(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021015
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】管ライニング材の接続方法及び接続装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/02 20060101AFI20220126BHJP
B29C 63/34 20060101ALI20220126BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
B29C65/02
B29C63/34
F16L1/00 J
F16L1/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124348
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】591139895
【氏名又は名称】株式会社ゲット
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 琢磨
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211SA13
4F211SC03
4F211SD04
4F211SH18
4F211SJ22
4F211SP13
4F211TA01
4F211TC11
4F211TD07
4F211TH18
4F211TJ22
4F211TN02
4F211TQ01
(57)【要約】
【課題】管ライニング材を折り畳んだ状態で接続することで簡易な設備でもって効率よく接続可能な管ライニング材の接続方法及び接続装置を提供すること。
【解決手段】本発明の管ライニング材の接続方法は、第1管ライニング材A1を支持管材10内に配置する配置工程S1と、第1管ライニング材A1に第1折り返し部a3を構成する第1折り返し工程S2と、第1管ライニング材A1に第2折り返し部a4を構成する第2折り返し工程S3と、第1管ライニング材A1及び第2管ライニング材A2の接続端を突き合わせる接合工程S4と、第1管ライニング材A1と第2管ライニング材A2を溶着する溶着工程S5と、を備えることを特徴とする。本発明の管ライニング材の接続装置1は、支持管材10と、加熱装置20と、吸引装置30と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の樹脂吸収材と、前記樹脂吸収材の外周を被覆したプラスチックチューブと、を備える2本の管ライニング材同士を気密的に接続する、管ライニング材の接続方法であって、
第1管ライニング材を円筒形の支持管材内に配置し、前記第1管ライニング材の接続端を支持管材から外側に突出させる、配置工程と、
前記第1管ライニング材の接続端を外側に折り返しつつ、前記支持管材の外周面に被せて、第1折り返し部を構成する、第1折り返し工程と、
前記第1折り返し部の接続端を外側に折り返しつつ、前記第1折り返し部に被せて、前記第1折り返し部より短い第2折り返し部を構成する、第2折り返し工程と、
第2管ライニング材の接続端を前記第1折り返し部に被せつつ、前記第2折り返し部の接続端と突き合わせ、前記第1管ライニング材及び前記第2管ライニング材の一方の接続端のプラスチックチューブを、他方の接続端のプラスチックチューブに被せる、接合工程と、
前記第1管ライニング材及び第2管ライニング材の樹脂吸収材内の気体を吸引しつつ、前記第1管ライニング材及び前記第2管ライニング材の接続端を加熱して、前記第1管ライニング材及び前記第2管ライニング材のプラスチックチューブ同士を溶着する、溶着工程と、を備えることを特徴とする、
管ライニング材の接続方法。
【請求項2】
前記支持管材が、周方向に分割可能な複数の分割管材の組合せからなり、前記配置工程において、前記複数の分割管材で前記第1管ライニング材を囲んで前記支持管材を構成することを特徴とする、請求項1に記載の管ライニング材の接続方法。
【請求項3】
前記支持管材に周設した加圧装置を備え、前記溶着工程において、前記加圧装置によって、前記第1管ライニング材の第1折り返し部を内側から加圧して拡径させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の管ライニング材の接続方法。
【請求項4】
前記加圧装置が、前記支持管材に外挿した筒状体の先端を外側に折り返し、折り返した先端を外側から気密的に緊結してなることを特徴とする、請求項3に記載の管ライニング材の接続方法。
【請求項5】
前記加圧装置が、気密ファスナを備え、前記気密ファスナの開放によって前記加圧装置を周方向に展開可能であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の管ライニング材の接続方法。
【請求項6】
筒状の樹脂吸収材と、前記樹脂吸収材の外周を被覆したプラスチックチューブと、を備える2本の管ライニング材同士を気密的に接続する、管ライニング材の接続装置であって、
管ライニング材を内挿可能であって、かつ突き合わせた2本の管ライニング材の接続端を内側から支持可能な、円筒形の支持管材と、
突き合わせた2本の管ライニング材の接続端を外側から加熱可能な加熱装置と、
突き合わせた2本の管ライニング材の樹脂吸収材内の気体を吸引可能な吸引装置と、を備えることを特徴とする、
管ライニング材の接続装置。
【請求項7】
前記支持管材が、周方向に分割可能な複数の分割管材の組合せからなることを特徴とする、請求項6に記載の管ライニング材の接続装置。
【請求項8】
前記支持管材に周設した加圧装置であって、突き合わせた2本の管ライニング材の接続端を内側から加圧可能な加圧装置を備えることを特徴とする、請求項6又は7に記載の管ライニング材の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路更生工法に用いる管ライニング材を気密的に接続するための接続方法及びこれに用いる接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高度経済成長期に敷設された下水道、上水道、工業用水道、農業用水道等の管路の多くは近年老朽化を迎えており、これら管路の機能再生を図るための管路更生工法が開発されている。
非特許文献1には、管路更生工法の一つとして、筒状の樹脂吸収材の外周をプラスチックチューブで被覆した管ライニング材を用いる工法が開示されている。
この工法では、樹脂吸収材に熱硬化性樹脂を含侵させた管ライニング材を反転させながら管路の内部に挿入し、これを加圧して樹脂吸収材を管路の内壁に押し付け、熱硬化性樹脂を加熱して硬化させることで、プラスチックチューブを管路と一体化させる。
【0003】
管ライニング材の製造方法として、特許文献1には、プラスチックチューブ内に筒状の樹脂吸収材を挿入し、樹脂吸収材の内側に加圧用チューブを挿入し、加圧用チューブを加圧して樹脂吸収材を押し広げ、同時に樹脂吸収材を真空引きして樹脂吸収材とプラスチックチューブを密着させつつ、プラスチックチューブを加熱することで、プラスチックチューブを樹脂吸収材に溶着させる方法が開示されている。
ところで、更生の対象となる管路は長距離であるため、実際の施工には気密的に連続する長距離の管ライニング材が必要となる。
しかし、製造上の制約、主に製造ラインの長さの制約から、管ライニング材1本あたりの長さには制限がある。そこで、複数の管ライニング材同士を気密的に接続して全長を延長する必要がある。
管ライニング材の接続方法として、特許文献2には、管ライニング材の製造ラインを利用し、製造済みの先の管ライニング材のプラスチックチューブの端部に未溶着部を残し、後の管ライニング材のプラスチックチューブの溶着時に、プラスチックチューブの端部同士を重ね合わせて溶着することで、管ライニング材を気密的に接続する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-59227号公報
【特許文献2】特開2005-324367号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「管路更生工法 施工管理マニュアル-2020年度版-」(令和2年4月:一般社団法人日本管路更生工法品質確保協会)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術には以下の問題点がある。
<1>管ライニング材の全長を伸ばした状態で接続するため、接続部が端部のみであるにかかわらず、管ライニング材の全長に対応する長大な製造ラインが必要となる。
<2>接続のために管内から加圧用チューブを管ライニング材の先端まで送り出す必要があり、作業効率が非常に悪い。
<3>加圧用チューブが単一径であるため、径の異なる管ライニング材同士を気密的に接続することができない。
【0007】
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決可能な管ライニング材の接続方法及び接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の管ライニング材の接続方法は、第1管ライニング材を円筒形の支持管材内に配置し、第1管ライニング材の接続端を支持管材から外側に突出させる、配置工程と、第1管ライニング材の接続端を外側に折り返しつつ、支持管材の外周面に被せて、第1折り返し部を構成する、第1折り返し工程と、第1折り返し部の接続端を外側に折り返しつつ、第1折り返し部に被せて、第1折り返し部より短い第2折り返し部を構成する、第2折り返し工程と、第2管ライニング材の接続端を第1折り返し部に被せつつ、第2折り返し部の接続端と突き合わせ、第1管ライニング材及び第2管ライニング材の一方の接続端のプラスチックチューブを、他方の接続端のプラスチックチューブに被せる、接合工程と、第1管ライニング材及び第2管ライニング材の樹脂吸収材内の気体を吸引しつつ、第1管ライニング材及び第2管ライニング材の接続端を加熱して、第1管ライニング材及び第2管ライニング材のプラスチックチューブ同士を溶着する、溶着工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の管ライニング材の接続方法は、支持管材が、周方向に分割可能な複数の分割管材の組合せからなり、配置工程において、複数の分割管材で第1管ライニング材を囲んで支持管材を構成してもよい。
【0010】
本発明の管ライニング材の接続方法は、支持管材に周設した加圧装置を備え、溶着工程において、加圧装置によって、第1管ライニング材の第1折り返し部を内側から加圧して拡径させてもよい。
【0011】
本発明の管ライニング材の接続方法は、加圧装置が、支持管材に外挿した筒状体の先端を外側に折り返し、折り返した先端を外側から気密的に緊結してなっていてもよい。
【0012】
本発明の管ライニング材の接続方法は、加圧装置が、気密ファスナを備え、気密ファスナの開放によって加圧装置を周方向に展開可能であってもよい。
【0013】
本発明の管ライニング材の接続装置は、管ライニング材を内挿可能であって、かつ突き合わせた2本の管ライニング材の接続端を内側から支持可能な、円筒形の支持管材と、突き合わせた2本の管ライニング材の接続端を外側から加熱可能な加熱装置と、突き合わせた2本の管ライニング材の樹脂吸収材内の気体を吸引可能な吸引装置と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の管ライニング材の接続装置は、支持管材が、周方向に分割可能な複数の分割管材の組合せからなっていてもよい。
【0015】
本発明の管ライニング材の接続装置は、支持管材に周設した加圧装置であって、突き合わせた2本の管ライニング材の接続端を内側から加圧可能な加圧装置を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上の構成より、本発明の管ライニング材の接続方法及び接続装置は次の効果の少なくともひとつを備える。
<1>管ライニング材を折り畳んだ状態で接続できるため、簡易な設備で作業することができる。
<2>管ライニング材の端部への加工のみで接続できるため、作業効率がよい。
<3>支持管材を型枠として用いることで、径の異なる管ライニング材同士を気密的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の管ライニング材の接続方法のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の管ライニング材の接続方法及び接続装置について詳細に説明する。なお、接続装置の構造については接続方法の説明の中で記述する。
【実施例0019】
[管ライニング材の接続方法]
<1>全体の構成(
図1)。
本発明の管ライニング材の接続方法は、管ライニング材A同士を気密的に接続する方法である。
管ライニング材の接続方法は、配置工程S1と、第1折り返し工程S2と、第2折り返し工程S3と、接合工程S4と、溶着工程S5と、を少なくとも備える。
説明の便宜上、接続する2本の管ライニング材Aの内、一方を第1管ライニング材A1、他方を第2管ライニング材A2と表記するが、「第1」「第2」とは両者の配置や順番を特定するものではなく、両者を読み替えてもよい。
【0020】
<1.1>管ライニング材。
本発明を適用する管ライニング材Aは、管路更生工法に用いる資材である。
管ライニング材Aは、樹脂吸収材a1と、プラスチックチューブa2との組み合わせからなる。
詳細には、筒状に縫製した長尺の樹脂吸収材a1の外側にプラスチックチューブa2を一体に接着してなる。ただし、後述する溶着工程S5のために、第1管ライニング材A1及び第2管ライニング材A2の少なくとも一方の接続端において、樹脂吸収材a1とプラスチックチューブa2を一部未溶着にしておく。
樹脂吸収材a1は、熱硬化樹脂を含侵させて硬化させることで、プラスチックチューブa2を管路の内壁と一体化させるための部材である。
本例では樹脂吸収材a1として、ポリエステル不織布を採用する。ただしこれに限らず、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル等の織布又は不織布を採用することができる。
プラスチックチューブa2は、更生管における内面となる部材である。
本例ではプラスチックチューブa2として、ポリエチレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を積層してなる複合フィルムを採用する。ただしこれに限らず、ポリ塩化ビニル、ナイロン等を含む各種樹脂の組み合わせによる、単層又は複層のフィルム材を採用することができる。
なお、本明細書における管ライニング材Aの内側及び外側の別は、施工後の状態ではなく、施工前の状態における内側及び外側を意味する。すなわち、管路更生工事の施工によって管ライニング材Aは裏返しになるため、管ライニング材Aを管路の内部にライニングした状態では、樹脂吸収材a1が外側、プラスチックチューブa2が内側になる。
【0021】
<1.2>接続装置。
管ライニング材の接続装置1は、少なくとも、円筒形の支持管材10と、加熱装置20と、吸引装置30と、を備える。本例では更に、支持管材10の外周に付設可能な加圧装置40を備える。
加熱装置20は、管ライニング材Aの接続端同士を溶着させる装置である。
本例では加熱装置20として、支持管材10を外周方向から包囲するヒーターを採用する。ただしこれに限らず、要は管ライニング材Aの接続端を加熱してプラスチックチューブa2を溶融可能な装置であればよい。
吸引装置30は、樹脂吸収材a1内の気体を吸引する装置である。
本例では吸引装置30として、管ライニング材Aの管内に接続した真空ポンプを採用する。ただしこれに限らず、要は2本の管ライニング材Aの樹脂吸収材a1の内部から気体を吸引可能な装置であればよい。
【0022】
<1.2.1>支持管材。
支持管材10は、管ライニング材Aの溶着時に管ライニング材Aの接合部を内側から支持する部材である。
支持管材10は、管ライニング材Aを内挿可能な内空と、突き合わせた2本の管ライニング材Aの接続端を支持可能な外周面と、を備える。
本例では支持管材10として、周方向に分割可能な複数の分割管材11、12の組合せからなる鋼管材を採用する。
また本例では、分割管材11、12の少なくとも一方に、気密チューブ41内へ送気するための通気孔10aを穿設する。
【0023】
<1.2.2>加圧装置。
加圧装置40は、管ライニング材Aを内側から加圧して拡径させる装置である。
本例では加圧装置40として、支持管材10の外周に装着可能な気密チューブ41と、折り返した気密チューブ41を閉じて袋体を構成可能な締結バンド42と、気密チューブ41の袋体内に気体を送気可能な送気手段43と、の組合せを採用する。
気密チューブ41には、支持管材10の通気孔10aと連通するための通気孔41aを設ける。
本例の送気手段43は、コンプレッサ43aと、コンプレッサ43aと接続した送気管43bの組合せである。
加圧装置40は、詳細には例えば以下のように構成する。
支持管材10に気密チューブ41を外挿して支持管材10の略全長を覆った上で支持管材10の基端部付近で外側から締結バンド42で緊結し(
図2B)、締結バンド42より先端の気密チューブ41を折り返し、折り返した端縁を外側から締結バンド42で緊結することで、袋体を構成する(
図2C)。
支持管材の10の管内から通気孔10aに送気管43bを接続する。
以上の構成によって、コンプレッサ43a、送気管43b、支持管材10の通気孔10a、気密チューブ41の通気孔41a、の順に気体を圧送して、気密チューブ41を膨張させることができる。
なお、送気時の気密性を確保するため、加圧装置40や支持管材10には、各種の気密手段を設けることが望ましい。
具体的には、例えば支持管材10における分割管材11、12の接合部に、パッキンやメカニカルシール等を設けてもよい。
また、分割管材11の通気孔10aを管外側に突出させて、突出部を気密チューブ41の通気孔41a内に差し込むように構成してもよい。
あるいは、気密チューブ41の通気孔41a部分に、外側に突起した枝管を設け、枝管を分割管材11の通気孔10a内に差し込むように構成してもよい。
【0024】
<1.2.3>加圧装置の他の構成。
加圧装置40の前記の構成は一例にすぎず、他の構成を採用してもよい。
例えば、支持管材10に気密チューブ41を外挿する際に、支持管材10の全長ではなく基端部付近のみを気密チューブ41で被覆して締結バンド42で緊結し、気密チューブ41の先端を折り返した端縁を外側から締結バンド42で緊結して袋体を構成してもよい。
また気密チューブ41を折り返さず、気密チューブ41の両端を支持管材10の外側から締結バンド42で緊結することで袋体を構成してもよい。
要は後述する溶着工程S5において、第1管ライニング材A1を内側から加圧できればよい。
【0025】
<2>配置工程(
図2A~
図2C)。
配置工程S1は、接続装置1上に第1管ライニング材A1を配置する工程である。
円筒形の支持管材10内に第1管ライニング材A1を配置し、第1管ライニング材A1の接続端を支持管材10から外側に突出させる。
本例では、第1管ライニング材A1の接続端付近を分割管材11、12で挟みこんで支持管材10を構成し、支持管材10で第1管ライニング材A1の接続端付近を囲む(
図2A)。
本例では、続いて支持管材10の外側に気密チューブ41を外挿する。詳細には、気密チューブ41の先端を支持管材10の基端側に到達させ、支持管材10の先端側で気密チューブ41上から締結バンド42を巻き付けて気密チューブ41を縛る(
図2B)。
続いて、締結バンド42による締結部を中心に、気密チューブ41の後端側を外側に折り返して気密チューブ41の先端側に被せ、気密チューブ41の先端と後端との上から締結バンド42を巻き付けて気密チューブ41を縛る(
図2C)。これによって、支持管材10の外側に気密チューブ41からなる袋体が設置される。
【0026】
<3>第1折り返し工程(
図3)。
第1折り返し工程S2は、第1管ライニング材A1に第1折り返し部a3を構成する工程である。
支持管材10から突出した第1管ライニング材A1の接続端を、支持管材10の先端で外向きに折り返して、気密チューブ41の外側に被せ、第1折り返し部a3を構成する。
第1折り返し部a3の長さL
1は、支持管材10の長さL
aに対し、次の長さとする。[L
a<L
1<2L
a]
すなわち、第1折り返し部a3の長さL
1は、支持管材10の長さL
aより長く、かつ支持管材10の長さL
aの2倍より短い。
【0027】
<4>第2折り返し工程(
図4)。
第2折り返し工程S3は、第1管ライニング材A1に第2折り返し部a4を構成する工程である。
第1折り返し部a3の接続端を、支持管材10の基端付近で外側に折り返し、第1折り返し部a3の表面に被せて、第2折り返し部a4を構成する。
第2折り返し部a4の長さL
2は、第1折り返し部a3の長さL
1に対し、次の長さとする。[L
2<L
1]
すなわち、第2折り返し部a4の長さL
2は、第1折り返し部a3の長さL
1より短い。これによって、第2折り返し部a4の接続端が、第1折り返し部a3の外側に位置する。
【0028】
<5>接合工程(
図5A、
図5B)。
接合工程S4は、第1管ライニング材A1と第2管ライニング材A2を、端部で接合する工程である。
第2管ライニング材A2の接続端を第1折り返し部a3に被せ、第1管ライニング材A1の第2折り返し部a4の接続端に突き合わせる(
図5A)。
この際、第1管ライニング材A1の接続端におけるプラスチックチューブa2を、第2管ライニング材A2のプラスチックチューブa2に被せる(
図5B)。
なお、これと反対に、第2管ライニング材A2のプラスチックチューブa2を、第1管ライニング材A1のプラスチックチューブa2に被せてもよい。
【0029】
<6>溶着工程(
図6)。
溶着工程S5は、プラスチックチューブa2を溶融させて、第1管ライニング材A1と第2管ライニング材A2を接続する工程である。
吸引装置30によって、第1管ライニング材A1及び第2管ライニング材A2の樹脂吸収材a1内の気体を吸引する。これは例えば、第1管ライニング材A1及び第2管ライニング材A2の基端を密閉し、吸引装置30で管内を真空引きすることで行うことができる。
同時に加熱装置20によって、第1管ライニング材A1及び第2管ライニング材A2の接続端を外側から加熱して、接続端のプラスチックチューブa2同士を溶着する。
管ライニング材Aの接続端の加熱と、管ライニング材A内の気体の吸引とを同時に行い、第1管ライニング材A1及び第2管ライニング材A2のプラスチックチューブa2を負圧で樹脂吸収材a1に吸着させつつ溶着させることで、接続端を気密的に接続することが可能となる。
また、本例では加熱と吸引に加えて、送気手段43によって気密チューブ41の内部に送気して、気密チューブ41を外側に膨張させる。詳細には、送気手段43の送気管43bを、支持管材10の内側から通気孔10aに接続し、通気孔10aと気密チューブ41の通気孔41aとを通して、気密チューブ41内に送気する。
すると折り返した気密チューブ41がバルーン状に膨張することで、第2折り返し部a4を外側に拡径させ、吸引によるプラスチックチューブa2への皺の発生を防ぐことができる。
加熱装置20の加熱を停止し、プラスチックチューブa2を冷却して硬化させることで、第1管ライニング材A1の接続端と第2管ライニング材A2の接続端が一体化して気密的に接続する。
【0030】
<7>その後の工程。
第1管ライニング材A1と第2管ライニング材A2の接続後、吸引装置30による吸引と、加圧装置40による加圧を停止する。
第2管ライニング材A2を基端側に引っ張ることで、第1管ライニング材A1の第2折り返し部a4と、第1折り返し部a3を順番に解消しながら、第1管ライニング材A1を支持管材10の外周から引き抜く。
続いて、支持管材10の外周に付設した加圧装置40を取り外す。詳細には、気密チューブ41から2つの締結バンド42を取り外して気密チューブ41を広げ、気密チューブ41を長手方向にわたって切断し、取り除く。
最後に、支持管材10を2つの分割管材11、12に分解して、第1管ライニング材A1から取り外す。