負荷L1の消費電力が、発電装置20の定格電力より大きい場合には、その不足分が、商用電力系統から第1負荷L1に供給される。また、商用電力系統の電力が、充電装置40を介して蓄電池30に供給されて、蓄電池30が充電される。一方、第1負荷L1の消費電力が発電装置20の定格電力より小さい場合には、その余剰電力が、充電装置40を介して蓄電池30に供給されて、蓄電池30が充電される。上記のように、蓄電池30の蓄電率が比較的大きい場合には、蓄電池30の充電が停止している。この場合、余剰電力は、商用電力系統に逆潮(売電)される。また、床下パネルPにて熱を放出して冷めた循環液が、発電装置20に帰還し、発電装置20にてガスエンジンの排熱を用いて加熱され、再び、床下パネルPへ送出される。ここで、上記のように、連系運転モードにおいて、電力変換装置50は停止しているので、商用電力系統及び発電装置20の電力がAC-DCコンバーター51によって変換されない。また、蓄電池30から第2負荷L2へ至る電路も存在しない。したがって、第2負荷L2には電力が供給されない。よって、温水式床暖房装置の冷媒は、発電装置20によって加熱され、第2負荷L2を構成する電気ヒーターによっては加熱されない。
【0028】
連系運転モードにおいて、商用電力系統からの電力供給が停止(停電)すると、発電装置20が一旦停止するように構成されている。よって、第1負荷L1へ電力が供給されなくなる。この場合、手動操作により、スイッチ10aの第2接点12aと第3接点13aとが導通した状態に設定され、且つスイッチ10bの第1接点11bと第2接点12bとが切り離された状態に設定されることにより、電力制御システム1は、次に説明する自立運転モード(図4参照)に移行する。なお、スイッチ10aとスイッチ10bとを別々に手動操作してもよいし、一方のスイッチを操作すると、その操作に連動して他方のスイッチの状態が切り替わるように構成されていてもよい。
【0029】
(自立運転モード)
連系運転モードから自立運転モードに移行すると、まず、それまでに蓄電池30に蓄えられた電力が、DC-ACインバーター52を介して発電装置20のコントローラーに供給される。これにより、発電装置20が再起動して発電を再開し、一定の電力を出力する。その出力電力は、定格電力であり、この出力電力が、第1負荷L1に供給される。なお、自立運転モードにおいて、原則として、第1負荷L1の消費電力が発電装置20の定格電力以下に抑えられていることを前提としている。発電装置20の出力電力から第1負荷L1にて消費された電力を差し引いた電力(余剰電力)が、AC-DCコンバーター51により直流電力に変換される。電路切り替え装置60が第1状態である場合(つまり蓄電池30の残量が比較的少なくなったとき)には、AC-DCコンバーター51の出力電力が、第2負荷L2ではなく、蓄電池30に供給される。これにより、蓄電池30が充電される。一方、電路切り替え装置60が第2状態である場合(つまり蓄電池30の残量が比較的多くなったとき)には、AC-DCコンバーター51の出力電力が、蓄電池30ではなく、第2負荷L2に供給される。これにより、温水式床暖房装置の循環液は発電装置20によって加熱され、さらに第2負荷L2を構成する電気ヒーターによっても加熱されて、床下パネルPに供給される。
【0030】
なお、上記のように、自立運転モードにおいて、第1負荷L1の消費電力は、発電装置20の定格電力以下に抑えられていることを前提としているが、第1負荷L1の消費電力が発電装置20の定格電力を多少超えたとしても、蓄電池30から、DC-ACインバーター52を介して、第1負荷L1に電力が供給され、第1負荷L1の動作を一時的に継続させることができる。また、この場合、電路切り替え装置60が第2状態であれば、蓄電池30の電力は、DC-ACインバーター52、AC-DCコンバーター51及び電路切り替え装置60を介して、第2負荷L2にも供給される。これにより蓄電池30の蓄電率(残量)が減少して所定値(例えば30%)を下回ると、電路切り替え装置60が第1状態に切り替わる。この状態で、自立運転モード中に第1負荷L1の消費電力が減少して余剰電力が生じた際には、その余剰電力が、AC-DCコンバーター51及び電路切り替え装置60を介して蓄電池30に供給されて、蓄電池30が充電される。また、商用電力系統が復旧した際、再びスイッチ10a及びスイッチ10bが手動操作されて、連系運転モードに移行される。その場合には、商用電力系統の電力が充電装置40を介して蓄電池30に供給されて、蓄電池30が充電される。
【0031】
上記のように構成された電力制御システム1の自立運転モードにおいて、発電装置20が出力する電力(定格電力)が第1負荷L1にてあまり消費されず、且つ蓄電池30の充電電力としても利用されない場合、その余剰電力が第2負荷L2にて消費される。よって、余剰電力が過剰になることを防止できる。
【0032】
また、上記のように、電力制御システム1において、連系運転モード及び自立運転モードのいずれの運転モードにおいても、発電装置20は、定格電力を出力する(定格モード)。すなわち、発電装置20が、第1負荷L1の消費電力に応じて出力電力を調整するシステム(負荷追従モード)を備えていない。よって、電力制御システム1の構成が簡単であり、部品コスト、メンテナンスコストなどを削減できる。ただし、電力制御システム1が、上記の定格モードに加え、負荷追従モードを備え、両モードを切り替え可能に構成されていてもよい。
【0033】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0034】
例えば、上記実施形態では、連系運転モードにおいて、蓄電池30は、商用電力系統の電力を用いて充電されるだけであり、第1負荷L1(及び/又は第2負荷L2)の電力源としては利用されない。すなわち、蓄電池30は、主に、自立運転モードに移行した際に、発電装置20を再起動するための電力源として利用される。これに加えて、連系運転モードにおいて、蓄電池30を第1負荷L1の電力源として利用可能としてもよい。この機能を実現するために、例えば、図5に示す電力制御システム1Aのように構成するとよい。同図の例において、上記実施形態のモード切り替え器10に代えて、モード切り替え器10Aを用いている。また、上記実施形態の充電装置40及び電力変換装置50に代えて、双方向インバーター80を用いている。また、上記実施形態の電路切り替え装置60に代えて、電路切り替え装置60Aを用いている。さらに、モード切り替え器10A及び双方向インバーター80に制御信号CSを送信してこれらの装置を制御する制御装置90を備える。
【0035】
モード切り替え器10Aは、上記実施形態と同様に、運転モードを切り替えるため(電力制御システム1Aが商用電力系統に接続された状態と切り離された状態とを切り替えるため)に設けられている。同図に示すように、モード切り替え器10Aは、第1接点C1と第2接点C2を有する。モード切り替え器10Aのスイッチング状態は、以下に説明するように、制御装置90によって制御される。ただし、モード切り替え器10Aが、商用電力系統からの電力供給状態を検知する機能を備え、その検知結果に応じて、スイッチング状態が切り替わるように構成されていてもよい。
【0036】
双方向インバーター80は、AC-DCコンバーターとして機能する状態とDC-ACインバーターとして機能する状態とを切り替え可能に構成されている。なお、制御装置90により、その機能が切り替えられる。
【0037】
電路切り替え装置60Aは、蓄電池30の充電率(端子電圧)に応じて、第1状態(図6(A))と第2状態(図6(B))とを切り替え可能に構成されている。第1状態は、双方向インバーター80と第2負荷L2とが接続された状態であり、第2状態は、双方向インバーター80と第2負荷L2とが切り離された状態である。電路切り替え装置60Aは、蓄電池30の蓄電率が略100%であるとき(端子電圧が略最大であるとき)、第1状態であり、それ以外は第2状態である。なお、第1状態及び第2状態のいずれにおいても、双方向インバーター80と蓄電池30とが接続されている。ただし、電路切り替え装置60Aが蓄電池30の蓄電率を検知してスイッチング状態を切り替えるのではなく、制御装置90により、電路切り替え装置60Aのスイッチング状態が切り替えられてもよい。
【0038】
(連系運転モード)
通常状態(非停電状態)において、モード切り替え器10Aの第1接点C1と第2接点C2とが導通した状態に設定されている。第1負荷L1の消費電力が発電装置20の定格電力より大きく、且つ蓄電池30の蓄電率が比較的大きいとき(残量が比較的多いとき)、制御装置90は、双方向インバーター80をDC-ACインバーターとして機能させる。これにより、蓄電池30の電力が第1負荷L1に供給される。なお、上記のように、電路切り替え装置60Aは、蓄電池30の蓄電率が略100%であって、端子電圧が略最大値であるとき、第1状態であるが、蓄電池30が放電している状態では、端子電圧がある程度下がるので、電路切り替え装置60Aは、第2状態になっている。よって、第2負荷L2には電力が供給されない。また、蓄電池30の蓄電率が比較的小さいとき(残量が比較的少ないとき)、制御装置90は、双方向インバーター80をAC-DCコンバーターとして機能させる。これにより、商用電力系統及び/又は発電装置20の余剰電力が蓄電池30に供給されて、蓄電池30が充電される。また、蓄電池30の蓄電率が略100%であって、且つ第1負荷L1の消費電力が発電装置20の定格電力より小さいとき、電路切り替え装置60Aが第2状態になるように、蓄電池30の充電状態又は電路切り替え装置60Aが、制御装置90によって制御される。そして、発電装置20の余剰電力が、商用電力系統に逆潮(売電)される。
【0039】
(自立運転モード)
商用電力系統からの電力供給が停止すると、制御装置90により、モード切り替え器10Aの第1接点C1と第2接点C2とが切り離された状態に設定される。最初、制御装置90は。双方向インバーター80をDC-ACインバーターとして機能させる。これにより、それまでに蓄電池30に蓄えられた電力が、発電装置20のコントローラーに供給されて、発電装置20が再起動される。
【0040】
発電装置20が再起動した後、制御装置90は、蓄電池30の蓄電率に応じて、双方向インバーター80の機能を切り替える。例えば、蓄電池30の蓄電率が減少して30%を下回ると、制御装置90は、双方向インバーター80をAC-DCコンバーターとして機能させる。これにより、余剰電力(発電装置20の出力電力から第1負荷L1の消費電力を差し引いた電力)が蓄電池30に供給されて、蓄電池30が充電される。蓄電池30の蓄電率が増大して100%に達すると、電路切り替え装置60Aが第1状態から第2状態に切り替わる。これにより、余剰電力が、第2負荷L2に供給されて第2負荷L2にて消費されるようになる。
【0041】
なお、自立運転モードにおいて、双方向インバーター80をDC-ACインバーターとして機能させれば、蓄電池30の電力を第1負荷L1に供給することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、発電装置20は、ガスエンジン駆動式発電機を備えているが、発電方式として他の方式を採用してもよい。例えば、燃料電池方式の発電機を採用してもよい。また、上記実施形態では、ガスエンジンの排熱を、温水式床暖房装置の循環液を加温する熱源として利用いているが、これに代えて、例えば、パネル(壁)ヒーター、融雪用のロードヒーター、セントラルヒーティングシステムの熱源として利用してもよい。また、第2負荷L2は、上記実施形態に限られず、余剰電力を消費できる装置であれば、どのような装置であってもよい。例えば、予備の蓄電池を第2負荷L2としてもよい。
【0043】
また、電力制御システム1,1Aが、上記の構成に加えて、太陽光発電装置を備えていてもよい。太陽光発電装置は、例えば、電力制御システム1Aの双方向インバーター80に接続される。この場合、制御装置90が、第1負荷L1の消費電力、蓄電池30の蓄電率、及び太陽光発電装置の出力電力に応じて、双方向インバーター80を制御するとよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A…電力制御システム、10,10A…モード切り替え器、20…発電装置、30…蓄電池、40…充電装置、50…電力変換装置、51…AC-DCコンバーター、52…DC-ACインバーター、60,60A…電路切り替え装置、70…電線、80…双方向インバーター、P…床下パネル、R…循環路
図1
図2
図3
図4
図5
図6