IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スピード フランス エス エー エスの特許一覧

<>
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図1A
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図1B
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図2
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図3
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図4A
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図4B
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図5A
  • 特開-植生切断用のモノフィラメント 図5B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021344
(43)【公開日】2022-02-02
(54)【発明の名称】植生切断用のモノフィラメント
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/12 20060101AFI20220126BHJP
   A01D 34/416 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
D01F8/12 Z
A01D34/416 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021120231
(22)【出願日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】20305835.9
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】315009862
【氏名又は名称】スピード フランス エス エー エス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベルジャン ヤン
【テーマコード(参考)】
2B083
4L041
【Fターム(参考)】
2B083BA02
2B083CA12
2B083CA22
4L041BA11
4L041BA46
4L041BD20
4L041CA19
4L041CA27
(57)【要約】
【課題】モノフィラメントのいくつかの特性を最適化するため、改善された構造を有する植生切断用のモノフィラメントを提供する。
【解決手段】本発明は、第1のポリアミド材料で構成されたマトリクス(1)と、マトリクス(1)に別個に埋設された少なくとも2つのチャネル(2、2a~2d)であって、ポリオレフィン材料、または第1のポリアミド材料とは異なる第2のポリアミド材料で構成された、少なくとも2つのチャネルと、を有する、植生切断用のモノフィラメントに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植生切断用のモノフィラメントであって、
第1のポリアミド材料で構成されたマトリクスと、
前記マトリクスに別々に埋設された少なくとも2つのチャネルであって、ポリオレフィン材料、または前記第1のポリアミド材料とは異なる第2のポリアミド材料で構成された、少なくとも2つのチャネルと、
を有する、モノフィラメント。
【請求項2】
前記マトリクスは、当該モノフィラメントの周囲全体にわたって延在する、請求項1に記載のモノフィラメント。
【請求項3】
前記マトリクスおよび前記少なくとも2つのチャネルは、当該モノフィラメントの長手軸に沿って連続的に延在する、請求項1または2に記載のモノフィラメント。
【請求項4】
前記少なくとも2つのチャネルは、直線状であり、前記長手軸と平行である、請求項3に記載のモノフィラメント。
【請求項5】
前記少なくとも2つのチャネルは、当該モノフィラメントの断面にわたって、規則パターンに従って配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項6】
前記少なくとも2つのチャネルは、三角形断面を示し、
各三角形の高さは、該三角形の基部と頂部との間の半径方向に配向され、
前記基部は、前記頂部よりも当該モノフィラメントの内側に配置される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項7】
前記チャネルの体積は、当該モノフィラメントの体積の10%と80%の間である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項8】
前記第1および/または第2の材料は、ポリアミド6、ポリアミド6-6、コポリアミド6/66、ポリアミド4-6、ポリアミド6-10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、およびポリアミド6/6Tの少なくとも1つを有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項9】
前記第1および/または第2の材料は、亜麻、麻布、セルロース、またはススキのような天然繊維、タルク、シリカ、アルミナ(Al2O3)、および酸化チタン(TiO2)の少なくとも一つで構成されたフィラーを有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項10】
前記チャネルの重量は、当該モノフィラメントの重量の20~80%の間である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項11】
当該モノフィラメントは、単一の押出ステップにより得られる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項12】
前記第1の材料および前記第2の材料は、共押出される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項13】
1.6mm~4.5mmの間の直径を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項14】
前記マトリクスおよび前記少なくとも2つのチャネルは、共押出により形成される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項15】
前記少なくとも2つのチャネルは、少なくとも2つの異なる材料から構成される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【請求項16】
前記マトリクスおよび前記少なくとも2つのチャネルは、単一の押出ステップにより形成される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のモノフィラメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植生切断機に使用されるモノフィラメント、およびそのようなモノフィラメントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、植生切断に用いられるモノフィラメントは、ポリアミドで構成される。この材料は、摩耗および熱に耐性があるためである。
【0003】
元来、モノフィラメントは、単一の材料で構成され、これは、1つのポリアミド、または少なくとも2つのポリアミドの混合物を有し得る。
【0004】
その後、コアと、該コアを取り囲むシースとを有する、多部材モノフィラメントが開発された。コアおよびシースは、異なる材料で構成される。モノフィラメントの前記構造は、特定の技術的課題を解決することを意図していた。例えば、シースは、該シースよりも可撓性のある材料で構成され、衝撃エネルギーの吸収を高めることにより、衝撃挙動を改善することができる。別の状況では、シースは、耐摩耗性、耐熱性等が向上した材料で構成され得る。他の状況では、高技術で高価な材料をモノフィラメントの要求される領域においてのみ使用するため、コアおよびシースの材料は、経済的な妥協の結果として得られ得る。
【0005】
しかしながら、通常、モノフィラメントのこの構造では、モノフィラメントの一態様が最適化されるものの、モノフィラメントの設計では、耐衝撃性、耐熱性、繊維化の抑制、各種気候条件への適応、各種植物に対する適応など、複数の技術的制約に対処する必要がある。これらは、異なる解決策、または対立する対策により、解決され得る。
【0006】
例えば、特許文献US2002/0023356号には、コア-シース構造、またはコア-マンテル-シース構造を有するモノフィラメントが開示されている。コアおよびシースのそれぞれは、異なる材料で構成され、これは、他の材料とは別々に、押し出される。シースの材料は、コアの材料に比べて、より大きな耐摩耗性、およびより大きな摩耗特性を有するように選定される。一方、コアの材料は、シースの材料よりも大きな耐衝撃性を有するように選定される。しかしながら、各材料は、別個に押し出されるため、コアとシースの間で結合力の低下が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、モノフィラメントのいくつかの特性を最適化するため、改善された構造を有する植生切断用のモノフィラメントに対してニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明では、植生切断用のモノフィラメントであって、
第1のポリアミド材料で構成されたマトリクスと、
前記マトリクスに別々に埋設された少なくとも2つのチャネルであって、ポリオレフィン材料、または前記第1のポリアミド材料とは異なる第2のポリアミド材料で構成された、少なくとも2つのチャネルと、
を有する、モノフィラメントが提供される。
【0009】
好ましいが、適切であれば組み合わせることができる任意の実施形態では、
-前記マトリクスは、当該モノフィラメントの周囲全体にわたって延在し;
-前記マトリクスおよび前記少なくとも2つのチャネルは、当該モノフィラメントの長手軸に沿って連続的に延在し;
-前記少なくとも2つのチャネルは、直線状であり、前記長手軸と平行であり;
-前記少なくとも2つのチャネルは、当該モノフィラメントの断面にわたって、規則パターンに従って配置され;
-前記少なくとも2つのチャネルは、三角形断面を示し、
各三角形の高さは、該三角形の基部と頂部との間の半径方向に配向され、
前記基部は、前記頂部よりも当該モノフィラメントの内側に配置され;
-前記チャネルの体積は、当該モノフィラメントの体積の10%と80%の間であり;
-前記第1および/または第2の材料は、ポリアミド6、ポリアミド6-6、コポリアミド6/66、ポリアミド4-6、ポリアミド6-10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、およびポリアミド6/6Tの少なくとも1つを有し;
-前記第1および/または第2の材料は、亜麻、麻布、セルロース、またはススキのような天然繊維、タルク、シリカ、アルミナ(Al2O3)、および酸化チタン(TiO2)の少なくとも一つで構成されたフィラーを有し;
-前記チャネルの重量は、当該モノフィラメントの重量の20~80%の間であり;
-当該モノフィラメントは、単一の押出ステップにより得られ;
-前記第1の材料および前記第2の材料は、共押出され;
-当該モノフィラメントは、1.6mm~4.5mmの間の直径を有し;
-前記マトリクスおよび前記少なくとも2つのチャネルは、共押出により形成され;
-前記少なくとも2つのチャネルは、少なくとも2つの異なる材料から構成される。
【0010】
別の目的は、前述のモノフィラメントを製造する製造方法に関する。前記プロセスにおいて、マトリクスと少なくとも2つのチャネルは、単一の押出ステップにより形成される。
【0011】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に基づく以下の実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】第1の実施形態によるモノフィラメントの斜視図である。
図1B図1Aのモノフィラメントの断面図である。
図2】第2の実施形態によるモノフィラメントの断面図である。
図3】第3の実施形態によるモノフィラメントの断面図である。
図4A】第4の実施形態によるモノフィラメントの斜視図である。
図4B図4Aのモノフィラメントの断面図である。
図5A】第5の実施形態によるモノフィラメントの斜視図である。
図5B図5Aのモノフィラメントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
コアと、該コアを取り囲む同軸のシースとを有する、従来の二材料モノフィラメントの構成を用いる代わりに、本発明では、マトリクスに埋設された少なくとも2つのチャネルを有するモノフィラメントが提供される。ここで、チャネルは、マトリクスの一部により、相互に分離される。
【0014】
好ましくは、マトリクスは、モノフィラメントの全周にわたって延在する。マトリクスの材料は、第一のポリアミド材料であり、すなわち、ポリアミド、またはポリアミドの混合物を有する材料である。通常、ポリアミドは、高い耐熱性および耐衝撃性のため、植生切断機モノフィラメントの形成に使用される。
【0015】
また、チャネルの材料は、マトリクスの材料とは異なる組成を有するポリアミド材料(第2のポリアミド材料)であってもよい。
【0016】
あるいは、チャネルの材料は、ポリエチレン(高密度もしくは低密度)またはポリプロピレンのような、ポリオレフィン材料であってもよい。
【0017】
好ましくは、マトリクスおよびチャネルの材料は、バージン材料であり、すなわち、再利用材料ではなく、初めて処理された材料である。実際、バージン材料は、再利用材料よりも良好な特性を示す。
【0018】
本発明では、マトリクスおよびチャネルに適した材料を選択することにより、各種技術的要求に合致させることができる。実際、チャネルの材料によるモノフィラメントの付加的な特性を付与することにより、チャネルは、単一材料のモノフィラメントと比べて、モノフィラメントの挙動を変更できる。さらに、モノフィラメントの構造により、複数のチャネルにわたる衝撃により生じる機械的な制約を分散させることができる。
【0019】
モノフィラメントのマトリクスおよびチャネルを形成するために使用され得るポリアミドは、単一材料として、または少なくとも2つの材料の組み合わせとして、PA6、PA66/66、PA66、PA11、PA12、PA6/10、PA4/6、PA6T、PA6/6Tを含んでもよい。有意には、そのようなポリアミド材料の混合物は、マトリクスおよび/またはチャネルに対して、各ポリアミドの特定の特性の利益を得るために使用されてもよい。また、前記混合物により、モノフィラメントの材料の可能な組合せの数を増加させることができ、これは、機械的および熱的挙動の点で大きな汎用性を提供する。通常、最大5つまでの異なる組成物を、モノフィラメントのマトリクスおよびチャネルに使用してもよい。
【0020】
ある実施形態では、チャネルは、PPおよび/またはPEで形成されてもよい。ポリアミドと比べて、ポリオレフィンは密度が小さく、モノフィラメントの重量を減少させることができる。
【0021】
チャネルは、全てが同じ材料で形成される必要はない。実際、モノフィラメントの異なる特性を改善するため、チャネルに異なる材料を使用することは、特に有利である。以下に、有利な組成物の例を示す。
【0022】
マトリクスおよび/またはチャネルに追加の材料を使用してもよい。
【0023】
そのような追加の材料は、以下を含んでもよい:
-フィラー、例えば、亜麻、麻布、セルロース、もしくはススキのような天然繊維、タルク、シリカ、アルミナ(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)の単独または組み合わせ;
-色素;
-相溶化剤、例えば、エチレンアクリルエステル、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルアクリレート、スチレンアクリル、2,3-エポキシプロピルメタクリレート、無水マレイン酸の単独または組み合わせ。
【0024】
ポリアミドは、通常、近い融点(約220℃)を有し、化学的に互換性があるため、これらの材料で構成された部分の良好な結束が可能になる。従って、マトリクスとチャネルの剥離を回避できる。この剥離は、モノフィラメントの自由端が複数の小ストランドに分裂することにつながり、切断効率を著しく低下させる。
【0025】
また、モノフィラメント自体の機械的構造は、異なる材料間の結合を高め、剥離のリスクを低減させる。マトリクス内のチャネルの配置により、チャネルとマトリクスの間に大きな接触表面が提供されるためである。例えば、一方では、コアおよび、該コアと同軸で該コアを取り囲むシースを有するモノフィラメントを考慮し、他方では、チャネル(またはコア)とマトリクス(またはシース)の間の重量比が同じである、4つのチャネルと1つのマトリクスとを有する、本発明によるモノフィラメントを考慮すると、チャネル(またはコア)とマトリクス(またはシース)との間の接触表面は、後者の場合の方が大きい。従って、本発明によるモノフィラメントの構成では、マトリクスとチャネルの結合が促進される。
【0026】
必要な場合、特にチャネルがポリオレフィン材料を含む場合、剥離を最小限に抑制するため、モノフィラメントに少なくとも1つの相溶化剤が添加されてもよい。ある実施形態では、そのような相溶化剤は、マトリクスおよび/またはチャネルの組成物中に含まれてもよい。別の実施形態では、相溶化剤は、チャネルとマトリクスとの間の界面に添加されてもよい。
【0027】
マトリクス内のチャネルの数、形状および配置は、選択された材料および切断モノフィラメントの必要特性に応じて調整されてもよい。
【0028】
好適実施例では、モノフィラメントは、円形の断面を有し、通常、1.6mmと4.5mmとの間で構成される直径を有する。しかしながら、正方形または長方形のような別の形状を選定してもよい。
【0029】
チャネルは、モノフィラメントの断面にわたって、規則的なパターンに従って配置されることが好ましい。特に、チャネルは、同一の断面形状およびサイズを有してもよく、モノフィラメントの周囲に対して、および相互に対して、規則的な間隔で配置されてもよい。他の実施形態では、各チャネルは、異なる断面形状およびサイズを有してもよい。
【0030】
モノフィラメントは、共押出法、すなわち、チャンネルとマトリクスが押出ヘッドから同時に押出される方法により、製造される。チャネルおよびマトリクスの材料は、前記押出ステップの間、溶融状態にあるため、チャネルとマトリクスの間の界面に、より親和性のある材料の結合が得られ、これは、相溶化剤の使用により促進され得る。
【0031】
マトリクスおよびチャネルは、モノフィラメントの長手軸に沿って連続する。特に、モノフィラメントは、長手軸に沿った任意の位置で同じ構造を有する。
【0032】
チャンネルが2つの異なる材料で構成される場合(両方の材料がマトリクスの材料とは異なる場合)、押出プロセスは、トリ押出と称される。前述のように、チャネルおよびマトリクスの材料は、それらの界面で親和的に結合され、これにより、モノフィラメントの良好な結合が提供され、従って、衝撃に対する大きな耐性が提供される。また、このような同時押出またはトリ押出プロセスでは、各種材料を組み合わせることができ、従って、モノフィラメントの技術的特性に関して大きな多用性が提供される。
【0033】
図1Aおよび図1Bには、モノフィラメントの第1の実施形態を示す。
【0034】
モノフィラメントは、円形の断面を有し、これは、マトリクス1の円周により定められる。
【0035】
マトリクス1には、4つのチャネル2a~2dが埋設される。全てのチャネルは、同じ形状を有し、これは、マトリクスの中心と同じ中心を有する2つの対向する弓形のエッジと、互いに直交する2つの対向する直線エッジと、により定められる。
【0036】
チャネル2a~2dは、モノフィラメントの長手軸Xに沿って連続的に延在する。
【0037】
ある実施態様では、全てのチャネル2a~2dが同一材料で構成される。
【0038】
別の実施形態では、少なくとも2つのチャネルが異なる材料で構成される。このように、モノフィラメントの機械的挙動は、チャネルの組成を変化させることにより、調節されてもよい。
【0039】
チャネル2a~2dとマトリクス1の間の重量比は、通常、20/80と80/20の間、好ましくは40/60と60/40の間で構成される。例えば、各チャネルは、モノフィラメントの重量の5~15%を構成する重量を有し、マトリクスは、モノフィラメントの重量の20~80%を構成する重量を有してもよい。
【0040】
図2には、モノフィラメントの第2の実施形態を示す。
【0041】
モノフィラメントは、円形の断面を有し、これは、マトリクス1の円周により定められる。
【0042】
マトリクス1には、5つのチャネル2が埋設される。全てのチャネルは、同じ形状を有し、これは、マトリクスの中心から略半径方向に延びる対称軸を有する、2つの対向する弓形のエッジにより、定められる。
【0043】
チャネルは、花弁の形態で、マトリクスの中心の周囲に規則的に配列される。
【0044】
チャネル2a~2dとマトリクス1との間の重量比は、通常、20/80~80/20の間、好ましくは40/60~60/40の間で構成される。例えば、各チャネルは、モノフィラメントの重量の約10%の重量を有し、マトリクスは、モノフィラメントの重量の約50%の重量を有してもよい。
【0045】
図3には、モノフィラメントの第3の実施形態を示す。
【0046】
モノフィラメントは、円形の断面を有し、これは、マトリクス1の円周により定められる。
【0047】
円形の断面を有する複数のチャネル2は、マトリクスの中心の周りに同心円状に配置され、隣接するチャネル間で、同一の角度距離を有する。
【0048】
図4Aおよび図4Bには、モノフィラメントの第4実施形態を示す。
【0049】
モノフィラメントは、円形の断面を有し、これは、マトリクス1の円周により定められる。
【0050】
行列1には3つのチャネル2a~2cが埋め込まれる。全てのチャネルは、同じ円形断面を有する。
【0051】
チャネル2a~2cは、モノフィラメントの長手軸Xに沿って連続的に延在する。
【0052】
ある実施形態では、全てのチャネル2a~2cは、同一材料で構成される。
【0053】
別の実施形態では、少なくとも2つのチャネルが異なる材料で構成される。このように、モノフィラメントの機械的挙動は、チャネルの組成を変化させることにより、調節されてもよい。
【0054】
チャネル2a~2cとマトリクス1との間の重量比は、通常、40/60~60/40の間で構成される。
【0055】
図5Aおよび図5Bには、モノフィラメントの第4の実施形態を示す。
モノフィラメントは、円形の断面を有し、これは、マトリクス1の円周により定められる。ただし、モノフィラメントは、他の断面を有してもよい。
【0056】
三角形の断面を有するチャネル2は、マトリクス内に埋設される。好ましくは、チャネルの断面は、正三角形または二等辺三角形として形成される。
【0057】
チャネルは、各三角形が、半径方向に配向された、三角形の基部Bと頂点Vとの間に延びる高さAを有し、前記基部Bが、頂点Vよりもモノフィラメントの内側に配置されるように配置される。示された実施形態では、モノフィラメントは、相互に90°で配置された4つのチャネル2を有する。この場合、前記高さAに垂直な2つの対向する三角形の基部Bは、互いに平行であり、隣接する三角形の基部に対して垂直である。しかしながら、前述の配向で、異なる数の三角形チャネルを使用し、例えば、3から5のチャネルを使用してもよい。
【0058】
この三角形チャネルの特定の配置により、衝撃挙動がさらに改善される。実際、チャネルのこの配向により、モノフィラメントの周辺部(最初に衝撃の吸収に関与する)は、モノフィラメントの中央部よりも多くの量の第1のポリアミド材料を含有し、従って、衝撃に耐えるように好適に適合される。他方、チャネルの三角形の形状は、依然、モノフィラメント内に、相応の量のポリオレフィンまたは第2のポリアミド材料を含むことができる。
【0059】
チャネル2は、モノフィラメントの長手軸Xに沿って連続的に延在する。
【0060】
チャネル2とマトリクス1の間の重量比は、通常、20/80~80/20の間、好ましくは40/60~60/40の間で構成される。
【0061】
ある実施形態では、全てのチャネル2は、同じ材料で構成される。
【0062】
別の実施形態では、少なくとも2つのチャネルは、異なる材料で構成される。このように、モノフィラメントの機械的挙動は、チャネルの組成を変化させることにより、調節されてもよい。
【0063】
(組成物の例)
以下の実施例は、前述のマトリクス内のチャネルの任意の配置に基づく。
【0064】
(例1)
マトリクスは、PA6とPA6/66の混合物から形成され得る。ただし、一部のチャネルは、PA6で形成され、他のチャネルは、コポリマーPA6/66で形成されてもよい。この構造では、モノフィラメントの高可撓性の「骨格」を構成するPA6/66チャネルにより、モノフィラメントの可撓性を高め、衝撃挙動を改善することができる。
【0065】
(例2)
マトリクスは、PA66、PA6/66、およびPA6のモノマーの混合物から形成され得る。ただし、一部のチャネルは、PA66で形成され、他のチャネルは、PA6とPA6/66の混合物で形成されてもよい。この構造では、PA66は、モノフィラメントの熱的挙動を改善し、PA66よりも剛性が低いPA6とPA6/66の混合物は、PA66チャネルの剛性を補い、良好な可撓性および良好な摩耗挙動を提供する。
【0066】
(例3)
マトリクスは、PA66、PA6/6TおよびPA6/66の混合物から形成され得る。ただし、チャネルは、PA6およびPA6/66の混合物から形成されてもよい。PA6/6Tは、その高い融点のため、モノフィラメントのマトリクスの熱抵抗を増加させる。また、モノフィラメントは、切断ヘッド内の摩擦により発生する熱に対してより耐性がある。マトリクスの材料は、高い剛性を有するが、チャネルは、その剛性を補い、モノフィラメントの高い可撓性および衝撃吸収機能を提供する。また、モノフィラメントは、切断ヘッドから排出される小穴での破損の傾向を弱める。
【0067】
(例4)
モノフィラメントのマトリクスは、コポリマーPA6/66から形成され得る。一方、チャネルは、PA6、PA66およびPA6/66の混合物から形成され得る。この実施形態では、チャネルは、モノフィラメントの大部分を占めるように設計され、モノフィラメントの表面にマトリクス材料の薄層が残る。これは高可撓性であり、衝撃を吸収することができる。
【0068】
(例5)
モノフィラメントのマトリクスは、PA6とPA6/66の混合物から形成され得る。一方、チャネルの少なくとも一部は、相溶化剤とともに、PPまたはPEから形成される。ポリオレフィン材料の低密度のため、モノフィラメントの重量は、大きく減少し得る。
【0069】
当然のことながら、上記の実施例は、本発明の各種実施形態を例示するためのみに提供され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 マトリクス
2a~2d チャネル
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
【外国語明細書】