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  • 特開-抗老化剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021291
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】抗老化剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9722 20170101AFI20220126BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20220126BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
A61K8/9722
A61Q19/08
A61P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204273
(22)【出願日】2020-12-09
(62)【分割の表示】P 2020124544の分割
【原出願日】2020-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】397046397
【氏名又は名称】株式会社東洋厚生製薬所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】輪嶋 将一
(72)【発明者】
【氏名】平良 司
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】新たなエラスターゼ阻害剤を提供すること。
【解決手段】海ブドウエキスを含むエラスターゼ阻害剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海ブドウエキスと、前記海ブドウエキスを抽出するための基材とを含むエラスターゼ阻害剤。
【請求項2】
請求項1に記載のエラスターゼ阻害剤を含有する抗老化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗老化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
海ブドウ(和名:クビレズタ)は、食品としてだけでなく化粧品や医薬品の成分としても注目されている海藻である。例えば、特許文献1には、特定の地域を原産地とする海ぶどうに含有される、リポキシゲナーゼ活性阻害成分を活用した化粧品、医薬品等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-12040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新たなエラスターゼ阻害剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
海ブドウが、リポキシゲナーゼ阻害活性の他にどのような生理活性機能を有しているかについては、未だ不明な点があった。本発明者らは、海ブドウエキスがエラスターゼ阻害活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、海ブドウエキスを含むエラスターゼ阻害剤を提供する。
【0007】
本発明は、上記エラスターゼ阻害剤を含有する抗老化剤を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、新たなエラスターゼ阻害剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エラスターゼ活性の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本実施形態に係るエラスターゼ阻害剤は、海ブドウエキスを含み、海ブドウエキスに由来するエラスターゼ阻害活性を有する。
【0012】
エラスチンは、細胞外マトリックス分解酵素の1種であるエラスターゼにより分解される。エラスチンはコラーゲン線維間を繋ぐバネのような役割をしており、エラスターゼがエラスチンを分解することは、皮膚の弾力性が失われ、皮膚のしわ、たるみ等が形成される一因となる。したがって、エラスターゼ活性を阻害すれば、しわ、たるみ等の発生を抑制することができると考えられる。
【0013】
海ブドウエキスは、例えば、実施例にて説明する方法で抽出することができる。すなわち、海ブドウエキスは、海ブドウを、後述する基材等に浸漬して抽出することで得られる。この場合、抽出した海ブドウエキスは基材等と分離することなく使用することができる。つまり、本実施形態に係るエラスターゼ阻害剤は、海ブドウエキスと基材とを含み得る。なお、抽出した海ブドウエキスを基材と分離して使用することが妨げられるものではない。
【0014】
基材としては、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類及びこれらの水溶液が挙げられる。
【0015】
エラスターゼ阻害剤の全質量に対する、海ブドウエキスと基材との合計質量の割合は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。また、上記割合は、0.75質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.25質量%以下であることがさらに好ましい。上記割合がこの範囲にあると、エラスターゼ活性がより阻害される。
【0016】
本実施形態に係る抗老化剤は、上記エラスターゼ阻害剤を含有し、抗老化作用を有する。抗老化作用は、皮膚の老化を抑制する作用であってよく、より具体的には、加齢、紫外線の照射等による皮膚の機能低下を抑制又は改善する作用であってよい。抗老化作用は、皮膚のしわ、たるみ、硬化等を抑制又は改善する作用であってもよい。なお、上記エラスターゼ阻害剤は、抗老化作用に加えて血流促進作用も有しており、所望の成分と混合して血流促進剤として使用することもできる。
【0017】
本実施形態に係る抗老化剤は、化粧品に含有させて使用することができる。化粧品は、所望の形態とすることができ、例えば、乳液、洗顔料、クリーム、化粧水、ジェル、日焼け止め、ファンデーション、パック、チーク、アイクリーム、アイシャドー、アイライナー等が挙げられる。
【0018】
上述した化粧品は、上記の基材以外に、化粧料で通常使用される任意の成分を添加することができる。このような任意成分の具体例としては、例えば、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素剤、金属封鎖剤、防腐剤、pH調整剤、香料、ミツロウ等が挙げられる。このような任意成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【実施例0019】
以下、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0020】
<海ブドウエキスの抽出>
30% 1,3-ブチレングリコール水溶液1kgに海ブドウ100gを浸漬した。7日間抽出を行い、濾紙フィルターにて濾過し、メンブランフィルターにて除菌して、被験品とした。
【0021】
得られた被験品を、超純水(CAS No.7732-18-5,Wako,Japan)によって0.1%の濃度に希釈した。対照は超純水とした。
【0022】
<エラスターゼ活性測定>
1)96ウェルプレートに50μLの被験品又は対照、50μLの1.25μg/mLエラスターゼ酵素(CAS No.39445-21-1,Sigma―Aldrich,USA)溶液、100μLのN―Succinyl-Ala-Ala-Ala-p―Nitroanilide(CAS No.52299-14-6,Sigma―Aldrich,USA)溶液を加え、270rpmで30秒間振とうした後、37℃で15分間インキュベートした。吸光度測定に使用するブランクでは、エラスターゼ酵素の代替として0.05M Tris-HCl bufferを用いた。被験品、対照のいずれについても3ウェルずつ使用した。
2)96ウェルプレートを270rpmで10秒間振とうし、ウェル内の色素を均一に分散した後、マイクロプレートリーダーを用いて415nmの吸光度(OD415)を測定した。
3)得られたOD415を用いて、エラスターゼ活性率を下記式(1)により算出した。3ウェル分の活性率の平均値を求め、被験品及び対照のエラスターゼ活性率とした。結果を図1に示す。なお、エラスターゼ阻害率は、下記式(2)によって求めることが可能である。
エラスターゼ活性率(%)=(S-SB)/(C-CB)×100・・・(1)
エラスターゼ阻害率(%)={(C―CB)-(S-SB)}/(C-CB)×100・・・(2)
C:対照のOD415
CB:対照のブランクOD415
S:被験品のOD415
SB:被験品のブランクOD415
図1