(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021775
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】車両用モジュール
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20220127BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20220127BHJP
F16F 1/36 20060101ALI20220127BHJP
F16F 1/37 20060101ALI20220127BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20220127BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220127BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220127BHJP
B32B 27/30 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
B60J5/10 R
B60J1/00 H
F16F1/36 B
F16F1/36 Y
F16F1/37 Z
F16F15/08 E
B32B27/00 B
C08J5/18 CES
C08J5/18 CEY
C08J5/18 CFD
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125572
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 康章
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
4F071
4F100
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AD05
3J048BA01
3J048BD02
3J048BD03
3J048DA04
3J048EA36
3J059AA03
3J059BA63
3J059BB02
3J059BB08
3J059BC04
3J059BC06
3J059BC11
3J059BC19
3J059BD03
3J059CB09
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3J059EA03
3J059GA01
4F071AA18
4F071AA22
4F071AA33
4F071AA50
4F071AA53
4F071AF20Y
4F071AH07
4F071BA01
4F071BB05
4F071BC03
4F100AK01A
4F100AK01B
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4F100AK45B
4F100AN00B
4F100BA02
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4F100GB32
4F100JH01
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4F100JN01A
(57)【要約】
【課題】車体に取り付けられた状態での車両用モジュールの振動を抑制でき、優れた防音性を発揮する、車両用モジュールを提供する。
【解決手段】少なくとも窓部を有する透明な樹脂製の一次部材と、前記一次部材の周辺部分に前記一次部材と一体的に設けられた樹脂またはゴム製の二次部材と、を有し、前記二次部材の曲げ弾性率が前記一次部材の曲げ弾性率よりも小さい、車両用モジュール。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも窓部を有する透明な樹脂製の一次部材と、前記一次部材の周辺部分に前記一次部材と一体的に設けられた樹脂またはゴム製の二次部材と、を有し、前記二次部材の曲げ弾性率が前記一次部材の曲げ弾性率よりも小さい、車両用モジュール。
【請求項2】
前記一次部材の片方の面に前記二次部材が積層されており、前記一次部材の前記二次部材が設けられた面および当該面と反対側の面の少なくとも一方の面にナノサイズの気泡を含む塗料が塗布された、請求項1に記載の車両用モジュール。
【請求項3】
前記一次部材と前記二次部材との曲げ弾性率の差が500MPa以上である、請求項1または請求項2に記載の車両用モジュール。
【請求項4】
前記二次部材がポリウレタン樹脂またはゴムで構成された、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用モジュール。
【請求項5】
前記一次部材の曲げ弾性率が、2000MPa以上6000MPa以下であり、前記二次部材の曲げ弾性率が、700MPa以下である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クリア部材と着色部材とを有する車両用リアモジュールの製造方法が開示されている。特許文献2には、一次部材と二次部材とを有する車両用モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/181944号
【特許文献2】特開2020-37292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一次部材とその周辺を囲むように設けられる二次部材とを一体成形して製造される樹脂製の車両用モジュールは、車体に取り付けられた状態において車両本体の振動や車外からの振動が伝播して音を発生させるおそれがある。
【0005】
本発明は、車体に取り付けられた状態での車両用モジュールの振動を抑制でき、優れた防音性を発揮する、車両用モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用モジュールは、
少なくとも窓部を有する透明な樹脂製の一次部材と、前記一次部材の周辺部分に前記一次部材と一体的に設けられた樹脂またはゴム製の二次部材と、を有し、前記二次部材の曲げ弾性率が前記一次部材の曲げ弾性率よりも小さい、車両用モジュールである。
二次部材の曲げ弾性率が一次部材の曲げ弾性率よりも小さいことで、車体に取り付けられた状態での車両用モジュールの振動を抑制でき、優れた防音性が発揮される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車体に取り付けられた状態での車両用モジュールの振動を抑制でき、優れた防音性を発揮する、車両用モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両用バックドアを備える車両の後部を示す斜視図である。
【
図2】車両用バックドアの構成を示す模式図である。
【
図3】張出部付車両用リアモジュールの正面図である。
【
図6】ショアA硬度とヤング率との関係を示すグラフである。
【
図7】端部が面取りされた車両用リアモジュールの断面を示す図である。
【
図9】実施例に係るテストピースの防音性を評価するための試験室を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0010】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0011】
図1は、車両用バックドア3を備えるハッチバック式の車両1の後部を示す斜視図である。
図2は、車両用バックドア3の構成を示す模式図である。車両用バックドア3は車両1の後部に設けられた開口2を開閉するように、車両1の後部に取り付けられている。車両用バックドア3は、車両用リアモジュール4(車両用モジュールの一例)と、車両用リアモジュール4よりも車両1の内側に設けられたバックドアインナ5と、を有している。
【0012】
車両用リアモジュール4は、車両1の後部の開口2を覆うことのできる大きさで形成されている(
図2)。車両用リアモジュール4は、クリア部材20(一次部材の一例)と着色部材40(二次部材の一例)とを有している。クリア部材20は、無色透明またはスモーク(有色透明の一例)とされた部材である。クリア部材20は、光を透過させるランプ部22と、窓部24とを一体に有している。着色部材40は、クリア部材20と比べて光の透過率が低い部材である。着色部材40は、少なくとも車両1の内部の一部を外部から視覚的に遮蔽するように、着色されている。本実施形態におけるクリア部材20及び着色部材40の詳細については後述する。
【0013】
バックドアインナ5は、例えばポリプロピレン等の樹脂にガラス繊維等が混練された材料で構成される。ただし、バックドアインナ5を構成する材料は特定の樹脂に限られず、例えば金属であってもよい。バックドアインナ5は、車両用リアモジュール4の外周部の全周に亘るように形成されている。バックドアインナ5には、ランプ部22と窓部24とに対応する開口部52が設けられている(
図2)。
【0014】
バックドアインナ5が車両用リアモジュール4に接着剤を介して接着されることで、車両用バックドア3は形成されている。車両用バックドア3は、バックドアインナ5に設けられたヒンジ(図示省略)を介して車両後部に取り付けられている。
【0015】
車両用リアモジュール4のクリア部材20のランプ部22の前方向の位置には、左右一対のリアコンビネーションランプが配置されている(図示省略)。本実施形態におけるランプ部22は、リアコンビネーションランプのストップランプ及びターンシグナルランプの光を透過させる。なお、リアコンビネーションランプは、車両用リアモジュール4に直接搭載されていてもよく、バックドアインナ5に搭載されていてもよく、車両用リアモジュール4及びバックドアインナ5の両方で支持されるように搭載されていてもよい。また、車体にリアコンビネーションランプを設けて車両用リアモジュール4のクリア部材20のランプ部22によりリアコンビネーションランプが覆われるようにしてもよい。
【0016】
ここで、
図3~
図5を参照して、本実施形態に係る車両用リアモジュール4を具体的に説明する。
図3は金型により成形された直後の(トリミング前の)車両用リアモジュール(以下、張出部付車両用リアモジュール400とする。)の正面図である。
図4は
図3のA-A’断面図であり、
図5は
図3のB-B’断面図である。
【0017】
張出部付車両用リアモジュール400は、車両用リアモジュール4の端部(着色部材40の端部)から外側に向かって延びる張出部410を備えている(
図3~
図5)。別の言い方をすると、クリア部材20の窓部24の主平面が延びる方向に張出部410は延びている。張出部410には、樹脂射出口跡420が形成されている。張出部410を除去することで、車両用リアモジュール4が形成される。張出部付車両用リアモジュール400は、クリア部材20と着色部材40とを二色成形することにより形成される。なお、張出部付車両用リアモジュール400及び車両用リアモジュール4のクリア部材20及び着色部材40については、説明の便宜上、同一の符号を付して同様の部材として説明する。
【0018】
クリア部材20は、前述のように窓部24とランプ部22とを一体に(monolithically)有し、さらにスポイラ部26(屈曲部の一例)を有してもよい(
図3~
図5)。窓部24はクリア部材20の左右方向の中心部分から左右方向に向かうにしたがって、緩やかに湾曲している。ランプ部22は、クリア部材20の左右の位置に一対で形成されており、クリア部材20の主曲面から後方向に向かって張り出るように構成されている(
図1及び
図2)。クリア部材20の左右方向の端部の一部(上下方向の略中央部分)は車両1の略前後方向に向かって延びており、ランプ部22の側面部を形成している(
図1、
図2及び
図4参照)。なお、ランプ部22におけるクリア部材20の厚みが薄く形成されていると、ランプの光を十分に透過させることができ好ましい。スポイラ部26は、クリア部材20の上部において左右方向に延びるように形成されており、クリア部材20の主曲面から後方向に向かって張り出るように屈曲して構成されている(
図3および
図5)。スポイラ部26は、窓部24を平面視した時に、左右方向の中心部分から左右方向に延びるにつれて下方向に湾曲するように形成されている(
図3)。
【0019】
着色部材40は、車両1に搭載された際にクリア部材20よりも車両1の内側に位置するように設けられている(
図4及び
図5)。着色部材40はクリア部材20のスポイラ部26における背面(車両1の前方向の面)にも設けられている。
【0020】
クリア部材20の窓部24及びランプ部22の車両1の後方向の面上にはクリア部材20の傷つきを防止するためのハードコート層が設けられている(図示省略)。また、張出部付車両用リアモジュール400の車両1の前方向の面状(クリア部材20および着色部材40の表面)にも傷つきを防止するためのハードコート層が設けられている(図示省略)。ハードコート層は、クリア部材20よりも耐擦傷性が優れている層であり、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマーで構成されるものでもよい。
【0021】
本実施形態に係る車両用リアモジュール4は、例えば対向方式の二色成形用金型を用いてクリア部材20と着色部材40とを2色成形することにより製造できる。当該金型による成形直後は、張出部付車両用リアモジュール400が製造されるようにしてもよい。この場合は、最終的に張出部付車両用リアモジュール400の樹脂射出口跡420を含む張出部410を取り除く(トリミングする)ことで、車両用リアモジュール4を得ることができる。ハードコート層は、張出部付車両用リアモジュール400から張出部410を取り除く前および後のいずれかにおいて形成される。ハードコート層は、スプレーコート法やフローコート法、ディップコート法によりハードコート層形成剤をクリア部材20および着色部材40の表面に噴霧または塗布して硬化させることで、形成されうる。
【0022】
ここで、本実施形態におけるクリア部材20および着色部材40を詳細に説明する。クリア部材20は、樹脂製の部材である。着色部材40は、クリア部材20の周辺部分にクリア部材と一体的に設けられた樹脂またはゴム製の部材である。着色部材40は母体となる材料に着色材料が混練された材料で構成されている。また、着色部材40はフィラー等の添加材を含有してもよい。着色部材40の曲げ弾性率はクリア部材20の曲げ弾性率よりも小さい。なお、本実施形態における曲げ弾性率は曲げ試験により評価されるヤング率(曲げ弾性率)を示すが、曲げ弾性率が低いために曲げ試験により評価することが難しい場合には、
図6に示すグラフによる換算方法(https://punhundon-lifeshift.com/hardness_modulus)に従って、ショアA硬度から換算されたヤング率(曲げ弾性率)を示す。
【0023】
クリア部材20は、例えば表1に示される透過率と曲げ弾性率とを備える材料により構成してもよい。着色部材40は、例えば表2に示される透過率と曲げ弾性率とを備える材料により構成してもよい。例えば、クリア部材20をPMMAで構成し、それよりも曲げ弾性率の低い材料(PC,LDPE,PU,ゴム系材料等)で着色部材を構成してもよい。また、クリア部材をPCで構成し、それよりも曲げ弾性率の低い材料(LDPE,PU,ゴム系材料等)で着色部材を構成してもよい。着色部材40の曲げ弾性率がクリア部材20の曲げ弾性率よりも小さいことで、車体に取り付けられた状態での車両用リアモジュール4の振動を抑制でき、優れた防音性が発揮される。
【0024】
【0025】
【0026】
ここで、クリア部材20と着色部材40との曲げ弾性率の差は500MPa以上でもよい。クリア部材20と着色部材40との曲げ弾性率の差が500MPa以上であることで、車体に取り付けられた状態で車両用リアモジュール4に伝播する車体の振動が着色部材40で減衰されて、クリア部材20に伝わる振動も減衰され、より優れた防音性が発揮される。
【0027】
また、着色部材40はポリウレタン樹脂またはゴムで構成されてもよい。着色部材40がポリウレタン樹脂またはゴムで構成されることで、車体に取り付けられた状態での車両用リアモジュール4の振動をより抑制でき、より優れた防音性が発揮される。
【0028】
また、クリア部材20の曲げ弾性率が、2000MPa以上6000MPa以下であり、着色部材40の曲げ弾性率が、700MPa以下であってもよい。クリア部材20と着色部材40とを特定の曲げ弾性率の材料で構成することで、車体に取り付けられた状態での車両用リアモジュール4の振動をより抑制でき、より優れた防音性が発揮される。
【0029】
また、クリア部材20の紫外線領域の透過率を1%以下としてもよい。ここで、紫外線領域とは波長が380nm未満の範囲を指す。例えば、紫外線吸収剤を添加していない樹脂材料(例えばPC)では一部が透過して、下地に影響を及ぼし得るので、車体との接着剤の光劣化が生じて剥離するおそれがある。一方、紫外線吸収剤(UV-A)を添加した樹脂材料の直線光透過率を380nm未満の領域で1%以下と低くすることで、下地への影響を低減できる。
【0030】
また、車両用リアモジュール4において、クリア部材20の片方の面に着色部材40が積層されているが、クリア部材20の着色部材40が設けられた面および当該面と反対側の面の少なくとも一方の面にナノサイズの気泡を含む塗料が塗布されていてもよい。クリア部材20の表面にナノサイズの気泡を含む塗料が塗布されていることで、当該塗料が音を吸収するため、車両用リアモジュール4により優れた防音性が付与される。ナノサイズの気泡を含む塗料としては、例えばティエムファクトリ株式会社製のエアロゲルナノサイズの気泡を含んだ材料を使用したものが挙げられる。
【0031】
また、クリア部材20および着色部材40の表面にハードコート層が設けられているが、張出部付車両用リアモジュール400をトリミングして車両用リアモジュール4を形成する際に、切断面にクリア部材20または着色部材40とハードコート層との境界が露出する。この境界が露出している部分が雨や洗車によって長時間水にさらされるとハードコート層の剥離が発生するおそれがある。そこで、張出部付車両用リアモジュール400をトリミングして車両用リアモジュール4を形成する際に、車両用リアモジュール4の車体取り付け時に水平辺となる部分(水が溜まりやすい部分)にクリア部材20または着色部材40とハードコート層との境界が露出しないようにしてもよい。
【0032】
図7は、端部が面取りされた車両用リアモジュール4の断面を示す図である。
図7に示す車両用リアモジュール4の端部では、クリア部材20と着色部材40とが積層されている。またハードコート層はクリア部材20および着色部材40のそれぞれの表面に設けられている。
図7に示す車両用リアモジュール4の端部の上側の部分が、トリミングにより形成された部分である。例えば
図7に示すように、車両用リアモジュール4の端部を面取りして面取り部4Aを形成し、クリア部材20または着色部材40とハードコート層との境界が露出しない(面取り部4A近傍でハードコート層の断面が露出しない)ようにしてもよい。また、トリミングにより形成された車両用リアモジュール4の端部にモールやパッキンなどの断面保護部材を取り付けてもよいし、断面を覆うように保護塗料を塗布してもよい。クリア部材20または着色部材40とハードコート層との境界が露出しないようにすることで、車両用リアモジュール4の耐候性を向上できる。なお、当該手法とは異なるが、クリア部材20または着色部材40とハードコート層との境界が水分に侵されないように、密着性を増強させるプライマー層をさらに設けてもよい。さらにはクリア部材20のみで構成されている端部でトリミングし、着色部材40との積層部を露出させないことにより、積層部に水分が侵入しないようにできる。
【0033】
以上特定の態様を示して本発明を説明したが、以下その他に取り得る、または好ましい態様について説明する。
【0034】
上記の実施形態において、バックドアインナを介して車両用リアモジュールが車両に取り付けられる態様を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、バックドアインナを介さずに車両用リアモジュールに直接ヒンジが設けられて車両に取り付けられる態様もあり得る。
【0035】
上記の実施形態において、車両用リアモジュールを例に特定の態様を説明したが、車両用フロントモジュールとしても適用可能であるし、車両の側部(サイド)のモジュールとしても適用可能である。また、車両用モジュールには、ランプ、クリーナー、ワイパー、センサ、デフォッガー等の部材を搭載してもよい。ランプとしては、車両用リアモジュールの場合であれば、例えばストップランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、テールランプ、リアフォグランプ、デイタイムランプ等が挙げられる。また、これらのランプの任意の組合せから構成されるリアコンビネーションランプを搭載してよい。またセンサとしては例えばLiDAR、カメラ、レーダ等が挙げられる。
【0036】
上記の実施形態において、クリア部材を特定の材料を例示することで説明したが、本発明はこれに限定されず透明性を有し窓部を構成することが可能な材料であれば代替可能である。ただし、クリア部材がPCまたはアクリル樹脂で構成されていると好ましい。少なくとも窓部を有する一次部材を強度および透明性に優れるPCまたはアクリル樹脂で構成することにより、窓部としての視認性を確保しつつ、車両用モジュール全体の強度を高めることができる。また、着色部材として特定の材料を例示したが、二次部材はこれらに限定されるものではない。
【0037】
また、車両用モジュールは、車両の開口を開閉する態様と、嵌め殺しの態様とを含む。車両の開口を開閉する態様では、回転軸を中心に回転する態様や、スライド式の態様を含む。
【実施例0038】
以下、本発明に係る具体的な実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
図8に示す、厚さ5mmの平板の透明なクリア部材20Aと、クリア部材20Aの周辺部に一体に形成された着色部材40Aと、を備えるテストピースを2色射出成形により作成した。テストピースの大きさは、
図8において、d11=2mm、d21=5mm、d12=50mm、d3=d4=700mmとなるように作成した。また、クリア部材20Aと着色部材40Aとを構成する材料を変えて、複数種類のテストピースを作成した。各テストピースの材料と当該材料の曲げ弾性率を表3に示す。
【0040】
作成したテストピースを
図9に示す試験室を使用して防音性を評価した。詳細には、音源室500と受音室510との間が壁で仕切られて、その壁に穴が設けられた試験室を使用した。当該穴を塞ぐように、音源室500側の壁に着色部材40Aが接触するようにテストピースを取り付け、音源室500に設置したスピーカーから周波数2Hz~2kHzの音を発生させ、受音室510で評価者が漏れてくる音の大きさを3段階(3:うるさい、2:少し小さい、1:小さい)で官能評価した。評価は30代1名、40代1名、50代1名の計3名の評価者により行われた。結果を表3に示す。
【0041】
【0042】
表3に示すように、クリア部材の材料の曲げ弾性率よりも着色部材の材料の曲げ弾性率が高い比較例1および比較例2では、防音性が劣っていた。一方、クリア部材をPMMAで構成し、着色部材をPCまたはLDPEで構成した実施例1および実施例2では、官能評価の平均において音の大きさを少し小さい又は小さいと評価する評価者が増え、防音性が向上したことが確認された。さらに、クリア部材をPMMA、PCまたはPSで構成し、着色部材をPUで構成した実施例3から実施例4では、全ての評価者が音の大きさを小さいと評価し、良好な防音性が確認された。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態および実施例に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
1:車両、2:開口、3:車両用バックドア、4:車両用リアモジュール、4A:面取り部、5:バックドアインナ、20,20A:クリア部材、22:ランプ部、24:窓部、26:スポイラ部、40,40A:着色部材、42:突起部、52:開口部、400:張出部付車両用リアモジュール、410:張出部、420:樹脂射出口跡、500:音源室、510:受音室