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特開2022-21247ウェハ処理装置、流体供給装置、及び流体供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021247
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】ウェハ処理装置、流体供給装置、及び流体供給方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124730
(22)【出願日】2020-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】390000594
【氏名又は名称】株式会社レクザム
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】一二三 正晃
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】関口 博文
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157CB14
5F157CB27
5F157CD15
5F157CE10
5F157CE11
5F157CE52
5F157CE55
5F157CE57
5F157CE65
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF90
5F157CF99
5F157DA21
5F157DB32
5F157DB45
(57)【要約】
【課題】短時間でチャンバを昇圧できる流体供給装置を提供する。
【解決手段】流体供給装置2は、気体及び液体の二酸化炭素を供給する第1及び第2の供給源11,12に接続され、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理が行われるチャンバ3に二酸化炭素を供給する供給流路20と、供給流路20において液体の二酸化炭素を昇圧するポンプ22と、昇圧された二酸化炭素を加熱する温度調整手段23と、第1の供給源11からの二酸化炭素の流路に設けられ、チャンバ3の排出時に閉じられる第1の供給側バルブ31と、第2の供給源12からの二酸化炭素の流路に設けられ、チャンバ3の排出時に閉じられる第2の供給側バルブ32,33と、を備える。供給流路20において、ポンプ22から第2の供給側バルブ33までの長さが、第2の供給側バルブ33からチャンバ3までの長さより長くなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の二酸化炭素を供給する第1の供給源、及び液体の二酸化炭素を供給する第2の供給源に接続された流路であり、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理が行われるチャンバに二酸化炭素の流体を供給する流路である供給流路と、
前記供給流路において前記液体の二酸化炭素を昇圧するポンプと、
前記ポンプによって昇圧された二酸化炭素を加熱する温度調整手段と、
前記供給流路における前記第1の供給源からの二酸化炭素の流路に設けられ、前記チャンバからの流体の排出時に閉じられる第1の供給側バルブと、
前記供給流路における前記第2の供給源からの二酸化炭素の流路に設けられ、前記チャンバからの流体の排出時に閉じられる第2の供給側バルブと、を備え、
前記供給流路において、前記第1の供給源から前記第1の供給側バルブまでの長さが、前記第1の供給側バルブから前記チャンバまでの長さより長くなっており、前記ポンプから前記第2の供給側バルブまでの長さが、前記第2の供給側バルブから前記チャンバまでの長さより長くなっている、流体供給装置。
【請求項2】
前記チャンバの昇圧段階において、前記第1の供給側バルブが開けられて前記第1の供給源からの二酸化炭素が前記チャンバに供給された後に、前記第2の供給側バルブが開けられて、前記ポンプで昇圧され、前記温度調整手段で加熱されて保持されていた前記第2の供給源からの二酸化炭素が前記チャンバに供給されると共に、前記ポンプによる昇圧、及び前記温度調整手段による加熱が継続され、前記チャンバに超臨界状態の二酸化炭素が供給される、請求項1記載の流体供給装置。
【請求項3】
前記供給流路に設けられた、流路の断面積が他の箇所より小さくなっているオリフィスをさらに備え、
上流側と下流側とに所定以上の圧力差がある状況において前記第1及び第2の供給側バルブが開けられた際に前記チャンバに供給される二酸化炭素は、前記オリフィスを介して前記チャンバに供給される、請求項1または請求項2記載の流体供給装置。
【請求項4】
前記供給流路に設けられた、配管抵抗が他の箇所より大きくなっているダンパをさらに備え、
上流側と下流側とに所定以上の圧力差がある状況において前記第1及び第2の供給側バルブが開けられた際に前記チャンバに供給される二酸化炭素は、前記ダンパを介して前記チャンバに供給される、請求項1から請求項3のいずれか記載の流体供給装置。
【請求項5】
ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理を行うためのチャンバと、
前記チャンバから流体を排出するための流体排出手段と、
前記チャンバに二酸化炭素を供給する請求項1から請求項4のいずれか記載の流体供給装置と、を備えたウェハ処理装置。
【請求項6】
ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理が行われるチャンバに二酸化炭素の流体を供給するための流体供給方法であって、
前記チャンバの昇圧段階において、第1の供給源から供給された気体の二酸化炭素を前記チャンバに供給する第1のステップと、
第2の供給源から供給された液体の二酸化炭素を、前記気体の二酸化炭素より高圧にすると共に、加熱して保持しておき、前記第1のステップの後に、当該保持していた二酸化炭素を前記チャンバに供給する第2のステップと、
前記第2のステップの後に、前記液体の二酸化炭素を超臨界状態になるまで昇圧及び加熱して前記チャンバに供給する第3のステップと、を備えた流体供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行うウェハ処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェハの表面に形成されるパターンの微細化が進んでおり、アスペクト比が高くなってきている。そのため、パターンの洗浄等に用いる有機溶剤などの処理液が表面に残ったまま乾燥させると、処理液の表面張力によってパターンが倒壊するという問題が生じる。その問題を解決するため、ウェハの表面から処理液を除去する乾燥処理等を行うウェハ処理装置において二酸化炭素の超臨界流体を用いることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-152195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のウェハ処理装置では、チャンバ内のウェハを入れ替えるごとに、ボンベから供給された二酸化炭素の加圧や加熱をはじめから行う必要があり、二酸化炭素を超臨界状態にするまでの時間が長くなっていた。その結果、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムが長くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができるウェハ処理装置、流体供給装置、及び流体供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による流体供給装置は、気体の二酸化炭素を供給する第1の供給源、及び液体の二酸化炭素を供給する第2の供給源に接続された流路であり、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理が行われるチャンバに二酸化炭素の流体を供給する流路である供給流路と、供給流路において液体の二酸化炭素を昇圧するポンプと、ポンプによって昇圧された二酸化炭素を加熱する温度調整手段と、供給流路における第1の供給源からの二酸化炭素の流路に設けられ、チャンバからの流体の排出時に閉じられる第1の供給側バルブと、供給流路における第2の供給源からの二酸化炭素の流路に設けられ、チャンバからの流体の排出時に閉じられる第2の供給側バルブと、を備え、供給流路において、第1の供給源から第1の供給側バルブまでの長さが、第1の供給側バルブからチャンバまでの長さより長くなっており、ポンプから第2の供給側バルブまでの長さが、第2の供給側バルブからチャンバまでの長さより長くなっている、ものである。
【0007】
このような構成により、チャンバの昇圧時に、第1及び第2の供給側バルブより上流側の二酸化炭素をチャンバに供給することによって、より短時間でチャンバ内の圧力を上昇させることができる。また、第2の供給側バルブの上流側において高圧で保持されている二酸化炭素の量がより多くなることによって、より短時間でチャンバ内の圧力を上昇させることができる。また、第1及び第2の供給側バルブがチャンバに近い側に設けられていることにより、チャンバの減圧時に排出される流体の量を低減することができ、流体の排出にかかる時間を短くすることができる。このようにして、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。
【0008】
また、本発明の一態様による流体供給装置では、チャンバの昇圧段階において、第1の供給側バルブが開けられて第1の供給源からの二酸化炭素がチャンバに供給された後に、第2の供給側バルブが開けられて、ポンプで昇圧され、温度調整手段で加熱されて保持されていた第2の供給源からの二酸化炭素がチャンバに供給されると共に、ポンプによる昇圧、及び温度調整手段による加熱が継続され、チャンバに超臨界状態の二酸化炭素が供給されてもよい。
【0009】
このような構成により、チャンバの昇圧段階において、まず、第1の供給源から供給された二酸化炭素を用いてチャンバ内を昇圧し、その後、あらかじめ所定の温度、圧力に保持されていた二酸化炭素を用いてチャンバ内をさらに昇圧するため、ポンプや温度調整手段を用いてチャンバ内の二酸化炭素を超臨界状態にするまでの時間をより短くすることができる。
【0010】
また、本発明の一態様による流体供給装置では、供給流路に設けられた、流路の断面積が他の箇所より小さくなっているオリフィスをさらに備え、上流側と下流側とに所定以上の圧力差がある状況において第1及び第2の供給側バルブが開けられた際にチャンバに供給される二酸化炭素は、オリフィスを介してチャンバに供給されてもよい。
【0011】
第1及び第2の供給側バルブが開けられた際には、バルブより上流側と、チャンバ内との圧力差が大きいため、チャンバ内に勢いよく二酸化炭素が流入する。その結果、例えば、ウェハ上の有機溶剤などの処理液が吹き飛んでパターンが倒壊するおそれがある。一方、二酸化炭素をチャンバに供給する際にオリフィスを介するようにすることによって、二酸化炭素の勢いを弱めることができ、ウェハのパターンの倒壊を回避することができる。
【0012】
また、本発明の一態様による流体供給装置では、供給流路に設けられた、配管抵抗が他の箇所より大きくなっているダンパをさらに備え、上流側と下流側とに所定以上の圧力差がある状況において第1及び第2の供給側バルブが開けられた際にチャンバに供給される二酸化炭素は、ダンパを介してチャンバに供給されてもよい。
【0013】
第1及び第2の供給側バルブが開けられた際には、バルブより上流側と、チャンバ内との圧力差が大きいため、チャンバ内に勢いよく二酸化炭素が流入する。その結果、例えば、ウェハ上の有機溶剤などの処理液が吹き飛んでパターンが倒壊するおそれがある。一方、二酸化炭素をチャンバに供給する際にダンパを介するようにすることによって、二酸化炭素の勢いを弱めることができ、ウェハのパターンの倒壊を回避することができる。
【0014】
また、本発明の一態様によるウェハ処理装置は、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理を行うためのチャンバと、チャンバから流体を排出するための流体排出手段と、チャンバに二酸化炭素を供給する流体供給装置と、を備えたものである
【0015】
このような構成により、ウェハ処理装置においてウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。
【0016】
また、本発明の一態様による流体供給方法は、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理が行われるチャンバに二酸化炭素の流体を供給するための流体供給方法であって、チャンバの昇圧段階において、第1の供給源から供給された気体の二酸化炭素をチャンバに供給する第1のステップと、第2の供給源から供給された液体の二酸化炭素を、気体の二酸化炭素より高圧にすると共に、加熱して保持しておき、第1のステップの後に、保持していた二酸化炭素をチャンバに供給する第2のステップと、第2のステップの後に、液体の二酸化炭素を超臨界状態になるまで昇圧及び加熱してチャンバに供給する第3のステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によるウェハ処理装置等によれば、チャンバをより短時間で昇圧することができ、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態による昇圧段階前のウェハ処理装置を示す模式図
図2】同実施の形態による昇圧段階のウェハ処理装置を示す模式図
図3】同実施の形態による昇圧段階のウェハ処理装置を示す模式図
図4】同実施の形態による昇圧段階のウェハ処理装置を示す模式図
図5】同実施の形態による置換処理時のウェハ処理装置を示す模式図
図6】同実施の形態による減圧段階のウェハ処理装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明によるウェハ処理装置、流体供給装置、及び流体供給方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるウェハ処理装置は、供給側バルブより上流側において保持されている高圧の二酸化炭素を用いて、チャンバ内をより短時間で昇圧すると共に、その昇圧の初期段階において、オリフィス及びダンパを介して二酸化炭素をチャンバ内に供給することによって、ウェハ上の有機溶剤などの処理液を吹き飛ばさないようにするものである。
【0020】
図1図6は、本実施の形態によるウェハ処理装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるウェハ処理装置1は、チャンバ3に流体を供給するための流体供給装置2と、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理が行われるチャンバ3と、チャンバ3から流体を排出するための流体排出手段4とを備える。チャンバ3は、開閉可能になっており、内部にウェハを収容可能な空間を有している。そして、その空間において、流体供給装置2によって供給された流体が超臨界状態となった超臨界流体を用いた所定の処理がウェハに対して行われる。
【0021】
本実施の形態では、チャンバ3で行われる所定の処理が超臨界流体を用いたウェハの乾燥処理である場合について主に説明するが、その他の処理、例えば、超臨界流体を用いた洗浄処理や洗浄乾燥処理がウェハに対して行われてもよい。ウェハの乾燥処理は、例えば、ウェハの表面に残留した有機溶剤などの処理液を、超臨界流体に置換することによって除去し、その超臨界流体を乾燥させることによって行われる。
【0022】
流体供給装置2は、供給流路20と、供給流路20に設けられた、温度調整手段21、ポンプ22、温度調整手段23、オリフィス24、ダンパ25、温度調整手段26、第1の供給側バルブ31、及び第2の供給側バルブ32,33とを備える。
【0023】
供給流路20は、気体の二酸化炭素を供給する第1の供給源11、及び液体の二酸化炭素を供給する第2の供給源12に接続された流路である。供給流路20によって、チャンバ3に二酸化炭素の流体が供給される。本実施の形態では、供給流路20は、流路20-1,20-2,20-3を有している。なお、流路20-1は、上流側の端部が第1の供給源11に接続されており、下流側の端部がチャンバ3に接続されている。また、流路20-2は、上流側の端部が第2の供給源12に接続されており、下流側の端部がダンパ25と温度調整手段26との間の流路20-1に接続されている。流路20-3は、流路20-1と流路20-2とを繋ぐ流路である。
【0024】
流路20-1には、上流側から順番に、第1の供給側バルブ31、オリフィス24、ダンパ25、温度調整手段26が設けられている。また、流路20-2には、上流側から順番に、温度調整手段21、ポンプ22、温度調整手段23、第2の供給側バルブ33が設けられている。また、流路20-3には、第2の供給側バルブ32が設けられている。
【0025】
供給流路20において、温度調整手段23と、第2の供給側バルブ32,33との間に、流体の温度を測定する温度計61と、流体の圧力を測定する圧力計62が設けられており、温度調整手段26と、チャンバ3との間に、流体の温度を測定する温度計63が設けられている。
【0026】
第1及び第2の供給源11,12は、例えば、二酸化炭素のボンベ、極低温容器、貯槽タンクなどであってもよい。第1の供給源11は、気体の二酸化炭素を取り出す供給源であり、第2の供給源12は、液体の二酸化炭素を取り出す供給源である。なお、気体の二酸化炭素を供給するものであれば、第1の供給源11は、どのようなものであってもよい。また、液体の二酸化炭素を供給するものであれば、第2の供給源12は、どのようなものであってもよい。
【0027】
温度調整手段21は、第2の供給源12から供給された二酸化炭素を冷却する。ポンプ22に流入する二酸化炭素が確実に液体となるようにするためである。なお、温度調整手段21は、例えば、凝縮器であってもよく、他の冷却器であってもよい。
【0028】
ポンプ22は、供給流路20において液体の二酸化炭素を昇圧して下流側に出力する。温度調整手段23は、ポンプ22によって昇圧された二酸化炭素を加熱する。温度調整手段23は、例えば、熱交換器であってもよく、他の加熱器であってもよい。ポンプ22で二酸化炭素が昇圧され、温度調整手段23で二酸化炭素が加熱されることによって、チャンバ3内の二酸化炭素が超臨界状態になる。なお、温度調整手段23は、例えば、第2の供給側バルブ33までの流路の長さより、ポンプ22までの流路の長さの方が短くなる位置に設けられていてもよい。
【0029】
オリフィス24では、流路の断面積が他の箇所より小さくなっている。流体がオリフィス24を通過することによって、例えば、流体の流量が低減される。オリフィス24は、例えば、1つの孔を有していてもよく、2つ以上の孔を有していてもよい。また、オリフィス24は、流路の断面積を変化させることができるものであってもよい。そのようなオリフィス24として、例えば、ニードルバルブなどを挙げることができる。第1及び第2の供給側バルブ31,33が開けられた際にチャンバ3に供給される二酸化炭素は、オリフィス24を介してチャンバ3に供給されることになる。
【0030】
ダンパ25では、配管抵抗が他の箇所より大きくなっている。流体がダンパ25を通過することによって、例えば、流体の流速が低減され、配管へのダメージを抑えることができる。ダンパ25は、例えば、コイル形状や蛇行状に設けられた流路であってもよく、流路内にフィルタなどの抵抗物が入れられたものであってもよい。第1及び第2の供給側バルブ31,33が開けられた際にチャンバ3に供給される二酸化炭素は、ダンパ25を介してチャンバ3に供給されることになる。なお、本実施の形態では、供給流路20において上流側からオリフィス24、ダンパ25の順となるように両者が配置されている場合について主に説明するが、それらの順序は逆であってもよい。例えば、供給流路20において上流側からダンパ25、オリフィス24の順となるように両者が配置されてもよい。
【0031】
チャンバ3の昇圧段階において、上流側と下流側とに所定以上の圧力差がある状況で第1及び第2の供給側バルブ31,33が開けられた際にチャンバ3に供給される二酸化炭素は、オリフィス24及びダンパ25を介してチャンバ3に供給される。したがって、チャンバ3の圧力と、チャンバ3に供給される二酸化炭素の圧力との差が大きいときには、オリフィス24及びダンパ25を介して二酸化炭素がチャンバ3に供給されることによって、二酸化炭素が勢いよくチャンバ3に流入することを回避でき、ウェハ上の処理液が二酸化炭素によって吹き飛ばされることを回避することができる。
【0032】
なお、上流側と下流側とに所定以上の圧力差がある状況とは、閉じているバルブの上流側の圧力の方が、そのバルブの下流側の圧力より所定値以上高い状況のことである。後述するように、そのような状況において開けられるバルブは、第1及び第2の供給側バルブ31,33である。したがって、第1及び第2の供給側バルブ31,33が開けられた際にチャンバ3に供給される二酸化炭素は、オリフィス24及びダンパ25を介してチャンバ3に供給されるようになっている。一方、後述するように、第2の供給側バルブ32が開けられる際には、その第2の供給側バルブ32の上流側と下流側と圧力差は小さいため、オリフィス24及びダンパ25を介さないで二酸化炭素がチャンバ3に供給されることになる。
【0033】
温度調整手段26は、チャンバ3の直前において、チャンバ3に流入する二酸化炭素を加熱する。温度調整手段26は、例えば、熱交換器であってもよく、他の加熱器であってもよい。
【0034】
第1の供給側バルブ31は、供給流路20における第1の供給源11からの二酸化炭素の流路20-1に設けられ、チャンバ3からの流体の排出時に閉じられる。すなわち、第1の供給源11からチャンバ3に供給される二酸化炭素は、第1の供給側バルブ31を通過することになる。なお、第1の供給側バルブ31の開閉のタイミングについては後述する。
【0035】
第2の供給側バルブ32,33は、供給流路20における第2の供給源12からの二酸化炭素の流路20-2、20-3にそれぞれ設けられ、チャンバ3からの流体の排出時に閉じられる。すなわち、第2の供給源12からチャンバ3に供給される二酸化炭素は、第2の供給側バルブ32,33の少なくとも一方を通過することになる。なお、第2の供給側バルブ32,33の開閉のタイミングについては後述する。
【0036】
供給流路20において、第1の供給源11から第1の供給側バルブ31までの長さが、第1の供給側バルブ31からチャンバ3までの長さより長くなっているものとする。ここで、長さとは流路の長さのことである。また、その流路は、第1の供給側バルブ31を介してチャンバ3に供給される二酸化炭素の流路である。なお、例えば、第1の供給源11から第1の供給側バルブ31までの長さが、第1の供給側バルブ31からチャンバ3までの長さの2倍以上となっていることが好適であり、4倍以上となっていることがより好適であり、10倍以上となっていることがさらに好適である。
【0037】
供給流路20において、ポンプ22から第2の供給側バルブ32までの長さが、第2の供給側バルブ32からチャンバ3までの長さより長くなっているものとする。また、ポンプ22から第2の供給側バルブ33までの長さが、第2の供給側バルブ33からチャンバ3までの長さより長くなっているものとする。第2の供給側バルブ32に関する流路は、第2の供給側バルブ32を介してチャンバ3に供給される二酸化炭素の流路である。第2の供給側バルブ33に関する流路についても同様である。このように、第2の供給側バルブ33が、チャンバ3に近い位置に設けられていることによって、チャンバ3の昇圧の初期段階に第2の供給側バルブ33の上流側の二酸化炭素がチャンバ3に供給される際に、高圧に保持されているより多くの二酸化炭素がチャンバ3に供給されることになり、チャンバ3の圧力をより短時間で上昇させることができるようになる。なお、例えば、ポンプ22から第2の供給側バルブ32までの長さが、第2の供給側バルブ32からチャンバ3までの長さの2倍以上となっていることが好適であり、4倍以上となっていることがより好適であり、10倍以上となっていることがさらに好適である。第2の供給側バルブ33についても同様であるとする。
【0038】
このように、第1の供給側バルブ31、及び第2の供給側バルブ32,33が、チャンバ3に近い側に設けられていることによって、チャンバ3の減圧時に、流体の排出量を低減することができる。その結果、減圧にかかる時間を削減することができ、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。
【0039】
チャンバ3の昇圧段階において、まず、第1の供給側バルブ31が開けられて第1の供給源11からの二酸化炭素がチャンバ3に供給される。その後に、第1の供給側バルブ31が閉じられ、第2の供給側バルブ33が開けられて、ポンプ22で昇圧され、温度調整手段23で加熱されて保持されていた第2の供給源12からの二酸化炭素がチャンバ3に供給される。この段階で開けられるのは、第2の供給側バルブ32,33のうち、下流側がオリフィス24及びダンパ25に接続されている第2の供給側バルブ33である。なお、保持されていた二酸化炭素の圧力は、第1の供給源11から供給される気体の二酸化炭素より高圧であるとする。その後、ポンプ22による昇圧、及び温度調整手段23による加熱が継続され、チャンバ3に超臨界状態の二酸化炭素が供給されるようになる。
【0040】
チャンバ3は、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理を行うための容器である。チャンバ3は、例えば、内部空間に存在する流体を加熱するヒータを有していてもよい。そのヒータによる流体の加熱は、流体を超臨界状態に保つために行われる。
【0041】
流体排出手段4は、排出流路40と、排出流路40に設けられた、温度調整手段41、排出側バルブ51、及び圧力調整バルブ52とを備える。
【0042】
排出流路40は、チャンバ3に接続されており、チャンバ3の流体が排出流路40を介して排出される。排出流路40には、上流側から順番に、排出側バルブ51、圧力調整バルブ52、温度調整手段41が設けられている。
【0043】
排出流路40において、排出側バルブ51の上流側の流体の圧力を測定する圧力計が設けられている。排出側バルブ51の上流側は、チャンバ3の内部空間に連通しているため、圧力計64によって、チャンバ3内の圧力が測定されることになる。
【0044】
温度調整手段41は、圧力調整バルブ52から出力される流体を加熱する。チャンバ3の減圧段階においては、圧力調整バルブ52で流体が断熱膨張して温度が低下する。そのため、加熱を行わなければ、二酸化炭素がドライアイスになり、流路が詰まる可能性がある。そのような二酸化炭素のドライアイス化を防止するため、温度調整手段41による加熱を行う。温度調整手段41は、例えば、熱交換器であってもよく、他の加熱器であってもよい。
【0045】
排出側バルブ51は、チャンバ3においてウェハに所定の処理が行われている際や、チャンバ3から流体が排出される際に開けられ、チャンバ3の昇圧時等に閉じられるバルブである。
【0046】
圧力調整バルブ52は、チャンバ3内の圧力を調整する。この調整は、圧力計64による測定結果を用いて自動的に行われる。チャンバ3において超臨界流体を用いた処理が行われる場合には、チャンバ3内の圧力が、臨界圧力以上のあらかじめ決められた圧力になるように圧力調整バルブ52によって調整されてもよい。
【0047】
次に、本実施の形態によるウェハ処理装置1の動作について説明する。なお、図1図6において、閉じているバルブを黒塗りで示しており、空いているバルブを白抜きで示している。例えば、図2において、第1の供給側バルブ31は開いており、第2の供給側バルブ32,33は閉じていることになる。
【0048】
図1は、チャンバ3の昇圧段階前の状態を示す図である。図1において、供給流路20における第1の供給側バルブ31、及び第2の供給側バルブ32,33は閉じており、また、排出流路40における排出側バルブ51も閉じている。なお、第1の供給側バルブ31より上流側の流路20-1においては、第1の供給源11から供給された約5MPaの二酸化炭素が保持されているものとする。また、第2の供給側バルブ32,33より上流側の流路20-2,20-3においては、第2の供給源12から供給され、温度調整手段41によって冷却されてポンプ22によって昇圧され、温度調整手段41によって加熱された約10MPa、約50℃の二酸化炭素が保持されている。なお、この圧力や温度は一例であり、第2の供給側バルブ32,33より上流側において、二酸化炭素が他の圧力や温度で保持されていてもよい。
【0049】
このような状態において、まず、チャンバ3を開けて、IPA等の処理液によって洗浄されたウェハをチャンバ3の内部に挿入する。このウェハの挿入は、例えば、ウェハを搬送する搬送ロボット等によって行われてもよい。次に、チャンバ3を閉じると共に、第1の供給側バルブ31が開けられ、図2で示される状態になる。図2の状態では、図中の矢印で示されるように、第1の供給源11から供給された気体の二酸化炭素が、流路20-1を介してチャンバ3に供給される。第1の供給源11から供給される気体の二酸化炭素は約5MPaであるため、チャンバ3内は短時間で5MPaまで昇圧することになる。なお、その際に、気体の二酸化炭素がオリフィス24及びダンパ25を介してチャンバ3に流入するため、チャンバ3に流入する際の二酸化炭素の流量や流速を低減させることができ、チャンバ3内のウェハ上のIPA等の処理液が、流入した二酸化炭素によって吹き飛ばされることを回避することができる。そのため、ウェハのパターンの倒壊を防止することができる。
【0050】
その後、チャンバ3内が、第1の供給源11から供給される二酸化炭素の圧力と同じになったことが圧力計64によって確認されると、図3で示されるように、第1の供給側バルブ31を閉じ、第2の供給側バルブ33を開けることによって、第2の供給源12から供給される二酸化炭素がチャンバ3に供給されるようにする。なお、図2の状態から図3の状態への切り替えは、例えば、第1の供給側バルブ31を開けてからの経過時間や、温度計63によって測定された温度などに基づいて行われてもよい。
【0051】
図3の状態では、図中の矢印で示されるように、第2の供給側バルブ33の上流側で保持されていた約10MPaの二酸化炭素が、流路20-2,20-3,20-1を介してチャンバ3に供給される。その結果、チャンバ3内の圧力は、約5MPaと約10MPaとの間、例えば、約6MPa程度になる。その際に、気体の二酸化炭素がオリフィス24及びダンパ25を介してチャンバ3に流入するため、チャンバ3に流入する際の二酸化炭素の流量や流速を低減させることができ、チャンバ3内のウェハ上のIPA等の処理液が、流入した二酸化炭素によって吹き飛ばされることを回避することができる。
【0052】
第2の供給側バルブ33が開けられたタイミング、または、それより後のタイミングで、ポンプ22は二酸化炭素の昇圧を開始してもよい。また、ポンプ22で昇圧された二酸化炭素は、温度調整手段23によって加熱されてチャンバ3に供給される。また、温度調整手段26やチャンバ3内のヒータ等を用いた二酸化炭素の加熱が行われてもよい。二酸化炭素の昇圧と加熱とは、二酸化炭素が超臨界状態となるまで継続される。なお、ポンプ22での二酸化炭素の昇圧が行われる際には、温度調整手段21によって、第2の供給源12から供給される液体の二酸化炭素の冷却が行われる。
【0053】
チャンバ3内の圧力が臨界圧力7.38MPa以上、温度が臨界温度31.1℃以上になると二酸化炭素は超臨界状態となり、ウェハ上のIPA等は、超臨界状態の二酸化炭素に溶解される。チャンバ3内に供給される二酸化炭素が超臨界流体となると、図4で示されるように、第2の供給側バルブ33が閉じられ、第2の供給側バルブ32が開けられて、第2の供給源12からの二酸化炭素が、図中の矢印で示されるように、オリフィス24やダンパ25を介さないでチャンバ3に供給されるようになる。そのようにすることで、単位時間あたりにチャンバ3に供給される二酸化炭素の量をより多くすることができる。なお、図3の状態から図4の状態への切り替えは、例えば、圧力計64によって測定されるチャンバ3内の圧力と、圧力計62によって測定される第2の供給側バルブ33,34より上流側の圧力との差の絶対値が、あらかじめ決められた正の閾値より小さくなった際や、圧力計64によって測定されるチャンバ3内の圧力の単位時間当たりの変化が、あらかじめ決められた正の閾値より小さくなった際に行われてもよい。例えば、流体が超臨界状態となる前に、第2の供給側バルブ32を介した二酸化炭素の供給が行われてもよい。
【0054】
ポンプ22による昇圧は、流体があらかじめ決められた圧力(例えば、10MPaなど)を超えるように行われる。また、温度調整手段23による加熱は、流体があらかじめ決められた温度(例えば、50℃など)となるように行われる。なお、二酸化炭素の流体が温度調整手段23から温度調整手段26に至るまでに低下した場合には、温度調整手段26によって追加の加熱が行われてもよい。例えば、温度計63で測定された温度が、あらかじめ決められた閾値より低くなった場合には、温度調整手段26による加熱が行われてもよい。
【0055】
チャンバ3内の超臨界状態の二酸化炭素(超臨界流体)の圧力が一定値(例えば、10MPaなど)を超えると、図5で示されるように、排出流路40に設けられた排出側バルブ51が開けられ、圧力調整バルブ52によって、チャンバ3内の圧力を一定に保ちながら、図中の矢印で示されるように、超臨界流体が徐々に排出される。このようにして、ウェハに付着していたIPA等が溶解した超臨界流体が排出され、チャンバ3内において、ウェハからのIPA等の除去が行われることになる。
【0056】
チャンバ3内は、少なくともIPA等の処理液の排出が完了するまで、二酸化炭素が超臨界状態となる圧力及び温度に保たれることが好適である。チャンバ3内は、例えば、圧力は7.4~15MPaに、また、温度は31~50℃に保たれることが好ましい。チャンバ3への二酸化炭素の注入は継続されるため、超臨界二酸化炭素流体の注入と、IPA等の処理液が溶解している超臨界二酸化炭素流体の排出が並行して行われることになる。なお、圧力調整バルブ52から出力された流体は、温度調整手段41によって加熱され、ドライアイス化が防止され、排出流路40の詰まりや流量の低下を防止することができる。
【0057】
なお、超臨界流体によるIPA等の排出が終了したかどうかは、例えば、IPA等を検知するセンサによってチャンバ3内においてIPA等を検知することによって確認されてもよい。IPA等を検知するセンサは、例えば、アルコール検知センサ等であってもよい。
【0058】
IPA等の処理液が溶解している超臨界流体の排出が終了すると、図6で示されるように、第2の供給側バルブ32が閉じられ、チャンバ3内の二酸化炭素を気体に相転換させてから排出流路40を介して排出する。そのようにして、チャンバ3内が降圧される。チャンバ3内が大気圧になった後に、チャンバ3内では、加温が停止されてもよく、または31~50℃に維持されてもよい。
【0059】
その後、図1で示されるように排出側バルブ51が閉じられ、チャンバ3が開けられて、超臨界流体を用いて乾燥されたウェハが、搬送ロボット等によって搬出される。このようにして、一連の乾燥処理が終了になる。なお、上記した一連の処理に関するタイミング等の制御は、図示しない制御手段によって行われてもよい。
【0060】
以上のように、本実施の形態によるウェハ処理装置1によれば、チャンバ3の昇圧時に、第1及び第2の供給側バルブ31,33より上流側の二酸化炭素をチャンバ3に供給することによって、より短時間でチャンバ3内の圧力を上昇させることができる。その結果、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。また、昇圧の初期段階において、第1及び第2の供給側バルブ31,33の二酸化炭素をチャンバ3に供給する際に、まず、第1の供給源11から供給される気体の二酸化炭素をチャンバ3に供給し、その後に、第2の供給源12から供給される液体の二酸化炭素を昇圧して加熱して保持していた二酸化炭素をチャンバ3に供給することによって、より短い時間で、段階的にチャンバ3内の圧力を高い圧力にすることができ、一気に高い圧力にした場合と比較して、ウェハ上のIPAなどの処理液が吹き飛ばないようにすることができる。なお、チャンバ3は、通常、クリーンルームに配置されるが、第1及び第2の供給源11,12は、クリーンルームに配置しなくてもよいため、供給流路20の長さが長くなることがある。その場合には、ポンプ22から第2の供給側バルブ33までの流路の長さも長くなり、その流路においてより多くの流体を高圧状態で保持できるため、第2の供給側バルブ33が開けられた際に、チャンバ3の圧力をより高圧にすることができる。
【0061】
また、供給流路20において、第1及び第2の供給側バルブ31~33がチャンバ3に近い側に設けられていることにより、チャンバ3の減圧時に排出される流体の量を低減することができ、流体の排出にかかる時間を短くすることができる。その結果、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。
【0062】
また、チャンバ3内の圧力と、チャンバ3に供給される二酸化炭素の圧力との差が大きい場合には、チャンバ3内に二酸化炭素が勢いよく流入し、ウェハ上のIPAなどの処理液が吹き飛ばされることによって、パターンの倒壊を招く可能性があるが、そのような場合に、オリフィス24及びダンパ25を介して二酸化炭素をチャンバ3に供給することによって、二酸化炭素の流量や流速を低減させることができ、ウェハ上のIPAなどの処理液が吹き飛ばないようにすることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、図1で示される状態において、ポンプ22から第2の供給側バルブ32,33までの流路20-2における流体の圧力が、チャンバ3においてウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理が行われるときの圧力となっている場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、チャンバ3内の流体を排出している際に、ポンプ22から第2の供給側バルブ32,33までの流路20-2における流体の圧力を、ウェハへの処理時の圧力より高くなるようにポンプ22で昇圧してもよい。そのようにすることで、チャンバ3の昇圧時に、ポンプ22から第2の供給側バルブ32,33までの流体をチャンバ3に供給することによって、チャンバ3内をより高い圧力に昇圧することができ、チャンバ3のより短時間での昇圧を実現することができるようになる。
【0064】
また、本実施の形態では、上流側と下流側とに所定以上の圧力差がある状況において第1及び第2の供給側バルブ31,33が開けられた際にチャンバ3に供給される二酸化炭素が、オリフィス24及びダンパ25を介してチャンバ3に供給される場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、流体供給装置2は、オリフィス24を備えていなくてもよい。また、流体供給装置2は、ダンパ25を備えていなくてもよい。また、流体供給装置2は、オリフィス24及びダンパ25を備えていなくてもよい。流体供給装置2がオリフィス24及びダンパ25を備えていない場合には、例えば、下流側の圧力の時間変化が緩やかになるように、すなわち、下流側の圧力の単位時間当たりの変化量が、あらかじめ決められた閾値より小さくなるように、第1及び第2の供給側バルブ31,33が開けられてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、第2の供給源12からの二酸化炭素を冷却する温度調整手段21が流路20-2に設けられている場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、第2の供給源12から、十分に温度の低い二酸化炭素、すなわちポンプ22に入力される際にも液体である二酸化炭素が供給される場合には、流体供給装置2は、温度調整手段21を備えていなくてもよい。また、チャンバ3の直前において二酸化炭素を追加で加熱する必要がない場合には、流体供給装置2は、温度調整手段26を備えていなくてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、第1の供給源11から供給された二酸化炭素も、第2の供給源12から供給された二酸化炭素も、同じオリフィス24及びダンパ25を通過する場合について説明したが、そうでなくてもよい。それぞれが異なるオリフィス及びダンパを通過してもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、流体供給装置2が、1個の第1の供給側バルブ31と、2個の第2の供給側バルブ32,33とを有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。第1及び第2の供給側バルブの個数は問わない。例えば、1個または3個以上の第2の供給側バルブが用いられてもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、流体排出手段4が、排出側バルブ51及び圧力調整バルブ52を有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。圧力調整バルブ52によって、閉弁時の流体の完全遮断を実現できる場合には、流体排出手段4は、排出側バルブ51を備えていなくてもよい。また、流体排出手段4は、チャンバ3からの流体を排出できるのであれば、本実施の形態で説明した以外の構成であってもよい。
【0069】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上より、本発明の一態様によるウェハ処理装置等によれば、より短い時間でチャンバを昇圧できるという効果が得られ、ウェハに二酸化炭素の超臨界流体を用いた所定の処理を行うウェハ処理装置等として有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 ウェハ処理装置
2 流体供給装置
3 チャンバ
4 流体排出手段
11 第1の供給源
12 第2の供給源
20 供給流路
21、23、26、41 温度調整手段
22 ポンプ
24 オリフィス
25 ダンパ
31 第1の供給側バルブ
32、33 第2の供給側バルブ
40 排出流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6