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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021446
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】整髪用乳化組成物、及び整髪方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20220127BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20220127BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/04
A61Q5/06
A61K8/31
A61K8/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125002
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】井口 亮
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC422
4C083AD011
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD242
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB21
4C083BB23
4C083CC32
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE21
(57)【要約】
【課題】本発明は、髪にマットな外観が付与でき、当該整髪用組成物を用いた際の皮膚の白浮きを抑制できる整髪用組成物の提供、及び、当該整髪用組成物を用いた整髪方法の提供。
【解決手段】(A)白色顔料、(B)動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油、及び(C)25℃で固形の油が配合された整髪用乳化組成物によれば、髪にマットな外観が付与でき、整髪用組成物を用いた際の皮膚の白浮きを抑制できる。また、上記整髪用組成物による整髪方法が提供できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)白色顔料、(B)動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油、及び(C)25℃で固形の油が配合された整髪用乳化組成物。
【請求項2】
(D)無機粉体の配合量が0.5質量%以下であるか、又は、(D)無機粉体が配合されないものである、請求項1に記載の整髪用乳化組成物。
【請求項3】
前記(B)動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油が、炭化水素油及び/又はシリコーン油である、請求項1又は請求項2に記載の整髪用乳化組成物。
【請求項4】
前記(C)25℃で固形の油が、25℃で固形の炭化水素及び/又は25℃で固形のロウ類である、請求項1~3のいずれか1項に記載の整髪用乳化組成物。
【請求項5】
ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、及び高分子乳化剤から選ばれる1種又は2種以上が配合された、請求項1~4のいずれか1項に記載の整髪用乳化組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の整髪用乳化組成物を用いた整髪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪用乳化組成物、及び整髪方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の成分が配合された整髪用組成物が、種々の整髪目的に応じて提供されている。また、整髪用組成物には、髪の外観に変化を与える機能を持たせた整髪用組成物も存在する。例えば、特許文献1には、整髪剤組成物に特定の揮発性オルガノポリシロキサン等の成分を含有することにより、自然なツヤを付与する効果等に優れる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-265206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整髪用組成物における髪の外観に変化を与える機能として、上記特許文献1に示されるようなツヤの付与以外にも、髪にマットな外観(髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観)を付与する要望が存在している。
【0005】
上記の要望を実現可能とするため、整髪用組成物に配合される成分として、白色顔料が用いられる場合があった。しかし、白色顔料が配合された整髪用組成物は、整髪後に当該整髪用組成物が掌などの皮膚に残ることで、外観上皮膚が白く浮いたように目立つ状態(皮膚の白浮き)が生じることがあり、皮膚の白浮きが生じた部位を拭き落とすことや、十分に洗浄する必要があるといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みて、髪にマットな外観(髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観)が付与でき、整髪用組成物を用いた際の皮膚の白浮きを抑制することが可能な整髪用組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記整髪用組成物を用いた整髪方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討したところ、整髪用乳化組成物に対して、白色顔料を配合させ、さらに動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油、及び、25℃で固形の油が配合されたものとすれば、髪にマットな外観(髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観)が付与でき、当該整髪用乳化組成物を用いた際の皮膚の白浮きを抑制できる整髪用乳化組成物が提供できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明の整髪用乳化組成物は、
(A)白色顔料、(B)動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油、及び(C)25℃で固形の油が配合されたものである。
【0009】
本発明の整髪用乳化組成物は、整髪時の指通りを向上させる観点から、(D)無機粉体の配合量が0.5質量%以下であるか、又は、(D)無機粉体が配合されないものであると、好ましい。
【0010】
本発明の整髪用乳化組成物は、例えば、前記(B)動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油が、炭化水素油及び/又はシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上である。
【0011】
本発明の整髪用乳化組成物は、例えば、前記(C)25℃で固形の油が、25℃で固形の炭化水素及び/又は25℃で固形のロウ類である。
【0012】
本発明の整髪用乳化組成物は、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、及び高分子乳化剤から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものであると、整髪用組成物の乳化粒子の分散性をより向上させることにより保存安定性を高める観点から好ましい。
【0013】
本発明の整髪方法は、上述した本発明の整髪用乳化組成物のいずれかを用いた整髪方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、髪にマットな外観(髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観)が付与でき、当該整髪用組成物を用いた際の皮膚の白浮きを抑制できる整髪用乳化組成物が提供できる。
また、本発明の整髪方法によれば、本発明の整髪用乳化組成物を用いた整髪方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0016】
(1)整髪用乳化組成物
本実施形態の整髪用乳化組成物は、(A)白色顔料、(B)動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油、及び(C)25℃で固形の油が配合されたものである。ここで、「整髪用乳化組成物」とは、整髪に用いられる乳化組成物を意味する。なお、乳化組成物とは、組成物が乳化物(エマルション)であることを意味する。
【0017】
以下の記載において、「白色顔料」を(A)成分、「動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油」を(B)成分、「25℃で固形の油」を(C)成分とそれぞれ表記することがある。
【0018】
<(A)白色顔料>
本実施形態の整髪用乳化組成物は、(A)成分である白色顔料が1種又は2種以上配合されたものである。前記白色顔料は、本実施形態の整髪用乳化組成物において、髪のマット感を付与するものである。
なお、本実施形態における「髪のマット感」とは、髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観を意味する(以下の記載においても同様)。
【0019】
前記白色顔料は、整髪用乳化組成物に配合可能な白色顔料であれば特に限定されないが、例えば、無機白色顔料、有機白色顔料が挙げられる。
なお、本実施形態の整髪用乳化組成物に配合される白色顔料としては、髪のマット感の付与により優れた整髪用乳化組成物が実現可能となる観点から、無機白色顔料を用いることが好適である。
【0020】
前記無機白色顔料としては、可視光線(約360~830nm)が散乱可能な無機白色顔料を用いることができる。そのような無機白色顔料としては、例えば、無機白色顔料の個数平均粒子径が0.01~2.0μmのものを用いることができる。上記個数平均粒子径は、粒度分布測定機で動的光散乱法により測定した際の累積50%における個数平均粒子径を意味する。
【0021】
前記無機白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、リトポン、硫酸バリウム、酸化セリウム等が挙げられる。
【0022】
前記無機白色顔料としては、公知の表面処理方法により表面処理された無機白色顔料を用いてもよく、表面処理されていない無機白色顔料を用いてもよい。
【0023】
前記表面処理された無機白色顔料としては、例えば、界面活性剤で表面処理された無機白色顔料(例えば、脂肪酸塩処理無機白色顔料など)、シリコーンで表面処理された無機白色顔料(例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理無機白色顔料など)、フッ素で表面処理された無機白色顔料(例えば、パーフロルオロアルキルエチルリン酸エステルジエタノールアミン塩処理無機白色顔料など)等が挙げられる。
【0024】
前記無機白色顔料として、市販品を用いることができる。例えば、表面処理された酸化チタンの市販品としては、チタン工業株式会社製の商品名「ST―710EC」、「ST-705SA」等、堺化学工業株式会社製の「MKR-1」、「MKR-1S」等が挙げられる。また、表面処理された酸化亜鉛の市販品としては、堺化学工業株式会社製の「XZ-100F-LP」、「XZ-300F-LP」等が挙げられる。
【0025】
前記無機白色顔料としては、髪のマット感の付与により優れる観点から、酸化チタン、表面処理された酸化チタン、酸化亜鉛、及び表面処理された酸化亜鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。上記の観点から、前記無機白色顔料として、酸化チタン、及び表面処理された酸化チタンから選ばれる1種以上を用いるとより好ましい。
【0026】
本実施形態の整髪用乳化組成物に係る(A)成分の配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の整髪用乳化組成物は髪のマット感が付与できるものであるが、髪のマット感の付与がさらに優れたものとなる観点から、(A)成分の配合量の下限値は、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。
また、(A)成分の配合量の上限値は、整髪後の毛髪が硬い手触りとなるのを抑える観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
【0027】
<(B)動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油>
本実施形態の整髪用乳化組成物は、(B)成分である動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油が1種又は2種以上配合されたものである。(A)成分である白色顔料が配合された整髪用乳化組成物において、(B)成分の配合により、皮膚の白浮きを抑制することができる。
なお、本実施形態における「皮膚の白浮き」とは、整髪用乳化組成物を用いて整髪した後に、整髪用乳化組成物が掌などの皮膚に残ることで、外観上皮膚が白く浮いたように目立って見える状態をいう(以下の記載においても同様)。また、「皮膚の白浮きの抑制」とは、皮膚の白浮きが抑えられた状態をいう。
【0028】
前記「動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油」における「動粘度」は、測定温度が37.8℃における動粘度の値である。動粘度の測定方法は、キャノン-フェンスケ粘度計又はウベローデ粘度計等の粘度計を用いて、JIS Z8803に記載される方法を用いて測定可能である。また、「動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油」における、「25℃で液状」とは、25℃で流動性を示すことを意味する。
【0029】
前記「動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油」としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素油及び/又はシリコーン油が挙げられる。
なお、「及び/又は」とは、両方又はいずれか一方であることを意味する(以下の記載において同様)。
【0030】
前記炭化水素油としては、例えば、分岐状の炭化水素油、直鎖状の炭化水素油が挙げられる。
前記分岐状の炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、軽質イソパラフィン、動粘度20mm/s以下の水添ポリイソブテン等が挙げられる。
直鎖状の炭化水素油としては、例えば、ドデカン、C9-12アルカン、C10-13アルカン等が挙げられる。
【0031】
前記シリコーン油としては、例えば、動粘度20mm/s以下の直鎖状ジメチルポリシロキサン、動粘度20mm/s以下の環状シリコーン(シクロペンタシロキサン)等が挙げられる。
【0032】
なお、本実施形態の整髪用乳化組成物は皮膚の白浮きが抑制できるものであるが、皮膚の白浮きの抑制がさらに優れたものとする観点から、本実施形態の整髪用乳化組成物に係る(B)成分としては、動粘度15mm/s以下の25℃で液状の油を用いることが好ましく、動粘度10mm/s以下の25℃で液状の油を用いることがより好ましく、動粘度5mm/s以下の25℃で液状の油を用いることがさらに好ましく、動粘度3mm/s以下の25℃で液状の油を用いることが特に好ましい。
【0033】
本実施形態の整髪用乳化組成物に係る(B)成分の動粘度の下限値は、特に限定されないが、例えば、動粘度0.3mm/s以上である。
【0034】
本実施形態の整髪用乳化組成物に係る(B)成分の配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の整髪用乳化組成物は皮膚の白浮きが抑制できるものであるが、皮膚の白浮きの抑制がさらに優れたものとなる観点から、(B)成分の配合量の下限値は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の整髪用乳化組成物は髪のマット感が付与できるものであるが、髪のマット感の付与がさらに優れたものとなる観点から、(B)成分の配合量の上限値は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0035】
本実施形態の整髪用乳化組成物における(A)成分の配合量に対する(B)成分の配合量の質量比[(B)/(A)]は特に限定されない。
なお、本実施形態の整髪用乳化組成物は皮膚の白浮きが抑制できるものであるが、皮膚の白浮きの抑制がさらに優れたものとなる観点から、前記質量比[(B)/(A)]の下限値は、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の整髪用乳化組成物は髪のマット感が付与できるものであるが、髪のマット感の付与がさらに優れたものとなる観点から、前記質量比[(B)/(A)]の上限値は、150以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。
【0036】
<(C)25℃で固形の油>
本実施形態の整髪用乳化組成物は、(C)成分である25℃で固形の油が1種又は2種以上配合されたものである。(C)成分の配合により、整髪用乳化組成物の整髪性を向上させることができる。
ここで、「25℃で固形」とは、25℃において静置すれば一定の形を維持するものを意味し、フレーク状のみならず、ペースト状も含まれる。
【0037】
前記25℃で固形の油としては、例えば、25℃で固形の炭化水素、ロウ類、エステル、油脂、高級アルコール、又はシリコーンが挙げられる。25℃で固形の油として、より整髪性に優れた整髪用組成物が実現可能となる観点から、25℃で固形の炭化水素及び/又は25℃で固形のロウが配合されても良い。
【0038】
前記25℃で固形の炭化水素は、炭素と水素からなる化合物で固形のものである。本実施形態の整髪用乳化組成物は、25℃で固形の炭化水素を1種又は2種以上を配合して良い。25℃で固形の炭化水素としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィン等が挙げられる。
【0039】
前記25℃で固形のロウは、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルを主成分とする固体のものである。本実施形態の整髪用乳化組成物に25℃で固形のロウを1種又は2種以上を配合して良い。25℃で固形のロウとしては、例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、モクロウ、モンタンロウ、コメヌカロウ、ヒマワリ種子ロウ等が挙げられる。
【0040】
前記25℃で固形のエステルとしては、例えば、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル等が挙げられる。
前記25℃で固形の油脂としては、例えば、カカオ脂、マンゴー種子脂、シア脂等が挙げられる。
【0041】
前記25℃で固形の高級アルコールとしては、例えば、炭素数12~24の直鎖状の1価アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)が挙げられる。
前記25℃で固形のシリコーンとしては、例えば、ステアリルジメチコン等のシリコーンワックスが挙げられる。
【0042】
本実施形態の整髪用乳化組成物に係る(C)成分の配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。
(C)成分の配合量の下限値は、より整髪性に優れた整髪用組成物が実現可能となる観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の整髪用乳化組成物は髪のマット感が付与できるものであるが、髪のマット感の付与がさらに優れたものとなる観点から、(C)成分の配合量の上限値は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
【0043】
本実施形態の整髪用乳化組成物における(A)成分の配合量に対する(C)成分の配合量の質量比[(C)/(A)]は特に限定されない。
なお、より整髪性に優れた整髪用組成物が実現可能となる観点から、前記質量比[(C)/(A)]の下限値は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の整髪用乳化組成物は髪のマット感が付与できるものであるが、髪のマット感の付与がさらに優れたものとなる観点から、前記質量比[(C)/(A)]の上限値は、200以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。
【0044】
本実施形態の整髪用乳化組成物における(B)成分の配合量に対する(C)成分の配合量の質量比[(C)/(B)]は特に限定されない。
なお、より整髪性に優れた整髪用組成物が実現可能となる観点から、前記質量比[(C)/(B)]の下限値は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。また、より整髪性に優れた整髪用組成物が実現可能となる観点から、前記質量比(C)/(B)]の上限値は、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。
【0045】
本実施形態の整髪用乳化組成物における「(A)成分の配合量」に対する「(B)成分の配合量及び(C)成分の配合量の合計配合量」の質量比[(B)+(C)/(A)]は、特に限定されないが、例えば、1以上200以下である。
【0046】
本実施形態の整髪用乳化組成物は、溶媒が配合されたものである。前記溶媒としては、整髪用乳化組成物に配合可能な水溶性の溶媒を用いることができる。そのような溶媒としては、例えば、水及び/又は多価アルコールが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、炭素数2~6の多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール)等が挙げられる。
前記溶媒の配合量は特に限定されないが、例えば、60質量%以上90質量%以下である。
【0047】
なお、本実施形態の整髪用乳化組成物の溶媒として、例えば、多価アルコール(例えば、炭素数2~6の多価アルコール)が配合されず水のみが配合されたものとすることができる。その場合の水の配合量は、例えば、60質量%以上90質量%以下である。
【0048】
<任意成分>
本実施形態の整髪用乳化組成物には、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分以外の任意成分を適宜配合することができる。当該任意成分は、整髪用乳化組成物に配合可能な公知の成分を用いることができ、例えば、無機粉体((D)成分)、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、高分子乳化剤、上記(B)、(C)成分以外の油(例えば、炭化水素、油脂、エステル、ロウ類、高級アルコール、シリコーン等)、高分子化合物、低級アルコール、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸、アルカリ、香料等が挙げられる。
【0049】
<(D)無機粉体>
本実施形態の整髪用乳化組成物には、任意成分として無機粉体((D)成分)が配合可能であるが、その配合によって整髪時の指通りが低減する場合がある。そのため、整髪時の指通りを向上させる観点から、本実施形態の整髪用乳化組成物には、無機粉体が配合されないか、又は、その配合量が0.5質量%以下であることが好ましい。
なお、本実施形態の整髪用乳化組成物に(D)成分が配合される場合、整髪時の指通りを向上させる観点から、その配合量は0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がより好ましい。また、本実施形態の整髪用乳化組成物に(D)成分が配合される場合、その配合量の下限は、例えば、0.001質量%以上である。
【0050】
前記無機粉体としては、例えば、カオリン、タルク、セリサイト、マイカ等の粘度鉱物の粉砕品;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、合成マイカ等の合成無機粉体が挙げられる。
【0051】
本実施形態の整髪用乳化組成物は、整髪用組成物の乳化粒子の分散性をより向上させることにより保存安定性を高める観点から、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、及び高分子乳化剤から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものとして良い。
【0052】
前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。前記ノニオン界面活性剤の配合量は特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上7質量%以下である。
【0053】
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、炭素数12以上24以下の高級脂肪酸の塩、炭素数12以上24以下の高級脂肪酸とアルカリ剤との中和物等の脂肪酸石鹸;エーテルカルボン酸またはその塩;脂肪アルコールエーテル硫酸塩;が挙げられる。
前記アニオン界面活性剤の配合量は特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上5質量%以下である。
【0054】
前記高分子乳化剤の具体例としては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーなどのアクリル系高分子などが挙げられる。前記高分子乳化剤の配合量は、例えば、0.05質量%以上5質量%以下である。
【0055】
本実施形態の整髪用乳化組成物は、(B)成分及び(C)成分以外の油が1種又は2種以上配合されたものとして良い。
前記(B)成分及び(C)成分以外の油としては、特に限定されないが、例えば、25℃で液状の油(例えば、25℃で液状の炭化水素、エステル、油脂、高級アルコール、及びシリコーン等)が挙げられる。ここで、「25℃で液状」とは、25℃で流動性を示すことを意味する。
【0056】
前記25℃で液状の炭化水素としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、オレフィンオリゴマー等が挙げられる。
前記25℃で液状のエステルとしては、例えば、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、安息香酸アルキル(C12-15)等が挙げられる。
前記25℃で液状の油脂としては、例えば、植物油(例えば、コメヌカ油、オリーブ油、ヒマワリ種子油等)、動物油(例えば、オレンジラフィー油等)が挙げられる。
前記25℃で液状の高級アルコールとしては、例えば、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
前記25℃で液状のシリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、高重合ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、メチルフェニルシリコーンが挙げられる。
【0057】
前記(B)成分及び(C)成分以外の油の配合量は特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上15質量%以下である。
【0058】
本実施形態の整髪用乳化組成物は、1種又は2種以上の高分子化合物が配合されたものとして良い。
前記高分子化合物の具体例としては、例えばカルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、アクリル樹脂アルカノールアミン、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体等の合成高分子化合物;ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン等の半合成高分子化合物;アルギン酸ナトリウム、グアーガム、グルカン、セルロース、ヒアルロン酸ナトリウム等の天然高分子;が挙げられる。
前記高分子化合物の配合量は特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上10質量%以下である。
【0059】
<剤型>
本実施形態の整髪用乳化組成物の剤型は、乳化物である以外は、特に限定されない。剤型としては、例えば、乳液状、クリーム状、固体状、ペースト状が挙げられる。なお、整髪性をより向上させる観点から、クリーム状、ペースト状、固体状の剤型とするのが好ましい。ここで固体状の剤型とは、流動性をもたないが応力を加えると変形するものを意味する。
【0060】
本実施形態の整髪用乳化組成物の形態は、乳化物(エマルション)である。乳化物の形態としては、例えば、O/W型エマルション、W/O/W型エマルション、W/O型エマルションが挙げられる。
本実施形態の整髪用乳化組成物は髪のマット感が付与できるものであるが、髪のマット感の付与がさらに優れたものとなる観点から、本実施形態の整髪用乳化組成物に係る前記乳化物の形態としては、O/W型エマルションが好ましい。
【0061】
本実施形態の整髪用乳化組成物の製品形態は、特に限定されないが、例えば、ヘアクリーム、ヘアバーム、ヘアワックス等が挙げられる。
【0062】
<粘度>
本実施形態の整髪用組成物における粘度は、適宜設定することができる。
本実施形態の整髪用組成物における粘度の指標である粘弾性の値としては、例えば、レオメーター〔例えば、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」(商品名)〕を使用し、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、応力依存動的粘弾性測定の測定モードにおいて、周波数1.0Hz、応力10.0Paで測定した時のG’値が、1Pa・S以上5000Pa・S以下である。
【0063】
<pH>
本実施形態の整髪用乳化組成物のpHは、適宜設定されるものであるが、例えば、3以上9以下である。pHは25℃における測定値が採用される。
【0064】
<製造方法>
本実施形態の整髪用乳化組成物は、整髪用乳化組成物の剤型に応じた、公知の製造方法を採用すれば良い。本実施形態の整髪用乳化組成物の製造方法の一例を挙げると、例えば、適宜設定された所定量の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分をはかりとり、(C)成分をその融点以上に加熱してから、(C)成分と(A)成分及び(B)成分とを混合し、その後常温に冷却する製造方法が挙げられる。
【0065】
<使用方法>
本実施形態の整髪用乳化組成物は、整髪目的に応じた、整髪用乳化組成物の公知の使用方法を採用することができる。
使用方法の例としては、本実施形態の整髪用乳化組成物を塗布し所望の毛髪形状に整髪した後に当該整髪用乳化組成物を洗い流さない使用方法であり、より具体的には、以下のような例が挙げられる。
・乾燥した毛髪に本実施形態の整髪用乳化組成物を塗布し、手や櫛等の器具で所望の毛髪形状に整髪した後、当該整髪用乳化組成物を洗い流さない使用方法。
・水で濡れた毛髪に本実施形態の整髪用乳化組成物を塗布し、手や櫛等の器具で所望の毛髪形状に整髪した後、当該整髪用乳化組成物を洗い流さずに毛髪を乾燥させる使用方法。
【0066】
(2)本実施形態の整髪方法
本実施形態の整髪方法は、上述した(1)本実施形態の整髪用乳化組成物を用いた整髪方法である。本実施形態の整髪方法により、毛髪を所望の毛髪形状に整髪することが可能となる。
【0067】
本実施形態の整髪方法は、本実施形態の整髪用乳化組成物を用いる以外には、整髪用乳化組成物を用いた公知の整髪方法を採用することができる。そのため、本実施形態の整髪方法は、例えば、上述した本実施形態の整髪用乳化組成物の使用方法を用いることができる。
【0068】
本実施形態の整髪方法において、所望の毛髪形状とするために、毛髪に本実施形態の整髪用乳化組成物を塗布する前又は塗布した後にヘアアイロン等の公知の整髪用器具を用いても良い。
【実施例0069】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0070】
(実施例1~4、比較例1~3の調製)
実施例1~4、比較例1~3の整髪用乳化組成物を、公知の整髪用乳化組成物の製造方法により、表1~3に示す成分と混合して調製した。実施例1~4、比較例1~3の整髪用乳化組成物はいずれもクリーム状(O/W型エマルション)であった。
【0071】
なお、表1~3に示す「酸化チタン(※1)」、「酸化亜鉛(※2)」、「イソドデカン(※3)」、「軽質イソパラフィン(※4)」、「重質流動イソパラフィン(※5)」はそれぞれ以下のものを用いた。
酸化チタン(※1):チタン工業株式会社製の商品名「酸化チタン ST-705SA」(水酸化アルミニウム及びステアリン酸で表面処理された酸化チタン)
酸化亜鉛(※2):堺化学工業株式会社製の商品名「XZ-100F-LP」(ハイドロゲンジメチコンで表面処理された酸化亜鉛)
イソドデカン(※3):動粘度1.35mm/sのイソドデカン
軽質イソパラフィン(※4):動粘度1.4mm/sの軽質イソパラフィン
重質流動イソパラフィン(※5):動粘度20mm/sを超える重質流動イソパラフィン(参考値:測定温度98.9℃における動粘度800mm/s)
【0072】
また、表1~3のポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)における「15E.O.」の表記は、ポリオキシエチレンの平均付加モル数が15であることを示す。
なお、表1~3における各成分の数値は質量%であり、成分欄の「-」の表記は未配合であることを表す。
【0073】
(実施例1~3、比較例1~3の評価)
上記で製造した実施例1~3、比較例1~3の整髪用乳化組成物を用いて、下記に示す評価方法により、「髪のマット感」、「白浮きの抑制」、「整髪性」を評価した。
【0074】
(髪のマット感の評価方法)
実施例1~3、比較例1~3の各整髪用乳化組成物を1g用いて、評価用ウィッグ(髪の長さを約10cmにそろえた株式会社レジーナ製のモデルウィッグ)の毛髪を整髪し、整髪後における「髪のマット感」(髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観)を評価した。評価は、下記の評価基準に従い、「〇」、「同等」、又は「×」のいずれかを日常的に整髪用組成物の評価を行うパネラー2名の合議で判定して行った。
【0075】
(髪のマット感の評価基準)
○ :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、髪のマット感に優れる(基準とした整髪用乳化組成物よりも、髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観に優れる)。
同等:基準とした整髪用乳化組成物に比べて、髪のマット感が同等(基準とした整髪用乳化組成物と比べて、髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観が同等)。
× :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、髪のマット感に劣る(基準とした整髪用乳化組成物よりも、髪のつやがなく、髪がくすんだように見える外観に劣る)。
【0076】
(白浮きの抑制の評価方法)
実施例1~3、比較例1~3の各整髪用乳化組成物をそれぞれ手の掌に0.5gとり、掌の上で整髪用乳化組成物を薄く伸ばした後に、掌の白さの状態を目視により評価した。評価は、下記の評価基準に従い、「〇」、「同等」、又は「×」のいずれかを日常的に整髪用組成物の評価を行うパネラー2名の合議で判定して行った。
【0077】
(白浮きの抑制の評価基準)
○ :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、掌の白浮きが抑制されている(基準とした整髪用乳化組成物よりも、掌が白くならない)。
同等:基準とした整髪用乳化組成物に比べて、掌の白浮きが同等(基準とした整髪用乳化組成物よりも、掌の白さの状態が同等)。
× :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、掌の白浮きが抑制されていない(基準とした整髪用乳化組成物よりも、掌が白くなる)。
【0078】
(整髪性の評価方法)
実施例1~3、比較例1~3の各整髪用乳化組成物を1g用いて、評価用ウィッグ(髪の長さを約10cmにそろえた株式会社レジーナ製のモデルウィッグ)の毛髪を整髪し、根元からの立ち上がり及び毛先のまとまりを指標として「整髪性」を評価した。評価は、下記の評価基準に従い、「〇」、「同等」、又は「×」のいずれかを日常的に整髪用組成物の評価を行うパネラー4名の合議で判定して行った。
【0079】
(整髪性の評価基準)
○ :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、整髪性(根元からの立ち上がり及び毛先のまとまり)に優れると評価。
同等:基準とした整髪用乳化組成物に比べて、整髪性(根元からの立ち上がり及び毛先のまとまり)が同等と評価。
× :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、整髪性(根元からの立ち上がり及び毛先のまとまり)が劣ると評価。
【0080】
(評価結果)
下記表1、2に各整髪用乳化組成物の評価結果を示す。
【0081】
(実施例1、2、比較例1、2の評価結果)
下記表1に、各配合成分と共に、実施例1、2、比較例1、2の整髪用乳化組成物の評価結果を示す。評価の基準には、比較例1の整髪用乳化組成物を用いた。
【0082】
【表1】
【0083】
表1に示す結果から、(B)成分である動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油が配合された実施例1、2の整髪用乳化組成物は、前記(B)成分が未配合の比較例1の整髪用乳化組成物に比べて、白浮きの抑制に優れることが分かる。また、(B)成分に該当しない重質流動イソパラフィン(動粘度20mm/sよりも大きい)が配合された比較例2の整髪用乳化組成物は、(B)成分が未配合の比較例1の整髪用乳化組成物に比べて、白浮きの抑制が同等であり、髪のマット感及び整髪性に劣ることが分かる。そのため、表1に示す結果から、動粘度20mm/s以下の25℃で液状の油((B)成分)を用いることにより、白浮きの抑制に優れることが分かる。
【0084】
(実施例1、3、比較例3の評価結果)
下記表2に、各配合成分と共に、実施例1、3、比較例3の整髪用乳化組成物の評価結果を示す。評価の基準には、比較例3の整髪用乳化組成物を用いた。
【0085】
【表2】
【0086】
表2に示す結果から、(A)成分である白色顔料が配合された実施例1、3の整髪用乳化組成物は、(A)成分が未配合の比較例3の整髪用乳化組成物に比べて、白浮きの抑制が同等であるが、髪のマット感に優れることが分かる。そのため、実施例1、3の整髪用乳化組成物は白色顔料が配合されているにも関わらず、白色顔料が未配合の比較例3と同等の白浮きの抑制を実現できていることが分かる。
【0087】
(実施例1、4の評価)
上記で製造した実施例1、4の整髪用乳化組成物を用いて、上記表1、2と同様に「白浮きの抑制」、「髪のマット感」を評価した。また、下記に示す評価方法により、「整髪時の指通り」を評価した。
【0088】
(整髪時の指通りの評価方法)
実施例1、4の各整髪用乳化組成物を1g用いて、評価用ウィッグ(髪の長さを約10cmにそろえた株式会社レジーナ製のモデルウィッグ)の毛髪を整髪した際の、整髪時における毛髪の指通りの良さを指標として「整髪時の指通り」を評価した。評価は、下記の評価基準に従い、「〇」、「同等」、又は「×」のいずれかを日常的に整髪用乳化組成物の評価を行うパネラー4名の合議で判定して行った。
【0089】
(整髪性の評価基準)
○ :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、整髪時の指通りに優れると評価。
同等:基準とした整髪用乳化組成物に比べて、整髪時の指通りが同等と評価。
× :基準とした整髪用乳化組成物に比べて、整髪時の指通りが劣ると評価。
【0090】
(実施例1、4の評価結果)
下記表3に、各配合成分と共に、実施例1、4の整髪用乳化組成物の評価結果を示す。評価の基準には、実施例1の整髪用乳化組成物を用いた。
【0091】
【表3】
【0092】
表3に示す結果から、(D)成分である無機粉体のカオリンが配合された実施例4の整髪用乳化組成物は、無機粉体が未配合の実施例1の整髪用乳化組成物に比べて、白浮きの抑制及び髪のマット感は同等であるが、整髪時の指通りに劣ることが分かる。