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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021697
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】紙幣管理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/24 20190101AFI20220127BHJP
   G07D 11/00 20190101ALI20220127BHJP
【FI】
G07D11/24 101
G07D11/00 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125458
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 陽
(72)【発明者】
【氏名】府内 克好
【テーマコード(参考)】
3E040
3E141
【Fターム(参考)】
3E040AA02
3E040BA10
3E040CA16
3E040EA06
3E040FC05
3E040FC07
3E141AA02
3E141BA10
3E141CA16
3E141EA06
3E141FC05
3E141FC07
(57)【要約】
【課題】使い勝手および信頼性を向上できるようにした紙幣管理装置および方法を提供すること。
【解決手段】紙幣管理装置11は、自動取引装置21に装填される紙幣を管理する紙幣管理装置であって、所定枚数の束紙幣3を作成する紙幣仕分装置13から束紙幣に含まれる全ての紙幣の記番号である記番号情報を取得し、束紙幣ごとの紙幣の記番号を特定可能な第1データベース14に記憶させ、束紙幣のうち自動取引装置の紙幣カセット25へ装填される束紙幣の全ての紙幣の記番号を特定し、特定された記番号を紙幣カセット内の紙幣の記番号を管理する第2データベース15へ記憶させ、自動取引装置での取引によって紙幣カセットに入出金される紙幣の記番号を含む更新情報を自動取引装置から取得することにより、第2データベースを更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置に装填される紙幣を管理する紙幣管理装置であって、
所定枚数の束紙幣を作成する紙幣仕分装置から前記束紙幣に含まれる全ての紙幣の記番号である記番号情報を取得し、束紙幣ごとの紙幣の記番号を特定可能な第1データベースに記憶させ、
前記束紙幣のうち自動取引装置の紙幣カセットへ装填される束紙幣の全ての紙幣の記番号を特定し、前記特定された記番号を前記紙幣カセット内の紙幣の記番号を管理する第2データベースへ記憶させ、
前記自動取引装置での取引によって前記紙幣カセットに入出金される紙幣の記番号を含む更新情報を前記自動取引装置から取得することにより、前記第2データベースを更新する、
紙幣管理装置。
【請求項2】
前記紙幣仕分装置は、前記束紙幣の先頭に位置する所定の紙幣の記番号を含む束紙幣情報を束紙へ印刷して、前記束紙により前記束紙幣を束ねるものであり、
前記束紙幣の束紙が取り外されて全ての紙幣が前記紙幣カセットへ装填される際に、前記束紙幣情報を取得し、
前記取得された束紙幣情報に含まれる前記所定の紙幣の記番号と前記第1データベースとに基づいて、前記紙幣カセットへ装填される束紙幣の全ての記番号を特定して前記第2データベースへ記憶させる、
請求項1に記載の紙幣管理装置。
【請求項3】
前記更新情報と前記第2データベースの記憶内容とを比較し、前記更新情報と前記第2データベースの記憶内容とが不一致の場合に、所定の条件に基づいて前記第2データベースの記憶内容を修正する、
請求項1または2のいずれか一項に記載の紙幣管理装置。
【請求項4】
前記所定の条件とは、前記更新情報の記番号と前記第2データベースに記憶された記番号とが一致しない件数が所定値以下の場合であり、この場合は、前記紙幣カセットから複数枚の紙幣が重なって同時に取り出され、余分の紙幣がリジェクトされて回収されたと判定し、前記更新情報と前記第2データベースの記憶内容とが一致するように、前記第2データベースの記憶内容を更新させる、
請求項3に記載の紙幣管理装置。
【請求項5】
前記所定の条件とは、前記更新情報に記憶された連続する複数の記番号の順番とは逆の順番で前記第2データベースに複数の記番号が記憶されている場合であり、この場合は、前記逆の順番で前記第2データベースに記憶された複数の紙幣に対応する束紙幣が前記紙幣カセットへ天地逆に装填されたと判定し、前記更新情報と前記第2データベースの記憶内容とが一致するように、前記第2データベースの記憶内容を更新させる、
請求項3に記載の紙幣管理装置。
【請求項6】
前記自動取引装置から回収された前記紙幣カセットに残っている紙幣の記番号を前記紙幣仕分装置から取得し、前記回収された紙幣カセットに残っている紙幣の記番号と前記第2データベースの記憶内容とを比較し、その比較結果を出力する、
請求項1または2のいずれか一項に記載の紙幣管理装置。
【請求項7】
自動取引装置に装填される紙幣を計算機により管理する紙幣管理方法であって、
前記計算機は、
所定枚数の束紙幣を作成する紙幣仕分装置から前記束紙幣に含まれる全ての紙幣の記番号である記番号情報を取得し、
束紙幣ごとの紙幣の記番号を特定可能な第1データベースに記憶させ、
前記束紙幣のうち自動取引装置の紙幣カセットへ装填される束紙幣の全ての紙幣の記番号を特定し、
前記特定された記番号を前記紙幣カセット内の紙幣の記番号を管理する第2データベースへ記憶させ、
前記自動取引装置での取引によって前記紙幣カセットに入出金される紙幣の記番号を含む更新情報を前記自動取引装置から取得することにより、前記第2データベースを更新する、
紙幣管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣管理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、銀行本店や現金センター等において、その管理下にある自動機内の紙幣を管理する装置および方法に関する。
【0003】
金融機関または店舗に設置される現金自動取引装置(Automated Teller Machine:ATM)は、取引を行う利用者によって現金(紙幣)が出金されるため、ATM内部に保有する紙幣が一定量以下となった場合などの所定のタイミングで、銀行本店または銀行の現金センター等から紙幣が補充される。
【0004】
出金取引よりも入金取引の方が多い場合もある。この場合は、ATM内部の紙幣量がある一定量以上を維持していたとしても、管理の正常性を維持するため、一旦ATM内部の紙幣を回収し、新たに用意した別の紙幣をATMへ装填する。ATMから紙幣を回収して新たに紙幣を用意する場合に、紙幣に付されている個々の記番号を用いて、ATMへ装填する紙幣を厳格に管理することが可能である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-56010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1では、銀行本店または現金センターにおいて、各紙幣の記番号を読み取り、管理コードによって一括管理する。そして、特許文献1では、管理中の紙幣の搬出準備を行う際には、管理コードに基づいて紙幣の記番号を特定する。しかし、特許文献1では、繰り返して利用される紙幣カセット内の紙幣を常時正確に管理することについて言及がなく、使い勝手および信頼性の面で改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、使い勝手および信頼性を向上できるようにした紙幣管理装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明に従う紙幣管理装置は、自動取引装置に装填される紙幣を管理する紙幣管理装置であって、所定枚数の束紙幣を作成する紙幣仕分装置から束紙幣に含まれる全ての紙幣の記番号である記番号情報を取得し、束紙幣ごとの紙幣の記番号を特定可能な第1データベースに記憶させ、束紙幣のうち自動取引装置の紙幣カセットへ装填される束紙幣の全ての紙幣の記番号を特定し、特定された記番号を紙幣カセット内の紙幣の記番号を管理する第2データベースへ記憶させ、自動取引装置での取引によって紙幣カセットに入出金される紙幣の記番号を含む更新情報を自動取引装置から取得することにより、第2データベースを更新する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動取引装置に装着される紙幣カセット内の紙幣を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る紙幣管理装置を含む紙幣管理システムの全体概要図。
図2】紙幣管理システムの構成図。
図3】自動取引装置(ATM)の構成図。
図4】束巻機能付き紙幣仕分装置の構成図。
図5】記番号管理データベースの例。
図6】束紙幣を束ねる紙に2次元コードが印刷される例。
図7】2次元コードの内容の例。
図8】束紙幣を紙幣カセットへ装填する際の、記番号の記録方法を示す説明図。
図9】カセット内紙幣管理データベースの例。
図10】ATMでの取引に基づいてカセット内紙幣管理データベースを更新する例を示す説明図。
図11】カセット内紙幣管理データベースの例。
図12】ATMでの取引に基づいてカセット内紙幣管理データベースを更新する他の例を示す説明図。
図13図12に対応するカセット内紙幣管理データベースの例。
図14】カセット内紙幣管理データベースとATMからの更新情報とが不一致の場合の処理を示すフローチャート。
図15】データベースと更新情報とが不一致となる例を示す説明図。
図16】データベースと更新情報とが不一致となる他の例を示す説明図。
図17】データベースと更新情報とが不一致の場合に、データベースを修正する様子を示す説明図。
図18】紙幣カセット内の紙幣の使用状況を検出して出力する構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態に係る紙幣管理装置は、ATMから回収された紙幣カセットに紙幣を装填して再利用するリサイクル型の紙幣管理システムにおいて、紙幣仕分装置によって紙幣カセット内の全紙幣を検査しなくても、紙幣カセット内の紙幣を正確に管理する。
【0012】
例えば、紙幣管理システム1は、自動取引装置(以下、ATMとも呼ぶ)21と紙幣管理装置11と紙幣仕分装置13とを含んでおり、紙幣仕分装置13は所定枚数の束紙幣3を作成すると共に、束紙幣3の全紙幣の記番号情報を紙幣管理装置11に送信し、紙幣管理装置11は、紙幣仕分装置13から送信された紙幣の記番号情報を「第1データベース」としての記番号管理データベース14へ記憶すると共に、自動取引装置21の紙幣カセット25に装填する束紙幣3の記番号情報を「第2データベース」としてのカセット内紙幣管理データベース15へ記憶し、自動取引装置21は、取引によって入出金される紙幣の記番号情報を紙幣管理装置11へ送信し、紙幣管理装置11は、自動取引装置21から送信された、取引によって入出金される紙幣の記番号情報に基づき、カセット内紙幣管理データベース15を更新する。
【0013】
以下の説明では、紙幣カセットをカセットと、記番号管理データベースを記番号データベースと、カセット内紙幣管理データベースをカセット内紙幣データベースと、それぞれ略記する場合がある。なお、図中ではデータベースをDBと略記する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る紙幣管理装置11を含む紙幣管理システム1の全体概要を示す説明図である。図1に開示された構成は、本実施形態の一例を示している。本実施形態は、図1に示されていない構成を含むこともできる。
【0015】
紙幣管理システム1は、例えば、紙幣管理装置11と、2次元コードリーダ12と、束巻機能付き紙幣仕分装置13と、記番号管理データベース14と、カセット内紙幣管理データベース15と、ATM21とを含む。
【0016】
図2のシステム構成図に示すように、管理業務エリア10には、例えば、紙幣管理装置11と、2次元コードリーダ12と、束巻機能付き紙幣仕分装置13と、記番号管理データベース14およびカセット内紙幣管理データベース15が配置されている、取引業務エリア20には、一つまたは複数のATM21が配置されている。管理業務エリア10とは、例えば、銀行の本店または現金センタなどである。取引業務エリア20とは、例えば、銀行の支店、商業施設、駅、空港などである。
【0017】
図1に戻り、紙幣管理システム1の機能構成および処理の概要を説明する。紙幣管理装置11は、例えば、カセット内紙幣管理部111と、記番号情報取得部112と、入出金情報取得部113とを備えることができる。
【0018】
束巻機能付き紙幣仕分装置13は、例えば100枚のように所定枚数の紙幣を一つに束ねた束紙幣3を作成する(S1)。
【0019】
カセット内紙幣管理部111は、紙幣カセット25内の紙幣の枚数、種類および記番号を管理する機能を持つ。記番号情報取得部112は、束巻機能付き紙幣仕分装置13により検出された束紙幣単位の記番号を取得し(S2)、記番号管理データベース14に記憶させる(S3)。
【0020】
一方、束巻機能付き紙幣仕分装置13により作成された束紙幣3は、作業員またはロボット(不図示)により束紙が解かれて、紙幣カセット25に装填される(S4)。束紙幣3を構成する所定枚数の紙幣が紙幣カセット25へ装填される際に、その束紙幣3を束ねる束紙に印刷された2次元コード4は、2次元コードリーダにより読み取られ(S5)、カセット内紙幣管理部111へ入力される。2次元コード4の詳細な例は、図7で後述する。2次元コード4は、少なくともその束紙幣3の先頭の紙幣の記番号を含む。
【0021】
本実施例では、「束紙幣情報」の一例である2次元コード4は、例えば,束紙幣3を束ねる紙の表面に印字される。2次元コードに代えて、RFID(Radio Frequency Identification)タグを束紙幣3に貼付してもよい。その場合、2次元コードリーダ12は、RFIDタグリーダに代わる。
【0022】
カセット内紙幣管理部111は、束巻機能付き紙幣仕分装置13から取得された束紙幣単位の記番号情報と、2次元コードリーダ12から得た束紙幣3の先頭の紙幣の記番号とに基づいて、各紙幣カセット25内に装填された紙幣の記番号およびその順番を算出し、その算出結果をカセット内紙幣管理データベース15に記憶させる(S6)。
【0023】
紙幣が装填された紙幣カセット25は、作業員により取引業務エリア20の各ATM21へ搬送されて取り付けられる(S7)。各ATM21は、顧客の要求に応じて入金または出金する。「更新情報」としての入出金情報は、ATM21から入出金情報取得部113へ送られる。
【0024】
入出金情報取得部113は、各ATM21から紙幣カセット25の紙幣の入出金情報を取得し、カセット内紙幣管理部111へ通知する(S8)。
【0025】
カセット内紙幣管理部111は、入出金情報取得部113がATM21から取得した入出金情報と記番号管理データベース14とに基づいて、カセット内紙幣管理データベース15を更新する(S9)。
【0026】
カセット内紙幣管理部111は、入出金情報とカセット内紙幣管理データベース15の記憶内容とを比較し、両者が不一致の場合に、所定の条件に基づいてカセット内紙幣管理データベース15の記憶内容を修正することもできる。
【0027】
カセット内紙幣管理部111は、例えば、入出金情報内の記番号とカセット内紙幣管理データベース15に記憶された記番号とが一致しない件数が所定値以下の場合に、紙幣カセット25から複数枚の紙幣が重なって同時に取り出され、余分の紙幣がリジェクトされて回収されたと判定し、入出金情報とカセット内紙幣管理データベース15の記憶内容とが一致するように、カセット内紙幣管理データベース15の記憶内容を更新する。
【0028】
カセット内紙幣管理部111は、例えば、入出金情報に記憶された連続する複数の記番号の順番とは逆の順番でカセット内紙幣管理データベース15に複数の記番号が記憶されている場合に、逆の順番でカセット内紙幣管理データベース15に記憶された複数の紙幣に対応する束紙幣が紙幣カセット25へ天地逆に装填されたと判定し、入出金情報とカセット内紙幣管理データベース15の記憶内容とが一致するように、カセット内紙幣管理データベース15の記憶内容を更新する。
【0029】
なお、紙幣管理装置11は、ATM21から回収された紙幣カセット25に残っている紙幣の記番号を束巻機能付き紙幣仕分装置13から取得し、回収された紙幣カセット25に残っている紙幣の記番号とカセット内紙幣管理データベース15の記憶内容とを比較し、その比較結果を出力することもできる。
【0030】
このように構成される本実施形態によれば、各銀行支店のATM内の紙幣を銀行本店(または現金センタなど)にて準備し、所定期間後に紙幣カセットを回収するところまで一貫して個々のATM内の紙幣(カセット内の紙幣)をリアルタイムかつ厳格に管理することができる。これにより、本実施例によれば、紙幣の過不足をリアルタイムに把握することができるため、紙幣の補充および回収を含む現金管理を正確かつ効率的に行うことができる。
【実施例0031】
図2図18を用いて第1実施例を説明する。図2は、紙幣管理システム1の全体構成図である。取引業務エリア20である銀行支店には、複数のATM(1号機~n号機)が設置されている。管理業務エリア10である銀行本店(もしくは現金センタ。以下本店等と呼ぶ)は、各銀行支店に対し必要に応じて現金(紙幣や硬貨)を提供し、また、不要になった現金や入れ替え用の現金の回収も行う。本店等は、2次元コードリーダ12を有する紙幣管理装置11と、紙幣を仕分するための束巻機能付き紙幣仕分装置13と、記番号管理データベース1514と、カセット内紙幣管理データベース15とを備える。
【0032】
紙幣管理装置11は、2次元コードリーダ12を備えている。紙幣管理装置11は、束巻機能付き紙幣仕分装置13と記番号管理データベース15とカセット内紙幣管理データベース15とに通信回線によって接続されており、必要な情報を送受信する。紙幣管理装置11は、支配下にある銀行支店のATM21とも通信回線CNによって接続されており、必要な情報を送受信する。
【0033】
束巻機能付き紙幣仕分装置13は、紙幣管理装置11と記番号管理データベース15と通信回線によって接続され、必要な情報を送受信する。
【0034】
ATM21は、例えば、顧客が取引操作を行うタッチパネル、通帳およびカードの挿入排出口、紙幣および硬貨の入出金口などを有する。ATM21の内部には、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理部22と、硬貨の入出金処理を行う硬貨処理部23と、、通帳・カード処理部(不図示)と、各部の動作を制御すると共に外部との通信を行う制御部24などを有している。
【0035】
図3は、ATM21の紙幣処理部22の内部構成を示す概略図である。紙幣入出金口26は、ATM21の装置本体の入出金口(不図示)と連通しており、顧客が紙幣を入金したり出金紙幣を取り出す口であり、シャッタ等で開閉する。
【0036】
紙幣鑑別部27は、紙幣の金種判別およぼ真偽判別等を行う。一時保管部28は、例えば、入金された紙幣の金額を確認するために、入金紙幣を一時的に保管する。一時保管部28は、一時保管庫28と呼ぶこともできる。紙幣カセット25(#1)~25(#3)は、金種別に紙幣を収納し、紙幣の収納及び操出が可能なリサイクル庫である。紙幣カセット25は、取り外して持ち運びが可能である。紙幣カセット25の一つ(例えば、図3の向かって左端)は、収容専用のリジェクトカセット25Rとして使用してもよい。リジェクトカセット25Rには、入金された紙幣のうち出金には不適と鑑別された、破損した紙幣等が収納される。
【0037】
制御部29は、紙幣処理部22の動作を制御すると共に、ATM21の装置本体の制御部24と連携して本店等に設置された紙幣管理装置11と通信する機能を有する。例えば、制御部29は、入金取引や出金取引において、各紙幣カセット25に出し入れされる紙幣毎にその記番号情報等を検出し、紙幣管理装置11へ通知することができる。
【0038】
図4は、束巻機能付きの紙幣仕分装置13の概略構成図である。束巻機能付き紙幣仕分装置13は、例えば、入金部131と、鑑別部132と、複数の分離口133と、返却部134と、印字機能つき束巻部135と、給紙カセット取付部136とを備える。
【0039】
束巻機能付き紙幣仕分装置13は、入金部131にセットされた紙幣を、鑑別部132の鑑別結果と所定のルールとに基づいて分類し、各分離口133へ収納する。分離口133は、開口構造となっており、係員が外部より紙幣を取り出すことができる。鑑別部132により分類対象外と鑑別された紙幣は、返却口134から係員へ返却される。
【0040】
印字機能つき束巻部135は、入金部131にセットされた紙幣を所定枚数(例えば100枚)毎に束紙にて束巻し、開口部へ排出する。後述するように束紙に所定の情報(束紙幣情報)を印刷することができる。
【0041】
紙幣カセット取付部136には、ATM21の紙幣カセット25が取り付けられる。入金部131から入金させる代わりに、給紙カセット取付部136に取り付けられた紙幣カセット25から紙幣を繰り出して入金させることが可能である。
【0042】
ATM21の紙幣カセット25へ収納するための紙幣を準備するため、束巻機能付き紙幣仕分装置13は、所定枚数として100枚単位の束紙幣3を作る。束紙幣3を作成する際に、100枚の紙幣のそれぞれの記番号が読み取られ、記番号管理データベース14へ図5に示すようなフォーマットで記録される。すなわち、記番号管理データベース14は、所定枚数の紙幣を有する束紙幣ごとに記番号を管理する。
【0043】
束紙幣をまとめる束紙には、図6のような2次元コード4が印字される。2次元コード4には、図7に示すように、例えば、束紙幣の作成年月日と時刻の情報、紙幣の質を示す情報、金種コード、枚数、束紙幣を作成した係員の識別コード(ID)、束紙幣の最初の紙幣(先頭の紙幣)の記番号が含まれる。
【0044】
したがって、2次元コード4から先頭紙幣の記番号を取得し、記番号管理データベース14を参照することにより、その2次元コード4が印刷された束紙幣3に含まれる全ての紙幣の記番号を特定することができる。
【0045】
以上のようにして作成された、全紙幣の記番号情報等が管理された100枚単位の束紙幣3を使って、ATMの紙幣カセット25へ紙幣が装填される。本店等の係員は、各銀行支店の各ATM21内の紙幣カセット25毎に、必要な枚数の紙幣を装填する。例えば、Y支店のATM1号機の紙幣カセット25#1に1万円札を300枚装填する場合、空の紙幣カセット25に1万円の束紙幣を3束用意し、束紙を外した紙幣を、順次、紙幣カセット25へ装填していく。
【0046】
図8は、紙幣カセット25へ紙幣を装填する様子を示す。図8では、記番号A0000~A0099の合計100枚の紙幣からなる束紙幣3Aと、記番号B0000~B0099の合計100枚の紙幣からなる束紙幣3Bと、記番号C0000~C0099の合計100枚の紙幣からなる束紙幣3CとをATM21の紙幣カセット25に、束紙幣3A,3B,3Cの順に装填する場合を示している。
【0047】
紙幣をカセット25へ装填する際に、それぞれの束紙に記録された2次元コード4を2次元コードリーダ12で読み取ることにより、紙幣管理装置11は、その束紙幣を構成する全紙幣の記番号を認識することができる。そして、紙幣管理装置11は、認識された紙幣カセット25内の紙幣の記番号をカセット内紙幣管理データベース15へ登録する。
【0048】
すなわち係員は、紙幣管理装置11の2次元コードリーダ12を用いて、それぞれの束紙に記録された2次元コード4を読み取る。紙幣管理装置11は、読み取った2次元コードから、その束紙幣3の先頭の紙幣の記番号を認識し、記番号管理データベース14で同一の記番号を検索する。これにより、紙幣管理装置11は、先頭紙幣に続く残り99枚分の記番号を認識し、その束紙幣の100枚分の記番号を特定することができる。特定された記番号は、カセット内紙幣管理データベース15へ登録される。
【0049】
図9は、上述の手順で、カセット内紙幣管理データベース15へ記番号が登録された状態を示す。ここの例では、Y支店のATM1号機の持つ紙幣カセットのうちカセット1号に300万円が装填されたことが示されている。
【0050】
以下、同様にして、他の紙幣カセット25への紙幣装填、他のATM21の紙幣カセット25への紙幣装填、他の支店のATMの持つ紙幣カセット25への紙幣装填についても、装填される全ての紙幣の記番号がカセット内紙幣管理データベース15に事前に登録される。
【0051】
このようにして、本実施例の紙幣管理装置11は、全支店の全ATM内の全ての紙幣カセット25内の紙幣について、記番号情報を管理することができる。これに代えて、紙幣管理装置11は、管理対象とする特定支店の特定ATMについてのみ、このようなカセット単位で紙幣を管理してもよい。
【0052】
なお、束紙幣3をカセット25へ装填する際に、その上面と下面を逆に装填すると、カセット25内の記番号の並び順とカセット内紙幣管理データベース15へ登録された記番号の並び順とが逆になる。しかし、本実施例の紙幣管理装置11は、束紙幣3の紙幣が天地逆で装填されてしまった場合に、その異常をATM21の取引中に検出することができ、カセット内紙幣管理データベース15を更新する際に、データベース15に記憶された記番号の並び方を修正することができる。その詳細は後述する。
【0053】
次に、上述のようにしてカセット25への紙幣装填時に、各紙幣カセット25内の紙幣の詳細情報が登録されたカセット内紙幣管理データベース15をリアルタイム更新する方法を説明する。
【0054】
ここでは、Y支店のATM1号機にて1万円札3枚(3万円)の入金取引が行われた場合を例に説明する。このとき、図9で説明した紙幣カセット25(#1)に入金紙幣が収納されるものとする。
【0055】
入金取引を行う顧客は、図3に示すATM21にて、操作画面のガイダンスに従ってカード挿入、個人認証、取引選択等の操作をした後、紙幣入出金口26へ紙幣(ここでは1万円札3枚)を入金する。
【0056】
ATM21は、これら紙幣を入出金口26から繰り出し、紙幣鑑別部27にて紙幣の真偽、金種、記番号を識別し、一時保管部28へ収納する。紙幣鑑別部27は、1枚目の紙幣を「真券/万円/記番号M0000」と、2枚目の紙幣を「真券/万円/記番号M0001」と、3枚目の紙幣を「真券/万円/記番号M0002」と、それぞれ識別し、識別された3枚の紙幣を一時保管部28に収容させる。
【0057】
ATM21は、顧客操作画面へ「入金額:3万円?」を表示させる。顧客は、入金した金額とATM21の認識した金額とが一致することを確認すると、顧客操作画面にて「はい(OK)」を入力する。これにより、ATM21は、一時保管部28に収容された3枚の紙幣を紙幣カセット25(#1)へ収納する。
【0058】
通常の一時保管部28は、最後に収納された紙幣から先に繰り出すため、3枚目の紙幣(記番号M0002)→2枚目の紙幣(記番号M0001)→1枚目の紙幣(記番号M0000)の順に繰り出され、この順序で上から紙幣カセット25(#1)へ収納されていく。この様子を図10に示す。
【0059】
ATM21(ここでは1号機)の制御部22は、上記取引によって紙幣カセット25(#1)内の紙幣収納状態が変化したことを認識し、本店等の紙幣管理装置11へその情報を送信する。すなわち、ATM21における顧客の入金取引によって、紙幣カセット25(#1)には、記番号が「M0002」、「M0001」、「M0000」の3枚の1万円札が追加されたことを示す更新情報を紙幣管理装置11へ送信する。
【0060】
図11に示すように、紙幣管理装置11は、ATM21から更新情報を受信すると、カセット内紙幣管理データベース15の記憶内容を更新する。図10のカセット内紙幣管理データベース15では、紙幣枚数が「300枚」から「303枚」に更新され、記番号情報として「M0002」、「M0001」、「M0000」が追記されている。
【0061】
なお、本実施例では、本店等に置かれた紙幣管理装置11は、各ATM21の紙幣カセット25に収容された紙幣の枚数および記番号を遠隔からリアルタイムで管理しているが、これに限らず、各ATM21内においても各紙幣カセット25に収容された紙幣の枚数および記番号をリアルタイムで管理してもよい。紙幣管理装置11は、管理対象のATM21の有する全ての紙幣カセット25について管理してもよいし、一部の紙幣カセットについてのみ管理してもよい。
【0062】
次に、出金取引における、カセット内紙幣管理データベース15をリアルタイムに更新する方法を説明する。Y支店のATM1号機にて3万円の出金取引が行われた場合を例に説明する。このとき、図9で説明した紙幣カセット25(#1)から3枚の1万円札が繰り出されて出金されるものとする。
【0063】
出金取引を行う顧客は、図3に示すATM21にて、操作画面のガイダンスに従ってカード挿入、個人認証、出金金額入力等の操作を行う。これによりATM21は、紙幣カセット25(#1)に収納された1万円紙幣を上部から3枚繰り出し、紙幣鑑別部27にて顧客に渡してよい1万円札(破れ等の傷みがなく、正しい1万円の真券)であることを確認しながら紙幣入出金口26へ搬送する。この様子を図12に示す。
【0064】
出金前において、紙幣カセット25(#1)の上側にある3枚の1万円札(記番号が上から「C0000」、「C0001」、「C0002」の3枚)が繰り出される。出金後には、記番号「C0003」の1万円札が一番上にきて、合計枚数は297枚となる。鑑別部27は、紙幣カセット25(#1)から繰り出された紙幣の記番号を認識し、ATM21の制御部は紙幣カセット25(#1)から繰り出された1万円紙幣の枚数(3枚)とその記番号情報(C0000、C0001、C0002)とを、本店等の紙幣管理装置11へ更新情報として送信する。
【0065】
ATM1号機の紙幣カセット25(#1)の更新情報を受信した紙幣管理装置11は、カセット内紙幣管理データベース15へアクセスし、出金取引にて繰り出されたはずである3枚の紙幣の記番号が、「C0000」、「C0001」、「C0002」であるべきと認識する。そして、紙幣管理装置11は、受信した更新情報に含まれる出金紙幣の記番号(C0000、C0001、C0002)とカセット内紙幣管理データベース15から特定される記番号とを比較し、両方の記番号が一致することを確認する。紙幣管理装置11は、カセット内紙幣管理データベース15にて正しく管理された状態で、ATM21において正常に出金取引が行われたと判断し、カセット内紙幣管理データベース15を更新する。
【0066】
すなわち、紙幣管理装置11は、カセット内紙幣管理データベース15に記録されている3枚の紙幣の記番号情報の消し込み(C0000、C0001、C0002の削除)と紙幣枚数の更新(300枚→297枚)とを行う。図13は、このようにして更新された後のカセット内紙幣管理データベース15の記録内容を示す。
【0067】
次に、上述した、カセット内紙幣管理データベース15と更新情報との記番号の一致確認において、不一致であった場合の処理について説明する。
【0068】
紙幣管理装置11は、カセット内紙幣管理データベース15の記番号と更新情報の記番号との不一致を確認した場合に、顧客によるATM利用の少ない時間帯等、所定のタイミングで、ATM21に対してカセット内紙幣の精査を指示する。
【0069】
紙幣管理装置11から精査の指示を受けたATM21は、精査対象のカセット25内の紙幣を全て繰り出し、紙幣鑑別部27にて記番号を読取ながら空いている紙幣カセット25等に一旦収納させる。紙幣管理装置11は、全ての紙幣について鑑別すると、元の紙幣カセット25へ紙幣を戻す。ATM21は、全紙幣の記番号情報等を一時記憶しておき、紙幣管理装置11へ訂正情報として全紙幣の記番号情報を送信する。ATM21から訂正情報を受信した紙幣管理装置11は、カセット内紙幣管理データベース15を訂正(全て書き換え)することができる。
【0070】
カセット内紙幣管理データベース15を全て書き換える精査は正確ではあるが、その処理に時間がかかり、全紙幣の記番号情報をATM21から紙幣管理装置11へ送信する際の通信量も増大する。
【0071】
ところで一方、記番号の不一致の程度やその内容によっては、以下に述べるように、上述の精査を行わずともカセット内紙幣管理データベース15の内容を正しい内容に訂正可能である。例えば、(1)軽微な不一致の場合や、(2)紙幣カセット25へ束紙幣3を装填する際の天地逆装填と思われる場合である。
【0072】
図14は、カセット内紙幣管理データベース15に記憶された記番号と更新情報に含まれる記番号とが不一致の場合の処理を示すフローチャートである。
【0073】
上述の通り、紙幣管理装置11は、ATM21から更新情報を取得すると(S20)、カセット内紙幣管理データベース15の記憶内容と比較する(S21)。紙幣管理装置11は、更新情報とカセット内紙幣管理データベース15との内容が一致する場合(S22:NO)、ステップS20へ戻る。これに対し、紙幣管理装置11は、更新情報とカセット内紙幣管理データベース15との内容が一致する場合(S22:YES)、不一致の程度を判定する(S23)。
【0074】
不一致の程度が大きい場合、すなわち、記番号の一致しない紙幣の枚数が所定値以上である場合(S23:不一致 大)、紙幣管理装置11は精査が必要であると判断し(S24)、上述の精査処理を実施する(S27)。
【0075】
不一致の程度が小さい第1の場合、すなわち記番号の一致しない紙幣の枚数が所定枚数未満である場合(S23:不一致 小1)、紙幣管理装置11は、軽微な不一致であると判定し(S25)、カセット内紙幣管理データベース15を修正する(S28)。
【0076】
軽微な不一致とは、記番号の不一致が数枚程度であり、他の記番号については一致している場合である。この場合、紙幣管理装置11は、過去のデータベース15の更新漏れと推測し、その不一致の記番号は無視することによってデータベース15を更新することができる。
【0077】
図15は、軽微な不一致の例を示す。この例では、出金取引にて5枚の紙幣が出金されたが、リジェクト紙幣があって、出金された5枚の紙幣の記番号が「N0000」、「N0001」、「N0002」、「N0005」、「N0006」であったとする。そのとき、カセット内紙幣管理データベース15に記録されている記番号は、図15の左側に示す内容である。
【0078】
この例では、データベース15の上から4枚目相当の紙幣の「N0003」の記番号と5枚目相当の紙幣の記番号「N0004」とが不一致となる。しかし、それ以降の紙幣の記番号「N0005」と「N0006」とについては、データベース15の内容と実際に出金された紙幣の記番号とは一致している。
【0079】
このような場合、データベース15に記憶された記番号「N0003」および「N0004」の2枚の紙幣については、その2枚が重なってカセット25から繰り出され、リジェクトカセット25Rへ収容されたと考えられる。そこで、紙幣管理装置11は、2枚重なってカセット25から繰り出されたために回収された2枚の紙幣の記番号「N0003」および「N0004」を無視し、データベース15に記録された記番号「N0000」、「N0001」、「N0002」、「N0003」、「N0004」、「N0005」および「N0006」の消込を行う。更新後のデータベース15は、「N0007」、「N0008」、・・・、となる。
【0080】
不一致の程度が小さい第2の場合(S23:不一致 小2)、すなわち、束紙幣3の紙幣が給紙カセット25へいわゆる天地逆に装填された場合、紙幣管理装置11は、天地逆の紙幣装填であると判定し(S26)、カセット内紙幣管理データベース15の記憶内容を修正する(S29)。
【0081】
図8において説明した、束紙幣3をカセット25へ装填する際に、例えば、束紙幣3Cの天地を逆にして装填してしまうと、紙幣の並びが図7に示す並びとは天地が逆になり、図16に示すようになる。これによって、紙幣カセット25内の実際の紙幣の記番号の並び順と、図8に示すカセット内紙幣管理データベース15の内容とで相違が生じる。
【0082】
天地逆に紙幣がカセット25へ装填された状態で、例えば紙幣カセット25から4枚の紙幣が出金されたとすると、それら出金された紙幣の記番号は「C0099」、「C0098」、「C0097」、「C0096」と識別される。カセット内紙幣管理データベース15には、図9に示すように、上から「C0000」、「C0001」、「C0002」、「C0003」の順で登録されているため、不一致と判定される。
【0083】
紙幣管理装置11は、カセット内紙幣管理データベース15をスキャンすることにより、同一の記番号が逆の並び順で登録されている領域を検出する。これによって、紙幣管理装置11は、束紙幣3Cを紙幣カセット25へ装填する際に天地逆に装填されたと推測し、データベース15における束紙幣3Cに相当する領域の記録内容を天地逆に書き換える(図17)。
【0084】
上記のようにして、紙幣管理装置11は、紙幣カセット25内の紙幣の実際の収納状態とデータベース15に記憶された内容(登録内容)とを一致させることができる。本実施例では、この後、繰り出された紙幣の記番号(C0099、C0098、C0097、C0096)の消込を行うが、上述したデータベース15における天地逆への書き換えと消込とを同時に実施してもよい。
【0085】
上述のように、本実施例によれば、紙幣カセット25内の紙幣を厳格に管理することができるため、以下のように、紙幣カセット25の効率的な運用が可能となる。
【0086】
(1)紙幣カセット25内の紙幣の計数に要する時間の削減
【0087】
紙幣管理装置11は、「紙幣カセット25内には、どの紙幣がどの順序で、何枚入っているか」という情報を記番号の情報とともに管理している。そのような状況下で、例えば、2000枚の紙幣が入ったカセット25があるのに、そのカセット25を計数して、2000枚が入ったカセット25を新たに作成するのは、無駄な作業である。そこで、本実施例の紙幣管理装置11は、ATM21へ供給される新たなカセットの作成に要する作業時間を軽減する。
【0088】
本実施例の紙幣管理装置11は、ATM21から回収されたカセット25内の紙幣の情報を用いることにより、ATM21へ新たに配送するカセット25が必要とする枚数の紙幣を、回収したカセット25から最小限だけ繰り出すだけで、作ることができる。
【0089】
例えば、2000枚の所定金種の紙幣が入ったカセット25を作る場合、回収されたカセット25内に2035枚の所定金種の紙幣が入っているのであれば、その回収されたカセット25から35枚だけ繰り出して取り除くことにより、2000枚の紙幣が装填されたカセット25を作ることができる。
【0090】
すなわち、図4に示す束巻機能付き紙幣仕分装置13の紙幣カセット取付部136に、紙幣が2035枚収納された紙幣カセット25を接続し、そのカセット25から35枚の紙幣を繰り出すようにすれば、2000枚の紙幣が収納された紙幣カセット25を速やかに用意することができる。
【0091】
(2)ATMから回収するカセット数の低減
【0092】
ATM21の有する紙幣カセット25は、装填して回収するリサイクル用のカセットも含めると、合計4,5つあるため、すべてのカセット25を入れ替えるのは紙幣配送業者(Cash In Transit : CIT)にとって負担である。
【0093】
一方で、或るATM21には、20米ドル札を2000枚、10元札を1000枚、1米ドル札を1000枚、5米ドル札を1000枚,装填する、といった運用が定められている。したがって、CITは、その指示された運用に従ったカセット25をATM21にセットする必要がある。
【0094】
本実施例の紙幣管理装置11は、ATM21の各カセット25内にどんな金種の紙幣が何枚入っているかという情報(カセット内紙幣情報と呼ぶこともできる)をリアルタイムで把握することができる。したがって、本実施例によれば、ATM21において、所定の枚数が各カセット25内に残るように余剰紙幣をリジェクトカセット25Rへ集めることにより、CITが現場から持ち帰るカセットの個数を減らすこともできる。
【0095】
例えば、10元札が1000枚装填されている紙幣カセット25が必要な場合に、CITが回収しようとしているATM21の10元札の紙幣カセット25に収納された紙幣枚数が1020枚であるとする。この場合、CITがそのカセット25を回収する直前に、ATM21の保守操作等によって、20枚の10元紙幣をリジェクトカセット25Rへ移送すれば、10元が1000枚装填されている紙幣カセット25をその場で作ることができる。したがって、CITは、10元札を1000枚収容するカセット25をATM21から回収する必要がない。
【0096】
(3)カセットに装填する紙幣枚数の分析
【0097】
本実施例によれば、ATM21で運用されたカセット25を本店等に回収して計数する際に、カセット25の番号を入力することにより、ATM21への装着時にカセット25に当初装填されていた紙幣の記番号と、ATM21から回収されたカセット25に残っている紙幣の記番号とを比較することができる。
【0098】
図18の上側に示すように、それらを比較することで、どこまでがもともとあった紙幣で、どこからが顧客の入金した紙幣なのかがわかる(S40)。この情報を集めることによって、例えば、図18下側に示すように、過去1か月でどの程度の紙幣の入金と出金があったかの統計を取ることができ、カセット25に装填すべき最適な紙幣枚数を分析し、その結果を紙幣管理装置11のユーザに提示することができる(S41)。
【0099】
例えば、図18の例では、2番目のカセット25の10米ドル紙幣はもう少し多く装填した方がよいが、4番目のカセット25の50米ドル紙幣は、1000枚程度入れておけば十分である、などの見積もりが可能となる。
【0100】
このように構成される本実施例によれば、各銀行支店のATM内の紙幣を本店等にて準備し、所定期間後に紙幣カセットを回収するところまで一貫して個々のATMのカセット内の紙幣をリアルタイムかつ厳格に管理できる。これにより、本実施例によれば、紙幣の過不足をリアルタイムに把握することができ、紙幣の補充および回収を含む現金管理を正確かつ効率的に行うことができ、紙幣管理装置11を使用するユーザにとっての利便性が向上する。
【0101】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。実施形態に述べた特徴は適宜組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0102】
1:紙幣管理システム、3:束紙幣、4:2次元コード、10:管理業務エリア、11:紙幣管理装置、12:2次元コードリーダ、13:束巻機能付き紙幣仕分装置、14:記番号管理データベース、15:カセット内紙幣管理データベース、20:取引業務エリア、21:ATM、111:カセット内紙幣管理部、112:記番号情報取得部、113:入出金情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18