(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021327
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】整流回路装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
H02M7/12 S
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021118437
(22)【出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】10 2020 119 105.7
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シュペッサー
(72)【発明者】
【氏名】ティム フィッツェンマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン エントレス
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA07
5H006CB09
5H006CC01
5H006CC02
5H006CC08
5H006DA02
5H006DB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】整流回路装置及びその動作方法を提供する。
【解決手段】AC電圧をDC電圧に整流するための整流回路装置20は、端子21~24と、回路装置31~36と、相互接続装置26と、中間回路50と、を有する。端子は、第一の端子と第二の端子とを含む。中間回路は、第一の線51、第二の線52及び第一の線と第二の線との間の少なくとも1つのコンデンサ61、62を有し、回路装置は、夫々第一の回路装置端子A及び第二の回路装置端子Bを有し、それらの間において、切替装置及び切替装置と直列に接続されたコイルが提供される。相互接続装置は、少なくとも第一の構成及び第一の構成と異なる第二の構成を可能にするように設計される。第一の構成では、第一の端子、少なくとも1つの第一の回路装置端子に接続される。第二の構成では、第一の端子は、少なくとも1つの第二の回路装置端子に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC電圧(L1、L2、L3;HOT1、HOT2)をDC電圧(DC+、DC-)に整流するための整流回路装置(20)であって、
端子(21、22、23、24)と、回路装置(31、32、33、34、35、36)と、相互接続装置(26)と、中間回路(50)とを有し、
前記端子(21、22、23、24)は、第一の端子(22)と第二の端子(21)とを含み、前記中間回路(50)は、第一の線(51)、第二の線(52)及び前記第一の線(51)と前記第二の線(52)との間の少なくとも1つのコンデンサ(61、62)を有し、
前記回路装置(31、32、33、34、35、36)は、それぞれ第一の回路装置端子(A)及び第二の回路装置端子(B)を有し、それらの間において、切替装置(92)及び前記切替装置(92)と直列に接続されたコイル(91)が提供され、前記回路装置(31、32、33、34、35、36)の前記第一の回路装置端子(A)と、前記関連する第二の回路装置端子(B)との間の前記切替装置(92)及び前記コイル(91)の順序は、それぞれの場合に同じであり、
前記切替装置(92)は、前記第一の線(51)及び前記第二の線(52)に相互接続され、及び
前記相互接続装置(26)は、少なくとも第一の構成及び前記第一の構成と異なる第二の構成を可能にするように設計され、
前記第一の構成では、前記第一の端子(22)は、少なくとも1つの第一の回路装置端子(A)に接続され、及び前記第二の構成では、前記第一の端子(22)は、少なくとも1つの第二の回路装置端子(B)に接続される、整流回路装置(20)。
【請求項2】
前記第一の回路装置端子(A)と前記第二の回路装置端子(B)との間の前記順序は、以下:
- 第一の回路装置端子(A)、
- 切替装置(92)、
- コイル(91)、
- 第二の回路装置端子(B)
である、請求項1に記載の整流回路装置。
【請求項3】
前記第一の回路装置端子(A)と前記第二の回路装置端子(B)との間の前記順序は、以下:
- 第一の回路装置端子(A)、
- コイル(91)、
- 切替装置(92)、
- 第二の回路装置端子(B)
である、請求項1に記載の整流回路装置。
【請求項4】
前記相互接続装置(26)は、
前記第一の構成において、前記第一の端子(22)を複数の第一の回路装置端子(A)に接続することと、
前記第二の構成において、前記第一の端子(22)を複数の第二の回路装置端子(B)に接続することと
を行うように設計される、請求項1~3の何れか一項に記載の整流回路装置(20)。
【請求項5】
前記相互接続装置(26)は、前記第一の構成において、前記第一の端子(22)を第二の回路装置端子(B)に接続しないように設計される、請求項1~4の何れか一項に記載の整流回路装置(20)。
【請求項6】
前記相互接続装置(26)は、前記第二の構成において、前記第一の端子(22)を第一の回路装置端子(A)に接続しないように設計される、請求項1~5の何れか一項に記載の整流回路装置(20)。
【請求項7】
偶数の回路装置(31~36)を有し、前記相互接続装置(26)は、前記第二の構成において、前記第一の端子(22)を前記回路装置(31~36)の半分の前記第二の回路装置端子(B)に接続するように設計される、請求項1~6の何れか一項に記載の整流回路装置。
【請求項8】
前記相互接続装置(26)は、前記第一の構成及び前記第二の構成において、前記第二の端子(21)を少なくとも1つの第一の回路装置端子(A)のみ又は少なくとも1つの第二の回路装置端子(B)のみの何れかに接続するように設計される、請求項1~7の何れか一項に記載の整流回路装置(20)。
【請求項9】
前記回路装置(31~36)は、少なくとも2つの第一の回路装置(31、32、33)及び少なくとも2つの第二の回路装置(34、35、36)を有し、
前記第一の回路装置(31、32、33)の前記第二の回路装置端子(B)は、第一の点(134)において相互に電気的に接続され、
前記第二の回路装置(34、35、36)の前記第二の回路装置端子(B)は、第二の点(257)において相互に電気的に接続され、及び
前記相互接続装置(26)は、前記第一の点(134)及び前記第二の点(257)の電気的接続又は前記電気的接続の切断の何れかを可能にするように設計される、請求項1~8の何れか一項に記載の整流回路装置。
【請求項10】
少なくとも6つの回路装置(31~36)を有し、前記端子(21、22、23、24)は、第三の端子(23)及び第四の端子(24)を含む、請求項1~9の何れか一項に記載の整流回路装置。
【請求項11】
前記相互接続装置(26)は、前記第一の構成に対応する第三の構成を可能にするように設計され、前記第一の端子(22)、前記第二の端子(21)及び前記第三の端子(23)は、それぞれ少なくとも2つの第一の回路装置端子(A)に接続され、前記第四の端子(24)は、少なくとも6つの第二の回路装置端子(B)に接続される、請求項10に記載の整流回路装置。
【請求項12】
前記相互接続装置(26)は、前記第二の構成に対応する第四の構成を可能にするように設計され、前記第一の端子(22)及び前記第三の端子(23)は、それぞれの場合に少なくとも3つの第一の回路装置端子(A)に接続され、前記第二の端子(21)及び前記第四の端子(24)は、それぞれの場合に少なくとも3つの第二の回路装置端子(B)に接続される、請求項10又は11に記載の整流回路装置。
【請求項13】
前記切替装置(92)は、ダイオード(111;112)と、前記ダイオードに並列に逆接続された半導体スイッチ(110A;110B)とを有して、前記ダイオード(111;112)を介した1つの方向における電流の流れを可能にし、且つ前記半導体スイッチ(110A;110B)を介した反対の第二の方向における電流の流れを可能にし、前記ダイオード(111;112)は、好ましくは、ショットキーダイオードの形態である、請求項1~12の何れか一項に記載の整流回路装置。
【請求項14】
前記相互接続装置(26)は、相互接続マトリクスの形態であり、前記第一の構成及び前記第二の構成に加えて、少なくとも1つのさらなる異なる構成、好ましくは少なくとも2つのさらなる異なる構成を可能にする、請求項1~13の何れか一項に記載の整流回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許出願公開第2015/0061606 A1号明細書)は、異なる速度を有する発電機のための整流回路と直列に接続された複数の受動整流回路を開示している。
【0003】
特許文献2(米国特許第5,952,812 A号明細書)は、整流回路の入力接続と並列に接続されたインダクタ又はコイルを開示している。
【0004】
特許文献3(米国特許出願公開第2010/0220501 A1号明細書)は、各々が関連する変圧器に電源供給する、並列に接続された2つのインバータに出力側で接続された整流回路を開示している。
【0005】
特許文献4(欧州特許出願公開第2 567 857 A1号明細書)は、スイッチングメカニズムによる電圧変換器の全位相の相互接続を開示している。
【0006】
特許文献5(欧州特許第0 660 498 A2号明細書)は、Vienna整流回路及びその動作方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0061606 A1号明細書
【特許文献2】米国特許第5,952,812 A号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0220501 A1号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2 567 857 A1号明細書
【特許文献5】欧州特許第0 660 498 A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、新規な整流回路装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、特許請求項1の主題によって達成される。
【0010】
AC電圧をDC電圧に整流するための整流回路装置は、端子と、回路装置と、相互接続装置と、中間回路とを有し、その端子は、第一の端子と第二の端子とを含み、その中間回路は、第一の線、第二の線及び第一の線と第二の線との間の少なくとも1つのコンデンサを有し、その回路装置は、それぞれ第一の回路装置端子及び第二の回路装置端子を有し、それらの間において、切替装置及び切替装置と直列に接続されたコイルが提供され、回路装置の第一の回路装置端子と、関連する第二の回路装置端子との間の切替装置及びコイルの順序は、それぞれの場合に同じであり、その切替装置は、第一の線及び第二の線に相互接続され、及びその相互接続装置は、少なくとも第一の構成及び第一の構成と異なる第二の構成を可能にするように設計され、その第一の構成では、第一の端子は、少なくとも1つの第一の回路装置端子に接続され、及びその第二の構成では、第一の端子は、少なくとも1つの第二の回路装置端子に接続される。したがって、相互接続装置により、端子と回路装置との間の異なる構成が可能となる。異なる構成の結果として、第一の端子は、回路装置に順方向にも逆方向にも接続できる。それにより、相互接続装置は、接続された電源ネットワークに応じて適当な回路装置端子において第一の端子を回路装置に接続することが可能となる。
【0011】
1つの好ましい実施形態によれば、第一の回路装置端子と第二の回路装置端子との間の順序は、以下:
- 第一の回路装置端子、
- 切替装置、
- コイル、
- 第二の回路装置端子
である。
【0012】
1つの好ましい実施形態によれば、第一の回路装置端子と第二の回路装置端子との間の順序は、以下:
- 第一の回路装置端子、
- コイル、
- 切替装置、
- 第二の回路装置端子
である。
【0013】
1つの好ましい実施形態によれば、相互接続装置は、第一の構成において、第一の端子を複数の第一の回路装置端子に接続することと、第二の構成において、第一の端子を複数の第二の回路装置端子に接続することとを行うように設計される。その結果、第一の端子は、複数の回路装置に順方向又は逆方向に接続されることが可能である。
【0014】
1つの好ましい実施形態によれば、相互接続装置は、第一の構成において、第一の端子を第二の回路装置端子に接続しないように設計される。
【0015】
1つの好ましい実施形態によれば、相互接続装置は、第二の構成において、第一の端子を第一の回路装置端子に接続しないように設計される。
【0016】
整流回路装置が、中性線を有する電源ネットワークに接続される場合、回路装置の効率は、中性線が切替装置側又はコイル側に接続される場合と異なり得る。したがって、第一の端子を回路装置端子の1つのみに接続することが有利であり得る。
【0017】
1つの好ましい実施形態によれば、整流回路装置は、偶数の回路装置を有し、相互接続装置は、第二の構成において、第一の端子を回路装置の半分の第二の回路装置端子に接続するように設計される。整流回路装置が、中性線を有さない電源ネットワークに接続される場合、それぞれの場合に第一の端子及びまた好ましくは他の端子を回路装置の半分に接続することが有利である。
【0018】
1つの好ましい実施形態によれば、相互接続装置は、第一の構成及び第二の構成において、第二の端子を少なくとも1つの第一の回路装置端子のみ又は少なくとも1つの第二の回路装置端子のみの何れかに接続するように設計される。この方式により、相互接続装置内のスイッチの数を減らすことが可能となり、それは、端子を構成に関係なく、少なくとも部分的に所定の回路装置端子に接続できるからである。スイッチの数を減らすと電気抵抗が低下し、したがって損失が減少する一方、効率が向上してスイッチのコストが削減される。
【0019】
1つの好ましい実施形態によれば、回路装置は、少なくとも2つの第一の回路装置及び少なくとも2つの第二の回路装置を有し、第一の回路装置のその第二の回路装置端子は、第一の点において相互に電気的に接続され、第二の回路装置のその第二の回路装置端子は、第二の点において相互に電気的に接続され、及びその相互接続装置は、第一の点及び第二の点の電気的接続又はこの電気的接続の切断の何れかを可能にするように設計される。この方式により、相互接続装置内のスイッチの数を減らすことが可能となる。
【0020】
1つの好ましい実施形態によれば、整流回路装置は、少なくとも6つの回路装置を有し、端子は、第三の端子及び第四の端子を含む。単相及び三相電源ネットワークのためのほとんどの構成は、6つの回路装置を用いて実装できる。当然のことながら、それを超える回路装置も可能である。
【0021】
1つの好ましい実施形態によれば、相互接続装置は、第一の構成に対応する第三の構成を可能にするように設計され、第一の端子、第二の端子及び第三の端子は、それぞれ少なくとも2つの第一の回路装置端子に接続され、第四の端子は、少なくとも6つの第二の回路装置端子に接続される。この場合、第三の端子は、単独の第二の構成に対応するか、又は第三の構成と異なるさらなる構成も追加的に可能であり得る。この構成は、中性線を有する多相電源ネットワークを接続する場合に有利である。
【0022】
1つの好ましい実施形態によれば、相互接続装置は、第二の構成に対応する第四の構成を可能にするように設計され、第一の端子及び第三の端子は、それぞれの場合に少なくとも3つの第一の回路装置端子に接続され、第二の端子及び第四の接続は、それぞれの場合に少なくとも3つの第二の回路装置端子に接続される。この場合、第四の構成は、1つの第二の構成に対応し得るか、又は第二の構成に基づき、第四の構成と異なるさらなる構成も追加的に可能であり得る。この構成は、180°の位相ずれのある2つの位相を有する単相電源ネットワークを接続する場合に有利である。
【0023】
1つの好ましい実施形態によれば、切替装置は、第一の切替装置端子と第二の切替装置端子とを有し、且つ
- 第一の切替装置端子又は第二の切替装置端子から第一の線への電流を可能にすることと、
- 第二の線から第一の切替装置端子又は第二の切替装置端子への電流を可能にすることと、
- 切替装置の第一の状態において、第一の切替装置端子と第二の切替装置端子との間の電流を阻止することと、
- 切替装置の第二の状態において、第一の切替装置端子と第二の切替装置端子との間の電流を可能にすることと
を行うように設計される。
【0024】
1つの好ましい実施形態によれば、切替装置を通して流れる電流を制御するための電流コントローラがそれぞれ切替装置に割り当てられる。これにより、端子における最大電流を制限することが可能となる。
【0025】
1つの好ましい実施形態によれば、切替装置は、ダイオードと、ダイオードに並列に逆接続された半導体スイッチとを有して、ダイオードを介した1つの方向における電流の流れを可能にし、且つ半導体スイッチを介した反対の第二の方向における電流の流れを可能にする。ダイオードは、好ましくは、ショットキーダイオードの形態である。半導体スイッチにより、効率を高めることが可能となる。
【0026】
1つの好ましい実施形態によれば、相互接続装置は、相互接続マトリクスの形態であり、第一の構成及び第二の構成に加えて、少なくとも1つのさらなる異なる構成、好ましくは少なくとも2つのさらなる異なる構成を可能にする。相互接続マトリクスにより、複数のスイッチによって非常に自由に選択可能な構成が可能となり、その結果、多目的に使用可能な整流回路装置が得られる。
【0027】
本発明のさらなる詳細及び有利な改良形態は、後述され、図面に示される、本発明を限定すると決して解釈すべきではない例示的な実施形態及び特許請求の範囲の従属請求項から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】回路装置及び相互接続装置を有する整流回路装置を示す。
【
図2】
図1の整流回路装置の回路装置のための、切替装置を有する第一の実施形態を示す。
【
図3】
図1の整流回路装置の回路装置のための、切替装置を有する第二の実施形態を示す。
【
図7】
図2又は
図3の切替装置のための第一の実施形態を示す。
【
図8】
図2又は
図3の切替装置のための第二の実施形態を示す。
【
図9】相互接続マトリクスを有する整流回路装置のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面は、相互に関係付け且つ関連付けて説明される。同じ参照番号は、同じ要素を示し、これらの要素は、通常、一度のみ説明される。
【0030】
図1は、AC電圧をDC電圧に整流するための整流回路装置20を示す。整流回路装置20は、端子21、22、23、24及び25を有し、それを介して整流回路装置を電源ネットワーク10に接続できる。端子21、22、23及び24は、整流回路装置端子とも呼ばれ得、端子25は、保護導体PEに接続するための保護導体端子と呼ばれ得る。この例示的実施形態において、整流回路装置20は、6つの回路装置31、32、33、34、35及び36を有し、各々が第一の回路装置端子Aと第二の回路装置端子Bとを有する。整流回路装置20は、DC中間回路50を有し、これは、第一の線51(DC+)、第二の線52(DC-)及び第一の線51と第二の線52との間の少なくとも1つのコンデンサ61、62を有する。第一の線51及び第二の線52は、それぞれ回路装置31~36に接続され、これは、回路装置内で指示符号DC+及びDC-により示されている。
【0031】
端子21は、干渉抑制チョーク211及びスイッチ221を介して点131に接続される。端子22は、干渉抑制チョーク212及びスイッチ222を介して点132に接続される。端子23は、干渉抑制チョーク213及びスイッチ223を介して点133に接続される。端子24は、干渉抑制チョーク214及びスイッチ224を介して点134に接続される。干渉抑制チョーク211、212、213及び214は、無線周波数干渉信号のためのフィルタとして使用される。スイッチ221、222、223及び224により、整流回路装置20を電源ネットワーク10から切断することが可能となる。干渉抑制チョーク及びスイッチ221~224の両方が絶対に必要というわけではない。相互接続装置は、スイッチ251、252、253、254、255及び256を有する。
【0032】
点131は、回路装置31及び32の第一の回路装置端子Aに接続され、スイッチ251を介して回路装置33の第一の回路装置端子Aに接続される。
【0033】
点132は、スイッチ252を介して回路装置33の第一の回路装置端子Aに接続され、スイッチ253を介して点257に接続される。
【0034】
回路装置33の第一の回路装置端子Aは、スイッチ254を介して回路装置34の第一の回路装置端子Aに接続される。
【0035】
回路装置34の第一の回路装置端子Aは、スイッチ255を介して点133に接続される。
【0036】
点133は、回路装置35及び36の第一の回路装置端子Aに接続される。
【0037】
点134は、回路装置31、32及び33の第二の回路装置端子Bに接続される。
【0038】
点257は、回路装置34、35及び36の第二の回路装置端子Bに接続される。点257は、追加的に、スイッチ256を介して点134に接続される。
【0039】
第一の線51は、コンデンサ61を介して点260に接続され、点260は、コンデンサ62を介して線52に接続される。コンデンサ61、62は、中間回路コンデンサと呼ばれることもある。点260は、スイッチ261を介して点257に接続される。
【0040】
図2は、回路装置31の第一の例示的な実施形態31Aを示す。コイル91及び切替装置92は、第一の回路装置端子Aと第二の回路装置端子Bとの間に直列に接続される。第一の回路装置端子Aと第二の回路装置端子Bとの間の順序は、以下:
- 第一の回路装置端子A、
- コイル91、
- 切替装置92、
- 第二の回路素内端子B
である。
【0041】
切替装置92は、端子102、端子103、端子96及び端子97を有する。端子102は、コイル91に接続され、端子103は、第二の回路装置端子Bに接続され、端子96は、線51に接続され、端子97は、線52に接続される。
【0042】
切替装置92は、概略的に示されているが、スイッチ110を有し、それにより端子102、104、96及び97間の異なる相互接続が可能となる。
【0043】
制御装置99は、整流回路装置20の転流を行うことを目的として提供され、それにより、概略的に示されているが、例えばクロック信号98を供給することが可能となる。
【0044】
図3は、回路装置31のさらなる実施形態31Bを示し、この中ではコイル91及び切替装置92の順序が入れ替えられている。順序は、したがって、以下:
- 第一の回路装置端子A、
- 切替装置92、
- コイル91、
- 第二の回路装置端子B
である。
【0045】
回路装置31~36の全部が好ましくは回路装置31Aのように設計されるか、又は回路装置31~36の全部が回路装置31Bのように設計される。
【0046】
図2及び
図3の制御機構99は、好ましくは、内蔵された電流コントローラを有する。その結果、回路装置31~36内の電流を制御でき、それにより、
図1のそれぞれの端子21、22、23、24を介した電流の流れも、制御された電流の和に限定される。
【0047】
図4は、例として、欧州三相電源ネットワークの考え得る接続を示し、この中では電源ネットワーク10の活線が位相L1、L2、L3及び中性線Nを有する。位相L1は、端子21に接続され、位相L2は、端子22に接続され、位相L3は、端子23に接続される。中性線Nは、端子24に接続される。
【0048】
相互接続装置26は、以下のように相互接続される:スイッチ252、スイッチ254及びスイッチ256は、オンにされ、スイッチ251、253、255は、オフにされる。
【0049】
この構成の結果、端子21は、回路装置31及び33の第一の回路装置端子Aに接続され、第二の端子22は、回路装置33及び34の第一の回路装置端子Aに接続され、端子23は、回路装置35及び36の第一の回路装置端子Aに接続され、端子24は、全ての回路装置31、32、33、34、35及び36の第二の回路装置端子Bに接続される。
【0050】
スイッチ261は、相互接続装置26の一部ではない。中間回路50の点260は、オンにされたスイッチ261を介して端子24、したがって中性線Nに接続される。その結果、点260における電位の変動が小さくなる。点260は、それにより、中性線Nの電位に設定され、線51及び52間の例えば800Vであるコンデンサ61、62の電圧は、中性線Nの電位に関して+/-400Vに保持される。その結果、絶縁不良の場合に最大電圧は、中性線Nの電位に関して比較的低く保たれ、これは、安全性を向上させる。整流回路装置20は、スイッチ261がなくても機能するであろう。
【0051】
整流中、電流は、主として端子21~23において位相L1、L2及びL3間に流れる。それに対して、例えばネットワークが不平衡状態である場合、電流は、端子24において中性線Nを介して全く流れないか又はわずかにのみ流れる。最大電力が22kWの三相電源ネットワークの場合、例えば最高32Aの電流がそれぞれ端子21、22及び23を介して流れることができる。
【0052】
図5は、例えば、位相L1及び中性線Nを有する欧州単相ネットワークの接続を示す。位相L1は、端子21に接続され、中性線Nは、端子24に接続される。選択された構成は、以下のとおりである:スイッチ251、254、255及び256は、オンにされ、スイッチ252及び253は、オフにされる。
【0053】
その結果、端子21は、全ての回路装置31~36の第一の回路装置端子Aに接続され、端子24は、全ての回路装置31~36の全ての第二の回路装置端子Bに接続される。
【0054】
その結果、全ての回路装置31~36を整流のために使用でき、これによって個々の回路装置31~36上の負荷が軽減される。
【0055】
スイッチ261は、中性線Nを点260に接続するためにオンにされる。これは、動作点に応じて変化し得る。
【0056】
最大電力が11kWの単相電源ネットワークの場合、48Aの最大電流がそれぞれ端子21を介して且つ端子24を介して流れる。
【0057】
図6は、米国分相型の電源ネットワーク10の接続を示し、これは、2つの活線を有する単相ネットワークであり、その第一の位相は、HOT1と呼ばれ、その第二の位相は、HOT2と呼ばれる。位相HT2は、位相HOT1に関して180°の位相ずれを有する。したがって、これは、3相ネットワークではない。
【0058】
この場合、相互接続装置26は、以下のように構成される:スイッチ251、253及び255は、オンにされ、スイッチ252、254及び256は、オフにされる。
【0059】
この結果、端子21は、回路装置31、32及び33の第一の回路装置端子Aに接続され、端子22は、回路装置34、35及び36の第二の回路装置端子Bに接続され、端子23は、回路装置34、35の第一の回路装置端子Aに接続され、端子24は、それぞれ回路装置31、32及び33の第二の回路装置端子Bに接続される。
【0060】
その結果、4つの端子21、22、23、24の各々は、3つの第一の回路装置端子A又は3つの第二の回路装置端子Bの何れかに接続される。この例示的実施形態おいて、位相HOT1は、端子21及び22に接続でき、位相HOT2は、端子23及び24に接続できる。この場合、位相HOT1は、端子21を介して第一の回路装置端子Aに配線され、端子22を介して第二の回路装置端子Bに配線されることがわかる。したがって、回路装置31、32及び33は、回路装置34、35及び36の反対方向に使用される。これは、回路装置の幾つかの逆の使用と呼ぶこともできる。この制御は、コイル91の異なる位置により、例えば位相HOT1の正の半サイクル中に、第一の線51には回路装置の幾つかを介して電源供給でき、線52には他の回路装置を介して電源供給できるため、新しい可能性をもたらす。これにより、DC中間回路50内のリプル電流を大幅に減らすことが可能となる。回路装置及び端子の相互接続装置によるこのような構成により、いわゆるWissach整流回路が得られる。
【0061】
実験では、
図6の構成における米国分相電源ネットワークの場合のDC中間回路50内の整流回路20の電圧リプルは、回路装置31~36の幾つかを逆転させない同等のVienna整流回路の電圧リプルの約27%であることが特定された。
【0062】
スイッチ261は、中性線Nが利用できないため、オフにされる。
【0063】
最大電力が19.2kWの、例えば米国分相型の単相3導線電源ネットワークの場合、その結果として、それぞれ端子21及び22で最大電流40Aが得られ、端子24及び23で最大電流40Aが得られる。
【0064】
これは、特に端子21及び端子22の代替的相互接続並びに端子23及び端子24の相互接続より有利である。このような相互接続の場合、端子21及び22での最大電流は、合計で80Aとなり、端子23及び24での最大電流も同様に合計で80Aとなるであろう。しかしながら、例えば抵抗の差及びスイッチの数の違いにより、個々の端子間に対称な電流分布が得られることが確実ではないであろう。したがって、例えば70Aの電流が端子21を介して流れ、10A電流が端子22を介して流れるという状況が発生する可能性がある。端子21、22、23、24は、したがって、より高い最大電流のために設計しなければならず、これは、技術的により複雑であり、より高コストであるか、又はその結果、位相の過負荷が生じるであろう。それに対して、
図6の例示的実施形態によれば、電流経路の分離により、最大電流は、40Aより高くならないことが保証される。
【0065】
図7は、切替装置92の実施形態を例として示す。切替装置92は、Vienna整流回路の場合と同様に表示される。
【0066】
切替装置92は、第一の切替装置端子102、第二の切替装置端子113、第一の出力96及び第二の出力97を有する。切替装置接続102、113は、ブリッジ整流回路端子と呼ぶこともできる。
【0067】
切替装置92は、ブリッジ整流回路95及び制御可能スイッチ110を有し、これについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0068】
切替装置端子102は、ダイオード103を介して点104に接続され(順方向)、点104は、ダイオード105を介して第一の出力96に接続される。切替装置端子102は、ダイオード106を介して点107に接続され(逆方向)、点107は、ダイオード108を介して第二の出力97に接続される。制御可能スイッチ110は、点107及び104間に提供される。スイッチ110は、この例示的な実施形態ではMOSFETとして設計されているが、他の電子スイッチ、例えばIGBTsも例えば可能である。切替装置端子113は、ダイオード111を介して点104に接続され(順方向)、ダイオード112を介して点107に接続される(逆方向)。ダイオード103、105、106、108、111、112のカソードは、それぞれの場合に第一の線51、すなわち第一の出力96に向かう側に接続され、アノードは、それぞれの場合に第二の線52、すなわち第二の出力97に向かう側に接続される。Vienna整流回路の動作方法は、例えば、欧州特許第0 660 498 A2号明細書に記載されている。
【0069】
制御可能スイッチ110が第一の状態Z1でオフにされると、ブリッジ整流回路95は、通常のブリッジ整流回路と同様に機能する。電流は、切替装置端子102、113からダイオード103、105、111を介して第一の出力96に流れることができ、電流は、第二の出力97からダイオード108、106、112を介して切替装置端子102、113に流れることができ、これは、対応するダイオードがこれらの方向に順方向バイアスされているからである。
【0070】
これに対して、制御可能スイッチ110が第二の状態Z2でオンにされると、電流は、切替装置端子102からダイオード103、制御可能スイッチ110及びダイオード112を介して切替装置端子113に流れることができるか、又は反対に、電流は、切替装置端子113からダイオード111、制御可能スイッチ110及びダイオード106を介して切替装置端子102に流れることができる。さらに、電流は、それぞれ切替装置端子102及び/又は113から第一の出力51に流れることもでき、且つ/又は電流は、第二の出力52から切替装置端子102、113に流れることができる。
【0071】
電流が実際に流れるか否かは、切替装置端子102、113及び出力96、97における電圧状態に依存する。
【0072】
ダイオード103、104がコイル91の側に配置されている場合、ダイオード111、112は、これらの負荷がより低いため、ダイオード103、104より弱くなるように設計され得る。
【0073】
図8は、切替装置92のさらなる実施形態を示す。この切替装置も、同様に切替装置端子102、113、ダイオード103、105、106、108、111及び112並びにポイント104、107を有し、これらには、
図7と同じ参照符号が付されている。
図7のスイッチ110は、2つのスイッチ110A、110Bに置き換えられている。スイッチ110Aは、ダイオード111と並列に(逆)接続され、スイッチ110Bは、ダイオード112と並列に(逆)接続されている。ダイオード111、112は、それぞれの半導体スイッチ110A、110Bの集積反転ダイオード又は並列に追加的に接続され、好ましくは低い順方向電圧を有するダイオード、例えばショットキーダイオードの形態であり得る。コイル91は、好ましくは、それぞれブリッジ整流回路端子102の側に接続され、その結果、ダイオード103、106は、コイル91の側にある。これにより、スイッチ110A、110Bを通る電流を低減させることが可能となり、それらの整流が容易になる。加えて、この実施形態では、集積反転ダイオードを有さないスイッチ110A、110B、例えば好ましいIGBTスイッチを使用することができる。しかしながら、何れの変形形態も可能である。
【0074】
オンの第二の状態Z2では、スイッチ110Aは、電流が点104から切替装置端子113に流れることができるようにし、オンの第二の状態Z2では、スイッチ110Bは、電流が切替装置端子113から点107に流れることができるようにする。その結果、電流が点102及び113間で流れるとき、
図7の実施形態と比較してダイオードを通る電流が少なくなり、これによって電力損失が減少する。
【0075】
スイッチ110A、110Bの第一のオフ状態では、切替装置92は、
図7の切替装置92と同様に動作する。スイッチ110A、110Bの第二のオン状態では、切替装置92は、電流が切替装置端子102からダイオード103とスイッチ110Aを介して切替装置端子113に流れることができるようにし、電流が切替装置端子113からスイッチ110B及びダイオード106を介して切替装置端子102に流れることができるようにする。
図7の実施形態と対照的に、この回路の電力損失は、より低く、これは、2つのダイオードが、スイッチ110がオンの場合に
図7のように直列に接続されていないからである。
【0076】
図7の切替装置92と異なり、
図8の切替装置92は、切替装置端子102、113に関して非対称である。切替装置端子113は、コイル91に割り当てられるブリッジ整流回路端子113又は切替装置端子102として提供できる。第二と記された変形形態(回路91側にダイオード103、106及びブリッジ整流回路端子102がある)は、スイッチ110A、110Bにおける損失がより少なく、したがって効率を高めることが可能となる。
【0077】
図7及び
図8の切替装置92の特性は、以下のようにまとめることができる:切替装置92は、
- 切替装置端子102又は切替装置端子113から線51への電流の流れを可能にすることと、
- 線52から切替装置端子102又は切替装置端子113への電流の流れを可能にすることと、
- 第一の切替装置状態Z1において、切替装置端子102と切替装置端子113との間の電流を阻止することと、
- 第二の切替装置状態Z2において、切替装置端子102と切替装置端子113との間の電流の流れを可能にすることと
を行うように設計される。
【0078】
切替装置92は、好ましくは、ブリッジ整流回路103、106、111、112及び少なくとも1つのスイッチ110又は110A、110Bを有するが、ロジックモジュールを備えるより複雑な回路も可能である。
【0079】
図9は、整流回路装置20の変形形態を示し、相互接続装置26が、端子21、22、23、24から、回路装置31~36の第一の回路素内端子A及び第二の回路装置端子Bへの自由度の高い相互接続を有する相互接続マトリクスを有する。このような相互接続装置26により、既に示した構成及び別の構成の各々が可能となる。示した構成は、
図6の構成に対応し、その中では、相互接続マトリクスのオンにされたスイッチが点として示されている。図からわかるように、スイッチは、あらゆる考え得る組合せに必要である。それに対して、
図1の相互接続装置26には、6つのスイッチ251、252、253、254、255及び256のみが必要である。
【0080】
当然のことながら、本発明の範囲内で様々な変更形態及び改良形態が可能である。
【0081】
コンデンサは、図示されていないものの、それぞれ回路装置31~36に並列に接続でき、Xコンデンサとして、干渉抑制フィルタの一部として機能することができる。
【符号の説明】
【0082】
20 整流回路装置
21、22、23、24 端子
26 相互接続装置
31、32、33、34、35、36 回路装置
50 中間回路
51 第一の線
52 第二の線
61、62 コンデンサ
91 コイル
92 切替装置
A 第一の回路装置端子
B 第二の回路装置端子
L1、L2、L3、HOT1、HOT2 AC電圧
DC+、DC- DC電圧
【外国語明細書】