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▶ 岡田 泰一の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021908
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 19/26 20060101AFI20220127BHJP
   F16C 33/36 20060101ALI20220127BHJP
   F16C 33/62 20060101ALI20220127BHJP
   F16C 19/40 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
F16C19/26
F16C33/36
F16C33/62
F16C19/40
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125787
(22)【出願日】2020-07-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】511008713
【氏名又は名称】岡田 泰一
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】岡田 泰一
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA13
3J701AA16
3J701AA24
3J701AA25
3J701AA34
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA53
3J701AA62
3J701BA04
3J701BA06
3J701BA53
3J701BA54
3J701BA55
3J701BA57
3J701EA03
3J701EA06
3J701EA49
3J701FA01
3J701FA31
3J701FA41
3J701FA48
3J701GA24
(57)【要約】
【課題】高い軸受性能を発揮すると共に耐用年数を向上させることのできる軸受を提供する。
【解決手段】軸受1は、中心線C1が一致する外輪2及び内輪3と、回転軸心C2が中心線C1と同方向に向く複数の転動体4とを備え、各転動体4は、外輪2と内輪3との間において中心線C1周りに並設されている。各転動体4は、断面円形状をなす第1回転部41と、第1回転部41の回転軸心C2に沿う方向の一側に一体に設けられた断面扁円形状をなす第2回転部42とを有する。隣り合う2つの転動体4のうち一方の第1回転部41と他方の第2回転部42とが対応する配置であり、他方の第1回転部41と一方の第2回転部42とが対応する配置になっている。第2回転部42の外形は、外輪2と内輪3との相対回転動作時において、隣り合う2つの転動体4のうちの少なくとも一組の間に隙間が形成される寸法に設定される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された転動体とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受であって、
前記転動体は、断面円形状をなすとともに、転動時において前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接する第1回転部と、該第1回転部の上記回転軸心に沿う方向の一側に一体に設けられ、断面扁円形状をなすとともに、転動時において周方向の全部又は一部が前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とからそれぞれ離間する第2回転部とを備え、
前記中心線を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体のうち前記一方の転動体の第1回転部と他方の転動体の第2回転部とが対応する配置であるとともに、前記他方の転動体の第1回転部と一方の転動体の第2回転部とが対応する配置になっているか、或いは、前記一方の転動体の第1回転部と他方の転動体の第1回転部とが対応する配置であるとともに、前記他方の転動体の第2回転部と他方の転動体の第2回転部とが対応する配置になっており、
前記第2回転部の外形は、前記外輪と前記内輪との相対回転時において、前記中心線を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体のうちの少なくとも一組の間に隙間が形成される寸法に設定され、
前記外輪及び内輪の少なくとも一方には、前記転動体の前記回転軸心に沿う方向への移動を規制する規制部が設けられていることを特徴とする軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受において、
前記第2回転部は、鍔状をなしていることを特徴とする軸受。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の軸受において、
前記規制部は、前記外輪の内周面から突出するとともに前記中心線周りに環状に延びる外側レール部と、前記内輪の外周面における前記外側レール部に対向する位置から突出するとともに前記中心線周りに環状に延びる内側レール部とを有し、
前記転動体の外周面には、前記回転軸心周りに環状に延び、且つ、前記外側レール部及び内側レール部を案内可能に嵌合させる環状凹条溝部が形成されていることを特徴とする軸受。
【請求項4】
請求項3に記載の軸受において、
前記第1回転部は、前記回転軸心に沿う方向の他側に行くにつれて次第に縮径する形状をなし、
前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面は、それぞれ前記第1回転部の外形に対応する形状をなし、
前記環状凹条溝部は、前記第1回転部における前記回転軸心に沿う方向の他側に偏って形成されていることを特徴とする軸受。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の軸受において、
前記外輪及び内輪における少なくとも前記転動体に接する部分には、弾性領域が設けられていることを特徴とする軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸体を回転自在に支持する軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されている軸受は、中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪を備え、当該外輪及び内輪の間には、中心線が外輪及び内輪の中心線と一致する環状をなす保持器が配設されている。該保持器は、回転軸心が前記中心線と同方向に延びる複数のいわゆるコロ型の転動体を回転可能に保持しており、各転動体は、前記中心線周りに所定の間隔をあけて等間隔に位置している。そして、各転動体は、外輪の内周面と内輪の外周面とにそれぞれ接していて、保持器によって隣り合う転動体が互いに間隔をあけた状態で外輪と内輪との間を転動することにより、隣り合う転動体同士が直接接触することで発生しうる大きな摩擦を回避しながら外輪と内輪とがスムーズに相対回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-168084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、故障し難い製品にするための多くの取り組みがなされており、それらの製品に組み込む軸受に関しても同様に、外輪と内輪との間におけるスムーズな相対回転動作を長く維持して耐用年数を向上させることが強く望まれている。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い軸受性能を発揮すると共に耐用年数を向上させることのできる軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明では、保持器を用いることなく隣り合う2つの転動体同士が接触した際の摩擦が小さくなるよう工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された転動体とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受を対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記転動体は、断面円形状をなすとともに、転動時において前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接する第1回転部と、該第1回転部の上記回転軸心に沿う方向の一側に一体に設けられ、断面扁円形状をなすとともに、転動時において周方向の全部又は一部が前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とからそれぞれ離間する第2回転部とを備え、前記中心線を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体のうち前記一方の転動体の第1回転部と他方の転動体の第2回転部とが対応する配置であるとともに、前記他方の転動体の第1回転部と一方の転動体の第2回転部とが対応する配置になっているか、或いは、前記一方の転動体の第1回転部と他方の転動体の第1回転部とが対応する配置であるとともに、前記他方の転動体の第2回転部と他方の転動体の第2回転部とが対応する配置になっており、前記第2回転部の外形は、前記外輪と前記内輪との相対回転時において、前記中心線を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体のうちの少なくとも一組の間に隙間が形成される寸法に設定され、前記外輪及び内輪の少なくとも一方には、前記転動体の前記回転軸心に沿う方向への移動を規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記第2回転部は、鍔状をなしていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記規制部は、前記外輪の内周面から突出するとともに前記中心線周りに環状に延びる外側レール部と、前記内輪の外周面における前記外側レール部に対向する位置から突出するとともに前記中心線周りに環状に延びる内側レール部とを有し、前記転動体の外周面には、前記回転軸心周りに環状に延び、且つ、前記外側レール部及び内側レール部を案内可能に嵌合させる環状凹条溝部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記第1回転部は、前記回転軸心に沿う方向の他側に行くにつれて次第に縮径する形状をなし、前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面は、それぞれ前記第1回転部の外形に対応する形状をなし、前記環状凹条溝部は、前記第1回転部における前記回転軸心に沿う方向の他側に偏って形成されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記外輪及び内輪における少なくとも前記転動体に接する部分には、弾性領域が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、外輪及び内輪を相対回転させると、外輪の内周面及び内輪の外周面とにそれぞれ接する各転動体の第1回転部が規制部により回転軸心に沿う方向の移動を規制されながら外輪及び内輪の周方向に転動する。
【0014】
このとき、各転動体における第1回転部と一体に回転する第2回転部は、外輪及び内輪の周方向に並設された隣り合う転動体の第1回転部又は第2回転部と繰り返し接触するが、接触する瞬間において断面扁円形状をなす第2回転部の長径が外輪及び内輪の周方向を向く場合がある。
【0015】
この場合、その後に引き続き行われる第2回転部の転動動作により当該第2回転部における長径と短径との位置がそれぞれ変化し、例えば瞬間的に第2回転部の短径が外輪及び内輪の周方向を向いた状態になって隣り合う転動体の第1回転部又は第2回転部に対して離間した状態になる。
【0016】
さらにその後、引き続き行われる第2回転部の転動動作によって再び第2回転部の長径が外輪及び内輪の周方向を向くので、その瞬間において第2回転部が隣り合う転動体の第1回転部又は第2回転部と接触するようになる。このように、第2回転部は、転動体の転動時において隣り合う転動体の第1回転部又は第2回転部に対して接触と離間とを周期的に繰り返す。
【0017】
すなわち、第1の発明では転動体が断面扁円形状の第2回転部を備えるため、断面円形状の転動体のみ用いた軸受と比較し、外輪と内輪とが相対回転する際において隣り合う転動体同士の間隔が生じやすくなり、隣り合う転動体同士の接触により発生する摩擦が少なくなる。したがって、外輪と内輪との間に保持器を設けなくても、外輪及び内輪の相対回転動作をスムーズにすることができる。
【0018】
また、外輪と内輪との間に保持器を装着する必要がないので、外輪と内輪との間における保持器が占有していた空間に新たに多くの転動体を組付可能になる。したがって、もし仮に、各転動体の中の1つ又は数個に摩耗や変形等が生じたとしても、その他の多くの各転動体によって外輪と内輪との間における相対回転動作が維持されるようになるので、特許文献1の如き従来の軸受よりも耐用年数を向上させることができる。
【0019】
第2の発明では、転動体における第2回転部の厚みが薄くなるので、転動体全体に占める第1回転部の回転軸心方向の寸法を大きく確保することが可能になる。したがって、転動体のラジアル荷重に対する耐久性を高めることができ、軸受の耐用年数を向上させることができる。
【0020】
第3の発明では、外側レール部及び内側レール部が外輪と内輪との間における転動体の回転軸心方向への移動を阻止するようになる。したがって、転動体に不意に力が加わっても、転動体が外輪及び内輪から抜け出るといった不具合を防止することができ、軸受の耐用年数をさらに向上させることができる。
【0021】
第4の発明では、外輪及び内輪が相対回転する際に発生する振動や、或いは、隣り合う転動体同士の接触による衝撃等を起因として転動体が第1回転部の縮径方向に移動しようとしても、外輪の内周面及び内輪の外周面が第1回転部の縮径方向への移動を規制するようになる。すなわち、第1回転部による当該第1回転部の縮径方向の荷重が外輪の内周面及び内輪の外周面に受け止められるので、外側レール部及び内側レール部に加わる負荷が減って当該外側レール部や内側レール部の破損や変形を防ぐことができるようになり、軸受の耐用年数を一層向上させることができる。特に、第1回転部は環状凹条溝部を境として大径側の方が小径側よりも回転軸心に沿う方向の寸法が大きいため、例えば、風力発電機におけるメインシャフトを軸支する軸受や或いは縮径方向が鉛直下方向を向く水平設置の軸受のように荷重の偏りが大きくなる軸受においては、耐用年数を大きく向上させることができる。
【0022】
第5の発明では、外輪及び内輪における転動体との接触領域が柔らかくなるので、外輪及び内輪と転動体とが接触したときに発生する音が軸受の全体が金属材やセラミック材により構成される場合と比較して小さくなる。したがって、動作時において静粛性に優れた軸受にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る軸受を示す図であり、図1(a)は軸受を中心線方向に見た図、図1(b)は図1(a)の外輪及び内輪を示す図、図1(c)は図1(b)の外輪に係るB-B線断面図、図1(d)は図1(b)の内輪に係るC矢視図である。
図2】第1実施形態に係る転動体を示す図であり、図2(a)は転動体の側面図、図2(b)は図2(a)の転動体を回転軸心周りに90度回転させた図、図2(c)は図2(b)のD矢視図、図2(d)は図1(a)のA矢視説明図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る軸受を示す図であり、図3(a)は軸受を中心線方向に見た図、図3(b)は図3(a)の軸受の背面図、図3(c)は図3(a)のE-E線断面図である。
図4】第2実施形態に係る転動体を示す図であり、図4(a)は転動体の側面図、図4(b)は図4(a)のG矢視図、図4(c)は図3(a)のF矢視説明図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る軸受を示す図であり、図5(a)は軸受を中心線方向に見た図、図5(b)は図5(a)の外輪に係るH-H線断面図、図5(c)は図5(a)の内輪に係るI矢視図である。
図6】第3実施形態に係る転動体を示す図であり、図6(a)は転動体の側面図、図6(b)は図6(a)のJ矢視図、図6(c)は図5(a)のI矢視説明図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る軸受を示す図であり、図7(a)は軸受を中心線方向に見た図、図7(b)は図6(a)の軸受の背面図、図6(c)は図6(a)のK-K線断面図である。
図8】第4実施形態に係る転動体を示す図であり、図8(a)は転動体の側面図、図8(b)は図2(b)のM矢視図、図8(c)は図7(a)のL矢視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0025】
《第1実施形態》
図1及び図2は、本発明の第1実施形態の軸受1を示す。該軸受1は、図1(a)に示すように、中心線C1周りに環状に延びる高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ材)製の外輪2と、該外輪2の内側に配設され、当該外輪2と中心線C1が一致する環状をなす高炭素クロム軸受鋼鋼材製の内輪3と、回転軸心C2が中心線C1と同方向に延びる複数の高炭素クロム軸受鋼鋼材製の転動体4とを備え、該各転動体4は、外輪2と内輪3との間において中心線C1を中心とした周方向に複数並設されている。但し、材質はステンレス鋼材等でもよい。
【0026】
外輪2は、図1(b)及び図1(c)に示すように、断面T字状をなしており、外輪2の内周面には、当該内周面の中央部から突出するとともに中心線C1周りに環状に延びる断面矩形状をなす外側レール部21(規制部)が一体成形されている。
【0027】
外側レール部21の所定の位置には、図1(b)に示すように、中心線C1方向に見て湾曲状をなす第1切欠凹部21aが形成されている。また、外側レール部21の突出端面における中心線C1方向中央部には、図1(c)に示すように、中心線C1周りに環状に延びる外側油溝21bが設けられ、該外側油溝21bに油が溜まることにより、転動体4との間に発生する摩擦力が減るようになっている。
【0028】
内輪3は、図1(b)及び図1(d)に示すように、断面T字状をなしており、内輪3の外周面には、当該外周面の中央部から突出するとともに中心線C1周りに環状に延びる断面矩形状をなす内側レール部31(規制部)が一体成形されている。
【0029】
内側レール部31の所定の位置には、図1(b)に示すように、中心線C1方向に見て湾曲状をなす第2切欠凹部31aが形成されている。また、内側レール部31の突出端面における中心線C1方向中央部には、図1(d)に示すように、中心線C1周りに環状に延びる内側油溝31bが設けられ、該内側油溝31bに油が溜まることにより、転動体4との間に発生する摩擦力が減るようになっている。
【0030】
第2切欠凹部31aは、当該第2切欠凹部31aに対応する位置における外輪2の第1切欠凹部21aとで本発明の開口部5を構成しており、当該開口部5の形状及び寸法は、後述する転動体4の第2回転部42は通過できるが第1回転部41は通過できないように設定されている。
【0031】
転動体4は、図2(a)に示すように、回転軸心C2が一致する第1回転部41、第2回転部42、及び括れ部43を有しており、第1回転部41、第2回転部42及び括れ部43は一体に回転するようになっている。
【0032】
第1回転部41は、図1(a)に示すように、外周面が外輪2の内周面と内輪3の外周面とにそれぞれ接する厚みを有する円板形状をなしており、その断面形状は真円になっている。
【0033】
第2回転部42は、図2(c)に示すように、厚みが第1回転部41の厚みと略同じである円板形状をなしており、その断面形状は僅かに真円から外れた扁円形をなしている。
【0034】
第2回転部42の長径は、第1回転部41の直径に等しく設定されていて、第2回転部42は、図1(a)に示すように、外輪2と内輪3との間に配設された状態において長径部分に対応する箇所が外輪2の内周面と内輪3の外周面とにそれぞれ接するようになっている。
【0035】
すなわち、第2回転部42における長径部分に対応する箇所以外の領域は、外輪2の内周面と内輪3の外周面とから離間するようになっている。
【0036】
括れ部43は、図2(a)に示すように、第1回転部41と第2回転部42との間に配設され、外径が第1回転部41の外径及び第2回転部42の短径よりも小さい円柱形状をなしている。
【0037】
第1回転部41及び第2回転部42と括れ部43との径寸法の差により、回転軸心C2周りに環状に延びる環状凹条溝部44が形成されている。該環状凹条溝部44の断面形状は、外側レール部21及び内側レール部31の断面形状に対応する矩形状をなしていて、外側レール部21及び内側レール部31を案内可能に嵌合させるようになっている。
【0038】
各転動体4は、開口部5を介して外輪2と内輪3との間に順に挿入することにより、外輪2と内輪3との間に組み付けられるようになっている。
【0039】
外輪2と内輪3との間に組み付けられた各転動体4は、図2(d)に示すように、中心線C1を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体4のうち一方の転動体4の第1回転部41と他方の転動体4の第2回転部42とが対応する配置であるとともに、一方の転動体4の第1回転部41と他方の転動体4の第2回転部42とが対応する配置になっていて、各転動体4の第2回転部42の外形は、外輪2と内輪3との相対回転時において、中心線C1を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体4のうちの少なくとも一組の間に隙間が形成される寸法に設定されている。尚、図2(d)においては、便宜上、内輪3の記載を省略している。
【0040】
次に、軸受1の使用時における動作について詳述する。
【0041】
外輪2及び内輪3を相対回転させると、外輪2の内周面及び内輪3の外周面にそれぞれ接する各転動体4の第1回転部41が外側レール部21及び内側レール部31により回転軸心C2に沿う方向の移動を規制されながら外輪2及び内輪3の周方向に転動する。
【0042】
このとき、各転動体4における第1回転部41と一体に回転する第2回転部42は、外輪2及び内輪3の周方向に並設された隣り合う転動体4の第1回転部41と繰り返し接触するが、接触する瞬間において断面扁円形状をなす第2回転部42の長径が周方向を向く場合がある。
【0043】
この場合、その後に引き続き行われる第2回転部42の転動動作により当該第2回転部42における長径と短径との位置がそれぞれ変化し、例えば瞬間的に第2回転部42の短径が周方向を向いた状態になって隣り合う転動体4の第1回転部41に対して離間した状態になる。
【0044】
さらにその後、引き続き行われる第2回転部42の転動動作によって再び第2回転部42の長径が周方向を向くので、その瞬間において第2回転部42が隣り合う転動体4の第1回転部41と接触するようになる。このように、第2回転部42は、転動体4の転動時において隣り合う転動体4の第1回転部41に対して接触と離間とを周期的に繰り返す。
【0045】
すなわち、第1実施形態では転動体4が断面扁円形状の第2回転部42を備えるため、断面円形状の転動体4のみ用いた軸受1と比較し、外輪2と内輪3とが相対回転する際において隣り合う転動体4同士の間隔が生じやすくなり、隣り合う転動体4同士の接触により発生する摩擦が少なくなる。したがって、外輪2と内輪3との間に保持器を設けなくても、外輪2及び内輪3の相対回転動作をスムーズにすることができる。
【0046】
また、外輪2と内輪3との間に保持器を装着する必要が無いので、外輪2と内輪3との間における保持器が占有していた空間に新たに多くの転動体4を組付可能になる。したがって、もし仮に、各転動体4の中の1つ又は数個に摩耗や変形等が生じたとしても、その他の多くの各転動体4によって外輪2と内輪3との間における相対回転動作が維持されるようになるので、特許文献1の如き従来の軸受よりも耐用年数を向上させることができる。
【0047】
また、軸受1では、外側レール部21及び内側レール部31が外輪2と内輪3との間における転動体4の回転軸心C2方向への移動を阻止するようになる。したがって、転動体4に不意に力が加わっても、転動体4が外輪2及び内輪3から抜け出るといった不具合を防止することができ、耐用年数をさらに向上させることができる。
【0048】
また、軸受1では、転動体4の第2回転部42を開口部5に挿通させるとともに、外輪2と内輪3との間で中心線C1周りに移動させると、外輪2と内輪3との間に転動体4の装着が完了する一方、外輪2と内輪3との間に装着した転動体4の第2回転部42を開口部5に正確に位置合わせすると、外輪2と内輪3との間から開口部5を介して転動体4を取り出すことも可能となる。したがって、外輪2と内輪3とを分離することなく転動体4を外輪2及び内輪3の間に装着することができ、摩耗や損傷等を受けた転動体4を新しいものに交換するといった軸受1のメンテナンスも従来に比べて容易となる。
【0049】
《第2実施形態》
図3及び図4は、本発明の第2実施形態の軸受1を示す。この第2実施形態は、外輪2、内輪3、及び転動体4の各構成の一部がそれぞれ第1実施形態と異なっている以外は第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その他、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0050】
第2実施形態の外輪2における内周面の中心線C1方向一側には、図3(c)に示すように、中心線C1周りに環状に延びる断面略L字状をなす外側環状段差部2aが形成されている。
【0051】
該外側環状段差部2aは、中心線C1方向一側に行くにつれて次第に径方向外側に位置するように延びる第1外側段差形成面2b(規制部)と、該第1外側段差形成面2bに連続するとともに中心線C1と同方向に延びる第2外側段差形成面2cとで構成されている。
【0052】
第2実施形態の外側レール部21の断面形状は、図3(a)乃至図3(c)に示すように、三角形状をなしていて、第1実施形態の如き油溝は設けられていない。
【0053】
第2実施形態の内輪3における外周面の中心線C1方向一側には、中心線C1周りに環状に延びる断面略L字状をなす内側環状段差部3aが形成されている。
【0054】
該内側環状段差部3aは、中心線C1方向一側に行くにつれて次第に径方向内側に位置するように延びる第1内側段差形成面3b(規制部)と、該第1内側段差形成面3bに連続するとともに中心線C1と同方向に延びる第2内側段差形成面3cとで構成されている。
【0055】
第2実施形態の内側レール部31の断面形状は、三角形状をなしていて、第1実施形態の如き油溝は設けられていない。
【0056】
第2実施形態の転動体4は、図4(a)及び図4(b)に示すように、外輪2と内輪3との間で転動する略円柱状をなす第1回転部41と、該第1回転部41の回転軸心C2方向一側端部に一体に形成された鍔状をなす第2回転部42とを有している。
【0057】
第1回転部41の中心線C1方向中央部には、当該中心線C1周りに環状に延びる環状凹条溝部44が形成され、該環状凹条溝部44は、外側レール部21及び内側レール部31の断面形状に対応する断面略三角形状をなしている。
【0058】
環状凹条溝部44は、第1回転部41を2つの領域に区分けしており、区分けされた各領域が共に外輪2の内周面と内輪3の外周面とに接している。
【0059】
第2回転部42は、図4(b)に示すように、僅かに真円から外れた扁円形状をなしており、図3(c)及び図4(a)に示すように、回転軸心C2方向一側に行くにつれて次第に径方向外側に位置するように延びる第1外周面42aと、該第1外周面42aに連続するとともに回転軸心C2と同方向に延びる第2外周面42bとで構成されている。
【0060】
外輪2と内輪3との間に組み付けられた各転動体4は、図4(c)に示すように、中心線C1を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体4のうち一方の転動体4の第1回転部41と他方の転動体4の第1回転部41とが対応する配置であるとともに、一方の転動体4の第2回転部42と他方の転動体4の第2回転部42とが対応する配置になっている。
【0061】
そして、第2回転部42は、外輪2及び内輪3の間における中心線C1方向一端に位置しており、第1外周面42aが第1外側段差形成面2b及び第1内側段差形成面3bに接する一方、第2外周面42bが第2外側段差形成面2c及び第2内側段差形成面3cから離間した位置となるよう構成されている。
【0062】
尚、図4(c)では、便宜上、内輪3の記載を省略している。また、転動体4を挿入する開口部(図示省略)は、第1回転部41は通過できるが第2回転部42は通過できない形状及び寸法に設定されている。
【0063】
次に、第2実施形態の軸受1の使用時における動作について詳述する。
【0064】
外輪2及び内輪3を相対回転させると、外輪2の内周面及び内輪3の外周面にそれぞれ接する各転動体4の第1回転部41が外側レール部21及び内側レール部31により回転軸心C2に沿う方向の移動を規制されながら外輪2及び内輪3の周方向に転動する。
【0065】
このとき、各転動体4における第1回転部41と一体に回転する第2回転部42は、外輪2及び内輪3の周方向に並設された隣り合う転動体4の第2回転部42と繰り返し接触するが、接触する瞬間において断面扁円形状をなす第2回転部42の長径が外輪2及び内輪3の周方向を向く場合がある。
【0066】
この場合、その後に引き続き行われる第2回転部42の転動動作により当該第2回転部42の長径と短径との位置がそれぞれ変化し、例えば瞬間的に第2回転部42の短径が外輪2及び内輪3の周方向を向いた状態になって隣り合う転動体4の第2回転部42に対して離間した状態になる。
【0067】
さらにその後、引き続き行われる第2回転部の42の転動動作によって再び第2回転部42の長径が外輪2及び内輪3の周方向を向くので、その瞬間において第2回転部42が隣り合う転動体4の第2回転部42と接触するようになる。このように、第2回転部42は、転動体4の転動時において隣り合う転動体4の第2回転部42に対して接触と離間とを周期的に繰り返す。
【0068】
すなわち、第2実施形態では転動体4が断面扁円形状の第2回転部42を備えるため、断面円形状の転動体4のみ用いた軸受1と比較し、外輪2と内輪3とが相対回転する際において隣り合う転動体4同士の間隔が生じやすくなり、隣り合う転動体4同士の接触により発生する摩擦が少なくなる。したがって、外輪2と内輪3との間に保持器を設けなくても、外輪2及び内輪3の相対回転動作をスムーズにすることができる。
【0069】
また、転動体4の第2回転部42は鍔状をなしていることから、転動体4全体に占める第1回転部41の回転軸心C2方向の寸法を大きく確保することが可能になる。したがって、転動体4のラジアル荷重に対する耐久性を高めることができ、軸受1の耐用年数を向上させることができる。
【0070】
また、軸受1では、外側レール部21及び内側レール部31が断面三角形状であることから、第1実施形態の構成と比較して外側レール部21及び内側レール部31と転動体4との接触面積が減少し、外側レール部21及び内側レール部31と転動体4との間の摩擦が減少する。したがって、外輪2及び内輪3の相対回転動作をさらにスムーズにすることができる。
【0071】
また、転動体4は、第1外周面42aが第1外側段差形成面2b及び第1内側段差形成面3bに接するので、第1回転部41側への移動が規制されるようになっている。すなわち、転動体4の第2回転部42によってアキシャル荷重が受け止められるので、外側レール部21及び内側レール部31に作用する荷重が抑えられる。したがって、外側レール部21及び内側レール部31に変形や破損がさらに発生し難くなり、軸受1の耐用年数を向上させることができる。
【0072】
《第3実施形態》
図5及び図6は、本発明の第3実施形態の軸受1を示す。この第3実施形態は、外輪2、内輪3、及び転動体4の各構成の一部が第2実施形態と異なっている以外は第2実施形態と同様であるので、第2実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その他、第2実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0073】
第3実施形態の外輪2における内周面には、図5(b)に示すように、中心線C1方向一側だけでなく他側にも外側環状段差部2aが形成され、各外側環状段差部2aにおける第1外側段差形成面2bは、傾斜することなく中心線C1と直交する方向に延びている。
【0074】
第3実施形態の外側レール部21の断面形状は、図5(a)及び図5(b)に示すように、突出先端側で丸みを帯びた蒲鉾形状をなしている。
【0075】
第3実施形態の内輪3における外周面には、図5(c)に示すように、中心線C1方向一側だけでなく他側にも内側環状段差部3aが形成され、各内側環状段差部3aにおける第1内側段差形成面3bは、第1外側段差形成面2bと同様に傾斜することなく中心線C1と直交する方向に延びている。
【0076】
第3実施形態の内側レール部31の断面形状は、外側レール部21と同様に突出先端側で丸みを帯びた蒲鉾形状をなしている。
【0077】
第3実施形態の転動体4における第2回転部42の第1外周面42aは、図6(a)及び図6(b)に示すように、傾斜することなく回転軸心C2と直交する方向に延びている。
【0078】
外輪2と内輪3との間に組み付けられた各転動体4は、図6(c)に示すように、中心線C1を中心とした周方向に隣り合う2つの転動体4のうち一方の転動体4の第1回転部41と他方の転動体4の第2回転部42とが対応する配置であるとともに、一方の転動体4の第2回転部42と他方の転動体4の第1回転部41とが対応する配置になっている。
【0079】
すなわち、外輪2と内輪3との間に組み付けられた各転動体4の第2回転部42は、中心線C1周りにおいて当該中心線C1方向の一側と他側とに交互に千鳥状にずれた配置になっている。
【0080】
尚、図6(c)では、便宜上、内輪3の記載を省略している。
【0081】
また、第3実施形態の軸受1の使用時における動作は、中心線C1の周方向において隣り合う転動体4の第1回転部41と第2回転部42とが互いに接触する第1実施形態と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0082】
以上より、本発明の第3実施形態によると、外側レール部21及び内側レール部31が断面蒲鉾形状であるため、第1実施形態の断面矩形状のものに比べて転動体4との接触面積が減少して摩擦が小さくなるとともに、第2実施形態の断面三角形状のものに比べて剛性が増すため、軸受性能をさらに高めながら耐用年数を向上させることができる。
【0083】
《第4実施形態》
図7及び図8は、本発明の第4実施形態の軸受1を示す。この第4実施形態は、外輪2の内周面及び内輪3の外周面の各形状と、転動体4の第1回転部41の形状とが第2実施形態と異なっている以外は第2実施形態と同様であるので、第2実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その他、第2実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0084】
第4実施形態の外輪2の内周面における転動体4の第1回転部41に対応する領域は、図7(c)に示すように、外側環状段差部2aから離れるにつれて次第に縮径する円錐台形状をなしており、断面が突出先端側で丸みを帯びた蒲鉾形状の外側レール部21が外側環状段差部2aから離れた位置に偏って形成されている。
【0085】
また、外輪2の中心線C1方向一端側に位置する外側環状段差部2aにおける第1外側段差形成面2bは、傾斜することなく中心線C1と直交する方向に延びる一方、外輪2の中心線C1方向他端には、当該中心線C1に向けて突出するとともに中心線C1周りに環状に延びる外側襟部2d(規制部)が形成されている。
【0086】
第4実施形態の内輪3の外周面における転動体4の第1回転部41に対応する領域は、内側環状段差部3aから離れるにつれて次第に拡径する擂鉢状をなしており、断面が突出先端側で丸みを帯びた蒲鉾形状の内側レール部31が内側環状段差部3aから離れた偏った位置で、且つ、外輪2の外側レール部21に対応する位置に形成されている。
【0087】
また、内輪3の中心線C1方向一端側に位置する内側環状段差部3aにおける第1内側段差形成面3bは、傾斜することなく中心線C1と直交する方向に延びる一方、内輪3の中心線C1方向他端には、外輪2に向けて突出するとともに中心線C1周りに環状に延びる内側襟部3d(規制部)が形成されている。
【0088】
第4実施形態の転動体4における第1回転部41は、図8(a)及び図8(c)に示すように、第2回転部42から離れるにつれて次第に縮径する略円錐台形状をなしていて、外輪2の内周面及び内輪3の外周面に対応する形状をなしている。尚、図8(c)では、便宜上、内輪3の記載を省略している。
【0089】
第1回転部41の外側レール部21及び内側レール部31に対応する位置には、環状凹条溝部44が形成されていて、該環状凹条溝部44の断面形状は、外側レール部21及び内側レール部31の断面形状に対応している。
【0090】
そして、第4実施形態の転動体4は、外輪2及び内輪3の間に組み付けられると、第1外周面42aが第1外側段差形成面2b及び第1内側段差形成面3bに接するとともに第1回転部41の回転軸心C2方向他端が外側襟部2d及び内側襟部3dに接するので、第1回転部41側への移動が規制されるようになっている。
【0091】
尚、第4実施形態は、外輪2の内周面、内輪3の外周面及び転動体4における第1回転部41の外形が実施形態2と異なるが、第4実施形態の軸受1の使用時における動作は、実施形態2と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0092】
以上より、外輪2及び内輪3が相対回転する際に発生する振動や、或いは、隣り合う転動体4同士の接触による衝撃等を起因として転動体4が第1回転部41の縮径方向に移動しようとしても、外輪2の内周面及び内輪3の外周面が第1回転部41の縮径方向への移動を規制するようになる。すなわち、第1回転部41による当該第1回転部の縮径方向の荷重が外輪2の内周面及び内輪3の外周面に受け止められるので、外側レール部21及び内側レール部31に加わる負荷が減って当該外側レール部21や内側レール部31の破損や変形を防ぐことができるようになり、軸受1の耐用年数を一層向上させることができる。特に、第1回転部41は環状凹条溝部44を境として大径側の方が小径側よりも回転軸心C2に沿う方向の寸法が大きいため、例えば、風力発電機におけるメインシャフトを軸支する軸受や或いは縮径方向が鉛直下方向を向く水平設置の軸受のように荷重の偏りが大きくなるく軸受においては、耐用年数を大きく向上させることができる。
【0093】
尚、本発明の第1~第4実施形態では、転動体4の回転軸心C2が外輪2及び内輪3の中心線C1と同方向に延びているが、これに限らず、中心線C1と交差する方向に延びる構造であってもよい。
【0094】
また、第1~第4実施形態では、第2回転部42の断面形状は扁円形であるが、楕円形、若しくは扁円形と楕円形とを合成した形状のものなど、真円ではなく長径と短径を持つ形状であればよい。そして、各々の転動体4ごとに異なる断面形状の第2回転部42を有するものであってもよい。
【0095】
また、第1~第4実施形態では、外側レール部21及び内側レール部31の断面形状は、矩形状や蒲鉾形状、或いは、三角形状としたが、その断面形状は適宜変更可能である。
【0096】
また、第1実施形態の外側レール部21及び内側レール部31には、外側油溝21b及び内側油溝31bを設けたが、これらの油を溜める油溝は、発生する摩擦力を抑える必要のあるその他の部位に設けるようにしてもよい。
【0097】
第1~第4実施形態では、外輪2、内輪3、及び転動体4を高炭素クロム軸受鋼鋼材製により構成しているが、各構成を合成ゴムなどの弾性を有する材質を用いて構成してもよい。このように、外輪2及び内輪3における少なくとも転動体4と接する部分に弾性領域が設けられると、外輪2及び内輪3における転動体4との接触領域が柔らかくなるので、外輪2及び内輪3と転動体4とが接触したときに発生する音が軸受1の全体が金属材やセラミック材などの硬質材料で構成される場合と比較して小さくなる。したがって、動作時において静粛性に優れた軸受1にすることができる。
【0098】
第1~第4実施形態の軸受1に対し、主軸が挿通される内輪3の開口を残して外輪2及び内輪3を覆うカバーを取り付けてもよい。そうすると、カバーによって外輪2と内輪3との間から侵入する粉塵等が低減し、軸受1の性能維持を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本実施形態は、軸体を回転自在に支持する軸受であれば適用できる。
【符号の説明】
【0100】
1 軸受
2 外輪
2b 第1外側段差形成面(規制部)
2d 外側襟部(規制部)
21 外側レール部(規制部)
3 内輪
3b 第1内側段差形成面(規制部)
3d 内側襟部(規制部)
31 内側レール部(規制部)
4 転動体
41 第1回転部
42 第2回転部
44 環状凹条溝部
C1 中心線
C2 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8