(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021835
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】感熱転写媒体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/395 20060101AFI20220127BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20220127BHJP
B41M 5/385 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
B41M5/395 300
B41M5/44 320
B41M5/385 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125676
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下島 琢磨
【テーマコード(参考)】
2H111
【Fターム(参考)】
2H111AA26
2H111BA02
2H111BA03
2H111BA34
2H111BA53
2H111BA61
2H111BA73
(57)【要約】
【課題】ラミネートフィルムからなるパッケージ等の表面に、高い熱処理耐性、耐アルコール性、および耐油性を有する文字を印刷できる感熱転写媒体を提供する。
【解決手段】 感熱転写媒体は、基材と、当該基材上に熱転写可能に設けられた熱転写層とを含み、当該熱転写層は、上記基材上に順に積層された着色層、および接着層を含むとともに、着色層は、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、およびイソシアネート硬化剤を含み、接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に熱転写可能に設けられた熱転写層とを含み、かつ前記熱転写層は、前記基材上に順に積層された着色層、および接着層を含むとともに、前記着色層は、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、およびイソシアネート硬化剤を含み、前記接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む感熱転写媒体。
【請求項2】
前記着色層に含まれる前記塩素化ポリオレフィン樹脂は、塩素含有率が29%以上の塩素化ポリオレフィン樹脂である請求項1に記載の感熱転写媒体。
【請求項3】
前記着色層に含まれる前記ポリエステル樹脂は、数平均分子量Mnが10000以上、33000以下のポリエステル樹脂である請求項1または2に記載の感熱転写媒体。
【請求項4】
前記着色層における、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、前記ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.1以上、4.5以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の感熱転写媒体。
【請求項5】
前記着色層は、さらにDBP吸収量が100cm3/100g以上、300cm3/100g以下のカーボンブラックを含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の感熱転写媒体。
【請求項6】
前記接着層は、さらにポリエステル樹脂を含む請求項1ないし5のいずれか1に記載の感熱転写媒体。
【請求項7】
前記接着層における、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、前記ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は0.4以上、6.0以下である請求項6に記載の感熱転写媒体。
【請求項8】
前記接着層に含まれる前記酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の感熱転写媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱転写媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品をパッケージに充てんして当該パッケージを密封したのち、殺菌処理して市場に供する場合がある。
パッケージの一例としては、ラミネートフィルムからなる袋体などが挙げられる。
ラミネートフィルムとしては、たとえば食品と接する内側にポリプロピレンフィルム、外側に延伸ナイロン(ONY)フィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、さらに必要に応じて中間にアルミニウム箔を積層した積層体等が用いられる。
【0003】
ラミネートフィルムからなるパッケージの外側の表面に、オンデマンドで任意の文字(バーコード等の記号類を含む、以下同様。)を印刷するために、熱転写印刷法を採用することが検討されている。
熱転写印刷法では基材と、当該基材の表面に熱転写可能に設けられた熱転写層とを含む感熱転写媒体が用いられる。
【0004】
また熱転写層は、基材上に順に積層された着色層、および接着層を含む積層構造とするのが一般的である(特許文献1~3等参照)。
熱転写印刷法では、感熱転写媒体の熱転写層をパッケージの表面に接触させた状態で、当該熱転写層を、基材の反対面(背面)側から、熱転写プリンタのサーマルヘッドを用いて、印刷パターンに応じて選択的に加熱する。
【0005】
そうすると熱転写層が、加熱されたパターンに応じて選択的に溶融または軟化して基材から剥離し、パッケージの表面に熱接着されて、当該表面に文字が印刷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-334227号公報
【特許文献2】特開平9-86056号公報
【特許文献3】特開2020-69722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食品を充てんしたパッケージの殺菌処理は、ボイル殺菌処理、レトルト殺菌処理に大別され、このうちボイル殺菌処理ではパッケージが、水の沸点である100℃以下の温度で煮沸処理される。
またレトルト殺菌処理では、食品を充てんして密封したパッケージ(レトルトパウチ)が、たとえば加圧下で、100℃を超える高温に加熱された水や水蒸気によって加熱処理される。
【0008】
レトルト殺菌処理は、詳しくは、加熱の温度に応じてセミレトルト殺菌処理、レトルト殺菌処理、ハイレトルト殺菌処理に分類される。
いずれにしろ、ボイル殺菌処理をも含むこれらの殺菌処理時には、パッケージが高温に晒されることになる。
そのため、熱転写印刷法によってパッケージ等の表面に印刷される文字には、かかる高温に加熱されたり、高温の水中でかく拌されたり、高温の水蒸気流に晒されたりした後にペーパーウエスなどでこすっても剥離したりしない、高い熱処理耐性が求められる。
【0009】
またパッケージには、食品の製造過程や袋詰めの過程、あるいは袋詰め後や殺菌処理後などに、エタノール等のアルコールや食用油などの油が付着する場合がある。
しかしその場合でも、パッケージ等の表面に印刷される文字には、溶けたり滲んだりしない高い耐アルコール性や耐油性を有していることも求められる。
本発明の目的は、ラミネートフィルムからなるパッケージ等の表面に、高い熱処理耐性、耐アルコール性、および耐油性を有する文字を印刷できる感熱転写媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は基材と、前記基材上に熱転写可能に設けられた熱転写層とを含み、かつ前記熱転写層は、前記基材上に順に積層された着色層、および接着層を含むとともに、前記着色層は、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、およびイソシアネート硬化剤を含み、前記接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む感熱転写媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ラミネートフィルムからなるパッケージ等の表面に、高い熱処理耐性、耐アルコール性、および耐油性を有する文字を印刷できる感熱転写媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記のように本発明の感熱転写媒体は、基材と、当該基材上に熱転写可能に設けられた熱転写層とを含み、当該熱転写層は、上記基材上に順に積層された着色層、および接着層を含むとともに、着色層は、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、およびイソシアネート硬化剤を含み、接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の感熱転写媒体において着色層に含まれる塩素化ポリオレフィン樹脂は、とくにエタノール等のアルコールに溶けにくいため、当該着色層を含む熱転写層を熱転写してパッケージ等の表面に印刷される文字の耐アルコール性を向上することができる。
また、上記着色層に含まれるポリエステル樹脂は、とくに食用油等の油に溶けにくいため、上記文字の耐油性を向上することができる。
【0014】
しかもポリエステル樹脂は、イソシアネート硬化剤によって硬化されることで着色層の膜強度を高めて、上記文字の耐アルコール性や耐油性をさらに向上することもできる。
一方、接着層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂は、とくにパッケージ等の表面を構成するONYフィルムに対する熱接着性や、熱接着後の接着力に優れている。
また上記酸変性ポリオレフィン樹脂は、パッケージ等の表面を構成するPETフィルムに対しても、適度の熱接着性や接着力を有している。
【0015】
そのため、当該接着層を含む熱転写層を熱転写してパッケージ等の表面に印刷される文字の熱処理耐性を、現状より向上することができる。
また、文字の耐アルコール性を向上することもできる。
したがって、本発明の感熱転写媒体によれば、上記着色層と接着層の機能により、パッケージ等の表面に、高い熱処理耐性、耐アルコール性、および耐油性を有する文字を印刷することが可能となる。
【0016】
なお特許文献1~3にはそれぞれ、熱転写層が、基材上に順に積層された着色層、接着層を含むとともに、上記両層が個別に、ポリエステル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などを適宜、含んでもよいことが記載されている。
また特許文献1には、着色層がポリイソシアナートなどの硬化剤を含んでもよいことが記載されている。
【0017】
さらに特許文献2には、印刷対象がポリオレフィン系フィルムである場合、接着層の表面に、塩素化ポリオレフィン樹脂や無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂からなる粒子を分散させることが記載されている。
しかし特許文献1~3に記載の感熱転写媒体は、いずれも食品用のパッケージへの印刷に特化したものではなく、着色層、接着層に含まれる樹脂を、本発明で規定した特定の組み合わせとすることについて、これらの特許文献には一切記載されていない。
【0018】
そのため、特許文献1~3に記載の感熱転写媒体では、パッケージ等の表面を構成するONYフィルムやPETフィルムの表面に、本発明と同等の高い熱処理耐性、耐アルコール性、耐油性を有する文字を印刷することはできない。
このことは、後述する実施例、比較例の結果からも明らかである。
《感熱転写媒体》
本発明の感熱転写媒体は、前述したように基材と、当該基材上に熱転写可能に設けられた熱転写層とを含み、かつ熱転写層は、上記基材上に順に積層された着色層、および接着層を含むとともに、着色層は、ポリエステル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、およびイソシアネート硬化剤を含み、接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする。
【0019】
着色層と接着層とを上記の構成とすることによって、先に説明したように、熱転写後の文字の熱処理耐性、耐アルコール性、耐油性を、現状よりも向上することができる。
しかも着色層は、基材の背面側から加えられる熱に応じて部分的に溶融または軟化して基材から剥離する、いわゆる熱感度を有する層であり、当該着色層を、熱接着性を有する接着層と積層することで、それぞれの層の機能を個別に向上することもできる。
【0020】
すなわち接着層とは別個に、当該接着層と基材との間に介在させて着色層を設けることにより、基材の背面側から加えられる熱を、着色層にできるだけ効率よく伝達して当該接着層の、そして熱転写層の全体での、印刷時の熱感度を向上することができる。
また着色層は、印刷後の表面側に位置するため、文字の色濃度や発色性を向上することもできる。
【0021】
一方、接着層は、着色層用の成分、とくに熱接着や膜強度の妨げとなる着色剤(顔料)等を含まない分、パッケージ等の表面への熱接着性や、熱接着後の接着力を高めることができ、熱転写後の文字の熱処理耐性をさらに向上することもできる。
〈基材〉
基材としては、従来同様にポリスルホン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、トリアセテート等の樹脂のフィルムや、コンデンサー紙、グラシン紙等の薄葉紙、あるいはセロファン等が挙げられる。
【0022】
中でもPET、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルムが、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、価格等の見地から好ましい。
基材の厚みは、たとえば熱転写プリンタの仕様等に応じて任意に設定できるものの、1μm以上、とくに2μm以上であるのが好ましく、10μm以下、とくに8μm以下であるのが好ましい。
【0023】
厚みがこの範囲未満では、基材の強度(引張強度等)が低下する傾向がある。
そして、たとえば基材の表面に、熱転写層を構成する各層のもとになる塗材を塗布したり、所定の幅のリボン状にスリットしたりして感熱転写媒体を製造する際や、製造した感熱転写媒体をロール状に巻き取る際等に、基材が破断しやすくなる場合がある。
一方、基材の厚みが上記の範囲を超える場合には、サーマルヘッドによって背面側から加えられる熱を、当該基材を通して熱転写層に効率よく伝達することができず、印刷時の熱感度が低下して、文字が掠れたりしやすくなる場合がある。
【0024】
これに対し、基材の厚みを上記の範囲とすることで強度を確保しながら、熱転写プリンタのサーマルヘッドによって基材の背面側から加えられる熱を、当該基材を通して熱転写層にできるだけ効率よく伝達して、印刷時の熱感度を向上することができる。
そのため、掠れを生じにくくして、鮮明な文字を印刷することができる。
〈背面層〉
基材の、熱転写層を形成する表面とは反対面(背面)には、サーマルヘッドと接触する当該背面の耐熱性、滑り性、耐擦過性等を向上するため、従来同様に背面層を形成してもよい。
【0025】
すなわち背面層は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン・フッ素共重合樹脂、ニトロセルロース樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等によって形成することができ、さらに必要に応じて滑剤を含有させても良い。
背面層は、上記樹脂等を溶剤に溶解または分散させた塗材を、基材の背面に塗布したのち乾燥させて形成することができる。
【0026】
背面層の厚みは、やはり熱転写プリンタの仕様等に応じて任意に設定できるものの、単位面積あたりの固形分量で表して0.05g/m2以上、とくに0.1g/m2以上であるのが好ましく、0.5g/m2以下、とくに0.4g/m2以下であるのが好ましい。
厚みがこの範囲未満では、基材の背面に、背面層として良好に機能する連続した層を形成することができず、当該背面層を設けることによる前述した効果が十分に得られない場合がある。
【0027】
一方、背面層の厚みが上記の範囲を超える場合には、サーマルヘッドによって基材の背面側から加えられる熱を、当該背面層と基材とを通して熱転写層に効率よく伝達することができず、印刷時の熱感度が低下して、文字が掠れたりしやすくなる場合がある。
これに対し、厚みを上記の範囲とすることで、基材の背面に、背面層として良好に機能する連続した層を形成して、当該背面層を設けることによる前述した効果を十分に確保することができる。
【0028】
また、サーマルヘッドによって基材の背面側から加えられる熱を、背面層と基材とを通して熱転写層にできるだけ効率よく伝達して、印刷時の熱感度を向上することができ、掠れを生じにくくして、鮮明な印刷をすることもできる。
〈剥離層〉
基材と熱転写層との間には、剥離層を設けてもよい。
【0029】
剥離層としては、熱転写層を熱転写するまでの間、当該熱転写層を基材の表面に固定し続けるとともに、サーマルヘッドによる加熱によって溶融または軟化して、上記熱転写層を基材から剥離させる機能を有する、種々の材料からなる層が挙げられる。
剥離層を形成する材料としては、たとえばワックスが挙げられる。
またワックスとしては、たとえばポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の、1種または2種以上を用いることができる。
【0030】
またワックスには、熱転写前の熱転写層が基材から剥離する、いわゆるコボレを防止するために、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)等の熱可塑性樹脂を添加してもよい。
剥離層は、上述した機能を良好に発現させることを考慮すると、融点が50℃以上、とくに60℃以上であるのが好ましく、150℃以下、とくに120℃以下であるのが好ましい。
【0031】
融点が上記の範囲にある剥離層を形成するには、ワックスの中から、融点が当該範囲にあるものを選択すればよい。
あるいは2種以上のワックスを併用して、融点が上記の範囲に入るように調整してもよい。
剥離層は、そのもとになるワックス等を溶剤に溶解または分散させた塗材を、基材の表面に塗布したのち乾燥させて形成することができる。
【0032】
あるいはホットメルト塗工により、上記ワックス等を加熱して溶融させた状態で基材の表面に塗布したのち冷却、固化させて剥離層を形成することもできる。
剥離層の厚みは、単位面積あたりの固形分量で表して0.1g/m2以上、とくに0.2g/m2以上であるのが好ましく、1.4g/m2以下、とくに1.2g/m2以下であるのが好ましい。
【0033】
厚みをこの範囲以上とすることで、基材の表面に、剥離層として良好に機能する連続した層を形成して、熱転写層の転写性を向上でき、転写不良による文字の掠れや鮮明性の低下が生じるのを良好に抑制できる。
また、剥離層の厚みを上記の範囲以下とすることで、サーマルヘッドによって基材の背面側から加えられる熱を、当該剥離層を通して熱転写層にできるだけ効率よく伝達して、感熱転写媒体の熱感度を向上できる。
【0034】
そのため、転写不良による文字の掠れや鮮明性の低下が生じるのを良好に抑制することができる。
〔熱転写層〕
熱転写層は、基材上に直接に、あるいは基材の表面に剥離層を設ける場合は当該剥離層上に、前述したように順に積層される着色層、および接着層を含む。
【0035】
〈着色層〉
着色層は、サーマルヘッドによって基材の背面側から局部的に加えられる熱に応じて部分的に溶融または軟化して基材から剥離する熱感度を有する層であって、前述したように塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、およびイソシアネート硬化剤を含む。
また着色層は、任意の着色剤を含んでいてもよい。
【0036】
(塩素化ポリオレフィン樹脂)
塩素化ポリオレフィン樹脂は、前述したように、とくにエタノール等のアルコールに溶けにくいため、着色層の、ひいては着色層を含む熱転写層を熱転写してパッケージの表面に印刷される文字の耐アルコール性を向上することができる。
塩素化ポリオレフィン樹脂の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種製品等が挙げられる。
【0037】
日本製紙(株)製のスーパークロン(登録商標)シリーズのうちトルエン溶液として供給されるC〔塩素含有率:35%、粘度:500~2000mPa・s(25℃)、固形分:55%〕、L-206〔塩素含有率:32%、粘度:50~100mPa・s(25℃)、固形分:50%〕、813A〔塩素含有率:30%、粘度:50~250mPa・s(25℃)、固形分:55%〕、803M〔塩素含有率:30%、粘度:1500~4500mPa・s(25℃)、固形分:30%〕、803MW〔塩素含有率:29.5%、粘度:350~650mPa・s(25℃)、固形分:20%〕、803LT〔塩素含有率:26.5%、粘度:50~120mPa・s(25℃)、固形分:30%〕、1026〔塩素含有率:26%、粘度:250~750mPa・s(25℃)、固形分:30%〕、803L〔塩素含有率:26%、粘度:1500~4500mPa・s(25℃)、固形分:30%〕、あるいは固形品として供給される814HS〔塩素含有率:41%、60%トルエン溶液での粘度:500~2000mPa・s(25℃)〕、390S〔塩素含有率:36%、50%トルエン溶液での粘度:200~600mPa・s(25℃)〕、上記803MWの固形品〔塩素含有率:29.5%〕、803Lの固形品〔塩素含有率:26%〕。
【0038】
これらの塩素化ポリオレフィン樹脂の、1種または2種以上を用いることができる。
なお塩素化ポリオレフィン樹脂としては、上記の中でもとくに塩素含有率が29%以上である塩素化ポリオレフィン樹脂を選択して用いるのが好ましい。
塩素含有率がこの範囲未満である塩素化ポリオレフィン樹脂は、ポリエステル樹脂との相溶性が十分でないため着色層の膜強度が低下して、文字の耐アルコール性、耐油性、熱処理耐性が低下する場合がある。
【0039】
また極性基が少ないため、とくに、後述する導電性カーボンブラック等の着色剤(顔料)の分散性が低下し、分散にムラを生じて、文字の色濃度が低下する場合がある。
これに対し、塩素含有率が29%以上である塩素化ポリオレフィン樹脂を選択して用いることにより、着色剤の分散性の低下と、それに伴う文字の色濃度の低下等を抑制しながら、文字の耐アルコール性、耐油性、熱処理耐性を向上することができる。
【0040】
なお、塩素含有率の上限はとくに限定されず、当該塩素含有率が上記の範囲以上の、入手可能な種々の塩素化ポリオレフィン樹脂が、いずれも使用可能である。
ただし、塩素含有率が高すぎる塩素化ポリオレフィン樹脂は極性が高く、とくにアルコールに溶けやすいため、文字の耐アルコール性が低下する場合がある。
そのため、有機溶剤に対する良好な溶解性を確保することを考慮すると、塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有率は、上記の範囲でも45%以下、とくに42%以下であるのが好ましい。
【0041】
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、とくに食用油等の油に溶けにくいため、着色層の、ひいては着色層を含む熱転写層を熱転写してパッケージの表面に印刷される文字の耐油性を向上することができる。
またポリエステル樹脂は、イソシアネート硬化剤によって硬化されることでより強固な膜を形成して、文字の耐アルコール性や耐油性、熱処理耐性をさらに向上することもできる。
【0042】
しかも、硬化したポリエステル樹脂は硬く、かつ滑りやすいため、パッケージの表面に印刷される文字の耐擦過性、耐傷性を向上することもできる。
ポリエステル樹脂の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種製品等が挙げられる。
三菱ケミカル(株)製のダイヤクロン(登録商標)シリーズの高分子飽和共重合型ポリエステル樹脂のうちER-1002〔ガラス転移温度Tg:60℃、溶融開始温度:120℃、数平均分子量Mn:13500、水酸基価:5~10mgKOH/g〕、ER-1003〔ガラス転移温度Tg:50℃、溶融開始温度:125℃、数平均分子量Mn:19000、水酸基価:5~10mgKOH/g〕、ER-1004〔ガラス転移温度Tg:58℃、溶融開始温度:124℃、数平均分子量Mn:14000、水酸基価:5~10mgKOH/g〕、ER-2001〔ガラス転移温度Tg:15℃、溶融開始温度:83℃、数平均分子量Mn:20000、水酸基価:5~10mgKOH/g〕。
【0043】
東洋紡(株)製のバイロン(登録商標)シリーズの非晶性ポリエステル樹脂のうち200〔ガラス転移温度Tg:67℃、数平均分子量Mn:17000、水酸基価:6mgKOH/g〕、220〔ガラス転移温度Tg:53℃、数平均分子量Mn:3000、水酸基価:50mgKOH/g〕、226〔ガラス転移温度Tg:65℃、数平均分子量Mn:8000、水酸基価:20mgKOH/g〕、240〔ガラス転移温度Tg:60℃、数平均分子量Mn:15000、水酸基価:9mgKOH/g〕、270〔ガラス転移温度Tg:67℃、数平均分子量Mn:23000、水酸基価:5mgKOH/g〕、280〔ガラス転移温度Tg:68℃、数平均分子量Mn:18000、水酸基価:6mgKOH/g〕、290〔ガラス転移温度Tg:72℃、数平均分子量Mn:22000、水酸基価:5mgKOH/g〕、GK-250〔ガラス転移温度Tg:60℃、数平均分子量Mn:10000、水酸基価:11mgKOH/g〕、GK-360〔ガラス転移温度Tg:56℃、数平均分子量Mn:16000、水酸基価:7mgKOH/g〕、GK-880〔ガラス転移温度Tg:84℃、数平均分子量Mn:18000、水酸基価:5mgKOH/g〕、103〔ガラス転移温度Tg:47℃、数平均分子量Mn:23000、水酸基価:5mgKOH/g〕、600〔ガラス転移温度Tg:47℃、数平均分子量Mn:16000、水酸基価:7mgKOH/g〕、GK-800〔ガラス転移温度Tg:50℃、数平均分子量Mn:27000、水酸基価:7mgKOH/g〕、560〔ガラス転移温度Tg:7℃、数平均分子量Mn:19000、水酸基価:8mgKOH/g〕、630〔ガラス転移温度Tg:7℃、数平均分子量Mn:23000、水酸基価:5mgKOH/g〕、670〔ガラス転移温度Tg:7℃、数平均分子量Mn:30000、水酸基価:3mgKOH/g〕、GK-590〔ガラス転移温度Tg:15℃、数平均分子量Mn:7000、水酸基価:17mgKOH/g〕、GK-830〔ガラス転移温度Tg:25℃、数平均分子量Mn:32000、水酸基価:7mgKOH/g〕、BX-1001〔ガラス転移温度Tg:-18℃、数平均分子量Mn:28000、水酸基価:8mgKOH/g〕。
【0044】
ユニチカ(株)製のエリーテル(登録商標)シリーズのうちUE-3510〔ガラス転移温度Tg:-25℃、水酸基価:4mgKOH/g〕、UE-3400〔ガラス転移温度Tg:-20℃、水酸基価:4mgKOH/g〕、UE-3220〔ガラス転移温度Tg:5℃、水酸基価:3mgKOH/g〕、UE-3500〔ガラス転移温度Tg:15℃、水酸基価:4mgKOH/g〕、UE-3210〔ガラス転移温度Tg:45℃、水酸基価:4mgKOH/g〕、UE-9200〔ガラス転移温度Tg:65℃、水酸基価:6mgKOH/g〕、UE-3600〔ガラス転移温度Tg:75℃、水酸基価:4mgKOH/g〕、UE-9800〔ガラス転移温度Tg:85℃、水酸基価:4mgKOH/g〕、UE-9900〔ガラス転移温度Tg:101℃、水酸基価:8mgKOH/g〕、UE-3320〔ガラス転移温度Tg:40℃、水酸基価:60mgKOH/g〕、UE-9820〔ガラス転移温度Tg:52℃、水酸基価:39mgKOH/g〕、UE-3350〔ガラス転移温度Tg:52℃、水酸基価:25mgKOH/g〕、UE-3380〔ガラス転移温度Tg:60℃、水酸基価:15mgKOH/g〕。
【0045】
これらのポリエステル樹脂の、1種または2種以上を用いることができる。
なおポリエステル樹脂としては、数平均分子量Mnが10000以上、33000以下であるポリエステル樹脂を選択して用いるのが好ましい。
数平均分子量Mnがこの範囲未満であるポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の中ではアルコールや油に対して溶解しやすい傾向があるため、文字の耐アルコール性、耐油性を十分に向上できない場合がある。
【0046】
一方、数平均分子量Mnが上記の範囲を超えるポリエステル樹脂は、溶剤に対する溶解性が低いため、任意の溶剤に溶解して着色層のもとになる塗材を調製するのが容易でない場合がある。
これに対し、数平均分子量Mnが上記の範囲であるポリエステル樹脂を選択して用いることにより、塗材の調製のしやすさを維持しながら、パッケージの表面に印刷される文字の耐アルコール性、耐油性をさらに向上することができる。
【0047】
ポリエステル樹脂の他の特性は、とくに限定されないものの、ガラス転移温度Tgは20℃以上であるのが好ましく、90℃以下であるのが好ましい。
また水酸基価は50mgKOH/g以下、とくに20mgKOH/g以下であるのが好ましい。
(両樹脂の質量比)
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.1以上であるのが好ましく、4.5以下であるのが好ましい。
【0048】
質量比(CO)/(Ea)がこの範囲未満では、塩素化ポリオレフィン樹脂の割合が少なくなって、とくに文字の耐アルコール性が不十分になる場合がある。
また、後述するように特定の導電性カーボンブラックを用いれば、ある程度の分散性を確保できるものの、当該導電性カーボンブラック等の着色剤の分散性が低下し、分散にムラを生じて、文字の色濃度が低下する場合もある。
【0049】
一方、質量比(CO)/(Ea)が上記の範囲を超える場合には、ポリエステル樹脂の割合が少なくなるため、とくに文字の耐油性が不十分になる場合がある。
また、ポリエステル樹脂の硬化による、着色層の膜強度を高める効果も得られないため、文字の熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性が低下する場合もある。
これに対し、質量比(CO)/(Ea)を上記の範囲とすることにより、塩素化ポリオレフィン樹脂による耐アルコール性、およびポリエステル樹脂による耐油性に基づいて、熱転写後の文字の耐アルコール性、耐油性を、ともに向上することができる。
【0050】
また、ポリエステル樹脂の硬化によって着色層の膜強度を高めて、熱転写後の文字の熱処理耐性、耐アルコール性、耐油性を、いずれもより一層、向上することもできる。
なお、かかる効果をさらに向上することを考慮すると、質量比(CO)/(Ea)は、上記の範囲でも0.2以上、とくに0.25以上であるのが好ましく、4.2以下、とくに4.0以下であるのが好ましい。
【0051】
(イソシアネート硬化剤)
イソシアネート硬化剤としては、分子中にイソシアネート基を有し、ポリエステル樹脂を硬化させて、着色層の膜強度を高めることができる種々のイソシアネート化合物が、いずれも使用可能である。
かかるイソシアネート化合物としては、これに限定されないが、たとえば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネート、ポリイソシアネート単量体(有機トリイソシアネート、有機テトライソシアネートその他)等がいずれも使用可能である。
【0052】
またイソシアネート化合物としては、上記のイソシアネート化合物から誘導されるダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネートや、あるいは2,4,6-オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート等を用いることもできる。
上記のうち脂肪族イソシアネートとしては、たとえば、下記の各種化合物等が挙げられる。
【0053】
エチルイソシアネート、2-クロロエチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、t-ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、トリメチルシリルイソシアネート、3-(トリエトキシシリルプロピルイソシアネート)、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナートメチルカプロエート。
【0054】
脂環族イソシアネートとしては、たとえば、下記の各種化合物等が挙げられる。
シクロペンチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI、イソホロンジイソシアネート)、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン。
【0055】
芳香族イソシアネートとしては、たとえば、下記の各種化合物等が挙げられる。
フェニルイソシアネート、4-エチルフェニルイソシアネート、4-ブチルフェニルイソシアネート、4-エトキシフェニルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、メチルベンジルイソシアネート、2-メトキシフェニルイソシアネート、3-メトキシフェニルイソシアネート、4-メトキシフェニルイソシアネート、2-メチルフェニルイソシアネート、3-メチルフェニルイソシアネート、4-メチルフェニルイソシアネート、3,5-ジメチルフェニルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、2-クロロフェニルイソシアネート、3-クロロフェニルイソシアネート、4-クロロフェニルイソシアネート、2,3-ジクロロフェニルイソシアネート、2,4-ジクロロフェニルイソシアネート、2,5-ジクロロフェニルイソシアネート、2,6- ジクロロフェニルイソシアネート、3,4-ジクロロフェニルイソシアネート、3,5-ジクロロフェニルイソシアネート、2,4,6-トリクロロイソシアネート、2-ブロモフェニルイソシアネート、3-ブロモフェニルイソシアネート、4-ブロモフェニルイソシアネート、2-フルオロフェニルイソシアネート、3-フルオロフェニルイソシアネート、4-フルオロフェニルイソシアネート、2-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、3-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、1-イソシアナト-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2-ニトロフェニルイソシアネート、3-ニトロフェニルイソシアネート、4-ニトロフェニルイソシアネート、1-(1-ナフチル)エチルイソシアネート、1-ナフチルイソシアネート、2-ビフェニルイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート、もしくはその混合物)、4,4′-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート。
【0056】
芳香脂肪族イソシアネートとしては、たとえば、下記の各種化合物等が挙げられる。
1,3-または1,4-キシリレンジイソシアネート、もしくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート1,4-ジエチルベンゼン、1,3-または1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、もしくはその混合物。
有機トリイソシアネートとしては、たとえば、トリフェニルメタン-4,4′,4″-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナートベンゼン、2,4,6-トリイソシアナートトルエン等が挙げられる。
【0057】
有機テトライソシアネートとしては、たとえば、4,4′-ジフェニルジメチルメタン-2,2′-5,5′-テトライソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート硬化剤としては、これらのイソシアネート化合物の、1種または2種以上を用いることができる。
イソシアネート硬化剤の割合は、硬化反応によって着色層の膜強度を高めて、熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性にすぐれた文字を形成し得る、任意の範囲に設定することができる。
【0058】
より具体的には、イソシアネート基の官能基当量と、当該イソシアネート基と硬化反応するポリエステル樹脂の官能基当量とに応じて、イソシアネート硬化剤の割合を、最適な範囲に設定すればよい。
(着色剤)
着色剤としては、着色層の色味に応じた1種または2種以上の、種々の着色剤を用いることができる。
【0059】
とくに、パッケージの表面に印刷した文字の耐候性を向上すること等を考慮すると、着色剤としては顔料が好ましい。
たとえば、黒色の顔料としてはカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種カーボンブラックが挙げられる。
【0060】
三菱ケミカル(株)製のMA77粉状〔LFF、DBP吸収量:68cm3/100g〕、MA7粉状〔LFF、DBP吸収量:66cm3/100g〕、MA7粒状〔LFF、DBP吸収量:65cm3/100g〕、MA8粉状〔LFF、DBP吸収量:57cm3/100g〕、MA8粒状〔LFF、DBP吸収量:51cm3/100g〕、MA11粉状〔LFF、DBP吸収量:64cm3/100g〕、MA100粉状〔LFF、DBP吸収量:100cm3/100g〕、MA100粒状〔LFF、DBP吸収量:95cm3/100g〕、MA100R粉状〔LFF、DBP吸収量:100cm3/100g〕、MA100R粒状〔LFF、DBP吸収量:95cm3/100g〕、MA100S粉状〔LFF、DBP吸収量:100cm3/100g〕、MA230粉状〔LFF、DBP吸収量:113cm3/100g〕、MA220粉状〔LFF、DBP吸収量:93cm3/100g〕、MA14粉状〔LFF、DBP吸収量:73cm3/100g〕。
【0061】
三菱ケミカル(株)製の#3030B(ファーネス法、DBP吸収量:130cm3/100g)、#3040B(ファーネス法、DBP吸収量:114cm3/100g)、#3050B(ファーネス法、DBP吸収量:175cm3/100g)、#3230B(ファーネス法、DBP吸収量:140cm3/100g)、#3350B(ファーネス法、DBP吸収量:164cm3/100g)、#3400B(ファーネス法、DBP吸収量:175cm3/100g)。
【0062】
東海カーボン(株)製のトーカブラック(登録商標)シリーズのうち#5500(ファーネス法、DBP吸収量:155cm3/100g)、#4500(ファーネス法、DBP吸収量:168cm3/100g)、#4400(ファーネス法、DBP吸収量:135cm3/100g)、#4300(ファーネス法、DBP吸収量:142cm3/100g)。
【0063】
オリオン エンジニアード カーボンズ(ORION ENGINEERED CARBONS)社製のPRINTEX(プリンテックス、登録商標)シリーズのうちL(ファーネス法、DBP吸収量:120cm3/100g)、L6(ファーネス法、DBP吸収量:126cm3/100g)。
ビルラ・カーボン(Birla Carbon)社製のCONDUCTEX(コンダクテックス、登録商標)シリーズのうち975(ファーネス法、170cm3/100g)、SC(ファーネス法、115cm3/100g)。
【0064】
キャボット(CABOT)社製のVULCAN(バルカン、登録商標)シリーズのうちXC72(ファーネス法、DBP吸収量:174cm3/100g)、9A32(ファーネス法、DBP吸収量:114cm3/100g)、同社製のBLACK PEARLS(ブラックパール)シリーズのうち3700(ファーネス法、DBP吸収量:111cm3/100g)。
【0065】
デンカ(株)製のデンカブラック(登録商標)シリーズのうちデンカブラック粒状品(アセチレン法、DBP吸収量:160cm3/100g)、FX-35(アセチレン法、DBP吸収量:220cm3/100g)、HS-100(アセチレン法、DBP吸収量:140cm3/100g)。
ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のKETJENBLACK(ケッチェンブラック、登録商標)シリーズのうちEC300J(ガス化法、DBP吸収量:360cm3/100g)、EC600DJ(ガス化法、DBP吸収量:495cm3/100g)。
【0066】
これらのカーボンブラックの、1種または2種以上を用いることができる。
なおカーボンブラックとしては、上記の中でも、ファーネス法やアセチレン法、ガス法等によって製造される、DBP吸収量が100cm3/100g以上であるカーボンブラックを選択して用いるのが好ましい。
かかるカーボンブラックは、一般に導電性カーボンブラックと呼ばれ、ストラクチャー鎖が長く吸油性が高いため、樹脂等に対する分散性が低いとされる。
【0067】
しかし、とくに前述した数平均分子量Mnの範囲を満足するポリエステル樹脂に対しては、導電性カーボンブラックの方が、LFF等の通常の着色用のカーボンブラックよりも分散性に優れている。
そして、できるだけ多くの導電性カーボンブラックを、着色層に均一に分散させて、パッケージの表面に印刷される文字を、より色濃度の高い黒色に着色することができる。
【0068】
この理由は明らかではないが、上記ポリエステル樹脂と、導電性カーボンブラックとの相性が良好であることなどが原因ではないかと推測される。
とくに上記ポリエステル樹脂が、電子写真法用のトナーとして適したものであって、適度の帯電性を有していることや、高分子量であって、カーボンブラックのストラクチャー鎖の長さとの間に何らかの関係があること等が推測される。
【0069】
ただし、DBP吸収量が300cm3/100gを超える導電性カーボンブラックは比表面積が大きすぎて、樹脂中に分散できる量が限られるため、却って、パッケージの表面に印刷される文字を、色濃度の高い黒色に着色できない場合がある。
そのため導電性カーボンブラックとしては、DBP吸収量が300cm3/100g以下であるカーボンブラックを選択して用いるのがとくに好ましい。
【0070】
また導電性カーボンブラックとしては、粒状で、二次粒子径が100μm以上、3000μm以下程度である導電性カーボンブラックを用いるのがさらに好ましい。
カーボンブラックの割合は、塩素化ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂の総量100質量部あたり30質量部以上、とくに50質量部以上であるのが好ましく、100質量部以下、とくに90質量部以下であるのが好ましい。
【0071】
カーボンブラックの割合がこの範囲未満では、パッケージの表面に印刷される文字を、色濃度の高い黒色に着色できない場合がある。
一方、カーボンブラックの割合が上記の範囲を超える場合には、着色層の強度が低下して、パッケージの表面に印刷される文字の熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性が不十分になる場合がある。
【0072】
これに対し、カーボンブラックの割合を上記の範囲とすることにより、パッケージの表面に印刷される文字の熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性の低下を抑制しながら、当該文字を、色濃度の高い黒色に着色することができる。
着色層は、任意の溶剤に塩素化ポリオレフィン樹脂、およびポリエステル樹脂を溶解または分散し、かつカーボンブラックを分散して調製した塗材を基材上、もしくは剥離層上に塗布したのち乾燥させて形成することができる。
【0073】
(分散剤)
上記塗材には、カーボンブラックの分散性を高めるために、分散剤を配合してもよい。
溶剤がトルエン、MEK等の有機溶剤である塗材に配合できる分散剤の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種製品等が挙げられる。
ルーブリゾール(LUBRIZOL)社製のソルスパース(登録商標)シリーズのうち3000、5000、9000、12000、17000、20000、24000。
【0074】
ビックケミー(BYK CHEMIE)社製のAnti-Terra(アンチ・テーラ、登録商標)シリーズのうちU、203、Disperbyk(ディスパーバイク、登録商標)シリーズのうち101、107、110、130、161、BYK(ビイク、登録商標)シリーズのうちP104、P104S、240S、9077、Bykumen(バイクメン、登録商標)、Lactimon(ラクチモン、登録商標)。
【0075】
これらの分散剤の、1種または2種以上を用いることができる。
(着色層の厚み)
着色層の厚みは、これに限定されないが、たとえば、単位面積あたりの固形分量で表して0.5g/m2以上であるのが好ましく、1.5g/m2以下であるのが好ましい。
着色層の厚みがこの範囲未満では、パッケージの表面に印刷される文字を、色濃度の高い黒色に着色できない場合がある。
【0076】
また、文字の熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性が不十分になる場合もある。
一方、着色層の厚みが上記の範囲を超える場合には、サーマルヘッドによって基材の背面側から加えられる熱を、当該着色層を通して接着層に効率よく伝達することができず、印刷時の熱感度が低下して、文字が掠れたりしやすくなる。
これに対し、着色層の厚みを上記の範囲とすることで、パッケージの表面に印刷される文字の熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性の低下を抑制しながら、当該文字を、色濃度の高い黒色に着色することができる。
【0077】
また、サーマルヘッドによって基材の背面側から加えられる熱を、着色層を通して接着層にできるだけ効率よく伝達して、印刷時の熱感度を向上することができ、掠れを生じにくくして、鮮明な文字を印刷することもできる。
〈接着層〉
着色層の上に積層される接着層は、前述したように酸変性ポリオレフィン樹脂を含む。
【0078】
また接着層は、さらにポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
ポリエステル樹脂は、とくにパッケージの表面を構成するPETフィルムに対する熱接着性や、熱接着後の接着力に優れている。
そのため接着層用の樹脂として、酸変性ポリオレフィン樹脂とともにポリエステル樹脂を併用することにより、ONYフィルムの表面だけでなく、PETフィルムの表面に対する文字の耐アルコール性をも、さらに向上することができる。
【0079】
(酸変性ポリオレフィン樹脂)
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、たとえば、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
とくに酸変性ポリオレフィン樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂を選択して用いるのが好ましい。
【0080】
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子中のカルボキシル基が、とくにONYフィルムの表面やPETフィルムの表面に対する親和性に優れているため、当該表面に対する熱転写層の熱接着性や、熱接着後の接着力をさらに向上することができる。
そのため、酸変性ポリオレフィン樹脂として不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂を用いれば、転写層の熱転写によってこれらの表面に印刷される文字の熱処理耐性や耐アルコール性を、より一層高めることができる。
【0081】
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂としては、たとえばエチレン-アクリル酸共重合体等の、オレフィン-不飽和カルボン酸共重合体が挙げられる。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、主に水溶液ないし水分散液(乳化液、乳濁液等を含む、以下同様。)として提供される。
カルボキシル基は、かかる水溶液ないし水分散液中で、ポリオレフィン樹脂に付加される水溶性基、もしくはポリオレフィン樹脂の乳化剤としても機能する。
【0082】
そのため、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の水溶液ないし水分散液は安定であって、当該水溶液ないし水分散液を含む塗材を調製する際や、当該塗材を塗布して接着層を形成する際の取り扱い性を向上することもできる。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の水溶液ないし水分散液は、たとえば、上記エチレン-アクリル酸共重合体等のオレフィン-不飽和カルボン酸共重合体をアルカリ中和して、分子中にカルボキシル基を生成させることで調製される。
【0083】
アルカリ中和に用いる中和剤としては、たとえば、アンモニア、アルカノールアミン、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
またアルカノールアミンとしては、たとえば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0084】
これらの中和剤を用いて調製される不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、ナイロンフィルムやPETフィルムからなる表面に印刷される文字の熱処理耐性や耐アルコール性を向上する効果に優れている。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の水溶液ないし水分散液の具体例としては、これに限定されないが、たとえば下記の各種製品等が挙げられる。
【0085】
住友精化(株)製のザイクセン(登録商標)シリーズのうちA-GH〔自己乳化型水溶液、固形分濃度:24%、中和剤:アンモニア、pH:8~10〕、AC〔半透明水溶液ないしは乳濁液、固形分濃度:29~30%、中和剤:アンモニア、pH:8~10〕、A〔半透明水溶液ないしは乳濁液、固形分濃度:24~25%、中和剤:アンモニア、pH:8~10〕、AC-HW-10〔乳濁液、固形分濃度:29~30%、中和剤:アンモニア、pH:8~10〕、L〔半透明水溶液ないしは乳濁液、固形分濃度:27~29%、中和剤:ジメチルエタノールアミン、pH:8~10〕、NC〔半透明水溶液、固形分濃度:27~29%、中和剤:水酸化ナトリウム、pH:8.5~10.5〕、N〔半透明水溶液、固形分濃度:24~25%、中和剤:水酸化ナトリウム、pH:8~10〕、SK総合化学社製のプリマコール(登録商標)シリーズのうちP-5990L〔水分散液、固形分濃度:20%〕。
【0086】
また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂としては、たとえば固形で、粉状、粒状ないし顆粒状を呈する、ハネウェルパフォーマンスアディティブ社製のA-C 540、540A、580、5120、OS-540、OS-580等を用いることもできる。
一方、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、これに限定されないが、たとえば下記の各種製品等が挙げられる。
【0087】
ユニチカ(株)製のアローベース(登録商標)シリーズのうちSB-1200〔水性分散体、ポリエチレンタイプ、固形分濃度:25質量%、pH:9~11、融点:80℃〕、SE-1200〔水性分散体、ポリエチレンタイプ、固形分濃度:20質量%、pH:9~11、融点:95℃〕、SD-1200〔水性分散体、ポリエチレンタイプ、固形分濃度:20質量%、pH:9~11、融点:105℃〕、DA-1010〔水性分散体、ポリプロピレンタイプ、固形分濃度:25質量%、pH:9~12、融点:75℃〕、DB-4010〔水性分散体、ポリプロピレンタイプ、固形分濃度:25質量%、pH:9~12、融点:155℃〕、YA-4010〔水性分散体、ポリプロピレンタイプ、固形分濃度:20質量%、融点:148℃〕。
【0088】
また、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂としては、たとえば固形で、粉状、粒状ないし顆粒状を呈する、ハネウェルパフォーマンスアディティブ社製のA-C 596P、597A、597P、950A、950P、1325P等を用いることもできる。
これらの酸変性ポリオレフィン樹脂の、1種または2種以上を用いることができる。
(ポリエステル樹脂)
上述したように酸変性ポリオレフィン樹脂として、水溶液ないし水分散液として提供される酸変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合には、ポリエステル樹脂としても、水溶液ないし水分散液として供給されるポリエステル樹脂を用いればよい。
【0089】
水溶液ないし水分散液として供給されるポリエステル樹脂の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種製品等が挙げられる。
ユニチカ(株)製のエリーテル シリーズのうちKA-0134〔ガラス転移温度Tg:40℃、数平均分子量Mn:9000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕、KA-5034〔ガラス転移温度Tg:67℃、数平均分子量Mn:9000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕、KA-6137〔ガラス転移温度Tg:71℃、数平均分子量Mn:5000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕、KA-3556〔ガラス転移温度Tg:80℃、数平均分子量Mn:8000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕、KT-0507〔ガラス転移温度Tg:-25℃、数平均分子量Mn:17000、水分散タイプ、固形分濃度:25質量%、pH:7~10〕、KT-8904〔ガラス転移温度Tg:8℃、数平均分子量Mn:17000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕、KT-8701〔ガラス転移温度Tg:15℃、数平均分子量Mn:13000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:6~8〕、KT-9204〔ガラス転移温度Tg:18℃、数平均分子量Mn:17000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕、KT-8803〔ガラス転移温度Tg:65℃、数平均分子量Mn:15000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕。
【0090】
東洋紡(株)製のバイロナール(登録商標)シリーズのうちMD-1100〔ガラス転移温度Tg:40℃、数平均分子量Mn:20000、水酸基価:5mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:30%〕、MD-1200〔ガラス転移温度Tg:67℃、数平均分子量Mn:15000、水酸基価:6mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:34%〕、MD-1245〔ガラス転移温度Tg:61℃、数平均分子量Mn:20000、水酸基価:5mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:30%〕、MD-1335〔ガラス転移温度Tg:4℃、数平均分子量Mn:8000、水酸基価:13mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:30%〕、MD-1480〔ガラス転移温度Tg:20℃、数平均分子量Mn:15000、水酸基価:6mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:25%〕、MD-1500〔ガラス転移温度Tg:77℃、数平均分子量Mn:8000、水酸基価:14mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:30%〕、MD-1930〔ガラス転移温度Tg:-10℃、数平均分子量Mn:20000、水酸基価:5mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:31%〕、MD-1985〔ガラス転移温度Tg:-20℃、数平均分子量Mn:25000、水酸基価:4mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:27%〕、MD-2000〔ガラス転移温度Tg:67℃、数平均分子量Mn:18000、水酸基価:6mgKOH/g、水分散液、固形分濃度:40%〕。
【0091】
これらのポリエステル樹脂の、1種または2種以上を用いることができる。
なおポリエステル樹脂としては、上記の中でもとくに、ガラス転移温度Tgが40℃以上、75℃以下であるポリエステル樹脂を選択して用いるのが好ましい。
ガラス転移温度Tgがこの範囲未満であるポリエステル樹脂は、軟化温度ないし溶融開始温度が低い、具体的には約100℃未満程度であるため、文字の熱処理耐性が低下する場合がある。
【0092】
一方、ガラス転移温度Tgが上記の範囲を超えるポリエステル樹脂は、軟化温度ないし溶融開始温度が高すぎるため、熱感度が低下する傾向がある。
そして文字を印刷する際に、熱転写する文字の領域に隣接する、当該文字の周りの領域まで熱転写層が基材から剥離してしまう、いわゆる余剥離を生じやすくなる場合がある。
これに対し、ガラス転移温度Tgが上記の範囲であるポリエステル樹脂を選択して用いることにより、印刷時の熱感度の低下を抑制しながら、ラミネートフィルムからなるパッケージの表面に印刷される文字の熱処理耐性の低下を抑制することができる。
【0093】
ポリエステル樹脂の他の特性は、とくに限定されないものの、数平均分子量Mnは5000以上であるのが好ましく、18000以下であるのが好ましい。
(両樹脂の質量比)
接着層が、酸変性ポリオレフィン樹脂とともにポリエステル樹脂を含む場合、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)とポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は0.4以上であるのが好ましく、6.0以下であるのが好ましい。
【0094】
なお質量比(AO)/(Eb)は、それぞれの樹脂として水溶液ないし水分散液を用いる場合には、当該水溶液ないし水分散液中に含まれる固形分としての酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂の、固形分量換算の質量比とする。
また、前述したように固形の酸変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合には、当該酸変性ポリオレフィン樹脂の全量を基準として、上記質量比(AO)/(Eb)を求めればよい。
【0095】
質量比(AO)/(Eb)が上記の範囲未満では酸変性ポリオレフィン樹脂の割合が少なくなり、印刷の熱接着性や接着力が低下して、文字の熱処理耐性不十分になったり、とくにONYフィルムの表面に対する文字の耐アルコール性が低下したりする場合がある。
一方、質量比(AO)/(Eb)が上記の範囲を超える場合には、相対的にポリエステル樹脂の割合が少なくなって、当該ポリエステル樹脂による、とくにPETフィルムの表面に対する熱接着性や接着力を向上する効果が不十分になる場合がある。
【0096】
そして、PETフィルムの表面に対する文字の耐アルコール性が低下する場合がある。
これに対し、質量比(AO)/(Eb)を上記の範囲とすることにより、ONYフィルム、PETフィルムの両方の表面に対する熱接着性や接着力をともに向上して、これらのフィルムからなるパッケージの表面に印刷される文字の熱処理耐性をさらに向上できる。
また、ONYフィルム、PETフィルムの両方の表面に対する文字の耐アルコール性を向上することもできる。
【0097】
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、質量比(AO)/(Eb)は、上記の範囲でも1.0以上であるのが好ましい。
接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂、または酸変性ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂とを含む塗材を、先に形成した着色層の上に塗布したのち、乾燥させて形成することができる。
【0098】
塗材は、酸変性ポリオレフィン樹脂の水溶液ないし水分散液、または酸変性ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂の水溶液ないし水分散液を用いる場合、水、および水溶性有機溶剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の水系溶剤を用いて調製できる。
水溶性有機溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコールの1種または2種以上を用いることができ、とくにメタノールが好ましい。
【0099】
(接着層の厚み)
接着層の厚みは、これに限定されないが、たとえば、単位面積あたりの固形分量で表して0.1g/m2以上であるのが好ましく、1g/m2以下であるのが好ましい。
厚みがこの範囲未満では、接着層の熱接着性や、熱接着後の接着力が低下して、パッケージ等の表面に印刷される文字などの熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性が不足する場合がある。
【0100】
一方、厚みが上記の範囲を超える場合には接着層が膜切れしにくくなって、熱転写層を熱転写して文字などを印刷する際に、余剥離を生じやすくなる場合がある。
これに対し、接着層の厚みを上記の範囲とすることで、余剥離の発生を抑制しながら、接着層の熱接着性や熱接着後の接着力を向上して、パッケージ等の表面に印刷される文字などの熱処理耐性や耐アルコール性、耐油性をさらに向上することができる。
【0101】
本発明の感熱転写媒体の構成は、以上で説明した例のものには限定されない。
たとえば、背面層は省略してもよし、熱転写層は、3層以上の多層構造であってもよい。
また、基材の表面に離型処理を施して、剥離層を省略してもよい。
基材の表面を離型処理するためには、たとえば、当該表面にフッ素化、塩素化等の処理をしたり、あるいはシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を含む離型層を形成したりすればよい。
【0102】
その他、本発明の要旨を変更しない範囲で、種々の変更を施すことができる。
【実施例0103】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、これらの例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
(基材および背面層)
基材としては、厚み4.5μmのPETフィルムを用い、当該基材の、熱転写層を形成する表面とは反対面(背面)に、シリコーン系樹脂からなる、単位面積あたりの固形分量が0.1g/m2の背面層を形成した。
【0104】
(剥離層)
カルナバワックス40質量部、パラフィンワックス(融点:65℃)40質量部、およびEVA〔東ソー(株)製のウルトラセン(登録商標)685、溶融温度:77℃〕20質量部を、トルエンとメチルエチルケトンの質量比2/1の混合溶剤に溶解して、固形分濃度20質量%の塗剤を調製した。
【0105】
次いでこの塗剤を、基材の表面に塗布したのち乾燥させて、単位面積あたりの固形分量が1.0g/m2である剥離層を形成した。
(着色層)
樹脂としては、下記の塩素化ポリオレフィン樹脂42.86質量部と、ポリエステル樹脂57.14質量部とを用いた。
【0106】
塩素化ポリオレフィン樹脂:日本製紙(株)製のスーパークロン814HS〔固形品、塩素含有率:41%、60%トルエン溶液での粘度:500~2000mPa・s(25℃)〕
ポリエステル樹脂〔三菱ケミカル(株)製のダイヤクロンER-1002、高分子飽和共重合型、ガラス転移温度Tg:60℃、溶融開始温度:120℃、数平均分子量Mn:13500、水酸基価:5~10mgKOH/g〕
次いで、上記樹脂の総量100質量部に、下記の各成分と、溶剤としてのMEKとを配合して、着色層用の塗材を調製した。
【0107】
【表1】
表1中の各成分は、下記のとおり。
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製の#3400B〔ファーネス法、DBP吸収量:175cm
3/100g〕
イソシアネート硬化剤:DIC(株)製のバーノック(登録商標)D-800
分散剤:ルーブリゾール社製のソルスパース20000
そして調製した塗材を、先に形成した剥離層の上に塗布したのち乾燥させて、単位面積あたりの固形分量が1g/m
2である着色層を形成した。
【0108】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
(接着層)
下記の酸変性ポリオレフィン樹脂(固形分量換算で65質量部)と、ポリエステル樹脂(固形分量換算で35質量部)とを、溶剤としてのメタノールに配合して、接着層用の塗材を調製した。
【0109】
酸変性ポリオレフィン樹脂:住友精化(株)製のザイクセンL〔カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、半透明水溶液ないしは乳濁液、固形分濃度:27~29%、中和剤:ジメチルエタノールアミン、pH:8~10〕
ポリエステル樹脂:ユニチカ(株)製のエリーテルKA-5034〔ガラス転移温度Tg:67℃、数平均分子量Mn:9000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕
そして調整した塗材を、先に形成した着色層上に塗布したのち乾燥させて、単位面積あたりの固形分量が0.5g/m2である接着層を形成し、感熱転写媒体を作製した。
【0110】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例2〉
酸変性ポリオレフィン樹脂として、住友精化(株)製のザイクセンAC〔カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、半透明水溶液ないしは乳濁液、固形分濃度:29~30%、中和剤:アンモニア、pH:8~10〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0111】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例3〉
酸変性ポリオレフィン樹脂として、住友精化(株)製のザイクセンN〔カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、半透明水溶液、固形分濃度:24~25%、中和剤:水酸化ナトリウム、pH:8~10〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0112】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例4〉
酸変性ポリオレフィン樹脂として、ユニチカ(株)製のアローベースSB-1200〔無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、水性分散体、ポリエチレンタイプ、固形分濃度:25質量%、pH:9~11、融点:80℃〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0113】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例5〉
ポリエステル樹脂として、ユニチカ(株)製のエリーテルKT-9204〔ガラス転移温度Tg:18℃、数平均分子量Mn:17000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0114】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例6〉
ポリエステル樹脂として、ユニチカ(株)製のエリーテルKA-0134〔ガラス転移温度Tg:40℃、数平均分子量Mn:9000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0115】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例7〉
ポリエステル樹脂として、ユニチカ(株)製のエリーテルKT-8803〔ガラス転移温度Tg:65℃、数平均分子量Mn:15000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0116】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例8〉
ポリエステル樹脂として、ユニチカ(株)製のエリーテルKA-6137〔ガラス転移温度Tg:71℃、数平均分子量Mn:5000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0117】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例9〉
ポリエステル樹脂として、ユニチカ(株)製のエリーテルKA-3556〔ガラス転移温度Tg:80℃、数平均分子量Mn:8000、水分散タイプ、固形分濃度:30質量%、pH:7~10〕を、固形分量が同量となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0118】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈比較例1〉
酸変性ポリオレフィン樹脂を配合せず、ポリエステル樹脂の量を、固形分量換算で100質量部としたこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0119】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例10〉
酸変性ポリオレフィン樹脂の量を、固形分量換算で30質量部とし、ポリエステル樹脂の量を、固形分量換算で70質量部としたこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0120】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は0.43であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例11〉
酸変性ポリオレフィン樹脂の量を、固形分量換算で50質量部とし、ポリエステル樹脂の量を、固形分量換算で50質量部としたこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0121】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は1.00であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例12〉
酸変性ポリオレフィン樹脂の量を、固形分量換算で80質量部とし、ポリエステル樹脂の量を、固形分量換算で20質量部としたこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0122】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は4.00であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例13〉
酸変性ポリオレフィン樹脂の量を、固形分量換算で85質量部とし、ポリエステル樹脂の量を、固形分量換算で15質量部としたこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0123】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は5.67であった。
また着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例14〉
酸変性ポリオレフィン樹脂の量を、固形分量換算で100質量部として、ポリエステル樹脂を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして接着層用の塗材を調製し、接着層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0124】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
〈実施例15〉
塩素化ポリオレフィン樹脂として、日本製紙(株)製のスーパークロン803Lの固形品〔塩素含有率:26%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0125】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例16〉
塩素化ポリオレフィン樹脂として、日本製紙(株)製のスーパークロン803MWの固形品〔塩素含有率:29.5%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0126】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例17〉
塩素化ポリオレフィン樹脂として、日本製紙(株)製のスーパークロンC〔塩素含有率:35%、トルエン溶液、粘度:500~2000mPa・s(25℃)、固形分:55%〕77.92質量部(固形分量:42.86質量部)を配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0127】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例18〉
ポリエステル樹脂として、東洋紡(株)製のバイロンGK-830〔ガラス転移温度Tg:25℃、数平均分子量Mn:32000、水酸基価:7mgKOH/g〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0128】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例19〉
ポリエステル樹脂として、東洋紡(株)製のバイロンGK-880〔ガラス転移温度Tg:84℃、数平均分子量Mn:18000、水酸基価:5mgKOH/g〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0129】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例20〉
ポリエステル樹脂として、東洋紡(株)製のバイロン220〔ガラス転移温度Tg:53℃、数平均分子量Mn:3000、水酸基価:50mgKOH/g〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0130】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈比較例2〉
塩素化ポリオレフィン樹脂、およびポリエステル樹脂に代えて、アクリル樹脂〔三菱ケミカル(株)製のダイヤナール(登録商標)BR-106〕100質量部を配合するとともに、イソシアネート硬化剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0131】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈比較例3〉
塩素化ポリオレフィン樹脂を配合せず、ポリエステル樹脂の量を100質量部としたこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0132】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例21〉
塩素化ポリオレフィン樹脂の量を10.20質量部とし、ポリエステル樹脂の量を89.80質量部としたこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0133】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.11であった。
また、接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例22〉
塩素化ポリオレフィン樹脂の量を20.41質量部とし、ポリエステル樹脂の量を79.59質量部としたこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0134】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.26であった。
また、接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例23〉
塩素化ポリオレフィン樹脂の量を79.59質量部とし、ポリエステル樹脂の量を20.41質量部としたこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0135】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は3.90であった。
また、接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例24〉
塩素化ポリオレフィン樹脂の量を81.63質量部とし、ポリエステル樹脂の量を18.37質量部としたこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0136】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は4.44であった。
また、接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈比較例4〉
塩素化ポリオレフィン樹脂の量を100質量部として、ポリエステル樹脂とイソシアネート硬化剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0137】
接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例25〉
カーボンブラックとして、デンカ(株)製のデンカブラックFX-35(アセチレン法、DBP吸収量:220cm3/100g)を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0138】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例26〉
カーボンブラックとして、三菱ケミカル(株)製のMA100粒状〔LFF、DBP吸収量:95cm3/100g〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
【0139】
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈実施例27〉
カーボンブラックとして、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のKETJENBLACK EC300J(ガス化法、DBP吸収量:360cm3/100g)を、実施例1と同量配合しようとしたが、全量を樹脂中に均一に分散できなかった。
【0140】
そこで、実施例1の半分である32.66質量部配合して着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
【0141】
〈比較例5〉
イソシアネート硬化剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして着色層用の塗材を調製し、着色層を形成して、感熱転写媒体を作製した。
着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.75であった。
【0142】
また接着層における、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)と、ポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は、固形分量換算で1.86であった。
〈熱処理耐性評価〉
各実施例、比較例で作製した感熱転写媒体を所定の幅のリボン状にスリットし、ロール状に巻き取って、熱転写プリンタ〔東芝テック(株)製のラベルプリンタB-SX4T、解像度:300dpi〕にセットした。
【0143】
また、食品用のパッケージのモデルとして、2軸延伸ナイロンフィルム(ONY)と直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)のラミネートフィルムを用意した。
次いで、上記ラミネートフィルムのONY側の表面に、上記熱転写プリンタを用いてバーコードを印刷したのち、加圧下で120℃に加熱するレトルト殺菌処理をした。
そして、レトルト殺菌処理後のバーコードの状態を観察するとともに、バーコードリーダーを用いてバーコードを読み取って、下記の基準で熱処理耐性を評価した。
【0144】
○:バーコードには変化は見られず、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできた。
△:バーコードに僅かに欠けや剥離が見られたものの、バーコードリーダーで正しく読み取ることはできた。
×:バーコードに欠けや剥離が見られ、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできなかった。
【0145】
〈耐アルコール性評価(ONY〉〉
各実施例、比較例で作製した感熱転写媒体を、所定の幅のリボン状にスリットし、ロール状に巻き取って、熱処理耐性評価で使用したのと同じ熱転写プリンタにセットした。
次いで、熱処理耐性評価で使用したのと同じラミネートフィルムのONY側の表面に、上記熱転写プリンタを用いてバーコードを印刷した。
【0146】
そしてラミネートフィルムの、バーコードを印刷した表面に、エタノールを染み込ませた綿棒を、1Nの荷重をかけて接触させた状態で50往復させたのち、バーコードの状態を観察した。
それとともに、バーコードリーダーを用いてバーコードを読み取って、下記の基準で、ONYフィルムの表面に対する耐アルコール性を評価した。
【0147】
○:バーコードは溶けて滲んだり掠れたり流れたりしておらず、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできた。
△:バーコードが僅かに溶けて滲んだり掠れたり流れたりしていたものの、バーコードリーダーで正しく読み取ることはできた。
×:バーコードが著しく溶けて滲んだり掠れたり流れたりしており、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできなかった。
【0148】
〈耐アルコール性評価(PET)〉
食品用のパッケージのモデルとして、2軸延伸PETフィルムとアルミニウム箔とのラミネートフィルムを用いたこと以外は耐アルコール性評価(ONY)と同様にして、PETフィルムの表面に対する耐アルコール性を評価した。
すなわち、各実施例、比較例で作製した感熱転写媒体を、所定の幅のリボン状にスリットし、ロール状に巻き取って、熱処理耐性評価で使用したのと同じ熱転写プリンタにセットした。
【0149】
次いで、上記ラミネートフィルムのPET側の表面に、上記熱転写プリンタを用いてバーコードを印刷した。
そしてラミネートフィルムの、バーコードを印刷した表面に、エタノールを染み込ませた綿棒を1Nの荷重をかけて接触させた状態で50往復させたのち、バーコードの状態を観察した。
【0150】
それとともに、バーコードリーダーを用いてバーコードを読み取って、下記の基準で、PETフィルムの表面に対する耐アルコール性を評価した。
○:バーコードは溶けて滲んだり掠れたり流れたりしておらず、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできた。
△:バーコードが僅かに溶けて滲んだり掠れたり流れたりしていたものの、バーコードリーダーで正しく読み取ることはできた。
【0151】
×:バーコードが著しく溶けて滲んだり掠れたり流れたりしており、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできなかった。
〈耐油性評価〉
各実施例、比較例で作製した感熱転写媒体を、所定の幅のリボン状にスリットし、ロール状に巻き取って、熱処理耐性評価で使用したのと同じ熱転写プリンタにセットした。
【0152】
次いで、熱処理耐性評価で使用したのと同じラミネートフィルムのONY側の表面に、上記熱転写プリンタを用いてバーコードを印刷した。
そしてラミネートフィルムの、バーコードを印刷した表面に、食用油を染み込ませた綿棒を1Nの荷重をかけて接触させた状態で50往復させたのち、バーコードの状態を観察した。
【0153】
それとともに、バーコードリーダーを用いてバーコードを読み取って、下記の基準で耐油性を評価した。
○:バーコードは溶けて滲んだり掠れたり流れたりしておらず、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできた。
△:バーコードが僅かに溶けて滲んだり掠れたり流れたりしていたものの、バーコードリーダーで正しく読み取ることはできた。
【0154】
×:バーコードが著しく溶けて滲んだり掠れたり流れたりしており、バーコードリーダーで正しく読み取ることもできなかった。
〈印刷時の熱感度評価〉
各実施例、比較例で作製した感熱転写媒体を、所定の幅のリボン状にスリットし、ロール状に巻き取って、熱処理耐性評価で使用したのと同じ熱転写プリンタにセットした。
【0155】
そして、熱処理耐性評価で使用したのと同じラミネートフィルムのONY側の表面に、上記熱転写プリンタを用いて線幅1ドットの細線を所定長に亘って連続的に印刷して、下記の基準で印刷時の熱感度を評価した。
○:細線を、全長に亘って線幅1ドットで問題なく印刷することができた。
△:線幅が部分的に細くなったが、細線を全長に亘って途切れることなく印刷することができた。
【0156】
×:途中で細線の途切れが多発した。
〈印刷の色濃度評価〉
各実施例、比較例で作製した感熱転写媒体を、所定の幅のリボン状にスリットし、ロール状に巻き取って、熱処理耐性評価で使用したのと同じ熱転写プリンタにセットした。
そして、熱処理耐性評価で使用したのと同じラミネートフィルムのONY側の表面に、上記熱転写プリンタを用いてベタ印刷をして、色濃度を、濃度測定器(マクベス濃度計RD?918)を用いて測定して、下記の基準で色濃度を評価した。
【0157】
○:色濃度は1.5以上であった。
△:色濃度は1.0以上、1.5未満であった。
×:色濃度は1.0未満であった。
以上の結果を、表2~表9に示す。
なお各表中、酸変性ポリオレフィン樹脂の種類の欄の符号は、下記のとおりとした。
CP-Ea:カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、中和剤:ジメチルエタノールアミン
CP-Am:カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、中和剤:アンモニア
CP-Na:カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、中和剤:水酸化ナトリウム
MP:無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【表9】
表2~表9の各実施例、比較例の結果より、熱転写層を構成する着色層が塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート硬化剤を含み、接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことにより、ラミネートフィルムからなるパッケージ等の表面に、高い熱処理耐性、耐アルコール性、および耐油性を有する文字を印刷できる感熱転写媒体を提供できることが判った。
【0166】
実施例1、15~17の結果より、文字の色濃度の低下を抑制しながら耐アルコール性、耐油性を向上することを考慮すると、着色層に含まれる塩素化ポリオレフィン樹脂は、塩素含有率が29%以上であるのが好ましいことが判った。
実施例1、18~20の結果より、塗材の調製のしやすさを維持しながら文字の耐アルコール性、耐油性を向上することを考慮すると、着色層に含まれるポリエステル樹脂は、数平均分子量Mnが10000~33000であるのが好ましいことが判った。
【0167】
実施例1、21~24の結果より、文字の熱処理耐性、耐アルコール性、耐油性を、いずれもより一層、向上することを考慮すると、着色層における、塩素化ポリオレフィン樹脂(CO)と、ポリエステル樹脂(Ea)との質量比(CO)/(Ea)は0.1以上、中でも0.2以上、とくに0.25以上で、かつ4.5以下、中でも4.2以下、とくに4.0以下であるのが好ましいことが判った。
【0168】
実施例1、25~27の結果より、できるだけ多くのカーボンブラックを着色層に均一に分散させて、文字を、より色濃度の高い黒色に着色することを考慮すると、上記カーボンブラックは、DBP吸収量が100~300cm3/100gであるのが好ましいことが判った。
実施例1、14の結果より、ONYフィルムの表面だけでなく、PETフィルムの表面に対する文字の耐アルコール性をもさらに向上すること考慮すると、接着層は、酸変性ポリオレフィン樹脂とともにポリエステル樹脂をも含んでいるのが好ましいことが判った。
【0169】
また実施例1、10~13の結果より、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂の併用系では、熱処理耐性、耐アルコール性、および耐油性をさらに向上することを考慮すると、酸変性ポリオレフィン樹脂(AO)とポリエステル樹脂(Eb)との質量比(AO)/(Eb)は0.4以上、とくに1.0以上であるのが好ましく、6.0以下であるのが好ましいことが判った。
【0170】
実施例1~4の結果より、文字の熱処理耐性や耐アルコール性をさらに向上することを考慮すると、接着層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂としては、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましいことが判った。
さらに実施例1、5~9の結果より、印刷時の熱感度の低下を抑制しながら文字の熱処理耐性の低下を抑制することを考慮すると、接着層に含まれるポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは40~75℃であるのが好ましいことが判った。