(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021199
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】ケーブルの連結構造
(51)【国際特許分類】
B60T 11/06 20060101AFI20220126BHJP
F16C 1/14 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
B60T11/06
F16C1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124659
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 幸央
(72)【発明者】
【氏名】北原 克彦
【テーマコード(参考)】
3D047
3J032
【Fターム(参考)】
3D047CC03
3D047CC05
3J032AB10
3J032AB27
3J032BC06
(57)【要約】
【課題】イコライザとケースとが接触することを抑制する。
【解決手段】ケーブルの連結構造は、第1ケーブル12と、一対の第2ケーブル14と、ケース16と、イコライザ20と、を備えている。ケース16の一対の側壁部36の間に配置されたイコライザ20は、第1ケーブル12の第1インナワイヤ24の一方側の端部24Aが係止されるイコライザ側第1係止部96と、イコライザ側第1係止部96に対して一方の側壁部36側及び他方の側壁部36側にそれぞれ設けられ一方第2ケーブル14の第2インナワイヤ30の一方側の端部30A及び他方の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30の一方側の端部30Aがそれぞれ係止される一対のイコライザ側第2係止部100と、備えている。イコライザ20の形状及び寸法は、一対の側壁部36が対向する方向と同じ方向に向けられた状態及びこの状態から傾いた際に一対の側壁部36と離間可能な形状及び寸法に設定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された第1アウタチューブと、前記第1アウタチューブに挿通された第1インナワイヤと、を有する第1ケーブルと、
筒状に形成された第2アウタチューブと、前記第2アウタチューブに挿通された第2インナワイヤと、を有する一対の第2ケーブルと、
互いに対向して配置された一対の側壁部と、前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の一方側に設けられ前記第1アウタチューブの一方側の端部が係止されるケース側第1係止部と、前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の他方側に設けられ前記一対の第2ケーブルの前記第2アウタチューブの一方側の端部がそれぞれ係止されるケース側第2係止部と、を有するケースと、
前記一対の側壁部の間に配置された状態で前記ケース内に設けられ、前記第1インナワイヤの一方側の端部が係止されるイコライザ側第1係止部と、前記イコライザ側第1係止部に対して一方の前記側壁部側及び他方の前記側壁部側にそれぞれ設けられ一方の前記第2インナワイヤの一方側の端部及び他方の前記第2インナワイヤの一方側の端部がそれぞれ係止される一対のイコライザ側第2係止部と、を有し、前記一対の側壁部が対向する方向と同じ方向に向けられた状態及びこの状態から傾いた際に前記一対の側壁部と離間可能な形状及び寸法に設定されたイコライザと、
を備えたケーブルの連結構造。
【請求項2】
前記ケースは、前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向を長手方向とするガイド溝が形成された底壁部を備えており、
前記イコライザは、前記ガイド溝に係合するガイド突起を備えており、
前記イコライザは、前記ガイド溝に沿って前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向へ移動可能となっていると共に前記ガイド突起を軸中心として傾くことが可能となっている請求項1に記載のケーブルの連結構造。
【請求項3】
前記一対の側壁部が対向する方向と同じ方向に向けられた状態から傾いた際に、前記第1インナワイヤにおいて前記ケース内に配置されている部分及び前記一対の第2インナワイヤにおいて前記ケース内に配置されている部分の直線状態が保たれるように、前記イコライザ側第1係止部及び前記一対のイコライザ側第2係止部の形状及び寸法が設定されている請求項1又は請求項2に記載のケーブルの連結構造。
【請求項4】
前記第1インナワイヤの一方側の端部は、少なくとも一部が円柱状又は球状に形成された第1係止部材を介してイコライザ側第1係止部に係止され、
前記一対の第2インナワイヤの他方側の端部は、少なくとも一部が円柱状又は球状に形成された一対の第2係止部材を介して前記一対のイコライザ側第2係止部にそれぞれ係止されている請求項3に記載のケーブルの連結構造。
【請求項5】
前記第1係止部材及び前記一対の第2係止部材を第1の方向に並んだ状態で配置できるようにかつ前記第1の方向と直交する方向の同じ位置に配置できるように前記イコライザ側第1係止部及び前記一対のイコライザ側第2係止部が設定されている請求項4に記載のケーブルの連結構造。
【請求項6】
前記ケースに取付けられることで、該ケースを閉止するカバーをさらに備え、
前記カバーを折曲げ可能とするヒンジ部が該カバーにおいて前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の中間部に設けられていることにより、前記カバーの一部を前記ケースに係止した後に、前記カバーの他部を前記ケースに係止することが可能となっている請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のケーブルの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、パーキングブレーキレバー側の第1ケーブルとブレーキ機構側の一対の第2ケーブルとをイコライザを介して連結したパーキングブレーキのケーブル連結構造が開示されている。この文献に記載された構造では、第1ケーブルをパーキングブレーキレバーを介して引くことで、第2ケーブルがイコライザを介して引かれて、パーキングブレーキを作動させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一対の第2ケーブルのストローク差を解消するために上記特許文献1に記載された構成を適用する場合はあるが、イコライザをケース内に配置してユニット化した場合、イコライザがケースに接触し、接触部の摩耗や異音の発生が生じることが考えられる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、イコライザとケースとが接触することを抑制することができるケーブルの連結構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のケーブルの連結構造は、筒状に形成された第1アウタチューブと、前記第1アウタチューブに挿通された第1インナワイヤと、を有する第1ケーブルと、筒状に形成された第2アウタチューブと、前記第2アウタチューブに挿通された第2インナワイヤと、を有する一対の第2ケーブルと、互いに対向して配置された一対の側壁部と、前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の一方側に設けられ前記第1アウタチューブの一方側の端部が係止されるケース側第1係止部と、前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の他方側に設けられ前記一対の第2ケーブルの前記第2アウタチューブの一方側の端部がそれぞれ係止されるケース側第2係止部と、を有するケースと、前記一対の側壁部の間に配置された状態で前記ケース内に設けられ、前記第1インナワイヤの一方側の端部が係止されるイコライザ側第1係止部と、前記イコライザ側第1係止部に対して一方の前記側壁部側及び他方の前記側壁部側にそれぞれ設けられ一方の前記第2インナワイヤの一方側の端部及び他方の前記第2インナワイヤの一方側の端部がそれぞれ係止される一対のイコライザ側第2係止部と、を有し、前記一対の側壁部が対向する方向と同じ方向に向けられた状態及びこの状態から傾いた際に前記一対の側壁部と離間可能な形状及び寸法に設定されたイコライザと、を備えている。
【0007】
請求項1記載のケーブルの連結構造によれば、第1ケーブルの第1アウタチューブの一方側の端部がケースのケース側第1係止部に係止されていると共に、一対の第2ケーブルの第2アウタチューブの一方側の端部がケースのケース側第2係止部にそれぞれ係止されている。また、第1ケーブルの第1インナワイヤの一方側の端部がイコライザのイコライザ側第1係止部に係止されていると共に、一対の第2インナワイヤの一方の第2インナワイヤの一方側の端部及び他方の第2インナワイヤの一方側の端部がイコライザの一対のイコライザ側第2係止部にそれぞれ係止されている。そのため、第1ケーブルの第1インナワイヤの他方側の端部を引っ張ると、イコライザが、ケースの一対の側壁部の間において当該一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の一方側へ向けて移動する。また、イコライザが、一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の一方側へ向けて移動すると、当該イコライザが、一対の第2ケーブルの第2インナワイヤの一方側の端部をそれぞれ一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の一方側へ向けて引っ張る。このように、第1ケーブルの第1インナワイヤを引っ張ることにより、一対の第2ケーブルの第2インナワイヤをそれぞれイコライザを介して引っ張ることができる。ここで、イコライザが、一対の側壁部が対向する方向と同じ方向に向けられた状態及びこの状態から傾いた際に一対の側壁部と離間可能な形状及び寸法に設定されている。これにより、イコライザとケースの一対の側壁部とが接触することを抑制することができる。
【0008】
請求項2記載のケーブルの連結構造は、請求項1に記載のケーブルの連結構造において、前記ケースは、前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向を長手方向とするガイド溝が形成された底壁部を備えており、前記イコライザは、前記ガイド溝に係合するガイド突起を備えており、前記イコライザは、前記ガイド溝に沿って前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向へ移動可能となっていると共に前記ガイド突起を軸中心として傾くことが可能となっている。
【0009】
請求項2記載のケーブルの連結構造によれば、ガイド溝がケースの底壁部に形成されていると共に、ガイド溝に係合するガイド突起がイコライザに設けられている。そのため、イコライザの一対の側壁部側への移動が制限されると共に、イコライザがガイド突起を軸中心として傾いた際における当該イコライザと一対の側壁部との間のクリアランスが確保される。これにより、イコライザとケースの一対の側壁部とが接触することをより一層抑制することができる。
【0010】
請求項3記載のケーブルの連結構造は、請求項1又は請求項2に記載のケーブルの連結構造において、前記一対の側壁部が対向する方向と同じ方向に向けられた状態から傾いた際に、前記第1インナワイヤにおいて前記ケース内に配置されている部分及び前記一対の第2インナワイヤにおいて前記ケース内に配置されている部分の直線状態が保たれるように、前記イコライザ側第1係止部及び前記一対のイコライザ側第2係止部の形状及び寸法が設定されている。
【0011】
請求項3記載のケーブルの連結構造によれば、イコライザが一対の側壁部が対向する方向と同じ方向に向けられた状態から傾いたとしても、第1インナワイヤにおいてケース内に配置されている部分及び一対の第2インナワイヤにおいてケース内に配置されている部分の直線状態が保たれる。これにより、第1インナワイヤにおいてケース内に配置されている部分及び一対の第2インナワイヤにおいてケース内に配置されている部分の屈曲による折損を抑制することができる。
【0012】
請求項4記載のケーブルの連結構造は、請求項3に記載のケーブルの連結構造において、前記第1インナワイヤの一方側の端部は、少なくとも一部が円柱状又は球状に形成された第1係止部材を介してイコライザ側第1係止部に係止され、前記一対の第2インナワイヤの他方側の端部は、少なくとも一部が円柱状又は球状に形成された第2係止部材を介して前記一対のイコライザ側第2係止部にそれぞれ係止されている。
【0013】
請求項4記載のケーブルの連結構造によれば、第1係止部材及び第2係止部材の少なくとも一部が円柱状又は球状に形成されている。これにより、イコライザが一対の側壁部が対向する方向と同じ方向に向けられた状態から傾いた際に、第1係止部材及び第2係止部材をイコライザの傾きに応じて容易に変位させることができる。これにより、第1インナワイヤと第1係止部材との境目及び一対の第2インナワイヤと一対の第2係止部材との境目の屈曲による折損を抑制することができる。
【0014】
請求項5記載のケーブルの連結構造は、請求項4に記載のケーブルの連結構造において、前記第1係止部材及び前記一対の第2係止部材を第1の方向に並んだ状態で配置できるようにかつ前記第1の方向と直交する方向の同じ位置に配置できるように前記イコライザ側第1係止部及び前記一対のイコライザ側第2係止部が設定されている。
【0015】
請求項5記載のケーブルの連結構造によれば、イコライザ側第1係止部及び一対のイコライザ側第2係止部が上記のように設定されていることにより、一対の第2インナワイヤの長さのばらつきによる一対の第2インナワイヤのストロークの差を少なくすることができる。
【0016】
請求項6記載のケーブルの連結構造は、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のケーブルの連結構造において、前記ケースに取付けられることで、該ケースを閉止するカバーをさらに備え、前記カバーを折曲げ可能とするヒンジ部が該カバーにおいて前記一対の側壁部が対向する方向と直交する方向の中間部に設けられていることにより、前記カバーの一部を前記ケースに係止した後に、前記カバーの他部を前記ケースに係止することが可能となっている。
【0017】
請求項6記載のケーブルの連結構造によれば、カバーを折曲げ可能とするヒンジ部が設けられていることにより、カバーの一部をケースに係止した後に、カバーの他部をケースに係止する、という作業手順を実現することができる。また、カバーの一部のみをケースに係止した状態で供給を行うことができ、カバーとケースとを別々に供給するという手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るケーブルの連結構造は、イコライザとケースとが接触することを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】カバーの一部が開かれた状態の連結装置を示す斜視図である。
【
図2】カバーが取外された状態の連結装置を示す斜視図である。
【
図3】第1ケーブルの第1インナワイヤが引かれた状態の連結装置を示す斜視図である。
【
図4】ケースにおいてガイド溝が形成されている部分を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図5】第1インナワイヤ及び一対の第2インナワイヤが係止されたイコライザを第2インナワイヤ側から見た斜視図である。
【
図6】第1インナワイヤ及び一対の第2インナワイヤが係止されたイコライザを第2インナワイヤ側かつ
図5とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図7】第1インナワイヤ及び一対の第2インナワイヤが係止されたイコライザを第1インナワイヤ側から見た斜視図である。
【
図8】イコライザをガイド突起が突出する側から見た斜視図である。
【
図10】連結装置を示す平面図であり、一対の第2インナワイヤにおいてケース内に配置されている部分に長さの差が生じている状態を示している。
【
図11】第1インナワイヤが引かれた状態の連結装置を示す
図10に対応する平面図である。
【
図12】ワイヤの出代長さの差と一対の第2インナワイヤのストロークの差との関係を示すグラフである。
【
図13】イコライザに係止された状態の第1係止部と一対の第2係止部との位置関係を示す平面図であり、第1係止部と一対の第2係止部とが同じ位置に配置された状態を示している。
【
図14】イコライザに係止された状態の第1係止部と一対の第2係止部との位置関係を示す平面図であり、第1係止部が一対の第2係止部に対してずらして配置された状態を示している。
【
図15】イコライザに係止された状態の第1係止部と一対の第2係止部との位置関係を示す平面図であり、第1係止部が一対の第2係止部に対して
図14とは反対方向にずらして配置された状態を示している。
【
図16】ワイヤの出代長さの差と一対の第2インナワイヤのストロークの差との関係を示すグラフである。
【
図17】他の形状の第1係止部及び一対の第2係止部等を示す
図7に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~
図9を用いて、本発明の実施形態に係るケーブルの連結構造が適用された連結装置10について説明する。なお、各図においては、図面を見易くする関係から、一部の符号を省略している場合がある。
【0021】
図1~
図4に示されるように、本実施形態のケーブルの連結構造は、第1ケーブル12、一対の第2ケーブル14、第1ケーブル12と一対の第2ケーブル14とを連結する連結装置10に適用されている。連結装置10は、箱状に形成されたケース16と、ケース16に取付けられることで当該ケース16の開放端側を閉止するカバー18と、を備えている。また、連結装置10は、ケース16内に配置されていると共に当該ケース16にスライド可能に支持されたイコライザ20を備えている。
【0022】
図1~
図3に示されるように、第1ケーブル12は、筒状に形成された第1アウタチューブ22と、第1アウタチューブ22に挿通された第1インナワイヤ24と、を備えていえる。第1アウタチューブ22の一方側の端部には、後述するケース16に係止されるキャップ26が固定されている。
【0023】
図2及び
図3に示されるように、第2ケーブル14は、第1ケーブル12と同様に構成されている。この第2ケーブル14は、筒状に形成された第2アウタチューブ28と、第2アウタチューブ28に挿通された第2インナワイヤ30と、を備えていえる。第2アウタチューブ28の一方側の端部には、後述するケース16に係止されるキャップ32が固定されている。
【0024】
図2~
図4に示されるように、ケース16は、一方側が開放された箱状に形成されている。なお、ケース16の開放方向を矢印A1で示す。ケース16は、当該ケース16の開放方向を厚み方向とする矩形板状に形成された底壁部34を備えている。また、ケース16は、底壁部34の短手方向の一方側の端及び他方側の端からそれぞれケース16の開放方向へ向けて延びる一対の側壁部36を備えている。この一対の側壁部36は、底壁部34の長手方向と同じ方向を長手方向とする矩形板状に形成されている。また、一対の側壁部36は、互いに対向して平行に延在している。なお、一対の側壁部36が対向する方向の一方側を矢印A2で示す。また、一対の側壁部36の間の矢印A1方向への間隔をW1とする。ケース16は、一方の側壁部36の長手方向の中間部から他方の側壁部36側へ向けて突出すると共に他方の側壁部36の長手方向の中間部から一方の側壁部36側へ向けて突出する一対の制限突起部38を備えている。一対の制限突起部38は、一対の側壁部36の長手方向の同じ位置に配置されている。なお、後述するイコライザ20が一対の制限突起部38に当接することで、イコライザ20のケース16内における移動が制限されるようになっている。
【0025】
また、ケース16は、一対の側壁部36が対向する方向と直交する方向(すなわち底壁部34の長手方向)の一方側において一対の側壁部36の長手方向一方側の端をつなぐと共に底壁部34の長手方向一方側の端に接続されたケース側第1係止部40を備えている。なお、一対の側壁部36が対向する方向と直交する方向の一方側を矢印A3で示す。このケース側第1係止部40において一対の側壁部36が対向する方向の中央部には、ケース16の開放方向と同じ方向が開放された第1係止溝42が形成されている。そして、前述のキャップ26が第1係止溝42に係止されることで、第1ケーブル12の第1アウタチューブ22の一方側の端部がケース側第1係止部40に係止される。また、ケース16は、ケース側第1係止部40よりも一対の側壁部36が対向する方向と直交する方向の他方側において一対の側壁部36をつなぐと共に底壁部34に接続された第1通過壁部44を備えている。この第1通過壁部44において一対の側壁部36が対向する方向の中央部には、第1ケーブル12の第1アウタチューブ22の一方側の端部がケース側第1係止部40に係止された状態で第1インナワイヤ24が通過する第1通過溝46が形成されている。また、ケース16は、ケース側第1係止部40と第1通過壁部44とをつなぐと共に底壁部34に接続された一対の第1補助リブ48を備えている。一対の第1補助リブ48の間には、第1係止溝42に係止されたキャップ26の一部が配置されている。
【0026】
また、ケース16は、一対の側壁部36が対向する方向と直交する方向の他方側において一対の側壁部36の長手方向他方側の端をつなぐと共に底壁部34の長手方向他方側の端に接続されたケース側第2係止部50を備えている。このケース側第2係止部50には、ケース16の開放方向と同じ方向が開放された一対の第2係止溝52が形成されている。一対の第2係止溝52は、ケース側第2係止部50において一対の側壁部36が対向する方向の中央に対して一方の側壁部36側及び他方の側壁部36側へそれぞれ同じ距離だけオフセットして配置されている。そして、一方の第2ケーブル14の第2アウタチューブ28に固定されたキャップ32及び他方の第2ケーブル14の第2アウタチューブ28に固定されたキャップ32が、一対の第2係止溝52にそれぞれ係止されることで、一対の第2ケーブル14の第2アウタチューブ28の一方側の端部がケース側第2係止部50にそれぞれ係止される。また、ケース16は、ケース側第2係止部50よりも一対の側壁部36が対向する方向と直交する方向の一方側において一対の側壁部36をつなぐと共に底壁部34に接続された第2通過壁部54を備えている。この第2通過壁部54には、一対の第2ケーブル14の第2アウタチューブ28の一方側の端部がケース側第2係止部50にそれぞれ係止された状態で一対の第2インナワイヤ30がそれぞれ通過する一対の第2通過溝56が形成されている。また、ケース16は、ケース側第2係止部50と第2通過壁部54とをつなぐと共に底壁部34に接続された一対の第2補助リブ58を備えている。そして、一方の第2補助リブ58と一方の側壁部36との間には、一方の第2ケーブル14の第2アウタチューブ28に固定されたキャップ32の一部が配置されている。また、他方の第2補助リブ58と他方の側壁部36との間には、他方の第2ケーブル14の第2アウタチューブ28に固定されたキャップ32の一部が配置されている。
【0027】
また、底壁部34において一対の側壁部36が対向する方向の中央部には、一対の側壁部36が対向する方向と直交する方向を長手方向とするガイド溝60が形成されている。このガイド溝60は、ケース16の開放方向と同じ方向が開放された角溝状となっている。また、本実施形態では、ケース16の開放方向から見て、ガイド溝60が、一対の制限突起部38から第1通過壁部44までの範囲に形成されている。なお、ガイド溝60の溝幅(一対の側壁部36が対向する方向への寸法)をW2とする。
【0028】
図1に示されるように、カバー18は、ケース16の開放方向とは反対側が開放された箱状に形成されている。このカバー18は、当該カバー18がケース16に取付けられた状態においてケース16の底壁部34と対向して配置される矩形板状に形成された頂壁部62を備えている。また、カバー18は、当該カバー18がケース16に取付けられた状態においてケース16の一対の側壁部36、ケース側第1係止部40及びケース側第2係止部50とそれぞれ重ねて配置される一対の側壁部64、第1カバー壁部66及び第2カバー壁部68を備えている。なお、第1カバー壁部66には、ケース16の第1係止溝42に係止されたキャップ26の一部を避けるための逃げ溝70が形成されている。また、図示は省略するが、第2カバー壁部68にも、ケース16の一対の第2係止溝52にそれぞれ係止された一対のキャップ32の一部を避けるための一対の逃げ溝が形成されている。そして、本実施形態では、一対の側壁部64に設けられた図示しない係止部が、ケース16の一対の側壁部36に形成された図示しない被係止部に係止されることで、カバー18がケース16に取付けられるようになっている。ここで、本実施形態では、一対の側壁部36が当該一対の側壁部36の長手方向の中間部で分割されていると共に、頂壁部62の一部がインテグラルヒンジ72となっていることにより折曲げ可能となっている。これにより、カバー18の一部74をケース16に係止した後に、カバー18の他部76をケース16に係止する、という作業手順を実現することが可能となっている。また、この構成では、カバー18の一部74のみをケース16に係止した状態で供給を行うことができ、カバー14とケース16とを別々に供給するという手間を省くことができる。
【0029】
図5~
図8に示されるように、イコライザ20は、板状に形成されていると共に厚み方向から見て長手方向の両縁が円弧状に湾曲されたオーバル形状に形成されたスライド部78を備えている。ここで、スライド部78の厚み方向一方側を矢印B1で示し、スライド部78の長手方向の一方側を矢印B2で示し、スライド部78の厚み方向及び長手方向と直交する方向(スライド部78の短手方向)の一方側を矢印B3で示す。
【0030】
イコライザ20は、スライド部78から当該スライド部78の厚み方向一方側へ向けて突出する一対の突出部80を備えている。一方の突出部80はスライド部78の厚み方向一方側から見てJ字状となっていると共に、他方の突出部80はスライド部78の厚み方向一方側から見て鏡像のJ字状となっている。
【0031】
詳述すると、一方の突出部80は、スライド部78の長手方向の中央に対して長手方向の一方側に配置された第1係止壁部82を備えている。この第1係止壁部82は、スライド部78の短手方向一方側の端から他方側の端にかけての範囲において当該スライド部78から突出している。また、一方の突出部80は、第1係止壁部82におけるスライド部78の短手方向一方側の端からスライド部78の長手方向一方側に向けて延びる第2係止壁部84を備えている。この第2係止壁部84は、スライド部78の短手方向一方側の端から長手方向一方側の端における短手方向の中央部にかけての範囲において当該スライド部78から突出している。また、第2係止壁部84におけるスライド部78の長手方向一方側の端部の形状は、スライド部78の厚み方向から見て当該スライド部78の長手方向一方側の縁に対応して円筒面状に湾曲した形状となっている。この第2係止壁部84におけるスライド部78の厚み方向の中央部には、スライド部78の長手方向と同じ方向を長手方向とする長孔状のイコライザ側通過孔86が形成されている。さらに、一方の突出部80は、第1係止壁部82におけるスライド部78の短手方向他方側の端からスライド部78の長手方向他方側に向けて突出する中央突起部88を備えている。
【0032】
他方の突出部80は、スライド部78の長手方向の中央を挟んで一方の突出部80と対称に構成されている。すなわち、他方の突出部80は、スライド部78の長手方向の中央に対して長手方向の他方側に配置された第1係止壁部82を備えている。この第1係止壁部82は、スライド部78の短手方向一方側の端から他方側の端にかけての範囲において当該スライド部78から突出している。また、他方の突出部80は、第1係止壁部82におけるスライド部78の短手方向一方側の端からスライド部78の長手方向他方側に向けて延びる第2係止壁部84を備えている。この第2係止壁部84は、スライド部78の短手方向一方側の端から長手方向他方側の端における短手方向の中央部にかけての範囲において当該スライド部78から突出している。また、第2係止壁部84におけるスライド部78の長手方向他方側の端部の形状は、スライド部78の厚み方向から見て当該スライド部78の長手方向他方側の縁に対応して円筒面状に湾曲した形状となっている。この第2係止壁部84におけるスライド部78の厚み方向の中央部には、スライド部78の長手方向と同じ方向を長手方向とすると共にスライド部78の長手方向他方側が開放された溝状のイコライザ側通過溝90が形成されている。さらに、他方の突出部80は、第1係止壁部82におけるスライド部78の短手方向他方側の端からスライド部78の長手方向一方側に向けて突出する中央突起部88を備えている。
【0033】
図6~
図8に示されるように、イコライザ20は、スライド部78の長手方向の中央部における短手方向他方側の端からスライド部78の厚み方向一方側へ向けて突出する中央接続壁部92を備えている。この中央接続壁部92は、一方の突出部80の中央突起部88におけるスライド部78側の部分と他方の突出部80の中央突起部88におけるスライド部78側の部分とをスライド部78の長手方向につないでいる。
【0034】
図8に示されるように、イコライザ20は、スライド部78の長手方向及び短手方向の中央部から当該スライド部78の厚み方向他方側へ向けて突出する円柱状のガイド突起94を備えている。このガイド突起94の外径Dは、ガイド溝60の溝幅W2(
図4参照)よりも若干小さな寸法に設定されている。そして、
図3、
図4、
図8及び
図9に示されるように、このガイド突起94がガイド溝60内に配置されることで、イコライザ20は、ガイド溝60に沿って一対の側壁部36が対向する方向と直交する方向へ移動可能となっている。また、このガイド突起94がガイド溝60内に配置されることで、イコライザ20が、ガイド突起94を軸中心として回転変位して傾くことが可能となっている。ここで、本実施形態では、イコライザ20のスライド部78の長手方向への寸法W3が、ケース16の一対の側壁部36の間の間隔W1よりも小さな寸法となっていると共に、イコライザ20をスライド部78の厚み方向から見た形状がオーバル形状となっている。そのため、ガイド突起94がガイド溝60内に配置された状態で、イコライザ20がガイド突起94を軸中心として回転変位して傾いたとしても、イコライザ20がケース16の一対の側壁部36に接触しないようになっている。なお、
図9においては、イコライザ20がガイド突起94を軸中心として回転変位して傾いた際の当該イコライザ20の外縁を二点鎖線で示している。
【0035】
図2、
図5~
図7に示されるように、イコライザ20において、スライド部78と、一方の突出部80の第1係止壁部82及び中央突起部88と、他方の突出部80の第1係止壁部82及び中央突起部88と、中央接続壁部92と、によって囲まれた部分は、イコライザ側第1係止部96となっている。このイコライザ側第1係止部96には、第1ケーブル12の第1インナワイヤ24の一方側の端部24Aが球状に形成された第1係止部材98を介して係止される。第1係止部材98がイコライザ側第1係止部96に配置された状態では、第1インナワイヤ24が一対の突出部80の中央突起部88の間からスライド部78の短手方向他方側へ延出するようになっている。一対の突出部80の中央突起部88の間の間隔は、第1インナワイヤ24の線径に対して十分に大きな寸法となっている。また、一対の突出部80の中央突起部88の間の間隔は、スライド部78の短手方向他方側へ向かうにつれて次第に広くなっている。また、イコライザ側第1係止部96において第1係止部材98が接触する部分が円筒面状に形成されていることにより、第1係止部材98がイコライザ側第1係止部96に配置された状態でスライド部78の厚み方向を軸方向として回転変位することが可能となっている。
【0036】
また、イコライザ20において、スライド部78と一方の突出部80とによって囲まれた部分、及びスライド部78と他方の突出部80とによって囲まれた部分は、それぞれイコライザ側第2係止部100となっている。一方のイコライザ側第2係止部100には、一方の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30の一方側の端部30Aが前述の第1係止部材98と同じ外径の球状に形成された第2係止部材102を介して係止される。また、他方のイコライザ側第2係止部100には、他方の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30の一方側の端部30Aが球状に形成された第2係止部材102を介して係止される。一方の第2係止部材102が一方のイコライザ側第2係止部100に配置された状態では、一方の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30がイコライザ側通過孔86を通じてスライド部78の短手方向一方側へ延出するようになっている。また、他方の第2係止部材102が一方のイコライザ側第2係止部100に配置された状態では、他方の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30がイコライザ側通過溝90を通じてスライド部78の短手方向一方側へ延出するようになっている。また、それぞれのイコライザ側第2係止部100においてそれぞれの第2係止部材102が接触する部分が円筒面状に形成されていることにより、それぞれの第2係止部材102がそれぞれのイコライザ側第2係止部100に配置された状態でスライド部78の厚み方向を軸方向として回転変位することが可能となっている。
【0037】
また、本実施形態では、第1係止部材98が中央接続壁部92に当接している状態でイコライザ側第1係止部96に配置され、かつ、それぞれの第2係止部材102がそれぞれの第2係止壁部84に当接した状態でそれぞれのイコライザ側第2係止部100に配置されている状態では、第1係止部材98とそれぞれの第2係止部材102とがスライド部78の長手方向に並んで配置される。また、この状態では、第1係止部材98とそれぞれの第2係止部材102とがスライド部78の短手方向の同じ位置に配置される。
【0038】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0039】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態のケーブルの連結構造が適用された第1ケーブル12、一対の第2ケーブル14及び連結装置10は、例えば、車両のフードの閉止状態を保つフードロック装置の解除操作をするために用いることができる。具体的には、第1ケーブル12の第1インナワイヤ24の他方側の端部を解除レバーに係止する。また、一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30の他方側の端部をフードロック装置にそれぞれ係止する。
【0040】
そして、解除レバーを引くこと等により、第1ケーブル12の第1インナワイヤ24の他方側の端部を引っ張ると、
図3に示されるように、イコライザ20が、ケース16の一対の側壁部36の間においてガイド溝60に沿ってケース側第1係止部40側へ向けて移動する。
【0041】
イコライザ20がケース側第1係止部40側へ向けて移動すると、イコライザ20が一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30の一方側の端部30Aをそれぞれケース側第1係止部40側へ向けて引っ張る。これにより、一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30を介してフードロック装置の解除操作がなされる。また、
図10に示されるように、一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30の長さのバラつき(出代長さの差Sのバラつき)が有る場合等においては、
図3及び
図11に示されるように、この長さのバラつきがイコライザ20の傾きによって吸収される。なお、
図3及び
図11においては、イコライザ20が一対の側壁部36が対向する方向と同じ方向に向けられた状態(矢印A2方向と矢印B2方向とが一致した状態)から傾いている。このように、イコライザ20が傾くことにより、一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30を均等な力で引っ張ることができる。また、イコライザ20が傾く構造では、第1インナワイヤ及び一対の第2インナワイヤが係止される部材(ここではスライダ呼ぶ)が傾き不能となっている構造と比べて、
図12に示されるように、出代長さの差Sのばらつきによる一対の第2インナワイヤ30のストロークの差を少なくすることができる。なお、
図12における「イコライザー構造有り」とは、本実施形態のようにイコライザ20が傾く構造のことである。また、
図12における「イコライザー構造無し」とは、本実施形態のイコライザ20と対応するスライダが傾き不能となっている構造のことである。
【0042】
ここで、
図9において実線で示されるように、イコライザ20が、一対の側壁部36が対向する方向と同じ方向に向けられた状態(矢印A2方向と矢印B2方向とが一致した状態)では、イコライザ20とケース16の一対の側壁部36とが接触しないように(常に離間可能に)なっている。また、
図9において二点鎖線で示されるように、イコライザ20が、一対の側壁部36が対向する方向と同じ方向に向けられた状態から傾いた際においても、イコライザ20とケース16の一対の側壁部36とが接触しないようになっている。これにより、イコライザ20とケース16の一対の側壁部36とが接触することを抑制することができ、イコライザ20のケース16内におけるスムーズな移動が妨げられることを抑制することができる。また、イコライザ20とケース16の一対の側壁部36とが接触することによる両者の摩耗を抑制することができる。
【0043】
また、
図4、
図8及び
図9に示されるように、本実施形態では、ガイド溝60がケース16の底壁部34に形成されていると共に、ガイド溝60に係合するガイド突起94がイコライザ20に設けられている。そのため、第1ケーブル12の第1インナワイヤ24及び一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30に張力が加わっていない状態であっても、イコライザ20の一対の側壁部36側への移動が制限されると共に、イコライザ20がガイド突起94を軸中心として傾いた際における当該イコライザ20と一対の側壁部36との間のクリアランスが確保される。このように、第1ケーブル12の第1インナワイヤ24及び一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30に張力が加わっていない状態であっても、イコライザ20とケース16の一対の側壁部36とが接触することを抑制することができる。
【0044】
また、
図5、
図6及び
図7に示されるように、本実施形態では、第1係止部材98がイコライザ側第1係止部96に配置された状態でスライド部78の厚み方向を軸方向として回転変位することが可能となっている。また、それぞれの第2係止部材102がそれぞれのイコライザ側第2係止部100に配置された状態でスライド部78の厚み方向を軸方向として回転変位することが可能となっている。さらに、イコライザ20の一対の突出部80の中央突起部88の間の間隔が、第1インナワイヤ24の線径に対して十分に大きな寸法となっていると共にスライド部78の短手方向他方側へ向かうにつれて次第に広くなっている。また、イコライザ20に形成されたイコライザ側通過孔86及びイコライザ側通過溝90が、スライド部78の長手方向と同じ方向を長手方向とする長孔状又は溝状に形成されている。これにより、
図3及び
図11に示されるように、第1インナワイヤ24においてケース16内に配置されている部分24B及び一対の第2インナワイヤ30においてケース16内に配置されている部分30Bの直線状態が保たれる。その結果、第1インナワイヤ24においてケース16内に配置されている部分24B及び一対の第2インナワイヤ30においてケース16内に配置されている部分30Bの屈曲による折損を抑制することができる。特に、第1インナワイヤ24と第1係止部材98との境目及び一対の第2インナワイヤ30と一対の第2係止部材102との境目の屈曲による折損を抑制することができる。
【0045】
また、
図5、
図6、
図7及び
図13に示されるように、本実施形態では、第1係止部材98が中央接続壁部92に当接している状態でイコライザ側第1係止部96に配置され、かつ、それぞれの第2係止部材102がそれぞれの第2係止壁部84に当接した状態でそれぞれのイコライザ側第2係止部100に配置されている状態では、第1係止部材98とそれぞれの第2係止部材102とがスライド部78の長手方向に並んで配置される。また、この状態では、第1係止部材98とそれぞれの第2係止部材102とがスライド部78の短手方向の同じ位置に配置される。これにより、
図10における出代長さの差Sのバラつきによる一対の第2インナワイヤ30のストロークの差を少なくすることができる。
【0046】
ここで、
図14には、第1係止部材98が一対の第2係止部材102に対してイコライザのスライダ部の短手方向他方側へ5mmオフセットして配置されるタイプの第1の比較例に係るイコライザに係止された第1係止部材98及び一対の第2係止部材102が示されている。また、
図15には、第1係止部材98が一対の第2係止部材102に対してイコライザのスライダ部の短手方向一方側へ5mmオフセットして配置されるタイプの第2の比較例に係るイコライザに係止された第1係止部材98及び一対の第2係止部材102が示されている。そして、
図16のグラフには、本実施形態のイコライザ20、第1の比較例に係るイコライザ、第2の比較例に係るイコライザの出代長さの差Sに対応する一対の第2インナワイヤ30のストロークの差が示されている。なお、
図16における配置1、配置2及び配置3は、本実施形態のイコライザ20、第1の比較例に係るイコライザ及び第2の比較例に係るイコライザとそれぞれ対応している。このグラフに示されるように、本実施形態のイコライザ20では、第1の比較例に係るイコライザ及び第2の比較例に係るイコライザと比べて、出代長さの差Sのバラつきによる一対の第2インナワイヤ30のストロークの差を少なくすることができる。
【0047】
なお、
図7に示されるように、本実施形態では、球状に形成された第1係止部材98及び第2係止部材102を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図17に示されるように、円柱状に形成された第1係止部材98及び第2係止部材102を用いた構成としてもよい。また、第1係止部材98及び第2係止部材102は、半球状や半円柱状等の一部が球状又は球状に形成された構成となっていてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、
図4、
図8及び
図9に示されるように、ガイド溝60がケース16の底壁部34に形成されていると共に、ガイド溝60に係合するガイド突起94がイコライザ20に設けられている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1ケーブル12の第1インナワイヤ24及び一対の第2ケーブル14の第2インナワイヤ30に常に張力が加わっている状態で使用される場合においては、ガイド溝60及びガイド突起94を設けない構成としてもよい。
【0049】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
12 第1ケーブルと、
14 第2ケーブル
16 ケース
20 イコライザ
22 第1アウタチューブ
24 第1インナワイヤ
28 第2アウタチューブ
30 第2インナワイヤ
34 底壁部
36 側壁部
40 ケース側第1係止部
50 ケース側第2係止部
60 ガイド溝
94 ガイド突起
96 イコライザ側第1係止部
98 第1係止部材
100 イコライザ側第2係止部
102 第2係止部材