(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021894
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】廃棄物選別システム、X線撮影装置、プログラム及び廃棄物選別方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20220127BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G01N23/04
B07C5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125766
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野村 収一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 翔太
(72)【発明者】
【氏名】石飛 悠
【テーマコード(参考)】
2G001
3F079
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001EA03
2G001HA07
2G001HA13
2G001JA03
2G001JA09
2G001KA05
2G001LA09
2G001PA11
2G001SA29
3F079AB00
3F079CA09
3F079CA31
3F079CA44
3F079CB01
3F079CB07
3F079CB25
3F079CB31
3F079CB34
3F079CC01
3F079DA12
3F079EA15
3F079EA19
(57)【要約】
【課題】廃棄物を選別する技術を改善する。
【解決手段】廃棄物選別システム1は、廃棄物の中から除去対象物を選別する。廃棄物選別システム1は、廃棄物にX線を照射可能なX線発生器21と、廃棄物を透過したX線を検出可能なセンサ22と、X線が2以上の異なる方向から廃棄物に照射されるようにX線の経路を変更可能な光学手段23と、2以上の異なる方向から照射されたX線をセンサ22が検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成する画像処理手段331と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の中から除去対象物を選別する廃棄物選別システムであって、
前記廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、
前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、
前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更可能な光学手段と、
前記2以上の異なる方向から照射された前記X線を前記センサが検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成する画像処理手段と、
を備える、廃棄物選別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の廃棄物選別システムにおいて、
前記光学手段は、
前記X線発生器と前記センサとの間に配置され、前記X線発生器が発生する前記X線を複数の方向に反射可能な回転鏡と、
前記回転鏡から入射される前記X線を前記センサの方向に反射する1又は複数の反射鏡と、
を備える、廃棄物選別システム。
【請求項3】
請求項2に記載の廃棄物選別システムにおいて、
前記1又は複数の反射鏡は、
前記回転鏡から入射される前記X線を前記センサの方向に反射する第1反射鏡と、
前記第1反射鏡と異なる場所に配置され、前記回転鏡から入射される前記X線を前記センサの方向に反射する第2反射鏡と、
を備える、廃棄物選別システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の廃棄物選別システムにおいて、
前記センサが検出した前記X線の強度に基づいて、前記廃棄物の材質の種類を判定する判定手段を更に備える、廃棄物選別システム。
【請求項5】
請求項4に記載の廃棄物選別システムにおいて、
前記画像処理手段は、前記判定手段が判定した前記材質の種類に応じて、前記廃棄物の材質の種類が色で区別された前記廃棄物の3次元画像を生成する、廃棄物選別システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の廃棄物選別システムにおいて、
前記除去対象物は、リチウムイオンバッテリである、廃棄物選別システム。
【請求項7】
廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、
前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、
前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更可能な光学手段と、
を備える、X線撮影装置。
【請求項8】
廃棄物の中から除去対象物を選別する廃棄物選別システムであって、前記廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更可能な光学手段と、情報処理装置と、を備える廃棄物選別システムにおける前記情報処理装置を、
前記2以上の異なる方向から照射された前記X線を前記センサが検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成する画像処理手段として機能させる、プログラム。
【請求項9】
廃棄物の中から除去対象物を選別する廃棄物選別システムであって、前記廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、を備える廃棄物選別システムにおける廃棄物選別方法であって、
前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更するステップと、
前記2以上の異なる方向から照射された前記X線を検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成するステップと、
を含む、廃棄物選別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物選別システム、X線撮影装置、プログラム及び廃棄物選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミ処理プラントにおいては、資源の有効活用の観点などから廃棄物の選別処理が行われている。廃棄物には有害又は危険な物があるが、このような有害又は危険な廃棄物は除去対象物として選別して除去し、適切な処理をすることが望ましい。
【0003】
廃棄物を選別する方法として、ベルトコンベアなどで搬送している廃棄物を撮影し、撮影した画像に基づいて、廃棄物の種類を特定する技術が知られている。例えば、特許文献1は、廃棄物を赤外線カメラ、可視光カメラ、X線カメラ等で撮影する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、廃棄物を赤外線カメラ又は可視光カメラで撮影した場合には、積み重なっている廃棄物の表面は撮影できるが、下の方に埋もれている廃棄物は撮影できない。また、X線カメラで撮影した場合には、埋もれている廃棄物についても撮影することができるものの、高さ方向の位置は特定できていないため、積み重なっている廃棄物の中から選別対象の廃棄物を見つけ出すことが困難な場合があった。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、廃棄物を選別する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る廃棄物選別システムは、
廃棄物の中から除去対象物を選別する廃棄物選別システムであって、
前記廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、
前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、
前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更可能な光学手段と、
前記2以上の異なる方向から照射された前記X線を前記センサが検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成する画像処理手段と、
を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係るX線撮影装置は、
廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、
前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、
前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更可能な光学手段と、
を備える。
【0009】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、
廃棄物の中から除去対象物を選別する廃棄物選別システムであって、前記廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更可能な光学手段と、情報処理装置と、を備える廃棄物選別システムにおける前記情報処理装置を、
前記2以上の異なる方向から照射された前記X線を前記センサが検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成する画像処理手段として機能させる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る廃棄物選別方法は、
廃棄物の中から除去対象物を選別する廃棄物選別システムであって、前記廃棄物にX線を照射可能なX線発生器と、前記廃棄物を透過した前記X線を検出可能なセンサと、を備える廃棄物選別システムにおける廃棄物選別方法であって、
前記X線が2以上の異なる方向から前記廃棄物に照射されるように前記X線の経路を変更するステップと、
前記2以上の異なる方向から照射された前記X線を検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、廃棄物を選別する技術が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る廃棄物選別システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るX線撮影装置の外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るX線撮影装置の概略構成を示す図である。
【
図4】
図3に示すX線撮影装置において、回転鏡が反射したX線が第1反射鏡に入射されるときの様子を示す図である。
【
図5】
図3に示すX線撮影装置において、回転鏡が反射したX線が第2反射鏡に入射されるときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る廃棄物選別システム1について説明する。廃棄物選別システム1は、廃棄物の中から除去対象物を選別するシステムである。廃棄物選別システム1は、例えばゴミ処理プラントにおいて使用可能である。廃棄物選別システム1は、例えば、コンベアで搬送している廃棄物の材質の種類を検出し、材質の種類に応じて廃棄物を選別することができる。廃棄物選別システム1は、廃棄物の中から除去の対象となる除去対象物を選別することができる。除去対象物は、例えば、有害又は危険な廃棄物であり、例えば、金属片、乾電池、リチウムイオンバッテリなどであってよい。また、除去対象物は、資源化に適さない禁忌品、例えば、飲み残しの入ったペットボトル、汚れた容器包装プラスチック、金属又はバッテリなどを含んだプラスチック製品などであってもよい。
【0015】
廃棄物選別システム1は、X線撮影装置2と、情報処理システム3とを備える。X線撮影装置2と情報処理システム3とは、通信可能である。X線撮影装置2と情報処理システム3とは、無線通信によって通信可能であってもよいし、有線通信によって通信可能であってもよい。または、X線撮影装置2と情報処理システム3とは、無線通信と有線通信の双方によって通信可能であってもよい。
【0016】
X線撮影装置2は、廃棄物をX線で撮影する装置である。X線撮影装置2は、廃棄物を撮影した撮影データを、情報処理システム3に送信する。以後、「廃棄物を撮影した撮影データ」のことを、「廃棄物の撮影データ」と称する場合がある。
【0017】
図2は、X線撮影装置2の外観の一例を示す斜視図である。X線撮影装置2は、
図2に示すように、コンベア4と共に用いることができる。コンベア4は、ベルトコンベア、ローラコンベアなどのように、廃棄物を搬送可能な任意の種類のコンベアであってよい。
【0018】
図2に示す例においては、コンベア4に置かれた廃棄物は、Y軸の正方向に向かって搬送され、X線撮影装置2の内部を通過する。廃棄物がX線撮影装置2の内部を通過する際、X線撮影装置2は、廃棄物をX線で撮影する。
【0019】
【0020】
情報処理システム3は、X線撮影装置2から受信した廃棄物の撮影データを処理して、廃棄物の3次元データを生成するシステムである。廃棄物選別システム1のユーザは、情報処理システム3が生成した廃棄物の3次元データに基づいて、各廃棄物の3次元的な位置を把握し、廃棄物を手作業で選別することができる。廃棄物の選別は、手作業の代わりにロボットアームなどによって自動で行ってもよい。この場合、情報処理システム3が生成した廃棄物の3次元データに基づいて、ロボットアームが自動で制御される。
【0021】
(X線撮影装置のハードウェア構成)
X線撮影装置2のハードウェア構成について説明する。X線撮影装置2は、X線発生器21と、センサ22と、光学手段23とを備える。
【0022】
X線発生器21は、X線を発生する装置である。X線発生器21は、廃棄物にX線を照射可能である。X線発生器21は、光学手段23を介して、廃棄物にX線を照射する。
【0023】
センサ22は、X線を検出可能なセンサである。センサ22は、X線発生器21が発生し、廃棄物を透過したX線を検出可能である。センサ22は、X線を検出することによって得られた撮影データを、情報処理システム3に送信する。
【0024】
光学手段23は、X線発生器21が発生したX線の経路を変更可能な手段である。光学手段23は、X線発生器21が発生したX線が2つの異なる方向から廃棄物に照射されるようにX線の経路を変更可能である。
【0025】
光学手段23は、回転鏡231と、第1反射鏡232と、第2反射鏡233とを備える。
【0026】
回転鏡231は、X線を反射することが可能な鏡であり、軸を中心にして回転する。回転鏡231は、X線発生器21とセンサ22との間に配置されている。回転鏡231は、回転していることによってX線発生器21に対する鏡面の角度が変化するため、X線発生器21が発生するX線を複数の方向に反射可能である。回転鏡231は、反射率が高い材料で鏡面を構成されていることが好ましい。回転鏡231は、例えば、金、プラチナなどによって鏡面を構成されていることが好ましい。回転鏡231は、コンベア4が廃棄物を搬送する速度に比べて、十分速い速度で回転する。回転鏡231の回転速度は、必要な撮影データを取得できるように、例えばコンベア4の搬送速度又は廃棄物の量などに応じて設定されていることが好ましい。
【0027】
第1反射鏡232は、X線を反射することが可能な鏡である。第1反射鏡232は、回転鏡231から入射されるX線を、センサ22の方向に反射する。第1反射鏡232は、反射率が高い材料で鏡面を構成されていることが好ましい。第1反射鏡232は、例えば、金、プラチナなどによって鏡面を構成されていることが好ましい。
【0028】
第2反射鏡233は、X線を反射することが可能な鏡である。第2反射鏡233は、第1反射鏡232とは異なる場所に配置されている。第2反射鏡233は、回転鏡231から入射されるX線を、センサ22の方向に反射する。第2反射鏡233は、反射率が高い材料で鏡面を構成されていることが好ましい。第2反射鏡233は、例えば、金、プラチナなどによって鏡面を構成されていることが好ましい。
【0029】
図3を参照して、X線撮影装置2の構成の一例について説明する。X線撮影装置2は、コンベア4によって搬送されている廃棄物5を撮影する。
図3は、1つの廃棄物5がコンベア4によって搬送されている様子を示しているが、コンベア4は、任意の個数の廃棄物5を搬送していてよい。
図3に示す例においては、コンベア4は、Y軸の正方向に向かって廃棄物5を搬送する。
【0030】
図3に示す例においては、X線撮影装置2は、コンベア4の上方に配置されているL字型のセンサ22を備える。ここで、「上方」とはZ軸の正方向側を意味する。また、X線撮影装置2は、コンベア4の下方に、X線発生器21と、回転鏡231と、第1反射鏡232と、第2反射鏡233とを備える。ここで、「下方」とはZ軸の負方向側を意味する。
【0031】
回転鏡231は、X線発生器21とセンサ22との間に配置されている。回転鏡231は、X線発生器21が発生したX線を反射する。回転鏡231は、Y軸方向と略平行な軸231aを中心に回転する。そのため、回転鏡231の鏡面のX線発生器21に対する角度は、時間と共に変化する。
【0032】
第1反射鏡232と第2反射鏡233とは、異なる位置に配置されている。回転鏡231の鏡面が、X線発生器21が発生するX線を第1反射鏡232の方に反射する向きであるとき、第1反射鏡232には回転鏡231が反射したX線が入射される。第1反射鏡232は、回転鏡231から入射されたX線を、センサ22の方向に反射する。回転鏡231の鏡面が、X線発生器21が発生するX線を第2反射鏡233の方に反射する向きであるとき、第2反射鏡233には回転鏡231が反射したX線が入射される。第2反射鏡233は、回転鏡231から入射されたX線を、センサ22の方向に反射する。
【0033】
図4に、回転鏡231が反射したX線が第1反射鏡232に入射されるときの様子を示す。X線発生器21が発生し、経路401で回転鏡231に向かうX線は、回転鏡231によって反射されて、経路402で第1反射鏡232に向かう。経路402で第1反射鏡232に向かうX線は、第1反射鏡232によって反射されて、経路403でセンサ22に向かう。
【0034】
図5に、回転鏡231が反射したX線が第2反射鏡233に入射されるときの様子を示す。X線発生器21が発生し、経路501で回転鏡231に向かうX線は、回転鏡231によって反射されて、経路502で第2反射鏡233に向かう。経路502で第2反射鏡233に向かうX線は、第2反射鏡233によって反射されて、経路503でセンサ22に向かう。
【0035】
このように、センサ22は、第1反射鏡232によって反射されたX線と、第2反射鏡233によって反射されたX線とを検出する。すなわち、センサ22は、異なる2つの方向から入射されるX線を検出することができる。
【0036】
続いて、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理システム3について説明する。情報処理システム3は、表示装置31と、入力装置32と、情報処理装置33とを備える。
【0037】
(表示装置のハードウェア構成)
表示装置31のハードウェア構成について説明する。表示装置31は、例えば液晶ディスプレイ又はOEL(Organic Electro-luminescence)ディスプレイ等のディスプレイである。本実施形態において、表示装置31は、情報処理装置33に接続される。
【0038】
(入力装置のハードウェア構成)
入力装置32のハードウェア構成について説明する。入力装置32は、例えばキーボード又はマウス等の、ユーザによる操作を受け付ける入力インタフェースである。本実施形態において、入力装置32は、情報処理装置33に接続される。
【0039】
(情報処理装置のハードウェア構成)
情報処理装置33のハードウェア構成について詳細に説明する。情報処理装置33は、通信部310と、記憶部320と、制御部330と、を備える。
【0040】
通信部310は、無線又は有線を介して外部装置と通信する1つ以上の通信インタフェースである。通信部310は、X線撮影装置2と通信可能な通信インタフェースを含む。また、通信部310は、表示装置31及び入力装置32のそれぞれと通信可能な通信インタフェースを含む。
【0041】
記憶部320は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ等であるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部320は、例えば一次記憶装置又は二次記憶装置として機能する。記憶部320は、例えば情報処理装置33に内蔵されるが、任意のインタフェースを介して情報処理装置33に外部から接続される構成も可能である。
【0042】
制御部330は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、例えば汎用のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られず任意のプロセッサとすることができる。制御部330は、情報処理装置33全体の動作を制御する。
【0043】
(情報処理装置のソフトウェア構成)
情報処理装置33のソフトウェア構成について説明する。情報処理装置33の動作の制御に用いられる1つ以上のプログラムが記憶部320に記憶されている。当該1つ以上のプログラムは、制御部330によって読み込まれると、制御部330を画像処理手段331、判定手段332及び表示手段333として機能させる。
【0044】
制御部330の各手段の概要について説明する。画像処理手段331は、2つの異なる方向から廃棄物に照射されたX線をX線撮影装置2のセンサ22が検出することによって得られた2種類の撮影データを処理して3次元データを生成する手段である。判定手段332は、X線撮影装置2のセンサ22が検出したX線の強度に基づいて、廃棄物の材質の種類を判定する手段である。表示手段333は、画像処理手段331が3次元データに基づいて生成した3次元画像を表示装置31に表示させる手段である。各手段の具体的な動作については後述する。
【0045】
(廃棄物選別システムの動作)
廃棄物選別システム1の動作について説明する。廃棄物選別システム1は、コンベア4上を積み重なって搬送されている廃棄物の3次元データを生成する。これにより、廃棄物選別システム1は、除去対象物を廃棄物の中から選別することができる。除去対象物は、例えば、有害又は危険な廃棄物であり、例えば、金属片、乾電池、リチウムイオンバッテリなどであってよい。また、除去対象物は、資源化に適さない禁忌品、例えば、飲み残しの入ったペットボトル、汚れた容器包装プラスチック、金属又はバッテリなどを含んだプラスチック製品などであってもよい。
【0046】
廃棄物の選別処理を実行する際、X線撮影装置2のX線発生器21は、X線を発生する。X線発生器21が発生したX線は、回転鏡231によって反射される。
【0047】
回転鏡231は、
図3に示す軸231aを中心にして回転しているため、X線は、回転鏡231の鏡面が向いている方向に応じて、異なる方向に反射される。
【0048】
回転鏡231が反射したX線が第1反射鏡232に向かう場合、
図4に示すように、第1反射鏡232に入射されたX線は、第1反射鏡232によって反射されて、経路403でセンサ22に向かう。
【0049】
センサ22は、第1反射鏡232によって反射されたX線を検出し、当該X線によって撮影された廃棄物の撮影データを、情報処理システム3に送信する。
【0050】
回転鏡231が反射したX線が第2反射鏡233に向かう場合、
図5に示すように、第2反射鏡233に入射されたX線は、第2反射鏡233によって反射されて、経路503でセンサ22に向かう。
【0051】
センサ22は、第2反射鏡233によって反射されたX線を検出し、当該X線によって撮影された廃棄物の撮影データを、情報処理システム3に送信する。
【0052】
情報処理装置33の通信部310は、X線撮影装置2から、2種類の撮影データを受信する。一方の撮影データは、第1反射鏡232によって反射されたX線をセンサ22が検出したことに基づく撮影データである。他方の撮影データは、第2反射鏡233によって反射されたX線をセンサ22が検出したことに基づく撮影データである。以後、第1反射鏡232によって反射されたX線をセンサ22が検出したことに基づく撮影データを「第1撮影データ」とも称する。また、第2反射鏡233によって反射されたX線をセンサ22が検出したことに基づく撮影データを「第2撮影データ」とも称する。
【0053】
第1撮影データ及び第2撮影データは、2つの異なる方向から撮影された撮影データである。第1撮影データ及び第2撮影データは、それぞれ、2次元データである。したがって、ステレオカメラの原理により、第1撮影データ及び第2撮影データに基づいて、3次元データを生成することが可能である。画像処理手段331は、X線撮影装置2から取得した第1撮影データ及び第2撮影データに基づいて、コンベア4で搬送されている廃棄物の3次元データを生成する。画像処理手段331は、例えば、廃棄物の位置を3次元座標で表した3次元データを生成してよい。
【0054】
画像処理手段331が生成した3次元データは、X線によって撮影された撮影データに基づくものであるため、積み重なっている廃棄物の中に埋もれていて目視できない廃棄物の3次元座標もデータとして含んでいる。
【0055】
画像処理手段331は、生成した3次元データに基づいて、廃棄物の3次元画像を生成する。表示手段333は、廃棄物の3次元画像を表示装置31に表示させる。
【0056】
判定手段332は、X線撮影装置2のセンサ22が検出したX線の強度に基づいて、廃棄物の材質の種類を判定する。判定手段332は、廃棄物の材質の種類として、有機物、無機物などを判定することができる。
【0057】
画像処理手段331は、判定手段332が判定した廃棄物の材質の種類に応じて、廃棄物の材質の種類が色で区別された、廃棄物の3次元画像を生成してよい。画像処理手段331は、例えば、有機物をオレンジ色に着色し、無機物を青色に着色するなどのように、廃棄物の材質の種類に応じて異なる色で着色した3次元画像を生成してよい。
【0058】
以上述べたように、本実施形態に係る廃棄物選別システム1は、廃棄物にX線を照射可能なX線発生器21と、廃棄物を透過したX線を検出可能なセンサ22と、X線が2以上の異なる方向から廃棄物に照射されるようにX線の経路を変更可能な光学手段23と、2以上の異なる方向から照射されたX線をセンサ22が検出することによって得られた撮影データを処理して3次元データを生成する画像処理手段331と、を備える。これにより、本実施形態に係る廃棄物選別システム1は、廃棄物が積み重なっていたとしても、廃棄物の3次元の位置を、画像処理手段331が生成した3次元データに基づいて特定することができる。したがって、本実施形態に係る廃棄物選別システム1は、廃棄物を選別する技術を改善することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る廃棄物選別システム1は、1台のX線発生器21を備えているだけで、2つの異なる方向から廃棄物にX線を照射することができる。したがって、X線発生器を2台備えるシステムに比べて、コストを低減することができる。
【0060】
また、近年、リチウムイオンバッテリを内蔵した製品の廃棄物が増加しているが、リチウムイオンバッテリは火災事故を起こす可能性があるため、確実に除去対象物として除去することが好ましい。しかしながら、リチウムイオンバッテリが内蔵されている製品においては、リチウムイオンバッテリを直接見ることができず、除去することが困難である。本実施形態に係る廃棄物選別システム1によれば、リチウムイオンバッテリを直接見ることができない場合であっても、画像処理手段331が生成した廃棄物の3次元データに基づいてリチウムイオンバッテリの3次元の位置を特定することができるため、リチウムイオンバッテリを容易に選別して除去することができる。
【0061】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段及びステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0062】
例えば、上述した実施形態に係る表示装置31、入力装置32及び情報処理装置33のうち少なくとも2つが、1つの装置として構成されてもよい。また例えば、情報処理装置33の各構成又は各手段が、複数の情報処理装置に分散配置された構成も可能である。当該複数の情報処理装置のうち少なくとも1つが、例えばインターネット等のネットワークに接続されたサーバとして実現される構成も可能である。
【0063】
また、上述した実施形態において、廃棄物選別システム1の動作の例について説明した。上述した動作に含まれる一部の処理が、論理的に矛盾しない範囲内において省略された構成も可能である。
【0064】
また、上述した実施形態において、情報処理装置33の制御部330によって実現される各種の手段をソフトウェア構成として説明したが、これらのうち少なくとも一部の手段は、ソフトウェア資源及び/又はハードウェア資源を含む概念であってもよい。例えば、画像処理手段331は、1つ以上のプロセッサを含んでもよい。
【0065】
また、上述した実施形態に係る情報処理装置33として機能させるために、コンピュータ又は携帯電話等の装置を用いることができる。当該装置は、実施形態に係る情報処理装置33の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該装置のメモリに格納し、当該装置のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させることによって実現可能である。
【0066】
また、上述した実施形態において、
図3に示すように、センサ22がコンベア4の上方に配置され、X線発生器21、回転鏡231、第1反射鏡232及び第2反射鏡233がコンベア4の下方に配置されている場合を例に挙げて説明したが、このような配置に限定されるものではない。例えば、センサ22がコンベア4の下方に配置され、X線発生器21、回転鏡231、第1反射鏡232及び第2反射鏡233がコンベア4の上方に配置されていてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態において、L字型のセンサ22を例に挙げて説明したが、センサ22の形状は、L字型に限定されない。例えば、センサ22は、平面状であってもよい。
【0068】
また、上述した実施形態において、光学手段23が第1反射鏡232及び第2反射鏡233の2つの反射鏡を備える場合を例に挙げて説明したが、2以上の異なる方向から廃棄物を撮影することができれば、反射鏡の個数は任意の個数であってよい。なお、2以上の異なる方向から廃棄物を撮影すれば廃棄物の3次元データを生成することができるが、ステレオカメラの原理によって3次元データを生成するには、2つの異なる方向から廃棄物を撮影することができれば十分である。したがって、光学手段23のコストを考慮すると、2つの異なる方向から廃棄物を撮影することが好ましい。また、例えば、反射鏡の個数が1つである場合、画像処理手段331は、X線発生器21が発生するX線で直接廃棄物を撮影した撮影データと、反射鏡が反射したX線で廃棄物を撮影した撮影データとに基づいて3次元データを生成してよい。
【符号の説明】
【0069】
1 廃棄物選別システム
2 X線撮影装置
3 情報処理システム
4 コンベア
5 廃棄物
21 X線発生器
22 センサ
23 光学手段
31 表示装置
32 入力装置
33 情報処理装置
231 回転鏡
231a 軸
232 第1反射鏡
233 第2反射鏡
310 通信部
320 記憶部
330 制御部
331 画像処理手段
332 判定手段
333 表示手段