(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021706
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220127BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125469
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】520125357
【氏名又は名称】株式会社アイケー
(74)【代理人】
【識別番号】100124718
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 建
(74)【代理人】
【識別番号】100136216
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 恵美
(72)【発明者】
【氏名】川田 芳光
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぎながら、日常生活やスポーツ・散歩等を行うときでも呼吸がしやすく、着用時の息苦しさを減少させ、真夏に使用してもマスク内に熱がこもるのを抑制することのできるマスクを提供する。
【解決手段】マスク1は、着用者の鼻と口を覆うマスク本体部と一対の耳掛け部10を備えるマスクにおいて、前記マスク本体部は外側マスク部20と内側マスク部30とを備え、前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の外周縁の一部のみで接合80されて前記マスク本体部を形成し、接合されていない前記外側マスク部を外方向又は内方向に向けてめくることができることを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の鼻と口を覆うマスク本体部と一対の耳掛け部を備えるマスクにおいて、
前記マスク本体部は外側マスク部と内側マスク部とを備え、
前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の外周縁の一部のみで接合されて前記マスク本体部を形成し、
接合されていない前記外側マスク部を外方向又は内方向に向けてめくることができるマスク。
【請求項2】
着用者の鼻と口を覆うマスク本体部と一対の耳掛け部を備えるマスクにおいて、
前記マスク本体部は上縁部、側縁部、下縁部を有する外側マスク部と上縁部、側縁部、下縁部を有する内側マスク部とを備え、
前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の上縁部で接合されて前記マスク本体部を形成し、
前記外側マスク部と前記内側マスク部の下縁部は接合されていないことを特徴とするマスク。
【請求項3】
着用者の鼻と口を覆うマスク本体部と一対の耳掛け部を備えるマスクにおいて、
前記マスク本体部は上縁部、側縁部、下縁部を有する外側マスク部と上縁部、側縁部、下縁部を有する内側マスク部とを備え、
前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の下縁部で接合されて前記マスク本体部を形成し、
前記外側マスク部と前記内側マスク部の上縁部は接合されていないことを特徴とするマスク。
【請求項4】
前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部が前記内側マスク部と接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項5】
前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部の一端が前記外側マスク部に接続され、該耳掛け部の他端が前記内側マスク部に接続されていること特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部の一端が前記外側マスク部から連続して形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部の他端が前記内側マスク部から連続して形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載のマスク。
【請求項8】
前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の側縁部で接合されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のマスク。
【請求項9】
前記側縁部での接合は、該側縁部の一部で接合されていることを特徴とする請求項8に記載のマスク。
【請求項10】
前記マスク本体部の上縁部に略菱形又は略三角形の鼻覆い部を備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項11】
前記外側マスク部は、上縁部、側縁部、下縁部を有する左右一対の外側マスクシートが一端の側縁部で接合されて、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成してることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項12】
前記内側マスク部は、上縁部、側縁部、下縁部を有する左右一対の内側マスクシートが一端の側縁部で接合されて、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成してることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸がしやすく、日常生活やスポーツをするときの息苦しさを減少することができるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、花粉、粉塵、細菌、ウイルス等の吸入を防いだり、風邪を予防するため、あるいはせきやくしゃみの飛沫感染を防ぐためにマスクが使用されており、これらに用いられるマスクとして各種のマスクが提案されている。
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行拡大しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から感染を防ぐために、あるいは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を他人に移さないために、マスクの着用が推奨されることもあって、通勤・通学・買い物などの外出時にとどまらず、他人と接近する環境下においては日常生活のあらゆる場面でマスクを着用することが一般的になっている。
【0003】
散歩やスポーツを行うときにおいてもマスクが着用されているが、従来のマスクで散歩やスポーツを行うと、呼吸によってマスク内に熱がこもるため息苦しさを感じることが多くなる。また、夏の炎天下においては、従来のマスクでは熱中症のリスクが高くなり好ましくない。
【0004】
スポーツ等をするときに、呼吸の妨げになり難い通気性マスクとして特許文献1が提案されている。特許文献1においては、可撓性素材と、前記可撓性素材のうち、少なくともマスク着用時に鼻と口に対応する位置に該当する範囲の部位に設けられた開口部と、前記開口部を覆う網目素材により構成されるマスク本体と、前記マスク本体の端部に接続されたマスク固定部と、を有する通気性マスクが開示されている。特許文献1は通気性を向上させ、スポーツ等の激しい呼吸が想定される場合であっても、その呼吸の妨げになるおそれを少なくすることができるマスクである。
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のマスクにおいては、スポーツ等をする際に虫などから鼻や口を保護することができることを目的としているため、花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぐのは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぎながら、日常生活やスポーツ等を行うときでも呼吸がしやすく、着用時の息苦しさを減少させ、真夏に使用してもマスク内に熱がこもるのを抑制することのできるマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマスクは、着用者の鼻と口を覆うマスク本体部と一対の耳掛け部を備えるマスクにおいて、
前記マスク本体部は外側マスク部と内側マスク部とを備え、
前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の外周縁の一部のみで接合されて前記マスク本体部を形成し、
接合されていない前記外側マスク部を外方向又は内方向に向けてめくることができることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るマスクは、着用者の鼻と口を覆うマスク本体部と一対の耳掛け部を備えるマスクにおいて、
前記マスク本体部は上縁部、側縁部、下縁部を有する外側マスク部と上縁部、側縁部、下縁部を有する内側マスク部とを備え、
前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の上縁部で接合されて前記マスク本体部を形成し、
前記外側マスク部と前記内側マスク部の下縁部は接合されていないことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るマスクにおいは、
着用者の鼻と口を覆うマスク本体部と一対の耳掛け部を備えるマスクにおいて、
前記マスク本体部は上縁部、側縁部、下縁部を有する外側マスク部と上縁部、側縁部、下縁部を有する内側マスク部とを備え、
前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の下縁部で接合されて前記マスク本体部を形成し、
前記外側マスク部と前記内側マスク部の上縁部は接合されていないことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るマスクにおいて、前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部が前記内側マスク部と接続されているのが好ましい。
【0012】
本発明に係るマスクにおいて、前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部の一端が前記外側マスク部に接続され、該耳掛け部の他端が前記内側マスク部に接続されているのが好ましい。
【0013】
本発明に係るマスクにおいて、前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部の一端が前記外側マスク部から連続して形成されたものであってもよい。
【0014】
本発明に係るマスクにおいて、前記一対の耳掛け部は、該耳掛け部の他端が前記内側マスク部から連続して形成されたものであってもよい。
【0015】
本発明に係るマスクにおいて、前記外側マスク部と前記内側マスク部は、該外側マスク部と該内側マスク部の側縁部で接合されているのが好ましい。
【0016】
本発明に係るマスクは、前記側縁部での接合は、該側縁部の一部で接合されているのが好ましい。
【0017】
本発明に係るマスクは、前記マスク本体部の上縁部に略菱形又は略三角形の鼻覆い部を備えることができる。
【0018】
本発明に係るマスクは、前記外側マスク部は、上縁部、側縁部、下縁部を有する左右一対の外側マスクシートが一端の側縁部で接合されて、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成していてもよい。
【0019】
本発明に係るマスクは、前記内側マスク部は、上縁部、側縁部、下縁部を有する左右一対の内側マスクシートが一端の側縁部で接合されて、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るマスクは、マスク本体部を構成する外側マスク部と内側マスク部の外周縁の一部で接合する形態とすることにより、呼吸がしにくいときなどは外側マスク部を手で掴んでめくることができる。外側マスク部をめくってマスク本体部の一部を内側マスク部のみとすることで、マスク内に熱がこもるのを抑制することができるとともに、呼吸がしやすくなる。
【0021】
また、本発明に係るマスクは、デスクワーク中や風邪やインフルエンザが流行っている時期などは花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぐことを優先させて外側マスク部と内側マスク部の二層構造で使用し、スポーツを行う場合や気温の高い季節の外出時などは息苦しさを防止するため、若しくは熱中症を予防するために、内側マスク部と接合されていない外側マスク部を外方向又は内方向に向けてめくることで部分的に一層構造のマスクとすることができるため、1枚のマスクを活動内容や季節に応じて使い分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)本発明に係るマスクの背面図、(b)本発明に係る他の形態のマスクの背面図。
【
図3】(a)本発明に係る一対の外側マスクシートの正面図、(b)本発明に係る外側マスク部の正面図。
【
図4】(a)本発明に係る一対の内側マスクシートの正面図、(b)本発明に係る内側マスク部の正面図。
【
図5】(a)本発明に係るマスクを外方向に折り返した状態を示す断面図、(b)本発明に係るマスクを内方向に折り返した状態を示す断面図。
【
図6】(a)本発明に係る上縁部を接合したマスクを着用した状態を示す斜視図、(b)本発明に係る下縁部を接合したマスクを着用した状態を示す斜視図。
【
図7】(a)本発明に係る略菱形の鼻覆い部を備えたマスクの背面図、(b)本発明に係る略三角形の鼻覆い部を備えたマスクの背面図、(c)本発明に係る鼻覆い部を備えたマスクを着用した状態を示す斜視図。
【
図8】(a)本発明に係る一の実施例に係るマスクの背面図、(b)本発明に係る他の実施例に係るマスクの背面図。
【
図9】(a)本発明に係る一の実施例に係るマスクの側縁部を接合した状態を示す背面図、(b)本発明に係る他の実施例に係るマスクの側縁部を接合した状態を示す背面図。
【
図10】本発明に係る一対の耳掛け部を内側マスク部に接続したマスクの背面図。
【
図11】本発明に係る一対の耳掛け部の一端を外側マスク部、他端を内側マスク部に接続したマスクの背面図。
【
図12】(a)本発明に係る上縁部を接合したマスクの背面図、(b)本発明に係る下縁部を接合したマスクの背面図。
【
図13】(a)上縁部を接合した本発明に係るマスクにおいて、耳掛け部の一端を外側マスク部と連続して形成した状態を示す背面図、(b)下縁部を接合した本発明に係るマスクにおいて、耳掛け部の一端を外側マスク部と連続して形成した状態を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明に係るマスクの実施形態及び実施例について説明する。なお、以下各図面を通して同一の構成要素には同一の符号を使用するものとする。
【0024】
本発明に係るマスク1は、
図1に示すように、着用者の鼻と口を覆うマスク本体部2と一対の耳掛け部10を備えるマスク1において、マスク本体部2は外側マスク部20と内側マスク部30とを備え、外側マスク部20と内側マスク部30が外側マスク部20と内側マスク部30の外周縁の一部のみで接合されたことを特徴とするマスク1である。
外側マスク部20と内側マスク部30とが外周縁の一部で接合されることによりマスク本体部2が形成される。なお、本明細書においては、内側マスク部30はマスクを使用するときに顔側に面して常に着用者の鼻と口を覆うマスク部をいい、外側マスク部20はその逆側の部材であって、全部もしくは一部分をめくることのできる、あるいは折り返すことのできるマスク部をいう。
【0025】
また、外側マスク部20は一層に限らず、他にフィルター層等の中間層や他の層を有していてもよく、少なくとも1層構造であればよい。また、内側マスク部30も一層に限らず、他にフィルター層等の中間層や他の層を有していてもよく、少なくとも1層構造であればよい。なお、本明細書においては、中間層等の他の層であっても常に着用者の鼻と口を覆うマスク部は内側マスク部30に含むものとし、中間層等の他の層であっても、めくることができる、あるいは折り返すことができれば外側マスク部20に含むものとする。
【0026】
外側マスク部20及び内側マスク部30は、着用者の鼻と口を覆うことができて、上縁部、下縁部及び/又は側縁部よりなる外周縁を備えていれば、特に形状は問わない。なお、本明細書において、「上縁部」というときは「上縁部近傍」を、「下縁部」というときは「下縁部近傍」を、「側縁部」というときは「側縁部近傍」をも含むものとする。外側マスク部20及び/又は内側マスク部30は平面状に形成されていてもよいし、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成した立体形状を有していてもよい。
【0027】
本発明に係るマスク1においては、外側マスク部20は、
図2及び
図3に示すように、上縁部41、側縁部43、下縁部42を有する伸縮性を備えた左右一対の外側マスクシート40が一端の側縁部43で接合60されて、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成しているのが好ましい。
【0028】
本発明に係るマスク1においては、内側マスク部30は、
図2及び
図4に示すように、上縁部51、側縁部53、下縁部52を有する左右一対の内側マスクシート50が一端の側縁部53で接合60されて、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成しているのが好ましい。
【0029】
外側マスク部20及び/又は内側マスク部30を前方に向けて凸形状になるような湾曲形状を形成することにより、マスクと鼻及び口との間に空間ができることで、息苦しさを感じることなく、また、話がしやすくなる。
【0030】
また、本発明に係るマスク1においては、外側マスク部20は、一枚の外側マスクシート40を熱成形、プレス成形等で前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成してもよく、内側マスク部30も、一枚の内側マスクシート50を熱成形、プレス成形等で前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成してもよい。
【0031】
一対の外側マスクシート40及び一対の内側マスクシート50の接合60は、従来公知の接合方法を用いることができる。例えば、縫製に用いられるテープを用いることによる接合、ミシン等での縫合、接着剤等の接着による接合、熱溶着等が挙げられる。これらは、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。縫製に用いられるテープとしては、伸縮性を有するテープを用いるのが好ましく、バイアステープを好適に用いることができる。
【0032】
本発明に係るマスク1は、外側マスク部20と内側マスク部30とが外側マスク部20と内側マスク部30の外周縁の一部のみで接合され、他の部分は接合さないことにより、
図5に示すように、内側マスク部30と接合されていない外側マスク部20を外方向又は内方向に向けてめくる、あるいは折り返すことができるものである。
図5(a)は、内側マスク部30と接合されていない外側マスク部20を外方向に向けて折り返した状態を、
図5(b)は内側マスク部30と接合されていない外側マスク部20を内方向に向けて折り返した状態を示す。マスク本体部を複数の層からなる形態とすることは、花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぐには適しているが、スポーツを行う場合や、真夏に使用するときには呼吸がし難くなりやすいため、そのようなときには内側マスク部30に接合されていない外側マスク部20を外方向又は内方向にめくる、あるいは外方向又は内方向に折り返すことで、外側マスク部20がめくられた、あるいは折り返された部分は内側マスク部30のみの一層構造となるため呼吸がしやすくなる。外側マスク部20をめくる部分を呼吸に関係する口若しくは鼻の周辺とすることにより、スポーツを行う場合や、真夏に使用するときには より好適に本発明に係るマスク1を使用することができる。
【0033】
なお、外側マスク部20は、外側マスク部20の一部を手で掴んで、外方向又は内方向に向けてめくる、あるいは折り返せばよい。
【0034】
外側マスク部20を外方向又は内方向に向けてめくる、若しくは折り返すことができる本発明のマスク1においては、デスクワーク中や風邪、インフルエンザが流行っている時期などは花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぐことを優先させて外側マスク部20と内側マスク部30の二層構造で使用し、スポーツを行う場合や気温の高い季節の外出時などは息苦しさを防止するため、若しくは熱中症を予防するために、内側マスク部30と接合されていない外側マスク部20を外方向又は内方向に向けてめくることで部分的に一層構造のマスクとすることができるため、1枚のマスクを活動内容や季節に応じて使い分けることができる。
【0035】
本発明のマスク1においては、外側マスク部20と内側マスク部30の外周縁での接合は、外側マスク部20及び内側マスク部30をそれぞれ上縁部(21、31)又は下縁部(22、32)のみで接合するのがよい。上縁部(21、31)又は下縁部(22、32)のみで接合することにより、外側マスク部20を外方向又は内方向にめくる、あるいは外方向又は内方向に折り返す範囲を着用者が自由に決めることができるからである。スポーツを行う場合や気温が高いときは、外側マスク部20をめくる範囲を大きくすることにより、呼吸に関係する口及び鼻周辺を内側マスク部のみとすることができるため、呼吸がしやすくなる。一方、マスク内にこもった熱を逃がしたい時などは、外側マスク部20をめくる範囲を小さくすることで花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぎながらマスク内にこもった熱を逃がすことができる。
【0036】
本発明のマスク1においては、外側マスク部20と内側マスク部30の外周縁での接合は、
図1(a)に示すように、外側マスク部20及び内側マスク部30は上縁部(21、31)で接合されて、下縁部(22、32)は接合されていない形態とすることができる。また、本発明のマスク1においては、外側マスク部20と内側マスク部30の外周縁での接合は、
図1(b)に示すように、外側マスク部20及び内側マスク部30は下縁部(22、32)で接合されて、上縁部(21、31)は接合されていない形態とすることもできる。
【0037】
上記のような、外側マスク部20及び内側マスク部30は上縁部(21、31)で接合されて、下縁部(22、32)は接合されていない形態、または、外側マスク部20及び内側マスク部30は下縁部(22、32)で接合されて、上縁部(21、31)は接合されていない形態においては、外側マスク部20と内側マスク部30の側縁部(23、33)が接合されていてもよい。側縁部(23、33)を接合しないと、接合箇所が一辺のみとなって他の部分が遊離状態となるため、どちらが表裏か分かり難くなるからである。側縁部(23、33)も接合することにより外側マスク部20と内側マスク部30と表裏が分かりやすくなる。
【0038】
外側マスク部20と内側マスク部30の上縁部(21、31)、下縁部(22、32)、側縁部(23、33)での接合は、従来公知の接合方法を用いることができる。例えば、縫製に用いられるテープを用いることによる接合、ミシン等での縫合、接着剤等の接着による接合、熱溶着等が挙げられる。これらは、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0039】
また、外側マスク部20と内側マスク部30の上縁部(21、31)又は下縁部(22、32)での接合は、上縁部(21、31)又は下縁部(22、32)全体を接合してもよいし、上縁部(21、31)又は下縁部(22、32)の一部のみを接合してもよい。
【0040】
外側マスク部20と内側マスク部30の側縁部(23、33)での接合は、側縁部(23、33)全体を接合してもよいが、
図6に示すように、好ましくは側縁部(23、33)の一部のみを接合するのがよい。側縁部(23、33)の全体を接合してしまうと、外側マスク部20をめくったり、折り返したりすることが難しくなるためである。
【0041】
本発明のマスク1においては、外側マスク部20をめくることができれば、外側マスク部20をめくる方向は外方向であっても内方向であってもよい。前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成している立体形状を有するマスクにおいては、マスクの中心部が上下方向向に縫製等で接合されているものが多く、そのようなマスクの外側マスク部20外方向にめくると、縫製が表面にでてきて見栄えがよくないため、外側マスク部20を内方向にめくることで見栄えを気にすることなく、本発明のマスク1を使用することができる。
【0042】
外側マスク部20及び内側マスク部30は形状を上下対称とすることにより、製造の過程で上下を考慮して接合80を行う必要がないため、作業時間の短縮化が図れて生産性が向上する。また、外側マスク部20及び内側マスク部30の形状を上下対称とすることにより、天候や着用場所、着用者の体調等に合わせてマスク1の上下を適宜選択することができる。例えば、
図6(a)に示すように、マスクの着用者が飛沫感染を気にしない状況にあるときは、外側マスク部20の下部をめくることのできるように着用すれば、マスク本体部2の下部は内側マスク部30のみとなるため、通知性がよくなり楽に呼吸をすることが可能となる。一方、他人への飛沫感染を防ぐ必要がある場合にはマスクを上下反転させて、
図6(b)に示すように、外側マスク部20の上部をめくることのできるように着用することで、口からの飛沫感染を防ぎながら、鼻から空気をより多く取り込むことができるようになるためマスク着用時の息苦しさを軽減することができる。
【0043】
マスク本体部2を構成する外側マスク部20及び内側マスク部30に使用することのできる素材としては、綿、ガーゼ、合成繊維、不織布、和紙、弾性ポリウレタンフォーム等、特に制限されず使用することができる。本発明に係るマスク1においては、繊維を使用することが好ましく、使用することのできる繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維等の合成繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維、綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維、これらの複合繊維から作られたシート、これらを2種以上組み合わせて作られたシート等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
本発明に係るマスク1において、内側マスク部30は通気性を有するものが好ましい。通気性を有するものとしては、例えば立体編物が挙げられる。立体編物の中でもダブルラッセルは、高いクッション性を有し、軽くて通気性が良いことから、立体形状の保持が容易になるとともに、呼吸もしやすいため、着用者が不快を感じることが少なくなることから、本発明に好適に用いられる。
【0045】
また、本発明に係るマスク1において、外側マスク部20及び内側マスク部30に使用することのできる素材としては、抗菌、抗ウイルス、消臭、防臭、UVカット性能等を有するものが好ましい。
【0046】
本発明に係るマスク1においては、本体部2に接続される左右一対の耳掛け部10は外側マスク部20及び/又は内側マスク部30の側縁部(23、33)で接合するのが好ましいが、着用者の鼻と口を覆うマスクの機能を発揮でるのであれば、側縁部(23、33)以外の場所で接合してもよい。また、本発明に係るマスク1においては、本体部2に接続される左右一対の耳掛け部10は、外側マスク部20又は内側マスク部30から連続して一体的に形成することもできる。
【0047】
左右一対の耳掛け部10の素材は外側マスク部20及び/又は内側マスク部30と同一の素材であってもよいし、別の素材であってもよい。左右一対の耳掛け部10に用いられる素材としては、伸縮性や弾性に富む素材が好ましく、例えば、平ゴム、丸ゴム、ニット編地等が挙げられる。左右一対の耳掛け部10の接続方法としては、従来公知の接合方法が用いられ、例えば、縫製に用いられるテープを用いることによる接合、ミシン等での縫合、接着剤等の接着による接合、熱溶着等が挙げられる。
【0048】
また、本発明に係るマスク1においては、図示しないが、鼻に当たる部分にノーズワイヤーを設けることもできる。
【0049】
さらに、本発明に係るマスク1においては、
図7に示すようにマスク本体部2の上縁部に鼻覆い部70を備えてもいてもよい。鼻覆い部70の形状は、鼻周辺から花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぐことができる形状であれば特に制限はないが、
図7(a)に示す略菱形、若しくは
図7(b)に示す略三角形の形状が好ましい。なお、鼻覆い部70は略菱形のシートを二つ折りにして略三角形状を形成してもよい。また、鼻覆い部70に使用することのできる素材としては、伸縮性を有するシート状のものが好ましい。伸縮性を有する素材を用いることで、より鼻によりフィットさせることができるため、花粉、粉塵、細菌、ウイルス等が侵入することを防ぐことができる。また、鼻覆い部にノーズワイヤーを設けることもできる。
【0050】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限を受けるものではない。
【実施例0051】
本発明に係るマスクの第1の実施形態は、
図8(a)に示すように、着用者の鼻と口を覆うマスク本体部2と一対の耳掛け部10を備えるマスク1として、マスク本体部2は上縁部(21)、側縁部(23)、下縁部(22)を有する外側マスク部20と上縁部(31)、側縁部(33)、下縁部(32)を有する内側マスク部30とが、外側マスク部20と内側マスク部30の上縁部(21、31)で接合されてマスク本体部2を形成している。なお、外側マスク部20及び内側マスク部30は、前方に向けて凸状になる湾曲形状を形成している。
【0052】
外側マスク部20と内側マスク部30との下縁部(22、32)及び側縁部(23、33)は接合されておらず、呼吸がしにくいときなどは、外側マスク部20の下部を上方向に向けてめくる、あるいは上方向に折り返すことができる形態となっている。外側マスク部20の下部を上方向に向けてめくることで、口周辺は内側マスク部のみとなり、マスク内に熱がこもるのを抑制することができるため、呼吸がしやすくなる。また、スポーツをしているときや気温が高いときは、鼻周辺まで外側マスク部20を上方向にめくることで、より呼吸がしやすくなる。
【0053】
なお、第1の実施形態においては、外側マスク部を上方向にめくる、あるいは折り返すことができるが、めくる方向は外方向にも内方向にもめくれるようになっている。
外側マスク部20と内側マスク部30との上縁部(21、31)及び側縁部(23、33)は接合されておらず、呼吸がしにくいときなどは、外側マスク部20の上部を下方向に向けてめくる、あるいは下方向に折り返すことができる形態となっている。外側マスク部20の上部を下方向に向けてめくることで、鼻周辺は内側マスク部30のみとなり、マスク内に熱がこもるのを抑制することができるため、呼吸がしやすくなる。また、スポーツをしているときや気温が高いときは、口周辺まで外側マスク部20を下方向にめくることで、より呼吸がしやすくなる。