(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021430
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124969
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 宏靖
(72)【発明者】
【氏名】佐山 俊之
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GA40
4C601HH15
4C601JB11
4C601KK10
4C601KK11
4C601KK42
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、超音波診断装置の音声認識制御を簡単にすることである。
【解決手段】制御ユニット14と、超音波プローブ10が備える操作スイッチ24は、超音波診断装置1を制御する制御装置を構成する。制御ユニット14は、音声を認識する音声認識処理と、音声認識処理によって認識された音声に基づいて、操作モードを決定する操作モード決定処理とを実行する。操作モードが決定された後、操作スイッチ24が操作されたときに、制御ユニット14は、操作モードに応じて超音波診断装置1を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置を制御する制御ユニットと、
ユーザによって操作される操作スイッチと、を備え、
前記制御ユニットは、
音声を認識する音声認識処理と、
前記音声認識処理によって認識された音声に基づいて、操作モードを決定する操作モード決定処理と、を実行し、
前記操作モードが決定された後、前記操作スイッチが操作されたときに、前記操作モードに応じて前記超音波診断装置を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記超音波診断装置は、表示装置を備え、
前記制御装置の制御によって、前記超音波診断装置は、前記操作モードを識別する情報を前記表示装置に表示することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の制御装置において、
前記超音波診断装置は、超音波プローブを備えており、
前記操作スイッチは、前記超音波プローブに設けられていることを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記操作スイッチが操作されたときに前記操作モードにおいて定義された操作制御を実行することを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記操作スイッチが操作されている間、前記操作モードにおいて定義された操作制御を連続的に実行し、前記操作スイッチの操作が終了したときに、前記操作制御を停止することを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記操作スイッチが操作されたときに前記操作モードにおいて定義された操作制御を実行し、前記操作スイッチが再び操作されたときに前記操作制御を停止することを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関し、特に、音声認識処理によって超音波診断装置を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置が広く用いられている。近年では、超音波診断装置に対する指令をユーザが発声し、超音波診断装置が認識した音声によって制御される超音波診断装置が開発されている。以下の特許文献1~3には、このような音声認識制御が行われる超音波診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-49646号公報
【特許文献2】米国特許第5544654号公報
【特許文献3】特表2003-510154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の音声認識制御では、同一の制御を複数回に亘って行う場合には、ユーザが同一の指令を複数回に亘って発声する必要がある。また、超音波診断装置に表示される画像の詳細な調整等については、制御の性質によってはユーザの発声回数が多くなってしまうことがある。このようなユーザの発声回数の増加によって、超音波診断装置の操作が難しくなってしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、超音波診断装置の音声認識制御を簡単にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、超音波診断装置を制御する制御ユニットと、ユーザによって操作される操作スイッチと、を備え、前記制御ユニットは、音声を認識する音声認識処理と、前記音声認識処理によって認識された音声に基づいて、操作モードを決定する操作モード決定処理と、を実行し、前記操作モードが決定された後、前記操作スイッチが操作されたときに、前記操作モードに応じて前記超音波診断装置を制御することを特徴とする。
【0007】
望ましくは、前記超音波診断装置は、表示装置を備え、前記制御装置の制御によって、前記超音波診断装置は、前記操作モードを識別する情報を前記表示装置に表示する。
【0008】
望ましくは、前記超音波診断装置は、超音波プローブを備えており、前記操作スイッチは、前記超音波プローブに設けられている。
【0009】
望ましくは、前記制御ユニットは、前記操作スイッチが操作されたときに前記操作モードにおいて定義された操作制御を実行する。
【0010】
望ましくは、前記制御ユニットは、前記操作スイッチが操作されている間、前記操作モードにおいて定義された操作制御を連続的に実行し、前記操作スイッチの操作が終了したときに、前記操作制御を停止する。
【0011】
望ましくは、前記制御ユニットは、前記操作スイッチが操作されたときに前記操作モードにおいて定義された操作制御を実行し、前記操作スイッチが再び操作されたときに前記操作制御を停止する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波診断装置の音声認識制御を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】表示装置に表示される超音波画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には本発明の実施形態に係る超音波診断装置1の構成が示されている。超音波診断装置1は、超音波プローブ10、超音波測定ユニット12、制御ユニット14、メモリ16、マイク18、表示装置20およびユーザインターフェイス22を備えている。超音波プローブ10には、超音波診断装置1を操作するための操作スイッチ24が設けられている。ユーザインターフェイス22は、キーボード、マウス、スイッチ、レバー等、ユーザが超音波診断装置1を操作するための機器を備えている。表示装置20は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであってよい。また、表示装置20は、ユーザインターフェイスとしての機能を有するタッチパネルであってもよい。
【0015】
制御ユニット14および超音波測定ユニット12は、プログラムを実行して動作するプロセッサを含んでもよい。制御ユニット14は、超音波測定ユニット12に含まれるプロセッサによって構成されてもよい。制御ユニット14は、スマートフォンやタブレット等の一般的な情報処理装置によって構成されてもよい。
【0016】
超音波診断が行われる際には、超音波プローブ10の先端面が被検体に当接するように、超音波プローブ10がユーザの手によって支持される。超音波測定ユニット12は超音波プローブ10に送信信号を出力し、超音波プローブ10は送信信号に基づく超音波を被検体に送信する。超音波プローブ10は被検体で反射した超音波を受信する。超音波プローブ10は、受信した超音波を電気信号である受信信号に変換し、受信信号を超音波測定ユニット12に出力する。超音波測定ユニット12は、受信信号に基づいて被検体の超音波画像(以下、単に画像という)を生成し、表示装置20に表示させる。
【0017】
超音波診断装置1の操作は、先に操作モードをユーザが指定し、次に操作モードにおいて定義された操作制御を制御ユニット14が実行するという手順で行われる。後述するように、操作モードの指定は音声認識処理によって行われ、操作制御の実行は操作スイッチ24の操作によって行われる。本実施形態に係る超音波診断装置1の操作モードには、ゲイン調整モード、深度調整モード、拡大モード、縮小モード、フリーズ操作モード、記録操作モードおよび再生操作モードがある。
【0018】
ゲイン調整モードでは、受信信号のレベルが調整される。深度調整モードでは、被検体において診断が行われる深さが調整される。拡大モードでは、表示装置20に表示されている画像の拡大が行われ、縮小モードでは、表示装置20に表示されている画像の縮小が行われる。フリーズ操作モードでは、動画像を静止させた画像が表示装置20に表示される。記録操作モードでは、表示装置20に表示されている動画像がメモリ16に記録される。再生操作モードでは、メモリ16に記録された動画像の再生が行われる。
【0019】
音声認識制御による超音波診断装置1の操作について説明する。制御ユニット14と、超音波プローブ10が備える操作スイッチ24は、超音波診断装置1を制御する制御装置を構成する。制御ユニット14は、音声を認識する音声認識処理と、音声認識処理によって認識された音声に基づいて、操作モードを決定する操作モード決定処理を実行する。制御ユニット14は、操作モードを決定した後に、超音波プローブ10が備える操作スイッチ24が操作されたときに、操作モードに応じて超音波測定ユニット12を制御する。
【0020】
超音波診断装置1に対する操作用語をユーザが発声すると、制御ユニット14はマイク18を介して操作用語を認識する。制御ユニット14は、超音波測定ユニット12の操作モードを操作用語に応じた操作モードに設定する。超音波測定ユニット12は、現時点で設定されている操作モードを識別するモード識別情報を表示装置20に表示させる。
【0021】
制御ユニット14は、操作スイッチ24の操作に応じて、操作モードにおいて定義された操作制御を超音波測定ユニット12に対して実行する。制御ユニット14は、操作スイッチ24が操作されている間、操作制御を連続的に実行し、操作スイッチ24の操作が終了したときに操作制御を停止してもよい。例えば、操作スイッチ24が押しボタンスイッチ28である場合に、制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が押下されている間、操作制御を連続的に実行し、押しボタンスイッチ28が解放されたときに操作制御を停止する。
【0022】
ここでは、操作モードが画像の拡大モードまたは縮小モードであり、操作スイッチ24が押しボタンスイッチ28である場合について説明する。画像を拡大する場合、ユーザは拡大モードに対応する操作用語である「拡大」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「拡大」を認識すると、超音波測定ユニット12の操作モードを拡大モードに設定する。超音波測定ユニット12は、モード識別情報として「拡大モード」の文字、あるいは拡大モードを意味する図形を表示装置20に表示させる。
【0023】
制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が押下されると、拡大のための操作制御(以下、拡大制御という)を超音波測定ユニット12に対して実行し、押しボタンスイッチ28が押下されている間は拡大制御を連続的に実行する。制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が解放されると、拡大制御を停止する。押しボタンスイッチ28が押下され、拡大制御が実行されている間、超音波測定ユニット12は表示装置20に表示されている画像を拡大する。一方、押しボタンスイッチ28が解放され、拡大制御が停止されることで、超音波測定ユニット12は表示装置20に表示されている画像を拡大する処理を停止する。
【0024】
画像を縮小する場合、ユーザは縮小モードに対応する操作用語である「縮小」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「縮小」を認識すると、超音波測定ユニット12の操作モードを縮小モードに設定する。超音波測定ユニット12は、モード識別情報として「縮小モード」の文字、あるいは縮小モードを意味する図形を表示装置20に表示させる。
【0025】
制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が押下されると、縮小のための操作制御(以下縮小制御という)を超音波測定ユニット12に対して実行し、押しボタンスイッチ28が押下されている間は縮小制御を連続的に実行する。制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が解放されると、縮小制御を停止する。押しボタンスイッチ28が押下され、縮小制御が実行されている間、超音波測定ユニット12は表示装置20に表示されている画像を縮小する。一方、押しボタンスイッチ28が解放され、縮小制御が停止されることで、超音波測定ユニット12は、表示装置20に表示されている画像を縮小する処理を停止する。
【0026】
図2(a)~(c)には、拡大制御および縮小制御によって表示装置20に表示される画像が模式的に示されている。
図2(a)~(c)に示されている画像は、ドプラ法によって血管30における血流の方向を色彩で示したものである。ただし、これらの図では、色彩によって表現される領域32がハッチングによって示されている。
【0027】
図2(a)には最初に表示装置20に表示される画像が示されている。音声認識制御によって操作モードが拡大モードに設定された後、押しボタンスイッチ28が押下されている間、超音波測定ユニット12は、所定の時間間隔(例えば、2秒~3秒の間隔)で段階的に画像を拡大して表示装置20に表示させる。すなわち、
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)に示されているように段階的に画像が拡大される。押しボタンスイッチ28が解放されると、このような画像の拡大は停止する。操作モードが拡大モードに設定されている間は、再び、押しボタンスイッチ28が押下されると、画像が最大限に拡大されるまで引き続き画像が拡大される。
【0028】
音声認識制御によって操作モードが縮小モードに設定された後、押しボタンスイッチ28が押下されている間、超音波測定ユニット12は、所定の時間間隔で段階的に画像を縮小して表示装置20に表示させる。すなわち、
図2(c)、
図2(b)、
図2(a)に示されているように段階的に画像が縮小される。押しボタンスイッチ28が解放されると、このような画像の縮小は停止する。操作モードが縮小モードに設定されている間は、再び、押しボタンスイッチ28が押下されると、画像が最小限に縮小されるまで引き続き画像が縮小される。
【0029】
上記では、操作モードが拡大モードである場合、および操作モードが縮小モードである場合が示された。ゲイン調整モードおよび深度調整モードについても同様の処理が実行される。ゲイン調整モードには、ゲイン増加モードおよびゲイン減少モードがある。ゲイン増加モードに対応する操作用語は、例えば、「ゲイン増加」であり、ゲイン減少モードに対応する操作用語は、例えば、「ゲイン減少」である。
【0030】
ゲインを増加させて受信信号のレベルを大きくする場合、ユーザはゲイン増加モードに対応する操作用語である「ゲイン増加」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「ゲイン増加」を認識すると、超音波測定ユニット12の操作モードをゲイン増加モードに設定する。超音波測定ユニット12は、モード識別情報として「ゲイン増加モード」の文字、あるいはゲイン増加モードを意味する図形を表示装置20に表示させる。
【0031】
制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が押下されると、ゲイン増加のための操作制御(以下ゲイン増加制御という)を超音波測定ユニット12に対して実行し、押しボタンスイッチ28が押下されている間はゲイン増加制御を連続的に実行する。制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が解放されると、ゲイン増加制御を停止する。押しボタンスイッチ28が押下され、ゲイン増加制御が実行されている間、超音波測定ユニット12は受信信号に対する増幅率(ゲイン)を大きくする。一方、押しボタンスイッチ28が解放され、ゲイン増加制御が停止されることで、超音波測定ユニット12は受信信号に対する増幅率を大きくする処理を停止する。ゲイン減少モードでは、ゲイン増加モードにおける、受信信号に対する増幅率を大きくする処理が、受信信号に対する増幅率を小さくする処理に置き換えられ、ゲイン増加モードと同様の処理が実行される。
【0032】
深度調整モードには、深度増加モードおよび深度減少モードがある。深度増加に対応する操作用語は、例えば、「深度増加」であり、深度減少に対応する操作用語は、例えば、「深度減少」である。
【0033】
深度を増加させて被検体において画像が取得される深さ(画像が取得される範囲)を大きくする場合、ユーザは深度増加モードに対応する操作用語である「深度増加」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「深度増加」を認識すると、超音波測定ユニット12の操作モードを深度増加モードに設定する。超音波測定ユニット12は、モード識別情報として「深度増加モード」の文字、あるいは深度増加モードを意味する図形を表示装置20に表示させる。
【0034】
制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が押下されると、深度増加のための操作制御(以下深度増加制御という)を超音波測定ユニット12に対して実行し、押しボタンスイッチ28が押下されている間は深度増加制御を連続的に実行する。制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が解放されると、深度増加制御を停止する。押しボタンスイッチ28が押下され、深度増加制御が実行されている間、超音波測定ユニット12は被検体において画像が取得される深さを深くする。一方、押しボタンスイッチ28が解放され、深度増加制御が停止されることで、超音波測定ユニット12は、被検体において画像が取得される深さを深くする処理を停止する。深度減少モードでは、深度増加モードにおける、被検体において画像が取得される深さを深くする処理が、被検体において画像が取得される深さを浅くする処理に置き換えられ、深度増加モードと同様の処理が実行される。
【0035】
上記では、超音波測定ユニット12の操作モードが設定された後、制御ユニット14が、操作スイッチ24が操作されている間(押しボタンスイッチ28が押下されている間)、操作制御を連続的に実行し、操作スイッチ24の操作が終了したとき(押しボタンスイッチ28が解放されたとき)に操作制御を停止する処理について説明した。制御ユニット14は、操作スイッチ24が操作されたときに操作モードにおいて定義された操作制御を実行し、操作スイッチ24が再び操作されたときに操作制御を停止する処理を実行してもよい。
【0036】
このような処理を実行する操作モードとしては、例えば、記録操作モードおよび再生操作モードがある。ここでは、操作モードが記録操作モードであり、操作スイッチ24が押しボタンスイッチ28である場合について説明する。表示装置20に表示されている動画像をメモリ16に記録する場合、ユーザは記録操作モードに対応する操作用語である「記録」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「記録」を認識すると、超音波測定ユニット12の操作モードを記録操作モードに設定する。超音波測定ユニット12は、モード識別情報として「記録操作モード」の文字、あるいは記録操作モードを意味する図形を表示装置20に表示させる。
【0037】
制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28のクリック操作等によって、押しボタンスイッチ28が押下されると、動画像の記録のための操作制御(以下、記録制御という)を超音波測定ユニット12に対して実行する。記録制御に応じて、超音波測定ユニット12は表示装置20に表示されている動画像をメモリ16に記録する。制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が再び押下されると、記録制御を停止する。これによって超音波測定ユニット12は動画像の記録を停止する。
【0038】
このような処理に換えて、押しボタンスイッチ28が押下されている間、制御ユニット14が記録制御を超音波測定ユニット12に対して実行し、押しボタンスイッチ28が解放されると共に制御ユニット14が記録制御を停止する処理が実行されてもよい。
【0039】
操作モードが再生操作モードであり、操作スイッチ24が押しボタンスイッチ28である場合について説明する。メモリ16に記録されている動画像を再生する場合、ユーザは再生操作モードに対応する操作用語である「再生」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「再生」を認識すると、超音波測定ユニット12の操作モードを再生操作モードに設定する。超音波測定ユニット12は、モード識別情報として「再生操作モード」の文字、あるいは再生操作モードを意味する図形を表示装置20に表示させる。
【0040】
制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が押下されると、メモリ16に記録されている動画像の再生のための操作制御(以下、再生制御という)を超音波測定ユニット12に対して実行する。再生制御に応じて、超音波測定ユニット12はメモリ16に記録されている動画像を読み出し、表示装置20に表示させる。制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が再び押下されると、再生制御を停止する。これによって超音波測定ユニット12は動画像を表示装置20に表示させる処理を停止する。
【0041】
なお、このような処理に換えて、押しボタンスイッチ28が押下されている間、制御ユニット14が再生制御を超音波測定ユニット12に対して実行し、押しボタンスイッチ28が解放されると共に制御ユニット14が再生制御を停止する処理が実行されてもよい。
【0042】
制御ユニット14は、操作スイッチ24が操作されたときに操作モードにおいて定義された操作制御を単発的に実行してもよい。このような操作制御が実行される場合として、操作モードがフリーズ操作モードであり、操作スイッチ24が押しボタンスイッチ28である場合について説明する。表示装置20で再生されている動画像を静止させる場合、ユーザはフリーズ操作モードに対応する操作用語である「フリーズ」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「フリーズ」を認識すると、超音波測定ユニット12の操作モードをフリーズ操作モードに設定する。超音波測定ユニット12は、モード識別情報として「フリーズ操作モード」の文字、あるいはフリーズ操作モードを意味する図形を表示装置20に表示させる。制御ユニット14は、押しボタンスイッチ28が押下されると、表示装置20に表示されている動画像を静止させた静止画像を表示装置20に表示させる。
【0043】
本実施形態に係る超音波診断装置1の操作は、先に操作モードをユーザが指定し、次に操作モードにおいて定義された操作制御を制御ユニット14が実行するという手順で行われる。操作モードの指定は音声認識処理によって行われ、操作制御の実行は操作スイッチ24の操作によって行われる。これによって、ユーザが発声する頻度が少なくなり、患者に安心感が与えられる。また、同一操作モードに属する操作を複数回に亘って行う場合であっても、操作モードが指定された後は、ユーザが発声する必要がなくなるため操作が容易となる。
【0044】
さらに、操作スイッチ24の操作が行われない限り操作制御が実行されないため、誤った操作制御が行われることが回避される。例えば、ユーザ以外の者が操作用語を発声し、その操作用語に対する音声認識処理によって操作モードが誤って指定された場合であっても、ユーザが操作スイッチ24の操作を行わない限り、その操作制御は実行されない。これによって、ユーザ以外の者による発声に基づく誤動作が回避される。また、モード識別情報が表示装置20に表示されるため、所望の操作モードが指定されたことをユーザが確認した後に、操作スイッチ24を操作することで、音声の誤認識による誤った操作制御が行われることが回避される。また、操作制御の実行は操作スイッチ24によって行われるため、音声認識処理のみによって操作制御が行われる場合よりも、操作制御が迅速となることがある。
【0045】
本実施形態に係る超音波診断装置1では、操作スイッチ24が超音波プローブ10に設けられている。そのため、一方の手で穿刺針等の医療器具を支持し、他方の手で超音波プローブ10を支持する必要があるような施術が容易となる。
【0046】
超音波診断装置1では、音声認識処理で決定された操作モードでの操作制御と共に、ユーザインターフェイス22による従来の操作制御が併せて行われてもよい。また、音声認識処理による操作モードを解除し、ユーザインターフェイス22による操作制御に移行するための操作が音声認識処理によって行われてもよい。例えば、ユーザは、ユーザインターフェイス22による操作制御に移行するための操作用語として「マニュアル操作」を発声する。制御ユニット14は、マイク18を介して操作用語として「マニュアル操作」を認識すると、超音波測定ユニット12の状態を、音声認識処理による操作モードが解除された状態とする。音声認識処理による操作モードが解除された後、超音波測定ユニット12では、ユーザインターフェイス22による操作制御が実行される。なお、音声認識処理による操作モードの導入は、ユーザインターフェイス22による操作等によって行われてもよい。また、音声認識処理によって設定された操作モードは、その操作モードが設定されてから所定時間が経過するまでの間に音声が認識されなかった場合には、自動的に解除されてよい。ある操作モードの設定が解除された後は、超音波測定ユニット12は、ユーザインターフェイス22による操作制御が行われる状態となる。
【0047】
上記では、操作モードとして、ゲイン調整モード、深度調整モード、拡大モード、縮小モード、フリーズ操作モード、記録操作モードおよび再生操作モードが含まれる例が示された。操作モードには、その他のモードが含まれてもよい。例えば、表示装置20に表示される画像の輝度、シャープネス、コントラスト等を調整するモードが含まれてもよい。
【0048】
上記では、超音波プローブ10に操作スイッチ24が設けられた実施形態について説明した。操作スイッチ24はユーザインターフェイス22に設けられてもよい。また、操作スイッチ24は、超音波測定ユニット12に接続されるフットスイッチであってもよい。フットスイッチはユーザの足下に配置され、ユーザの足によって操作されるスイッチである。
【0049】
上記の音声認識処理には、ツリートレリス探索方式を基礎とするアルゴリズムが用いられてよい。このアルゴリズムでは、全体が2パス構成とされており、2段階に分けられた認識処理が実行される。第1のパスでは入力された音声全体に対して大まかな認識処理が実行され、認識されるべき用語である尤度の高い候補が絞り込まれる。第2のパスでは、詳細な認識処理が行われる。その際、第1のパスにおいて用語を絞り込んだ結果を参照しながら用語の探索が行われ、最尤解の用語が認識される。なお、音声認識処理を実行するアプリケーションとしては、インターネット等の通信回線上のコンピュータで実行されるアプリケーションが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 超音波診断装置、10 超音波プローブ、12 超音波測定ユニット、14 制御ユニット、16 メモリ、18 マイク、20 表示装置、22 ユーザインターフェイス、24 操作スイッチ、28 押しボタンスイッチ、30 血管、32 色彩によって表現される領域。