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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021736
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】医療用遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/00 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125513
(22)【出願日】2020-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月8日掲載、ウェブサイトのアドレス https://bit.ly/2EH6VMv 〔刊行物等〕 令和2年6月8日掲載、ウェブサイトのアドレス https://bit.ly/3i4nTD5 〔刊行物等〕 令和2年6月22日掲載、ウェブサイトのアドレス https://bit.ly/31j0fvF
(71)【出願人】
【識別番号】517219971
【氏名又は名称】株式会社カラフルコンテナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 万揮
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KK10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療現場において、より簡易な構成で患者と医療従事者の間を隔てることができるとともに、患者に対する医療作業を好適に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】医療用遮蔽装置10は、開口を有する壁面に対して、開口を閉塞するように着脱可能に構成されたパネル32と、パネルに形成された少なくとも1つの貫通孔と、を備えている。貫通孔は、医療作業を実行するためのグローブ36を着脱可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用遮蔽装置であって、
開口を有する壁面に対して、前記開口を閉塞するように着脱可能に構成されたパネルと、
前記パネルに形成された少なくとも1つの貫通孔と、
を備えており、
前記貫通孔は、医療作業を実行するためのグローブを着脱可能に構成されている、
医療用遮蔽装置。
【請求項2】
前記貫通孔を挿通する筒状部材をさらに備えており、
前記筒状部材の両端のそれぞれが、前記グローブを取り付けた状態では開放される一方、前記グローブを取り外した状態では閉塞されるように構成されている、請求項1に記載の医療用遮蔽装置。
【請求項3】
前記筒状部材は、蛇腹状である、請求項2に記載の医療用遮蔽装置。
【請求項4】
前記開口は、建物の窓枠により画定されており、
前記パネルは、前記窓枠に対して着脱可能に構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、医療用遮蔽装置に関する。特に、開口を有する壁面に対して着脱可能な医療用遮蔽装置に関する。
【0002】
特許文献1には、内部に患者を収容するクリーンブースが開示されている。このブースでは、医療従事者がブース外部から貫通孔を介して手を挿入することにより、ブース内部の患者に対して治療を施すことができる。特許文献1では、天井枠及び支柱からなるフレーム、及びフレームに支持されるシートによってブースが形成され、患者と医療従事者が隔離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-87801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のブースは、組み立てに多くの工数を要するとともに、ブースを設置するための大きなスペースを要する。本明細書は、医療現場において、より簡易な構成で患者と医療従事者(例えば、医者や看護師)の間を隔てることができるとともに、患者に対する医療作業を好適に行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する医療用遮蔽装置は、開口を有する壁面に対して、前記開口を閉塞するように着脱可能に構成されたパネルと、前記パネルに形成された少なくとも1つの貫通孔と、を備えている。前記貫通孔は、医療作業を実行するためのグローブを着脱可能に構成されている。
【0006】
上記の構成では、開口を有する壁面に対して着脱可能に構成されたパネルを備えている。このため、当該パネルを壁面に対して取り付けると、壁面を挟んで対向する患者と医療従事者の間が、壁面及びパネルにより隔たれる。さらに、上記の構成では、パネルに貫通孔が設けられており、当該貫通孔に医療作業を実行するためのグローブを装着可能に構成されている。このため、貫通孔に装着したグローブに医療従事者が手を挿入することによって、医療従事者が患者に対して医療作業(例えば、検査や治療)を行うことができる。このように、本明細書に開示の構成によれば、既存の開口を有する壁面を利用して、当該開口に対してパネルを着脱するという簡易な操作で両者を隔離するとともに、患者に対する医療作業を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に係る医療用遮蔽装置10の概略図。
図2】実施例に係る医療用遮蔽装置10の正面図。
図3】実施例に係る医療用遮蔽装置10の筒状部材34の側面図。
図4図2のIV-IV線における断面図。
図5図2のV-V線における断面図。
図6】筒状部材34に対してグローブ36を取り付けた状態を示す図。
図7】医療用遮蔽装置10の変形例を示す図。
図8】筒状部材34の変形例を示す図。
図9】医療用遮蔽装置10の他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の一実施形態では、前記貫通孔を挿通する筒状部材をさらに備えてもよい。前記筒状部材の両端のそれぞれが、前記グローブを取り付けた状態では開放される一方、前記グローブを取り外した状態では閉塞されるように構成されていてもよい。
【0009】
上記の構成では、貫通孔に挿通された筒状部材に対してグローブを取り付けて使用する。そして、グローブを取り外した状態においては、筒状部材の両端のそれぞれが閉塞される。このため、例えば、筒状部材に対して取り付けたグローブを取り換える際に筒状部材(すなわち、貫通孔)を介した空気の流通を低減することができる。したがって、壁面及びパネルを挟んで対向する両空間の環境が変化し難い。
【0010】
本技術の一実施形態では、前記筒状部材は、蛇腹状であってもよい。
【0011】
このような構成では、ユーザ(医療従事者)が筒状部材に腕を挿入した際に、ユーザの腕の位置に追従して筒状部材が変形する。このため、ユーザが筒状部材を介して手をグローブに挿入した際に、腕の可動域を広く確保することができる。
【0012】
本技術の一実施形態では、前記開口は、建物の窓枠により画定されてもよい。前記パネルは、前記窓枠に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0013】
このような構成では、既存の窓を利用して患者に対する医療作業を行うことができる。したがって、医療作業を行うために専用のブース等を別途準備する必要がなく、利便性が高い。
【0014】
(実施例)
図面を参照して、実施例の医療用遮蔽装置10(以下、単に装置10という。)について説明する。図1に示すように、装置10は、コンテナ20に設けられた窓枠40及びコンテナ20の外壁21に取り付けて使用される。なお、装置10は、コンテナに限られず、いわゆるユニットハウスに対して取り付けて使用してもよい。図2に示すように、装置10の外形は、正面視すると矩形状を有している。当該外形は、取り付ける対象となる窓の形状に合わせた形状に構成されている。装置10は、支持部30と、パネル32と、筒状部材34と、を備えている。
【0015】
図1、2、4及び5等に示すように、支持部30は、装置10の外郭を画定するとともに、窓枠40及び外壁21に対して装置10を固定するための被固定部として機能する。支持部30は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。装置10をコンテナ20に対して固定する態様については後述する。
【0016】
パネル32は、支持部30の内周に固定されている。換言すると、支持部30は、パネル32の外周を一巡するように設けられており、パネル32の外周を支持している。パネル32は、透明なポリカーボネートによって構成されている。ただし、パネル32を構成する材料は特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂等の他の熱可塑性樹脂や、ガラスによって構成されていてもよい。
【0017】
図2に示すように、パネル32には、2つの貫通孔35が形成されている。各貫通孔35は、円形であり、パネル32の下部に間隔を空けて配置されている。各貫通孔35には、筒状部材34がそれぞれ取り付けられている。図3に示すように、筒状部材34は、係合部34aと円筒部34bを有している。円筒部34bの長さ(図面左右方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば30mm~100mmの範囲とすることができる。円筒部34bの外径は、貫通孔35の内径よりもわずかに小さい。したがって、円筒部34bは、貫通孔35に挿通可能に構成されている。筒状部材34は、その円筒部34bを貫通孔35に挿通させ、係合部34aをパネル32の前面に当接させた状態でボルト37により固定することで、パネル32に対して取り付け可能に構成されている。本実施例では、図2に示すように、係合部34aの周方向に等間隔で6つのボルト37により固定することで、筒状部材34がパネル32に対して取り付けられる。
【0018】
図4に示すように、装置10は、コンテナ20の外窓41が閉じられた状態で、外窓41の窓枠40とコンテナ20の外壁21に対して取り付けられる。具体的には、図4に示すように、左右方向においては、平板状の固定部材42が、複数のボルト46によって支持部30の内側と窓枠40の内側とに結合されるとともに、L字板状の固定部材44が、複数のボルト48によって支持部30の外側とコンテナ20の外壁21とに結合されることにより、装置10がコンテナ20に対して固定される。また、図5に示すように、上下方向においては、L字板状の固定部材52が、複数のボルト56によって支持部30の下側とコンテナ20の外壁21とに結合されるとともに、L字板状の固定部材54が、複数のボルト58によって支持部30の上側とコンテナ20の外壁21とに結合されることにより、装置10がコンテナ20に対して固定される。以上のように、装置10の外郭を画定する支持部30の上下左右の各辺を窓枠40又は外壁21に対して固定することにより、コンテナ20に対して装置10を取り付けることができる。装置10を取り付けた状態における、コンテナ20の外壁21からパネル32までの距離d(詳細には、外壁21により構成される平面とパネル32との最短距離、図4参照)は、特に限定されない。当該距離dは、筒状部材34の円筒部34bの長さよりも長くてもよく、例えば、50mm~150mmの範囲とすることができる。なお、後述するグローブ36を装着した装置10をコンテナ20に取り付けた状態では、内窓51を開放した状態(図4において内窓51を矢印100の方向に移動させた状態)におけるコンテナ20の内外の空間を連通する開口が、装置10により閉塞される。すなわち、内窓51を開放しても、コンテナ20の内外が隔離された状態が維持される。
【0019】
図6に示すように、筒状部材34は、医療作業を実行するためのグローブ36を着脱可能に構成されている。具体的には、グローブ36を筒状部材34に対して挿通させ、円筒部34bの延伸方向の端部34cにおいてグローブ36を折り返すことにより、グローブ36を筒状部材34に対して装着することができる。ここで、円筒部34bの端部34cに対するグローブ36の固定方法は特に限定されず、例えば、ゴムバンド等のいわゆる弾性ゴムにより円筒部34bの外周側から束ねるように固定してもよいし、着脱自在な粘着剤(例えば、両面テープ等)により端部34cとグローブ36とを接着してもよい。
【0020】
本実施例では、装置10を利用して医療作業を実行する際には、コンテナ20の内部の医療従事者が、コンテナ20の外部の患者に対して医療作業を行う。まず、グローブ36が装着された装置10をコンテナ20に対して取り付けた状態で、図4の矢印100に示す方向に内窓51を移動させ、内窓51を開放する。すると、上述したように、コンテナ20の内外の空間が、パネル32及び内窓51の双方により隔てられていた状態から、パネル32のみを介して隔てられた状態となる。医療従事者は、貫通孔35を介してグローブ36に手を挿入し、コンテナ20の外部に存在する患者に対して医療作業(例えば、検査や治療)を実行する。
【0021】
上述したように、本実施例の装置10は、コンテナ20に設けられた窓枠40、50に対して着脱可能に構成されたパネル32を備えている。このため、パネル32を窓枠に対して取り付けると、コンテナ20の壁を挟んで対向する患者と医療従事者の間が、当該壁及びパネル32により隔たれる。さらに、本実施例では、パネル32に貫通孔35が設けられており、当該貫通孔35(詳細には、筒状部材34)に医療作業を実行するためのグローブ36を装着可能に構成されている。このため、貫通孔35に装着したグローブ36に医療従事者が手を挿入することによって、医療従事者が患者に対して、両者が隔離された状態で医療作業(例えば、検査や治療)を行うことができる。このように、本実施例では、コンテナ20に設けられた既存の窓枠を利用して、当該窓枠に対してパネル32を着脱するという簡易な操作で両者を隔離するとともに、患者に対する医療作業を好適に行うことができる。
【0022】
また、上述した実施例では、コンテナ20に装置10を取り付けた状態では、内窓51を開放することにより、医療従事者が患者に対して検査や治療を施すことができる。換言すると、装置10を使用しない時間帯(例えば、診察時間外や休院日)には、内窓51を閉塞する操作を行うだけでよく、装置10をコンテナ20から取り外す必要がない。さらに、装置10を取り付けたままの状態であっても、内窓51を閉塞することにより、コンテナ20内部のセキュリティを確保することができる。
【0023】
また、上述した実施例では、貫通孔35に筒状部材34が挿通されている。筒状部材34は、円筒部34bを有しているので、グローブ36を容易に着脱することができる。
【0024】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0025】
上述した実施例において、筒状部材34の円筒部34bが蛇腹状であってもよい。このような構成では、医療従事者が筒状部材34に腕を挿入した際に、腕の位置に追従して筒状部材34が変形することができる。このため、医療従事者が筒状部材34を介して手をグローブ36に挿入した際に、腕の可動域を広く確保することができる。
【0026】
なお、上述した実施例において、筒状部材34は、設けられていなくてもよい。すなわち、装置10は、貫通孔35に対して直接グローブ36を着脱可能に構成されていてもよい。
【0027】
また、上述した実施例では、パネル32が一枚で構成されていた。しかしながら、例えば、図7に示すように、パネル32は、複数枚のパネル32a、32bによって構成されてもよい。この場合、複数枚のパネル32a、32bのうち、パネル32aのみに貫通孔35を形成してもよい。また、支持部30は、その上部が開放されてもよい。このような構成では、矢印110に示すように、各パネル32a、32bを上側から溝部30aに沿って挿入することで、各パネル32a、32bを連結させることができる。また、各パネル32a、32bを挿入する順序を入れ替えることにより、貫通孔35の高さ(すなわち、医療従事者の手を挿入する高さ)を調節することができる。このため、貫通孔35の高さを医療従事者や患者の身長に応じた高さに適合させることができる。
【0028】
また、図8に示すように、筒状部材34の円筒部34bの両端に、閉塞部材60を設けてもよい。各閉塞部材60は、例えば、熱可塑性樹脂により構成されてよい。各閉塞部材60は、グローブ36を挿通した状態では開放される一方、グローブ36を取り外した状態では閉塞されるように構成されてよい。このような構成では、グローブ36を取り換える際に筒状部材34(すなわち、貫通孔35)を介した空気の流通を低減することができる。したがって、患者の飛沫等が医療従事者側の空間に侵入することがより抑制される。
【0029】
また、コンテナ20の外部(すなわち、患者側の空間)に、検査や治療を行うための医療器具を載置するためのスペースや台を設けてもよい。
【0030】
また、上述した実施例では、外窓41の外側に突出するように装置10が取り付けられた。しかしながら、図9に示すように、支持部30を内窓51の窓枠50と同様に構成することにより、内窓51に代えて装置10を取り付けてもよい。この場合、図9に示すように、一方の(すなわち、装置10を取り付けた方の)コンテナ20のパネル32と、他方のコンテナ20の外窓41とが対向するように2つのコンテナ20を連設してもよい。このように構成すると、医療従事者及び患者の双方が室内に居る状態で、医療作業を行うことができる。
【0031】
また、上述した実施例では、コンテナ20の窓を利用して装置10を取り付ける構成であった。しかしながら、例えば、室内の空間を仕切る間仕切りに開口を設けて、当該開口に対して装置10を取り付け可能に構成してもよい。このような構成では、室内を2つの空間に仕切って医療作業を行うことができる。
【0032】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で、技術的な有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0033】
10:医療用遮蔽装置
20:コンテナ
21:外壁
30:支持部
32:パネル
34:筒状部材
34a:係合部
34b:円筒部
34c:端部
35:貫通孔
36:グローブ
40:窓枠
41:外窓
42、44:固定部材
46、48:ボルト
50:窓枠
51:内窓
52、54:固定部材
56、58:ボルト
60:閉塞部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9