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特開2022-20982改装枠、改装建具、及び、改装枠の取付方法
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  • 特開-改装枠、改装建具、及び、改装枠の取付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020982
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】改装枠、改装建具、及び、改装枠の取付方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124297
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】若月 沙織
(72)【発明者】
【氏名】津田 忠臣
(72)【発明者】
【氏名】森 輝昭
(72)【発明者】
【氏名】照井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】室谷 朋宏
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA06
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC07
2E011KD14
2E011KE02
2E011KE07
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】容易に改装することが可能な改装枠等を提供する。
【解決手段】縦の既設枠材と横の既設枠材とを有する既設枠の内周側に設けられ、各々の前記既設枠材に個別に取り付けられることにより枠状に配置される改装枠材を有し、各々の前記改装枠材は前記既設枠材と対向する対向部と、前記対向部から前記既設枠材側に突出して当該既設枠材に当接する突片と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦の既設枠材と横の既設枠材とを有する既設枠の内周側に設けられ、各々の前記既設枠材に個別に取り付けられることにより枠状に配置される改装枠材を有し、
各々の前記改装枠材は前記既設枠材と対向する対向部と、前記対向部から前記既設枠材側に突出して当該既設枠材に当接する突片と、を有することを特徴とする改装枠。
【請求項2】
請求項1に記載の改装枠であって、
前記既設枠は、2つの空間の境界部分に配置されており、
前記突片は、前記2つの空間のうちのいずれか一方の前記空間側の端よりも、前記2つの空間のうちの他方の前記空間側に位置していることを特徴とする改装枠。
【請求項3】
請求項2に記載の改装枠であって、
前記対向部、前記突片、及び、前記既設枠は、
前記一方の空間側が開放された空隙を形成し、
前記空隙に止水が施されていることを特徴とする改装枠。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の改装枠であって、
見込方向における前記既設枠材の先端は、前記改装枠材の先端より突出していることを特徴とする改装枠。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の改装枠と、
前記改装枠に案内されて開閉自在に設けられる戸体と、
を有することを特徴とする改装建具。
【請求項6】
縦の既設枠材と横の既設枠材とを有する既設枠の内周側に改装枠を取り付ける改装枠の取付方法であって、
前記改装枠は、縦の改装枠材と横の改装枠材とを有しており、
各々の前記改装枠材は、前記既設枠材と対向する対向部と、前記対向部から前記既設枠材側に突出する突片と、を有し、
前記突片を前記既設枠材に当接させて前記既設枠材に各々個別に取り付けることを特徴とする改装枠の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改装枠、改装建具、及び、改装枠の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から既設枠の内側に新設する建具が有する新たな枠を取り付けて改装する建屋開口部外枠の改装構造は知られている(例えば、特許文献1参照)。この改装構造は、既設枠(旧設外枠)において内側に位置する頂面側に存在する段差に平坦化用スペーサーをビスで固着して平坦化し、更に平板状の間隔調整用スペーサーを介在させ、当該間隔調整用スペーサーに当接させて新たな枠(新規外枠)をビスにより既設枠に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58-136576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の建屋開口部外枠の改装構造のように、既設枠の内側に新たな枠を取り付ける際には、既設枠と新たな枠との間を埋める間隔調整用スペーサーを介在させなければならない。このとき、改装の対象となる既設枠は様々であり、また、経時による変形等が生じている場合もあり、改装する現場ごとにサイズが相違しているため、改装の現場において間隔調整用スペーサーの厚みを調整しなければならない。さらに、既設枠と新たな枠との間は狭く、間隔を正確に測定することが難しい場合には、間隔調整用スペーサーを介在させて新たな枠を既設枠の内側に仮配置し、間隔調整用スペーサーの厚みが合わない場合には、間隔調整用スペーサーを入れ替える作業を繰り返して間隔調整用スペーサーの厚みを調整しなければならず作業が繁雑であるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に改装することが可能な改装枠、この改装枠を備えた改装建具、及び、及び、改装枠の取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、縦の既設枠材と横の既設枠材とを有する既設枠の内周側に設けられ、各々の前記既設枠材に個別に取り付けられることにより枠状に配置される改装枠材を有し、各々の前記改装枠材は前記既設枠材と対向する対向部と、前記対向部から前記既設枠材側に突出して当該既設枠材に当接する突片と、を有することを特徴とする改装枠である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易に改装することが可能な改装枠、及び、この改装枠を備えた改装建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る改装建具を説明する模式図である。
図2】改装建具が既設枠に設けられた状態を示す縦断面図である。
図3】改装建具が既設枠に設けられた状態を示す横断面図である。
図4図2におけるA部の拡大図である。
図5図2におけるB部の拡大図である。
図6図3におけるC部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る改装枠、改装建具、及び、改装枠の取付方法について図面を参照して説明する。
本実施形態においては、2つの空間の境界部分に既に設けられている既設の建具から戸体を取り外し、残存させた既設枠の内周側に新たに設ける改装用の建具(改装建具)として、たとえば図1図3に示すように、浴室と脱衣室との境界部分に設けられている既存の浴室建具が有する既設枠1の内周側に新たに配置される浴室用の改装建具2を例に挙げて説明する。
【0010】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の既設枠1および改装建具2を脱衣室側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、奥行き方向を見込み方向として示す。改装建具2の各部位であっても、また、改装建具2を構成する各部材については単体の状態であっても、建物等に設けられた状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0011】
また、既設枠1または改装枠3により形成される開口1aにおいて上部に配置される枠部材の下側、開口1aの下部に配置される枠部材の上側、開口1aの左側に配置される枠部材の右側、開口1aの右側に配置される枠部材の左側を、開口1aおよび枠部材の中央側又は内側として説明する。
【0012】
以下の実施形態においては、建物に既に設けられている既存建具の既設枠1と、既設枠1の内に配置される改装建具2の改装枠3において、同じ名称を有する部位、部材には、各名称の前に「既設」または「改装」を付して説明する。例えば、既設枠1が有する下枠や縦枠等の既設枠材は、既設上枠11、既設下枠12、既設縦枠13等とし、改装枠3が有する下枠や縦枠等の改装枠材は、改装上枠31、改装下枠32、改装縦枠33等として説明する。
【0013】
既設枠1は、図4図6に示すように、既設折戸(不図示)を支持する枠体であり、既設折戸が案内される既設レール11a、12aを有する既設上枠11および既設下枠12と、既設上枠11と既設下枠12との左右の端部を上下に連結する左右の既設縦枠13とが接合され、矩形状に枠組みされた状態で躯体4に固定されて開口1aを形成している。ここで、既設上枠11、及び、既設下枠12が横の既設枠材11、12に相当し、左右の既設縦枠13が縦の既設枠材13に相当する。尚、既設上枠11、既設下枠12、及び、左右の既設縦枠13は押し出し成形により製造された部材である。
【0014】
既設上枠11、既設下枠12、及び、左右の既設縦枠13は、開口1aを形成し平坦な見込面を有する見込面部11b、12b、13aと、見込面部11b、12b、13aにおいて既設折戸より脱衣室側にて開口1aの内側に突出する既設突出部11c、12c、13bと、を有している。各既設突出部11c、12c、13bの先端側には、既設折戸を閉じたときに既設折戸の脱衣室側の面に当接される止水材(不図示)が嵌合される既設止水材嵌合部11d、12d、13cが設けられている。既設レール11a、12aは、既設上枠11及び既設下枠12の見込面部11b、12bにおいて既設突出部11c、12cよりも浴室側に間隔を空けて位置している。
【0015】
改装枠3は、左右の既設縦枠13の内側に固定される改装縦枠33と、左右の改装縦枠33間に配置され、既設上枠11の下側に固定される改装上枠31と、既設下枠12の上側に固定される改装下枠32と、を有している。改装上枠31、改装下枠32および改装縦枠33は、いずれも押し出し成形により製造される長尺の部材であり、改装する現場の寸法に合わせて適宜切断して用いられる。ここで、改装上枠31、改装下枠32および改装縦枠33が改装枠材31、32、33に相当する。
【0016】
改装上枠31は、図4に示すように、既設上枠11の見込面部11bと対向する上対向部31aと、上対向部31aから既設上枠11の見込面部11b側に突出して当該既設上枠11の見込面部11bに当接する突片としての上当接突片31bと、上対向部31aから開口1aの内側に突出して戸体としての改装折戸5を案内する改装上レール31cと、上対向部31aにおいて脱衣室側の端から開口1aの内側に突出する改装上突出部31dと、を有している。
上対向部31aは、見込面を形成する板状の部位であり、既設上枠11の見込面部11bと上下方向に間隔を空けて対向する。
【0017】
上当接突片31bは、上対向部31aの脱衣室側の縁と、浴室側の端側に偏った位置であって浴室側の端よりも脱衣室側に位置する部位と、から各々既設上枠11の見込面部11b側に突出してそれぞれ設けられている。脱衣室側の上当接突片31bおよび浴室側の上当接突片31bの上対向部31aからの突出量は、同一である。このため、2つの上当接突片31bが見込面部11bに当接すると、上対向部31aは上側の既設レール11aよりも開口1aの内側に位置し、見込面部11bに対してほぼ平行に配置される。
【0018】
改装上レール31cは、上対向部31aにおいて浴室側の上当接突片31bの近傍の部位から開口1aの内側に突出している。
改装上突出部31dは、上対向部31aにおいて脱衣室側の端から突出しており、脱衣室側の上当接突片31bと上下方向に繋がっている。改装上突出部31dの先端部には、改装折戸5を閉じたときに改装折戸5の脱衣室側の面に当接される止水材6が嵌合される改装上止水材嵌合部31eが設けられている。
【0019】
改装上枠31は、2つの上当接突片31bが既設上枠11の見込面部11bに当接され、改装上突出部31dが既設上枠11の既設突出部11cの浴室側に配置されて既設上枠11の見込面部11bにビス止めされている。このとき、上対向部31aには、皿もみが施されたビス孔31fが設けられており、開口1aの内側から外側に向かって進入するビス7がビス孔31fを挿通し既設上枠11の見込面部11bに螺合されている。尚、上当接突片31bが当接される見込面部11bを有する既設上枠11は、改装上枠31の取り付け時には変形している虞がある。このため、上当接突片31bは、既設上枠11の長手方向において少なくともいずれかの位置で当接していればよい。また、上当接突片31bと見込面部11bとの間に隙間が生じている部位には、必要に応じてスペーサーを介在させてもよい。
【0020】
改装下枠32は、図5に示すように、既設下枠12の見込面部12bと対向する下対向部32aと、下対向部32aから既設下枠12の見込面部12b側に突出して当該既設下枠12の見込面部12bに当接する突片としての下当接突片32bと、下対向部32aから開口1aの内側に突出して改装折戸5を案内する改装下レール32cと、下対向部32aにおける脱衣室側の端にて開口1aの内側に突出する改装下止水材嵌合部32dと、を有している。
下対向部32aは、見込面を形成する板状の部位であり、既設下枠12の見込面部12bと上下方向に間隔を空けて対向する。
【0021】
下当接突片32bは、下対向部32aの脱衣室側の縁と、浴室側の端側に偏った位置であって浴室側の端よりも脱衣室側に位置する部位と、から各々既設下枠12の見込面部12b側に突出してそれぞれ設けられている。脱衣室側の下当接突片32b及び浴室側の下当接突片32bの下対向部32aからの突出量は、同一である。このため、2つの下当接突片32bが見込面部12bに当接すると、下対向部32aは下側の既設レール12aよりも開口1aの内側に位置し、見込面部12bに対してほぼ平行に配置される。
【0022】
改装下レール32cは、下対向部32aにおいて浴室側の下当接突片32bの近傍の部位から開口1aの内側に突出している。
改装下止水材嵌合部32dには、改装折戸5を閉じたときに改装折戸5の脱衣室側の面に当接される止水材6が嵌合される。
【0023】
改装下枠32は、2つの下当接突片32bが既設下枠12の見込面部12bに当接され、改装下止水材嵌合部32dが既設下枠12の既設突出部12cの浴室側に配置されて既設下枠12の見込面部12bにビス止めされている。このとき、下対向部32aには、皿もみが施されたビス孔32eが設けられており、開口1aの内側から外側に向かって進入するビス7がビス孔32eを挿通し既設下枠12の見込面部12bに螺合されている。尚、下当接突片32bが当接される見込面部12bを有する既設下枠12は、改装下枠32の取り付け時には変形している虞がある。このため、下当接突片32bは、既設下枠12の長手方向において少なくともいずれかの位置で当接していればよい。また、下当接突片32bと見込面部12bとの間に隙間が生じている部位には、必要に応じてスペーサーを介在させてもよい。
【0024】
左右に位置する改装縦枠33は、同一の枠部材であり断面形状が互いに線対称となるように配置される。
改装縦枠33は、図6に示すように、既設縦枠13の見込面部13aと対向する縦対向部33aと、縦対向部33aから既設縦枠13の見込面部13a側に突出して当該既設縦枠13の見込面部13aに当接する突片としての縦当接突片33bと、縦対向部33aにおいて脱衣室側の端から開口1aの内側に突出する改装縦突出部33cと、を有している。
縦対向部33aは、見込面を形成する板状の部位であり、既設縦枠13の見込面部13aと左右方向に間隔を空けて対向する。
【0025】
縦当接突片33bは、縦対向部33aの脱衣室側の縁と、浴室側の端側に偏った位置であって浴室側の端よりも脱衣室側に位置する部位と、から各々既設縦枠13の見込面部13a側に突出してそれぞれ設けられている。脱衣室側の縦当接突片33bおよび浴室側の縦当接突片33bの縦対向部33aからの突出量は、同一である。このため、2つの縦当接突片33bが見込面部13aに当接すると見込面部13aに対してほぼ平行に配置される。
【0026】
改装縦突出部33cは、縦対向部33aにおいて脱衣室側の端から突出しており、浴室側の縦当接突片33bと左右方向に繋がっている。改装縦突出部33cの先端部には、改装折戸5を閉じたときに改装折戸5の脱衣室側の面に当接される止水材6が嵌合される改装縦止水材嵌合部33dが設けられている。
【0027】
改装縦枠33は、2つの縦当接突片33bが既設縦枠13の見込面部13aに当接され、改装縦突出部33cが既設縦枠13の既設突出部13bの浴室側に配置されて既設縦枠13の見込面部13aにビス止めされている。このとき、縦対向部33aには、皿もみが施されたビス孔33eが設けられており、開口1aの内側から外側に向かって進入するビス7がビス孔33eを挿通し既設縦枠13の見込面部13aに螺合されている。尚、縦当接突片33bが当接される見込面部13aを有する既設縦枠13は、改装縦枠33の取り付け時には変形している虞がある。このため、縦当接突片33bは、既設縦枠13の長手方向における少なくともいずれかの位置で当接していればよい。また、縦当接突片33bと見込面部13aとの間に隙間が生じている部位には、必要に応じてスペーサーを介在させてもよい。
【0028】
上述したように、本実施形態の改装建具2は、上当接突片31bが既設上枠11の見込面部11bに当接されて改装上枠31が既設上枠11に固定され、下当接突片32bが既設下枠12の見込面部12bに当接されて改装下枠32が既設下枠12に固定され、縦当接突片33bが既設縦枠13の見込面部13aに当接されて改装縦枠33が既設縦枠13に固定されることにより枠状をなすように構成されている。すなわち、改装上枠31、改装下枠32および左右の改装縦枠33は互いに接合されていない。
【0029】
上当接突片31b、下当接突片32bおよび縦当接突片33bが各既設枠材11、12、13の各見込面部11b、12b、13aに当接されることにより、各既設枠材11、12、13に対して適切な位置に位置決めされて改装上枠31、改装下枠32および改装縦枠33からなる改装枠3が既設枠1の内側に設けられる。
【0030】
既設枠1の内側に設けられた改装上枠31と既設上枠11との間には、浴室側の端側に上対向部31a、見込面部11bおよび浴室側の上当接突片31bにより浴室側に開放された空隙Sが形成されており、固定された改装下枠32と既設下枠12との間には、浴室側の端側に下対向部32a、見込面部12bおよび浴室側の下当接突片32bにより浴室側に開放された空隙Sが形成されており、固定された左右の改装縦枠33と既設縦枠13との間には、浴室側の端側に縦対向部33a、見込面部13aおよび浴室側の縦当接突片33bにより浴室側に開放された空隙Sが形成されている。空隙Sは、各改装枠材31、32、33の長手方向の全長に亘って形成されている。
【0031】
各改装枠材31、32、33に沿って形成された空隙S内には浴室側からシーリング材9が充填されて、既設枠1と改装枠3との間が浴室側から止水が施されている。
【0032】
本実施形態の改装建具2により既設建具を改装する場合における改装枠の取付方法は、まず、既設建具の既設折戸を既設枠1から取り外す。既設折戸を取り外した既設枠1における既設上枠11の見込面部11bと既設下枠12の見込面部12bとの間隔(以下、上下間隔という)W1(図2)を左右の端側にて、例えば各々複数箇所測定し、左側の既設縦枠13の見込面部13aと右側の既設縦枠13の見込面部13aとの間隔(以下、左右間隔という)W2(図3)を上下の端側にて各々複数箇所測定する。
【0033】
次に、押し出し成形された改装縦枠用の長尺の部材を、複数箇所測定した左右端側の上下間隔W1の長さのうちの最小寸法にそれぞれ切断し、左右に配置する改装縦枠33を製造する。このとき、改装縦枠33の縦対向部33aには、長手方向に適宜間隔を空けて、皿もみが施されたビス孔33eを複数設けておく。また、左右の改装縦枠33の改装縦止水材嵌合部33dには各々止水材6を取り付けておく。
【0034】
次に、押し出し成形された改装上枠用の長尺の部材、及び、押し出し成形された改装下枠用の長尺の部材を、複数箇所測定した上下端側の左右間隔W2の長さのうちの最小寸法に基づいてそれぞれ切断し、改装上枠31および改装下枠32を製造する。より具体的には、改装上枠31および改装下枠32は、左右の改装縦枠33の間に配置されて枠状に配置されると、改装上枠31および改装下枠32の左右の小口が、左右の改装縦枠33が有する縦対向部33aに各々当接される。このため、改装上枠31、及び、改装下枠32の長さは、縦当接突片33bが既設縦枠13の見込面部13aに当接されて位置決めされた左右の改装縦枠33の縦対向部33aの間隔W3(図3)となる。すなわち、左右の改装縦枠33の縦対向部33aの間隔W3は、測定した上下端側の左右間隔W2から左右の改装縦枠33の縦当接突片33bの突出量l(図5)と縦対向部33aの厚みt(図5)を除いた長さL=W2-2×(l+t)となる。
【0035】
押し出し成形された改装上枠用の長尺の部材および押し出し成形された改装下枠用の長尺の部材を長さW3に切断し、改装上枠31および改装下枠32を製造する。このとき、改装上枠31の上対向部31aおよび改装下枠32の下対向部32aには、長手方向に適宜間隔を空けて、皿もみが施されたビス孔31f、32eを複数設けておく。また、改装上枠31の改装上止水材嵌合部31eおよび改装下枠32の改装下止水材嵌合部32dには各々止水材6を取り付けておく。
【0036】
次に、各改装枠材31、32、33を既設枠1の内側に配置し、テープ等で仮固定する。このとき、左右の改装縦枠33は、縦当接突片33bを既設縦枠13の見込面部13aに当接させ、改装上枠31は、上当接突片31bを既設上枠11の見込面部11bに当接させ、改装下枠32は、下当接突片32bを既設下枠12の見込面部12bに当接させる。
【0037】
また、改装縦枠33の改装縦止水材嵌合部33d、改装上枠31の改装上止水材嵌合部31eおよび改装下枠32の改装下止水材嵌合部32dが同一平面をなすように各改装枠材31、32、33を配置する。このとき、各改装枠材31、32、33は、見込方向における既設上枠11、既設下枠12および既設縦枠13の先端は、改装上枠31の上対向部31a、改装下枠32の下対向部32aおよび左右の改装縦枠33の縦対向部33aの先端よりも浴室側に突出している。
【0038】
次に、仮止めした各改装枠材31、32、33のビス孔31f、32e、33eから既設上枠11、既設下枠12および左右の既設縦枠13の見込面部11b、12b、13aに下孔の位置を示すけがきを施す。
【0039】
次に、仮止めした各改装枠材31、32、33を取り外し、既設上枠11、既設下枠12および左右の既設縦枠13の見込面部11b、12b、13aに施したけがきの位置に下孔を形成し、下孔内にシーリング材(不図示)を充填する。
【0040】
次に、改装下枠32を下孔の位置に合わせて配置し、下対向部32aに形成したビス孔32eにシーリング材(不図示)を充填し、改装下枠32を既設下枠12の見込面部12bに開口1aの内側からビス7により固定する。
【0041】
次に、左右の改装縦枠33を下孔の位置に合わせて配置し、縦対向部33aに形成したビス孔33eにシーリング材(不図示)を充填し、左右の改装縦枠33を左右の既設縦枠13の見込面部13aに、開口1aの内側からビス7により固定する。
【0042】
次に、改装上枠31を下孔の位置に合わせて配置し、上対向部31aに形成したビス孔31fにシーリング材(不図示)を充填し、改装上枠31を既設上枠11の見込面部11bに開口1aの内側からビス7により固定する。尚、改装上枠31、改装下枠32および左右の改装縦枠33の取り付け順序はこれに限らない。
【0043】
次に、改装上枠31、改装下枠32および改装縦枠33を取り付けることにより、改装上枠31と既設上枠11との間、改装下枠32と既設下枠12との間および改装縦枠33と既設縦枠13との間に形成された空隙Sに浴室側からシーリング材9を充填して、既設枠1と改装枠3との間を浴室側から止水する。
【0044】
最後に、取り付けられた改装上枠31の改装上レール31cと、改装下枠32の改装下レール32cのとの間隔に合わせて製造した改装折戸5を建て込んで改装が完了する。
【0045】
本実施形態の改装枠3によれば、改装枠3を構成する改装上枠31が、上対向部31aから既設上枠11側に突出して当該既設上枠11の見込面部11bに当接する上当接突片31bを有しているので、上当接突片31bを既設上枠11の見込面部11bに当接させて改装上枠31を取り付けることにより、既設上枠11に対して位置決めし容易に改装上枠31を取り付けることが可能である。
【0046】
また、改装下枠32が、下対向部32aから既設下枠12側に突出して当該既設下枠12の見込面部12bに当接する下当接突片32bを有しているので、下当接突片32bを既設下枠12の見込面部12bに当接させて改装下枠32を取り付けることにより、既設下枠12に対して位置決めし容易に改装下枠32を取り付けることが可能である。
【0047】
また、左右の改装縦枠33が、縦対向部33aから既設縦枠13側に突出して当該既設縦枠13の見込面部13aに当接する縦当接突片33bを有しているので、縦当接突片33bを既設縦枠13の見込面部13aに当接させて左右の改装縦枠33を取り付けることにより、各既設縦枠13に対して位置決めし容易に改装縦枠33を取り付けることが可能である。
【0048】
このように、各当接突片31b、32b、33bを各既設枠材11、12、13の各見込面部11b、12b、13aに当接させて各改装枠材31、32、33を配置して各々個別に取り付けることにより、既設枠1に対して位置決めし容易に改装枠3を設けることが可能である。
【0049】
また、各当接突片31b、32b、33bは、各改装枠材31、32、33の浴室側の端よりも、脱衣室側に位置しているので、各改装枠材31、32、33の浴室側の端を各既設枠材11、12、13と間隔を空けて配置することが可能であり、各改装枠材31、32、33と各既設枠材11、12、13との間における各当接突片31b、32b、33bよりも浴室側に空隙Sを形成することが可能である。
【0050】
また、各改装枠材31、32、33の各対向部31a、32a、33aおよび各当接突片31b、32b、33bと、各既設枠材11、12、13の見込面部11b、12b、13aと、により浴室側に形成され当該浴室側に開放された空隙Sにシーリング材9が充填されているので、浴室側において、既設枠1と改装枠3との間から水が浸入すること防止することが可能である。
【0051】
また、シーリング材9が充填される空隙Sは、各当接突片31b、32b、33bが見込面部11b、12b、13aに当接して形成されているので、空隙Sに注入するシーリング材9を各当接突片31b、32b、33bにより堰き止めることが可能である。このため、シーリング材9の脱衣室側にバックアップ材を設ける必要がないので、施工が容易でありコストを抑えることが可能である。
【0052】
本実施形態においては、既設建具および改装建具2を浴室用建具としたがこれに限るものではない。例えば、一方の空間が、屋外など水が浸入しやすい空間であり、この空間と他方の空間との境界部分に配置される建具であっても構わない。
【0053】
本実施形態においては、各当接突片31b、32b、33bの突出量が各々、単一の長さに設定されている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、突出量が互いに異なる複数種類の当接突片31b、32b、33bを有する改装上枠31、改装下枠32、改装縦枠33をそれぞれ備えていてもよい。この場合には、既設上枠11、既設下枠12、既設縦枠13から突出する部位の突出量に対応させて、各当接突片31b、32b、33bが既設上枠11、既設下枠12、既設縦枠13に当接するように改装上枠31、改装下枠32、改装縦枠33を選択することが可能となる。特に、本改装枠3は、既設上枠11に改装上枠31を、既設下枠12に改装下枠32を、既設縦枠13に改装縦枠33を、それぞれ取り付ける構成なので、既設上枠11、既設下枠12、既設縦枠13から突出する部位の突出量が互いに異なる場合には、各々の突出量に対応する改装上枠31、改装下枠32、改装縦枠33をそれぞれ選択して用いることにより、スペーサーなどを介在させて調整をすることなく容易に取り付けることが可能である。
【0054】
また、各当接突片31b、32b、33bに、長手方向に沿って全長に亘る線状の薄肉部を、突出方向に適宜間隔を空けて複数設けておき、既設上枠11、既設下枠12、既設縦枠13から突出する部位の突出量に対応させて適宜な位置の薄肉部にて、先端側を折り取ることにより各当接突片31b、32b、33bの突出量を調節してもよい。
【0055】
また、上記実施形態においては、各改装枠材31、32、33の各対向部31a、32a、33aおよび各当接突片31b、32b、33bと、各既設枠材11、12、13の見込面部11b、12b、13aと、により浴室側に形成された空隙Sに直接シーリング材9が充填されている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、空隙Sにバックアップ材を配置し、バックアップ材の浴室側にシーリング材9が施されて止水されていても構わない。
【0056】
また、見込方向においては各既設枠材11、12、13の先端は、各改装枠材31、32、33の先端より突出しているので、既設枠1の内周側に設けられた改装枠3は既設枠1よりも浴室側および脱衣室側に突出しない。このため、浴室および脱衣室を狭めることなく改装枠3を設けることが可能である。
【0057】
また、上述した各改装枠材31、32、33を、既設枠1対して容易に位置決めして取り付けて既設枠1の内周側に改装枠3を設け、設けられた改装枠3の改装上レール31cおよび改装下レール32cに案内される改装折戸5を改装枠3に建て込むだけで容易に改装することが可能な改装建具2を提供することが可能である。
【0058】
また、改装枠3の取付方法によれば、改装枠3を構成する各改装枠材31、32、33が各々有する、各当接突片31b、32b、33bを各既設枠材11、12、13の各見込面部11b、12b、13aに当接させて各改装枠材31、32、33を配置し各々個別に取り付けることにより、既設枠1に対して位置決めし容易に改装枠3を設けることが可能である。
【0059】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0060】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
縦の既設枠材と横の既設枠材とを有する既設枠の内周側に設けられ、各々の前記既設枠材に個別に取り付けられることにより枠状に配置される改装枠材を有し、各々の前記改装枠材は前記既設枠材と対向する対向部と、前記対向部から前記既設枠材側に突出して当該既設枠材に当接する突片と、を有することを特徴とする改装枠である。
【0061】
このような改装枠によれば、改装枠を構成する各改装枠材が各々、対向部から既設枠材側に突出して当該既設枠材に当接する突片を有しているので、突片を各既設枠材に当接させて各改装枠材を配置し各々個別に取り付けることにより、既設枠に対して位置決めし容易に改装枠を設けることが可能である。
【0062】
かかる改装枠であって、前記既設枠は、2つの空間の境界部分に配置されており、前記突片は、前記2つの空間のうちのいずれか一方の前記空間側の端よりも、前記2つの空間のうちの他方の前記空間側に位置していることを特徴とする。
【0063】
このような改装枠によれば、突片は、2つの空間のうちのいずれか一方の空間側の端よりも他方の空間側に位置しているので、改装枠材の一方の空間側の端を既設枠材と間隔を空けることが可能であり、突片よりも一方の空間側に空隙を形成することが可能である。
【0064】
かかる改装枠であって、前記対向部、前記突片、及び、前記既設枠は、前記一方の空間側が開放された空隙を形成し、前記空隙に止水が施されていることを特徴とする。
【0065】
このような改装枠によれば、対向部と、突片と、既設枠とにより一方の空間側に形成され当該一方の空間側に開放された空隙に止水が施されているので、一方の空間側において、既設枠と改装枠との間から水が浸入すること防止することが可能である。このため、一方の空間側が浴室である場合、或いは、屋外である場合など、一方の空間側から水が浸入する虞がある既設建具を改装することが可能である。
【0066】
かかる改装枠であって、見込方向における前記既設枠材の先端は、前記改装枠材の先端より突出していることを特徴とする。
【0067】
このような改装枠によれば、見込方向においては既設枠材の先端は、改装枠材の先端より突出しているので、取り付けた改装枠は既設枠よりも見込方向に突出しない。このため、2つの空間を狭めることなく改装枠を取り付けることが可能である。
【0068】
また、上記改装枠と、前記改装枠に案内されて開閉自在に設けられる戸体と、を有することを特徴とする改装建具である。
【0069】
このような改装建具によれば、各改装枠材を既設枠に対して位置決めして容易に取り付けて改装枠を設け、設けられた改装枠に案内される戸体を備えることにより、より容易に改装することが可能な改装建具を提供することが可能である
【0070】
また、縦の既設枠材と横の既設枠材とを有する既設枠の内周側に改装枠を取り付ける改装枠の取付方法であって、前記改装枠は、縦の改装枠材と横の改装枠材とを有しており、各々の前記改装枠材は、前記既設枠材と対向する対向部と、前記対向部から前記既設枠材側に突出する突片と、を有し、前記突片を前記既設枠材に当接させて前記既設枠材に各々個別に取り付けることを特徴とする改装枠の取付方法である。
【0071】
このような改装枠の取付方法によれば、改装枠を構成する各改装枠材が各々有する、対向部から既設枠材側に突出する突片を各既設枠材に当接させて各改装枠材を配置し、各々個別に取り付けることにより、既設枠に対して位置決めし容易に改装枠を設けることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 既設枠、2 改装建具、3 改装枠、5 改装折戸、11 既設上枠(既設枠材)、12 既設下枠(既設枠材)、13 既設縦枠(既設枠材)、
31 改装上枠(改装枠材)、31a 上対向部、31b 上当接突片、
32 改装下枠(改装枠材)、32a 下対向部、32b 下当接突片、
33 改装縦枠(改装枠材)、33a 縦対向部、33b 縦当接突片、
S 空隙、
図1
図2
図3
図4
図5
図6