(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021780
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】人数管理装置
(51)【国際特許分類】
G06M 7/00 20060101AFI20220127BHJP
G07C 9/00 20200101ALI20220127BHJP
【FI】
G06M7/00 301Q
G07C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125584
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】317006258
【氏名又は名称】オプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】阪野 哲士
(72)【発明者】
【氏名】大橋 孝史
(72)【発明者】
【氏名】薗田 義昭
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JA03
3E138JB02
3E138JB04
3E138JC30
3E138JD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】配置位置の制限を受けない人数管理装置を提供する。
【解決手段】2つの人感センサ110、130を備え、2つの人感センサのうちの第1の人感センサ110は、第1の向きに配置されて一の方向に移動する人を検知し、2つの人感センサのうちの第2の人感センサ130は、第2の向きに配置されて一の方向とは逆の方向である他の方向に移動する人を検知する個別検知モード213と、第1の人感センサおよび第2の人感センサを、第1の向きおよび第2の向きが同一の向きとなるように配置して、同一の向きにおける一の方向に移動する人と他の方向に移動する人とを各々検知する方向検知モード215と、を有し、2つの人感センサの検知結果に基づいて、個別検知モードおよび方向検知モードにおいて検知された一の方向に移動する人と検知された他の方向に移動する人とを、各々計数する計数回路210を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの人感センサを備えた人数管理装置であって、
前記2つの人感センサのうちの第1の人感センサは、第1の向きに配置されて一の方向に移動する人を検知し、前記2つの人感センサのうちの第2の人感センサは、第2の向きに配置されて前記一の方向とは逆の方向である他の方向に移動する人を検知する個別検知モードと、
前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサを、前記第1の向きおよび前記第2の向きが同一の向きとなるように配置して、前記同一の向きにおける前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを各々検知する方向検知モードと、
を有し、
前記2つの人感センサの検知結果に基づいて、前記個別検知モードおよび前記方向検知モードにおいて検知された前記一の方向に移動する人と検知された前記他の方向に移動する人とを、各々計数する計数回路を備えた、
人数管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人数管理装置であって、
前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサは、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサの各々の向く先を前記第1の向きまたは前記第2の向きへと変更する回動係止機構を有する、
人数管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の人数管理装置であって、
前記方向検知モードにおいて、前記2つの人感センサの前記検知結果である、前記第1の人感センサによる前記人を検知したタイミングと、前記第2の人感センサによる前記人を検知したタイミングとに基づいて、前記同一の向きにおける前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを各々検知する、
人数管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の人数管理装置であって、
前記方向検知モードにおいて、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサは、前記第1の向きおよび前記第2の向きが同一の向きとなるように配置した状態から、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサの各々の向く先を互いに離れる状態へと変更する回動係止機構を有する、
人数管理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の人数管理装置であって、
前記2つの人感センサは、各々、水平方向からの検知線を検知する水平センシング素子と、水平方向よりも下方からの検知線を検知する下方センシング素子とを有する、
人数管理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の人数管理装置であって、
前記人数管理装置の周囲に、前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを分けるパーティション部材が配置される、
人数管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人感センサと、所定の方向に移動する人を計数する計数回路とを備えた人数管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の方向に移動する人を、人感センサで検知して電子カウンタ等の計数回路でその人数を計数(カウント)する人数管理装置が使用されている。この従来の人数管理装置O1は、少なくとも2つの人感センサを備え、例えば入場方向に移動する人と、例えば退場方向に移動する人とを検知し、計数回路が各々の人数をカウントする。この場合、人数管理装置は、柱状の形態をして例えば所定の会場の入退場用ドアの中央付近に配置され、2つの人感センサのうちの第1の人感センサは、入場方向に移動する人(入場者)を検知するために第1の向きに配置され、2つの人感センサのうちの第2の人感センサは、退場方向に移動する人(退場者)を検知するために第2の向きに配置される。
【0003】
この従来の人数管理装置O1は、入退場用ドアに2つの通路が形成されるので、例えば広い入退場用ドアの場合に好適に使用しうる。第1の人感センサの第1の向きは、形成された2つの通路のうちの入場用通路を向く方向で、入場用通路にほぼ直交する方向であり(入場用通路向き、とも呼ぶ)、第2の人感センサの第2の向きは、形成された2つの通路のうちの退場用通路を向く方向で、退場用通路にほぼ直交する方向であることが多い(退場用通路向き、とも呼ぶ)。こうした構成により、従来の人数管理装置O1は、所定の会場への入場者数と退場者数とを各々カウントする。この従来の人数管理装置O1として、例えば、特許文献1や非特許文献1、2に記載されているような入退場管理装置が知られている。(以下、こうした人数管理装置を、個別検知装置と呼ぶ。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】GoStopper - Ampelsaule fur einen kontrollierten Zugang von Kunden in Geschafte und Laden. - Jablotron Alarmanlagen, Fachhandelspartner fur Optex, Teleradio, Provision-ISR,インターネット <URL:https://rewo-gmbh.de/tuersensoren/gostopper>
【非特許文献2】GoStopper - EInfache, mobile Zutrittssteuerung fur Geschafte / Corona,インターネット <URL:https://gostopper.de/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の人数管理装置O1では、入場者数と退場者数とから所定の会場における滞留人数が把握でき、例えば、会場の収容可能人数等から定めた入場上限数を設定し、入場上限数に達した場合に会場への入場を制限できる。これにより、例えばインフルエンザやコロナウイルス等の流行時に、各人の間のソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保する目的で、または、人の密集を避ける目的で、会場への入場人数をコントロールできる。
【0007】
一方、2つの人感センサおよび計数回路を備えた別の従来の人数管理装置O2として、例えば柱状の形態をして所定の会場の入退場用ドアの左端(または右端)に配置され、2つの人感センサを、上記入場用通路向きおよび上記退場用通路向きが同一の向きとなるように、かつ進行方向に離間するように配置して、この同一の向きにおける上記入場方向に移動する人と上記退場方向に移動する人とを各々検知し、計数回路が各々の人数をカウントするものがある。この場合、先述のように入退場用ドアに2つの通路が形成されることはなく、ただ1つの通路が存在するだけであり、通行人(入場者および退場者)は、その1つの通路を、譲り合って一人のみ、入場方向または退場方向に進む。すなわち、この1つの通路において、通行人の進行方向が、入場方向と退場方向とで混在する。このように、1つの通路が形成されるのみであるので、この別の従来の人数管理装置O2は、比較的狭い入退場用ドアの場合であっても好適に使用しうる。この別の従来の人数管理装置O2は、こうした構成であっても、上記の従来の人数管理装置O1と同様に、2つの人感センサの検知結果に基づいて、所定の会場への入場者数と退場者数とを各々カウントでき、入場者数と退場者数とから所定の会場における滞留人数が把握できる。(以下、こうした人数管理装置を、方向検知装置と呼ぶ。)
【0008】
しかし、上記の従来の人数管理装置O1は個別検知装置として、また、上記の別の従来の人数管理装置O2は方向検知装置として、上述のように使用される(機能を発揮する)が、上記の従来の人数管理装置O1の構成で方向検知装置としての使用はできず、また、上記の別の従来の人数管理装置O2の構成で個別検知装置としての使用はできないため、人数管理装置を配置する位置を自由に決定できず、当該配置位置は制限を受ける。よって、個別検知装置の機能と方向検知装置の機能のいずれかの機能が要求される状態では、すなわち、人数管理装置の配置位置が決定されるまでは、個別検知装置および方向検知装置の2台を用意しておかねばならない。
【0009】
そこで、本発明は、従来技術の有する上記欠点を解消して、配置位置の制限を受けない人数管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
【0011】
本発明に係る人数管理装置は、
2つの人感センサを備えた人数管理装置であって、
前記2つの人感センサのうちの第1の人感センサは、第1の向きに配置されて一の方向に移動する人を検知し、前記2つの人感センサのうちの第2の人感センサは、第2の向きに配置されて前記一の方向とは逆の方向である他の方向に移動する人を検知する個別検知モードと、
前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサを、前記第1の向きおよび前記第2の向きが同一の向きとなるように配置して、前記同一の向きにおける前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを各々検知する方向検知モードと、
を有し、
前記2つの人感センサの検知結果に基づいて、前記個別検知モードおよび前記方向検知モードにおいて検知された前記一の方向に移動する人と検知された前記他の方向に移動する人とを、各々計数する計数回路を備えている。
【0012】
この構成によれば、本発明に係る人数管理装置は、前記個別検知モードで、上述の個別検知装置として機能し、前記個別検知モードで、上述の方向検知装置として機能する上、前記計数回路が、前記2つの人感センサの検知結果に基づいて、前記個別検知モードおよび前記方向検知モードにおいて検知された前記一の方向に移動する人と検知された前記他の方向に移動する人とを、各々計数するので、前記人数管理装置を配置する位置を自由に決定することができ、当該配置位置は制限を回避することができる。
【0013】
上記構成において、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサは、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサの各々の向く先を前記第1の向きまたは前記第2の向きへと変更する回動係止機構を有してもよい。この構成により、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサを回動させることで、各々の向く先を前記第1の向きまたは前記第2の向きへと変更できるので、前記個別検知モードと前記方向検知モードとを容易に切り替えることができる、
【0014】
上記構成において、前記方向検知モードにおいて、前記2つの人感センサの前記検知結果である、前記第1の人感センサによる前記人を検知したタイミングと、前記第2の人感センサによる前記人を検知したタイミングとに基づいて、前記同一の向きにおける前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを各々検知してもよい。これにより、前記第1の人感センサによる前記人を検知したタイミングと、前記第2の人感センサによる前記人を検知したタイミングとに基づいて、例えば、両方のタイミングの差を算出してその符号を参照することで、前記2つの人感センサのうちのどちらが先に前記移動する人を検出したか判断可能である。その結果、前記移動する人の移動方向が判断可能になるため、前記方向検知モードにおいて、前記同一の向きにおける前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを各々検知できる。
【0015】
上記構成において、前記方向検知モードにおいて、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサは、前記第1の向きおよび前記第2の向きが同一の向きとなるように配置した状態から、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサの各々の向く先を互いに離れる状態へと変更する回動係止機構を有してもよい。これにより、前記移動する人の移動速度が速い場合に、前記移動する人の移動方向の判断結果と実際の前記移動する人の移動方向との間で、異なる場合が現実生じていたところ、前記第1の人感センサおよび前記第2の人感センサの各々の向く先を互いに離れる状態へと変更したことで、前記移動する人の移動方向の判断結果の誤判断を改善でき、前記方向検知モードにおいて、前記同一の向きにおける前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを各々、より正確に検知できる。
【0016】
この構成によれば、前記2つの人感センサは、各々、水平方向からの検知線を検知する水平センシング素子と、水平方向よりも下方からの検知線を検知する下方センシング素子とを有してもよい。これにより、前記水平センシング素子の検知結果と前記下方センシング素子の検知結果とで論理和をとった場合に、前記移動する人の移動の検知の精度を向上でき、両検知結果で論理積をとった場合に、それら2つのセンシング素子の一方のみしか検知されない小動物や飛来物等の移動を、前記移動する人の移動に誤検知する可能性を回避できる。
【0017】
この構成によれば、前記人数管理装置の周囲に、前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人とを分けるパーティション部材が配置されてもよい。この場合、前記一の方向に移動する人と前記他の方向に移動する人との間に境界を設けて各々の動線を明確にするので、前記2つの人感センサの検知結果に基づいて、前記個別検知モードおよび前記方向検知モードにおいて検知された前記一の方向に移動する人と検知された前記他の方向に移動する人とを、各々計数する精度を向上できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る人数管理装置は、従来技術の有する上記欠点を解消して、配置位置の制限を受けるのを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る人数管理装置の使用例を示す正面図である。
【
図1B】同人数管理装置の使用例の変形例を示す正面図である。
【
図1C】同人数管理装置の他の使用例を示す正面図である。
【
図1D】同人数管理装置の他の使用例の変形例を示す正面図である。
【
図3A】同人数管理装置で使用される人感センサの斜視図である。
【
図3B】同人感センサの別の姿勢を示す斜視図である。
【
図6】同人数管理装置とパーティション部材とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号は、同一または相当部分を示し、特段変更等の説明がない限り、適宜その説明を省略する。
【0021】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る人数管理装置1の使用例を示す。人数管理装置1は、少なくとも2つの人感センサ100と、キャスターを有する基部400とを備えたほぼ柱状の形態をなし、例えば所定の会場の入退場用ドアDOORの中央付近に配置されうる。2つの人感センサ100のうちの第1の人感センサ110は、例えば入場方向である一の方向R1に移動する人(入場者)を検知するために第1の向きX1に配置され(すなわち、同図右方の第1の向きX1側からの検知線D1を検知し)、2つの人感センサ100のうちの第2の人感センサ130は、一の方向とは逆の方向である例えば退場方向である他の方向R2に移動する人(退場者)を検知するために第2の向きX2に配置される(すなわち、同図左方の第2の向きX2側からの検知線D2を検知する)。本実施形態の人感センサ100は、PIR(Passive Infrared Ray)型であるがAIR(Active Infrared Ray)型であってもよい。なお、検知線として、本実施形態では赤外線が使用されるが、他に、レーザー光やマイクロ波等が使用されてもよい。第1の人感センサ110の第1の向きX1は、形成された2つの通路のうちの入場用通路を向く方向で、入場用通路にほぼ直交する方向であり(入場用通路向き)、第2の人感センサ130の第2の向きX2は、形成された2つの通路のうちの退場用通路を向く方向で、退場用通路にほぼ直交する方向である(退場用通路向き)。人数管理装置1は、人感センサ100で入場方向R1に移動する人と退場方向R2に移動する人とを各々検知し、後述の計数回路210(
図4)が各々の人数をカウントする。同図の人数管理装置1の使用例は、後述の個別検知モードにおける使用例である。なお、本実施形態では、説明の煩雑化を避けるため、1フロアの小型店舗において、会場に入退場用ドアDOORが一つのみ設けられている前提で説明を行う。
【0022】
図1Bは、
図1Aに対して、第1の向きX1と第2の向きX2の位置関係が逆になっているだけで(すなわち、同図左方が第1の向きX1であり、同図右方が第2の向きX2である)、他は同じである。
【0023】
図1Cは、本発明の一実施形態に係る人数管理装置1の他の使用例を示す。人数管理装置1は、例えば所定の会場の入退場用ドアDOORの左端付近に配置され、人の進行方向に離間する2つの人感センサ110,130を配置している。人感センサ110の第1の向きX1、および人感センサ130の第2の向きX2が同一の向きX3(同図右方)となるように設定されており、この同一の向きX3における入場方向R1に移動する人と退場方向R2に移動する人とを各々区別して検知し、後述の計数回路210(
図4)が各々の人数をカウントする。この場合、先述のように入退場用ドアに1つの通路が形成され、通行人(入場者および退場者)は、その1つの通路を、譲り合って一人のみ、入場方向または退場方向に進む。同図の人数管理装置1の使用例は、後述の方向検知モードにおける使用例である。
【0024】
図1Dは、
図1Cに対して、人数管理装置1が所定の会場の入退場用ドアDOORの右端付近に配置され、同一の向きX3が同図左方となって異なっているだけで、他は同じである。
【0025】
図2に、本実施形態の人数管理装置1の外観斜視図を示す。人数管理装置1は、上述のように、4つのキャスターを有して可搬型であり、基部400に柱部410が直立した、ほぼ柱状の形態となっている。柱部410には、一側面の鉛直方向のほぼ中央に、第1の人感センサ110が設けられており、同一側面の鉛直方向の最上部付近に、表示部300が設けられている。同一側面の反対側である他側面の鉛直方向のほぼ中央に、第2の人感センサ130が蓋部に設けられた電源ボックスBが取り付けられており、同他側面の鉛直方向の最上部付近に、入力部230が表面に存在する制御ボックス200が設けられている。
【0026】
表示部300は、入場可能な場合に例えば緑色に点灯されるランプ310と、入場不可能(すなわち進入禁止)な場合に例えば赤色に点灯されるランプ350と、会場が入場上限数まであと僅かの場合に例えば黄色に点灯されるランプ330(すなわち会場が密状態に近いことを知らせるランプ)とを含む。電源ボックスBは、本実施形態の人数管理装置1が可搬型であり、バッテリー駆動による完全モバイル化とされているため、電池ボックスが含まれている。なお、可搬型である本実施形態の人数管理装置1は、例えば、無断で持ち去りが出来ないように既知のタンパ機能を有している。人数管理装置1が据置型の場合は、電源ボックスBは商用電源を受電する降圧回路等を含む。
【0027】
制御ボックス200は、電子回路基板等を内蔵し、後述の計数回路210を内蔵する。入力部230は、表示用のディスプレイとプッシュスイッチ等の各種スイッチを備えており、ディスプレイには入場者および退場者のカウント値、会場の入場上限数等が表示され、各種スイッチでは会場の入場上限数の設定や上記カウント値が現実と異なる場合の補正入力が可能である。なお、入場者数表示では、会場の入退場用ドアDOORを通過した会場関係者を入場者数に含めないために、会場関係者の人数Nだけ減らした数値を加味して表示できる(すなわち、開場前はデフォルト値として-Nの値が表示される)。
【0028】
図3Aに人数管理装置1で使用される人感センサ100について、第1の人感センサ110を例に説明する。
図3Bについても併せて説明する。なお、第2の人感センサ130の構成は、第1の人感センサ110の構成と同じである。第1の人感センサ110は、同第1の人感センサ110の向く先を第1の向きX1または第2の向きX2へと変更する回動係止機構117を有している。回動係止機構117は、柱部410(
図2)側に存在する被係止機構201と、第1の人感センサ110が軸A1に対し時計周りおよび反時計回りの回動可能に、公知の構成で機械的摩擦力により係合している。第1の人感センサ110は、水平方向からの検知線D1(
図6)を検知する水平センシング素子113と、水平方向よりも下方からの検知線D1(
図6)を検知する下方センシング素子115とを有している。この水平センシング素子113の検知結果と下方センシング素子115の検知結果とで論理積をとることで、それら2つのセンシング素子の一方のみしか検知されない小動物や飛来物等の移動を、人の移動として誤検知する可能性を回避できる。第2の人感センサ130においては、
図2のように、水平方向からの検知線D2(
図6)を検知する水平センシング素子133と、水平方向よりも下方からの検知線D2(
図6)を検知する下方センシング素子135とを有している。
【0029】
図4を参照して、同人数管理装置の機能ブロック図を説明する。個別検知モード、方向検知モードおよび計数回路210についても併せて説明する。ここで、計数回路210は、制御ボックス200内の電子回路基板上において、各種のIC(Integrated Circuit)、ASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)およびゲートアレイ等のハードウエアで実現されてもよいし、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)および該プロセッサで実行されるプログラムを内蔵したROM(Read Only Memory)等を用いてソフトウエアで実現されてもよい。第1、第2の人感センサ110、130からの検知信号が制御ボックス200内蔵の計数回路210に入力される。個別検知モードでは、個別検知モード演算部213において、第1、第2の人感センサ110、130からの検知信号が入力される度に、それぞれ対応する入場者数、退場者数をカウントする。これらの入場者数のカウント値と退場者数のカウント値の差から会場内の滞留人数が把握できる。方向検知モードでは、方向検知モード演算部215において、後述のように、第1、第2の人感センサ110、130の検知結果である、第1の人感センサ110による人を検知したタイミングと、第2の人感センサ130による人を検知したタイミングとに基づいて、具体的には、第1、第2の人感センサ110、130からの検知信号がアサートされる(アクティブ状態となる)順番に基づいて、入場者か退場者かが各々検知(判断)され、入場者数、退場者数がカウントされる。こうしたモードの切替えは、開場前に入力部230から行いうる。なお、上述の、水平センシング素子113の検知結果と下方センシング素子115の検知結果との論理積演算は、本実施形態では、計数回路210でなされる。
【0030】
計数回路210の出力、すなわち上記入場者数のカウント値、退場者数のカウント値、会場内の滞留人数等の結果は、出力記憶部250に記憶され、当該保存内容は、比較判定部290に出力される。比較判定部290では、閾値記憶部270に記憶されている閾値すなわち入力部230で設定された会場の入場上限数と出力記憶部250からの会場内の滞留人数とが比較される。当該比較結果に基づき、緑色ランプ310、黄色ランプ330、赤色ランプ350のいずれを点灯するか決定され、表示部300に点灯信号が出力される(すなわち、緑色ランプ310、黄色ランプ330、赤色ランプ350のいずれかに給電される)。なお、出力記憶部250からの上記入場者数のカウント値、退場者数のカウント値等は、図示されない入力部230の上記表示用ディスプレイに表示される。
【0031】
図5を参照して、方向検知モードにおいて入場者か退場者かを検知する手法について説明する。同図(A)、(B)は、人数管理装置1が設置された状態を鉛直方向から見た図であり、同図(A)の上方から下方へ人が進行する。この場合、第1の人感センサ110が、時刻t1に、まず進行する人を検知し、検知信号がアサートされ(すなわち、時刻t1に第1の人感センサ110から電圧V方向の信号が発生する)、次に、第2の人感センサ130が、時刻t2に、進行する人を検知し検知信号がアサートされ、第1の人感センサ110、第2の人感センサ130の順に検知信号がアサートされる。なお、図での説明は割愛するが、同図(A)の下方から上方へ人が進行する場合は、第2の人感センサ130、第1の人感センサ110の順に検知信号がアサートされる。以上のように、第1、第2の人感センサ110、130の検知結果である、第1の人感センサ110による人を検知したタイミング(時刻t1)と、第2の人感センサ130による人を検知したタイミング(時刻t2)とに基づいて、具体的には、第1、第2の人感センサ110、130からの検知信号がアサートされる順番に基づいて、入場者か退場者かが各々検知することができる。
【0032】
ここで、移動する人の移動速度が速い場合には、計数回路210(方向検知モード演算部215)における移動する人の移動方向の判断結果と、実際の前記移動する人の移動方向との間で異なることが現実に発生している。これは例えば、
図5(A)の移動する人が、移動速度が速い場合に、第2の人感センサ130の検知エリアに先に突入している可能性や、第1、2の人感センサ110、130の検知エリアにほぼ同時に突入した結果(すなわち時刻t1と時刻t2の差が小さくなる)、第2の人感センサ130の信号のアサートが第1の人感センサ110の信号のアサートよりも僅かに先になってしまう(すなわち時刻t2と時刻t1とが逆転する)可能性が理由と考え得る。
【0033】
そこで、同図(B)のように、第1の人感センサ110の向く先と、第2の人感センサ130の向く先を、人の進行方向に沿って互いに離れる状態(同図では上下方向に離れる状態)へと変更することで、第1の人感センサ110による人を検知したタイミングを早めて(時刻tt1)、第2の人感センサ130による人を検知したタイミングを遅くすることで(時刻tt2)、時刻tt1と時刻tt2の差が同図(A)の時刻t1と時刻t2の差と比較して大きくなって上述の可能性を低減でき、移動する人の移動方向の判断結果の誤判断を改善して、方向検知モードにおいて、入場者と退場者とを各々より正確に検知できる。これは、上記回動係止機構117により、第1の人感センサ110および第2の人感センサ130を回動させて、同一の向きX3となるように配置した状態から、第1の人感センサ110および第2の人感センサ130の各々の向く先を互いに離れる状態へと変更することで実現できる。
【0034】
本実施形態の人数管理装置1は、例えば
図6のように、その周囲に、入場方向に移動する人と退場方向に移動する人とを分けるパーティション部材P1,P3が配置されてもよい。例えば、パーティション部材P1は複数のポールであり、パーティション部材P3はポール間のベルトである。同図では、人数管理装置1が一つのパーティション部材P1に設けられて2つの通路(入場用通路、退場用通路)が形成されているが、この限りではない。この場合、入場方向に移動する人と退場方向に移動する人との間に境界を設けて各々の動線を明確にするので、前記2つの人感センサの検知結果に基づいて、検知された入場方向に移動する人と検知された退場方向に移動する人とを各々計数する精度を向上できる。なお、これに加えて、または、これとは別に、入場方向R1や退場方向R2を示す表示P5,P7が、床に表示されていてもよい。
【0035】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
例えば、上記実施形態では、1フロアの小型店舗において会場に入退場用ドアが一つのみ設けられている前提で説明を行ったが、実際の小型店舗では、会場に入退場用ドアが複数設けられていることも多く、人数管理装置1が複数台使用されることも起こりうる。その場合、複数台の人数管理装置1が、ワイヤレスで、カウント一括制御を行うサーバ(不図示)に接続される形態が採用されてもよい。複数台の人数管理装置1とサーバとがワイヤレスで接続される形態の場合、
図4の制御ボックス200や入力部230の機能は共通化しうるので、サーバがこうした制御ボックス200や入力部230の機能を備える。一方で、人数管理装置1では、2つの人感センサ110、130と表示部300のみを使用し、制御ボックス200や入力部230は機能を停止する。すなわち、各人数管理装置1の人感センサ110、130からの検知信号をサーバが受けとり、各人数管理装置1に対応する入退場用ドアの入退場者数を算出し、全入退場用ドアの入退場者数から会場の滞留人数を算出し、入場上限数と算出した滞留人数とを比較して、各人数管理装置1の
図2に示す表示部300の、緑色ランプ310、黄色ランプ330、赤色ランプ350のいずれかを点灯させる。
【符号の説明】
【0037】
1 人数管理装置
100 (2つの)人感センサ
110 第1の人感センサ
113 水平センシング素子
115 下方センシング素子
117 回動係止機構
130 第2の人感センサ
210 計数回路
213 個別検知モード(演算部)
215 方向検知モード(演算部)
P1 パーティション部材
P3 パーティション部材
R1 入場方向(一の方向)
R2 退場方向(他の方向)
X1 第1の向き
X2 第2の向き
X3 同一の向き