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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021822
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20220127BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20220127BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20220127BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20220127BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20220127BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220127BHJP
【FI】
G01J1/42 H
H01L31/10 B
H01L31/10 G
G01J1/02 Q
G01J1/42 N
G01J1/44 F
G01S7/481 Z
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125645
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100206966
【弁理士】
【氏名又は名称】崎山 翔一
(72)【発明者】
【氏名】村松 正典
【テーマコード(参考)】
2G065
5C024
5F849
5J084
【Fターム(参考)】
2G065AB09
2G065AB16
2G065AB22
2G065BA09
2G065BA34
2G065BC03
2G065BC04
2G065BC10
2G065BC22
2G065BE08
2G065CA06
2G065CA21
2G065DA15
5C024AX02
5C024GX03
5C024HX17
5C024HX35
5C024HX44
5C024HX50
5F849AA07
5F849BA30
5F849KA11
5F849KA12
5F849KA14
5F849XB01
5F849XB38
5J084AA05
5J084BA03
5J084BA36
5J084BA40
5J084BB02
5J084BB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光の入射によるAPDの発熱と電圧の変動に応じた読出回路の破損とが抑制される光検出装置を提供する。
【解決手段】第1端子61は、APD11の第1電極11aに接続されている。第1及び第2回路部64,65は、APDの第2電極11bに互いに並列に接続されている。第2端子62は、第1回路部を介して第2電極に接続されている。第3端子63は、第2回路部を介して第2電極に接続されている。第1スイッチ66と抵抗68と第2電極と第2端子とは、互いに直列に接続されている。第2スイッチ67とキャパシタ69とは、互いに並列に第2電極に接続されている。第2スイッチと第2電極と第3端子とは、互いに直列に接続されている。TIA71は、キャパシタに直列に接続されていると共にキャパシタを介して第2電極に接続されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が受光領域を有する複数の光検出ユニットを備え、
各前記光検出ユニットは、
第1及び第2電極を有すると共に前記受光領域を形成するアバランシェフォトダイオードと、
前記第1電極に接続されていると共に第1電位が印加される第1端子と、
前記第2電極に互いに並列に接続されている第1及び第2回路部と、
前記第1回路部を介して前記第2電極に接続されていると共に第2電位が印加される第2端子と、
前記第2回路部を介して前記第2電極に接続されていると共に第3電位が印加される第3端子と、を有し、
各前記光検出ユニットにおいて、
前記第1回路部は、前記第2電極と前記第2端子との接続状態を切り替える第1スイッチと、抵抗とを含み、
前記第1スイッチと前記抵抗と前記第2電極と前記第2端子とは、互いに直列に接続されており、
前記第2回路部は、前記第2電極と前記第3端子との接続状態を切り替える第2スイッチと、キャパシタと、トランスインピーダンスアンプを含む読出回路と、を含み、
前記第2スイッチと前記キャパシタとは、互いに並列に前記第2電極に接続されており、
前記第2スイッチと前記第2電極と前記第3端子とは、互いに直列に接続されており、
前記トランスインピーダンスアンプは、前記キャパシタに直列に接続されていると共に前記キャパシタを介して前記第2電極に接続されており、
前記第1電位と前記第3電位との電位差の絶対値は、前記第1電位と前記第2電位との電位差の絶対値よりも小さい、光検出装置。
【請求項2】
各前記光検出ユニットにおいて、前記第1スイッチは、前記抵抗を介して前記第2電極に接続されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
各前記光検出ユニットにおいて光検出を行うタイミングに応じて、前記第1及び第2スイッチによる接続状態を制御するスイッチ制御部をさらに備える、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記スイッチ制御部は、前記第1スイッチが前記第2電極と前記第2端子との接続を切断している状態において、前記第2スイッチに、前記第2電極と前記第3端子とを接続させる、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記スイッチ制御部は、前記第1スイッチが前記第2電極と前記第2端子とを接続している状態において、前記第2スイッチに、前記第2電極と前記第3端子との接続を切断させる、請求項3又は4に記載の光検出装置。
【請求項6】
光を照射する照射部をさらに備え、
前記スイッチ制御部は、前記照射部から前記光が照射されたタイミングに応じて、前記第1及び第2スイッチの通電状態を制御する、請求項3から5のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項7】
各々が受光領域を有する複数の光検出ユニットを備え、
各前記光検出ユニットは、
第1及び第2電極を有すると共に前記受光領域を形成するアバランシェフォトダイオードと、
前記第1電極に接続されていると共に第1電位が印加される第1端子と、
前記第2電極に互いに並列に接続されている第1及び第2回路部と、
前記第1回路部を介して前記第2電極に接続されていると共に第2電位が印加される第2端子と、
前記第2回路部を介して前記第2電極に接続されていると共に第3電位が印加される第3端子と、を有し、
各前記光検出ユニットにおいて、
前記第1回路部は、前記第2電極と前記第2端子との接続状態を切り替えるスイッチと、抵抗とを含み、
前記スイッチと前記抵抗と前記第2電極と前記第2端子とは、互いに直列に接続されており、
前記第2回路部は、ダイオードと、キャパシタと、トランスインピーダンスアンプを含む読出回路と、を含み、
前記ダイオードと前記キャパシタとは、互いに並列に前記第2電極に接続されており、
前記ダイオードは、前記アバランシェフォトダイオードの前記第1電極と同一の極性を有している第3電極と、前記アバランシェフォトダイオードの前記第2電極と同一の極性を有している第4電極と、を有し、
前記ダイオードの前記第3電極は、前記第3端子に接続されており、
前記ダイオードの前記第4電極は、前記第2電極に接続されており、
前記トランスインピーダンスアンプは、前記キャパシタに直列に接続されていると共に前記キャパシタを介して前記第2電極に接続されており、
前記第1電位と前記第3電位との電位差の絶対値は、前記第1電位と前記第2電位との電位差の絶対値よりも小さい、光検出装置。
【請求項8】
各前記光検出ユニットにおいて、前記スイッチは、前記抵抗を介して前記第2電極に接続されている、請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記トランスインピーダンスアンプは、CMOSロジック集積回路に含まれている、請求項1から8のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記抵抗は、前記第2回路部の入力インピーダンスよりも大きいインピーダンスを有している、請求項1から9のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第1電位と前記第2電位との電位差、及び、前記第1電位と前記第3電位との電位差は、前記トランスインピーダンスアンプの動作電圧の範囲に含まれている、請求項1から10のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項12】
第1及び第2電極を有するアバランシェフォトダイオードと、
前記第1電極に接続されている第1端子と、
前記第2電極に互いに並列に接続されている第1及び第2回路部と、
前記第1回路部を介して前記第2電極に接続されている第2端子と、
前記第2回路部を介して前記第2電極に接続されている第3端子と、をそれぞれ有する複数の光検出ユニットを備え、
各前記光検出ユニットにおいて、
前記第1回路部は、前記第2電極と前記第2端子との接続状態を切り替える第1スイッチと、抵抗とを含み、
前記第1スイッチと前記抵抗と前記第2電極と前記第2端子とは、互いに直列に接続されており、
前記第2回路部は、前記第2電極と前記第3端子との接続状態を切り替える第2スイッチと、キャパシタと、トランスインピーダンスアンプを含む読出回路と、を含み、
前記第2スイッチと前記キャパシタとは、互いに並列に前記第2電極に接続されており、
前記第2スイッチと前記第2電極と前記第3端子とは、互いに直列に接続されており、
前記トランスインピーダンスアンプは、前記キャパシタに直列に接続されていると共に前記キャパシタを介して前記第2電極に接続されている、光検出装置。
【請求項13】
第1及び第2電極を有するアバランシェフォトダイオードと、
前記第1電極に接続されている第1端子と、
前記第2電極に互いに並列に接続されている第1及び第2回路部と、
前記第1回路部を介して前記第2電極に接続されている第2端子と、
前記第2回路部を介して前記第2電極に接続されている第3端子と、をそれぞれ有する複数の光検出ユニットを備え、
各前記光検出ユニットにおいて、
前記第1回路部は、前記第2電極と前記第2端子との接続状態を切り替えるスイッチと、抵抗とを含み、
前記スイッチと前記抵抗と前記第2電極と前記第2端子とは、互いに直列に接続されており、
前記第2回路部は、ダイオードと、キャパシタと、トランスインピーダンスアンプを含む読出回路と、を含み、
前記ダイオードと前記キャパシタとは、互いに並列に前記第2電極に接続されており、
前記ダイオードは、前記アバランシェフォトダイオードの前記第1電極と同一の極性を有している第3電極と、前記アバランシェフォトダイオードの前記第2電極と同一の極性を有している第4電極と、を有し、
前記ダイオードの前記第3電極は、前記第3端子に接続されており、
前記ダイオードの前記第4電極は、前記第2電極に接続されており、
前記トランスインピーダンスアンプは、前記キャパシタに直列に接続されていると共に前記キャパシタを介して前記第2電極に接続されている、光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の受光領域を備えた光検出装置が知られている(たとえば、特許文献1)。特許文献1において、受光領域を形成するフォトダイオードに電界効果トランジスタが直列に接続されている。この電界効果トランジスタを用いたスイッチによって、フォトダイオードへの通電状態が切り換えられている。この結果、使用されるフォトダイオードが選択されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-44923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光領域を形成するフォトダイオードとして、アバランシェフォトダイオードが用いられる場合、アバランシェフォトダイオードにはバイアス電圧が印加される。バイアス電圧が印加されている状態においてアバランシェフォトダイオードに光が入射されると、アバランシェフォトダイオードは、光の入射に応じて発生した電子を増倍して出力する。この際、アバランシェフォトダイオードは、熱を発する。バイアス電圧が大きいほど、アバランシェフォトダイオードの発熱量は大きい。光検出装置におけるアバランシェフォトダイオードの数が多いほど、光検出装置における発熱量は大きい。複数のアバランシェダイオードが用いられる光検出装置においては、各アバランシェフォトダイオードにおける発熱に起因して検出精度が低下するおそれがある。光検出装置におけるアバランシェフォトダイオードの数、バイアス電圧の値、及び、入射光の光量によっては、光検出装置が上記発熱によって破損するおそれもある。
【0005】
測定対象光が入射していないタイミングであっても、アバランシェフォトダイオードは太陽光などの環境光の入射によって発熱しうる。このため、測定対象光が入射しないアバランシェフォトダイオードに対するバイアス電圧の印加を停止することによって、上記発熱を抑制することが考えられる。たとえば、特許文献1に記載されている光検出装置では、受光領域を形成するフォトダイオードへの電気的な接続を切断することによって、フォトダイオードへのバイアス電圧の印加が停止される。具体的には、フォトダイオードに直列に接続されたスイッチが、導通状態と遮断状態とに切り替えられている。スイッチが導通している導通状態では、バイアス電圧がアバランシェフォトダイオードに印加される。スイッチが遮断されている遮断状態では、バイアス電圧がアバランシェフォトダイオードに印加されない。
【0006】
この光検出装置では、アバランシェフォトダイオードからの信号を読み出す読出回路に、アバランシェフォトダイオードに印加されるバイアス電圧に応じた電圧が印加される。このため、上記発熱が抑制されたとしても、スイッチが導通状態と遮断状態との切り替えに応じて読出回路に印加される電位の変動によって、光検出装置における読出回路が破損するおそれがある。
【0007】
本発明の各態様は、光の入射によるアバランシェフォトダイオードの発熱と電圧の変動に応じた読出回路の破損とが抑制され得る光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様における光検出装置は、各々が受光領域を有する複数の光検出ユニットを備える。各光検出ユニットは、アバランシェフォトダイオードと、第1端子と、第1及び第2回路部と、第2端子と、第3端子とを有している。アバランシェフォトダイオードは、第1及び第2電極を有すると共に受光領域を形成する。第1端子は、第1電極に接続されている。第1端子には、第1電位が印加される。第1回路部及び第2回路部は、第2電極に互いに並列に接続されている。第2端子は、第1回路部を介して第2電極に接続されている。第2端子には、第2電位が印加される。第3端子は、第2回路部を介して第2電極に接続されている。第3端子には、第3電位が印加される。各光検出ユニットにおいて、第1回路部は第1スイッチと抵抗とを含み、第2回路部は第2スイッチとキャパシタと読出回路とを含んでいる。第1スイッチは、第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。第1スイッチと抵抗と第2電極と第2端子とは、互いに直列に接続されている。第2スイッチは、第2電極と第3端子との接続状態を切り替える。読出回路は、トランスインピーダンスアンプを含んでいる。第2スイッチとキャパシタとは、互いに並列に第2電極に接続されている。第2スイッチと第2電極と第3端子とは、互いに直列に接続されている。トランスインピーダンスアンプは、キャパシタに直列に接続されていると共にキャパシタを介して第2電極に接続されている。第1電位と第3電位との電位差の絶対値は、第1電位と第2電位との電位差の絶対値よりも小さい。
【0009】
上記一つの態様において、第1端子は、アバランシェフォトダイオードの第1電極に接続されている。第1スイッチは、アバランシェフォトダイオードの第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。第2スイッチは、アバランシェフォトダイオードの第2電極と第3端子との接続状態を切り替える。このため、この光検出装置は、アバランシェフォトダイオードへのバイアス電圧を、第1端子に印加される第1電位と第2端子に印加される第2電位との電位差から、第1端子に印加される第1電位と第3端子に印加される第3電位との電位差に切り替えることができる。この結果、光の入射によるアバランシェフォトダイオードの発熱と電圧の変動に応じた読出回路の破損とが抑制される。
【0010】
上記一つの態様において、各光検出ユニットにおいて、第1スイッチは、抵抗を介して第2電極に接続されていてもよい。この場合、第1スイッチにおいて発生する寄生容量による影響が低減される。
【0011】
上記一つの態様において、光検出装置は、各光検出ユニットにおいて光検出を行うタイミングに応じて、第1及び第2スイッチによる接続状態を制御するスイッチ制御部をさらに備えていてもよい。この場合、光検出装置は、光検出を行うタイミングであるか否かに応じて、アバランシェフォトダイオードへのバイアス電圧を切り替えることができる。
【0012】
上記一つの態様において、スイッチ制御部は、第1スイッチが第2電極と第2端子との接続を切断している状態において、第2スイッチに、第2電極と第3端子とを接続させてもよい。この場合、光検出装置は、測定対象光の検出を行わないアバランシェフォトダイオードに環境光が入射した場合に、発生した電流を第3端子に放電することができる。この結果、読出回路の破損が抑制される。
【0013】
上記一つの態様において、スイッチ制御部は、第1スイッチが第2電極と第2端子とを接続している状態において、第2スイッチに、第2電極と第3端子との接続を切断させてもよい。この場合、抵抗における発熱が抑制される。
【0014】
上記一つの態様において、光検出装置は、光を照射する照射部をさらに備えてもよい。スイッチ制御部は、照射部から光が照射されたタイミングに応じて、第1及び第2スイッチの通電状態を制御してもよい。この場合、光検出装置は、光検出を行うタイミングであるか否かをより確実に判断することができる。この結果、光検出装置は、光検出を行うタイミングであるか否かに応じて、アバランシェフォトダイオードへのバイアス電圧をより的確に切り替えることができる。
【0015】
本発明の別の態様における光検出装置は、各々が受光領域を有する複数の光検出ユニットを備える。各光検出ユニットは、アバランシェフォトダイオードと、第1端子と、第1及び第2回路部と、第2端子と、第3端子とを有している。アバランシェフォトダイオードは、第1及び第2電極を有すると共に受光領域を形成する。第1端子は、第1電極に接続されている。第1端子には、第1電位が印加される。第1回路部及び第2回路部は、第2電極に互いに並列に接続されている。第2端子は、第1回路部を介して第2電極に接続されている。第2端子には、第2電位が印加される。第3端子は、第2回路部を介して第2電極に接続されている。第3端子には、第3電位が印加される。各光検出ユニットにおいて、第1回路部はスイッチと抵抗とを含み、第2回路部はダイオードとキャパシタと読出回路とを含んでいる。スイッチは、第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。スイッチと抵抗と第2電極と第2端子とは、互いに直列に接続されている。読出回路は、トランスインピーダンスアンプを含んでいる。ダイオードとキャパシタとは、互いに並列に第2電極に接続されている。ダイオードは、第3電極と、第4電極とを有している。第3電極は、アバランシェフォトダイオードの第1電極と同一の極性を有している。第4電極は、アバランシェフォトダイオードの第2電極と同一の極性を有している。第3電極は、第3端子に接続されている。第4電極は、第2電極に接続されている。ダイオードのアノードは、第3端子に接続されている。トランスインピーダンスアンプは、キャパシタに直列に接続されていると共にキャパシタを介して第2電極に接続されている。第1電位と第3電位との電位差の絶対値は、第1電位と第2電位との電位差の絶対値よりも小さい。
【0016】
上記別の態様において、第1端子は、アバランシェフォトダイオードの第1電極に接続されている。スイッチは、アバランシェフォトダイオードの第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。ダイオードの第4電極は第2電極に接続されており、ダイオードの第3電極は第3端子に接続されている。第4電極は、第2電極と同一の極性を有している。第3電極は、第1電極と同一の極性を有している。このため、この光検出装置は、アバランシェフォトダイオードへのバイアス電圧を、第1端子に印加される第1電位と第2端子に印加される第2電位との電位差から、第1端子に印加される第1電位と第3端子に印加される第3電位との電位差に切り替えることができる。この結果、光の入射によるアバランシェフォトダイオードの発熱と電圧の変動に応じた読出回路の破損とが抑制される。
【0017】
上記別の態様において、光検出ユニットにおいて、スイッチは、抵抗を介して第2電極に接続されていてもよい。この場合、スイッチにおいて発生する寄生容量による影響が低減される。
【0018】
上記各態様において、トランスインピーダンスアンプは、CMOSロジック集積回路に含まれていてもよい。トランスインピーダンスアンプがCMOSロジック集積回路に含まれている場合、トランスインピーダンスアンプは、比較的高い速度で動作し得る。しかし、CMOSロジック集積回路は、動作電圧の範囲が制限される。上記構成であれば、CMOSロジック集積回路に印加される電圧が動作電圧の範囲内とされながら、アバランシェフォトダイオードに印加されるバイアス電圧が変更され得る。したがって、トランスインピーダンスアンプの動作速度が向上されながら、アバランシェフォトダイオードの発熱、及び、電圧の変動に応じた読出回路の破損が抑制され得る。
【0019】
上記別の態様において、抵抗は、第2回路部の入力インピーダンスよりも大きいインピーダンスを有していてもよい。この場合、アバランシェフォトダイオードからの信号がより正確にトランスインピーダンスアンプに伝送され得る。
【0020】
上記別の態様において、第1電位と第2電位との電位差、及び、第1電位と第3電位との電位差は、トランスインピーダンスアンプの動作電圧の範囲に含まれていてもよい。この場合、簡易な構成によって、トランスインピーダンスアンプの動作速度が向上されながら、アバランシェフォトダイオードの発熱、及び、電圧の変動に応じた読出回路の破損が抑制され得る。
【0021】
本発明のさらに別の態様における光検出装置は、複数の光検出ユニットを備える。各光検出ユニットは、アバランシェフォトダイオードと、第1端子と、第1及び第2回路部と、第2端子と、第3端子とを有している。アバランシェフォトダイオードは、第1及び第2電極を有する。第1端子は、第1電極に接続されている。第1回路部及び第2回路部は、第2電極に互いに並列に接続されている。第2端子は、第1回路部を介して第2電極に接続されている。第3端子は、第2回路部を介して第2電極に接続されている。各光検出ユニットにおいて、第1回路部は第1スイッチと抵抗とを含み、第2回路部は第2スイッチとキャパシタと読出回路とを含んでいる。第1スイッチは、第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。第1スイッチと抵抗と第2電極と第2端子とは、互いに直列に接続されている。第2スイッチは、第2電極と第3端子との接続状態を切り替える。読出回路は、トランスインピーダンスアンプを含んでいる。第2スイッチとキャパシタとは、互いに並列に第2電極に接続されている。第2スイッチと第2電極と第3端子とは、互いに直列に接続されている。トランスインピーダンスアンプは、キャパシタに直列に接続されていると共にキャパシタを介して第2電極に接続されている。
【0022】
上記さらに別の態様において、第1端子は、アバランシェフォトダイオードの第1電極に接続されている。第1スイッチは、アバランシェフォトダイオードの第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。第2スイッチは、アバランシェフォトダイオードの第2電極と第3端子との接続状態を切り替える。このため、この光検出装置は、アバランシェフォトダイオードへのバイアス電圧を、第1端子に印加される電位と第2端子に印加される電位との電位差から、第1端子に印加される電位と第3端子に印加される電位との電位差に切り替えることができる。この結果、光の入射によるアバランシェフォトダイオードの発熱と電圧の変動に応じた読出回路の破損とが抑制される。
【0023】
本発明のさらに別の態様における光検出装置は、複数の光検出ユニットを備える。各光検出ユニットは、アバランシェフォトダイオードと、第1端子と、第1及び第2回路部と、第2端子と、第3端子とを有している。アバランシェフォトダイオードは、第1及び第2電極を有する。第1端子は、第1電極に接続されている。第1回路部及び第2回路部は、第2電極に互いに並列に接続されている。第2端子は、第1回路部を介して第2電極に接続されている。第3端子は、第2回路部を介して第2電極に接続されている。各光検出ユニットにおいて、第1回路部はスイッチと抵抗とを含み、第2回路部はダイオードとキャパシタと読出回路とを含んでいる。スイッチは、第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。スイッチと抵抗と第2電極と第2端子とは、互いに直列に接続されている。読出回路は、トランスインピーダンスアンプを含んでいる。ダイオードとキャパシタとは、互いに並列に第2電極に接続されている。ダイオードは、第3電極と、第4電極とを有している。第3電極は、アバランシェフォトダイオードの第1電極と同一の極性を有している。第4電極は、アバランシェフォトダイオードの第2電極と同一の極性を有している。第3電極は、第3端子に接続されている。第4電極は、第2電極に接続されている。トランスインピーダンスアンプは、キャパシタに直列に接続されていると共にキャパシタを介して第2電極に接続されている。
【0024】
上記さらに別の態様において、第1端子は、アバランシェフォトダイオードの第1電極に接続されている。スイッチは、アバランシェフォトダイオードの第2電極と第2端子との接続状態を切り替える。ダイオードのカソードは第2電極に接続されており、ダイオードのアノードは第3端子に接続されている。このため、この光検出装置は、アバランシェフォトダイオードへのバイアス電圧を、第1端子に印加される電位と第2端子に印加される電位との電位差から、第1端子に印加される電位と第3端子に印加される電位との電位差に切り替えることができる。この結果、光の入射によるアバランシェフォトダイオードの発熱と電圧の変動に応じた読出回路の破損とが抑制される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の各態様は、光の入射によるアバランシェフォトダイオードの発熱と電圧の変動に応じた読出回路の破損とが抑制される光検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態における光検出装置の概略図である。
図2】光検出装置が備える受光部の模式図である。
図3】受光部の部分拡大図である。
図4】受光部の断面図である。
図5】光検出ユニットの回路を説明するための図である。
図6】互いに異なる光検出ユニットの制御信号のタイミングチャートである。
図7】アバランシェフォトダイオードの特性を示す図である。
図8】本実施形態の変形例における光検出ユニットの回路を説明するための図である。
図9】本実施形態の変形例における光検出ユニットの回路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有している要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0028】
まず、図1を参照して、本実施形態における光検出装置の構成を説明する。図1は、本実施形態における光検出装置の構成を示す概略図である。
【0029】
光検出装置1は、測定対象物からの光を検出することによって、測定対象物までの距離を測定する。光検出装置1は、たとえば、ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)を構成している。光検出装置1は、照射部2と受光部3とレンズL1,L2を備えている。照射部2は、光源2aとを有する。照射部2は、たとば、光源2aによってレーザ光B1を照射する。照射部2から射出されたレーザ光B1は、レンズL1を透過し、たとえば、対象物αに照射される。対象物αにおいて反射した光は、レンズL2を透過し、測定対象光B2として受光部3に入射する。受光部3は、入射した測定対象光B2を検出する。受光部3には、測定対象光B2以外にも環境光B3が入射する。環境光B3は、たとえば、太陽光である。
【0030】
次に、図2及び図3を参照して受光部3の構成について説明する。図2は、光検出装置が備える受光部3の模式図である。図3は、受光部3の部分拡大図である。
【0031】
受光部3は、光検出基板5と、回路素子7とを備えている。光検出基板5と回路素子7とは、互いに接合されている。本実施形態では、光検出基板5と回路素子7とは、互いに対向している。本実施形態では、光検出基板5と回路素子7との対向方向は、Z軸方向に相当する。光検出基板5および回路素子7の各々は、Z軸方向から見て、XY軸方向に延在する矩形状を呈している。光検出基板5と回路素子7とは、互いに接続されている。本明細書において、「接続」とは、特に断りがなくとも電気的な導通を意味し、直接的な連結だけでなく、別の部材を介した間接的な連結を含んでいる。「接続されている」には、異なる要素間に別途スイッチなどが設けられることによって、当該要素間が一時的に電気的に分離されている構成も含んでいる。「接合」とは、電気的な接続に関わらず物理的に連結されていることを意味し、直接的な接続だけでなく、別の部材を介した間接的な連結を含んでいる。
【0032】
回路素子7は、集積回路Cを含んでいる。本実施形態において、回路素子7は、1つのみの集積回路Cを含んでいる。回路素子7は、複数の集積回路Cを含んでいてもよい。集積回路Cは、COMSロジック集積回路である。回路素子7は、光検出基板5から出力された信号を集積回路Cにおいて処理する。集積回路Cの動作電圧の範囲は、たとえば、20V以下である。
【0033】
回路素子7は、ポート部12を有している。ポート部12は、複数の電極を含んでいる。光検出基板5及び回路素子7は、ポート部12に印加された電圧に応じて動作する。回路素子7は、光検出基板5から出力された信号を処理し、処理された信号をポート部12から回路素子7の外部に出力する。
【0034】
光検出基板5及び回路素子7は、複数の信号出力ユニットUを含んでいる。本実施形態において、複数の信号出力ユニットUは、XY軸方向に2次元配列されている。本実施形態の変形例において、複数の信号出力ユニットUは、一列に配列されていてもよい。図3に示されているように、受光部3は、複数の光検出ユニット15を備えている。各信号出力ユニットUは、複数の光検出ユニット15を含んでいる。本実施形態の変形例として、各信号出力ユニットUが、1つのみの光検出ユニット15を含んでいてもよい。
【0035】
本実施形態において、受光部3は、信号出力ユニットUごとに互いに異なるタイミングで光検出を行う。本実施形態の変形例として、受光部3は、信号出力ユニットUの列ごと又は行ごとに互いに異なるタイミングで光検出を行ってもよい。受光部3は、全ての信号出力ユニットUにおいて同一のタイミングで光検出を行ってもよい。1つの信号出力ユニットUに含まれる複数の光検出ユニット15は、同一のタイミングで光検出を行う。
【0036】
各光検出ユニット15は、受光領域Rを有している。受光部3は、各受光領域Rに入射した光を検出する。光検出基板5は、受光領域Rに入射した光を電子に変換し、当該電子に応じた信号を回路素子7に伝達する。本実施形態では、各受光領域Rは、1つのアバランシェフォトダイオード11によって形成されている。以下、「アバランシェフォトダイオード」を「APD」という。各APD11は、光検出基板5に含まれている。各APD11は、回路素子7に接続されている。
【0037】
各光検出ユニット15は、対応するAPD11から出力された信号を処理する複数の信号処理部Pを有している。各信号処理部Pは、回路素子7に含まれている。各信号処理部Pは、集積回路Cに含まれている。本実施形態において、1つの集積回路Cが、複数の信号処理部Pを含んでいる。回路素子7は、各信号処理部Pにおいて、光検出基板5から伝達された信号に関する処理を行う。
【0038】
受光領域Rを形成する各APD11は、対応する信号処理部Pに接続されている。本実施形態では、図3に示されているように、1つの信号処理部Pが、1つの受光領域Rに対応している。1つのAPD11が、1つのバンプBを通して1つの信号処理部Pに接続されている。換言すれば、信号処理部PとAPD11とは、一対一の関係で接続されている。
【0039】
次に、図4を参照して、受光部3の構成の一例について詳細に説明する。図4は、受光部の断面図である。本実施形態において、受光部3は、裏面入射型の半導体光検出装置である。
【0040】
受光部3は、光検出基板5及び回路素子7に加えて、ガラス基板8及び搭載基板9を備えている。本実施形態において、光検出基板5、回路素子7、ガラス基板8、及び、搭載基板9の各主面と平行な面がXY軸平面に相当し、各主面に直交する方向がZ軸方向に相当する。ガラス基板8は、光検出基板5と対向している。光検出基板5は、回路素子7とガラス基板8との間に配置されている。搭載基板9は、回路素子7と対向している。回路素子7は、光検出基板5と搭載基板9との間に配置されている。
【0041】
光検出基板5は、平面視で矩形形状を呈している半導体基板10を有している。半導体基板10は、Siからなり、P型の半導体基板である。半導体基板10は、互いに対向する主面10aと主面10bとを有している。主面10aが、半導体基板10への光入射面である。
【0042】
回路素子7は、互いに対向する主面7aと主面7bとを有している。回路素子7は、平面視で矩形形状を呈している。光検出基板5は、回路素子7に接続されている。主面7aと主面10bとが対向している。光検出基板5と回路素子7とは、接着層IAによって接合されている。接着層IAは、絶縁性を有している。光検出基板5と回路素子7とは、複数のバンプBによって物理的かつ電気的に接続されている。回路素子7の主面7a,7bは、半導体基板10の主面10a,10bよりも大きい。Z軸方向から見て、回路素子7の縁は、光検出基板5の縁を囲んでいる。
【0043】
ガラス基板8は、互いに対向する主面8aと主面8bとを有している。ガラス基板8は、平面視で矩形形状を呈している。主面8bは、半導体基板10の主面10aと対向している。主面8a及び主面8bは、平坦である。ガラス基板8と光検出基板5とは、光学接着剤OAにより光学的に接合されている。ガラス基板8は、光検出基板5上に直接形成されていてもよい。
【0044】
搭載基板9は、互いに対向する主面9aと主面9bとを有している。主面9aは、回路素子7の主面7bと対向している。搭載基板9の主面9aは、回路素子7の主面8a,8bよりも大きい。Z軸方向から見て、搭載基板9の縁は、回路素子7の縁を囲んでいる。回路素子7と搭載基板9とは、ボンディングワイヤWによって接続されている。搭載基板9は、ボンディングワイヤWを介して、ポート部12に接続されている。
【0045】
半導体基板10は、複数のAPD11を有している。複数のAPD11は、Z軸方向から見て、行列状に2次元配列されている。各APD11は、主面10aに受光領域Rを形成している。半導体基板10は、APD11に加えて、周辺キャリア吸収部13を有する。周辺キャリア吸収部13の一部は、Z軸方向から見て、互いに隣り合うAPD11の間に位置している。周辺キャリア吸収部13は、Z軸方向から見て、格子状に配置されている。周辺キャリア吸収部13は、APD11を囲んでいる。周辺キャリア吸収部13は、周辺に位置するキャリアを吸収する領域である。
【0046】
半導体基板10は、図4に示されているように、半導体領域21及び半導体層31,32,33,34を含んでいる。複数のAPD11は、それぞれ、半導体領域21及び半導体層31,32,33を含んでいる。周辺キャリア吸収部13は、半導体領域21及び半導体層34を含んでいる。周辺キャリア吸収部13は、半導体層34において周辺に位置するキャリアを吸収する。すなわち、半導体層34は、周辺のキャリアを吸収する周辺キャリア吸収層として機能する。
【0047】
半導体領域21及び半導体層32,33,35は第一導電型であり、半導体層31,34は第二導電型である。半導体の不純物は、たとえば拡散法又はイオン注入法によって添加される。本実施形態では、第一導電型はP型であり、第二導電型はN型である。半導体基板10がSiをベースとする場合、P型不純物としてはBなどの13族元素が用いられ、N型不純物としてはP又はAsなどの15族元素が用いられる。本実施形態では、半導体層32,33,35は、互いに同一の不純物濃度を有している。半導体層32,33,35の不純物濃度は、半導体領域21よりも不純物濃度が高い。
【0048】
半導体領域21は、半導体基板10の主面10b側に位置している。半導体領域21は、主面10bの一部を構成している。半導体領域21は、たとえばP型である。
【0049】
半導体層31は、主面10bの一部を構成している。半導体層31は、Z軸方向から見て、半導体領域21に接し、半導体領域21に囲まれている。半導体層31は、たとえばN型である。本実施形態では、半導体層31は、APD11においてカソードを構成する。
【0050】
半導体層32は、半導体層31よりも主面10a寄りに位置している。半導体層32は、半導体領域21に接し、半導体領域21に囲まれている。半導体層32は、半導体領域21の内部に設けられている。半導体層31と半導体層32との間には、半導体領域21の一部が設けられている。半導体層32は、たとえばP型である。半導体層32は、APD11のアバランシェ領域を構成する。
【0051】
半導体層33は、半導体層32及び半導体領域21よりも主面10a寄りに位置している。半導体層33は、主面10aの全面を構成している。半導体層33は、主面10b側で半導体領域21に接している。半導体層33は、たとえばP型である。半導体層33は、APD11のアノードを構成する。
【0052】
半導体層34は、主面10bの一部を構成している。半導体層34は、Z軸方向から見て、半導体領域21に接し、半導体領域21に囲まれている。周辺キャリア吸収部13は、半導体層34からなり、半導体基板10において半導体領域21のみと接している。周辺キャリア吸収部13は、アバランシェ領域に相当する層を含んでいない。半導体層34は、たとえばN型である。
【0053】
半導体基板10には、溝14が形成されている。本実施形態において、溝14は、Z軸方向から見て、APD11よりも半導体基板10の縁寄りに設けられている。溝14は、半導体基板10を貫通していない。半導体層35は、溝14の縁と主面10bの一部を形成している。半導体層35は、たとえば、P型である。半導体層35は、半導体領域21に接している。半導体層35は、主面10bからZ軸方向に延在し、半導体層33に接している。半導体層35は、APD11のアノードを構成する。
【0054】
光検出基板5は、絶縁膜41と、電極42,43と、パッシベーション膜46と、絶縁層47とをさらに備える。絶縁膜41は、半導体基板10の主面10b上に積層されている。絶縁膜41は、たとえばシリコン酸化膜である。電極42は、絶縁膜41上に配置されている。電極43は、絶縁膜41及び溝14の縁上に配置されている。パッシベーション膜46は、絶縁膜41及び電極42,43上に配置されている。絶縁層47は、パッシベーション膜46上に配置されており、溝14を埋めることによって、光検出基板5を直方体形状に形成している。
【0055】
電極42は、絶縁膜41を貫通して、APD11の半導体層31に接続されている。電極42の一部は、パッシベーション膜46から露出しており、APD11のパッド電極52を構成する。電極42は、パッド電極52においてAPD11からの信号を出力する。電極43は、半導体層35に接続されている。電極43の一部は、パッシベーション膜46から露出しており、APD11のパッド電極53を構成する。本実施形態では、パッド電極52は、APD11のカソード用のパッド電極である。パッド電極53は、APD11のアノード用のパッド電極である。
【0056】
パッド電極52,53は、それぞれ対応するバンプBに接合されている。各APD11は、パッド電極52を通して、対応する1つのバンプBに接続されている。複数のAPD11は、互いに異なる1つのバンプBに接続されている。換言すれば、APD11とバンプBとは、一対一の関係で接続されている。
【0057】
次に、図5を参照して、本実施形態における各光検出ユニット15の回路構成を説明する。図5は、各光検出ユニットの回路を説明するための図である。
【0058】
図5に示されているように、各光検出ユニット15は、APD11と、第1端子61と、第2端子62と、第3端子63と、第1回路部64と、第2回路部65とを有している。本実施形態において、APD11は、光検出基板5に含まれている。第1端子61、第2端子62、第3端子63、第1回路部64、及び、第2回路部65は、回路素子7に含まれている。APD11は、電極11aと、電極11bとを有している。電極11aは、第1端子61に接続されている。電極11bは、第1回路部64及び第2回路部65に接続されている。電極11aが第1電極に相当する場合、電極11bが第2電極に相当する。
【0059】
本実施形態において、電極11aは、APD11のアノードである。電極11aは、APD11のP型半導体に接続されたパッド電極に相当する。本実施形態では、電極11aは、パッド電極53に相当する。電極11bは、APD11のカソードである。電極11bは、APD11のN型半導体に接続されたパッド電極に相当する。本実施形態では、電極11bは、パッド電極52に相当する。
【0060】
第1回路部64と第2回路部65とは、電極11bに互いに並列に接続されている。第2端子62は、第1回路部64を介して電極11bに接続されている。第3端子63は、第2回路部65を介して電極11bに接続されている。
【0061】
第1回路部64は、スイッチ66と抵抗68とを含んでいる。スイッチ66は、第1スイッチに相当する。スイッチ66は、電極11bと第2端子62との接続状態を切り替える。スイッチ66は、導通状態と遮断状態とに切り替わることによって、電極11bと第2端子62との接続状態を切り替える。「導通状態」とは、接続された複数の配線を接続する状態である。すなわち、導通状態とは、ONの状態である。「遮断状態」とは、互いに接続された複数の配線を電気的に切断する状態である。すなわち、遮断状態とは、OFFの状態である。スイッチ66と抵抗68と電極11bと第2端子62とは、互いに直列に接続されている。換言すれば、スイッチ66及び抵抗68は、電極11bと第2端子62との間に直列に挿入されている。本実施形態では、スイッチ66は、抵抗68を介して電極11bに接続されている。抵抗68は、第2回路部65の入力インピーダンスよりも大きいインピーダンスを有している。
【0062】
第2回路部65は、スイッチ67と、キャパシタ69と、読出回路70と、を含んでいる。スイッチ67は、第2スイッチに相当する。読出回路70は、トランスインピーダンスアンプ71を含んでいる。以下、「トランスインピーダンスアンプ」を「TIA」という。スイッチ67は、電極11bと第3端子63との接続状態を切り替える。スイッチ67は、導通状態と遮断状態とに切り替わることによって、電極11bと第3端子63との接続状態を切り替える。スイッチ67とキャパシタ69とは、互いに並列に電極11bに接続されている。電極11bとスイッチ67と第3端子63とは、互いに直列に接続されている。換言すれば、スイッチ67は、電極11bと第3端子63との間に挿入されている。TIA71は、キャパシタ69に直列に接続されている。TIA71は、キャパシタ69を介して電極11bに接続されている。キャパシタ69は、TIA71の入力インピーダンスよりも低い入力インピーダンスを有している。抵抗68のインピーダンスは、キャパシタ69及びTIA71のいずれの入力インピーダンスよりも大きい。
【0063】
スイッチ66及びスイッチ67は、たとえば、電界効果トランジスタである。スイッチ66及びスイッチ67は、たとえば、MOS-FETである。スイッチ66及びスイッチ67は、電圧の印加に応じて導通状態と遮断状態とを切り替える。
【0064】
本実施形態において、スイッチ66と、抵抗68と、スイッチ67と、キャパシタ69と、TIA71とは、1つの集積回路Cに含まれている。スイッチ66と、抵抗68と、スイッチ67と、キャパシタ69と、TIA71とは、それぞれ異なる集積回路に含まれていてもよい。少なくともTIA71は、CMOSロジック集積回路に含まれている。
【0065】
受光部3は、スイッチ制御部75をさらに備えている。スイッチ制御部75は、スイッチ66とスイッチ67とのそれぞれを制御する。スイッチ制御部75は、各光検出ユニット15において光検出を行うタイミングに応じて、スイッチ66及びスイッチ67による接続状態を制御する。本実施形態では、スイッチ制御部75は、照射部2からレーザ光B1が照射されたタイミングに応じて、スイッチ66及びスイッチ67による接続状態を制御する。スイッチ制御部75は、スイッチ66の導通状態と遮断状態とを切り替える。スイッチ制御部75は、スイッチ66の導通状態と遮断状態とを切り替える。
【0066】
スイッチ制御部75は、たとえば、コンピュータによって構成される。このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)と、主記憶部と、補助記憶部と、通信制御部と、入力装置と、出力装置とを有する。スイッチ制御部75は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータによって構成される。
【0067】
本実施形態では、スイッチ制御部75は、回路素子7に設けられている。本実施形態の変形例として、スイッチ制御部75は、回路素子7とは別に搭載基板9に設けられていてもよい。本実施形態のさらなる変形例として、スイッチ制御部75は、受光部3の外部に設けられていてもよい。
【0068】
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態における各光検出ユニット15の動作について説明する。図6は、互いに異なる光検出ユニットの制御信号のタイミングチャートである。図7は、APDの特性を示す図である。
【0069】
受光部3は、複数の信号出力ユニットUを互いに異なるタイミングで動作させる。スイッチ制御部75は、各信号出力ユニットUの光検出ユニット15に光検出を指示する制御信号を出力する。各信号出力ユニットUの光検出ユニット15は、スイッチ制御部75から出力された制御信号に基づいて動作する。スイッチ制御部75から出力される制御信号は、各光検出ユニット15に光検出を行うタイミングを指示する。本実施形態では、この制御信号は、照射部2からレーザ光B1が射出されたタイミングに同期している。
【0070】
図6は、スイッチ制御部75から出力された制御信号として、信号S1,S2,S3,S4を示している。信号S1,S2,S3,S4は、互いに異なる波形を有している。たとえば、受光部3は、スイッチ制御部75からの信号S1,S2,S3,S4によって、互いに異なるタイミングで4つのグループの信号出力ユニットUを動作させる。本実施形態では、各信号出力ユニットUは、複数の光検出ユニット15を含んでいる。スイッチ制御部75は、信号出力ユニットUにおいて、同一の信号出力ユニットに含まれる光検出ユニット15には、同一の波形の信号を出力する。
【0071】
各信号S1,S2,S3,S4は、たとえば、HighLow信号である。信号出力ユニットUに入力される信号S1,S2,S3,S4がHighの場合、信号出力ユニットUに含まれる光検出ユニット15は、測定対象光B2の検出を行う。信号出力ユニットUに入力される信号S1,S2,S3,S4がLowの場合、信号出力ユニットUに含まれる光検出ユニット15は、測定対象光B2の検出を行わない。
【0072】
たとえば、図6に示されているように、信号S1がHigh状態からLow状態に立ち下がったタイミングにおいて、信号S2がLow状態からHigh状態に立ち上がる。この結果、信号S1が入力されている信号出力ユニットUの光検出ユニット15が測定対象光B2の検出を終了したタイミングにおいて、信号S2が入力されている信号出力ユニットUの光検出ユニット15が測定対象光B2の検出を開始する。信号S2がHigh状態からLow状態に立ち下がったタイミングにおいて、信号S3がLow状態からHigh状態に立ち上がる。この結果、信号S2が入力されている信号出力ユニットUの光検出ユニット15が測定対象光B2の検出を終了したタイミングにおいて、信号S3が入力されている信号出力ユニットUの光検出ユニット15が測定対象光B2の検出を開始する。
【0073】
スイッチ制御部75は、光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われる場合には、スイッチ66に電極11bと第2端子62とを接続させ、スイッチ67に電極11bと第3端子63との接続を切断させる。スイッチ制御部75は、光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合には、スイッチ66に電極11bと第2端子62との接続を切断させ、スイッチ67に電極11bと第3端子63とを接続させる。換言すれば、スイッチ制御部75は、光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われる場合に、スイッチ66を導通状態にさせ、スイッチ67を遮断状態にさせる。スイッチ制御部75は、光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合に、スイッチ66を遮断状態にさせ、スイッチ67を導通状態にさせる。
【0074】
たとえば、スイッチ66は、スイッチ制御部75からの制御信号がHigh状態の場合に導通状態となり、スイッチ制御部75からの制御信号がLow状態の場合に遮断状態となる。スイッチ67は、スイッチ制御部75からの制御信号がLow状態の場合に導通状態となり、スイッチ制御部75からの制御信号がHigh状態の場合に遮断状態となる。
【0075】
第1端子61には、第1電位が印加される。第2端子62には、第2電位が印加される。第3端子63には、第3電位が印加される。APD11には、第1電位と第3電位との電位差に応じた電圧、又は、第1電位と第2電位との電位差に応じた電圧が印加される。第1電位と第3電位との電位差の絶対値は、第1電位と第2電位との電位差の絶対値よりも小さい。第1電位と第2電位との電位差、及び、第1電位と第3電位との電位差は、TIA71の動作電圧の範囲に含まれている。第1電位と第2電位との電位差は、APD11に設定する増倍率に応じて決定される。本実施形態では、第1電位が第2電位及び第3電位よりも低く、第3電位が第2電位よりも低い。
【0076】
APD11に印加される電圧は、スイッチ制御部75の制御に応じて切り替わる。光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われる場合には、電極11bと第2端子62とがスイッチ66によって接続されており、電極11bと第3端子63との接続がスイッチ67によって切断される。この結果、APD11には、第1端子61に印加される第1電位と第2端子62に印加される第2電位との電位差に応じた電圧が印加される。
【0077】
光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合には、電極11bと第2端子62との接続がスイッチ66によって切断されており、電極11bと第3端子63とがスイッチ67によって接続されている。この結果、APD11には、第1端子61に印加される第1電位と第3端子63に印加される第3電位との電位差に応じた電圧が印加される。
【0078】
本実施形態において、第1端子61には、たとえば、第1電位として-60Vが印加される。第2端子62には、たとえば、第2電位として+10Vが印加される。第3端子63には、たとえば、第3電位として0Vが印加される。この場合、第3端子63には、グラウンドが接続されていてもよい。光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われる場合には、70Vの電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合には、60Vの電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。
【0079】
図7は、APD11の特性の一例を示している。図7において、横軸はAPD11におけるバイアス電圧を示し、縦軸はAPD11におけるゲインを示す。この場合には、測定対象光B2の検出が行われる場合にはAPD11におけるゲインは24倍程度であるのに対して、測定対象光B2の検出が行われない場合にはAPD11におけるゲインは16倍程度である。このように、APD11におけるゲインは、測定対象光B2の検出が行われない場合には、測定対象光B2の検出が行わる場合に比べて低下する。
【0080】
次に、図8を参照して、本実施形態の変形例における各光検出ユニット15Aの回路について説明する。図8は、本変形例における各光検出ユニット15Aの回路を説明するための図である。本変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。本変形例は、スイッチ67の代わりにダイオード80が用いられる点において、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0081】
各光検出ユニット15Aは、APD11と、第1端子61と、第2端子62と、第3端子63と、第1回路部64と、第2回路部65Aとを有している。したがって、光検出ユニット15Aは、第2回路部65が第2回路部65Aである点において、光検出ユニット15と異なる。
【0082】
第2回路部65Aは、ダイオード80と、キャパシタ69と、読出回路70と、を含んでいる。ダイオード80は、電極81と、電極82とを有している。ダイオード80の電極81は、APD11の電極11bと同一の極性を有している。ダイオード80の電極82は、APD11の電極11aと同一の極性を有している。ダイオード80の電極81は、電極11bに接続されている。ダイオード80の電極82は、第3端子63に接続されている。ダイオード80とキャパシタ69とは、互いに並列に電極11bに接続されている。電極11bとダイオード80と第3端子63とは、互いに直列に接続されている。電極81が第4電極に相当する場合、電極82が第3電極に相当する。
【0083】
本実施形態において、電極11bに接続されている電極81は、ダイオード80のアノードである。第3端子63に接続されている電極82は、ダイオード80のカソードである。本実施形態の変形例として、図9を用いて後述する変形例のようにAPD11の極性が反転している場合には、ダイオード80のカソードが電極81として電極11bに接続され、ダイオード80のアノードが電極82として第3端子63に接続される。
【0084】
本変形例において、スイッチ66と、抵抗68と、ダイオード80と、キャパシタ69と、TIA71とは、1つの集積回路Cに含まれている。スイッチ66と、抵抗68と、ダイオード80と、キャパシタ69と、TIA71とは、それぞれ異なる集積回路に含まれていてもよい。少なくともTIA71は、CMOSロジック集積回路に含まれている。
【0085】
第1端子61には、第1電位が印加される。第2端子62には、第2電位が印加される。第3端子63には、第3電位が印加される。第1電位と第3電位との電位差の絶対値は、第1電位と第2電位との電位差の絶対値よりも小さい。第1電位と第2電位との電位差、及び、第1電位と第3電位との電位差は、TIA71の動作電圧の範囲に含まれている。第1電位と第2電位との電位差は、APD11に設定する増倍率に応じて決定される。
【0086】
APD11に印加される電圧は、スイッチ制御部75の制御に応じて切り替わる。光検出ユニット15Aにおいて測定対象光B2の検出が行われる場合には、電極11bと第2端子62とがスイッチ66によって接続さる。本実施形態では、第1電位が第2電位及び第3電位よりも低く、第3電位が第2電位よりも低い。この結果、APD11には、第1端子61に印加される第1電位と第2端子62に印加される第2電位との電位差に応じた電圧が印加される。
【0087】
光検出ユニット15Aにおいて測定対象光B2の検出が行われない場合には、電極11bと第2端子62との接続がスイッチ66によって切断される。本実施形態では、第1電位が第2電位及び第3電位よりも低く、第3電位が第2電位よりも低い。この結果、APD11には、第1端子61に印加される第1電位と第3端子63に印加される第3電位との電位差に応じた電圧が印加される。
【0088】
本実施形態において、第1端子61には、たとえば、第1電位として-60Vが印加される。第2端子62には、たとえば、第2電位として+10Vが印加される。第3端子63には、たとえば、第3電位として0Vが印加される。この場合、第3端子63には、グラウンドが接続されていてもよい。光検出ユニット15Aにおいて測定対象光B2の検出が行われる場合には、70Vの電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合には、60Vの電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。このように、各光検出ユニット15Aにおいても、APD11におけるゲインは、測定対象光B2の検出が行われない場合には、測定対象光B2の検出が行わる場合に比べて低下する。
【0089】
次に、図9を参照して、本実施形態の変形例における各光検出ユニット15Bの回路について説明する。図9は、本変形例における各光検出ユニット15Bの回路を説明するための図である。本変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。本変形例は、APDの極性が反転している点において、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0090】
各光検出ユニット15Bにおいても、APD11は、電極11aと、電極11bとを有している。電極11aは、第1端子61に接続されている。電極11bは、第1回路部64及び第2回路部65に接続されている。各光検出ユニット15Bにおいて、電極11aは、APD11のカソードである。本変形例において、電極11aは、APD11のN型半導体に接続されたパッド電極に相当する。電極11bは、APD11のアノードである。電極11bは、APD11のP型半導体に接続されたパッド電極に相当する。
【0091】
第1端子61には、第1電位が印加される。第2端子62には、第2電位が印加される。第3端子63には、第3電位が印加される。第1電位と第3電位との電位差の絶対値は、第1電位と第2電位との電位差の絶対値よりも小さい。第1電位と第2電位との電位差、及び、第1電位と第3電位との電位差は、TIA71の動作電圧の範囲に含まれている。第1電位と第2電位との電位差は、APD11に設定する増倍率に応じて決定される。本変形例では、第1電位が第2電位及び第3電位よりも高く、第3電位が第2電位よりも高い。
【0092】
APD11に印加される電圧は、スイッチ制御部75の制御に応じて切り替わる。光検出ユニット15Bにおいて測定対象光B2の検出が行われる場合には、電極11bと第2端子62とがスイッチ66によって接続されており、電極11bと第3端子63との接続がスイッチ67によって切断される。この結果、APD11には、第1端子61に印加される第1電位と第2端子62に印加される第2電位との電位差に応じた電圧が印加される。
【0093】
光検出ユニット15Bにおいて測定対象光B2の検出が行われない場合には、電極11bと第2端子62との接続がスイッチ66によって切断されており、電極11bと第3端子63とがスイッチ67によって接続されている。この結果、APD11には、第1端子61に印加される第1電位と第3端子63に印加される第3電位との電位差に応じた電圧が印加される。
【0094】
本変形例において、第1端子61には、たとえば、第1電位として+70Vが印加される。第2端子62には、たとえば、第2電位として0Vが印加される。第3端子63には、たとえば、第3電位として+12Vが印加される。この場合、第2端子62には、グラウンドが接続されていてもよい。光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われる場合には、70Vの電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合には、58Vの電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。このように、各光検出ユニット15Bにおいても、APD11におけるゲインは、測定対象光B2の検出が行われない場合には、測定対象光B2の検出が行わる場合に比べて低下する。
【0095】
次に、光検出装置1の作用効果について説明する。各光検出ユニット15,15Bにおいて、第1端子61は、APD11の電極11aに接続されている。スイッチ66は、APD11の電極11bと第2端子62との接続状態を切り替える。スイッチ67は、APD11の電極11bと第3端子63との接続状態を切り替える。このため、この光検出装置1は、APD11へのバイアス電圧を、第1端子61に印加される第1電位と第2端子62に印加される第2電位との電位差から、第1端子61に印加される第1電位と第3端子63に印加される第3電位との電位差に切り替えることができる。
【0096】
光検出が行われる場合にAPD11に印加されるバイアス電圧よりも、光検出が行われない場合にAPD11に印加されるバイアス電圧が低ければ、光検出が行われない場合において環境光などの入射によるAPD11の発熱が抑制される。たとえば、上記光検出装置1の光検出ユニット15,15Bにおいて、第1電位と第2電位との電位差が第1電位と第3電位との電位差よりも低い場合において、スイッチ66が遮断状態とされスイッチ67が導通状態とされれば、APD11に印加されるバイアス電圧は低下する。この結果、光の入射によるAPD11の発熱が抑制される。
【0097】
APD11に印加されるバイアス電圧は、第1電位と第2電位との電位差と、第1電位と第3電位との電位差との間において切り替えられる。このため、APD11へバイアス電圧の印加される状態と、APD11へバイアス電圧の印加されない状態とが切り替えられる場合よりも、APD11におけるバイアス電圧の変動が小さい。この結果、読出回路70に印加される電位の変動も抑制されるため、読出回路70の破損も抑制される。
【0098】
光検出ユニット15Aにおいて、第1端子61は、APD11の電極11aに接続されている。スイッチ66は、APD11の電極11bと第2端子62との接続状態を切り替える。ダイオード80の電極81は電極11bに接続されており、ダイオード80の電極82は第3端子63に接続されている。電極81は、電極11bと同一の極性を有している。電極82は、電極11aと同一の極性を有している。このため、この光検出装置1は、APD11へのバイアス電圧を、第1端子61に印加される第1電位と第2端子62に印加される第2電位との電位差から、第1端子61に印加される第1電位と第3端子63に印加される第3電位との電位差に切り替えることができる。
【0099】
たとえば、上記光検出装置1の光検出ユニット15Aにおいて、第1電位と第2電位との電位差が第1電位と第3電位との電位差よりも低い場合において、スイッチ66が遮断状態とされれば、APD11に印加されるバイアス電圧は低下する。この結果、光の入射によるAPD11の発熱が抑制される。APD11に印加されるバイアス電圧は、第1電位と第2電位との電位差と、第1電位と第3電位との電位差との間において切り替えられる。このため、APD11へバイアス電圧の印加される状態と、APD11へバイアス電圧の印加されない状態とが切り替えられる場合よりも、APD11におけるバイアス電圧の変動が小さい。この結果、読出回路70に印加される電位の変動も抑制されるため、読出回路70の破損も抑制される。
【0100】
各光検出ユニット15,15A,15Bにおいて、スイッチ66は、抵抗68を介して電極11bに接続されている。この場合、スイッチ66において発生する寄生容量による影響が低減される。
【0101】
各光検出ユニット15,15A,15Bにおいて、TIA71は、CMOSロジック集積回路に含まれている。TIA71がCMOSロジック集積回路に含まれている場合、TIAは、比較的高い速度で動作し得る。しかし、CMOSロジック集積回路は、動作電圧の範囲が制限される。上記構成であれば、CMOSロジック集積回路に印加される電圧が動作電圧の範囲内とされながら、APD11に印加されるバイアス電圧が変更され得る。したがって、TIA71の動作速度が向上されながら、APD11の発熱、及び、電圧の変動に応じた読出回路70の破損が抑制され得る。
【0102】
各光検出ユニット15,15Bは、スイッチ66、抵抗68、スイッチ67、キャパシタ69、及び、TIA71の全てが同一のCMOSロジック集積回路に含まれた構成においても、たとえば20V以下の比較的低い動作電圧において動作し得る。換言すれば、スイッチ66、抵抗68、スイッチ67、キャパシタ69、及び、TIA71の全てが同一の集積回路に含まれた構成において、TIA71が比較的高い速度で動作し得る。
【0103】
各光検出ユニット15Aは、スイッチ66、抵抗68、ダイオード80、キャパシタ69、及び、TIA71の全てが同一のCMOSロジック集積回路に含まれた構成においても、たとえば20V以下の比較的低い動作電圧において動作し得る。換言すれば、スイッチ66、抵抗68、ダイオード80、キャパシタ69、及び、TIA71の全てが同一の集積回路に含まれた構成において、TIA71が比較的高い速度で動作し得る。
【0104】
各光検出ユニット15,15A,15Bにおいて、抵抗68は、第2回路部65の入力インピーダンスよりも大きいインピーダンスを有している。この場合、APD11からの信号がより正確にTIA71に伝送され得る。
【0105】
各光検出ユニット15,15A,15Bにおいて、第1電位と第2電位との電位差、及び、第1電位と第3電位との電位差は、TIA71の動作電圧の範囲に含まれていてもよい。この場合、簡易な構成によって、TIA71の動作速度が向上されながら、APD11の発熱、及び、電圧の変動に応じた読出回路70の破損が抑制され得る。
【0106】
光検出装置1は、各光検出ユニット15,15A,15Bにおいて光検出を行うタイミングに応じて、スイッチ66,67による接続状態を制御するスイッチ制御部75をさらに備えている。この場合、光検出装置1は、光検出を行うタイミングであるか否かに応じて、APD11へのバイアス電圧を切り替えることができる。
【0107】
各光検出ユニット15,15Bに対して、スイッチ制御部75は、スイッチ66が電極11bと第2端子62との接続を切断している状態において、スイッチ67に、電極11bと第3端子63とを接続させる。この場合、光検出装置1は、測定対象光B2の検出を行わないAPD11に環境光B3が入射した場合に、発生した電流を第3端子63に放電することができる。この結果、読出回路70の破損が抑制される。
【0108】
各光検出ユニット15,15Bに対して、スイッチ制御部75は、スイッチ66が電極11bと第2端子62とを接続している状態において、スイッチ67に、電極11bと第3端子63との接続を切断させる。この場合、抵抗68における発熱が抑制される。
【0109】
光検出装置1は、光を照射する照射部2をさらに備えてもよい。スイッチ制御部75は、照射部2から光が照射されたタイミングに応じて、スイッチ66,67の通電状態を制御する。この場合、光検出装置1は、光検出を行うタイミングであるか否かをより確実に判断することができる。この結果、光検出装置1は、光検出を行うタイミングであるか否かに応じて、APD11へのバイアス電圧をより的確に切り替えることができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0111】
たとえば、上述した実施形態及び変形例において、APD11は、リニアモードにおいて動作する。しかし、APD11は、ガイガーモードにおいて動作してもよい。この場合、各光検出ユニット15は、APD11に接続されたクエンチング回路をさらに有してもよい。クエンチング回路は、光検出基板5に設けられてもよいし、回路素子7に設けられてもよい。クエンチング回路は、抵抗68と一体に設けられてもよい。
【0112】
上述した実施形態及び変形例において、光検出基板5及び回路素子7は、互いに分離しており、Z軸方向において互いに対向するように配置されている。しかし、光検出基板5及び回路素子7は、一体に構成されていてもよい。光検出基板5及び回路素子7は、Z軸方向と交差する方向に配列されていてもよい。
【0113】
上述した実施形態及び変形例において、光検出基板5と回路素子7とは、バンプBを介して接続されている。しかし、光検出基板5と回路素子7とは、直接接合していてもよい。
【0114】
上述した実施形態及び変形例において、スイッチ制御部75は、スイッチ66とスイッチ67とのそれぞれを制御する。しかし、スイッチ66とスイッチ67とは、連動していてもよい。たとえば、スイッチ66及びスイッチ67は、CMOSによって構成されていてもよい。
【0115】
各光検出ユニット15及び光検出ユニット15Bにおいて、スイッチ制御部75は、光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われる場合に、スイッチ66を導通状態にさせ、スイッチ67を遮断状態にさせる。スイッチ制御部75は、光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合に、スイッチ66を遮断状態にさせ、スイッチ67を導通状態にさせる。しかし、光検出ユニット15において測定対象光B2の検出が行われない場合に、スイッチ66とスイッチ67との双方を導通状態にしてもよい。この場合においても、スイッチ66が導通状態でスイッチ67が遮断状態である場合よりも、APD11に印加されるバイアス電圧は低下する。APD11へバイアス電圧の印加される状態と、APD11へバイアス電圧の印加されない状態とが切り替えられる場合よりも、APD11におけるバイアス電圧の変動が小さい。この結果、光の入射によるAPD11の発熱と、電位の変動に応じた読出回路70の破損とが抑制される。スイッチ66が遮断状態でありスイッチ67が導通状態である場合は、スイッチ66とスイッチ67との双方を導通状態である場合よりも、抵抗68における発熱が抑制される。
【0116】
上述した変形例は、それぞれ、組み合わされてもよい。たとえば、各光検出ユニット15Bにおいて、光検出ユニット15Aのように、スイッチ67の代わりにダイオード80が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1…光検出装置、2…照射部、11…アバランシェフォトダイオード、11a,11b…電極、15,15A,15B…光検出ユニット、61…第1端子、62…第2端子、63…第3端子、64…第1回路部、65,65A…第2回路部、66,67…スイッチ、68…抵抗、69…キャパシタ、70…読出回路、71…トランスインピーダンスアンプ、75…スイッチ制御部、80…ダイオード、81,82…電極、R…受光領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9