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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021406
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】送風装置および温水装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20220127BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20220127BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20220127BHJP
【FI】
F04D29/44 P
F04D29/44 X
F04D29/66 N
F24H9/00 Z
F24H9/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124939
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 幹大
【テーマコード(参考)】
3H130
3L036
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC06
3H130AC27
3H130BA09A
3H130BA14A
3H130CA04
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA04A
3H130EA06A
3H130EA06C
3H130EB04A
3H130EB05A
3L036AE21
(57)【要約】
【課題】吸込み口の外周側から送風装置の内部に空気が流入する場合であっても騒音の少ない送風装置および温水装置を提供する。
【解決手段】整流部材7のファンネル部7Fには、ファンケース6の外側に位置する第1端FEとファンケース6の内側に位置する第2端SEとを有する吸込み口7Hが設けられる。傾斜部7Sは、第1端FEからファンネル部7Fの外周側に延び、かつ内周側から外周側へ向かうほどファンケース6の壁部6aに近づくよう傾斜する。吸込み口7Hはシュラウド3の孔3aに向かい合い、吸込み口7Hの第2端SEにおける径D1は孔3aの径D2以下である。第1端FEから第2端SEへ向かう方向の切断面において、吸込み口7Hの第2端SEでの接線TLは、軸線AXに平行または第2端SEから羽根車4に近づくほど軸線AXに近づくように傾斜する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に孔が設けられた円盤状のシュラウドを有し、軸線を中心に回転する羽根車と、
前記羽根車を内部に収納し、壁部を有するファンケースと、
前記壁部に取り付けられた整流部材と、を備え、
前記整流部材は、
前記ファンケースの外側に位置する第1端と前記ファンケースの内側に位置する第2端とを有する吸込み口が設けられた円環状のファンネル部と、
前記第1端から前記ファンネル部の外周側に延び、かつ内周側から前記外周側へ向かうほど前記壁部に近づくよう傾斜した傾斜部と、を含み、
前記吸込み口は前記孔に向かい合い、前記吸込み口の前記第2端における径は前記孔の径以下であり、
前記第1端から前記第2端へ向かう方向の切断面において、前記吸込み口の前記第2端での接線は、前記軸線に平行または前記羽根車に近づくほど前記軸線に近づくように傾斜する、送風装置。
【請求項2】
前記傾斜部は、一定の傾斜で構成される、請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記整流部材が取り付けられる前記壁部の面と前記傾斜部とのなす角度が70°以下である、請求項1または請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記整流部材を前記壁部に着脱自在に取り付ける係止部材をさらに備え、
前記傾斜部は、前記係止部材が配置される窪み部を有し、
前記窪み部は、互いに対向する第1壁面および第2壁面を有し、
前記第1壁面と前記第2壁面との間隔は、前記内周側よりも前記外周側において大きくなっている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項5】
前記第1壁面および前記第2壁面の各々は、前記吸込み口の中心から放射線状に延びる仮想の直線に沿って延びている、請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
前記窪み部は、前記第1壁面と前記第2壁面とに挟まれた第3壁面を有し、
前記第3壁面は、前記内周側から前記外周側へ向かうほど前記壁部に近づくよう傾斜し、
前記整流部材が取り付けられる前記壁部の面と前記第3壁面とのなす角度が70°以下である、請求項5に記載の送風装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の送風装置と、
前記送風装置を収納し、かつ前記吸込み口に対面する背面部を有する外装ケースをさらに備え、
前記整流部材の前記第1端と前記背面部との距離が50mm以下である、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置および温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風装置の構成は、たとえば実開昭57-5999号公報(特許文献1)、特許第3902193号公報(特許文献2)などに開示されている。
【0003】
特許文献1には、ケーシングの吸込み口に配置されたベルマウスを有する遠心式送風機が開示されている。また特許文献2には、空気吸込み口の周囲に配置されたベルマウスを有する多翼遠心送風機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57-5999号公報
【特許文献2】特許第3902193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2の各々の送風機においては、空気吸込み口の外周側から送風装置の内部に空気が流入する場合に騒音を抑制するには改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸込み口の外周側から送風装置の内部に空気が流入する場合であっても騒音の少ない送風装置および温水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の送風装置は、羽根車と、ファンケースと、整流部材とを備える。羽根車は、中心に孔が設けられた円盤状のシュラウドを有し、軸線を中心に回転する。ファンケースは、羽根車を内部に収納し、壁部を有する。整流部材は、壁部に取り付けられている。整流部材は、円環状のファンネル部と、傾斜部とを含む。ファンネル部には、ファンケースの外側に位置する第1端とファンケースの内側に位置する第2端とを有する吸込み口が設けられる。傾斜部は、第1端からファンネル部の外周側に延び、かつ内周側から外周側へ向かうほど壁部に近づくよう傾斜する。吸込み口は孔に向かい合い、吸込み口の第2端における径は孔の径以下である。第1端から第2端へ向かう方向の切断面において、吸込み口の第2端での接線は、軸線に平行または羽根車に近づくほど軸線に近づくように傾斜する。
【0008】
本発明の送風装置によれば、傾斜部は、吸込み口の第1端からファンネル部の外周側に延び、かつ内周側から外周側へ向かうほど壁部に近づくよう傾斜する。このような傾斜部が設けられたことにより吸込み口の第1端から外周側において直立した段差は生じない。このため、吸込み口の外周側から送風装置内に空気を吸い込む場合であっても、その段差に起因した空気の流れの乱れは生じない。よって空気の乱流による騒音の発生を抑制することができる。
【0009】
また整流部材の吸込み口はシュラウドの孔に向かい合い、吸込み口の第2端における径は孔の径以下である。このため吸込み口を通った空気の大部分を、シュラウドの孔を通じて羽根車の内部へ吸い込ませることが可能となる。
【0010】
また第1端から第2端へ向かう方向の切断面において、吸込み口の第2端での接線は、軸線に平行または羽根車に近づくほど軸線に近づくように傾斜する。この点においても、吸込み口を通った空気の大部分を、シュラウドの孔を通じて羽根車の内部へ吸い込ませることが可能となる。
【0011】
さらに吸込み口の第2端がファンケースの内部に位置している。このため吸込み口の第2端をシュラウドの孔に可能な限り近付けることができる。この点においても、吸込み口を通った空気の大部分を、シュラウドの孔を通じて羽根車の内部へ効率的に吸い込ませることが可能となる。
【0012】
以上のように吸込み口を通った空気の大部分をシュラウドの孔を通じて羽根車の内部へ吸い込ませることが可能となるため、吸込み口から羽根車の外部へ吹き出された空気による騒音の発生を抑制することができる。
【0013】
上記の送風装置において、傾斜部は、一定の傾斜で構成される。これにより傾斜部に沿って空気を外周側から内周側へ向かって直線状に導くことができる。このため傾斜部を通る空気に乱流がさらに生じにくくなり、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0014】
上記の送風装置において、整流部材が取り付けられる壁部の面と傾斜部とのなす角度が70°以下である。これにより傾斜部の傾斜が緩やかとなる。このため傾斜部を通る空気に乱流がさらに生じにくくなり、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0015】
上記の送風装置は、整流部材を壁部に着脱自在に取り付ける係止部材をさらに備える。傾斜部は、係止部材が配置される窪み部を有する。窪み部は、互いに対向する第1壁面および第2壁面を有する。第1壁面と第2壁面との間隔は、内周側よりも外周側において大きくなっている。これにより、窪み部の外周側から窪み部へ空気がスムーズに流入し、窪み部を通る空気の流れに乱れが生じにくくなる。
【0016】
上記の送風装置において、第1壁面および第2壁面の各々は、吸込み口の中心から放射線状に延びる仮想の直線に沿って延びている。これにより放射線状に沿って外周側から吸込み口へ吸い込まれる空気の流れに乱れが生じにくくなる。
【0017】
上記の送風装置において、窪み部は、第1壁面と第2壁面とに挟まれた第3壁面を有する。第3壁面は、内周側から外周側へ向かうほど壁部に近づくよう傾斜する。整流部材が取り付けられる壁部の面と第3壁面とのなす角度が70°以下である。これにより第3壁面の傾斜が緩やかとなる。このため第3壁面を通る空気に乱流が生じにくくなり、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0018】
本発明の温水装置は、上記の送風装置と、外装ケースとをさらに備える。外装ケースは、送風装置を収納し、かつ吸込み口に対面する背面部を有する。整流部材の第1端と背面部との距離が50mm以下である。
【0019】
本発明の温水装置によれば、整流部材の第1端と背面部との距離が50mm以下である。これにより吸込み口の外周側から半径方向成分の強い流れとなって送風装置の内部に空気が流入することになるが、その場合においても騒音を低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、吸込み口の外周側から送風装置の内部に空気が流入する場合であっても騒音の少ない送風装置および温水装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における送風装置の構成を示す斜視図である。
図2図1の送風装置の構成を示す断面図である。
図3図1の送風装置に用いられる整流部材の構成を示す平面図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図1の送風装置を有する温水装置の構成を示す図である。
図6図5のVI-VI線に沿う断面図である。
図7】比較例の整流部材において、吸込み口の外周側から吸込み口へ吸い込まれる空気の流れを示す図である。
図8】一実施形態の整流部材において、吸込み口の外周側から吸込み口へ吸い込まれる空気の流れを示す図である。
図9】比較例1における送風装置の構成を示す斜視図である。
図10】比較例2における送風装置の構成を示す斜視図である。
図11】送風装置単品での騒音を評価した結果を示す図である。
図12】送風装置を温水装置(たとえば給湯装置)に搭載した状態で騒音を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、各実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0023】
<送風装置の構成>
まず、本発明の一実施形態における送風装置の構成について図1図4を用いて説明する。
【0024】
図1および図2に示されるように、本実施形態の送風装置10は、羽根車4と、駆動源5と、ファンケース6と、整流部材7と、係止部材8とを主に有する。
【0025】
図2に示されるように、羽根車4は、複数の羽根板1と、面板2と、シュラウド3とを有する。複数の羽根板1の各々は、互いに対向する第1端1Fと、第2端1Sとを有する。シュラウド3は、複数の羽根板1の各々の第1端1F側に配置されている。シュラウド3は、中心に空気が通過する孔3aを有する。面板2は、複数の羽根板1の各々の第2端1S側に配置されている。面板2は、中心に軸孔2aを有する。
【0026】
面板2およびシュラウド3の各々は円盤形状を有する。面板2およびシュラウド3は互いに同心となるように配置されている。面板2およびシュラウド3は互いに回転軸5a(図1)の軸線AXの延びる方向に隙間をあけて配置されている。複数の羽根板1の各々は、面板2とシュラウド3との間に配置されている。
【0027】
なお本明細書における軸線AXとは、回転軸5aの回転中心に沿って延びる仮想の直線である。
【0028】
駆動源5は、たとえばモータである。駆動源5は、本体部5bと、回転軸5aとを有する。回転軸5aは、本体部5bから駆動力を与えられることにより本体部5bに対して回転可能である。回転軸5aは、面板2の軸孔2aに挿入されている。これにより羽根車4は回転軸5aに取り付けられており、回転軸5aとともに回転可能である。
【0029】
ファンケース6は、内部空間6Sを有する。ファンケース6は、内部空間6S内に羽根車4を収納する。ファンケース6は、開口6aaが設けられた壁部6aを有する。開口6aaは、シュラウド3の孔3aと対向する位置に配置されている。
【0030】
図1に示されるように、整流部材7は、環形状(たとえば円環形状)を有し、ファンケース6の壁部6aに取り付けられている。整流部材7は、ファンネル部7Fと、傾斜部7Sとを有する。
【0031】
ファンネル部7Fは、吸込み口7Hを有し、吸込み口7Hの周囲を取り囲む環形状(たとえば円環形状)を有する。吸込み口7Hは、ファンネル部7Fを貫通している。傾斜部7Sは環形状(たとえば円環形状)を有し、ファンネル部7Fの外周を取り囲むように配置されている。傾斜部7Sは、ファンネル部7Fと一体で設けられている。ただし傾斜部7Sは、ファンネル部7Fと別体で設けられていてもよい。
【0032】
整流部材7は、係止部材8によりファンケース6の壁部6aに着脱自在に取り付けられている。係止部材8は、たとえばビス、ボルトなどのネジである。係止部材8は、整流部材7をファンケース6に着脱自在に取り付けられるものであれば、ネジに限定されるものではない。またファンケース6は、羽根車4の回転により排出された空気を吹き出すための吹出口6Hを有する。
【0033】
図2に示されるように、ファンネル部7Fは、開口6aaを通じてファンケース6の外部から内部へ延びている。ファンネル部7Fの吸込み口7Hは、ファンケース6の外側に位置する第1端FEと、ファンケース6の内側に位置する第2端SEとを有する。第2端SEは、回転軸5aの軸線AXの方向に沿って壁部6aから距離LEだけファンケース6の内部に位置している。
【0034】
傾斜部7Sは、第1端FEからファンネル部7Fの外周側に延びている。
【0035】
傾斜部7Sは、整流部材7の内周側から外周側へ向かうほど壁部6aに近づくよう傾斜している。傾斜部7Sの傾斜面とファンネル部7Fの吸込み口7Hとは第1端FEにおいて接続されている。第1端FEは、傾斜部7Sの傾斜面とファンネル部7Fの吸込み口7Hとの間において変曲点を構成している。
【0036】
傾斜部7Sは、図2に示される断面において、一定の傾斜で構成され、外周側から内周側へ向かって直線状に延びている。なお図2に示される断面とは、整流部材7の径方向に切断した断面であって、第1端FEから第2端SEへ向かう方向に切断した断面である。また一定の傾斜とは、傾斜角度が一定で変化しない傾斜を意味する。
【0037】
整流部材7が取り付けられる壁部6aの面と傾斜部7Sとのなす角度αが70°以下である。また整流部材7が取り付けられる壁部6aの面の垂線と傾斜部7Sとのなす角度βが20°以上である。
【0038】
ファンネル部7Fの吸込み口7Hはシュラウド3の孔3aに向かい合う。吸込み口7Hは、第1端FEから第2端SEに近づくほど径が小さくなる。吸込み口7Hの第2端SEにおける径D1は孔3aの径D2以下である。
【0039】
図2に示される断面において、吸込み口7Hの第2端SEでの接線TLは、軸線AXに平行または第2端SEから羽根車4に近づくほど軸線AXに近づくように傾斜している。
【0040】
図3に示されるように、平面視において、吸込み口7Hの第2端SEにおける開口領域は、孔3aの開口領域と重畳している。つまり平面視において、吸込み口7Hの第2端SEにおける開口領域は、孔3aの開口領域内からはみ出さずに孔3aの開口領域内に位置している。
【0041】
なお本明細書における平面視とは、軸線AX方向から整流部材7および羽根車4を見る視点を意味する。
【0042】
傾斜部7Sは、窪み部7aを有する。窪み部7aは、係止部材8(図1)を配置するための部分である。窪み部7aは、第1壁面7a1と、第2壁面7a2と、第3壁面7a3と、底面7a4とを有する。
【0043】
底面7a4は、係止部材8(図1)が配置される面である。底面7a4には、貫通孔7bが設けられている。貫通孔7bは、係止部材8を挿し込むためのものである。この底面7a4から、第1壁面7a1、第2壁面7a2および第3壁面7a3の各々が立ち上がっている。
【0044】
第1壁面7a1および第2壁面7a2は、互いに対向する。第1壁面7a1および第2壁面7a2の各々は、平面視において吸込み口7Hの中心Cから放射線状に延びる仮想の直線RL1、RL2に沿って延びている。具体的には、底面7a4と第1壁面7a1との接続部が仮想の直線RL1に沿って延びており、底面7a4と第2壁面7a2との接続部が仮想の直線RL2に沿って延びている。なお吸込み口7Hの中心Cは、軸線AX上に位置する。
【0045】
第1壁面7a1と第2壁面7a2との間隔において、内周側の間隔WAよりも外周側の間隔WBが大きくなっている。具体的には、底面7a4および第1壁面7a1の接続部と底面7a4および第2壁面7a2の接続部との間隔において、内周側の間隔WAよりも外周側の間隔WBが大きくなっている。
【0046】
第3壁面7a3は、第1壁面7a1と第2壁面7a2とに挟まれている。第3壁面7a3は、整流部材7の円周方向に延びている。第3壁面7a3の円周方向の一方端には第1壁面7a1が接続されており、第3壁面7a3の円周方向の他方端には第2壁面7a2が接続されている。
【0047】
第1壁面7a1および第2壁面7a2は、窪み部7aの円周方向における端部を規定している。第3壁面7a3は、窪み部7aの径方向における内周端を規定している。窪み部7aの径方向における外周端には壁面はなく、窪み部7aの外周端は外周側に向かって開放されている。
【0048】
図4に示されるように、第3壁面7a3は、内周側から外周側へ向かうほど壁部6aに近づくよう傾斜している。整流部材7が取り付けられる壁部6aの面と第3壁面7a3とのなす角度γが70°以下である。この角度γは、整流部材7が取り付けられる壁部6aの面と傾斜部7Sとのなす角度α(図2)よりも大きい。
【0049】
<温水装置の構成>
次に、本実施形態の送風装置が用いられる温水装置の構成について図5および図6を用いて説明する。
【0050】
図5に示されるように、本実施形態の温水装置30は、上記の送風装置10と、給水配管31と、出湯配管32と、バイパス配管33と、二次熱交換器34と、一次熱交換器35と、燃焼装置36と、外装ケース37とを主に有している。送風装置10、給水配管31、出湯配管32、バイパス配管33、二次熱交換器34、一次熱交換器35および燃焼装置36は、外装ケース37内に配置されている。
【0051】
給水配管31と出湯配管32との間には、二次熱交換器34および一次熱交換器35が接続されている。二次熱交換器34は、潜熱回収型の熱交換器である。また一次熱交換器35は、顕熱回収型の熱交換器である。
【0052】
二次熱交換器34および一次熱交換器35の下側には、燃焼装置36が配置されている。一次熱交換器35は、二次熱交換器34よりも燃焼装置36の近くに位置している。具体的には、二次熱交換器34と燃焼装置36との間に一次熱交換器35が配置されている。燃焼装置36の下側には、送風装置10が配置されている。
【0053】
給水配管31は二次熱交換器34の一方端部に接続されている。二次熱交換器34の他方端部と一次熱交換器35の一方端部とは互いに接続されている。一次熱交換器35の他方端部には、出湯配管32が接続されている。給水配管31と出湯配管32とはバイパス配管33により接続されている。
【0054】
送風装置10は、外装ケース37の外部から取り入れた空気を燃焼装置36へ送出するためのものである。燃焼装置36は、送風装置10により供給された燃焼用空気と燃料ガスとの混合ガスに着火することにより燃焼ガスを発生させるためのものである。
【0055】
給水配管31は、たとえば水を供給するための配管である。給水配管31から二次熱交換器34に供給された水は、燃焼装置36にて生じた燃焼ガスの潜熱を回収することにより予熱される。
【0056】
二次熱交換器34にて予熱された湯は、一次熱交換器35に供給される。一次熱交換器35に供給された湯は、燃焼装置36にて生じた燃焼ガスの顕熱を回収することにより加熱される。一次熱交換器35にて加熱された湯は、出湯配管32を通じて温水装置30の外部へ供給される。
【0057】
また給水配管31からバイパス配管33を通じて水が出湯配管32に供給制御される。これにより出湯配管32内の湯の温度が調整される。所望の温度に調整された湯が出湯配管32から供給される。
【0058】
上記温水装置30は、たとえば給湯装置、暖房装置、温水暖房付きふろ給湯装置などであってもよい。また温水装置30は、燃料ガスを燃焼させる方式であってもよく、石油を燃焼させる方式であってもよい。また温水装置30は、貯湯式であってもよく、また瞬間式であってもよい。
【0059】
図6に示されるように、送風装置10は、吸込み口7Hがたとえば外装ケース37の背面部37aに対向するように配置される。整流部材7の第1端FEと背面部37aとの距離LAはたとえば50mm以下である。
【0060】
なお外装ケース37の背面部37aには、外装ケース37の外部から内部へ空気を取り込むための給気孔は設けられていない。外装ケース37の前面37b、側面37c、37d、底面(図示せず)のいずれかに給気孔が設けられている。この給気孔は、前面37b、側面37c、37d、底面(図示せず)のいずれかに給気ガラリを設置することにより設けられてもよい。
【0061】
<本実施形態の効果>
温水装置30は、図5に示されるように外装ケース37内に燃焼装置36を有している。このため図6に示されるように、温水装置30の設置状態において設置面側に位置する外装ケース37の背面部37aに給気孔を設けることは極力避けるべきである。よって給気孔は、外装ケース37における前面37b、側面37c、37d、底面(図示せず)のいずれかに設けられることになる。この場合、前面37b、側面37c、37d、底面のいずれかの給気孔から外装ケース37内に流入した空気を、送風装置10は吸込み口7Hから吸い込むことになる。
【0062】
一方、温水装置30内の送風装置10は、基本的に吸込み口7Hが外装ケース37の背面部37aに対向するように配置される。このとき温水装置30の小型化、軽量化などのため外装ケース37のサイズを拡大することは困難である。このため整流部材7の第1端FEと背面部37aとの距離LAを拡大することが難しくなり、距離LAがたとえば50mm以下と狭くなる場合がある。この場合、図6中の矢印で示されるように、外装ケース37内の空気は、吸込み口7Hの外周側から吸込み口7Hに向かうという、吸込み口7Hの半径方向成分の強い流れとなって送風装置10の内部へ流入することになる。
【0063】
このように吸込み口7Hに対して半径方向成分の流れが強い場合、図7に示される比較例の整流部材107では大きな騒音が生じる。具体的には、図7に示される比較例の整流部材107では、ファンネル部107Fの外周端に直立した段差部107Sがある。このため吸込み口107Hの外周側から吸込み口107Hへ向かって流れてきた空気は、段差部107Sに衝突する。この衝突により吸込み口107Hへ向かう空気の流れに渦または流速変動などの乱れが生じて、大きな騒音が生じる。
【0064】
これに対して本実施形態によれば図8で示されるように、ファンネル部7Fの外周に傾斜部7Sが設けられている。傾斜部7Sは、吸込み口7Hの第1端FEからファンネル部7Fの外周側に延び、かつ内周側から外周側へ向かうほど壁部6aに近づくよう傾斜する。このような傾斜部7Sが設けられたことにより、吸込み口7Hの第1端FEから外周側において、図7に示された比較例のような直立した段差は生じない。このため、吸込み口7Hの外周側から送風装置10内に空気を吸い込む場合であっても、その段差に起因した空気の流れの乱れは生じない。よって空気の乱流による騒音の発生を抑制することができる。
【0065】
また図2に示されるように、整流部材7の吸込み口7Hはシュラウド3の孔3aに向かい合い、吸込み口7Hの第2端SEにおける径D1は孔3aの径D2以下である。このため吸込み口7Hを通った空気の大部分を、シュラウド3の孔3aを通じて羽根車4の内部へ吸い込ませることが可能となる。
【0066】
なお直径D1はたとえば40mmであり、直径D2はたとえば42mmである。またファンネル部7Fの第1端FEにおける直径(ファンネル部7Fの入口部分の直径)はたとえば90mmである。
【0067】
また図2に示される断面において、吸込み口7Hの第2端SEでの接線TLは、軸線AXに平行または第2端SEから羽根車4に近づくほど軸線AXに近づくように傾斜する。この点においても、吸込み口7Hを通った空気の大部分を、シュラウド3の孔3aを通じて羽根車4の内部へ吸い込ませることが可能となる。
【0068】
さらに吸込み口7Hの第2端SEがファンケース6の内部に位置している。このため吸込み口7Hの第2端SEをシュラウド3の孔3aに可能な限り近付けることができる。この点においても、吸込み口7Hを通った空気の大部分を、シュラウド3の孔3aを通じて羽根車4の内部へ効率的に吸い込ませることが可能となる。
【0069】
以上のように吸込み口7Hを通った空気の大部分をシュラウド3の孔3aを通じて羽根車4の内部へ吸い込ませることが可能となるため、吸込み口7Hから羽根車4の外部へ吹き出された空気による騒音の発生を抑制することができる。
【0070】
また本実施形態によれば図2に示されるように、傾斜部7Sは、一定の傾斜で構成される。これにより傾斜部7Sに沿って空気を外周側から内周側へ向かって直線状に導くことができる。このため傾斜部7Sを通る空気に乱流がさらに生じにくくなり、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0071】
また本実施形態によれば図2に示されるように、整流部材7が取り付けられる壁部6aの面と傾斜部7Sとのなす角度αが70°以下である。これにより傾斜部7Sの傾斜が緩やかとなる。このため傾斜部7Sを通る空気に乱流がさらに生じにくくなり、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0072】
また本実施形態によれば図1に示されるように、整流部材7を壁部6aに着脱自在に取り付ける係止部材8を送風装置10は有する。図3に示されるように、傾斜部7Sは、係止部材8が配置される窪み部7aを有する。窪み部7aは、互いに対向する第1壁面7a1および第2壁面7a2を有する。第1壁面7a1と第2壁面7a2との間隔において、内周側の間隔WAよりも外周側の間隔WBが大きくなっている。これにより、窪み部7aの外周側から窪み部7aへ空気がスムーズに流入し、窪み部7aを通る空気の流れに乱れが生じにくくなる。
【0073】
また本実施形態によれば図3に示されるように、第1壁面7a1および第2壁面7a2の各々は、吸込み口7Hの中心Cから放射線状に延びる仮想の直線RL1、RL2に沿って延びている。これにより放射線状に沿って外周側から吸込み口7Hへ吸い込まれる空気の流れに乱れが生じにくくなる。
【0074】
また本実施形態によれば図4に示されるように、窪み部7aは、第1壁面7a1と第2壁面7a2とに挟まれた第3壁面7a3を有する。第3壁面7a3は、内周側から外周側へ向かうほど壁部6aに近づくよう傾斜する。整流部材7が取り付けられる壁部6aの面と第3壁面7a3とのなす角度γが70°以下である。これにより第3壁面7a3の傾斜が緩やかとなる。このため第3壁面7a3を通る空気に乱流が生じにくくなり、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0075】
また本実施形態によれば図6に示されるように、整流部材7の第1端FEと背面部37aとの距離LAが50mm以下である。これにより空気は、吸込み口7Hの外周側から吸込み口7Hに向かうという、吸込み口7Hの半径方向成分の強い流れとなって送風装置10の内部へ流入することになる。この場合でも、上記のように送風装置10による騒音の発生が抑制されるため、騒音性能に優れた温水装置を実現することができる。
【実施例0076】
次に、本発明者が行なった検討について図1図9図12を用いて説明する。
【0077】
本発明者は、図1に示される本実施形態の送風装置10と、図9に示される比較例1の送風装置210と、図10に示される比較例2の送風装置110との3つの送風装置を準備した。
【0078】
図9に示される比較例1の送風装置210においては、図1に示される本実施形態の送風装置10と比較してファンネル部および傾斜部が設けられていない。また図10に示される比較例2の送風装置110においては、図1に示される本実施形態の送風装置10と比較して傾斜部が設けられていない。このため比較例2の送風装置110においては、ファンネル部107Fの外周端に直立した段差部107Sが存在している。
【0079】
なお上記以外の比較例1の送風装置210および比較例2の送風装置110の各々の構成は、本実施形態の送風装置10の構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。
【0080】
これらの送風装置10、110、210について、送風装置単品での騒音評価を実施した。この評価においては、温水装置(たとえば給湯装置)の器具抵抗に合わせたポイントで測定を行なった。また吸込み口の周りには給気の抵抗になるものがない状態で測定を行なった。その騒音評価の結果を図11に示す。
【0081】
図11において、横軸は音の周波数であり、縦軸は音の強さである。また図11において実線は本実施形態および比較例2の結果を示しており、破線は比較例1の結果を示している。
【0082】
図11の結果から、送風装置単品での騒音評価においては、比較例1に対して本実施形態および比較例2では騒音が小さくなることが分かった。また温水装置に取り付けた際に騒音の原因となる1000Hz以下の領域の音圧レベルを重視すると、本実施形態の送風装置10を温水装置に取り付けることにより低騒音化が達成できることが分かった。
【0083】
また送風装置10、110、210について、温水装置に搭載した状態での騒音評価を実施した。この騒音評価においては、本実施形態および比較例2の送風装置10、110においては図6に示す第1端FEと背面部37aとの間の距離LAを40mmとした。また比較例1の送風装置210においてはファンケース206の壁部206aと背面部37aとの間の距離を40mmとした。その騒音評価の結果を図12に示す。
【0084】
図12において、横軸は音の周波数であり、縦軸は音の強さである。また図12において実線は本実施形態の結果を示しており、一点鎖線は比較例1の結果を示しており、破線は比較例2の結果を示している。
【0085】
図12の結果から、温水装置に搭載した状態での騒音評価においては、比較例1および2に対して本実施形態では、製品騒音に大きく影響するピーク周波数である500Hzにて3dB(A)程の騒音低減効果が得られることが分かった。
【0086】
これらの結果から、本実施形態の送風装置10によれば、図6に示す第1端FEと背面部37aとの間の距離LAが50mm以下の場合に、製品騒音に大きく影響するピーク周波数(500Hz)にて騒音を低減できることが分かった。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 羽根板、1F,FE 第1端、1S,SE 第2端、2 面板、2a 軸孔、3 シュラウド、3a 孔、3c 孔部、4 羽根車、5 駆動源、5a 回転軸、5b 本体部、6 ファンケース、6H 吹出口、6S 内部空間、6a 壁部、6aa 開口、7,107 整流部材、7F,107F ファンネル部、7H,107H 吸込み口、7S 傾斜部、7a 窪み部、7a1 第1壁面、7a2 第2壁面、7a3 第3壁面、7a4 底面、7b 貫通孔、8 係止部材、10,110,210 送風装置、30 温水装置、31 給水配管、32 出湯配管、33 バイパス配管、34 二次熱交換器、35 一次熱交換器、36 燃焼装置、37 外装ケース、37a 背面部、37b 前面、37c,37d 側面、AX 軸線、C 中心、RL1,RL2 直線、TL 接線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12