(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021309
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】前方にあるカーブを通過する際に、エゴ・車両の車両運転手をサポートするための方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220126BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20220126BHJP
B60W 40/068 20120101ALI20220126BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220126BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W40/06
B60W40/068
B60W60/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021113400
(22)【出願日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10 2020 209 169.2
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ヤコフ・シュプリアン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・エルシュ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェル・ヴァーグナー
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA17
3D241BA49
3D241BB27
3D241BB30
3D241BC01
3D241CC01
3D241CC08
3D241CD12
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB09Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】前方にあるカーブを通過する際に、エゴ・車両の車両運転手をサポートするための方法を提供する。
【解決手段】前方にあるカーブのカーブ経路とカーブ進入ポイントを割出すステップ、但し、該カーブ進入ポイントの設定は、割出されたカーブ経路とその時点のエゴ・車両の自速度及び/或いはその時点の加速度に依存して実施されるカーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移を割出すステップ、期待される実測・自速度と、カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移を比較するステップ、及び、期待される実測・自速度が、予め定められている速度・閾値を超えている場合は、ドライバーに依存せず、エゴ・車両の目標・自速度を、割出されたカーブ進入ポイントに対して制御するステップ、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを包含することを特徴とする前方にあるカーブを通過する際に、エゴ・車両の車両運転手をサポートするための方法(100):
-前方にあるカーブのカーブ経路とカーブ進入ポイントを割出すステップ(101)、但し、該カーブ進入ポイントの設定は、割出されたカーブ経路とその時点のエゴ・車両の自速度及び/或いはその時点の加速度に依存して実施される;
-カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移を割出すステップ(102);
-期待される実測・自速度と、カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移を比較するステップ(103)、及び、期待される実測・自速度が、予め定められている速度・閾値を超えている場合は、ドライバーに依存せず、エゴ・車両の目標・自速度を、割出されたカーブ進入ポイントに対して制御するステップ(104)。
【請求項2】
カーブ進入ポイントを設定するために、カーブ推移を通過する間の時間領域に対するエゴ・車両の基準・自速度が割出され、限界速度推移が、前方にあるカーブの割出されたカーブ経路に基づいて割出され、限界速度推移の低い点が、クリティカルなカーブポイントとして評価され、且つ、カーブ開始からクリティカルなカーブポイントまでの間において、基準・自速度を初めて下回る限界速度推移のウェイポイントが、カーブ進入ポイントとして定められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
捕捉されたクリティカルなカーブポイントまでに最大可能な減速が割出され、カーブ進入ポイントが、本質的に、捕捉されたクリティカルなカーブポイントまでの割出された最大可能な減速の路程に対応するウェイポイントとして設定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
カーブを通過するための限界速度推移を、予め定められた横方向加速度と前方にあるカーブの割出されたカーブ経路を基に割出すことを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
予め定められている横方向加速度を割出すために摩擦係数が設定されるが、該摩擦係数の設定が、摩擦係数推定手段を用いて、或いは、ヒューマン・マシーン・インターフェースを介した車両運転手の入力によって実施されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
摩擦係数が、車両運転手が選択した走行モードに基づいて定められることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前方にあるカーブのカーブ経路が、デジタル地図マテリアル、及び/或いは、カメラデータを用いて割出されることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
エゴ・車両をガイドするためのコンピュータープログラム・プロダクトであって、エゴ・車両の制御手段乃至コンピュータにおいて実行されると、先行請求項のうち何れか一項に記載の方法(100)を実施する命令を包含していることを特徴とするコンピュータープログラム・プロダクト。
【請求項9】
以下を包含することを特徴とする前方にあるカーブを通過する際に、エゴ・車両の車両運転手をサポートするための装置:
前方にあるカーブのカーブ経路とカーブ進入ポイントを割出すための処理手段、
但し、該処理手段が、カーブ進入ポイントを、割出されたカーブ経路とエゴ・車両のその時点の自速度、及び/或いは、その時点の加速度に基付いて割出す様に構成されており;
該処理手段が、カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移を割出すことができる様に構成されており;
且つ、該処理手段が、期待される実測・自速度とカーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移とを比較する様に構成されている、
並びに、期待される実測・自速度が、予め定められている速度・閾値を超えている場合に、ドライバーに依存せず、エゴ・車両の目標・自速度を、割出されたカーブ進入ポイントに対して制御する様に構成されている制御手段。
【請求項10】
請求項9の装置を搭載した車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方にあるカーブを通過する際に、エゴ・車両の車両運転手をサポートするための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代的な動力車両は、車両の走行挙動に適切に影響を与えることができるESC(Electronic Stability Control)などと言った走行ダイナミクス帰還制御システムを複数装備している。走行安定性を確保するため、即ち、車両がドライバーのプリセットに従うことを確かなものとするため、自動的な車輪毎個々の制動力を生成させる、及び/或いは、駆動モーメントを低減させることができる。制御介入は、ドライバーの入力(ハンドル、ブレーキ、アクセル)から直接的に導き出され、それに反応する形で実施される、即ち、走行挙動が、測定可能な値分、車両モデルに基づいて算出されたドライバーの意図から逸脱した後に始めて、走行ダイナミクス帰還制御による介入が実施される。能動的な走行ダイナミクス帰還制御システムは、例えば、欧州特許EP 0 792 229 B1より既知である。
【0003】
最近では、危険になり得るカーブ状況に対するドライバーへの早期の警告を実施するアプローチが、試みられている。デジタル地図を用いて、前方にあるカーブに関する情報、例えば、幾何学的特徴が割出される。この際、エゴ・車両の位置(エゴ・ポジション)は、衛星ナビゲーション(GPS:Global Positioning System)のみ、乃至、慣性センサ手段或いは慣性ナビゲーションとの組み合わせを基に、電子的制御手段(IPC:Inertial and Position Cluster)を用いて、割出される。この様なCSWシステムは、ドライバーが、カーブに速すぎる速度で接近した場合に、警告を発する。
【0004】
特に、車両速度が、限界速度を有意に超えている場合、ドライバーの反応は、遅すぎる、及び/或いは、躊躇し過ぎであることが起こり得る。この様な背景から、車両速度を低減するために、ドライバーに依存しない制動、及び/或いは、駆動モーメントの低減を実施する、ドライバー・アシスタントやPreviewESC(ESC=電子安定化制御)などの安定化機能が、既知である。例えば、DE102012212616A1からは、道程情報や車両のその時点のポジションデータを基にして、クリティカルな走行状況が予測される場合に、ドライバーに依存しない制動介入を作動させる車両の走行安定性を改善するための方法が、既知である。その時点の走行速度から、ブレーキ介入を、車両の二つ乃至それ以上の車輪に実施する、及び/或いは、駆動モーメントを低減することにより、限界速度へと導く。ある実施形態によれば、作用するブレーキ力は、その時点の車両速度と限界速度との差、及び/或いは、最低のカーブ半径を有する路程のポイントまでの距離に応じて、選択される。これが、可能な限り円滑な走行と不適切に強いブレーキ介入を回避することを可能にする。
【0005】
カーブ半径の絶対値に速度を合わせるシステムは、カーブを通過する際、静的で柔軟性のない制御が実施されると言う欠点を有しており、そのため、介入が早すぎたり、遅すぎたりすることが起こり得る。特に、ブレーキ介入が遅すぎた場合、縦方向に掛け得る力は、横方向のダイナミクスから強く制限され、その結果、車両が不安定になり得る。更に、柔軟性のない制御は、ドライバーに、車両制御が、無作為であると言う印象を与える。一方、ドライバーは、安全を優先するのみならず、滑らか且つ理解し得る車両制御を望んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 0 792 229 B1
【特許文献2】DE102012212616A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明の課題は、前方にあるカーブを通過する際のサポート時にドライバーにとって改善された走行感を達成する方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、本発明において、請求項1に係る方法、請求項8に係るコンピュータプログラム製品、請求項9に係る装置、並びに、請求項10に係る車両によって解決される。本発明の好ましい、乃至、有利な実施形態は、従属請求項、以下の明細、並びに、図によって示される。
【0009】
ここでは、前方にあるカーブを通過する際に、エゴ・車両の車両運転手をサポートするための方法が、提供される。そのため、該方法は、以下のステップを包含している:カーブ経路、言い換えれば、曲率の変化と、前方にあるカーブのカーブ進入ポイントを割出すステップ。カーブ進入ポイントの設定は、少なくとも、割出されたカーブ経路、エゴ・車両のその時点の自速度、及び/或いは、その時点の加速度に依存して実施される。ここで言う「加速度」と言う定義には、エゴ・車両の負の加速も包含される。「その時点の自速度」、乃至、「その時点の加速度」とは、特に好ましくは、例えば、特定の時間範囲、或いは、設定された、エゴ・車両が、前方にあるカーブに侵入する時点などに捕捉された少なくとも一つの値のことである。特に、時間範囲乃至時点は、前方にあるカーブに、例えば、該カーブにおいて割出されたクリッピングポイントに到達するまでに必要な時間、乃至、その地点までの距離を基に定められることができる。
【0010】
更に、カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移が、割出される。特に、最大許容される限界速度推移は、カーブ経路に沿って可能な最高の速度、或いは、それを超えるとエゴ・車両が、オーバーステアリング乃至アンダーステアリングによってスピンする結果に至り得るエゴ・車両の速度を示している。
【0011】
そして、期待される実測・自速度と、カーブ経路に沿った、特に、クリッピングポイントにおける最大許容される限界速度推移が比較される。この際、期待される実測・自速度は、例えば、直前に迫っている進入時点においてエゴ・車両の捕捉された自速度を補外することによって割出される。
【0012】
更に、期待される実測・自速度が、少なくとも、或いは、丁度、予め定められている速度・閾値を超えている場合には、エゴ・車両の割出された目標・自速度になるよう設定されたカーブ進入ポイントからのドライバーに依存しない制御、特に、ブレーキ介入も実施される。ここで言う「目標・自速度」とは、特に好ましくは、カーブ経路に沿って設定される一つの乃至複数の、安全にカーブを通過できる、即ち、最大許容される限界速度推移以下であり、操舵性とレーン維持を確実に実施できる速度値のことである。少なくとも、或いは、丁度、予め定められている速度・閾値である場合、それは、例えば、割出された最大許容速度推移の最小値である。目標・自速度は、例えば、カーブ経路及び車両モデルから割出される。
【0013】
カーブ進入ポイントを設定することにより、割出されたカーブ経路とその時点の自速度乃至加速度に応じた、予めカーブ進入ポイントを定めることなく、カーブに進入する前のエゴ・車両の車両ダイナミクスに従って定められる。この様にすることで、低速で走行している車両では、カーブ進入ポイントは、路程の後方へシフトさせるが、同じカーブにおいて、車両が、比較的高い速度で走行している場合は、該カーブ進入ポイントを、前方へとシフトさせる。これにより、一様であり、その結果、搭乗者に快適で、ダイナミック、且つ、理に適った車両制御であるという感覚を与えることができると言う著しい長所が得られる。同時に、自速度とカーブ経路との相関関係から、その時点の交通状況に合わせたブレーキ介入を可能にし、その結果、速度が高すぎる場合の緊急ブレーキと比較して、多くの場合、改善された走行安定性に貢献するカーブ進入ポイントが割出される。
【0014】
カーブ進入ポイントを設定するために、ある好ましい実施形態では、カーブ推移を通過する間の時間領域に対するエゴ・車両の基準・自速度が割出される。尚、カーブ経路に沿って期待される実測・自速度に乗算される経験則的に割出されたファクタを用いて該基準・自速度が、割出されることが特に好ましい。また、限界速度推移は、前方にあるカーブの割出されたカーブ経路に基づいて割出されることが好ましい。更に、限界速度推移の最低点は、クリティカルなカーブポイントとして評価される。ここで言う「クリティカルなカーブポイント」とは、例えば、クリッピングポイント付近、及び/或いは、カーブの曲率が最も高い付近のことである。尚、カーブ開始からクリティカルなカーブポイントまでの間において、基準・自速度を初めて下回る限界速度推移のウェイポイントが、カーブ進入ポイントとして定められることが特に好ましい。これにより、効率が良く且つ信頼性が高いカーブ進入ポイントの設定が、実施できる。
【0015】
ある好ましい更なる実施形態では、捕捉されたクリティカルなカーブポイントまでに最大可能な減速が割出されるが、カーブ進入ポイントは、本質的に、捕捉されたクリティカルなカーブポイントまでの割出された最大可能な減速の路程に対応するウェイポイントとして設定される。本発明における「本質的(実質的)」と言う表現には、正確な値から、それぞれ+/-10%、好ましくは、+/-5%以内の誤差、及び/或いは、機能に対して有意性のない誤差が含まれている。オプションとして補足的に、カーブ進入ポイントを設定するための最大可能な減速の路程は、例えば、予期しない誤差や不正確さが有ったとしても、ドライバーにとって快適な制御挙動を確保するために、付加的な堅牢性を与える路程区間によって補足されることもできる。この実施形態も、カーブ進入ポイントを可能な限り正確に、その時点の交通条件や走行ダイナミクス条件に合わせて設定できる良好な例の一つである。
【0016】
尚、カーブを通過するための限界速度推移を、予め定められた横方向加速度と前方にあるカーブの割出されたカーブ経路を基に割出すことも好ましい。例えば、予め定められている横方向加速度は、数学的モデルによって、割出されることができる。
【0017】
予め定められている横方向加速度を割出すために、特にエゴ・車両のタイヤと路面との間の摩擦係数が、同定される。摩擦係数の同定は、例えば、エゴ・車両の摩擦係数推定手段、即ち、オンボードで、そして、代案的乃至オプションとして補足的にC2Xコミュニケーション手段、特に、例えば摩擦係数地図を提供するクラウドを用いて実施できる。
【0018】
代案例としては、悪天候条件でも安全にカーブを通過できることを保証できる一定の値の摩擦係数を定めておく。好ましい実施形態では、摩擦係数は、例えば、HMIとして既知なヒューマン・マシーン・インターフェースを介した入力によって、エゴ・車両の車両運転手に定めさせることも想定している。特に、摩擦係数を、車両運転手が、選択した走行モードによって定めることは、好ましい。走行モードに従って、様々な横方向加速度と、それに起因して異なる摩擦係数が得られる。これにより、例えば、快適モードを選択した場合、スポーツモードを選択した場合と比較して、低い横方向加速度が、望まれる。更には、エゴ・車両の評価手段が、特定の道路条件や天候条件を評価し、それに、特定の摩擦係数を帰属させることも考え得る。例えば、該評価手段は、車載カメラ手段のカメラ画像を用いて、ワイパーの操作に基づいて、或いは、その他の車両運転手が行う直接的乃至間接的な入力に基づいて、その時点の路面条件を評価し、それに帰属している摩擦係数を割出すことができる様に構成されている。この様にすることで、予め定められる横方向加速度をその時点の路面条件に適応させることができる。
【0019】
ある好ましい実施形態によれば、前方にあるカーブのカーブ経路は、デジタル地図マテリアル、及び/或いは、エゴ・車両の車載カメラ手段のカメラデータを用いて割出される。
【0020】
本発明の更なる対象は、エゴ・車両を運転するためのコンピュータープログラム・プロダクトに関するが、該コンピュータープログラム・プロダクトは、エゴ・車両の制御装置内乃至車載コンピュータ上で実行されたとき、先に説明された方法を実行する命令を包含している。
【0021】
本発明の更なる対象は、装置、特に、前方にあるカーブを通過する時用のドライバー・アシスタント手段や、その際に、エゴ・車両の車両運転手をサポートするための安定化手段に関し、該装置は、前方にあるカーブのカーブ経路とカーブ進入ポイントを割出すための処理手段を包含しているが、該処理手段は、カーブ進入ポイントを、割出されたカーブ経路とエゴ・車両のその時点の自速度、及び/或いは、その時点の加速度に基付いて割出す様に構成されており、該処理手段は更に、カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移を割出すことができる様に構成されており、且つ、該処理手段は、期待される実測・自速度とカーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移とを比較する様に構成されている。該装置は、期待される実測・自速度が、予め定められている速度・閾値を超えている場合には、ドライバーに依存せず、エゴ・車両の目標・自速度を、割出されたカーブ進入ポイントに対して制御する様に構成されている制御手段を包含している。これにより、該装置は、特に好ましくは、車両運転手を、好ましくは、エゴ・車両が、速度が速すぎるために、クリティカルな走行安定性シチュエーションになる前に、ブレーキ介入によってサポートすることができる様に構成されている。
【0022】
本発明の更なる対象は、上述の装置を装備した車両に関するものである。
【0023】
以下、目的にかなった実施例によって、本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るフローチャートを簡略化した模式図によって示している。
【
図2】その上のグラフに、カーブ経路の例を、下のグラフに、それに対応するカーブ進入ポイントの割出し方法の第一実施例を示している。
【
図3】上のグラフに、カーブ経路の例を、下のグラフに、それに対応するカーブ進入ポイントの割出し方法の第二実施例を示している。
【
図4】上のグラフに、カーブ経路の例を、下のグラフに、それに対応するカーブ進入ポイントの割出し方法の第二実施例を示している。
【
図5】上のグラフに、カーブ経路の例を、下のグラフに、それに対応するカーブ進入ポイントの割出し方法の第二実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、前方にあるカーブを通過する際にエゴ・車両の車両運転手をサポートするための本発明に係る、以下のステップを有する方法100の簡略化したフローチャートを示している:前方にあるカーブのカーブ経路とカーブ進入ポイントを割出すステップ101、但し、該カーブ進入ポイントの設定は、割出されたカーブ経路とその時点のエゴ・車両の自速度及び/或いはその時点の加速度に依存して実施される。カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移が、割出されるステップ102。次に、期待される実測・自速度と、カーブ経路に沿った最大許容される限界速度推移を比較するステップ103が実施され、期待される実測・自速度が、予め定められている速度・閾値を超えている場合は、ドライバーに依存せず、エゴ・車両の目標・自速度を、割出されたカーブ進入ポイントに対して制御するステップ104が実施される。
【0026】
カーブ進入ポイントを割出すための第一実施例を、
図2の簡略化したダイヤグラムを用いて説明する。
図2には、エゴ・車両が通過するカーブのカーブ経路の例が、第一ダイヤグラムが、示されている。ここで言う「クリティカル・ポイント」とは、カーブが最も急に曲っている点である。その下に有る第二のダイヤグラムには、カーブ経路に沿った限界速度推移と期待される実測・自速度の一例が、示されている。限界速度推移は、例えば、前方にあるカーブの割出されたカーブ経路に基づいて割出されるが、限界速度推移の低い点が、クリティカルなカーブポイントとして評価される。カーブ進入ポイントを設定するために、カーブ推移を通過する間の時間領域に対するエゴ・車両の基準・自速度が割出される。カーブ経路に沿って期待される実測・自速度に乗算される経験則的に割出されたファクタkを用いて該基準・自速度が、割出される。期待される実測・自速度に経験則的に割出されたファクタkを掛けることにより、エゴ・車両が、カーブ経路の交点において安定であることが確保される。カーブ開始からクリティカルなカーブポイントまでの間において、基準・自速度を初めて下回る限界速度推移のウェイポイントは、この図では限界速度と基準速度の推移の交点として示されているカーブ進入ポイントとして定められる。本発明に係る方法は、カーブを通過する際、一様且つコントロールされたブレーキ介入力を、向上させる。
【0027】
カーブ進入ポイントを割出すための第二実施例を、
図3から5の簡略化したダイヤグラムを用いて同様に説明する。
図2と同様、カーブ経路の例を、第一ダイヤグラムに示す。
図3から5の下側のダイヤグラムは、カーブ経路に沿った限界速度推移、期待される実測・自速度、並びに、最大限可能な自動制動における自速度推移が示されている。従って、補足されたクリティカルなカーブポイントまでの最大可能な制動は、数学的モデルによって、割出される。特に、カーブ進入ポイントは、本質的に、捕捉されたクリティカルなカーブポイントまでの割出された最大可能な減速の路程に対応するウェイポイントとして設定される。オプションとして補足的に、この路程には、より穏やかな制御が望まれる場合、更なる安全路程を考慮することもできる。
【0028】
横方向のダイナミクスが優勢で有るため、
図3から5に、異なる最大限可能な自動制動における自速度推移の例として示されている如く、ある程度の制動しか実施できない。
【0029】
最大限可能な自動制動は、二つの異なるファクタによって制限され得る。一つは、機能設計、
図3と4に示す如く、例えば、2.5m/s
2以下に予め定められている制動が挙げられる。二つ目としては、
図5に示す如く、走行ダイナミクスの物理的な限界が挙げられる。後者によれば、期待される実測・自速度と限界速度との差が小さければ小さいほど、「カムの円(Kammsche Kreis)」とも呼ばれ車両のタイヤが縦方向と横方向へ導く力の理想的な関係を示すトラクション・サイクルをより限界まで使い切り、その結果として、制動をより小さくできる。
【外国語明細書】