(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021810
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】レンズ調整機構およびレンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20220127BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125626
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蔡 思祺
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AC01
2H044AJ04
(57)【要約】
【課題】レンズ鏡筒において簡易かつ十分にレンズの配置の調整が可能な機構およびレンズ鏡筒を実現する。
【解決手段】レンズ鏡筒(10)は、鏡筒(2)内で支持される枠に装着されたレンズ(5)の光軸の向きを調整するために、鏡筒(2)内において光軸を傾かせる方向に枠を可動に支持する支持部と、レンズ(5)の光軸が特定の方向に向くときの枠を、光軸を傾かせる方向に対して固定するための固定部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒内で支持される枠に装着されたレンズの光軸の向きを調整するためのレンズ調整機構であって、
前記鏡筒内において前記枠を傾倒可能に支持する支持部と、
前記枠が傾倒可能な範囲における特定の位置で前記枠を固定するための固定部と、
を有する、レンズ調整機構。
【請求項2】
前記支持部は、球状の支点部と、前記支点部の外側から前記支点部を回動可能に支持する支点支持部と、によって構成される、請求項1に記載のレンズ調整機構。
【請求項3】
前記固定部は、前記枠の外側から前記枠に面して開口し、前記傾倒可能な方向の少なくとも一部の方向に沿って延在する孔部と、前記枠が有する穴に前記孔部を介して進入可能な連動ピンと、を含む、請求項1又は2に記載のレンズ調整機構。
【請求項4】
前記支持部は、前記鏡筒に前記枠を直接支持し、前記鏡筒は、前記孔部を有する、請求項3に記載のレンズ調整機構。
【請求項5】
前記枠は、前記鏡筒の軸方向に沿って移動可能な主枠に前記支持部を介して支持され、前記孔部は、前記主枠に形成される、請求項3に記載のレンズ調整機構。
【請求項6】
前記孔部を介して前記穴に進入している前記連動ピンは、前記鏡筒が有する窓部を介して、前記鏡筒の外側から操作可能である、請求項5に記載のレンズ調整機構。
【請求項7】
前記主枠は、前記枠に保持される前記レンズと同じ光軸を有すべきさらなるレンズを保持する、請求項5または6に記載のレンズ調整機構。
【請求項8】
前記孔部に接着剤が充填されてなる接着部をさらに含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のレンズ調整機構。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のレンズ調整機構を含むレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ調整機構およびレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラなどの光学機器では、通常、複数のレンズを有し、その一部のレンズを移動させるレンズ鏡筒が使用されている。当該レンズ鏡筒には、ステッピングモータを用いて移動させるレンズ群を有するレンズ鏡筒が知られている。ステッピングモータを用いて移動させるレンズ群では、光軸倒れと呼ばれる現象が発生する場合がある。光軸倒れとは、レンズ群の移動を案内するガイドポールの傾きまたはレンズ鏡筒を構成する部材の成形バラツキによって、レンズ群の光軸が所期の向きに対して傾く状態でレンズ群が配置されることを言う。また、鏡筒内に固定されているレンズ群についても、レンズが締結される枠における締結面の高さ方向における成形バラツキにより、レンズの光軸倒れが発生する場合がある。さらに、レンズ鏡筒の状態で鏡筒内のレンズの光軸倒れを外部から調整することは、一般に困難である。
【0003】
上記のようなレンズ群の位置を調整するための技術としては、鏡筒に形成された調整用の孔を介して鏡筒の外部から傾斜するレンズの配置を調整可能な構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上記の技術としては、レンズの外周側からのねじの進出に応じた弾性部材の弾性力に応じて、レンズを装着する枠(以下、「レンズ枠」とも言う)の光軸方向における位置を調整可能な構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、上記の技術としては、ガイドポールの傾きを調整することにより、ガイドポールに挿通されているレンズ枠の傾きを調整する構造が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-158525号公報
【特許文献2】特開2012-103310号公報
【特許文献3】特開2014-21411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載の構造では、レンズ枠の周方向における一か所ごとにレンズ枠を光軸方向に変位させる。このため、通常、レンズ枠の傾斜を調整するためには、複数箇所から適切な量だけレンズ枠を変位させる必要があり、レンズの調整が煩雑となることがある。特許文献3に記載の構造では、ガイドポールとレンズとが一体的に傾くため、レンズの傾きの調整がレンズの移動の軌道の傾きとして許容される範囲に制限され、レンズの傾きの調整が不十分になることがある。
【0006】
本発明の一態様は、レンズ鏡筒において簡易かつ十分にレンズの配置の調整が可能な機構およびレンズ鏡筒を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレンズ調整機構は、鏡筒内で支持される枠に装着されたレンズの光軸の向きを調整するためのレンズ調整機構であって、前記鏡筒内において前記枠を傾倒可能に支持する支持部と、前記枠が傾倒可能な範囲における特定の位置で前記枠を固定するための固定部と、を有する。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレンズ鏡筒は、上記のレンズ調整機構を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、レンズ鏡筒において簡易かつ十分にレンズの配置の調整が可能な機構およびレンズ鏡筒を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係るレンズ鏡筒の構成を模式的に示す部分断面図である。
【
図2】本発明の実施形態1における鏡筒の内側の構成を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1における鏡筒の外側の構成を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の実施形態1における可動枠の構成を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態1における主枠の構成を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の実施形態1における主枠の構成を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の実施形態1における副枠の構成を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の実施形態1における副枠の構成を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の実施形態1における連動ピンの構成を模式的に示す図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係るレンズ鏡筒における可動枠の組み立て順を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態1における副枠が連動ピンによって主枠に固定されている状態を模式的に示す図である。
【
図12】本発明の実施形態1における副枠が連動ピンによって主枠に固定されている状態を模式的に示す部分断面図である。
【
図13】
図4の可動枠をC-C線で切断した断面を模式的に示す図である。本発明の実施形態1におけるレンズのピッチ方向における向きの調整を説明するための図である。
【
図14】
図4の可動枠をB-B線で切断した断面を模式的に示す図である。本発明の実施形態1におけるレンズのヨー方向における向きの調整を説明するための図である。
【
図15】本発明の実施形態1における鏡筒の外側の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図16】本発明の実施形態2における可動枠の構成を模式的に示す図である。
【
図17】本発明の実施形態2に係るレンズ鏡筒における可動枠の組み立て順を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態3に係る可動枠を模式的に示す図である。
【
図19】本発明の実施形態4に係るレンズ鏡筒の構成を模式的に示す部分断面図である。
【
図20】本発明の実施形態5に係るレンズ鏡筒の構成を模式的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
[レンズ鏡筒の構成]
図1は、本発明の実施形態1に係るレンズ鏡筒の構成を模式的に示す部分断面図を示す模式図である。
図1に示されるように、レンズ鏡筒10は、鏡筒2、可動枠3、前群枠4、およびレンズ5を有する。鏡筒2は、軸方向に直交する断面形状が略正方形である略角筒である。なお、図中のXは、鏡筒2の軸に沿う方向を表し、Yは、当該断面形状における略正方形の対向する一対の対角方向を表し、Zは、当該略正方形の対向するもう一対の対角方向を表す。X、Y、Zはいずれも互いに直交する方向である。また、鏡筒2の断面形状におけるY方向に対向する角部のうち、
図1中の上側の角部を「第一角部」とも言い、下側の角部を「第二角部」とも言う。
【0013】
鏡筒2は、第一鏡筒21および第二鏡筒22から構成されている。第一鏡筒21は、X方向における鏡筒2のうちの対物側の部分であり、第二鏡筒22は、X方向における鏡筒2のうちの像面側の部分である。第一鏡筒21は、Y方向における第一角部においてX方向に沿って延在するガイドポール23を有する。可動枠3は、第一鏡筒21において、ガイドポール23に挿通されており、不図示のステッピングモータなどの駆動装置よって、ガイドポール23に沿って移動可能に設置されている。
【0014】
図2は、本実施形態における鏡筒の内側の構成を模式的に示す図である。
図3は、本実施形態における鏡筒の外側の構成を模式的に示す図である。
図2および
図3に示されるように、第一鏡筒21は、Y方向における第二角部において、X方向に沿って延在するガイド溝24および窓部25を有する。
【0015】
ガイド溝24は、第一鏡筒21における第二角部の内壁面に開口する溝である。ガイド溝24をYZ平面で切断した断面形状はU字状である。窓部25は、第一鏡筒21における第二角部の外壁面に開口し、Y方向を深さ方向としてガイド溝24に到達するスリットである。ガイド溝24および窓部25は、第一鏡筒21の内外を連通している。ガイド溝24および窓部25は、いずれも、X方向において、可動枠3のX方向における移動範囲にわたって形成されている。
【0016】
図4は、本実施形態における可動枠の構成を模式的に示す図である。
図4に示されるように、可動枠3は、主枠31と副枠32とを有する。主枠31は、平面視したときに副枠32の周囲を囲み、副枠32は、平面視したときに主枠31の内側に位置して主枠31に固定される。可動枠3は、木の葉様の平面形状を有している。当該平面形状は、略正方形のうち、Y方向における第一角部および第二角部に直角様の角部を有し、Z方向において対向するもう一対のそれぞれの対角部が丸みを有する湾曲部を有する。可動枠3には、Y方向における第一角部にガイドポール23が挿通されており、X方向に沿って第一鏡筒21内を移動可能に構成されている。
【0017】
図5、
図6は、いずれも本実施形態における主枠の構成を模式的に示す図である。
図5は、X方向に対して斜めの方向から見た主枠31を示しており、
図6は、Y方向における第二角部側から見た主枠31を示している。主枠31は、本体311、光路孔312、ガイド孔313、支点支持部314、嵌合凸部315、差し込み孔316および孔部317を有する。
【0018】
本体311は、平面視したときに、前述した木の葉様の外形を有しており、中央部には光路孔312を有している。光路孔312は、円形部とその円周から第一角部に向けて延在する矩形部とを含む平面形状を有している。ガイド孔313は、本体311における第一角部をX方向に沿って貫通する、円形の開口形状を有する孔である。ガイド孔313には、ガイドポール23が挿通される。
【0019】
支点支持部314は、光路孔312の第一角部側における矩形部の端部に配置されている。支点支持部314は、光路孔312の円形部における中央に向けて開口する半球状のくぼみを有している。
【0020】
嵌合凸部315は、本体311のY方向における第二角部の先端に位置している。嵌合凸部315は、Y方向に沿って見たときにX方向を長手方向とする凸部である。嵌合凸部315をX方向から見た形状は、U字形であり、Y方向における外側がU字形における湾曲部である。嵌合凸部315は、第一鏡筒21における前述したガイド溝24に嵌合可能に形成されている。
【0021】
差し込み孔316は、本体311を貫通する孔であり、Y方向において、本体311の第二角部で嵌合凸部315に光路孔312側で隣り合う位置にある。差し込み孔316の平面視したときの形状は、矩形である。
【0022】
孔部317は、嵌合凸部315をY方向に沿って貫通する孔であり、Y方向に沿ってみたときにX方向を長手方向とする矩形の開口形状を有する。孔部317は、差し込み孔316に面して開口している。すなわち、孔部317は、嵌合凸部315のY方向における外側と差し込み孔316とをY方向に連通している。このように、孔部317は、主枠31に形成されている。
【0023】
また、孔部317の平面形状における両側間の距離(Z方向の距離)は、後述する連動ピン6の本体は通過するが頭部が当接して通過できない所定の距離となっている。孔部317のZ方向において対向する両側縁は、X方向において、第一鏡筒21の外側に向けて突出するように湾曲している。当該両側縁の湾曲形状における曲率半径は、後述する支点部325から当該両側縁までの距離である。
【0024】
図7は、本実施形態における副枠の構成を模式的に示す図である。
図8は、本実施形態における副枠の構成を模式的に示す図である。
図7および
図8に示されるように、副枠32は、本体321、レンズ孔322、第一凸部323、第二凸部324、および支点部325を有する。
【0025】
本体321は、レンズ枠部3211およびレンズ支持部3212を含む。レンズ枠部3211は、平面視したときの形状が円環状である板状の部分である。レンズ支持部3212は、平面視したときの形状が台形状である板状の部分であり、レンズ枠部3211の周縁部からY方向に沿って延出している。
【0026】
レンズ孔322は、レンズ枠部3211で囲まれた円形状の孔であり、レンズ孔322にはレンズ5が装着されている。このように、副枠32は、レンズ5を装着する枠に該当する。
【0027】
第一凸部323は、レンズ枠部3211の外周縁部の、Y方向におけるレンズ支持部3212とは反対側の部分からX方向に沿って突き出た部分である。第二凸部324は、レンズ支持部3212のY方向における先端から、X方向沿って突き出た部分である。第一凸部323および第二凸部324は、いずれも、X方向の一方向、すなわち副枠32が主枠31に装着されるときの主枠31側、に向けて突き出ている。
【0028】
第二凸部324は、第二凸部324をY方向に沿って貫通するピン孔326を有している。ピン孔326の断面形状は、ピン孔326におけるレンズ支持部3212の先端側の開口部を除き、円形である。ピン孔326における当該開口部の開口形状は、円形とそれに重なるとともに当該円形から両端がはみ出る矩形とを組み合わせた形状である。
【0029】
支点部325は、第一凸部323からY方向に沿って突出して配置されている球状の部分である。支点部325は、主枠31における支点支持部314の半球状のくぼみに嵌合するように形成されている。
【0030】
副枠32を主枠31に固定する際に、連動ピンが用いられる。
図9は、本実施形態における連動ピンの構成を模式的に示す図である。
図9に示されるように、連動ピン6は、円柱状の本体61と、本体61の一端に位置し、本体61よりも径大な頭部62と、本体61の周壁から突出する一対の筐体状の突出部63、63とを有している。平面視したときの頭部62の形状は円形であり、頭部62は、その表面を径方向に沿って横断する直線状の溝部64を有している。連動ピン6を突出部63の位置で横断するように切断したときの断面形状は、ピン孔326の前述した開口形状と同じである。
【0031】
[レンズをレンズ鏡筒内に配置するための手順]
図10は、本実施形態に係るレンズ鏡筒における可動枠の組み立て順を示す図である。まず、主枠31のガイド孔313には、レンズ鏡筒10のガイドポール23が挿通されている。また、主枠31の嵌合凸部315は、第一鏡筒21のガイド溝24に嵌合する。主枠31は、X方向への移動では、Y方向における第一角部側ではガイドポール23に案内され、Y方向における第二角部側ではガイド溝24に案内される。
【0032】
また、嵌合凸部315がガイド溝24に嵌合した状態では、嵌合凸部315における孔部317は、窓部25を介して、第一鏡筒21の外部と主枠31の差し込み孔316とを連通する。
【0033】
前述したように、レンズ5は、副枠32のレンズ孔322に装着されている。レンズ5を装着した副枠32を主枠31に固定することにより、レンズ5は、レンズ鏡筒10においてX方向に移動可能に配置される。
【0034】
まず、
図10の矢印S1で示されるように、副枠32の支点部325が、主枠31の支点支持部314に嵌め込まれる。このように、副枠32は、ボールジョイントによって主枠31に支持される。このようにして、球状の支点部325と、支点部325の外側から支点部325を回動可能に支持する支点支持部314と、からなる構成される支持部によって、副枠32が鏡筒2内において傾倒可能に支持される。そして、副枠32は、第一鏡筒21のX方向に沿って移動可能な主枠31に、上記支持部を介して支持される。
【0035】
次いで、矢印S2で示されるように、副枠32の第二凸部324が、主枠31の差し込み孔316にX方向に沿って挿入される。次いで、矢印S3に示されるように、連動ピン6が主枠31の孔部317から副枠32の第二凸部324のピン孔326へ挿入される。なお、連動ピン6は、窓部25を介して第一鏡筒21の外側から挿入される。
【0036】
連動ピン6を用いる副枠32の主枠31への固定をより詳しく説明する。
図11は、本実施形態における副枠が連動ピンによって主枠に固定されている状態を模式的に示す図である。
図12は、本実施形態における副枠が連動ピンによって主枠に固定されている状態を模式的に示す部分断面図である。
【0037】
図11および
図12に示されるように、連動ピン6は、主枠31の孔部317から、主枠31の差し込み孔316に挿入されている副枠32の第二凸部324のピン孔326に挿入される。連動ピン6は径大な頭部62を有することから、連動ピン6は孔部317の側縁に当接する。そして、前述したように、孔部317の側縁部は、支点部325のY方向における距離を曲率半径とする円弧状に形成されている。当該曲率半径は、副枠32のX方向に沿うスイング運動の半径であり、Y方向における支点支持部314に嵌合したときの支点部325の球形部の中心から孔部317の側縁部までの距離である。
【0038】
また、連動ピン6が突出部63を有し、突出部63における連動ピン6の断面形状とピン孔326の開口形状とが同じであることから、連動ピン6の突出部63は、ピン孔326の開口部において第二凸部324に当接する。このようにして、連動ピン6は、副枠32と係合する。
【0039】
さらに、連動ピン6の本体61の断面形状とピン孔326の断面形状とはいずれも円形であることから、連動ピン6の先端部は第二凸部324を貫通する。挿入時における連動ピン6の操作は、連動ピン6の頭部62の溝部64を利用して、マイナスドライバなどの適当な工具を用いて、第一鏡筒21の外側から実施することが可能である。このように、孔部317を介してピン孔326に進入している連動ピン6は、第一鏡筒21が有する窓部25を介して、第一鏡筒21の外側から操作可能である。
【0040】
[レンズの位置の調整]
第一鏡筒21内に配置されたレンズ5の位置の調整を説明する。
図13は、
図4の可動枠をC-C線で切断した断面を模式的に示す図である。
図13を参照して、本実施形態におけるレンズのピッチ方向における向きの調整を説明する。なお、X方向に向いているレンズの向きの上下方向(Y方向)の動きをピッチとし、レンズの向きの横方向(Z方向)の動きをヨーとする。
【0041】
前述したように、支点部325は、支点支持部314に回動可能に支持されており、連動ピン6は、突出部63によってピン孔326の開口部に係合し、孔部317の円弧状の側縁部に沿って移動可能である。よって、副枠32は、
図13の矢印M1に示されるように、支点部325を中心とするスイング運動が、孔部317がX方向に開口している範囲において可能である。このスイング運動の方向に副枠32が移動すると、副枠32に装着されているレンズ5の光軸OAの向きは、
図13における矢印M2方向に変化する。よって、連動ピン6の孔部317のX方向における位置に応じて、レンズ5の光軸OAにおけるピッチ方向の向きが調整される。
【0042】
図14は、
図4の可動枠をB-B線で切断した断面を模式的に示す図である。
図14を参照して、本実施形態におけるレンズのヨー方向における向きの調整を説明する。前述したように、支点部325は、支点支持部314に回動可能に支持されており、連動ピン6は、突出部63によってピン孔326の開口部に係合している。よって、副枠32は、
図14の矢印M3に示されるように、XZ平面における支点部325の中心を通りY方向に沿う軸を中心とするスイング運動が、例えば第二凸部324の移動が差し込み孔316の縁で規制される範囲において可能である。このスイング運動の方向に副枠32が移動すると、副枠32に装着されているレンズ5の光軸OAの向きは、
図14における矢印M3方向に変化する。よって、連動ピン6の溝部64にマイナスドライバを当接させて連動ピン6を回動させることにより、レンズ5の光軸OAにおけるヨー方向の向きが調整される。
【0043】
[連動ピンの固定]
上記のようにして、第一鏡筒21内に配置された状態のレンズ5の光軸OAの向きを、ピッチ方向およびヨー方向において調整する。次いで、UV接着剤などの接着剤を孔部317に塗布または注入し、硬化させる。これにより、連動ピン6と主枠31の孔部317とが接着され、および、連動ピン6と副枠32とが接着される。このようにして、孔部317に接着剤が充填されてなる接着部が形成される。
【0044】
このようにして、副枠32が傾倒可能な範囲における特定の位置で副枠32を固定される。本実施形態では、上記の副枠32を固定するための構成は、孔部317と、副枠32が有するピン孔326に孔部317を介して進入可能な連動ピン6とを含んでいる。孔部317は、副枠32の外側に位置する主枠31の嵌合凸部315に開口するとともに副枠32に面して開口している。また、孔部317は、副枠32が傾倒可能な方向の一方向であるX方向に沿って延在している。
【0045】
図15は、本実施形態における鏡筒の外側の構成の一例を模式的に示す図である。上記のようにして副枠32を主枠31に固定した後に、第一鏡筒21の窓部25を遮光シール7で塞ぐように、遮光シール7を第一鏡筒21における第二角部の外壁面に貼り付ける。それにより、窓部25からの不要な光が遮光される。こうして、可動枠3に装着されているレンズ5の光軸OAの向きが適切に調整されたレンズ鏡筒10が得られる。レンズ鏡筒10は、上記のようにして第一鏡筒21内でレンズ5の向きを調整可能なレンズ調整機構を含んでいる。
【0046】
[作用効果]
可動枠3を有するレンズ鏡筒10は、通常、鏡筒2内に配置されたレンズ5が、鏡筒2内に配置される他のレンズと実質的に同一の光軸を有するように設計される。可動枠3は樹脂製であってよく、このような可動枠3では、鏡筒2内を移動可能なレンズ5の光軸と、鏡筒2に固定されている他のレンズの光軸とがずれることがある。その理由の一例としては、ガイドポール23を挿通させるためのガイド孔313が成形のばらつきにより傾くなどの成形上の予期せぬ理由が挙げられる。
【0047】
レンズ鏡筒10は、上記のようなレンズ調整機構を有する。当該レンズ調整機構とは、鏡筒2内で支持される可動枠3に装着されたレンズ5の光軸の向きの調整を可能とする構造である。前述のように、本実施形態では、主枠31が有する孔部317が連動ピン6の本体61の直径と実質的に同じ大きさの幅を有する。また、孔部317の側縁部は、支点部325の中心を原点とするR形状で形成されている。このため、副枠32は、孔部317のX方向における範囲において、Z方向に沿う軸を回転中心とした回転運動をすることができ、その結果、レンズ5のピッチ方向における光軸OAの傾きを調整することが可能である。
【0048】
また、差し込み孔324に挿入された連動ピン6は、突出部63によって副枠32に係合している。よって、溝部64に進入可能なマイナスドライバなどの工具を使って連動ピン6を回すことにより、副枠32は、Y方向に沿う軸を回転中心とした回転運動をすることができ、その結果、レンズ5のヨー方向における光軸OAの傾きを調整することが可能である。このように、本実施形態では、上記の二軸の回転方向における位置調整により、レンズ鏡筒10内のレンズ5の光軸OAが、連動ピン6を鏡筒2の外側から操作することにより、適切な向きに調整される。
【0049】
[本実施形態のまとめ]
本実施形態のレンズ調整機構は、鏡筒(2)内で支持される枠(副枠32)に装着されたレンズ(5)の光軸(OA)の向きを調整するためのレンズ調整機構であり、鏡筒内において枠を傾倒可能に支持する支持部と、当該枠が傾倒可能な範囲における特定の位置で枠を固定するための固定部とを有する。本実施形態によれば、レンズ鏡筒において簡易かつ十分にレンズの配置の調整が可能な機構およびレンズ鏡筒を実現することができる。
【0050】
本実施形態では、支持部は、球状の支点部(325)と、支点部の外側から支点部を回動可能に支持する支点支持部(314)とによって構成されている。この構成は、簡素な構成で十分に高い自由度で移動可能に副枠を支持する観点からより一層効果的である。
【0051】
本実施形態では、固定部は、枠の外側から上記の枠に面して開口し、当該枠の傾倒可能な方向の少なくとも一部の方向(X方向)に沿って延在する孔部(317)と、枠が有する穴(ピン孔326)に孔部を介して進入可能な連動ピン(6)とを含む。この構成は、副枠の位置の調整(レンズの光軸の向きの調整)を精密に調整する観点からより一層効果的である。
【0052】
本実施形態では、上記の枠は、鏡筒の軸方向(X方向)に沿って移動可能な主枠(31)に支持部を介して支持され、孔部は主枠に形成される。この構成は、鏡筒の軸方向に移動可能なレンズの光軸の向きを容易かつ精密に調整する観点からより一層効果的である。
【0053】
本実施形態では、孔部を介して穴に進入している連動ピンは、鏡筒が有する窓部(25)を介して鏡筒の外側から操作可能である。この構成は、鏡筒の外部からレンズの光軸の向きを調整可能にする観点からより一層効果的である。
【0054】
本実施形態は、孔部に接着剤が充填されてなる接着部をさらに含む。この構成は、レンズの光軸の向きが所望の向きとなるように副枠が調整された状態で当該副枠を主枠に正確に固定する観点からより一層効果的である。
【0055】
本実施形態のレンズ鏡筒(10)は、前述のレンズ調整機構を含む。本実施形態によれば、レンズ鏡筒において簡易かつ十分にレンズの配置の調整が可能な機構およびレンズ鏡筒を実現することができる。
【0056】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態のレンズ鏡筒は、主枠において副枠を傾倒可能に支持するための構成が異なる以外は、前述した実施形態1と同様の構成を有する。
図16は、本実施形態における可動枠40の構成を模式的に示す図である。
【0057】
図16に示されるように、主枠41および副枠42を有する。主枠41は、光路孔の円形部からY方向の第一角部に向けて延在する矩形部を、X方向およびZ方向において囲む筐体状の枠部414を有する。枠部414におけるZ方向に対向する一対の内壁面には、円形部側からY方向に沿って延在する一対の不図示の溝が形成されている。当該溝の平面形状は、上記の円形部側に開き、第一角部側で閉じるU字形である。主枠41は、枠部414を有する以外は、実施形態1の主枠と同様に構成されている。
【0058】
図17は、本実施形態に係るレンズ鏡筒における可動枠の組み立て順を示す図である。まず、この図を参照して副枠42の構成を説明する。副枠42は、支点部325に代えてボス425およびそれに嵌合する回動部426を有する以外は、実施形態1の副枠と同様に構成されている。
【0059】
ボス425は、第一凸部323からY方向に沿って第一角部側に突出する円柱状の部分である。回動部426は、略筐体状の部材であり、図中のX方向から見た場合には矩形であり、Z方向から見た場合にはU字状であり、Z方向に向く側壁面のY方向における一端側には、前述した枠部414の内側の溝を摺動可能な円柱状の凸部を有する。また、回動部426は、Y方向における他端側の端面に開口する不図示のボス穴を有する。当該ボス穴には、ボス425が挿入可能であり、副枠42は、回動部426に対して、ボス425の中心軸を中心として回動可能である。
【0060】
主枠41への副枠42の固定方法を説明する。
図17の矢印S1に示されるように、副枠42のボス425を回動部426のボス穴に挿入する。次いで、
図17の矢印S2に示されるように、副枠42に装着された回動部426を主枠41の枠部414内に収める。回動部426の凸部を枠部414の内側の溝に摺動させることにより、回動部426は枠部414内に収容される。次いで、
図17の矢印S3およびS4に示されるように、副枠42を主枠41に当接させ、嵌合凸部315側から連動ピン6を挿入して固定する。これらの作業は、実施形態1と同様に行われる。
【0061】
回動部426は、凸部によって主枠41に対してX方向に沿って回動可能に軸支される。また、回動部426は、副枠42の本体がY方向に沿う軸を中心して回動可能となるように副枠42に連結される。したがって、本実施形態においても、副枠42は、ピッチ方向およびヨー方向に運動可能である。よって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ピッチ方向およびヨー方向におけるレンズ5の光軸OAの傾きを調整することが可能である。
【0062】
本実施形態では、実施形態1における支点部と支点支持部が、回動部426と枠部414に置き換えられている。このように、本実施形態では、副枠42と主枠41とを、二つの回転自由度を有する部品で連結している。このため、本実施形態は、レンズ5の向きの調整については実施形態1と同様の効果を奏する。また、本実施形態は、実施形態1に比べて、主枠41に支持されている副枠42の動きがより制限される。このため、実施形態1に比べて、副枠42と主枠41との連結の安定性がより高められている。さらに、本実施形態における上記の連結は、ボス425で連結可能な回動部426という簡素な構成で実現される。
【0063】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態のレンズ鏡筒は、主枠において副枠を傾倒可能に支持するための構成が異なる以外は、前述した実施形態1と同様の構成を有する。
図18は、本実施形態に係る可動枠を模式的に示す図である。
【0064】
本実施形態では、主枠が有する支点支持部を、副枠が有する挟持部で挟持することにより、副枠を主枠に傾倒可能に支持する以外は実施形態1と同様の構成を有している。主枠は、実施形態1と同様である。
【0065】
図18に示されるように、副枠52は、挟持部525を有している。副枠52は、支点部325に代えて挟持部525を有する以外は、実施形態1の副枠32と同様に構成されている。挟持部525は、二枚の板状部材によって構成されている。これらの板状部材は、挟持部525をZ方向から見たときに互いに平行に配置されている。これらの板状部材間の距離は、主枠31の半球状の支点支持部314の外径とほぼ同じである。
【0066】
主枠31の中央に開口する光路孔における円形部側から副枠52を主枠31に差し込み、挟持部525によって主枠31の支点支持部314を挟み込む。挟持部525を構成する一対の板状部材は、支点支持部314の外径とほぼ同じの間隔を有することから、副枠52は、実施形態1と同様に、ピッチ方向およびヨー方向に傾倒し得る。したがって、本実施形態では、主枠31が有する支点支持部314が「支点部」に相当し、これを挟持する副枠52の挟持部525が「支点支持部」に該当する、とも言える。本実施形態も、実施形態1と同様に、ピッチ方向およびヨー方向におけるレンズ5の光軸OAの傾きを調整することが可能である。
【0067】
本実施形態では、挟持部525を構成する、X方向に配置される一対の板状部材が、YZ方向に広がりを有する。したがって、主枠31の光路孔における矩形部をX方向において覆うように挟持部525を構成することが可能である。このように、挟持部525が遮光板としても機能し得ることから、実施形態1に比べて、鏡筒内のX方向における遮光性を高める観点から有利である。
【0068】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態のレンズ鏡筒は、ガイド溝に代えて、主枠に挿通されるサブポールを有する以外は、前述した実施形態1と同様の構成を有する。
【0069】
図19は、本実施形態に係るレンズ鏡筒の構成を模式的に示す部分断面図である。
図19に示されるように、レンズ鏡筒20は、鏡筒62を有し、鏡筒62は、第一鏡筒621および第二鏡筒22を有する。
【0070】
第一鏡筒621は、サブポール622を有し、可動枠3は、主枠の本体を貫通する第二ガイド孔318を有する。また、第一鏡筒621は、ガイド溝を有しておらず、可動枠3の嵌合凸部は、ガイド溝に嵌合していないが、嵌合凸部の孔部は、第一鏡筒621の窓部に面して開口している。
【0071】
サブポール622は、第一鏡筒621のY方向における第二角部において、X方向に沿って延在する円柱状の部材である。第二ガイド孔318は、主枠の本体の平面形状における第二角部に、差し込み孔に並んで形成されている。第二ガイド孔318は、円形の開口形状を有し、第二ガイド孔318には、サブポール622は挿通されている。
【0072】
本実施形態では、主枠における嵌合凸部と第一鏡筒におけるガイド溝とによる可動枠3のガイド機能に代えて、対角の位置関係にあるガイドポール23とサブポール622とによるガイド機能を有する。本実施形態は、前述した実施形態に比べて、可動枠3の移動の安定性を高める観点から有利である。
【0073】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態のレンズ鏡筒は、副枠が鏡筒に直接回動可能に支持されて固定可能である以外は、前述した実施形態4と同様の構成を有する。
【0074】
図20は、本実施形態に係るレンズ鏡筒の構成を模式的に示す部分断面図である。
図20に示されるように、レンズ鏡筒30は、鏡筒72を有し、鏡筒72は、第一鏡筒721および第二鏡筒22を有する。
【0075】
第一鏡筒721は、ガイドポール23、サブポール622、可動枠73、副枠32および支点支持部314を有する。第一鏡筒721は、X方向における第二鏡筒側の端部に有する隔壁部を有し、当該隔壁部は、前述した実施形態1などの主枠が有する光路孔および差し込み孔を有し、支点支持部314は、当該隔壁部の光路孔に、前述の主枠におけるそれと同様に配置されている。また、第一鏡筒721は、X方向における第二鏡筒側の端部に窓部を有する。当該窓部は、前述した実施形態1などの孔部と同様に構成されている。
【0076】
副枠32は、その支点部が支点支持部314に回動可能に支持される。また、第一鏡筒721の外側から窓部へ連動ピンが挿入され、副枠32のピン孔に挿入される。副枠32の位置の調整は、前述した実施形態1などと同様に、連動ピンを外部から操作することにより行われる。副枠32は、例えば窓部の側縁と連動ピンの頭部との接着剤による接着により固定され、このようにして副枠32の位置が決定される。
【0077】
上記の説明から明らかなように、本実施形態では、支点部および支点支持部314は、第一鏡筒721に副枠32を直接支持し、第一鏡筒721は孔部を有している。したがって、本実施形態は、レンズ鏡筒内においてX方向において固定されるレンズの位置調整も可能である。
【0078】
〔その他の実施形態〕
前述の実施形態では、副枠を有する主枠はレンズを装着していないが、本発明の一実施形態では、主枠は、副枠に保持されるレンズと同じ光軸を有すべきさらなるレンズを保持してもよい。
【0079】
本発明の一実施形態では、副枠32に装着されるレンズ5は、複数でもよい。また、主枠または副枠のいずれにおいても、レンズの光軸の向きを調整されるべきレンズが複数である場合では、複数のレンズのうちの一部のレンズの向きの調整が可能であってもよいし、当該レンズの全てのレンズの向きが調整可能であってもよい。複数のレンズを調整可能な場合、複数のレンズが独立して調整可能であってもよいし、複数のレンズの全てを連動させて調整可能であってもよい。
【0080】
本発明の一実施形態では、ピッチ方向およびヨー方向以外の方向にレンズの光軸の向きを調整可能であってもよい。たとえば、孔部の両側縁の間隔(Z方向における距離)がより大きくてもよい。この場合、両側縁の間隔の範囲における任意の位置に連動ピンを固定することが可能になり、レンズの光軸の向きをロール方向においても調整可能となる。
【0081】
本発明の一実施形態では、連動ピン以外によって副枠を固定してもよい。たとえば、連動ピンに代えてビスを用い、ピン孔に代えてねじ穴を用いてもよい。この構成では、ビスがねじ穴に螺合することでビスが進出して主枠に締着される。この締着により、副枠を主枠に固定することが可能である。また、この構成は、接着剤を使用せずに副枠を主枠に固定することが可能である。
【0082】
実施形態1では、副枠32の球状の支点部325と、それに外嵌する主枠31の支点支持部314とによるボールジョイントで副枠32を種々の方向に対して傾倒可能に主枠31に支持している。本発明の一実施形態では、上記のボールジョイント構造に限定されず、主枠31の支点部と副枠32の支点支持部とによるボールジョイント構造であってもよい。このように、本発明の実施形態では、副枠を傾倒可能に支持する構造は、前述した実施形態における副枠側の構造と主枠側との構造とが入れ替わっていてもよい。
【0083】
本発明は、上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
2、62、72 鏡筒
3、40、73 可動枠
4 前群枠
5 レンズ
6 連動ピン
7 遮光シール
10、20、30 レンズ鏡筒
21、621、721 第一鏡筒
22 第二鏡筒
23 ガイドポール
24 ガイド溝
25 窓部
31、41 主枠
32、42、52 副枠
61、311、321 本体
62 頭部
63 突出部
64 溝部
312 光路孔
313 ガイド孔
314 支点支持部
315 嵌合凸部
317 孔部
316 差し込み孔
318 第二ガイド孔
322 レンズ孔
323 第一凸部
324 第二凸部
325 支点部
326 ピン孔
414 枠部
425 ボス
426 回動部
525 挟持部
622 サブポール
3211 レンズ枠部
3212 レンズ支持部
M1、M2、M3、S1、S2、S3 矢印
OA 光軸