(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021392
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】フードシール
(51)【国際特許分類】
B60J 10/84 20160101AFI20220127BHJP
B60J 10/246 20160101ALI20220127BHJP
B60J 10/273 20160101ALI20220127BHJP
【FI】
B60J10/84
B60J10/246
B60J10/273
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124911
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】伊芸 滋光
(72)【発明者】
【氏名】神吉 栄希
(72)【発明者】
【氏名】岡部 太一
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA03
3D201AA12
3D201AA27
3D201AA37
3D201BA01
3D201CA14
3D201DA16
3D201DA27
3D201EA02B
3D201EA04D
3D201EA13
(57)【要約】
【課題】フードの閉時におけるフードシールの無用な回転を抑制して、フロントバンパーとの間の隙間の発生を防止できるようにした。
【解決手段】フードシール16は、バンパー11の棚状部11bにクリップ19を介して固定される平坦状の取付基部17と、取付基部から上方側に向けて設けられて、フード12の閉止時に当該フードの前端部12dが当接することにより撓み変形する中空シール部18と、を備え、中空シール部は、後端片18aの外面に一体に設けられた誤組み付け防止用の突起部20を有すると共に、前端片18bの内面に一体に設けられた変形抑制用の突出部21を有している。突起部20は、中空シール部の中心Pと同じ高さに配置され、突出部21は中心Pよりも低い位置に配置されて、フードの閉止に突起部から中心Pに向かう力Fと、突出部からの3つの分力F1~F3によって中空シール部の矢印X方向の回転力を抑制する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロントバンパーの上端部に装着されて、フードの閉止時に、当該フードの前端部が当接することで両者の間をシールするフードシールであって、
前記フードシールは、
前記フロントバンパーの上端部にクリップを介して固定される平坦状の取付基部と、
前記取付基部から上方に向けて設けられて、前記フードの閉止時に当該フードの前端部が当接することにより変形する中空シール部と、
を備え、
前記中空シール部は、
エンジンルーム側の後端部の外面に設けられた突起部と、
エンジンルームと反対側の前端部に設けられた突出部と、
を有することを特徴とするフードシール。
【請求項2】
請求項1に記載のフードシールであって、
前記突出部は、前記前端部の内面に設けられていることを特徴とするフードシール。
【請求項3】
請求項1に記載のフードシールであって、
前記中空シール部は、前記取付基部の後端から立ち上がった後端片と、前記取付基部の前端から立ち上がった前端片と、前記後端片と前端片の各上端を繋ぎ結合すると共に、上方へ湾曲状に膨出形成されたシール片と、を有し、
前記突起部は、前記後端片の前記シール片との結合付近の上端部に設けられている一方、前記突出部は、前記前端片の前記シール片との結合付近の上端部に設けられていることを特徴とするフードシール。
【請求項4】
請求項3に記載のフードシールであって、
前記取付基部と前記突起部を含む後端片と前記突出部を含む前端片は、ソリッドゴム系の材料によって形成され、
前記シール片は、スポンジゴム系の材料によって形成されていると共に、前端部が前記フロントバンパーの上端部内面に当接可能になっていることを特徴とするフードシール。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のフードシールであって、
前記突起部の形成位置は、前記中空シール部の内部に位置する当該中空シール部の中心と水平方向で同一の高さ位置になっていることを特徴とするフードシール。
【請求項6】
請求項5に記載のフードシールであって、
前記突出部の形成位置は、前記突起部の形成位置よりも前記取付基部寄りの低い位置になっていることを特徴とするフードシール。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のフードシールであって、
前記突起部と突出部は、前記中空シール部の長手方向に沿って平行に設けられていることを特徴とするフードシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントバンパーの上端部に装着されてフード閉止時に当該フードの前端部が当接することによって両者の間をシールするフードシールに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンフード(ボンネット)とエンジンルームの前端部との間をシールするフードシールは、フードウエザーストリップまたはフードシールラバーとも称され、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
図5に示すように、車体の前端部に配置されたフロントバンパー01の前端部に、グリル02がボルト03によって固定されていると共に、上端部01aにフードシール1がクリップに4よって固定されている。このフードシール1は、前記クリップ4によって固定される平坦状の取付基部2と、この取付基部2の車両の前後側である前後端から上方に向けて一体に設けられ、フード04の閉止時に当該フード04の前端部04aが当接して撓み変形する中空シール部3と、を備えている。
【0004】
取付基部2は、硬質のソリッドゴム系材料によって車体幅方向に延びた板状に形成され、前後幅方向のほぼ中央にはクリップ4が挿通される図外の複数のクリップ挿入孔が長手方向のほぼ等間隔位置に設けられている。
【0005】
中空シール部3は、取付基部2の前後端から立ち上がったソリッドゴム系材料からなる後端片3a及び前端片3bと、後端片3aと前端片3bの各上端を繋ぐスポンジゴム系材料からなる上端片3cと、を有している。また、後端片3aのエンジンルームER側の外面には、フードシール1をフロントバンパー01に組み付ける際に、前後の誤組み付けを防止する突起部5が一体に設けられている。
【0006】
この突起部5は、取付基部2と同じくソリッドゴム系の材料で横断面ほぼ横U字形状に形成されていると共に、中空シール部3の長手方向に沿って延設されており、これを視覚あるいは触覚によって外部から認識して誤組み付けを防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、最近では、
図6に示すように、車両平面視でのフロントバンパー01全体の造形として前端部の中央部位が前方側に向かって凸となる湾曲形状とされることが多く、フードシール1もフロントバンパー01側の湾曲形状のコーナ部分Cnに追従させて配置する必要がある。
【0009】
特許文献1に記載された従来のフードシール1にあっても、フロントバンパー01の前端部の湾曲形状のコーナ部分Cnに追従させて取り付けられるようになっている。このため、フードシール1は、フード04を閉止すると、前記コーナ部分Cnの位置で、かつクリップ4で固定されていない部位において、中空シール部3が当該中空シール部3の内部に位置する中心Pを回転中心として図中矢印Xで示す時計方向(エンジンルームER方向)へ回転(倒れ)してしまうおそれがある。
【0010】
これは、フード04の閉時に、当該フード04の湾曲状の前端部04aで中空シール部3の上端片3cの前端部に圧縮力が掛かると、突起部5が硬質なソリッドゴム系で形成されていることから、この突起部5側では圧縮力によって変形せずにその力F’が周長の長い方向(矢印方向)へ向かおうとする。この力F’は、中心P方向の分力F1’と、中心Pに垂直な方向の分力F2’とに分けられて、中空シール部3に対して前記矢印X方向へ回転力が付与された形になるのである。
【0011】
このため、フロントバンパー01の上端部01aのコーナ部分Cnとフードシール1の中空シール部3との間に隙間Cが発生するおそれがあった。この隙間Cの発生は、車両全体の造形上重要な車体正面視での見栄えの低下をもたらすこととなって好ましくない。
【0012】
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、フードの閉時におけるフードシールのエンジンルーム方向への回転を抑制して、フロントバンパーとの間の隙間の発生を防止できるようにしたフードシールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、自動車のフロントバンパーの上端部に装着されて、フードの閉止時に、当該フードの前端部が当接することで両者の間をシールするフードシールであって、
前記フードシールは、前記フロントバンパーの上端部にクリップを介して固定される平坦状の取付基部と、前記取付基部から上方側に向けて設けられて、前記フードの閉止時に当該フードの前端部が当接することにより撓み変形する中空シール部と、を備え、
前記中空シール部は、エンジンルーム側の後端部の外面に設けられた突起部と、エンジンルームと反対側の前端部に設けられた突出部と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、中空シール部の前端部の設けられた突出部によって、フードシールの回転方向と逆の力を発生させて、フードシールの回転の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明に係るフードシールの実施形態を示す図で、フードシールの自由状態での
図1のA-A線に沿った拡大断面図である。
【
図3】本発明に係るフードシールがクリップによってフロントバンパーに取り付け固定された自由状態での拡大断面図である。
【
図4】フードが閉止されてフードシールの中空シール部が圧縮変形したことにより突起部と突出部に作用する力関係を説明する
図1のA-A線に沿った拡大断面図である。
【
図5】フードシールがクリップで固定されていない位置を示し、
図6のB-B線に沿った拡大断面図である。
【
図6】フードシールがフロントバンパーへクリップによって取り付けられる位置を示すフードの平面から視た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図4は本発明に係るフードシールの具体的な実施形態を示し、
図1は自動車の前部斜視図、
図2は
図1のA-A線に沿う断面図であって、フードシールの自由状態での拡大断面図、
図3は本発明に係るフードシールがクリップによってフロントバンパーに取り付け固定された自由状態での拡大断面図、
図4はフードが閉止されてフードシールの中空シール部が圧縮変形したことにより突起部と突出部に作用する力関係を説明する
図1のA-A線に沿った拡大断面図である。
【0017】
図1において、11は車体のエンジンルームERの前方側に配置されるフロントバンパー(以下、単にバンパーという。)、12はエンジンルームを覆うエンジンフード(以下、単にフードという。)である。また、13はバンパー11の中央部に設けられた加飾用のグリル、14はヘッドランプである。そして、
図1の及び
図2に示すように、バンパー11の上端部11aの長手方向(車幅方向)に沿ってフードシール16が配設されている。
【0018】
バンパー11は、
図1及び
図6に示すように、車両平面視での全体の造形として前端部の中央部位が前方に向かって凸となる湾曲形状に形成されていることは従来技術と同じである。
【0019】
また、バンパー11は、
図2~
図4に示すように、上端部11aが横断面ほぼ逆V字形状に折り曲げられ、先端側の平坦な棚状部11bと、この棚状部11bの前方側から傾斜面をもって立ち上がる縦壁部11cと、を有している。
【0020】
棚状部11bは、長手方向のほぼ等間隔位置に取付ボルト15が挿入するボルト挿入孔11dが貫通形成されている。一方、グリル13は、棚状部11bの各ボルト挿入孔11dに対応する位置に取付ボルト15の雄ねじ部15aが螺着する雌ねじ孔13aが形成されている。したがって、グリル13は、バンパー11に対して取付ボルト15によって結合固定されるようになっている。また、棚状部11bの長手方向のほぼ等間隔位置には、クリップ19が挿入される円形状の複数のクリップ孔11eが貫通形成されている。この各クリップ孔11eは、前記各ボルト挿入孔11dとは長手方向の位置で重ならないずれた位置に設けられている。
【0021】
また、棚状部11bの上面には、フードシール16が縦壁部11cに沿って配設されている。
【0022】
なお、フード12は、周知のようにフードアウタパネル12a側のヘミングフランジ部12cをフードインナパネル12b側に折り返すことでヘミング結合して一体化したものであり、ヘミングフランジ部12cの折り曲げ基部がフード12の前端部12dとなっている。
【0023】
そして、フード12の閉止時には、当該フード12の前端部12dが、バンパー11側の縦壁部11cの上端側の内側面に対して所定のパーティング隙間を隔てて近接対峙する形となる。そのため、後述するように、フード12の閉止時には、フード12の前端部12dがフードシール16の中空シール部18に当接し、この中空シール部18が圧縮状態に撓み変形することで、バンパー11とフード12との間のシール機能が発揮されることになる。
【0024】
フードシール16は、フロントバンパー01側の湾曲形状のコーナ部分Cnに追従して車幅方向に沿って湾曲状に形成されている。フードシール16は、
図2~
図4に示すように、バンパー11の棚状部11bに沿って車幅方向に配設される平坦板状の取付基部17と、この取付基部17の車体前後端から上方側に向けて一体に設けられた中空シール部18と、を有している。
【0025】
取付基部17は、硬質なソリッドゴム系の材料によって形成され、
図3に示すように、前記各クリップ孔11eに対応したほぼ等間隔位置に各クリップ19が挿入される円形状の複数のクリップ挿入孔17aが貫通形成されている。したがって、フードシール16は、取付基部17の各クリップ挿入孔17aと棚状部11bの各クリップ孔11eに挿入された各クリップ19の弾性締結力によってバンパー11の棚状部11bに強固に取り付けられている。
【0026】
なお、クリップ19は、合成樹脂材によって一体に形成されたもので、例えば特開2018-62939号公報などに記載された構造を有し、頭部19aが取付基部17のクリップ挿入孔17aの孔縁上部に弾接し、拡径変形可能な脚部19bが棚状部11bのクリップ孔11eの孔縁下部に係止している。
【0027】
中空シール部18は、
図2~
図4に示すように、取付基部17のエンジンルームER側の後端部から立ち上がった後端片18aと、取付基部17のエンジンルームERと反対側に位置する前端片18bと、後端片18aと前端片18bの各上端を繋ぎ結合させ、上方へ湾曲状に膨出形成されたシール片18cと、を有している。
【0028】
後端片18aと前端片18bは、取付基部17と同じくソリッドゴム系の材料によって形成されているが、シール片18cは、軟質なスポンジゴム系の材料によって形成されている。
【0029】
前記後端片18aの外面には、突起部20が一体に設けられている。この突起部20は、誤組み付け防止用であって、後端片18aと同じくソリッドゴム系の材料によって横断面ほぼ横U字形状に形成されていると共に、中空シール部18の長手方向に沿って延設されている。また突起部20は、その形成位置が中空シール部18の内部に位置する該中空シール部18の中心Pから水平方向に延びた線S上に位置している。
【0030】
そして、前端片18bの内面には、突出部21が一体に設けられている。この突出部21は、変形抑制用であって、前端片18bと同じくソリッドゴム系の材料によって横断面ほぼ三角形状に形成され、その形成位置が中空シール部18の中心Pよりも下側の低い位置で取付基部17寄りに配置されている。また、突出部21は、上端面21aがほぼ水平方向に沿って形成され、頂点21bが中心P近傍に指向していると共に、下端縁21cが取付基部17付近まで延びている。また、突出部21は、全体の断面積が突起部20よりも大きく形成され、これによって、剛性が突起部20側よりも高くなっている。
〔本実施形態のフードシールの作用効果〕
そして、
図4に示すように、フードシール16をバンパー11の上端部11aに取り付けた後にフード12を閉止させると、コーナ部分Cn(
図1,
図6参照)の位置で、かつクリップ19が設けられていない部位では、以下に説明する作用によって隙間の発生を抑制することが可能になる。
【0031】
すなわち、フード12を閉止させると、このフード12の前端部12dが中空シール部18のシール片18cの上面前端部に当接して中空シール部18全体に圧縮力が掛かって撓み変形しようとする。そうすると、中空シール部18には、居心地が良い方向(変形し易い方向)に向かおうとする力が作用する。これによって、
図4の長い直線矢印で示すように、突起部20から中空シール部18の中心P方向へ向かう周長の長い水平方向の力Fが働く。
【0032】
これにより突出部21には、3方向の分力F1~F3が発生し、1つは前記矢印Fに対抗する周長の短い分力F1、2つは中心Pに向かう分力F2、3つは中心Pと垂直な方向に発生する分力F3が発生する。
【0033】
つまり、突出部21は、フード12のコーナ部分Cnの領域でシール片18cを介して
図4中、左方向の引っ張り力を受けるが、硬質なソリッドゴム系材料であるから、引っ張られても伸びずに周長の短い分力F1へ向かおうとする。
【0034】
この分力F1は、中空シール部18が突起部20から中心Pに向かう圧縮方向の力Fに対抗する力である。この分力F1は、分力F2と分力3に分けられ、分力F2は、中心Pに向かって作用し前記水平方向の力に対抗する力であり、さらに分力3は、中空シール部18の引っ張り側に対抗する力である。この突出部21により発生した分力F1~F3は、中空シール部18に発生した時計方向(X方向)の回転力に対抗する力となって、前記矢印X方向の回転力を相殺(キャンセル)する。
【0035】
ここで、突起部20を、中心Pと水平方向の線S上に配置して、中心Pと同じ高さに配置した理由は、前述したように、フード12の閉止に伴って中空シール部18が変形し易い方向に向かう力が中心P方向の力Fになって、
図4中、時計方向の回転力をほぼ零にすることが可能になるからである。
【0036】
換言すれば、
図5に示す前記従来のフードシール1のように、突起部5が中心Pよりも低い位置にある場合は、中空シール部18が変形し易い方向に向かう力が中心P方向ではなく、分力F2’によって時計方向(矢印X方向)の回転力になってしまうが、本実施形態では時計方向の回転力をほぼ零にできるからである。
【0037】
以上のように、本実施形態では、突出部21に分力1~3が発生することから、中空シール部18は、
図5に示す従来技術のようなX方向の回転力(変形)が十分に抑制されて、シール片18cの外面とバンパー11の縦壁部11cの上端内側面11fとの間の隙間の発生を抑制することができる。この結果、車両全体の造形上重要な車体正面視での見栄えの向上に寄与することができる。
【0038】
また、本実施形態では、フードシール16を、バンパー11に対して複数のクリップ19のみをもって取りつけ固定したことから、その取り付け作業が簡単であり、この作業能率が良好になる。
【0039】
さらに、突出部21は、中空シール部18の前端片18bの内面側、つまり中空シール部18の内部に設けられていることから、外部から露見することがない。これによって、突出部21のバンパー11との干渉を防止できると共に、見栄えの低下を抑制できる。
【0040】
なお、突出部21は、フードシール16のコーナ部分Cnの他にコーナ部分Cn両側の直線部分にも設けられていることから、この直線部分の剛性が確保されて中空シール部18の形状保持力を高めることができる。これによって、フード12閉止時の中空シール部18の過度な撓み変形を抑制できる。
【0041】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、本実施形態では、フードシール16をクリップ19のみによってバンパー11に取り付け固定したが、クリップ19と共に、取付基部17の下面と棚状部11bの上面との間に接着剤を塗布したり、あるいは両面接着テープを介装して取り付け固定することも可能である。
【0042】
さらに、突出部21を、中空シール部18の長手方向の全体に渡って設けているが、少なくともフードシール16のコーナ部分Cn領域のみに設けることも可能である。
【0043】
以上説明した実施形態に基づくフードシールとしては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0044】
その一つの態様において、自動車のフロントバンパーの上端部に装着されて、フードの閉止時に、当該フードの前端部が当接することで両者の間をシールするフードシールであって、
前記フードシールは、前記フロントバンパーの上端部にクリップを介して固定される平坦状の取付基部と、前記取付基部から上方側に向けて設けられて、前記フードの閉止時に当該フードの前端部が当接することにより撓み変形する中空シール部と、を備え、
前記中空シール部は、エンジンルーム側の後端部の外面に設けられた突起部と、エンジンルームと反対側の前端部に設けられた突出部と、を有している。
【0045】
さらに好ましくは、前記突出部は、前記前端部の内面に設けられている。
【0046】
さらに好ましくは、前記中空シール部は、前記取付基部の後端から立ち上がった後端片と、前記取付基部の前端から立ち上がった前端片と、前記後端片と前端片の各上端を繋ぎ結合すると共に、上方へ湾曲状に膨出形成されたシール片と、を有し、前記突起部が、前記後端片の前記シール片との結合付近の上端部に設けられている一方、前記突出部が、前記前端片の前記シール片との結合付近の上端部に設けられている。
【0047】
さらに好ましくは、前記取付基部と前記突起部を含む後端片と前記突出部を含む前端片は、ソリッドゴム系の材料によって形成され、前記シール片は、スポンジゴム系の材料によって形成されていると共に、前端部が前記フロントバンパーの上端部内面に当接可能になっている。
【0048】
さらに好ましくは、前記突起部の形成位置は、前記中空シール部の内部に位置する当該中空シール部の中心と水平方向で同一の高さ位置になっている。
【0049】
さらに好ましくは、前記突出部の形成位置は、前記突起部の形成位置よりも前記取付基部寄りの低い位置になっている。
【0050】
さらに好ましくは、前記突起部と突出部は、中空シール部の長手方向に沿って平行に設けられている。
【符号の説明】
【0051】
11…フロントバンパー
11a…上端部
11b…棚状部
11c…縦壁部
11f…内側面
12…エンジンフード
12d…先端部
13…グリル
16…フードシール
17…取付基部
18…中空シール部
18a…後端片(後端部)
18b…前端片(前端部)
18c…シール片
19…クリップ
20…突起部
21…突出部
Cr…コーナ部分
P…中空シール部の中心
ER…エンジンルーム