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  • 特開-メガネフレームのツル継手構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021384
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】メガネフレームのツル継手構造
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/22 20060101AFI20220127BHJP
   G02C 5/14 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G02C5/22
G02C5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124891
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】591167452
【氏名又は名称】株式会社サンリーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】金谷 秀幸
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AC04
(57)【要約】
【課題】 メガネフレームのフロント部両側に取付けられるツル(テンプル)であって、該ツルが折畳まれて閉じたり、顔に掛けるために開いたりするように連結される継手の提供。
【解決手段】 継手3は螺旋状に巻かれた線材8の両端に連結部9,9を設け、該連結部9,9はフロント部両側のヨロイ部6及びツル基部と連結・固定され、また取外し可能な構造としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネフレームのフロント部両側に取付けられるツル(テンプル)であって、該ツルが折畳まれて閉じたり、顔に掛けるために開いたりするように連結される継手において、該継手は螺旋状に巻かれた線材の両端に連結部を設け、該連結部はフロント部両側のヨロイ部及びツル基部と連結・固定され、また取外し可能な構造としていることを特徴とするメガネフレームのツル継手構造。
【請求項2】
上記線材を一定厚さで一体幅の帯状とした請求項1記載のメガネフレームのツル継手構造。
【請求項3】
上記連結部は所定の間隔をおいて平行に延びる2本のアームと、該アーム先端には上方及び下方に突出したツメを設け、ヨロイ部先端とツル基部には連結部が嵌る開口を形成し、開口の上面及び下面には上記ツメが係合する穴を設けた請求項1、又は請求項2記載のメガネフレームのツル継手構造。















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメガネフレームのフロント部両側に取付けられるツル(テンプル)の継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メガネフレームはフロント部の両側にツル(テンプル)が取付けられ、該ツルは蝶番などの継手を介して折畳み出来るように成っている。図5は従来の一般的な金属製メガネフレームを示しているが、フロント部(イ)はレンズが嵌るリム(ロ)、(ロ)を有し、連結部材(ハ)によって連結され、フロント部(イ)の両側にロウ付けしたヨロイ(ニ)、(ニ)にはツル(ホ)、(ホ)が継手(ヘ)、(ヘ)を介して連結している。
【0003】
ところで、上記フロント部(イ)の構造は色々あるが、メガネフレームの基本形態はフロント部(イ)の両側に設けているヨロイ(ニ)、(ニ)に継手(ヘ)、(ヘ)を介してツル(ホ)、(ホ)が折畳み出来るように取付けられている。メガネは携帯する際にケースに収容される為に、両ツル(ホ)、(ホ)は折畳み出来るように取付けられ、折畳み出来るように蝶番などの継手(ヘ)、(ヘ)が用いられる。
【0004】
そして、この継手(ヘ)、(ヘ)には軸ネジ(ト)、(ト)が備わっており、該軸ネジ(ト)、(ト)を中心としてツル(ホ)、(ホ)は旋回するが、この旋回に伴って軸ネジ(ト)、(ト)は弛む。その結果、ツル(ホ)、(ホ)はガタ付き、メガネを掛けた場合に安定性が損なわれる。従来、継手(ヘ)、(ヘ)に用いる軸ネジ(ト)、(ト)がツル(ホ)の折畳み操作に伴って弛まないようにした工夫は色々なされている。
【0005】
図6は上記継手(ヘ)の具体例である蝶番(チ)を示しているが、該蝶番(チ)は両蝶片(リ)、(ヌ)が軸ネジ(ト)にて繋がれ、一方の蝶片(リ)はヨロイ(ニ)の内側面にロウ付けされ、他方の蝶片(ヌ)はツル(ホ)の内側面にロウ付けされている。
ツル(ホ)にガタ付きが生じた場合には、上記軸ネジ(ト)を増し締めして対処しているが、軸ネジ(ト)の弛みを防止しているように構成したメガネも知られている。
【0006】
例えば、特開2010-107029号に係る「緩み防止ネジ」は、メガネのネジによる連結部の緩み止めを確実に行うようにしている。
そこで、ネジの切欠き部のネジ軸横断面への投影形状が、略三角形で、その頂点三点を直線で結んだ形状がほぼ直角不等辺三角形であり、その直角不等辺三角形の直角又は鈍角のどちらか一つの頂点が戻り側ネジ山頂部に、他方は谷底部にある様にされ、そして、残りの鋭角部の頂点が押し込み側山頂部にある様に形成され、そして、その様にして形成された前記切欠き部を少なくとも一箇所以上、一回転部に有する様に形成している。
【0007】
特開2003-185980号に係る「メガネ部品の結合構造及びそれに用いる部品」はメガネレンズとメガネ部品とを結合する場合、両者のネジ結合部におけるネジの緩みを防止し、メガネフレ-ム部品とメガネレンズの回転を防止して両者を強固に結合することが出来る。
メガネに要求される機能としては、メガネを顔に掛けた時に位置ズレしない安定性が重要である。その為には、上記継手(ヘ)、(ヘ)の軸ネジ(ト)、(ト)が弛まないようにすると共に、メガネを掛けた状態で顔の側面を押圧するバネ力をツル(ホ)、(ホ)に付勢することである。従来では継手としてバネ蝶番と称するものも従来から使用されて来ている。
【0008】
ところで、上記蝶番(チ)などの継手(ヘ)は規格品であり、メガネフレームの外観との調和を考慮したデザインにはなっていない。そして、ロウ付けされた蝶番(チ)は取外して新たなものに交換することは不可能である。
【特許文献1】特開2010-107029号に係る「緩み防止ネジ」
【特許文献2】特開2003-185980号に係る「メガネ部品の結合構造及びそれに用いる部品」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来のメガネフレームのツル継手構造には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、ツルを折畳む為の軸ネジを備えた継手を持たず、そしてメガネを掛けた場合にツルが顔の側面に押圧するバネ力を備え、さらに継手を簡単に取外して交換することが出来るように構成したメガネフレームのツル継手構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が対象とするメガネフレームはフロント部とツルを有し、該ツルはフロント部の両側に取付けられ、バネ性に優れた螺旋状の線材で構成した継手を介して連結している。該継手の両端には連結部が設けられ、該連結部を介してフロント部のヨロイ及びツルに連結される。ただし、具体的な連結構造は限定しない。
そして、継手は蝶番のような軸ネジを備えておらず、樹脂製又は金属製の線材を丸めた螺旋状として構成し、ツルの折畳みは螺旋状継手が変形することで行われ、また、開いた状態からツルを外方向へ押し開くことも出来るが、この動作も螺旋状継手の変形にて行われる。
メガネフレームが顔から外されたフリーな状態では、両ツルは概略X状にクロスすることが出来る位置でバランスするように螺旋状継手は構成している。
【0011】
そして、ツルの先端には係止片が形成され、ツルを折畳んだ場合に螺旋状継手の弾性回復力の作用で開かないように、上記係止片が係合する係合溝を継手に設けている。
ここで、上記フロント部の形態は限定せず、レンズが嵌るフルリムを有す場合、レンズの上側のみを拘束するハーフリムとレンズ下側を支える水糸を有す場合、またリムを持たない縁なしフロント部の場合の何れでもよい。そして、継手を構成する線材の巻き数に関しても限定しない。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るメガネフレームの継手はネジを用いないで構成している。その為に、ツルがガタ付くことはなく、ネジの増し締めは不要となる。
また、継手はネジを用いないことで、ツルの折畳み操作は常にスムーズに行われ、顔に掛けたメガネは安定する。メガネを外したフリーな状態で両ツルは概略X状にクロスし、開いた状態から内側へある程度撓んだ状態にあり、その為にメガネを顔に掛ける際にはツルは外方向へ押し開かれてバネ蝶番としての機能も備えている。
【0013】
そして、本発明の継手は取外して交換することが可能であり、螺旋バネの強さは適度に選択出来、また、メガネフレームのデザインに適合させることが出来る。すなわち、継手の両側に設けている連結部を介してヨロイとツルに連結可能であり、ツルの交換も出来る。
そして、フロント部に取付けられたツルは、内側へ撓んで折畳まれ、先端係止片が継手に設けた係合溝に係止することが出来、ツルが開くことはない。また、該螺旋状継手はバネ蝶番と同じような作用・効果を呈すことが出来、メガネを掛けた場合にツルを外方向へ押し開くことで、その反力が顔側面に作用してメガネは安定して着用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】メガネフレームを顔から外した状態で、両ツル概略X状にクロスして開いている平面図。
図2】メガネフレームの正面図。
図3】メガネフレームの側面図。
図4】ツルを連結する継手の具体例。
図5】従来の一般的なメガネフレーム。
図6】ツルを連結する従来の継手である蝶番。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図2図3は本発明に係るメガネフレームを表す実施例で、図1は平面図、図2は正面図、図3は側面図をそれぞれ示している。同図の1はフロント部、2はツル(テンプル)、3は継手をそれぞれ表している。フロント部1にはリム部4,4が連結部5を中心として左右対称に形成され、またフロント部1の両側にはヨロイ部6,6を設けている。そして、上記リム部4,4にはレンズ7,7が嵌っている。
【0016】
ところで、同図に示す上記フロント部1は樹脂を材質として射出成形したもので、リム部4,4、連結部5、及びヨロイ部6,6は一体成形されている。
上記ツル2,2はフロント部1の両側に継手3,3を介して連結され、開閉することが出来る。図1はメガネフレームを顔から外した場合で、両ツル2,2は内側に撓んで概略X状にクロスしている。このX状にクロスしている場合がフリーな状態であり、継手3を構成している線材には応力及び歪が発生していない。
【0017】
上記継手3は図4に具体例を示しているように、一定厚さで一定幅の帯状線材8を丸めて螺旋状としたもので、その両端には連結部9,9を形成している。連結部9は所定の間隔を有す2本のアーム10,10が外方向へ平行に延び、アーム先端には上下方向へ突出するツメ11,11を設けている。
同図に示すメガネフレームは樹脂製である為に、継手3も樹脂製としているが、金属製で構成することも可能である。
【0018】
上記ヨロイ部6の先端には連結部9が篏合するように開口を有しており、同じくツル2の基端にも連結部9が嵌るように開口を設けている。この開口に連結部9が篏合して両アーム10,10が嵌るならば、先端に設けたツメ11,11は開口の上面及び下面を貫通して設けた穴12,12に係合することが出来る。したがって、該連結部9はツメ11,11を介して開口から外れることなく固定される。
穴12,12は外に貫通している為に、継手3を取外す場合には、穴12,12にピンを刺し込んでツメ11,11を外し、その状態で引っ張るならば取外すことが出来る。
【0019】
本発明の上記継手3は交換出来るように構成され、その為に、フロント部1及びツル2のデザインに合わせた形態及び色彩を選択して取付けることが出来る。
そして、継手3の両側に設けている連結部9,9の形態は自由であり、先端にツメ11,11を有す2本のアーム10,10に限るものではない。例えば、連結部を開口に嵌めて、抜けないように内側からネジ止めすることも可能である。
【0020】
また、図4に示す継手は、一重の螺旋としているが、二重、三重の螺旋とする場合もあり、バネ力を調整することが出来る。
図1は両ツル2,2が概略X状にクロスしていて、螺旋状の継手3に残留応力が働いていない状態であり、メガネを顔に掛ける場合、また完全に折畳む場合、螺旋状の継手3は捩り変形する。メガネフレームを顔に掛ける場合には継手3のリング外径は大きくなり、逆に完全に折畳む場合には継手3のリング外径は小さくなる。
【0021】
ツル2,2を折畳む場合には、継手3の弾性復元力にて開かないように、ツル先端に設けた係止片13は該継手3に形成している係合溝14に係合することが出来る。ツル2の長さは先端の係止片13が係合溝14に係合するサイズ(長さ)としており、また係止片13は係合溝14に係合し易いように滑らかに湾曲している。
【符号の説明】
【0022】
1 フロント部
2 ツル
3 継手
4 リム部
5 連結部
6 ヨロイ部
7 レンズ
8 線材
9 連結部
10 アーム
11 ツメ
12 穴
13 係止片
14 係合溝














図1
図2
図3
図4
図5
図6