(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021667
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】回路装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20220127BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220127BHJP
F21V 23/02 20060101ALI20220127BHJP
F21K 9/278 20160101ALI20220127BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220127BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20220127BHJP
【FI】
H05K1/18 S
F21V23/00 150
F21V23/02
F21K9/278
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125398
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】根津 憲二
【テーマコード(参考)】
3K014
5E336
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014DA08
3K014EA02
3K014EA04
5E336AA01
5E336AA04
5E336AA13
5E336CC01
5E336CC53
5E336CC60
5E336DD22
5E336DD32
5E336DD38
5E336EE02
5E336EE03
5E336GG03
5E336GG15
(57)【要約】
【課題】騒音の発生を低減できる回路装置を提供する。
【解決手段】回路装置20は、基板40と、複数の電子部品41と、弾性体60とを備える。電子部品41は、基板40に実装される巻線部品50を含む。弾性体60は、基板40と巻線部品50との間に介在される絶縁性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
前記基板に実装される巻線部品を含む複数の電子部品と;
前記基板と前記巻線部品との間に介在される絶縁性を有する弾性体と;
を備えることを特徴とする回路装置。
【請求項2】
前記巻線部品は、前記巻線部品以外の前記電子部品のうちの前記基板からの高さが最も高い前記電子部品と同等の高さ位置に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板に巻線部品を実装した回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、照明装置では、光源に点灯電力を供給するための電源回路を搭載した回路装置が用いられている。
【0003】
この回路装置では、基板に複数の電子部品が実装されて電源回路が構成されている。電子部品には巻線とコアとを組み合わせたインダクタやトランス等の巻線部品が含まれ、この巻線部品にスイッチング電流や交流電流が通電されて動作する回路構成が多くある。
【0004】
巻線部品にスイッチング電流や交流電流が通電されると、巻線部品のコアが磁歪効果により膨張と収縮を繰り返し、振動が発生することが知られている。
【0005】
そして、基板に巻線部品を実装した回路装置では、巻線部品の振動が基板に伝わり、基板全体から唸り音のような騒音が発生することがあり、騒音の発生を低減することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、騒音の発生を低減できる回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の回路装置は、基板と、複数の電子部品と、弾性体とを備える。電子部品は、基板に実装される巻線部品を含む。弾性体は、基板と巻線部品との間に介在される絶縁性を有する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の回路装置によれば、騒音の発生を低減することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】同上回路装置の巻線部品の実装状態を示す一部の側面図である。
【
図3】同上巻線部品の実装状態を異なる方向から見た一部の側面図である。
【
図4】同上回路装置を用いたランプ装置の断面図である。
【
図5】同上ランプ装置を用いた照明装置の斜視図である。
【
図6】同上巻線部品の第1の製造方法を(a)~(g)に示す説明図である。
【
図7】同上巻線部品の第2の製造方法を(a)~(g)に示す説明図である。
【
図8】同上巻線部品の第3の製造方法を(a)~(e)に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図5に照明装置10を示す。照明装置10は、ランプ装置11、このランプ装置11が着脱可能に装着されるソケット12、このソケット12が設けられた器具本体13を備えている。なお、以下、照明装置10(ランプ装置11)の光照射方向を下、光照射方向に対して反対側を上として説明する。
【0013】
図4および
図5に示すように、ランプ装置11は、GX53形口金を用いたフラット形ランプ装置である。ランプ装置11は、筐体16、この筐体16の下面側に取り付けられた発光モジュール17、この発光モジュール17を覆って筐体16の下面側に取り付けられた透光カバー18、筐体16の上面側に取り付けられた絶縁カバー19、この絶縁カバー19の上面側に配置された回路装置20、これら絶縁カバー19および回路装置20を筐体16との間に保持して筐体16の上面側に取り付けられた口金21を備えている。
【0014】
筐体16は、例えば金属製で、円筒状に一体に形成されている。
【0015】
発光モジュール17は、光源基板23、およびこの光源基板23の表面に実装された光源である発光素子(半導体発光素子)24を備えている。光源基板23は、筐体16に熱的に接続された状態に取り付けられている。発光素子24は、例えば表面実装形のLEDが用いられている。なお、発光素子24は、COB(Chip On Board)モジュールを用いてもよいし、EL素子等の他の発光素子を用いてもよい。
【0016】
透光カバー18は、透光性および拡散性を有する例えば合成樹脂製で一体に形成され、発光素子24からの光が透過する。
【0017】
絶縁カバー19は、絶縁性を有する例えば樹脂製で一体に形成されている。絶縁カバー19は、筐体16と口金21との間に挟み込まれて保持されている。
【0018】
回路装置20は、光源を点灯させる電源回路を構成する。回路装置20は、外部電源である交流電源からの交流電力を入力し、点灯電力である所定の直流電力に変換して発光モジュール17の発光素子24に供給し、発光素子24を点灯させる。回路装置20の直流電力の出力部は図示しない一対の出力配線により発光モジュール17と電気的に接続されている。
【0019】
口金21は、GX53形口金である。口金21は、口金本体26、およびこの口金本体26の上面側から突出する一対の電極ピン27を備えている。
【0020】
口金本体26は、絶縁性を有する例えば樹脂製で一体に形成されている。口金本体26は、上面中央から突出する円筒状の突出部26a、この突出部26aの周囲に設けられた環状部26b、およびこの環状部26bの周囲に設けられ筐体16に嵌合する外周部26cを有している。突出部26aは下面側が開口されており、この突出部26aの内側に回路装置20の部品の一部が配置されている。
【0021】
一対の電極ピン27は、導電性を有する金属材料で、上端側に径大部を有する断面略T字形の円柱状に形成されている。一対の電極ピン27は、口金本体26の中心に対して対称位置に、口金本体26の環状部26bの上面側から突出するように設けられている。一対の電極ピン27には、回路装置20の交流電力の入力部と一対の入力配線により電気的に接続されている。
【0022】
また、
図5に示すように、ソケット12は、ソケット本体29、およびこのソケット本体29内に収容された図示しない一対の端子を備えている。ソケット本体29は、絶縁性を有する例えば樹脂製で環状に形成されている。ソケット本体29の中央には、ランプ装置11の突出部26aが挿通される挿通孔30が形成されている。ソケット本体29の下面には、ソケット本体29の中心に対して対称位置に、ランプ装置11の各電極ピン27が差し込まれて回動される一対の接続孔31が形成されている。これら接続孔31は、ソケット本体29の周方向に沿って長い長孔で、その一端には電極ピン27の径大部が挿通可能とするだるま孔形状に形成されている。また、一対の端子は、各接続孔31の内側に配置され、接続孔31に差し込まれて回動される電極ピン27と電気的に接続される。一対の端子には、器具本体13が設置される設置部に配線されている電源線が電気的に接続される。電源線により、交流電源からの交流電力がソケット12に供給される。
【0023】
また、器具本体13は、下方に開口された反射体にて形成されている。なお、器具本体13は、このような形態に限らず、どのような形態でもよい。また、照明装置10は、設置面に対して、直付けする直付形、埋め込む埋込形、吊り下げる吊下形等のいずれの形態でもよい。
【0024】
そして、ランプ装置11は、突出部26aをソケット12の挿通孔30に挿入するとともに一対の電極ピン27をソケット12の接続孔31に挿入し、ランプ装置11を所定角度回動させることにより、ソケット12に取り付けられるとともに、一対の電極ピン27をソケット12の一対の端子に電気的に接続される。
【0025】
次に、
図1に回路装置20を示す。回路装置20は、回路基板である基板40、およびこの基板40に実装された複数の電子部品41を備えている。
【0026】
基板40は、例えば四角形または四角形に近似した形状あるいは円形等の平板状のプリント配線基板である。基板40は、上面側の第1基板面43と下面側の第2基板面44を有し、これら第1基板面43と第2基板面44の両面に配線パターンが形成された両面実装基板が用いられている。
【0027】
電子部品41には、電源回路を構成するのに必要な複数の部品が用いられている。例えば、交流電源に接続されるノイズフィルタ回路のコンデンサおよびトランスと、ノイズフィルタ回路を通じて入力される交流電力を整流平滑する整流素子およびコンデンサと、整流平滑された直流電力を所定の点灯電力に変換する電力変換回路のスイッチング素子、ダイオード、インダクタおよびコンデンサと、制御用のIC等の電子部品41が含まれている。
【0028】
電子部品41には、トランス、インダクタ、コンデンサ等のリード線を有するリード部品と、チップ状のダイオードおよび抵抗やIC等の面実装部品とが含まれている。
【0029】
電子部品41のうち、大形の電子部品41であって、トランス、インダクタ、コンデンサ等のリード線を有するリード部品は、基板40の上面側の第1基板面43に実装される。これらリード部品のリード線は、基板40の第1基板面43から第2基板面44に貫通され、第2基板面44の配線パターンにはんだ付け接続される。
【0030】
電子部品41のうち、小形の電子部品41であって、チップ状のダイオードおよび抵抗やIC等の面実装部品は、基板40の第1基板面43および第2基板面44の両面の配線パターン上に配置されてはんだ付け接続されている。
【0031】
電子部品41のはんだ付けは、フローはんだ付けやリフローはんだ付け等のはんだ付け方法が用いられる。
【0032】
なお、
図1において、基板40に実装された電子部品41のうち、Lはインダクタ、Tはトランス、C1,C2はコンデンサである。コンデンサC1,C2は、円筒状の電解コンデンサであり、基板40に実装される電子部品41のうちの基板40からの高さが最も高い部品の1つである。
【0033】
さらに、基板40には、一対の電極ピン27と電気的に接続される一対の入力配線46が、基板40に実装されたかしめ部品47にかしめ接続されている。また、基板40には、発光モジュール17と電気的に接続される図示しない一対の出力配線がコネクタ接続される。
【0034】
また、
図1ないし
図3に示すように、電子部品41には、巻線部品50が含まれる。この巻線部品50は、インダクタLである。なお、巻線部品50は、トランスT等でもよい。
【0035】
巻線部品50は、筒状のボビン51、このボビン51の周囲に巻回された巻線52、この巻線52が巻回されたボビン51と組み合わされる磁性体であるコア53、およびボビン51に取り付けられるとともに巻線52が電気的に接続された複数のリード線54を有している。巻線部品50は、ボビン51、巻線52およびコア53によって巻線部品本体55が構成され、この巻線部品本体55から複数のリード線54が突出されている。
【0036】
ボビン51は、絶縁性を有する例えば樹脂製で、筒部51a、およびこの筒部51aの両端のフランジ部51b,51cを有している(
図6ないし
図8等を参照)。下側のフランジ部51cにはリード線54が取り付けられている。
【0037】
巻線52は、ボビン51の両端のフランジ部51b間で筒部51aの外周に、所定の巻数分だけ巻回されている。巻回された巻線52の周囲には絶縁テープ56が巻き付けられている。
【0038】
コア53は、略E字形の一対のコア部53aを備えている(
図6ないし
図8等を参照)。コア部53aは、ボビン51の筒部51aに挿入される中央脚部53bとボビン51の外側部に配置される両側の側脚部53cを有する略E字形に形成されている。一対のコア部53cを巻線52が巻回されたボビン51を介在して互いに組み合わせることにより、コア53に閉磁路が形成される。コア53の外周には、絶縁テープ57が巻き付けられている。
【0039】
リード線54は、ボビン51のコア53の両側面から突出する下側のフランジ部51cに取り付けられている。リード線54は、巻線52の接続のためには少なくとも2本あればよいが、基板40への取付状態を安定させるために取付用のリード線54を2本または1本用いている。
【0040】
また、基板40と巻線部品50(巻線部品本体55)との間には弾性体60が介在されている。弾性体60は、例えばシリーン樹脂やゴム等の弾性材料で形成され、絶縁性および弾性を有し、さらに弾性による制振性を有している。
【0041】
弾性体60は、ブロック状に形成されている。弾性体60の一面である下面が基板40に第1基板面43に面接触するように配置され、弾性体60の他面である上面に巻線部品50(コア53)の下面が面接触するように配置されている。
【0042】
弾性体60は、巻線部品50が搭載される搭載面61が、この搭載面61に接触される巻線部品50の接触面つまりコア53の下面よりも大きい関係にある。したがって、弾性体60の搭載面61の内側位置にコア53が配置され、弾性体60(搭載面61)の周辺部がコア53の周囲から突出されている。
【0043】
なお、リード線54は弾性体60の外側を通じて基板40に接続されるが、弾性体60を大きくし、リード線54が弾性体60を挿通して基板40に接続されるようにしてもよい。
【0044】
弾性体60は、巻線部品50を基板40に実装する際に介在させるようにしてもよいし、あるいは、巻線部品50を実装する基板40の実装位置に接着剤等で予め固定したり、巻線部品50(コア53)の下面に接着剤等で予め固定してもよい。
【0045】
なお、弾性体60は、巻線部品50の発熱に対する高耐熱性を有することが好ましい。また、弾性体60は、初期に流動性を有し、時間経過により固化する弾性材料を用いてもよい。さらに、弾性体60は、直方体状のブロック状に限らず、比較的厚みを有するシート状に形成されていてもよい。
【0046】
そして、巻線部品50は、この巻線部品50以外の電子部品41のうちの基板40からの高さが最も高い電子部品41である例えばコンデンサC1,C2と同等の高さ位置に配置されている。これにより、巻線部品50と隣接する電子部品41との間で互いに熱的な影響が軽減される。
【0047】
ところで、巻線部品50は、例えばスイッチング電流や交流電流の通電された場合、コア53が磁歪効果により膨張と収縮を繰り返し、振動が発生することが知られている。
【0048】
巻線部品50が弾性体60を介在せずに基板40に実装されている場合には、巻線部品50の振動が基板40に伝わり、基板40を含む回路装置20全体が振動し、唸り音のような騒音が発生することがある。
【0049】
本実施形態では、巻線部品50が弾性体60を介在して基板40に実装されているため、巻線部品50の振動が弾性体60に吸収されて基板40に伝わるのが低減され、基板40を含む回路装置20全体が振動するのが低減され、唸り音のような騒音の発生が低減される。
【0050】
さらに、巻線部品50が搭載される弾性体60の搭載面61が、この搭載面61に接触される巻線部品50の接触面(コア53の下面)よりも大きい関係にあるため、弾性体60による巻線部品50の振動の吸収効果が大きく、騒音の発生がより低減される。
【0051】
なお、上述したようにリード線54が弾性体60を挿通するように構成した場合には、リード線54から基板40に伝わる振動が弾性体60に吸収され、基板40を含む回路装置20全体の振動による騒音の発生がより低減される。
【0052】
また、巻線部品50は、振動により巻線部品50自体からも騒音が発生することがある。巻線部品50は、絶縁のために含浸液で含浸処理しているが、含浸液が巻線部品50の内部であってボビン51とコア53との間の空間まで浸透しにくく、浸透にばらつきがある。ボビン51とコア53との間の空間に含浸液が浸透されていないと、振動によりボビン51とコア53が直接接触し、騒音が発生する。
【0053】
本実施形態の巻線部品50は、製造方法を工夫し、巻線部品50自体からの騒音の発生を低減する構造に形成されている。
【0054】
【0055】
図6(a)に示すように、まず、ボビン51を含浸液65に浸す。含浸液65は、ワニス等である。
【0056】
図6(b)に示すように、含浸液65から取り出されたボビン51の表面には、含浸液65が固化した含浸膜66が形成される。含浸膜66は、ボビン51やコア53よりも、軟質であり、弾性も有する。
【0057】
図6(c)に示すように、ボビン51に巻線52を巻回する。ボビン51と巻線52との間には含浸膜66が介在する。なお、巻線52の端部はボビン51のリード線54に接続する。
【0058】
図6(d)に示すように、巻線52を巻回したボビン51にコア53の一対のコア部53aを組み合わせ、巻線部品本体55を組み立てる。
図6(e)に示すように、巻線部品本体55の内部には、ボビン51とコア53とを組み立てるのに必要なクリアランスを確保しているため、ボビン51とコア53との間には0.1~0.2mm程度の隙間Gが存在する。
【0059】
図6(e)(f)に示すように、巻線部品本体55を含浸液65に浸す。巻線部品本体55を含浸液65に浸しても、巻線部品本体55の内部であってボビン51とコア53との間の隙間Gまで含浸液65が浸透しない場合がある。
【0060】
図6(g)に示すように、組み立てが完了した巻線部品50は、ボビン51とコア53との間の隙間Gまで含浸液65が浸透していない場合もある。この場合でも、ボビン51とコア53との間にはボビン51の表面に予め形成された含浸膜66が介在するため、ボビン51とコア53とが直接接触することがなく、含浸膜66を介在することにより接触した際の騒音を低減できる。したがって、巻線部品50自体からの騒音の発生を低減できる。
【0061】
なお、ボビン51とコア53との間には0.1~0.2mm程度の隙間Gが存在することにより、コア53からボビン51に振動が伝わりにくく、巻線部品50自体からの騒音の発生を低減できる。
【0062】
また、
図7に巻線部品50の第2の製造方法を説明する。
【0063】
図7(a)に示すように、まず、コア53の一対のコア部53aを含浸液65に浸す。含浸液65は、ワニス等である。
【0064】
図7(b)に示すように、含浸液65から取り出されたコア部53aの表面には、含浸液65が固化した含浸膜66が形成される。含浸膜66は、ボビン51やコア53よりも、軟質であり、弾性も有する。
【0065】
図7(c)に示すように、ボビン51に巻線52を巻回する。なお、巻線52の端部はボビン51のリード線54に接続する。
【0066】
図7(d)に示すように、巻線52を巻回したボビン51にコア53の一対のコア部53aを組み合わせ、巻線部品本体55を組み立てる。
図7(e)に示すように、巻線部品本体55の内部には、ボビン51とコア53とを組み立てるのに必要なクリアランスを確保しているため、ボビン51とコア53との間には0.1~0.2mm程度の隙間Gが存在する。
【0067】
図7(e)(f)に示すように、巻線部品本体55を含浸液65に浸す。巻線部品本体55を含浸液65に浸しても、巻線部品本体55の内部であってボビン51とコア53との間の隙間Gまで含浸液65が浸透しない場合がある。
【0068】
図7(g)に示すように、組み立てが完了した巻線部品50は、ボビン51とコア53との間の隙間Gまで含浸液65が浸透していない場合もある。この場合でも、ボビン51とコア53との間にはコア53の表面に予め形成された含浸膜66が介在するため、ボビン51とコア53とが直接接触することがなく、含浸膜66を介在することにより接触した際の騒音を低減できる。したがって、巻線部品50自体からの騒音の発生を低減できる。
【0069】
なお、コア53は、一対のコア部53aの中央脚部53bの先端面間および側脚部53cの先端面間に含浸膜66が介在すると、磁気特性が低下する可能性があるため、含浸処理の際に中央脚部53bの先端面および側脚部53cの先端面に含浸液65が付着しないようにマスキングしたり、中央脚部53bの先端面および側脚部53cの先端面に付着した含浸液65や含浸膜66を取り除くようにしてもよい。
【0070】
また、
図8に巻線部品50の第3の製造方法を説明する。
【0071】
図8(a)に示すように、ボビン51に巻線52を巻回する。なお、巻線52の端部はボビン51のリード線54に接続する。
【0072】
図8(b)に示すように、巻線52を巻回したボビン51にコア53の一対のコア部53aを組み合わせ、巻線部品本体55を組み立てる。巻線部品本体55の内部には、ボビン51とコア53とを組み立てるのに必要なクリアランスを確保しているため、ボビン51とコア53との間には0.1~0.2mm程度の隙間Gが存在する。
【0073】
ボビン51にコア53の一対のコア部53aを組み合わせる際には、ボビン51の筒部51a内に充填剤である接着剤67を充填する。そのため、
図8(b)(c)に示すように、ボビン51にコア53の一対のコア部53aを組み合わせることにより、ボビン51の筒部51a内に挿入される一対のコア部53aの中央脚部53bの先端面で接着剤67を挟み込んで、ボビン51とコア53との間の隙間Gに接着剤67を押し広げて充填する。
【0074】
図8(c)(d)に示すように、巻線部品本体55を含浸液65に浸す。巻線部品本体55を含浸液65に浸しても、巻線部品本体55の内部であってボビン51とコア53との間まで含浸液65が浸透しない場合がある。
【0075】
図8(e)に示すように、組み立てが完了した巻線部品50は、巻線部品50の内部のボビン51とコア53との間まで含浸液65が浸透していない場合もある。この場合でも、巻線部品50の内部のボビン51とコア53との間には接着剤67が充填されているため、ボビン51とコア53とが直接接触することがなく、ボビン51とコア53とが接着により一体的に固定されていることによって騒音の発生を抑制できる。したがって、巻線部品50自体からの騒音の発生を低減できる。
【0076】
しかも、ボビン51等により接着剤67を介してコア53の磁歪効果による膨張と収縮が押えることができ、巻線部品50の振動を抑制できる。したがって、この巻線部品50を基板40に実装することにより、基板40を含む回路装置20全体が振動するのが低減され、唸り音のような騒音の発生を低減できる。
【0077】
なお、接着剤67は、コア53を押さえるために、硬化時の硬度が、含浸液65が固化した含浸膜66の硬度よりも高く、例えば硬度60以上が好ましく、硬度70~80がより好ましい。
【0078】
以上のように、本実施形態の回路装置20では、巻線部品50が弾性体60を介在して基板40に実装されるため、巻線部品50の振動を弾性体60に吸収して基板40に伝わるのを低減でき、基板40を含む回路装置20全体が振動することによる騒音の発生を低減できる。
【0079】
さらに、巻線部品50が搭載される弾性体60の搭載面61が、この搭載面61に接触される巻線部品50の接触面(コア53の下面)よりも大きい関係にあるため、弾性体60による巻線部品50の振動の吸収効果が大きく、騒音の発生をより低減できる。
【0080】
また、巻線部品50は、この巻線部品50以外の電子部品41のうちの基板40からの高さが最も高い電子部品41と同等の高さ位置に配置されるため、大形化することなく、巻線部品50と隣接する電子部品41との間で互いに熱的な影響を軽減できる。
【0081】
さらに、リード線54が弾性体60を挿通するように構成した場合には、リード線54から基板40に伝わる振動が弾性体60に吸収され、基板40を含む回路装置20全体の振動による騒音の発生がより低減される。
【0082】
また、ボビン51とコア53との間の隙間Gまで含浸液65が浸透していない場合でも、ボビン51とコア53との間に、ボビン51の単体で表面に形成された含浸膜66、またはコア53の単体で表面に形成された含浸膜66、あるいはボビン51とコア53との間に充填された接着剤67が介在するため、巻線部品50自体からの騒音の発生を低減できる。
【0083】
なお、本実施形態の回路装置は、GX53形口金を有するランプ装置に限らず、例えば電球形ランプ装置や他のランプ装置にも適用でき、あるいは、光源を備えた他の照明装置の電源ユニットにも適用でき、また、照明以外の巻線部品を用いる回路装置に適用できる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
20 回路装置
40 基板
41 電子部品
50 巻線部品
60 弾性体