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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021410
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】脚部構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/06 20060101AFI20220127BHJP
   A47B 3/12 20060101ALI20220127BHJP
   A47B 37/04 20060101ALI20220127BHJP
   F16B 12/44 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A47B13/06
A47B3/12 A
A47B37/04
F16B12/44 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124944
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000111867
【氏名又は名称】パール金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】高波 文雄
【テーマコード(参考)】
3B053
3J024
【Fターム(参考)】
3B053NR01
3J024AA02
3J024CA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】収納・運搬時のコンパクト性を維持しつつも、テーブル等の上部構造に対して取付操作乃至は組立操作の行い易い脚部構造を提供する。
【解決手段】第1フレーム110と、より幅狭に構成された第2フレーム120を重ねて且つ第1フレーム110から回動可能に支持して配置し、展開すると第2フレーム120の回動を規制する補助フレーム112の存在によって両フレーム110、120で所謂「V時」乃至は「Y時」の状態を作り出し、この状態から両フレーム110、120を握るようにして両者の先端(上部構造取付箇所111、121)を近づけて放すという動作によって、上部構造に取り付けることが可能に構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造を支えるための脚部構造であって、
第1フレームと、当該第1フレームより幅狭に構成された第2フレームを重ねて配置し、
前記第2フレームは、前記第1フレームの幅方向が軸心となるように当該第1フレームから回動可能に支持されると共に、
前記第1フレームは、前記第2フレームの回動を規制するための補助フレームを備え、
前記第2フレームが前記補助フレームによって回動が規制されている状態において、前記第1フレームの上部構造取付箇所と前記第2フレームの上部構造取付箇所が一定の距離を保ちつつ、且つ、外部から両者を近づける方向に力を加えるとフレームを構成する部材の可撓性によって両者が接近し力を除くと両者が離間する
ことを特徴とする脚部構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1フレームは、幅方向両端に一定幅の地面接地部が形成され、
当該2つの地面接地部それぞれの幅方向内側の位置から前記第2フレームが回動可能に支持されている
ことを特徴とする脚部構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、
当該上部構造の底面に凹部が互いに向かい合う方向に、且つ、前記一定の距離以下となるように配置された一対の受け部を備え、当該受け部に、前記第1フレームの上部構造取付箇所と前記第2フレームの上部構造取付箇所が嵌合することによって前記上部構造と連結する
ことを特徴とする脚部構造。
【請求項4】
請求項1又は2において、
当該上部構造の底面には前記第1フレームの上部構造取付箇所又は前記第2フレームの上部構造取付箇所が回動可能に保持する保持部が設けられ、且つ、当該保持部が設けられている位置を基準に、前記一定の距離以下となるように配置された受け部を備え、当該受け部に、前記第1フレームの上部構造取付箇所又は前記第2フレームの上部構造取付箇所のうち前記保持部に保持されていない側が嵌合することによって前記上部構造と連結する
ことを特徴とする脚部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚部構造、特に、庭または野外で使用するために適するように作られたテーブル等(上部構造)を支える脚部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テーブル等を支えるための脚部構造には種々のものが存在する。特に庭や屋外で使用することが主な目的となっている場合においては、収納時や運搬時などのコンパクトさが求められる。その結果、脚部そのものがテーブル等から着脱可能になっていたり、折り畳める構造となっているなど工夫が凝らされている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されている(テーブルの)脚部は、金属製の線材を特有のループ形状(輪状)にして構成されている。この特有のループ形状は、自由状態では平面的な(閉じた)形状となっており、力を加えてこのループ形状を押し広げるようにして天板に引っ掛けることによって着脱可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-70769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の脚部のように、閉じたループ形状を押し広げてテーブルに装着するのは相応の力やコツを要し誰でも容易に行えるものではない。特に子供や女性など非力な者にとっては容易ではない。更にはサイズの大きなテーブル等に対応するべく脚部自体のサイズが大きくなった場合、不可避的に脚部を構成する線材も太くなるため、閉じた状態から押し広げるのは女性・子供だけでなく男性でも簡単な作業ではない。
【0006】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、収納・運搬時のコンパクト性を維持しつつも、テーブル等の上部構造に対して取付操作乃至は組立操作の行い易い脚部構造を提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、本願発明は、上部構造を支えるための脚部構造であって、第1フレームと、当該第1フレームより幅狭に構成された第2フレームを重ねて配置し、前記第2フレームは、前記第1フレームの幅方向が軸心となるように当該第1フレームから回動可能に支持されると共に、前記第1フレームは、前記第2フレームの回動を規制するための補助フレームを備え、前記第2フレームが前記補助フレームによって回動が規制されている状態において、前記第1フレームの上部構造取付箇所と前記第2フレームの上部構造取付箇所が一定の距離を保ちつつ、且つ、外部から両者を近づける方向に力を加えるとフレームを構成する部材の可撓性によって両者が接近し力を除くと両者が離間することを特徴とする。
【0008】
このように構成したことによって、収納・運搬時は嵩張らず平らな状態で使用できると共に、上部構造を支える場面においては第2フレームを回動させることによって、第1フレームと第2フレームとで所謂「V時」乃至は「Y時」の状態を作り出し、この状態からフレームを握るようにして両者の先端(上部構造取付箇所)を近づけて放すという動作により、上部構造に対して取付乃至は組立を行うのである。引っ張って広げる動作よりも握り潰す動作の方が力を加え易いので、女性・子供でも無理なく操作を行う事ができる。
【0009】
また、前記第1フレームは、幅方向両端に一定幅の地面接地部が形成され、当該2つの地面接地部それぞれの幅方向内側の位置から前記第2フレームが回動可能に支持されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成したことによって、上部構造に対する当該脚部の取付方向の間違えを構造的に回避することができる。更に、地面接地部分の幅の分だけ第2フレームが幅狭となるため、当該第2フレームの回転を規制する補助フレームの撓みも利用して第1フレームの上部構造取付箇所と第2フレームの上部構造取付箇所を接近させることができるため、より少ない力で取付操作乃至は組立操作を行うことができる。
【0011】
また、当該上部構造の底面に凹部が互いに向かい合う方向に、且つ、前記一定の距離以下となるように配置された一対の受け部を備え、当該受け部に、前記第1フレームの上部構造取付箇所と前記第2フレームの上部構造取付箇所が嵌合することによって前記上部構造と連結することを特徴とする。
【0012】
また、当該上部構造の底面には前記第1フレームの上部構造取付箇所又は前記第2フレームの上部構造取付箇所が回動可能に保持する保持部が設けられ、且つ、当該保持部が設けられている位置を基準に、前記一定の距離以下となるように配置された受け部を備え、当該受け部に、前記第1フレームの上部構造取付箇所又は前記第2フレームの上部構造取付箇所のうち前記保持部に保持されていない側が嵌合することによって前記上部構造と連結することを特徴とする。
【0013】
このように構成したことによって、第1フレームと第2フレームとで所謂「V時」乃至は「Y時」の状態を作り出し、この状態からフレームを握るようにして両者の先端(上部構造取付箇所)を近づけて放すという動作により、上部構造に対する取付乃至は組立てが可能となると共に、脚部を構成するフレームが全て上部構造の底面に取り付けられて上部構造側に露出することがないため、上部構造のデザインを阻害することがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明を適用することで、収納・運搬時のコンパクト性を維持しつつも、テーブル等の上部構造に対して取付操作乃至は組立操作の行い易い脚部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の一例である脚部構造を示した図であって、(a)が展開前脚部構造の正面図、(b)が展開前脚部構造の側面図、(c)が展開後脚部構造の側面及び受け部との関係を示した図である。
図2】本発明の実施形態の一例である脚部構造を示した図であって、(a)が展開前脚部構造の斜視図、(b)が展開後脚部構造及び受け部との関係を示した斜視図である。
図3】(a)が本発明の実施形態の一例である脚部構造を取り付けた状態のテーブルの底面側斜視図であり、(b)が脚部構造を取り付けた状態のテーブルの天面(平面)側斜視図である。
図4】(a)がテーブル天板の裏面に展開前の脚部構造を収納した状態を示した斜視図であり、(b)が天板を折り畳んだ状態を示した図である。
図5】脚部構造と天板とが着脱式ではなく折り畳み式に構成されたテーブルの脚部の状態の変化を示した図である。
図6】本発明の実施形態の一例である脚部構造をバーベキューコンロに適用した例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例である脚部構造100について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0017】
〈脚部構造の構成〉
図1に示しているように、本発明の実施形態の一例として示した脚部構造100は、第1フレーム110と第2フレーム120とが重なるように配置されている。なお、本実施形態においてはいずれも金属製の線材を曲げて作られている。
【0018】
第1フレーム100は、幅方向に真っ直ぐに伸びた(第1フレームの)上部構造取付箇所111をベースに、左右両端部が上方に向かって伸びている。上方ではそれぞれ幅方向内側に向かって折り曲げられて一定距離延在して地面接地部113、114を形成した後、階段状に2段階下方に下がるように折り曲げられて構成される。この1段下がった部分が、第2フレーム回動支持部115、116として機能する。更に、第1フレーム110には、自身の幅方向両側を繋ぐように補助フレーム112が固定されており、当該補助フレーム112は、前述した「階段状に2段階下方に戻るように折り曲げられた先端」の箇所117、118にも固定されている。
【0019】
第2フレームは、上向きに開口した略「コの字」形状にとされている。換言すると、幅方向に真っ直ぐに伸びた(第2フレームの)上部構造取付箇所121をベースに、左右両端部が上方に向かって伸び、その上端が円形に巻回されて第1フレーム110の第2フレーム回動支持部115、116に巻き付くように取り付けられている。その結果、第2フレーム120は、第1フレーム110に対して軸心O(2つの第2フレーム回動支持部115、116を繋ぐ直線であって、第1フレーム110の幅方向に沿った直線)を中心として回動可能に支持されている。なお、図面からも明らかなように、第2フレーム120は第1フレーム110よりも幅狭に構成されている。
【0020】
〈脚部構造の作用・機能〉
上記のように構成されている結果、図1(b)として示した展開前の状態から、第2フレーム120を回動して展開すると図1(c)のような状態に変化する(若しくは図2(a)から図2(b)の状態に変化する)。第1フレーム110には、補助フレーム112が備わっているため、第2フレーム120を回動させるとこの補助フレーム112に当接し、それ以上回動させることができない。即ち、第2フレーム120の回動が補助フレーム112によって規制される。その結果、脚部100を側面視すると所謂「V時」乃至は「Y時」の状態が作り出される。
【0021】
このように、補助フレーム112によって第2フレーム120の回動が規制されている状態において、第1フレーム110の上部構造取付箇所111と第2フレーム120の上部構造取付箇所121が一定の距離が保たれているが、例えば手で両者を握るようにして力を加えると、フレームを構成する部材の可撓性によって両者(111、121)が接近する(図2(b)参照)。その状態で、上部構造としての天板150裏面に配置された受け部材140に嵌め込むようにして取り付けて天板150と連結する。取り外すときは逆の手順となる。
【0022】
このような手順で図3(a)に示したように、天板150の裏面に2つの脚部構造100
を取り付けると、テーブル160となる。このとき、第1フレーム110と第2フレーム120の幅方向を異ならせているので、その幅に合わせて受け部材140を構成しておけば、取付方向を間違えを構造的に回避することができる。
【0023】
また、脚部構造100は天板150から完全に取り外すことができ、図3に示しているように、天板150裏面に収納して天板150自体を折り畳み収納するように構成することも可能である。
【0024】
上記説明した通り、本願発明は、上部構造を支えるための脚部構造100であって、第1フレーム110と、当該第1フレーム110より幅狭に構成された第2フレーム120を重ねて配置し、第2フレーム120は、第1フレーム100の幅方向が軸心Oとなるように第1フレーム110から回動可能に支持されると共に、第1フレーム110は、第2フレーム120の回動を規制するための補助フレーム112を備え、第2フレーム120が補助フレーム112によって回動が規制されている状態において、第1フレーム110の上部構造取付箇所111と第2フレーム120の上部構造取付箇所121が一定の距離を保ちつつ、且つ、外部から両者を近づける方向に力を加えるとフレームを構成する部材の可撓性によって両者が接近し力を除くと両者が離間するように構成されている。その結果、収納・運搬時は嵩張らず平らな状態で脚部構造100を使用できると共に、上部構造(例えば天板150)を支える場面においては第2フレーム120を回動させることによって、第1フレーム110と第2フレーム120とで所謂「V時」乃至は「Y時」の状態を作り出し、この状態から両フレーム110、120を握るようにして両者の先端(上部構造取付箇所111、112)を近づけて放すという動作により、上部構造(例えば天板150)に対して取付乃至は組立を行うのである。引っ張って広げる動作よりも握り潰す動作の方が力を加え易いので、女性・子供でも無理なく操作を行う事ができる。
【0025】
また、第1フレーム110は、幅方向両端に一定幅の地面接地部113、114が形成され、当該2つの地面接地部113、114それぞれの幅方向内側の位置から第2フレーム120が回動可能に支持されている。その結果、上部構造(例えば天板150)に対する当該脚部100の取付方向の間違えを構造的に回避することができる。更に、地面接地部113、114の幅の分だけ第2フレーム120が幅狭となる結果、第2フレーム120を回動した際に補助フレーム112に当接する位置が幅方向内側となるため、第2フレーム120の回転を規制する補助フレーム112の撓みも利用して第1フレーム110の上部構造取付箇所111と第2フレーム120の上部構造取付箇所121を接近させることができるため、より少ない力で取付操作乃至は組立操作を行うことができる。
【0026】
また、上部構造(例えば天板150)の底面に凹部が互いに向かい合う方向に、且つ、前記一定の距離以下となるように配置された一対の受け部141、142を備え、当該受け部141、142に、第1フレーム110の上部構造取付箇所111と第2フレーム120の上部構造取付箇所121が嵌合することによって上部構造(例えば天板150)と連結していた。その結果、第1フレーム110と第2フレーム120とで所謂「V時」乃至は「Y時」の状態を作り出し、この状態からフレームを握るようにして両者の先端(上部構造取付箇所111、121)を近づけて放すという動作により、上部構造(例えば天板150)に対する取付乃至は組立てが可能となると共に、脚部100を構成するフレームが全て上部構造(例えば天板150)の底面に取り付けられて上側に露出することがないため、上部構造のデザインを阻害することがない。
【0027】
〈その他の構成例〉
上記では、脚部100が上部構造である天板150から完全に取り外すことができる構成として説明しているがこれに限られない。例えば、図5に示しているように、脚部200を構成する第1フレーム210の上部構造取付箇所211を天板250の底面に回動可能に保持する保持部242が設けられ、且つ、当該保持部242が設けられている位置を基準に、一定の距離以下となるように配置された受け部241を備え、当該受け部241に、第2フレーム220の上部構造取付箇所221が嵌合することによって上部構造としての天板250と連結するような構成を採用してもよい。このように構成すれば、脚部200を折り畳めばテーブル260全体をコンパクトにして収納・運搬が可能となると共に、脚部200が天板250から分離することがないので脚部200の紛失などを構造的に回避することができる。
【0028】
また、テーブルを例にテーブルの天板が「上部構造」となる形で説明しているが、本発明の適用箇所はテーブルに限らない。例えば図6として示しているようにバーベキューコンロの脚部として機能することも可能であるし、それ以外の場所への適用を妨げるものではない。
【符号の説明】
【0029】
100・・・脚部構造
110・・・第1フレーム
111・・・(第1フレームの)上部構造取付箇所
112・・・補助フレーム
113、114・・・地面接地部
115、116・・・第2フレーム回動支持部
120・・・第2フレーム
121・・・(第2フレームの)上部構造取付箇所
140・・・受け部材
141・・・第1受け部
142・・・第2受け部
150・・・天板
160・・・テーブル
O・・・軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6