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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021280
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】持久力向上剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20220126BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220126BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220126BHJP
【FI】
A61K31/12
A61P3/00
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020136853
(22)【出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(72)【発明者】
【氏名】池本 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】麻見 直美
【テーマコード(参考)】
4B018
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD48
4B018ME02
4B018ME04
4B018ME14
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB14
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB22
4C206ZC33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天然物由来の成分を有効成分とする持久力向上剤、抗疲労剤、グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤を提供する。
【解決手段】ショウガオールを有効成分とする、持久力向上剤、抗疲労剤、グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤。ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、持久力向上剤、抗疲労剤、グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショウガオールを有効成分とする、持久力向上剤。
【請求項2】
ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、請求項1記載の持久力向上剤。
【請求項3】
ショウガオールを有効成分とする、抗疲労剤。
【請求項4】
ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、請求項3記載の抗疲労剤。
【請求項5】
ショウガオールを有効成分とする、グリコーゲン蓄積促進剤。
【請求項6】
ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、請求項5記載のグリコーゲン蓄積促進剤。
【請求項7】
ショウガオールを有効成分とする、脂質代謝促進剤。
【請求項8】
ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、請求項7記載の脂質代謝促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持久力向上剤、抗疲労剤、グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
持久力は、日常の健康作りにおいて大切な他、特にマラソン等持久力が必要とされるスポーツにおいて結果と直結する重要な力である。持久力には、肝臓や骨格筋に蓄積されたグリコーゲンが関わっており、持久力を向上するために、エネルギー源となるグリコーゲンを通常より多く体に貯蔵するための運動量の調節や栄養摂取法を一週間程度かけて行う、カーボ・ローディング(グリコーゲン・ローディング)が知られている。
【0003】
持久力を向上するための有効な成分として、アンチドーピングの観点から特にスポーツの分野においては、天然物由来のものが求められているが、例えば、特許文献1には、S-アリルシステインを2~4週間マウスまたは健常人に摂取させ、持久力増加作用を確認した、S-アリルシステインを有効成分とする持久力向上剤が開示されている。また、特許文献2には、イノシン酸を有効成分として、筋グリコーゲン蓄積を促進することを特徴とするグリコーゲン蓄積促進用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017‐088549号公報
【特許文献2】特開2018‐203713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、天然物由来の成分を有効成分とする持久力向上剤、抗疲労剤、グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、ショウガオールに、持久力向上効果、抗疲労効果、グリコーゲン蓄積促進効果及び脂質代謝促進効果があることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]の態様に関する。
[1]ショウガオールを有効成分とする、持久力向上剤。
[2]ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、[1]に記載の持久力向上剤。
[3]ショウガオールを有効成分とする、抗疲労剤。
[4]ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、[3]に記載の抗疲労剤。
[5]ショウガオールを有効成分とする、グリコーゲン蓄積促進剤。
[6]ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、[5]に記載のグリコーゲン蓄積促進剤。
[7]ショウガオールを有効成分とする、脂質代謝促進剤。
[8]ショウガオール/ジンゲロール比が1.0以上のショウガオール組成物を含む、[7]に記載の脂質代謝促進剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって天然物由来の成分を有効成分とする持久力向上剤、抗疲労剤、グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤を提供でき、摂取することで、持久力の向上、疲労の予防及び回復促進、グリコーゲン蓄積促進、並びに脂質代謝促進効果が得られ、該持久力向上剤、該抗疲労剤、該グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤を含む各種飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料を、健康増進や持久力を要するスポーツや運動を伴うダイエットのために利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ショウガオール各添加濃度における飼料摂取量を示す。
図2】ショウガオール各添加濃度におけるショウガオール摂取量を示す。
図3】ショウガオール各添加濃度における体重変化を示す。
図4】実施例1のラット疲労困憊運動におけるプロトコルを示す。
図5】実施例1のラット疲労困憊運動における各群の飼料摂取量を示す。
図6】実施例1のラット疲労困憊運動における各群の最終体重を示す。
図7】実施例1のラット疲労困憊運動の結果(走運動持続時間、走行距離、仕事量)を示す。
図8】ラットRunning testにおけるプロトコルを示す。
図9】ラットRunning testにおける各群の飼料摂取量あたりのヒラメ筋中のグリコーゲン量を示す。
図10】ラットRunning testにおける各群の飼料摂取量あたりの腓腹筋中のグリコーゲン量を示す。
図11】ラットRunning testにおける各群の飼料摂取量あたりの足底筋中のグリコーゲン量を示す。
図12】実施例3のラット疲労困憊運動におけるプロトコルを示す。
図13】実施例3のラット疲労困憊運動の結果(走運動持続時間、走行距離)を示す。
図14】実施例3のラット疲労困憊運動の走運動持続時間と疲労困憊運動後の遊離脂肪酸濃度との関係を示す。
図15】実施例3のラット疲労困憊運動後の飼料摂取量あたりの筋グリコーゲンと疲労困憊運動の走運動持続時間との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の持久力向上剤、抗疲労剤、グリコーゲン蓄積促進剤及び脂質代謝促進剤(以後、まとめて本発明の製剤と呼ぶことがある)は、ショウガオールを有効成分として含有し、即効性を有するのが好ましい「持久力向上」とは運動等の身体活動を長く続けることができる能力の向上を意味し、「抗疲労」とは運動等の身体活動によって生じる疲労の予防や回復促進により活動を続けることができることを意味し、「グリコーゲン蓄積促進」とは筋肉内のグリコーゲンの蓄積促進を意味し、「脂質代謝促進」とは、脂肪代謝が活性化されて中性脂肪の分解が促進されることを意味する。
【0011】
ショウガオールは、天然物由来の成分であり、本発明の製剤には合成されたものを使用してもよいが、ショウガやギニアショウガ等のジンゲロールを含むショウガ科植物を原料として、超臨界抽出法、水蒸気蒸留法、溶媒抽出法等により抽出した植物抽出物に由来するものが好ましく、生の植物中では、ショウガオール/ジンゲロール(S/G)比が0.25未満程度とショウガオール含有量がジンゲロール含有量よりはるかに少ないため、本発明では、抽出前後に加熱等の処理を行って、ジンゲロールをショウガオールに変換してショウガオール含有量を高めた抽出物をショウガオール組成物として使用するのがよい。
【0012】
ショウガオール組成物は、ショウガオールをジンゲロールより多く含むのが好ましく、S/G比が1.0以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、2.0以上が特に好ましく、本発明の製剤は該ショウガオール組成物を含むのが好ましい。ショウガオール含有量が高められれば特に限定されないが、例えば100~300℃、好ましくは120~250℃で処理することで、ショウガオール含有量の高いショウガオール組成物を調製でき、液体として使用してもよく、さらに濃縮及び/又は乾燥し、濃縮品や乾燥品として使用してもよい。
【0013】
本発明の製剤の摂取方法として、ショウガオールを含む製剤を経口投与することが好ましく、本発明の効果が認められる投与量であれば特に限定されないが、ショウガオールの一人当たりの1日の投与量は、0.01mg/kg体重以上、0.05mg/kg体重以上、0.1mg/kg体重以上又は0.4mg/kg体重以上が好ましく、0.6~10mg/kg体重がより好ましく、0.8~8.0mg/kg体重がさらに好ましく、1.0~5.0mg/kg体重が特に好ましく、1.2mg/kg体重以上が最も好ましい。該投与量を摂取できるよう、ショウガオールを含む製剤を1日1回又は数回に分けて摂取すればよい。
【0014】
本発明の製剤はその有効成分が天然物由来であり、かつ、製造が容易なため、広く利用でき、各種製品に添加が可能で、液体で添加してもよく、乾燥品を添加してもよい。添加する飲食品等は特に限定されないが、飲料、食品、調味料、機能性食品、サプリメント等の各種飲食品の他、医薬品、医薬部外品、飼料等にも利用できる。飼料については、家畜、ペットの他、猟犬、競争馬等競技用動物、その他の動物用としても有用である。また、グリコーゲン・ローディング用剤として利用可能で、即効性が期待できるため、通常のグリコーゲン・ローディングより手軽に短期間でグリコーゲンの蓄積効果が期待できる。各種製品中のショウガオール含有量は、摂取により本発明の効果が認められる量であれば特に限定されないが、0.0001~50重量%が好ましく、0.0005~20重量%がより好ましく、0.001~10重量%がさらに好ましい。
【実施例0015】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
【実施例0016】
(1.ショウガオール添加濃度の確認)
ラットにショウガオール添加飼料を摂取させ、疲労困憊運動に対する影響を確認するにあたり、飼料へのショウガオール添加濃度を決めるために、飼料全体に対し5種類のショウガオール濃度(0.007%、0.014%、0.021%、0.028%及び0.056%)になるようにショウガオール組成物を添加した添加食を1回ラットに摂取させ、ショウガオール非添加食を摂取させたラットと比較して、それぞれの添加濃度における飼料摂取量、ショウガオール摂取量及び体重変化を図1~3に示した。尚、ショウガオール非添加食を摂取させたラットについては点線、ショウガオール添加食を摂取させたラットについては実線で示した。
【0017】
尚、ショウガオール組成物としては、ジンゲロールから変換されたショウガオールを多く含む粉末であるジンジャーエキスパウダーE(ショウガオール含有量:2.28%、ジンゲロール含有量:0.85%、S/G比:2.67、池田糖化工業株式会社製)を使用した。尚、該エキスパウダーは、市販のショウガ抽出物(ショウガオール含有量:4.54%、ジンゲロール含有量:22.87%、S/G比:0.20)をオートクレーブで加熱処理し、ジンゲロールをショウガオールに変換した組成物(ショウガオール含有量:19.23%、ジンゲロール含有量:6.66%、S/G比:2.89)に、賦形剤を加えて粉化したものである。
実験には、6週齢のSD系雄ラット(日本クレア株式会社)を室温25±1℃、湿度50±5%、照明8時と20時とを境とする明暗サイクルの環境で飼育し、飼料は、ラット用粉末(CE‐2、日本クレア株式会社製)、飲水は脱イオン蒸留水を用い、それぞれ自由摂取させた。体重及び飼料摂取量は1日ごとに測定した。
【0018】
図1~3より、0.007~0.028%添加食のラットは、非添加食のラットの飼料摂取量と近い値を示し、体重も大きく変動しなかったのに加え、ショウガオール摂取量は飼料摂取量に依存して0.028%まで濃度依存的に上昇したが、0.056%添加食では飼料摂取量が極端に低下し、体重も有意に低値を示すことが分かり、実験群として不適切であることが分かった。以上から、飼料全体に対するショウガオール添加濃度を0.028%に設定して疲労困憊運動に関する試験を行うこととした。
【0019】
(2.ラット疲労困憊運動)
6週齢のSD系雄ラットを、室温25±1℃、湿度50±5%、照明8時と20時とを境とする明暗サイクルの環境で、飼料はラット用粉末、飲水は脱イオン蒸留水を用い、それぞれ自由摂取させて3日間飼育した後、Running Trainingを、週5回、毎日18時から行い、25日間飼育した。Running Trainingは、小動物用トレッドミル(KN‐73、株式会社夏目製作所製)により10m/min・10minから25m/min・30minまで漸増的に上げて行った。
次に、ラットの体重が均等になるように2群に分け、ショウガオール非添加食を摂取させるショウガオール非添加食摂取群(CE群、7匹)、飼料全体に対するショウガオール添加濃度を0.028%としたショウガオール添加食摂取群(SH群、10匹)として各飼料を摂取させ、1日飼育した後、疲労困憊運動(All‐out test)を行った。尚、SH群の1匹あたりのショウガオール摂取量は、3.56mgだった。図4に本試験のプロトコル、図5に飼料摂取量、図6に最終体重、図7に疲労困憊運動の結果(走運動持続時間、走行距離、仕事量)をそれぞれ示した。
【0020】
図5及び図6に示した通り、飼料の違いにより、飼料摂取量及び体重に有意差はなかった。また、図7から、疲労困憊運動の走運動持続時間、走行距離及び仕事量(走行距離×体重)の全ての項目において、SH群がCE群より有意な高値を示すことが分かった。
【0021】
よって、ショウガオール添加食を1日摂取することで、走運動持続時間、走行距離及び仕事量が増大したことから、ショウガオールによる、持久力向上、疲労の予防、疲労の回復促進等の効果が認められ、ショウガオールは即効性の持久力向上効果及び抗疲労効果を有することが分かった。
【実施例0022】
(筋グリコーゲン量の測定)
6週齢のSD系雄ラットを、室温25±1℃、湿度50±5%、照明8時と20時とを境とする明暗サイクルの環境で、飼料はラット用粉末、飲水は脱イオン蒸留水を用い、それぞれ自由摂取させて3日間飼育した後、実施例1と同様のRunning Trainingを、週5回、毎日18時から行い、7日間飼育した。
次に、ラットの体重が均等になるように2群に分け、ショウガオール非添加食を摂取させるショウガオール非添加食摂取群(CE群、10匹)及び飼料全体に対するショウガオール添加濃度を0.028%としたショウガオール添加食摂取群(SH群、10匹)として各飼料を摂取させ、1日飼育した後、Running testを1時間行い、Running test前(Pre)後(Post)のヒラメ筋(Soleus)、腓腹筋(Gastrocnemius)及び足底筋(Plantaris)中の筋グリコーゲン量を測定した。尚、グリコーゲン量は、アミノグルコシダーゼ法で測定した。図8に本試験のプロトコルを示すと共に、飼料摂取量あたりの各筋肉中の筋グリコーゲン量を算出し、図9~11にそれぞれ示した。
【0023】
図9~11より、CE群と比べSH群が、遅筋繊維のヒラメ筋でも、速筋繊維の腓腹筋及び足底筋でも、下肢筋内グリコーゲン量が有意に増加することが分かった。また、SH群で、一定運動後(Post)のグリコーゲン量は顕著に減少しており、走運動に筋グリコーゲンが使われていることが分かった。
以上より、走運動に必要な筋グリコーゲンが、ショウガオール添加食を1回摂取しただけで増加したことが、持久力向上につながったと考えられ、グリコーゲン・ローディングとして、走運動の前にショウガオールを摂取することが有効であると考えられる。
【実施例0024】
(血中の遊離脂肪酸の測定)
6週齢のSD系雄ラットを、室温25±1℃、湿度50±5%、照明8時と20時とを境とする明暗サイクルの環境で、飼料はラット用粉末、飲水は脱イオン蒸留水を用い、それぞれ自由摂取させて3日間飼育した後、実施例1と同様のRunning Trainingを、週5回、毎日18時から行い、7日間飼育した。
次に、ラットの体重が均等になるように2群に分け、ショウガオール非添加食を摂取させるショウガオール非添加食摂取群(CE群、10匹)及び飼料全体に対するショウガオール添加濃度を0.028%としたショウガオール添加食摂取群(SH群、10匹)として各飼料を摂取させ、1日飼育した後、高強度トレーニング(Running)を1時間行い、1時間の回復時間を設けた後、回復度の指標として疲労困憊運動(All‐outtest)を行った。疲労困憊運動後(Last)のヒラメ筋(Soleus)、腓腹筋(Gastrocnemius)及び足底筋(Plantaris)中の筋グリコーゲン量、並びに血中の遊離脂肪酸(FFA)濃度を測定した。図12に本試験のプロトコルを示し、図13に疲労困憊運動の結果(走運動持続時間、走行距離)を示した。また、疲労困憊運動後(Last)の血中遊離脂肪酸濃度と走運動持続時間との関係を図14に示し、疲労困憊運動後(Last)の飼料摂取量あたりの筋グリコーゲンと走運動持続時間との関係を図15に示した。
【0025】
図13より、CE群と比べSH群で、疲労困憊運動の走運動持続時間及び走行距離が有意に高値を示すことが分かった。つまり、ショウガオール摂取により、高強度トレーニング後の疲労困憊運動で走運動持続時間及び走行距離が増大したことから、ショウガオールを摂取することで、事前の高強度トレーニングからより早く回復する疲労回復効果や、より長時間、より長距離を走行できる持久力向上効果、抗疲労効果等が認められることが分かった。
【0026】
図14より、CE群よりSH群の方が疲労困憊運動後の血中遊離脂肪酸濃度が高く、また、SH群で、走運動持続時間が長い程、血中遊離脂肪酸濃度が高いことが分かった。つまり、血中遊離脂肪酸濃度の増加は、脂肪細胞内に蓄えられた中性脂肪が分解され、エネルギーとして利用するために血液中に放出されたことを示しており、ショウガオール摂取により、中性脂肪の分解が促進されたことが分かった。
また、図15より、飼料摂取量あたりの筋グリコーゲン量が多い程、運動持続時間が長いことが分かった。
【0027】
以上より、ショウガオール摂取により、脂肪代謝が活性化されて中性脂肪の分解が促進され、血中遊離脂肪酸濃度が増加すると共に、さらに、筋グリコーゲン蓄積量が増加することで、持久力向上効果が認められたと考えられる。
また、ショウガオール摂取により、中性脂肪の分解が促進されたことから、脂質代謝促進効果、脂肪燃焼促進効果が考えられ、ショウガオール摂取後に運動することで、抗肥満効果が期待できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15