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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021443
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/20 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
F23N5/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124994
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 祐助
(72)【発明者】
【氏名】日下部 誠
(72)【発明者】
【氏名】水野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】神吉 英二
【テーマコード(参考)】
3K005
【Fターム(参考)】
3K005GA15
3K005HB06
3K005JA03
(57)【要約】
【課題】間欠燃焼の適用時に、燃焼期間および非燃焼期間が頻繁に切り換わることを抑制することができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼装置は、燃料を燃焼するための燃焼部と、燃焼部に対して送風する送風ファンと、燃焼部に点火するための点火装置と、燃焼部、送風ファンおよび点火装置の動作を制御する制御部とを備える。制御部は、燃焼部を連続的に燃焼させる連続燃焼と、燃焼部の燃焼期間および非燃焼期間が繰り返し設けられる間欠燃焼とを選択的に実行するように構成される。連続燃焼の停止時において、制御部は、燃焼部を消火するとともに、送風ファンを作動させて掃気動作を実行する。間欠燃焼での燃焼期間の終了時において、制御部は、燃焼部を消火するとともに、非燃焼期間において、送風ファンを作動させて掃気動作を実行する。非燃焼期間中の掃気動作における送風ファンの総送風量は、連続燃焼の停止時の掃気動作における送風ファンの総送風量よりも小さく設定される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼するための燃焼部と、
前記燃焼部に対して送風する送風ファンと、
前記燃焼部に点火するための点火装置と、
前記燃焼部、前記送風ファンおよび前記点火装置の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記燃焼部を連続的に燃焼させる連続燃焼と、前記燃焼部の燃焼期間および非燃焼期間が繰り返し設けられる間欠燃焼とを選択的に実行するように構成され、
前記連続燃焼の停止時において、前記制御部は、前記燃焼部を消火するとともに、前記送風ファンを作動させて掃気動作を実行し、
前記間欠燃焼での前記燃焼期間の終了時において、前記制御部は、前記燃焼部を消火するとともに、前記非燃焼期間において、前記送風ファンを作動させて掃気動作を実行し、
前記非燃焼期間中の前記掃気動作における前記送風ファンの総送風量は、前記連続燃焼の停止時の前記掃気動作における前記送風ファンの総送風量よりも小さく設定される、燃焼装置。
【請求項2】
前記連続燃焼の停止時において、前記制御部は、前記送風ファンを第1の回転数で第1の時間作動させる第1の掃気動作と、前記送風ファンを第2の回転数で第2の時間作動させる第2の掃気動作とを実行し、
前記非燃焼期間中における前記掃気動作における前記送風ファンの総送風量は、前記第1の掃気動作における前記送風ファンの総送風量以上であり、かつ、前記第1の掃気動作における前記送風ファンの総送風量および前記第2の掃気動作における前記送風ファンの総送風量の合算値よりも小さく設定される、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記連続燃焼の停止時において、前記制御部は、前記送風ファンを第1の回転数で第1の時間作動させる第1の掃気動作と、前記送風ファンを第2の回転数で第2の時間作動させる第2の掃気動作とを実行し、
前記非燃焼期間中において、前記制御部は、前記第1の掃気動作のみを実行する、請求項1または2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記燃焼装置は、給湯装置に搭載され、
前記給湯装置は、
前記燃焼部の発生熱量によって低温水を加熱する熱交換器を通過する加熱流路と、
前記熱交換器から出力された高温水の温度を検出する温度検出器とを備え、
前記間欠燃焼において、前記制御部は、前記温度検出器による検出温度と目標温度範囲との比較に従って、前記燃焼期間および前記非燃焼期間とを切り換える、請求項1から3のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記間欠燃焼において、前記制御部は、前記燃焼期間では、前記検出温度が前記目標温度範囲の上限値よりも高くなるときに前記燃焼部を消火し、前記非燃焼期間では、前記検出温度が前記目標温度範囲の下限値よりも低くなるときに、前記燃焼部を点火する、請求項4に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記制御部は、要求発生熱量が、前記連続燃焼による発生熱量範囲の下限値よりも低いときには、前記間欠燃焼を実行する、請求項1から5のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項7】
燃料を燃焼するための燃焼部と、
前記燃焼部に対して送風する送風ファンと、
前記燃焼部に点火するための点火装置と、
前記燃焼部、前記送風ファンおよび前記点火装置の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記燃焼部の燃焼期間および非燃焼期間が繰り返し設けられる間欠燃焼を実行するように構成され、
前記間欠燃焼の停止時において、前記制御部は、前記燃焼部を消火するとともに、前記送風ファンを作動させて掃気動作を実行し、
前記間欠燃焼での前記燃焼期間の終了時において、前記制御部は、前記燃焼部を消火するとともに、前記非燃焼期間において、前記送風ファンを作動させて掃気動作を実行し、
前記非燃焼期間中の前記掃気動作における前記送風ファンの総送風量は、前記間欠燃焼の停止時の前記掃気動作における前記送風ファンの総送風量よりも小さく設定される、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9-170813号公報(特許文献1)には、ガスバーナと、ガスバーナにより加熱されて冷水を温湯に変換する熱交換器と、ガスバーナの燃焼用空気を燃焼室へ送給する給気ファンとを備える強制給気式給湯器が開示される。特許文献1では、給湯停止後に給気ファンを一定時間継続して回転させてポストパージを行なう。これにより、給湯停止後の熱交換器周りの温度上昇による後沸きを抑制し、間欠使用時の再給湯時に予期せぬ高温水が出力されることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-170813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バーナの燃焼期間および非燃焼期間が繰り返し設けられる間欠燃焼の適用中において、燃焼期間が終了される毎に、上述したポストパージを実行すると、次の燃焼期間が開始されたときに予期せぬ高温水が出力されることを防止できる一方で、燃焼停止後の熱交換器の冷却によって高温水の温度の低下が加速されるため、次の燃焼期間が開始されるまでの非燃焼期間が短縮される可能性がある。これにより、1回ずつの燃焼期間および非燃焼期間の和に相当するサイクル長が短くなり、バーナの点火および消火が頻繁に繰り返されることになる。このバーナの点火および消火に伴い熱応力が頻繁に熱交換器等の機器に印加されるため、機器の疲労破壊が促進され、機器耐久性に問題が生じることが懸念される。
【0005】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、間欠燃焼の適用時に、燃焼期間および非燃焼期間が頻繁に切り換わることを抑制することができる燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面によれば、燃焼装置は、燃料を燃焼するための燃焼部と、燃焼部に対して送風する送風ファンと、燃焼部に点火するための点火装置と、燃焼部、送風ファンおよび点火装置の動作を制御する制御部とを備える。制御部は、燃焼部を連続的に燃焼させる連続燃焼と、燃焼部の燃焼期間および非燃焼期間が繰り返し設けられる間欠燃焼とを選択的に実行するように構成される。連続燃焼の停止時において、制御部は、燃焼部を消火するとともに、送風ファンを作動させて掃気動作を実行する。間欠燃焼での燃焼期間の終了時において、制御部は、燃焼部を消火するとともに、非燃焼期間において、送風ファンを作動させて掃気動作を実行する。非燃焼期間中の掃気動作における送風ファンの総送風量は、連続燃焼の停止時の掃気動作における送風ファンの総送風量よりも小さく設定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、間欠燃焼の適用時に、燃焼期間および非燃焼期間が頻繁に切り換わることを抑制することができる燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に従う燃焼装置が適用された給湯装置の概略構成図である。
図2】給湯装置のモード遷移図である。
図3】コントローラによる給湯装置の燃焼モードにおける温度制御の機能ブロック図である。
図4】間欠燃焼での基本的な制御動作例を示す概念図である。
図5】連続燃焼から燃焼待機モードへの遷移が行なわれるときの掃気動作を説明するためのフローチャートである。
図6】連続燃焼から燃焼待機モードへの遷移が行なわれるときの掃気動作を説明するための図である。
図7】間欠燃焼における掃気動作の一実施態様を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0010】
[給湯装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態に従う燃焼装置が適用された給湯装置の概略構成図である。
【0011】
図1を参照して、給湯装置100は、熱交換器39およびバーナ31等が格納された燃焼缶体25(以下、単に「缶体」とも称する)と、ガスバルブ30と、送風ファン36と、ベンチュリミキサ38と、入水管50と、缶体配管52と、出湯管54と、バイパス弁60と、コントローラ80とを備える。
【0012】
入水管50は、バイパス弁60を軽油して、缶体配管52およびバイパス管58と接続される。入水管50には、水道水等の低温水が供給される。入水管50の低温水は、バイパス弁60を経由して、缶体配管52およびバイパス管58へ分配される。
【0013】
缶体配管52は、熱交換器39に接続される。入水管50から缶体配管52に導入された低温水は、バーナ31の発生熱量により、熱交換器39を通過することによって加熱される。
【0014】
バーナ31へのガス供給管にはガスバルブ30が配置される。ガスバルブ30は、図示は省略するが、バーナ31への燃料ガスの供給をオンオフする機能を有する電磁弁と、開度に応じてガス供給管のガス流量を制御するガス比例弁とを含む。ガス供給管のガス流量によってバーナ31の発生熱量を制御することができる。
【0015】
バーナ31は、ガス流量の調整だけでなく、燃焼能力段数(以下、単に「燃焼段数」とも称する)の切換制御によっても発生熱量の制御が可能に構成されている。バーナ31は、図示は省略するが、ガス開閉切換弁(能力切換弁)により個別に燃料供給可能とされる複数本の燃焼ノズルを有している。各能力切換弁をコントローラ80により開閉切換制御することによって、燃焼作動させる燃焼ノズルの本数を選択的に変更調整することができる。例えば、複数本の燃焼ノズルは複数のグループに分けられており、能力切換弁の開切換によって複数のグループに対して選択的に燃料ガスを供給することができる。これにより、複数の段階に燃焼段数を切り換えることができる。加えて、各段の燃焼ノズルに供給されるガス流量を可変にすることによっても発生熱量を可変とすることができる。このような発生能力の連続可変制御により、燃焼装置の加熱能力を可変とすることができる。バーナ31は「燃焼部」の一実施例に対応する。
【0016】
ベンチュリミキサ38は、ガス供給管から供給される燃料ガスと、燃焼用空気とを混合する。以下、燃焼用空気と混合された燃料ガスを「混合ガス」とも称する。混合ガスは送風ファン36により、混合室34を介してバーナ31に供給される。
【0017】
送風ファン36による送風量は、バーナ31全体からの供給ガス量との空燃比が所定値(例えば理論空燃比)となるように制御される。送風ファン36の送風量はファン回転数と比例するので、送風ファン36の回転数は、供給ガス量の変化に応じて設定される目標回転数に従って制御される。送風ファン36には、ファン回転数を検出するための回転数センサ37が設けられる。
【0018】
点火装置32は、コントローラ80によって作動されると、点火プラグ33に高周波電圧を印加し、点火プラグ33にスパークを発生させる。このスパークにより混合ガスが点火されることにより、燃料ガスが燃焼されて火炎が生じる。炎検知装置35は、火炎を検知するための熱電対等により構成される。コントローラ80は、熱電対の出力電圧と閾値とを比較することにより、バーナ31が点火したことを検知する。
【0019】
バーナ31の火炎によって生じる燃焼熱は、缶体25内で熱交換器39へ与えられる。熱交換器39は、通流された低温水を燃焼熱による熱交換によって加熱する。これにより、熱交換器39によって加熱された高温水が出湯管54へ出力される。缶体25の燃焼ガスの流れ方向の下流側には、燃焼後の燃焼排ガスを排出するための排気ダクト40が設けられる。
【0020】
バイパス管58および出湯管54は、合流点56において接続される。したがって、給湯装置100からは、缶体25から出力された高温水と、バイパス管58からの低温水との混合によって調温された適温の温水が給湯栓70または、図示しない風呂の注湯回路等の所定の給湯箇所に供給される。
【0021】
バイパス弁60は、コントローラ80からの制御指令に従って弁開度が制御されることにより、缶体配管52の流量およびバイパス管58の流量の比率を制御する。バイパス弁60による流量比率kは、入水管50から缶体配管52への缶体流量q1と、入水管50からバイパス管58へのバイパス流量q2との比を用いて、k=q2/q1で定義される。コントローラ80は、バイパス弁60の開度と流量比率kとの対応関係を予め取得しており、後述する出湯温度制御においては、当該対応関係を用いて、所望の流量比率kを実現するためのバイパス弁60の開度を設定する。
【0022】
温度センサ62は、缶体配管52に配置され、低温水の温度(以下、「入水温度Tw」とも称する)を検出する。温度センサ64は、出湯管54のうちの合流点56よりも上流側(熱交換器39側)の部分に配置され、高温水の温度(以下、「缶体温度Tb」とも称する)を検出する。温度センサ66は、出湯管54のうちの合流点56よりも下流側の部分に配置され、高温水および低温水の混合後の出湯温度Thを検出する。流量センサ68は、缶体配管52に配置され、缶体流量q1を検出する。
【0023】
コントローラ80は、例えばマイクロコンピュータによって構成することができる。コントローラ80は、各センサによる検出値およびユーザ操作を受けて、給湯装置100の全体動作を制御するために、各機器への制御指令を発生する。ユーザ操作には、リモートコントローラ(図示せず)に設けられた運転スイッチの操作によって入力される給湯装置100の運転オン/オフ指令および、出湯温度の設定値(出湯目標温度Tr*)の指令が含まれる。
【0024】
[給湯装置の運転モード]
図2は、給湯装置100のモード遷移図である。
【0025】
図2に示すように、給湯装置100の運転モードは、「運転オフモード」、「運転オンモード」および、「燃焼モード」を含む。運転オフモードは、給湯装置100の電源オフ状態に相当する。給湯装置100は、運転オフモードにおいて運転SW(スイッチ)がオンに操作されると、運転オンモードに遷移する。
【0026】
運転オンモードでは、バーナ31に対する燃料供給は遮断されており、バーナ31の燃焼が連続的に停止される。この状態で、最小作動流量(MOQ)が検出されるまで、燃焼が待機される。以下では、給湯装置100での流量がMOQを超えている状態を「MOQオン」とも称し、MOQを超えていない状態を「MOQオフ」とも称する。
【0027】
運転オンモードにおいてMOQオンが検出されると、燃焼モードが開始される。燃焼モードではガスバルブ30が開放されて、バーナ31へ燃料ガスが供給される。以下では、運転オンモードを「燃焼待機モード」とも称する。
【0028】
燃焼モードでは、出湯温度Thを出湯目標温度Tr*に制御するための温度制御によってバーナ31への要求発生熱量Qrpが設定され、この要求発生熱量Qrpに従ってバーナ31の作動状態(燃焼段数およびガス流量)が制御される。燃焼モードの温度制御においては、バーナ31の燃焼期間が連続的に設けられる「連続燃焼」と、バーナ31の燃焼期間および非燃料期間が繰り返し設けられる「間欠燃焼」とのいずれか一方が適用される。燃焼モードでの温度制御については後述する。
【0029】
燃焼モードにおいて、MOQオフが検出されると、運転モードは、運転オンモード(燃焼待機モード)へ遷移する。これにより、バーナ31による燃焼は連続的に停止される。
【0030】
燃焼待機モードまたは燃焼モードで、運転SWがオフに操作されると、給湯装置100は、運転オフモードに遷移する。燃焼モードにおいて運転SWがオフされた場合には、併せてバーナ31による燃焼が停止される。
【0031】
[燃焼モードにおける温度制御]
図3は、コントローラ80による給湯装置100の燃焼モードにおける温度制御の機能ブロック図である。図3中の各ブロックの機能は、コントローラ80が予め格納されたプログラムを実行するソフトウェア処理によって実現することができる。あるいは、専用の電子回路を用いたハードウェア処理によって各ブロックの一部または全部を実現することも可能である。
【0032】
図3を参照して、コントローラ80は、缶体温度制御部810および流量比率制御部820を有する。缶体温度制御部810は、要求熱量算出部812、バーナ制御部814およびファン制御部816を含む。
【0033】
要求熱量算出部812は、缶体流量q1(流量センサ68)と、入水温度Tw(温度センサ62)と、缶体温度Tb(温度センサ64)と、缶体温度Tbの目標温度Tb*とに基づいて、バーナ31への要求発生熱量Qrqを算出する。
【0034】
バーナ制御部814は、要求熱量算出部812からの要求発生熱量Qrqに従って、バーナ31の発生熱量を制御するためのバーナ31の作動状態(燃焼段数およびガス流量等)を決定する。そして、決定されたバーナ31の作動状態に従って、バーナ31およびガスバルブ30への制御指令が生成される。また、バーナ制御部814は、決定されたバーナ31の作動状態に従って、送風ファン36の目標ファン回転数Fr*を決定する。
【0035】
ファン制御部816は、バーナ制御部814からの要求発生熱量Qrqに従って、送風ファン36の目標ファン回転数Fr*を設定する。そして、設定された目標ファン回転数Fr*に従って、送風ファン36への制御指令が生成される。
【0036】
流量比率制御部820は、出湯目標温度Tr*と、温度センサ62~66による検出温度(Tb,Th,Tw)とに基づいて、出湯温度Thを出湯目標温度Tr*に制御するためのバイパス弁60への制御指令を生成する。
【0037】
図2に戻って、燃焼モードでは、連続燃焼と間欠燃焼とを選択的に適用することによって、バーナ31から要求発生熱量Qrqに従った熱量を発生する。
【0038】
燃焼待機モードから燃焼モードに移行すると、まず、バーナ31の点火制御が実行される。点火制御では、予め定められた点火条件に従ってガスバルブ30が制御された状態で点火装置32が作動することにより、バーナ31が点火される。炎検知装置35の出力に基づいてバーナ31の点火が検知されると、要求発生熱量Qrqの大小によって、連続燃焼または間欠燃焼が開始される。
【0039】
連続燃焼では、バーナ31は、要求発生熱量Qrqに従って設定された作動状態で連続的に燃焼される。連続燃焼における最大発生熱量は、燃焼段数を最大とし、ガス流量を最大とした状態での発生熱量である。一方、連続燃料における最小発生熱量Q1は、燃焼段数を最小とし、ガス流量を安定的な燃焼状態が確保できる下限値とした場合での発生熱量に相当する。すなわち、最小発生熱量Q1は、連続燃焼での発生熱量範囲の下限値に対応する。
【0040】
したがって、バーナ制御部814は、要求発生熱量QrqがQ1以上であるときには、連続燃焼を適用する一方で、要求発生熱量QrqがQ1よりも小さいときには、間欠燃焼を適用するように、バーナ31を制御する。これにより、要求発生熱量QrqがQ1よりも小さい場合でも対応することが可能となる。したがって、点火制御後または連続燃焼中に、Qrq<Q1になると、間欠燃焼を適用して燃焼モードが継続される。
【0041】
間欠燃焼では、最小発生熱量Q1を発生する作動状態でのバーナ31の燃焼が、間欠的に実行される。すなわち、最小発生熱量Q1を発生するための燃焼期間Tonと、燃焼が一時的に停止された非燃焼期間Toffとが繰り返し設けられるように、バーナ31は消火および再点火される。
【0042】
間欠燃焼中に要求発生熱量Qrqが上昇してQrq>Q1*が成立すると、間欠燃焼から連続燃焼への遷移が実行される。この際の判定値Q1*は、ハンチングを避けるために、Q1よりも大きく設定することが好ましい。
【0043】
一方で、間欠燃焼中において、要求発生熱量Qrqがさらに低下して予め定められた下限値Q2よりも小さくなると、燃焼モードは終了されて、燃焼待機モードへの遷移が行なわれる。
【0044】
また、連続燃焼および間欠燃焼の各々において、MOQオフが検出されたときにも、燃焼待機モードへの遷移が行なわれる。燃焼待機モードへの遷移後は、再び燃焼モードが開始されるまで、バーナ31の燃焼は停止される。
【0045】
図4は、間欠燃焼での基本的な制御動作例を示す概念図である。
図4を参照して、間欠燃焼中において、燃焼期間(図中のTonに相当)および非燃焼期間(図中のToffに相当)は、缶体温度Tb(温度センサ64)と、缶体温度Tbの目標温度範囲との比較に従って切り換えられる。缶体温度Tbの目標温度範囲の上限値THは、温度制御における目標温度Tb*よりもα℃高い温度に設定される(TH=Tb*+α)。目標温度範囲の下限値TLは、目標温度Tb*よりもβ℃低い温度に設定される(TL=Tb*-β)。α,βは定数である。なお、αおよびβは同じ値であっても異なる値であってもよい。
【0046】
図4の動作例では、燃焼期間中の時刻t1において、Tb>THとなったことに応じて、バーナ31が消火されて非燃焼期間が開始される。非燃焼期間が開始されると、バーナ31の燃焼が停止されるため、缶体温度Tbが徐々に低下する。この非燃焼期間中の時刻t3において、Tb<TLとなることにより、燃焼期間が開始されて、バーナ31が再点火される。以降では、Tb>THとなる時刻t5,t7において非燃焼期間が開始される一方で、Tb<TLとなる時刻t6,t8において燃焼期間が開始される。このように、缶体温度Tbの推移に対応させて、バーナ31の燃焼期間および非燃焼期間が繰り返し設けられる。
【0047】
図4に示すように、間欠燃焼の適用中、燃焼期間の開始時には、バーナ31を再点火するための点火動作が行われる。点火動作が開始されると、バーナ制御部814(図3)は、点火装置32を作動させる。点火装置32は点火プラグ33に高周波電圧を印加する。高周波電圧が印加されると、点火プラグ33にスパークが発生し、このスパークがバーナ31からの混合ガスに着火し、バーナ31が点火する。バーナ制御部814は、炎検知装置35からの出力電圧と閾値との比較に基づいてバーナ31が点火したことを検知すると、点火装置32を停止させて、点火動作から燃焼運転に移行する。
【0048】
なお、所定の設定時間内に点火が検知されない場合には、バーナ制御部814は、点火装置32を停止させ、その後に点火装置32を再作動させる。バーナ制御部814は、点火が検知されるまで点火装置32を繰り返し作動させる。所定回数繰り返し作動させても点火が検知されず燃焼運転に移行できない場合には、バーナ制御部814は点火動作を終了する。この場合、給湯装置100は、燃焼モードから燃焼待機モードに遷移する。
【0049】
非燃焼期間の開始時には、バーナ31の消化後、バーナ31付近に滞留する燃焼排ガスおよび未燃焼の混合ガスを、排気ダクト40を介して排気(掃気)するための掃気動作が行なわれる。掃気動作が開始されると、ファン制御部816(図3)は、送風ファン36を作動させる。掃気動作時の送風ファン36の回転数を、点火動作時および燃焼運転時のファン回転数よりも大きくすることにより、効果的に掃気を行なうことができる。
【0050】
なお、掃気動作は、給湯装置100が燃焼モードから燃焼待機モードへ遷移するときに、バーナ31による燃焼が停止された後においても実行される。すなわち、連続燃焼においてMOQオフが検出され、燃焼待機モードへの遷移が行なわれるときに、掃気動作が行なわれる。
【0051】
図5は、連続燃焼から燃焼待機モードへの遷移が行なわれるときの掃気動作を説明するためのフローチャートである。図5に示すフローチャートによる制御処理は、連続燃焼の適用中に、コントローラ80により実行することができる。
【0052】
図5を参照して、コントローラ80は、ステップS01により、連続燃焼中であるか否かを判定する。連続燃焼中である場合(S01のYES判定時)、コントローラ80は、ステップS02により、MOQオフが検出されたか否かを判定する。連続燃焼中でなければ(S01にてNO判定時)、コントローラ80はS02以降の処理を行なわない。
【0053】
連続燃焼中にMOQオフが検出されると(S02のYES判定時)、コントローラ80は、処理をS03に進めて、バーナ31を消火し、バーナ31による燃焼を停止する。続いてコントローラ80は、ステップS04~S08に処理を進めて、所定の掃気条件に従った掃気動作を実行する。掃気条件には、送風ファン36の回転数および、送風ファン36の作動時間を規定する条件が含まれる。
【0054】
図6は、連続燃焼から燃焼待機モードへの遷移が行なわれるときの掃気動作を説明するための図である。図6には、掃気動作中の送風ファン36のファン回転数Fcおよび作動時間Tsの一例が示されている。
【0055】
図6を参照して、掃気動作は、第1の掃気動作と、第2の掃気動作とから構成される。第1の掃気動作では、送風ファン36を、ファン回転数Fc1にて、時間Ts1作動させる。ファン回転数Fc1は例えば6000rpmであり、作動時間Ts1は例えば5秒である。第2の掃気動作では、送風ファン36を、ファン回転数Fc2にて、時間Ts1作動させる。ファン回転数Fc2は例えば3000rpmであり、作動時間Ts2は例えば30秒である。なお、図6の例では、Fc1>Fc2とし、Ts1<Ts2としたが、Fc1,Fc2の大小関係、およびTs1,Ts2の大小関係はこれに限定されるものではない。
【0056】
第1の掃気動作は、主に、バーナ31付近に滞留する燃焼排ガスおよび未燃焼の混合ガスを排出するために行なわれる。特に、未燃焼の混合ガスが滞留していると、バーナ31を再点火させたときに、この混合ガスに火炎が伝搬し、大きな音を伴って爆発的に着火する現象、いわゆる爆着が引き起こされる可能性があるためである。第1の掃気動作のファン回転数Fc1は、燃焼排ガスおよび未燃焼の混合ガスを効率的に排出するために、連続燃焼中のファン回転数よりも大きくなるように設定することが好ましい。
【0057】
第2の掃気動作は、主に、燃焼停止後の熱交換器39等が持つ余熱を除くこと、および、缶体25内に存在する湿気を含んだ空気を排出するために行なわれる。すなわち、第2の掃気動作はポストパージに相当する。ポストパージを行なうことにより、燃焼停止後の熱交換器39の余熱による後沸きを抑制し、再出湯時に一時的に高温水が出ることを防ぐことができる。
【0058】
このように第2の掃気動作は、第1の掃気動作のように滞留ガスの排出を目的としたものではないため、ファン回転数Fc2を、第1の掃気動作のファン回転数Fc1以下に設定することができる。また、第2の掃気動作は、第1の掃気動作とは異なり、熱交換器39等の冷却を主な目的としているため、熱交換器39の熱容量等を考慮して、作動時間Ts2を、第1の掃気動作の作動時間Ts1に比べて長時間に設定することができる。
【0059】
図5に戻って、掃気動作が開始されると、コントローラ80は、最初にステップS04により、第1の掃気動作を実行する。ステップS04では、コントローラ80は、送風ファン36の目標ファン回転数Fr*をFc1に設定するとともに、回転数センサ37により検出されるファン回転数Fcが目標ファン回転数Fr*と一致するように送風ファン36を制御する。さらにコントローラ80は、第1の掃気動作が開始されると、タイマを起動させて、第1の掃気動作の作動時間の計測を開始する。第1の掃気動作の開始時点のタイマ値Ts=0として、作動時間に応じてタイマ値Tsが自動的に増加される。
【0060】
第1の掃気動作中において、コントローラ80は、ステップS05により、タイマ値Tsと予め設定された作動時間Ts1とを比較する。Ts<Ts1の場合(S05のNO判定時)、コントローラ80は、S04に戻り、第1の掃気動作を続行する。これにより、第1の掃気動作は、タイマ値TsがTs1に達するまで継続して実行される。
【0061】
タイマ値Tsが作動時間Ts1に達すると(S05のYES判定時)、コントローラ80は、第1の掃気動作を終了するとともに、タイマ値Tsをクリアする。さらにコントローラ80は、処理をステップS06に進めて、第2の掃気動作を実行する。ステップS06では、コントローラ80は、送風ファン36の目標ファン回転数Fr*をFc2に設定するとともに、回転数センサ37により検出されるファン回転数Fcが目標ファン回転数Fr*と一致するように送風ファン36を制御する。さらにコントローラ80は、第2の掃気動作が開始されると、タイマを再起動させて、第2の掃気動作の作動時間の計測を開始する。第2の掃気動作の開始時点のタイマ値Ts=0として、作動時間に応じてタイマ値Tsが自動的に増加される。
【0062】
第2の掃気動作中において、コントローラ80は、ステップS07により、タイマ値Tsと予め設定された作動時間Ts2とを比較する。Ts<Ts2の場合(S07のNO判定時)、コントローラ80は、S06に戻り、第2の掃気動作を続行する。これにより、第2の掃気動作は、タイマ値TsがTs2に達するまで継続して実行される。
【0063】
タイマ値Tsが作動時間Ts2に達すると(S07のYES判定時)、コントローラ80は、ステップS08により掃気動作を終了するとともに、タイマ値Tsをクリアする。さらにコントローラ80は、処理をステップS09に進めて、連続燃焼を終了させる。これにより、燃焼待機モードへの遷移が実行されて、バーナ31による燃焼は連続的に停止される。
【0064】
以上説明したように、バーナ31の消火後に掃気動作を実行することにより、バーナ31が再点火されるときの爆着の発生を防止できるとともに、燃焼停止後の熱交換器39における後沸きを抑制することができる。
【0065】
しかしながら、間欠燃焼の適用中において燃焼期間が終了される毎に、上述した掃気動作を実行する構成とした場合には、次の燃焼期間が開始されたときの爆着の発生を防止できる一方で、非燃焼期間中に、燃焼停止後の熱交換器39が不必要に冷却されることが懸念される。非燃焼期間中においても熱交換器39には低温水が通流され続けるため、熱交換器39における後沸きの発生が抑制されるためである。
【0066】
これによると、図4に示した動作例において、非燃焼期間中の缶体温度Tbの低下が加速されることになり、結果的に非燃焼期間が開始されてからTb<TLとなる時点までの経過時間(図4中の時間Toff)が短縮されることになる。そして、非燃焼期間が短縮されることによって、1回ずつの燃焼期間および非燃焼期間の和に相当するサイクル長(Ton+Toff)も短くなってしまう。
【0067】
間欠燃焼におけるサイクル長が短くなると、燃焼期間および非燃焼期間が頻繁に切り換わるため、バーナ31の点火回数が増加する。これにより、バーナ31の点火および消火の繰り返しに伴い熱応力が頻繁に熱交換器39等の機器に印加されるため、機器の疲労破壊が促進され、機器耐久性に問題が生じることが懸念される。また、不必要なバーナ31の燃焼によって、燃料ガスの消費が増えてしまうことが懸念される。したがって、非燃焼期間中の熱交換器39の冷却を抑制し、非燃焼期間の短縮を抑制する必要がある。
【0068】
そこで、本実施の形態に係る燃焼装置では、間欠燃焼の非燃焼期間中に実行される掃気動作を、連続燃焼の停止時に実行される掃気動作と比較して、送風ファン36の送風量の合算値である総送風量を低減させる構成とする。
【0069】
具体的には、送風ファン36の総送風量は、送風ファン36の単位時間当たりの送風量と、送風ファン36の作動時間との積により概算することができる。なお、送風ファン36の単位時間当たりの送風量はファン回転数と比例するため、以下の説明では、総送風量を、送風ファン36のファン回転数と作動時間との積(ファン回転数×作動時間)により算出するものとする。
【0070】
図6の動作例では、第1の掃気動作における総送風量は、ファン回転数Fcと作動時間Ts1との積(Fc×Ts1)で示される。第2の掃気動作における総送風量は、ファン回転数Fcと作動時間ts2との積(Fc2×Ts2)で示される。そして、通常燃焼の停止時に実行される掃気動作の総送風量は、第1の掃気動作の総送風量(Fc×Ts1)と、第2の掃気動作の総送風量(Fc2×Ts2)との合算値(Fc1×Ts1+Fc2×Ts2)で示すことができる。
【0071】
これに対して、非燃焼期間中の掃気動作における総送風量は、上記合算値(Fc1×Ts1+Fc2×Ts2)よりも小さい値に設定される。図6中の斜線で示された範囲が、非燃焼期間中の掃気動作を例示している。図6の例では、非燃焼期間中、送風ファン36を、ファン回転数Fc2にて時間Ts1♯作動させる。この時間Ts1♯はTs1よりも長くTs2よりも短い(Ts1<Ts1♯<Ts2)。なお、図6中の斜線で示された範囲の面積が、非燃焼期間中の掃気動作における総送風量に相当する。
【0072】
このように非燃焼期間中は、連続燃焼の停止後と比較して、送風ファン36の総送風量を低減させることにより、熱交換器39の冷却を抑制することができる。したがって、非燃焼期間中の缶体温度Tbの低下速度が緩やかになり、非燃焼期間の短縮を抑制することができる。その結果、燃焼期間および非燃焼期間の頻繁な切り換えを防ぐことができるため、機器の耐久性を向上させるとともに、無駄な燃料ガスの消費を抑えることができる。
【0073】
また、間欠燃焼の適用中には、1回ずつの燃焼期間および非燃焼期間の和に相当するサイクル長(Ton+Toff)が長くなることに伴って缶体温度Tbの変動周期も長くなるため、出湯温度Thの安定性を向上させることができる。
【0074】
ただし、非燃焼期間中における掃気動作においても、バーナ31の再点火時における爆着の発生防止を確保する必要がある。そのため、非燃焼期間の掃気動作における総送風量を、第1の掃気動作における総送風量(Fc1×Ts1)と少なくとも同等以上とする。
【0075】
このような実施態様としては、非燃焼期間中は、図6に示す第1の掃気動作のみを行ない、第2の掃気動作を行なわない構成を例示することができる。これによると、間欠燃焼の適用中に燃焼期間が終了され、非燃焼期間の開始のためにバーナ31が消火されると、コントローラ80は、送風ファン36を、ファン回転数Fc1にて時間Ts1作動させた後、送風ファン36を停止させる。
【0076】
図7は、間欠燃焼における掃気動作の一実施態様を説明するためのフローチャートである。図7に示すフローチャートによる制御処理は、間欠燃焼の適用中に、コントローラ80により実行することができる。
【0077】
なお、図7に示すフローチャートのうちステップS02~S08の処理は、間欠燃焼から燃焼待機モードへ遷移するときの制御処理を示しており、図5に示した連続燃焼から燃焼待機モードへ遷移するときの制御処理と同じである。したがって、S02~S08の処理についての説明を省略する。
【0078】
図7を参照して、コントローラ80は、ステップS01Aにより、間欠燃焼中であるか否かを判定する。間欠燃焼中でなければ(S01AのNO判定時)、コントローラ80はS02以降の処理を行なわない。
【0079】
一方、間欠燃焼中である場合(S01AのYES判定時)、コントローラ80は、ステップS02により、MOQオフが検出されたか否かを判定する。間欠燃焼中にMOQオフが検出されると(S02のYES判定時)、コントローラ80は、処理をS03に進めて、バーナ31を消火し、バーナ31による燃焼を停止する。続いてコントローラ80は、ステップS04~S08に従って掃気動作を実行する。掃気動作を終了すると(ステップS08)、コントローラ80は、処理をステップS09Aに進めて、間欠燃焼を終了させる。これにより、燃焼待機モードへの遷移が実行されて、バーナ31による燃焼は連続的に停止される。
【0080】
これに対して、間欠燃焼中にMOQオフが検出されなければ(S02のNO判定時)、コントローラ80は、処理をステップS10に進めて、缶体温度Tb(温度センサ64)と、缶体温度Tbの目標温度範囲との比較に従って、燃焼期間および非燃焼期間を切り換える。
【0081】
間欠燃焼中、コントローラ80は、ステップS10により、燃焼期間中か否かを判定する。燃焼期間中でなければ(S10のNO判定時)、コントローラ80はS11以降の処理を行なわない。一方、燃焼期間中であれば(S10のYES判定時)、コントローラ80は、処理をステップS11に進めて、缶体温度Tbおよび目標温度範囲の上限値THを比較する。Tb≦THであるとき(S10のNO判定時)、コントローラ80はS11以降の処理を行なわない。
【0082】
一方、Tb>THのとき(S11のYES判定時)には、コントローラ80は、ステップS12により、非燃焼期間を開始するためにバーナ31を消火する。コントローラ80は、非燃焼期間中には、ステップS13~S15に処理を進めて、所定の掃気条件に従った掃気動作を実行する。
【0083】
具体的には、コントローラ80は、ステップS13により、第1の掃気動作を実行する。ステップS13では、コントローラ80は、送風ファン36の目標ファン回転数Fr*をFc1に設定するとともに、回転数センサ37により検出されるファン回転数Fcが目標ファン回転数Fr*と一致するように送風ファン36を制御する。さらにコントローラ80は、第1の掃気動作が開始されると、タイマを起動させて、第1の掃気動作の作動時間の計測を開始する。第1の掃気動作の開始時点のタイマ値Ts=0として、作動時間に応じてタイマ値Tsが自動的に増加される。
【0084】
第1の掃気動作中において、コントローラ80は、ステップS14により、タイマ値Tsと予め設定された作動時間Ts1とを比較する。Ts<Ts1の場合(S14のNO判定時)、コントローラ80は、S13に戻り、第1の掃気動作を続行する。これにより、第1の掃気動作は、タイマ値TsがTs1に達するまで継続して実行される。タイマ値Tsが作動時間Ts1に達すると(S14のYES判定時)、コントローラ80は、S15により掃気動作を終了するとともに、タイマ値Tsをクリアする。
【0085】
非燃焼期間中には、コントローラ80は、ステップS16により、缶体温度Tbおよび目標温度範囲の下限値TLを比較する。Tb≧TLであるとき(S16のNO判定時)、コントローラ80はS17の処理を行なわず、非燃焼期間が継続される。一方、Tb<TLのとき(S16のYES判定時)には、コントローラ80は、処理をステップS17に進めて、燃焼期間を開始するためにバーナ31を再点火する。以上の手順に従って、缶体温度Tbの推移に対応させて、バーナ31の燃焼期間および非燃焼期間が繰り返し設けられ、非燃焼期間中に第1の掃気動作が実行される。間欠燃焼中にMOQオフが検出されると(S02のYES判定時)、コントローラ80は、ステップS03~S09に処理を進めて、バーナ31を消火して、第1および第2の掃気動作を実行する。
【0086】
間欠燃焼における掃気動作の別の実施態様としては、図6中に例示されるように、送風ファン36の総送風量が第1の掃気動作における総送風量(Fc1×Ts1)以上であり、かつ、第1の掃気動作の総送風量(Fc×Ts1)と、第2の掃気動作の総送風量(Fc2×Ts2)との合算値(Fc1×Ts1+Fc2×Ts2)よりも小さいことを条件として、送風ファン36のファン回転数FcをFc1よりも低い回転数に設定し、かつ、時間Ts1♯をTs1よりも長い時間に設定する構成を例示することができる。なお、掃気動作の実施態様は、これらの実施態様に限定されるものではなく、上記条件の下で熱交換器39の熱容量等に応じて任意に設定することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態に係る燃焼装置によれば、非燃焼期間中の掃気動作における送風ファンの総送風量を、通常燃焼の停止時の掃気動作における送風ファンの総送風量よりも小さく設定することにより、非燃焼期間中は、連続燃焼の停止後と比較して、熱交換器の冷却を抑制することができる。これによると、非燃焼期間中の缶体温度の低下速度が緩やかになり、非燃焼期間の短縮を抑制できるため、燃焼期間および非燃焼期間の頻繁な切り換えを防ぐことができる。その結果、機器の耐久性を向上させるとともに、無駄な燃料ガスの消費を抑えることができる。
【0088】
また、間欠燃焼の適用中には、1回ずつの燃焼期間および非燃焼期間の和に相当するサイクル長が長くなることに伴って缶体温度Tbの変動周期も長くなるため、出湯温度Thの安定性を向上させることができる。
【0089】
なお、上述した実施の形態では、燃焼モードにおいて、連続燃焼および間欠燃焼を選択的に適用される燃焼装置における制御動作について説明したが、本実施の形態に係る間欠燃焼における制御動作は、燃焼モードにおいて間欠燃焼のみが適用される燃焼装置にも適用することが可能である。この場合、非燃焼期間中の掃気動作における送風ファンの総送風量を、間欠燃焼の停止時の掃気動作における送風ファンの総送風量よりも小さく設定することにより、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。例えば、図7に示すフローチャートによる制御処理に従って、間欠燃焼の停止時には第1の掃気動作および第2の掃気動作を行なう一方で、非燃焼期間中は、第1の掃気動作のみを行ない、第2の掃気動作を行なわない構成とすることができる。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、燃焼部がガスを燃料とするバーナ31で構成される例を示したが、加熱のためのエネルギ源は任意とすることができる。また、上述した実施の形態では、燃焼装置がバイパス弁60の制御によるバイパスミキシング方式の給湯装置に適用される例を説明したが、本実施の形態に係る燃焼装置は、バイパスミキシング方式ではない構成の給湯装置に適用することができる。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきでる。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
25 缶体、30 ガスバルブ、31 バーナ、32 点火プラグ、33 点火装置、34 混合室、36 送風ファン、37 回転数センサ、38 ベンチュリミキサ、39 熱交換器、40 排気ダクト、50 入水配管、52 缶体配管、54 出湯管、56 合流点、58 バイパス管、60 バイパス弁、62,64,66 温度センサ、68 流量センサ、80 コントローラ、100 給湯装置、812 要求熱量算出部、814 バーナ制御部、816 ファン制御部、820 流量比率制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7