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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021216
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】桟鼻
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
E04D13/15 K
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124686
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】591042322
【氏名又は名称】ニイガタ製販株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 悦久
(57)【要約】
【課題】剛性を高め強度を高めるため所定の板厚を確保しても装着時にハゼ部外面から突出する後縁が雪止め作用を果たす板縁端面となることが抑制され雪切れがよく降雪地域では極めて実用性に優れた樹脂製の桟鼻を提供すること。
【解決手段】桟鼻本体Aのハゼ部2の軒先部3を覆う被嵌板部6の後端の板縁端面が、前方に向かって傾斜し被嵌板部6の外径が前方程やや大きくなるテーパ端面8に形成されている構成であることを特徴とする桟鼻。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦葺き屋根のハゼ部の軒先部を閉塞する桟鼻本体が、
前記軒先部の前端口部を閉塞する前面板部と、この前面板部から後方に突出連設されていて前記軒先部に被嵌される被嵌板部と、前記前面板部の下部から後方に突出連設されていて前記縦葺き屋根の下方に配設される底板部と、からなる構成とされていて、
この桟鼻本体は樹脂で一体成形された構成とされ、
前記桟鼻本体の前記被嵌板部の後端の板縁端面が、前方に向かって傾斜し被嵌板部の外径が前方程やや大きくなるテーパ端面に形成されている構成であることを特徴とする桟鼻。
【請求項2】
前記桟鼻本体の前記被嵌板部は、前記ハゼ部の前記軒先部の前端口部から後方にスライド装着されこのハゼ部の外面を覆う断面逆U字形状に構成され、この逆U字形状の被嵌板部の後端に、積雪切り機能を果たす前記テーパ端面が一体形成されている構成であることを特徴とする請求項1記載の桟鼻。
【請求項3】
前記底板部の上面が、中央部が左右側端部より盛り上がり中央部から左右側端部に向かって下がり傾斜形状に構成されて、この底板部の上面に雨水が溜まらない排水機能を果たす凸湾曲上面が一体形成されている構成であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の桟鼻。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、平葺き屋根のハゼ部(屋根材の嵌合接続部)の軒先部の前端口部を覆い隠して化粧しまた雨水の屋根材内側への侵入を抑制するための桟鼻に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、平葺き屋根は、屋根材の一側端部に形成した嵌合受部に反対側端部に形成した嵌合部を順次嵌合して接続し、この複数枚の屋根材をさらに釘止めするとともに各屋根材の前端部を鼻隠し板部より軒先に突出している軒先屋根部に折り返し止めするなどして、屋根下地上に敷設する構成としているが、この屋根材同士の接続嵌合部となり峰側から軒先側へと複数条並設されるハゼ部は、軒先側の前端が屋根下地との間で開口部(前端口部)を形成することとなり、このままでは軒先からこの開口部が見え屋根の体裁を損なうおそれがあるため、桟鼻といわれるキャップ状部品で覆い隠し化粧をしている。
【0003】
このような桟鼻は、このハゼ部の軒先部の前端口部(前記下地との間で形成される開口部)を閉塞して化粧し、またここから屋根材内側への雨水の侵入を抑制するためなどに設けるが、スライド装着し外側から被嵌状態に設ける外付けタイプが好評である。
【0004】
しかし、このような外付けタイプの桟鼻を合成樹脂で一体成形して、量産性を高め低価格化、軽量化などを図ろうとする場合、耐久強度や所定剛性の確保のため所定の板厚を確保しなければならず、そのため桟鼻の後縁の板縁端面がハゼ部外表面から突出しこの突出端面が積雪をせき止める雪止め作用を発揮してしまうおそれがあり、それゆえ板厚を確保しなければならない樹脂製の桟鼻の実用化量産化は難しく、薄板化が求められるなど様々な問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を見出しこれを解決したもので、樹脂で一体成形される構成のため量産性に優れるとともに剛性を高め強度を高めるため所定の板厚を確保しても、装着時にハゼ部外面から突出する後縁が雪止め作用を果たす板縁端面となることが抑制され雪切れがよく降雪地域では極めて実用性に優れた樹脂製の桟鼻を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
縦葺き屋根1のハゼ部2の軒先部3を閉塞する桟鼻本体Aが、前記軒先部3の前端口部4を閉塞する前面板部5と、この前面板部5から後方に突出連設されていて前記軒先部3に被嵌される被嵌板部6と、前記前面板部5の下部から後方に突出連設されていて前記縦葺き屋根1の下方に配設される底板部7とからなる構成とされていて、この桟鼻本体Aは樹脂で一体成形された構成とされ、前記桟鼻本体Aの前記被嵌板部6の後端の板縁端面が、前方に向かって傾斜し被嵌板部6の外径が前方程やや大きくなるテーパ端面8に形成されている構成であることを特徴とする桟鼻に係るものである。
【0008】
また前記桟鼻本体Aの前記被嵌板部6は、前記ハゼ部2の前記軒先部3の前端口部4から後方にスライド装着されこのハゼ部2の外面を覆う断面逆U字形状に構成され、この逆U字形状の被嵌板部6の後端に、積雪切り機能を果たす前記テーパ端面7が一体形成されている構成であることを特徴とする請求項1記載の桟鼻に係るものである。
【0009】
また前記底板部7の上面が、中央部が左右側端部より盛り上がり中央部から左右側端部に向かって下がり傾斜形状に構成されて、この底板部7の上面に雨水が溜まらない排水機能を果たす凸湾曲上面8が一体形成されている構成であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の桟鼻に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のように構成したから、樹脂で一体成形される構成のため量産性に優れるとともに剛性を高め強度を高めるため所定の板厚を確保しても、装着時にハゼ部外面から突出する後縁が雪止め作用を果たす板縁端面となることが抑制され雪切れがよく降雪地域では極めて実用性に優れた樹脂製の桟鼻となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例の前上方から見た斜視図である。
図2】本実施例の後上方から見た斜視図である。
図3】本実施例の後側方から見た斜視図である。
図4】本実施例の正面図である。
図5】本実施例の背面図である。
図6】本実施例の平面図である。
図7】本実施例の側面図である。
図8】本実施例の底面図である。
図9】本実施例の使用状態を示す説明斜視図である。
図10】本実施例の使用状態および取付手法を示す説明斜視図である。
図11】本実施例の使用状態を示す説明側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0013】
桟鼻本体Aは樹脂で一体成形された構成で、ハゼ部2の軒先部3の前端口部4(屋根下地との間で形成される開口部4)を閉塞する前面板部5(化粧板部5)から後方にこの軒先部3を外側から覆う被嵌板部6が突出連設され、この前面板部5の下部からも後方に前記縦葺き屋根1の下方に配設される底板部7が突出連設された構成とされている。
【0014】
したがって、たとえば、このハゼ部2の軒先部3の前端口部4を前面板部5で閉塞して化粧し、またここから屋根材内側への雨水の侵入を抑制するために、このハゼ部2の軒先部3にスライド装着し外側から被嵌状態に設けると、前記桟鼻本体Aの前記被嵌板部6の後端の板縁端面がハゼ部2外表面から突出しこの突出板縁端面が積雪をせき止める雪止め作用を発揮するおそれがあるが、本発明は、この被嵌板部6の後端の板縁端面には、前方に向かって傾斜し被嵌板部6の外径が前方程やや大きくなるテーパ端面8が形成されている。
【0015】
そのため、たとえ剛性を高め強度を高めるため所定の板厚を確保しても、装着時にハゼ部2外面から突出する後縁が雪止め作用を果たす板縁端面となることが抑制され、このテーパ端面7が積雪切り機能を果たすため雪切れがよく降雪地域では極めて実用性に優れた樹脂製の桟鼻となる。
【0016】
また、前面板部5の下部から後方に突出連設された底板部7の上面を、中央部が左右側端部より盛り上がり中央部から左右側端部に向かって下がり傾斜形状に形成して、この底板部7の上面に凸湾曲上面8をも一体形成すれば、底板部7にはこの排水機能により雨水が溜まりにくくなり、錆や腐食の防止を図れることとなる。
【実施例0017】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施例の桟鼻本体Aは、樹脂で一体成形した構成で、隣り合い接合して屋根下地上に敷設する屋根材11のハゼ部2の軒先部3の前端口部4(屋根下地との間で形成される開口部4)を閉塞する前面板部5(化粧板部5)から後方にこの軒先部3を外側から覆う被嵌板部6が突出連設され、この前面板部5の下部からも後方に前記縦葺き屋根1の下方に配設される底板部7が突出連設された構成としている。
【0019】
具体的には、トンネル状の被嵌板部6の前面(正面)に前面板部5が連設され、この前面板部5の下部には、前記被嵌板部6が連設されない屋根用逃げ部を形成するため垂下部13が設けられこの前面板部5の下部の垂下部13の下端に前記底板部7が後方に突設された構成としている。
【0020】
さらに説明すると、本実施例の桟鼻本体Aの被嵌板部6は、ハゼ部2の軒先部3に沿うトンネル形状で、表面には前後方向に凹条15が形成されていとともに、ハゼ部2のくびれ部に沿う凸条14も内面に突出形成されている。すなわちこの軒先部3の前端口部4から後方にこの凸条14をガイドにしてスライド装着されてこの軒先部3の外面を覆う断面逆U字形状に構成され、この逆U字形状の被嵌板部6の後端がこの逆U字範囲に渡り軒先部3の外面から板厚分だけ突出する構成としている。
【0021】
本実施例では、この被嵌板部6の後端の板縁端面を、前方に向かって傾斜し被嵌板部6の外径が前方程やや大きくなるテーパ端面8に形成している。
【0022】
すなわち、樹脂で一体成形する際に被嵌板部6の逆U字状後端に、積雪切り機能を果たす前記テーパ端面7を一体形成した構成としている。
【0023】
また鼻隠し板部10より軒先側に突出した軒先屋根部12に各屋根材11を折り返し止めするが、前記底板部7は、この各屋根材11の折り返し間の下地を隠して前面板部5とともに化粧板ともなり、また雨水の侵入も防ぐことにもなるように軒先屋根部12の下方に配される。本実施例では、この底板部7の上面の中央部が左右側端部より盛り上がり中央部から左右側端部に向かって下がり傾斜形状に構成して、この底板部7の上面に雨水が溜まらない排水機能を果たす凸湾曲上面8を一体形成している。
【0024】
したがって、この底板部7の上面の凸湾曲上面8の排水機能により雨水が溜まりにくくなり、錆や腐食の防止を図れることとなる。
【0025】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0026】
A 桟鼻本体
1 縦葺き屋根
2 ハゼ部
3 軒先部
4 前端口部
5 前面板部
6 被嵌板部
7 底板部
8 テーパ端面
9 凸湾曲上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11