(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021019
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】ボビン落下防止器具
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
B65H35/07 E
B65H35/07 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124354
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】712007658
【氏名又は名称】南舘 正士
(72)【発明者】
【氏名】南舘 正士
【テーマコード(参考)】
3F062
【Fターム(参考)】
3F062AA05
3F062AB10
3F062BA02
3F062BA04
3F062BF01
(57)【要約】
【課題】テープが巻かれたボビンが手から離れてボビンが落下した際に、テープがボビンから引き出されてしまい、テープが無駄になる。
【解決手段】ボビン落下防止器具1は、テープが巻かれたボビンのボビン落下防止器具であって、第1の方向に延伸し、ボビン30の中央に設けられた穴部40に挿入するための軸部2と、ボビン30から引き出されたテープ20のテープ端を支持するための突起部3と、軸部2と突起部3との間に配置され、第1の方向と交差する第2の方向に延伸し、軸部2と突起部3とを接続するための接続部4と、接続部4に接続固定されており、軸部2をボビン30の穴部40に挿入したときに、当該穴部40の内周表面に弾性的に押圧されるように構成された押部5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープが巻かれたボビンのボビン落下防止器具であって、
第1の方向に延伸し、前記ボビンの中央に設けられた穴部に挿入するための軸部と、
前記ボビンから引き出された前記テープのテープ端を支持するための突起部と、
前記軸部と前記突起部との間に配置され、前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸し、前記軸部と前記突起部とを接続するための接続部と、
前記接続部に接続固定されており、前記軸部を前記ボビンの前記穴部に挿入したときに、当該穴部の内周表面に弾性的に押圧されるように構成された押部と、を備えることを特徴とするボビン落下防止器具。
【請求項2】
前記押部の一端と軸部との間に、開口を有することを特徴とする請求項1に記載のボビン落下防止器具。
【請求項3】
前記押部は、前記穴部の内周と略同一の曲率を有する略円筒形状を有し、
前記接続部は、前記押部の両端のほぼ中間部分に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボビン落下防止器具。
【請求項4】
前記押部の外側面に、前記第1の方向に延伸する凸状のリブが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のボビン落下防止器具。
【請求項5】
前記リブが、前記押部の端部近傍に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のボビン落下防止器具。
【請求項6】
前記突起部と前記接続部との境界近傍に、前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に延伸する溝部が設けられ、前記境界近傍において前記突起部が屈曲又は伸展可能に構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のボビン落下防止器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビン落下防止器具に関する。
【背景技術】
【0002】
水廻りの部品や鉄製のパイプ管を接続する際に、水漏れを防止するために、接続継手などのネジ部などにシールテープを巻き付けてシールすることが知られている。シールテープは、一般にボビンに巻かれており、使用する分だけボビンから取り出して、接続継手のネジ部などに巻き付けた後、切断して使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、水廻りの部品や鉄製のパイプ管を接続する作業は、室内や高層ビルの高所で作業を行う場合があり、また、接続継手のネジ部などにシールテープを巻き付ける際に、作業中にボビンが手から離れて、ボビンだけが落下することがある。その際に、ボビンに巻かれていたシールテープがボビンから引き出されてしまい、シールテープが無駄になることがあった。
求められているのは、接続継手のネジ部などにシールテープを巻き付ける際に、作業中にボビンが手から離れてもシールテープが巻かれたボビンが落下することを防止することができるボビン落下防止具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るボビン落下防止器具は、テープが巻かれたボビンのボビン落下防止器具であって、第1の方向に延伸し、前記ボビンの中央に設けられた穴部に挿入するための軸部と、前記ボビンから引き出された前記テープのテープ端を支持するための突起部と、前記軸部と前記突起部との間に配置され、前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸し、前記軸部と前記突起部とを接続するための接続部と、前記接続部に接続固定されており、前記軸部を前記ボビンの前記穴部に挿入したときに、当該穴部の内周表面に弾性的に押圧されるように構成された押部と、を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明に係るボビン落下防止器具では、接続部に接続固定された押部を有し、押部は、ボビン落下防止器具の軸部をボビンの穴部に挿入したときに、当該穴部の内周表面に弾性的に押圧されるように構成されているため、ボビンが回転することなしに、テープが巻かれた状態でボビンから引き出されたテープのテープ端を突起部で保持することができる。接続継手のネジ部などにシールテープを巻き付ける作業を行っている際に、ボビンが手から離れた場合でも、落下することを防止することができる。また、ボビンに巻かれていたシールテープがボビンから引き出されてしまい、シールテープが無駄になることを防ぐことができる
【0006】
また、本発明に係るボビン落下防止器具において、前記押部の一端と軸部との間に、開口を有することを特徴としてもよい。押部の一端と軸部との間に、開口を有することにより、押部が弾性的に変形するための変形量を調整することができる。これにより、ボビンの内径にバラツキがある場合でも、押部でボビンの穴部の内周表面を押圧できるので、ボビン落下防止器具をボビンの穴部に確実に装着することができる。
【0007】
また、本発明に係るボビン落下防止器具において、前記押部は、前記穴部の内周と略同一の曲率を有する略円筒形状を有し、前記接続部は、前記押部の両端のほぼ中間部分に設けられていることを特徴としてもよい。これにより、押部でボビンの穴部の内周表面をバランスよく押圧できるので、ボビン落下防止器具をボビンの穴部に安定して装着することができる。
【0008】
また、本発明に係るボビン落下防止器具において、前記押部の外側面に、前記第1の方向に延伸する凸状のリブが設けられていることを特徴としてもよい。押部の外側面にリブを設けることで、押部に設けられたリブとボビンの穴部の内周表面との摩擦力を大きくすることができる。この結果、ボビンの回転を確実に防止することができる。また、リブの高さを変更することで、内径が異なるボビンにも装着することが可能になるので、設計の自由度を増すことができる。
【0009】
また、本発明に係るボビン落下防止器具において、前記リブが、前記押部の端部近傍に設けられていることを特徴としてもよい。押部が弾性変形した際に、押圧力が最も大きくなる端部近傍にリブを設けることで、ボビン落下防止器具をボビンの穴部に確実に装着することができる。
【0010】
また、本発明に係るボビン落下防止器具において、前記突起部と前記接続部との境界近傍に、前記第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向に延伸する溝部が設けられ、前記境界近傍において前記突起部が屈曲又は伸展可能に構成されていることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明に係るボビン落下防止器具では、突起部と接続部との境界近傍に、第3の方向に延伸する溝部を設けることで、突起部と接続部との境界近傍において、突起部が屈曲又は伸展可能に構成されている。ボビンに巻かれたテープを取り出すときには、突起部を伸展させることで、突起部にテープが当たらないようにすることができる。この結果、テープを取り出し易くすることができる。また、テープを取り出した後は、突起部を屈曲させることで、テープが巻かれた状態でボビンから引き出されたテープのテープ端を突起部で保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
シールテープが巻かれたボビンの穴部(貫通孔)に、本発明に係るボビン落下防止具の軸部を挿入し突起部でシールテープを保持することにより、接続継手のネジ部などにシールテープを巻き付ける作業を行っている際に、ボビンが手から離れた場合でも、ボビンが回転することなしに、テープが巻かれた状態でボビンから引き出されたテープのテープ端を突起部で保持することができる。また、ボビンに巻かれていたシールテープがボビンから引き出されてしまい、シールテープが無駄になることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、第2の本実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す正面図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具をボビンに挿入した状態を説明するための図面である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具をボビンに挿入した状態を説明するための図面である。
【
図10】
図10は、ボビン落下防止器具の使用状態を説明するための図面である。
【
図11】
図11は、ボビン落下防止器具の使用状態を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面と共に本発明に係るボビン落下防止器具の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」、「表」、「裏」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具1を概略的に示す斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す正面図である。また、
図3は、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具を概略的に示す側面図である。
【0016】
図1に示すように、ボビン落下防止器具1は、テープ20が巻かれたボビン30の中央に設けられた穴部(貫通穴)40に挿入するための軸部2と、ボビン30に巻かれたシールテープなどのテープ20を支持するための突起部3と、軸部2と突起部3との間に配置され、軸部2と突起部3とを接続するための接続部4とを備える。軸部2は、略円筒状のパイプ形状を有しており、ボビンの中央に設けられた穴部(貫通穴)40に挿入可能に構成されている。接続部4は、軸部2が延伸する方向(第1の方向)と交差する第2の方向に延伸している。また、本実施形態では、突起部3は、第1の方向に延伸している。
【0017】
また、ボビン落下防止器具1の軸部2をボビンの穴部40に挿入したときに、ボビン落下防止器具1をボビン30に固定するための押部5を有する。本実施形態では、押部5は、第1の押部5a、及び第2の押部5bを含み、第1の押部5a、及び第2の押部5bのそれぞれの一端が、接続部4に、互いに対向して接続固定されている。なお、押部5は、第1の押部5aと第2の押部5bとが一体に形成されてもよい。本実施形態では、第1の押部5aの一端から他端までの距離と、第2の押部5bの一端から他端までの距離とがほぼ同じ値になるように、第1の押部5a、及び第2の押部5bが接続部4に接続されている。換言すると、接続部4は、第1の押部5a、及び第2の押部5bからなる押部5のほぼ中間部分に設けられている。また、第1の押部5a、及び第2の押部5bは、軸部2が延伸する第1の方向に延伸しており、断面形状が1/4円から1/2円の間の略円筒形状を有することができる。また、第1の押部5a、及び第2の押部5bの外周面は、ボビンの穴部40の内周表面の曲率と略同一の曲率を有することができる。本実施形態では、第1の押部5a、及び第2の押部5bは、その断面中心が、軸部2の軸中心とほぼ同じ(同心円)となるように、接続部4に固定されている。また、第1の押部5a、及び第2の押部5bの断面外径(直径)は、ボビンの穴部の内径(直径)よりもわずかに大きくなるように設計しており、軸部2をボビンの中央に設けられた穴部(貫通穴)に挿入したときに、第1の押部5a、及び第2の押部5bの側面部が、ボビンの穴部の内周表面に押圧されて、ボビン落下防止器具1がボビンに固定される。本実施形態では、第1の押部5a、及び第2の押部5bの断面外径(直径)は、ボビンの穴部の直径よりも、1mm~2mm程度大きく設定することができる。また、第1の押部5a、及び第2の押部5bは、接続部4を支点として、円周方向に弾性変形可能に構成されている。第1の押部5a、及び第2の押部5bの側面部の肉厚は、例えば、1mm~2mm程度とすることができる。また、第1の押部5a、及び第2の押部5bは、ポリプロピレン樹脂などのプラスチック、アルミや鉄などの金属、又は木材等の弾性変形可能な部材から成ることができる。
【0018】
図1に示すように、第1の押部5a、及び第2の押部5bのそれぞれの他端は、解放されており、第1の押部5a、及び第2の押部5bと軸部2との間に、開口6a、6bを有する。これにより、軸部2をボビンの中央に設けられた穴部(貫通穴)40に挿入したときに、第1の押部5a、及び第2の押部5bの側面部(外周面)が、ボビンの穴部の内周表面に押圧されて、内側(半径方向)に弾性変形し、このときに生じる応力により、ボビン落下防止器具1をボビンにしっかり固定することができる。開口6a及び開口6bの幅は、8mm~10mm程度とすることができる。本実施形態では、開口6a及び開口6bの幅は、9mm程度とすることができる。
【0019】
軸部2の直径は、ボビンの穴部の径に合わせて、ボビンの穴径よりも小さい値を有する。一般に、シールテープが巻かれたボビンの穴部の直径は、25mm~28mm程度であり、本実施形態では、このボビンの穴部の径に合わせて、軸部2の外径(直径)は、10mm~12mmにすることができる。また、円筒部の肉厚は、約1mm~3mm程度とすることができる。本実施形態では、軸部2の外径(直径)は約11mm程度であり、内径(直径)は約7mm程度であることができる。円筒部の肉厚は、約2mm程度とすることができる。
【0020】
また、軸部2は、円筒以外に、断面が三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形や楕円などの形状とすることができる。またパイプ形状以外に、断面が、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形や、円、楕円等の形状を有する棒状形状とすることができる。
【0021】
また、
図1に示すように、接続部4の一端は、軸部2の端部に接続されており、軸部2が延伸する第1の方向と交差する第2の方向に延伸する。本実施形態では、接続部4は、軸部2に接続される部分に、軸部2から突起部3の方向に幅が小さくなるテーパ形状部が有することができる。本実施形態では、接続部4のテーパ部に、第1の押部5a、及び第2の押部5bを接続固定しているため、軸部2をボビンの穴部(貫通穴)に挿入して第1の押部5a、及び第2の押部5bの側面部(外周面)が、ボビンの穴部の内周表面に押圧されて弾性変形した場合でも、十分な機械強度を実現することができる。同時に、接続部4の強度も高めることができる。接続部4は、軸部2に接続されるテーパ形状部の幅は、10mm程度であり、接続部4の幅(6mm程度)まで、幅が漸次小さくなっている。また、接続部4の厚みは、例えば2mm程度とすることができる。
【0022】
また、
図1に示すように、ボビン落下防止器具1は、接続部4に接続された突起部3を有することができる。突起部3は、軸部2が延伸する第1の方向に延伸している。突起部3は、ボビンから引き出されたテープを支持するために用いることができる。
【0023】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具1Aについて説明する。
図4は、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具1Aを概略的に示す斜視図である。
図5は、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具1Aを概略的に示す正面図である。また、
図6は、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具1Aを概略的に示す側面図である。
【0024】
図4に示したように、ボビン落下防止器具1Aは、ボビン落下防止器具1と同様に、テープ20が巻かれたボビン30の中央に設けられた穴部(貫通穴)40に挿入するための軸部2と、ボビン30に巻かれたシールテープなどのテープ20を支持するための突起部3と、軸部2と突起部3との間に配置され軸部2と突起部3とを接続するための接続部4とを備える。軸部2は、略円筒状のパイプ形状を有しており、ボビン30の中央に設けられた穴部(貫通穴)40に挿入可能に構成されている。接続部4は、軸部2が延伸する方向(第1の方向)と交差する第2の方向に延伸している。また、本実施形態では、突起部3は、第1の方向に延伸している。
【0025】
また、
図4において、ボビン落下防止器具1Aは、ボビン落下防止器具1Aの軸部2をボビン30の穴部40に挿入したときに、ボビン落下防止器具1Aをボビンに固定するための押部105を有する。本実施形態では、押部105は、第1の押部105aと第2の押部105bとを含み、第1の押部105a、及び第2の押部105bのそれぞれの一端が、接続部4に、互いに対向して接続固定されている。なお、押部105は、第1の押部5aと第2の押部5bとが一体に形成されてもよい。本実施形態では、第1の押部105aの一端から他端までの距離と、第2の押部105bの一端から他端までの距離とがほぼ同じ値になるように、第1の押部105a、及び第2の押部105bが接続部4に接続されている。換言すると、接続部4は、第1の押部105a、及び第2の押部105bからなる押部105のほぼ中間部分に設けられている。また、第1の押部105a、及び第2の押部105bは、軸部2が延伸する第1の方向に延伸しており、断面形状が1/4円から1/2円の間の略円筒形状を有することができる。
【0026】
第2の実施形態に係るボビン落下防止器具1Aにおいて、ボビン落下防止器具1Aの軸部2をボビン30の穴部40に挿入したときに、ボビン落下防止器具1Aをボビン30に固定するための第1の押部105aと第2の押部105bの外側面に凸状のリブ10が設けられている点で相違する以外は、ボビン落下防止器具1の第1の押部5aと第2の押部5bと同様の構成を有する。
【0027】
図4に示したように、第1の押部105a、及び第2の押部105bの外側面には、複数の凸状のリブ10が設けられている。本実施形態において、リブ10は、軸部2が延伸する第1の方向に延伸している。また、リブ10の断面形状は、頂部が尖った略三角形の形状を有することができる。リブ10の断面形状を略三角形の形状とすることで、ボビンの穴部(貫通穴)40に挿入したときに、ボビンの穴部の内周表面にリブの頂部が接触することが可能であるため、リブ頂部のボビンの穴部(貫通穴)の内周表面への片当たりを防止することができる。この結果、ボビン落下防止器具1Aをボビンに確実に固定される。また、ボビン落下防止器具1をボビンに挿抜する際も、スムーズに挿抜することができる。
【0028】
また、リブ10の断面形状は、略三角形の形状に限定されず、頂部がR形状を有する半円形状、台形形状、或いは多角形形状を有することができる。
【0029】
また、
図4に示すように、リブ10は、第1の押部105a、及び第2の押部105bの外側面の端部に設けることができる。第1の押部105a、及び第2の押部105bの中心からリブ10の頂部までの距離は、ボビンの中央に設けられた穴部(貫通穴)の半径よりも、僅かに大きくなる様に設計されている。軸部2をボビンの中央に設けられた穴部(貫通穴)40に挿入したときに、第1の押部105a、及び第2の押部105bの外側面(外周面)に設けられたリブ10(の頂部)が、ボビンの穴部の内周表面に当接し押圧されて、内側(半径方向)に弾性変形することができる。ボビンの穴部(貫通穴)40の半径にバラツキがあり、相対的に第1の押部105a、及び第2の押部105bの中心からリブ10の頂部までの距離が、穴部(貫通穴)40の半径よりもかなり大きくなった場合、第1の押部105a、及び第2の押部105bは大きく弾性変形することになる。このような場合でも、リブ10を第1の押部105a、及び第2の押部105bの外側面の端部に設けることにより、この端部に設けられたリブ10がボビンの穴部(貫通穴)40の内周表面に当接すように構成することができる。この結果、ボビンの穴部(貫通穴)40の直径(又は半径)にバラツキがある場合でも、ボビン落下防止器具1Aをボビンに確実に装着することができる。
【0030】
また、異なる穴径を有するボビンに対しても、リブ10の第1の押部105a、及び第2の押部105bの外側面から頂部までの高さを変更するだけで装着可能にすることができる。このため、ボビン落下防止器具1Aの設計の自由度を増すことができる。また、リブ10の高さを変更するだけなので、製造も容易である。
【0031】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るボビン落下防止器具1Bについて説明する。
図7は、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具1Bを概略的に示す斜視図である。
【0032】
図7において、ボビン落下防止器具1Bの突起部3と接続部4との境界近傍には、軸部2が延伸する第1の方向、及び接続部4が延伸する第2の方向とに交差する第3の方向に延伸する溝部12が設けられている。突起部3は、突起部3と接続部4との境界近傍において、突起部3が屈曲又は伸展可能に構成されている。
図7(a)は、突起部3が、進展した状態を示している。
図7(a)において、突起部3は、接続部4が延伸する第2の方向とほぼ同じ方向に延伸している。
図7(b)は、突起部3が、屈曲した状態を示している。
図7(b)において、突起部3は、軸部2が延伸する第1の方向とほぼ同じ方向に延伸している。突起部3が屈曲又は伸展可能に構成されていることにより、ボビンに巻かれたテープを取り出すときに、突起部3を伸展させることで、突起部にテープが当たらないようにすることができる。この結果、テープを取り出し易くすることができる。また、テープを取り出した後は、突起部3を屈曲させることで、テープが巻かれた状態でボビンから引き出されたテープのテープ端を突起部3で保持することができる。
【0033】
また、第3の実施形態に係るボビン落下防止器具1Bにおいて、ボビン落下防止器具1Bの突起部3と接続部4との境界近傍に、第3の方向に延伸する溝部12が設けられている点で相違する以外は、ボビン落下防止器具1、或いはボビン落下防止器具1Aと同様の構成を有する。
【0034】
次に、ボビン落下防止器具(1、1A、1B)の使用方法について説明する。
図8に、第1の実施形態に係るボビン落下防止器具をボビンに挿入した状態を説明するための図面を示す。また、
図9に、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具をボビンに挿入した状態を説明するための図面を示す。
図8,9に示したように、軸部2をボビンの中央に設けられた穴部(貫通穴)に挿入し、第1の押部(5a、105a)、及び第2の押部(5b、105b)が内側(半径方向)に弾性変形し、ボビンの穴部の内周表面に当接することで、ボビン落下防止器具(1、1A、1B)がボビンに固定される。また、ボビンに巻かれたテープを使いきった場合は、ボビン落下防止器具をボビンから容易に抜くことができる。
【0035】
また、
図4に示すように、ボビン落下防止器具1Aは、接続部4に接続された突起部3を有することができる。突起部3は、軸部2が延伸する第1の方向に延伸している。突起部3は、ボビンから引き出されたテープを支持するために用いることができる。また、突起部3には、スリット8が設けられている。スリット8の幅は、テープの厚みに応じて決定することができる。本実施形態では、スリット8の幅は、約0.2mm程度である。また、スリット8は、第1実施形態のボビン落下防止器具1に設けることができることは言うまでもない。
【0036】
図10及び
図11に、ボビン落下防止器具の使用状態を説明するための図面を示す。
図10及び
図11には、一例として、第2の実施形態に係るボビン落下防止器具の使用状態を説明している。
図10、11に示したように、ボビン落下防止器具(1、1A)をボビンに固定した状態で、ボビン落下防止器具(1、1A)とボビンを一体に回転させて、使用する分だけのテープを、ボビンから引き出す。次に、ネジ部等のシール部にテープを巻き付けて、巻き終わったら、テープを切断する。ボビン落下防止器具(1、1A)をボビンに装着していない場合には、シール作業中に、テープを手で把持していても、ボビンが手から落下したときに、ボビンに巻かれていたシールテープが、ボビンの回転と共にボビンから引き出されてしまう。この結果、引き出されたシールテープが無駄になる。しかし、ボビン落下防止器具(1、1A)をボビンに装着している場合は、ボビンから引き出されたシールテープは、突起部3で支持されている。一方、突起部3は、第1の押部105aと第2の押部105bが接続固定された接続部4に接続されている。第1の押部105aと第2の押部105bは、ボビンの穴部の内周表面に押圧されて、ボビン落下防止器具(1、1A)がボビンに固定されている。この結果、
図9に示すように、シールテープが、突起部3で支持されている状態では、ボビンが回転せずに、シールテープがボビンに巻かれた状態で保持することができる。ボビンが、例えば落下したときに、ボビンに巻かれていたシールテープがボビンから引き出されて、シールテープが無駄になることを防止することができる。使用する分だけのテープを、ボビンから引き出して、ネジ部等のシール部にテープを巻き付けて、巻き終わったら、テープを切断する。ボビンから引き出されたテープの残りの部分は、ボビン落下防止器具(1、1A)のスリットに挿入してボビンを保持する。この状態でボビンを保持することで、いつでもテープを引き出せるようにすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1、 1A、1B ボビン落下防止器具
2 軸部
3 突起部
4 接続部
5、105 押部
5a、105a 第1の押部
5b、105b 第2の押部
8 スリット
10 リブ
20 テープ
30 ボビン
40 ボビンの穴部(貫通穴)