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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021511
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220127BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220127BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/36
A61K8/06
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125112
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】有本 晃佑
(72)【発明者】
【氏名】貞神 喜郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD042
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB04
4C083BB14
4C083BB23
4C083CC12
4C083DD23
4C083DD32
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】2種類以上の平均粒子径の異なる顔料を含む化粧料において、色縞の発生を抑制する。
【解決手段】平均粒子径が異なる顔料を少なくとも2種類含む化粧料であって、この化粧料を胴径φ35mmの硼珪酸ガラス容器に高さ10mmで充填し、充填したガラス容器の底面からC光源によるSCI方式によって測定されるCIE1976 L*a*b*表色系で規定する明度L*が65以下である化粧料を、ベヘニン酸またはその誘導体を含み、その配合量を化粧料全量に対し0.15~2質量%とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒子径が異なる顔料を少なくとも2種類と、
(B)ベヘニン酸またはその誘導体と、
を含む化粧料であって、
前記(B)ベヘニン酸またはその誘導体の配合量が化粧料全量に対し0.15~2質量%であり、
前記化粧料を胴径φ35mmの硼珪酸ガラス容器に高さ10mmで充填し、該ガラス容器の底面からC光源によるSCI方式によって測定されるCIE1976 L*a*b*表色系で規定する明度L*が65以下である化粧料。
【請求項2】
(C)界面活性剤をさらに含む請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
前記(C)界面活性剤がソルビタン誘導体である請求項2記載の化粧料。
【請求項4】
前記ソルビタン誘導体がセスキイソステアリン酸ソルビタンである請求項3記載の化粧料。
【請求項5】
(D)揮発性直鎖シリコーンをさらに含む請求項1~4いずれか1項記載の化粧料。
【請求項6】
油中水型である請求項1~5いずれか1項記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関するものであって、特には顔料を含む明度の低い化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料に無機粉末を配合することにより、紫外線からの肌の保護、シミやソバカスなどの隠蔽、皮脂吸収等の機能を付与することが行われている。無機粉末は油性基剤中に分散しづらく、乳化化粧料の場合には、粉末を含む油相に界面活性剤を添加し、水相を加えて乳化すると、粉末と界面活性剤、水との相互作用によって、凝集を生じることがある。このような問題を解決するため、出願人は低粘度領域において、粉末が凝集しにくい粉末化粧料を提案している(特許文献1)。
【0003】
化粧料、とりわけファンデーションなどの化粧料には、上記のような無機粉末以外に、いわゆる色材として顔料が配合されている(例えば特許文献2)。顔料は微妙な色合いの調製をするために、一般に複数種類が配合されており、またその微妙な色合いを視認しやすくするために、透明な容器に入れられて市場で流通する場合が多い。近年、季節や使用シーンに応じて色の濃いファンデーションを使用したいという要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-256450号公報
【特許文献2】特開2018-35092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような要求に応じて濃い色の顔料を複数種類使用して化粧料を調製すると、調製中の撹拌によって色縞が発生することが判明した。この色縞は透明容器で流通させる場合に外観が悪く、また消費者には品質トラブルと受け止められる懸念があるため重要な問題である。なお、ゲル様の化粧料等は、高分子間に保持された水分が分離する現象、いわゆる離しょうが生じやすいため、離しょうをより抑制して、安定性を向上させることが好ましい。
【0006】
すなわち、本発明は2種類以上の平均粒子径の異なる顔料を含む色の濃い、換言すれば明度の低い化粧料において、色縞の発生および離しょうを抑制することが可能な化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の化粧料は、
(A)平均粒子径が異なる顔料を少なくとも2種類と、
(B)ベヘニン酸またはその誘導体と、
を含む化粧料であって、
(B)ベヘニン酸またはその誘導体の配合量が化粧料全量に対し0.15~2質量%であり、
この化粧料を胴径φ35mmの硼珪酸ガラス容器に高さ10mmで充填し、このガラス容器の底面からC光源によるSCI方式によって測定されるCIE1976 L*a*b*表色系で規定する明度L*が65以下である。
【0008】
本発明の化粧料は(C)界面活性剤をさらに含むことが好ましい。
【0009】
(C)界面活性剤はソルビタン誘導体であることが好ましい。
【0010】
ソルビタン誘導体はセスキイソステアリン酸ソルビタンであることが好ましい。
【0011】
本発明の化粧料は(D)揮発性直鎖シリコーンをさらに含むことが好ましい。
【0012】
本発明の化粧料は油中水型であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化粧料は、
(A)平均粒子径が異なる顔料を少なくとも2種類と、
(B)ベヘニン酸またはその誘導体と、
を含み、(B)ベヘニン酸またはその誘導体の配合量が化粧料全量に対し0.15~2質量%である化粧料であるので、
この化粧料を胴径φ35mmの硼珪酸ガラス容器に高さ10mmで充填し、このガラス容器の底面からC光源によるSCI方式によって測定されるCIE1976 L*a*b*表色系で規定する明度L*が65以下であっても、顔料の平均粒子径の違いに起因する顔料の分級を抑え、色縞の発生および離しょうを抑制することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の化粧料は、
(A)平均粒子径が異なる顔料を少なくとも2種類と、
(B)ベヘニン酸またはその誘導体と、
を含む化粧料であって、
(B)ベヘニン酸またはその誘導体の配合量が化粧料全量に対し0.15~2質量%であり、
この化粧料を胴径φ35mmの硼珪酸ガラス容器に高さ10mmで充填し、このガラス容器の底面からC光源によるSCI方式によって測定されるCIE1976 L*a*b*表色系で規定する明度L*が65以下である。
以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、PEGはポリエチレングリコール、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略である。
【0015】
(A)顔料
本発明の化粧料は、平均粒子径が異なる顔料を少なくとも2種類含む。ここで、顔料とは、水に溶けずに物体を着色するものであって、白色顔料、着色顔料の無機顔料である。より具体的には、二酸化チタン(着色するのは平均粒子径が100nm以上のもの)、酸化亜鉛等の白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、マンガンバイオレット、カーボンブラック等の着色顔料が挙げられる。顔料は、必要に応じて表面処理(疎水化処理、親水化処理、撥水処理など)されたものを用いてよい。疎水化処理としては、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン(EP-1処理)、トリエトキシカプリリルシラン(OTS処理)等が好ましく挙げられる。
【0016】
平均粒子径は、マイクロトラック社の粒度分布測定装置(MT3000)を用い、レーザー回折散乱法(乾式)により測定され、メディアン径で表されるものである。平均粒子径が異なるとは、化粧料に含まれる2種類以上の顔料が、分級が起こる程度に平均粒子径が異なっていることを意味し、顔料の種類によっても異なるが、概ね、平均粒子径で0.1~2μmの差があることを想定している。
【0017】
顔料の配合量は、9.5質量%よりも多く30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは9.6~25質量%、さらには10~20質量%であることが望ましい。9.5質量%よりも多いことで、多種類の顔料を配合することで微妙な色合いを調製することがより容易となり、また、30質量%以下であることで、使用性をより良好なものとすることができる。
【0018】
(B)ベヘニン酸またはその誘導体
本発明の化粧料にはベヘニン酸(ベヘン酸)またはその誘導体を含む。ベヘニン酸の誘導体としては、べへニルアルコール、ベヘニン酸エステル、ベヘニン酸アミド、ベヘニン酸塩、ベヘニン酸炭酸塩、ベヘニン酸カルバメート、ベヘニン酸イミドおよび/またはベヘニン酸無水物等を挙げることができる。ベヘニン酸エステルとしては、ベヘニン酸グリセリルが好適に挙げられ、例えば(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル(市販品としてノムコートHK-G(日清オイリオグループ株式会社製))、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10(市販品としてノムコートHK-P(日清オイリオグループ株式会社製)等が挙げられる。これらのベヘニン酸またはその誘導体は、1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
(B)ベヘニン酸またはその誘導体は、化粧料全量に対し0.15~2質量%含み、好ましくは0.2~0.8質量%、さらには0.25~0.7質量%であることが好ましい。(B)ベヘニン酸またはその誘導体が、化粧料全量に対し0.15質量%以上であることで、色縞の発生を抑制することが可能となる。また、2質量%以下であることで、肌に伸びやすい軽い使用性とすることができる。
【0020】
(明度)
本発明の化粧料の明度は、化粧料を胴径φ35mmの硼珪酸ガラス容器に高さ10mmで充填し、このガラス容器の底面からC光源によるSCI(Specular Component Include)方式によって測定されるCIE1976 L*a*b*表色系で規定する明度L*が65以下である。明度L*が65以下であることで、色の濃い化粧料とすることができる。より好ましくは、明度L*は60以下であることが好ましく、さらには55以下であることが望ましい。
【0021】
(C)界面活性剤
本発明の化粧料はさらに界面活性剤を含んでいることが好ましい。界面活性剤を含むことで顔料の分散性を向上させることができる。界面活性剤の中でも分散性向上の観点から好ましくはHLB7以下の界面活性剤が用いられる。
【0022】
このような界面活性剤としては、例えば、ソルビタン誘導体、例えばソルビタンと脂肪酸が結合したエステル化合物の1種である脂肪酸変性ソルビタン(例えばセスキイソステアリン酸ソルビタン)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等)、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、ポリグリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(D)揮発性直鎖シリコーン
本発明の化粧料は(D)揮発性直鎖シリコーンをさらに含むことが好ましい。揮発性直鎖シリコーン油は、1気圧(101.325kPa)における沸点が250℃以下のシリコーン油である。揮発性直鎖シリコーン油としては、例えば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルトリシロキサン、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)等の低分子量メチルポリシロキサン(1cS、1.5cS、2cS等)が挙げられる。
【0024】
揮発性直鎖シリコーン油の配合量は化粧料全量に対して2~30質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましい。揮発性直鎖シリコーン油が化粧料全量に対して2質量%以上であることにより、塗布時および塗布後の皮膚状態をよりなめらかなものとすることができ、また、30質量%以下であることにより、油っぽさのないよりさらっとした使用感のものとすることができる。
【0025】
本発明の化粧料は、粘度が5000~50000mPa・sであることが好ましく、8000~45000mPa・sであることがより好ましく、さらには10000~40000mPa・sがより好ましい。粘度が50000mPa・s以下であることで塗布時の伸びが軽く、より良好な使用感が得られる。一方、5000mPa・s以上であることでより充分な安定性を得ることができる。なお、ここでいう粘度は、30℃、BL型粘度計(VS-A型 芝浦システム製)により、ローター4号、12rpm、1分間の測定条件で測定されるものである。
【0026】
本発明の化粧料は、通常化粧品や医薬品等に用いられる成分、例えば油分、水、アルコール類、増粘剤、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、各種薬効成分、防腐剤、pH調整剤、中和剤等、必要に応じて適宜配合される。
【0027】
上記任意配合成分のうち、油分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、固形パラフィン、ビースワックス、硬化ヒマシ油、カルナウバロウ、バリコワックス等のワックス、牛脂、豚脂、羊脂、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、オリーブ油、綿実油、ホホバ油、ヒマシ油、ラノリン等の動植物油脂、流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油、トリメチルプロパントリイソステアレート、イソプロピルミリステート、グリセロールトリ-2-エチルヘキサネート、ペンタエリスリトールテトラ-2-エチルヘキサネート、POE・POPペンタエリスリトールエーテル等の合成油等が挙げられる。
【0028】
アルコール類としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンサルコール、コレステロール、フィトステロール、イソステアリルアルコール等の分岐鎖アルコール等の高級アルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、シトステロール、ラノステロール等が挙げられる。
【0029】
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、POE系高分子、POE・POP共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等の水溶性高分子等が挙げられる。
【0030】
キレート剤としては、シトラマル酸、アガル酸、グリセリン酸、シキミ酸、ヒノキチオール、没食子酸、タンニン酸、コーヒー酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコー
ルジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、フィチン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ならびにこれらの類似体ならびにこれらのアルカリ金属塩およびカルボン酸エステル等が挙げられる。
【0031】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸オクチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;ジモルホリノピリダジノン等のピリダジン誘導体;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン誘導体;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー等のカンファー誘導体;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体;その他、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0032】
保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D-マンニット、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコサミン、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0033】
薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ビタミンD2、dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;アズレン、グリチルリチン等の抗炎症剤;アルブチン等の美白剤、エストラジオール等のホルモン類;酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤;その他塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、イオウ等を配合することができる。さらに多様な薬効を示す各種抽出物を配合することができる。すなわちドクダミエキス、オウバクエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ヘチマエキス、ユキノシタエキス、ユーカリエキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ヤグルマギクエキス、海藻エキス、タイムエキス等が挙げられる。
【0034】
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0035】
中和剤としては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、水酸化カリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0036】
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0037】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α-トコフェロール、カロチノイド等が挙げられる。
【0038】
上記成分は例示であり、これらに限定されるものではない。またこれら成分は、所望する形態に応じた処方に従い、適宜組み合わせて配合することが可能である。
【0039】
本発明の化粧料は、油中水型(W/O)の形態とすることができ、上記成分から常法によって製造される。具体的な商品形態としては、乳液、スキンケアクリーム、化粧下地、ヘアクリーム、リキッドファンデーション、クッションファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状ないしクリーム状の製品が挙げられる。
【実施例0040】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0041】
[実施例1~3および比較例1~8]
油中水型化粧料を表1に示す処方で常法により調製し、得られた化粧料について、以下に示す条件でCIE1976 L*a*b*表色系で規定する明度L*を測定した。また、以下に示す基準で色縞と離しょうについて評価した。
【0042】
なお、表中の原料の製品名等の詳細は下記のとおりである。ここで、表中の、顔料級酸化チタン、疎水化酸化鉄(赤)、疎水化酸化鉄(黄)、疎水化酸化鉄(黒)が顔料である。
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン:シリコーンSC0928SL(信越化学社製)
PEG-10ジメチコン:シリコーンSC9450N(信越化学社製)
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン:シリコンKF56信越化学社製)
セスキイソステアリン酸ソルビタン:エステモール182V(日清オイリオグループ社製)
ジメチコン:シリコーンKF-96A-2CS(信越シリコーン社製)
ジステアルジモニウムヘクトライト:ベントン38VCG(エレメンティススペシャリティーズ社製)
微粒子酸化チタン:(平均粒子径:15nm)
顔料級酸化チタン:(平均粒子径:250nm)
疎水化酸化鉄(赤):(平均粒子径:660nm)
疎水化酸化鉄(黄):(平均粒子径:400nm)
疎水化酸化鉄(黒):(平均粒子径:1.6μm)
PEG-20:ポリエチレングリコール1500(日油社製)
【0043】
<明度の測定>
各例の化粧料を口内径φ20.3mm、胴径φ35mmの硼珪酸ガラス容器(マルエム社、スクリュー管瓶 50mL 透明No.7)に高さ10mmで充填し、ガラス容器の底面からC光源によりSCI方式によって測定した。明度L*はいずれも24であった。
【0044】
<色縞>
各例の化粧料をスリーワンモーター(新東化学社製)にタービンタイプの撹拌翼を取り付け、撹拌翼の底面が各例の化粧料の表面に接するように設置し、12rpmで4時間回転させた後、バルクを目視により観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:色縞なし
B:狭い範囲にぼやけた色縞があるが外観全体としては問題がない
C:広い範囲にぼやけた色縞がある
D:はっきりとした色縞がある
【0045】
<離しょう>
各例の化粧料を、50℃で4週間静置した後、離しょう(油浮き)の有無を目視により観察し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:離しょうなし
B:表面に透明な液が少し認められる
C:透明な液が溜まった状態で認められる
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、実施例では離しょうが起こらず、色縞も外観上問題にならない程度にまで抑制された。一方、実施例で用いたセスキイソステアリン酸ソルビタンおよびベヘニン酸を抜去した比較例1、ベヘニン酸を抜去した比較例2、ベヘニン酸に代えてイソステアリン酸を用いた比較例3および4では色縞が起こって外観に問題が生じた。ベヘニン酸に代えてイソステアリン酸を高配合した比較例5は、色縞は起こらなかったものの、離しょうが顕著に認められた。また、ベヘニン酸に代えてステアリン酸を用いた比較例6、ベヘニン酸に代えてパルミチン酸を用いた比較例7、ベヘニン酸に代えてミリスチン酸を用いた比較例8では、色縞は生じなかったが、離しょうが認められて安定性が低下した。