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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021943
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】外用組成物、マスク製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220127BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/727 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220127BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220127BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61K31/727
A61K31/728
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/34
A61K47/14
A61K31/704
A61K31/375
A61K31/045
A61K31/455
A61K31/355
A61K31/07
A61K9/08
A61P17/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125855
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸子
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076DD46
4C076DD47
4C076DD51
4C076EE17
4C076FF17
4C076FF70
4C083AA032
4C083AA072
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB212
4C083AB242
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC272
4C083AC292
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC552
4C083AC582
4C083AC622
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC682
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD042
4C083AD052
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD282
4C083AD311
4C083AD312
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD432
4C083AD492
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD661
4C083AD662
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086BA18
4C086BC19
4C086EA19
4C086EA25
4C086EA27
4C086MA02
4C086MA16
4C086MA63
4C086NA20
4C086ZA89
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA10
4C206CA13
4C206MA05
4C206MA36
4C206MA83
4C206NA20
4C206ZA89
(57)【要約】
【課題】
使用感が向上したヘパリン類似物質を含有する外用組成物を提供すること。さらに、ヘパリン類似物質を含有するマスク組成物において、液だれを抑制したマスク製剤を提供すること。
【解決手段】(A)ヘパリン類似物質を含有する外用組成物に対し、さらに(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩 から選択される1種以上のムコ多糖類を含有した外用組成物。
マスク基材と(A)ヘパリン類似物質、(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上、を含有することを特徴とするマスク組成物 を構成に含むマスク製剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヘパリン類似物質;
(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上、
を含有する外用組成物。
【請求項2】
さらに(C)成分として、増粘剤を含有する、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
さらに(D)成分として、炭素数5~10のアルカンジオール、プロパンジオール、両親媒性化合物、セラミド類からなる群より選択される1種以上 を含有する、請求項1または2に記載の外用組成物。
【請求項4】
前記(D)成分における両親媒性化合物が、アルキレンオキシド誘導体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、からなる群より選択される1種以上である、請求項3に記載の外用組成物。
【請求項5】
さらに(E)成分として、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、l-メントール、ニコチン酸アミド、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、アラントインからなる群より選択される1種以上の有効成分を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項6】
マスク基材と、
前記マスク基材に含浸されたマスク組成物と、を備えるマスク製剤であって、
前記マスク組成物は、
(A)ヘパリン類似物質;
(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上、
を含有する、マスク製剤。
【請求項7】
前記マスク基材が不織布である、請求項6に記載のマスク製剤。
【請求項8】
さらにマスク組成物に(C)成分として、増粘剤を含有する、請求項6または7に記載のマスク製剤。
【請求項9】
さらにマスク組成物に(D)成分として、炭素数5~10のアルカンジオール、プロパンジオール、両親媒性化合物、セラミド類からなる群より選択される1種以上を含有する、請求項6~8のいずれか1項に記載のマスク製剤。
【請求項10】
前記(D)成分における両親媒性化合物が、アルキレンオキシド誘導体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、からなる群より選択される1種以上である、請求項9に記載のマスク製剤。
【請求項11】
さらにマスク組成物に(E)成分として、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、l-メントール、ニコチン酸アミド、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、アラントインからなる群より選択される1種以上の有効成分を含有する、請求項6~10のいずれか1項に記載のマスク製剤。
【請求項12】
(A)ヘパリン類似物質、(C)増粘剤を含有するマスク組成物において、(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上を配合することによる、マスク製剤の液だれ抑制方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘパリン類似物質を含有する外用組成物、マスク製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリン類似物質は、ムコ多糖類の1つであり、優れた保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用、乾皮症、アトピー性皮膚炎に対する効果などを有することから、多種多様な効能を持つ成分であり、これまでスキンケア領域において、医薬から化粧品分野まで広く用いられている。(例えば特許文献1及び2)。また、一方でヘパリン類似物質、ヒアルロン酸ナトリウム等のムコ多糖類は塗布時にぬるつきを生じるため、肌馴染みが劣り、浸透感が得られにくい、べたつきや刺激感などの使用上の問題があり、それぞれの成分がもつ有効性と良好な使用感を両立させることは難しかった。
【0003】
一方で、マスク製剤は、化粧水や美容液を不織布等のマスク基材に含浸させて、肌に直接適用し、長時間作用させることにより、十分な水分や有効成分を肌に与えて高い保湿、美肌効果を付与するものである。当該化粧料は、一般にとろみがあるような高粘度の製剤が、肌への保湿力を付与し、さらに高級感をだすために好まれてきたが、このような製剤をマスク製剤とする場合には、製剤の液性による液だれの問題が発生する。液だれは製剤のテクスチャーや有効性とともに、ハンドリング面において製品の評価に大きく影響するものであり、マスク製剤においては、液だれを抑制できることが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-108957号公報
【特許文献2】特開2000-302664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、(A)ヘパリン類似物質と、さらに1種以上の酸性ムコ多糖類とを含有する外用組成物に対し、それぞれの成分が有するぬるつきなどの懸念点を解消し、それぞれの有効性と良好な使用感が両立できる外用組成物を提供することを目的とする。
さらに、(A)ヘパリン類似物質を含有するマスク製剤とした際に発生するマスク製剤からの液だれの問題を解消し、有効性と良好な使用感とを両立させたマスク製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、第一の発明として、(A)ヘパリン類似物質を含有する外用組成物に対し、さらに(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩 から選択される1種以上のムコ多糖類とを共存させることにより、それぞれの成分が有するぬるつきなどの懸念点を解消し、良好な使用感が両立できること、
さらに第二の発明として、(A)ヘパリン類似物質を配合したマスク製剤に、(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩を含有することにより、有効性と良好な使用感を有しながら、マスク製剤からの液だれを改善すること、を見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に掲げる外用組成物を提供する。
第一の発明として、
項1.
(A)ヘパリン類似物質;
(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上、
を含有する外用組成物。
項2.
(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上、がアセチル化ヒアルロン酸及びその塩である、項1に記載の外用組成物。
項3.
さらに(C)成分として、増粘剤を含有する、項1または項2に記載の外用組成物。
項4.
さらに(D)成分として、炭素数5~10のアルカンジオール、プロパンジオール、両親媒性化合物、セラミド類 からなる群より選択される1種以上 を含有する、項1~3のいずれか1項に記載の外用組成物。
項5.
前記(D)成分における両親媒性化合物が、アルキレンオキシド誘導体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチルからなる群より選択される1種以上である、項4に記載の外用組成物。
項6.
さらに(E)成分として、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、l-メントール、ニコチン酸アミド、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、アラントインからなる群より選択される1種以上の有効成分を含有する、項1~5のいずれか1項に記載の外用組成物。


第二の発明として、
項7.
マスク基材と、
前記マスク基材に含浸されたマスク組成物と、を備えるマスク製剤であって、
前記マスク組成物は、
(A)ヘパリン類似物質;
(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上、
を含有する、マスク製剤。
項8.
前記マスク基材が不織布である、項7に記載のマスク製剤。
項9.
さらにマスク組成物に(C)成分として、増粘剤を含有する、項7または項8に記載のマスク製剤。
項10.
さらにマスク組成物に(D)成分として、炭素数5~10のアルカンジオール、プロパンジオール、両親媒性化合物、セラミド類 からなる群より選択される1種以上を含有する、項7~9のいずれか1項に記載のマスク製剤。
項11.
前記(D)成分における両親媒性化合物が、アルキレンオキシド誘導体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、からなる群より選択される1種以上である、項10に記載のマスク製剤。
項12.
さらにマスク組成物に(E)成分として、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、l-メントール、ニコチン酸アミド、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、アラントインからなる群より選択される1種以上の有効成分を含有する、項7~11のいずれか1項に記載のマスク製剤。
項13.
(A)ヘパリン類似物質、(C)増粘剤を含有するマスク組成物において、(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上を配合することによる、マスク製剤の液だれ抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ヘパリン類似物質を含有する外用組成物において、ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩から選択される1種以上のムコ多糖類を含有させることにより、外用組成物の使用感悪化の要因となるムコ多糖類を組み合わせているにもかかわらず、ぬるつきやべたつきが無く、さらっとした使用感(さらさら感)が得られ、肌なじみが良い外用組成物を得ることができる。さらに、本発明の外用組成物をマスク組成物として、マスク基材に含浸させ、マスク製剤として用いた場合に、マスク製剤からの液だれが抑制されるという、予想外の効果も得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、含有量の単位「質量%」は、「g/100g」と同義である。
【0010】
<外用組成物>
本発明の第一の発明である外用組成物は、 (A)ヘパリン類似物質;(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする。ヘパリン類似物質を含む外用組成物において、上記(B)成分を含有させることにより、粘度が適切に調整されて使用性に優れ、保湿力を備えながらもべたつきや刺激感が抑えられ、ヘパリン類似物質の優れた薬理効果と良好な使用感とを両立させた製剤とすることができる。本発明の外用組成物は、上記(A)ヘパリン類似物質及び(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の必須成分に加えて、(C)増粘剤、(D)炭素数5~10のアルカンジオール、プロパンジオール、両親媒性化合物、セラミド類 からなる群より選択される1種以上、(E)有効成分等の追加成分を含んでもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、基剤・担体となる成分や、その他の任意成分を含んでいてもよい。以下に、上記(A)及び(B)の必須成分(C)~(E)の追加成分、基剤・担体成分、その他の任意成分について詳細に説明する。なお、各成分として具体的に例示されている化合物が重複している場合には、いずれかの成分として含まれていればよい。
【0011】
[(A)ヘパリン類似物質]
本発明の外用組成物に含まれる ヘパリン類似物質は、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖の総称を意味し、ムコ多糖を構成する単糖1分子当たり平均0.5~5分子、好ましくは平均0.6~3分子の硫酸基を有するのが好ましい。より具体的には、ヘパリン類似物質は、ヘパリン、コンドロイチンポリ硫酸と呼ばれるコンドロイチン硫酸Dやコンドロイチン硫酸E等を含有する。
【0012】
ヘパリン類似物質は、ムコ多糖を硫酸化することにより得ることもできるし、ウシ、ブタ等の動物の気管支を含む内臓より水性担体を用いて抽出・精製したり、その後必要に応じて硫酸化することによっても得ることもできる。このようなヘパリン類似物質は、医薬化粧品原料として開発されているため、このような市販品を利用することもできる。
【0013】
本発明の外用組成物において、ヘパリン類似物質としては、日本薬局方外医薬品規格に収戴されているものが好適に使用される。
【0014】
本発明の外用組成物において、組成物全量に対する(A)成分の含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用、乾皮症、アトピー性皮膚炎に対する効果等の有効性を十分に付与する観点から、0.005質量%以上であり、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上であり、さらに好ましくは、0.01質量%以上、さらにより好ましくは0.1質量%以上とすることもできる。また、(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下、さらにより好ましくは0.5質量%以下である。(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.005~5質量%、より好ましくは0.01~3質量%、更に好ましくは、0.05~1質量%、更により好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0015】
(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩
ヒアルロン酸は、酸性ムコ多糖類の一種であり、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンの二糖を構成単位として含む多糖類である。ヒアルロン酸は、鶏冠や、サメの皮、臍帯、眼球、皮膚、及び軟骨などの動物組織、ストレプトコッカス属微生物等のヒアルロン酸生産微生物、動物細胞もしくは植物細胞の培養物から抽出、回収することができる。また、市販品を購入することもできる。
【0016】
上記のように動物組織や微生物等から抽出して得られるヒアルロン酸は一般に、平均分子量が約100万以上といわれ、極めて高分子であることが知られている。本発明には、このような高分子のヒアルロン酸を用いてもよいし、高分子ヒアルロン酸を分解して得られる低分子ヒアルロン酸を用いてもよい。低分子ヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸を塩酸等の酸又はアルカリの存在下で加水分解する方法、ヒアルロニダーゼなどの酵素を用いて処理する方法、又は超音波や剪断によって物理的に切断する方法、微生物により発酵させる方法等によって得ることができる。また、低分子ヒアルロン酸は、市販品を購入し使用することもできる。本発明の外用組成物では、限定されないが、好ましくは低分子ヒアルロン酸、4糖、6糖、8糖などのヒアルロン酸オリゴ糖、D-グルクロン酸の4位と5位に二重結合を有している不飽和型ヒアルロン酸が用いられる。
【0017】
ヒアルロン酸の平均分子量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されず、例えば、高分子ヒアルロン酸を用いた場合の平均分子量は、約100~500万であり得る。より一層効果的に本発明の効果を奏することができるという観点から、本発明のヒアルロン酸の平均分子量は、好ましくは約100~70万であり、より好ましくは約200~60万であり、更に好ましくは約4000~50万であり、更により好ましくは約5000~40万であり、特に好ましくは約8000~200万である。
【0018】
低分子ヒアルロン酸を用いた場合の平均分子量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは、約100~35万であり、より好ましくは約100~10万であり、更に好ましくは約200~5万であり、更により好ましくは約200~3万であり、特に好ましくは約500~2万である。
【0019】
本明細書において、平均分子量とは、重量平均分子量を意味する。重量平均分子量は、公知の測定方法により求めることができる。具体的には、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定することができる。その条件は、(カラム:TSKgel GMPWXL 7.8mm×30cm(東ソー(株)製)、カラム温度:40℃付近の一定温度、検出器:示差屈折率計、移動相:0.2mol/L NaCl、流量:0.3mL/分、注入量:100μL、標準物質:プルラン標準品(STANDARD P-82、昭和電工(株)製))である。
【0020】
ヒアルロン酸の誘導体としては、薬理学的に又は生理学的に許容される限り特に制限されず、例えば、水酸基がアセチル化されたアセチル化ヒアルロン酸、水酸基が硫酸化された硫酸化ヒアルロン酸、カチオン化されたカチオン化ヒアルロン酸、疎水化された加水分解ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル等)、架橋型ヒアルロン酸、カルボキシメチルヒアルロン酸、ヒアルロン酸アルキレングリコール、ヒアルロン酸シラノールおよびまたはこれらの塩などを挙げることができる。ヒアルロン酸の誘導体としては、好ましくは、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、カルボキシメチルヒアルロン酸、架橋型ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、ヒアルロン酸プロピレングリコールおよびまたはこれらの塩が用いられる。さらに好ましくはアセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、架橋型ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、ヒアルロン酸プロピレングリコールおよびまたはこれらの塩が用いられる。
【0021】
ヒアルロン酸又はその誘導体の塩もまた、薬理学的に又は生理学的に許容される限り特に制限されず、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウムなどの金属との塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミンのようなアミン塩等などを挙げることができる。好ましくは、ヒアルロン酸又はその誘導体の塩として、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩が用いられる。具体的なヒアルロン酸又はその誘導体の塩としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸モノエタノールアミン、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸カリウム、アセチル化ヒアルロン酸カルシウム、アセチル化ヒアルロン酸マグネシウム、アセチル化ヒアルロン酸亜鉛、アセチル化ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸クロスポリマーナトリウム、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いるヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの塩は、市販のものを用いることができる。例えば、ヒアルロン酸としては、商品名「ヒアルロン酸ナトリウムHA12N」(資生堂株式会社)平均分子量110~160万、商品名「ヒアルロン酸FCH-150」(キッコーマンバイオケミファ株式会社)平均分子量140~180万、商品名「バイオヒアルロン酸ナトリウムSZE](資生堂株式会社)平均分子量110~160万、商品名「ヒアルロン酸FCH-120」(キッコーマンバイオケミファ株式会社)平均分子量100~140万、商品名「ヒアルロンサンHA-LQ」(キユーピー株式会社)平均分子量85~160万、商品名「ヒアルロン酸FCH-80」(キッコーマンバイオケミファ株式会社)平均分子量60~100万、商品名「ヒアルロン酸FCH-60」(キッコーマンバイオケミファ株式会社)平均分子量50~70万、商品名「ヒアルロン酸FCH-SU」(キッコーマンバイオケミファ株式会社)平均分子量5~11万、商品名「ヒアルロン酸(L)」(株式会社FAPジャパン)平均分子量5万以下、商品名「ヒアロオリゴ」(キユーピー株式会社)平均分子量1万以下、商品名「ヒアルロン酸(SL)」(株式会社FAPジャパン)平均分子量1万以下、商品名「マイクロヒアルロン酸FCH」(キッコーマンバイオケミファ株式会社)平均分子量5000以下)等を挙げることができる。ヒアルロン酸の誘導体としては、商品名「アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム」(資生堂株式会社)平均分子量1~10万、商品名「ヒアロベール」(キユーピー株式会社)平均分子量50~80万、商品名「ヒアロリペア」(キユーピー株式会社)平均分子量1万以下、商品名「ヒアルジョン」(キッコーマンバイオケミファ株式会社)、商品名「ヒアロキャッチ」(キユーピー株式会社)平均分子量80万~120万、商品名「ヒアルケージシステム」(I.R.Asrl)、商品名「D.S.H.CN6」(EXSYMOL S.A.M)等の市販品が例示できる。
【0023】
本発明の外用組成物において、(B)成分の総含有量は、特に限定されず、他の配合成分の種類等に応じて適宜設定されるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.0005質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましく、0.001質量%がさらにより好ましく、0.01質量%以上が特に好ましい。
また、(B)成分の総含有量は、外用組成物の全量に対して、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1.5質量%以下がさらにより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
(B)成分の総含有量は、外用組成物の全量に対して、0.0001~5質量%が好ましく、0.0005~3質量がより好ましく、0.001~2質量%がさらに好ましく、0.005~1.5質量%がさらにより好ましく、0.01~1質量%が特に好ましい。
【0024】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の総含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分1質量部に対して、(B)成分が、好ましくは0.00001~1000質量部、より好ましくは0.0001~100質量部、さらに好ましくは0.001~50質量部、さらにより好ましくは0.002~10である。
【0025】
本発明の外用組成物において、組成物全量に対するヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの塩の単独の総含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.0005質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましく、0.005質量%以上がさらにより好ましく、0.01質量%以上が特に好ましい。また、ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、外用組成物の全量に対して、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下がさらにより好ましい。
ヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの塩の単独の総含有量は、外用組成物の全量に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1.5質量がより好ましく、0.001~1質量%がさらに好ましく、0.005~0.5質量%がさらにより好ましく、0.01~0.5質量%が特に好ましい。この範囲であれば、製剤及び塗布後の肌感触において、十分なクッション性又は厚み感が得られる。
【0026】
[(C)増粘剤]
(C)増粘剤としては、例えば、ポピドン、ポリビニルアルコール、プルラン、カンテン、ジェランガム、キサンタンガム、ヒドロキエチルセルロース、ヒドロキプロピルメチルセルロース、ヒドロキプロピルセルロース、疎水化ヒドロキプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリルアミド、側鎖にジメチルタウリン又はその塩を有するポリマー、疎水変性ポリウレタン、レシチン等が挙げられる。中でも、ジェランガム、キサンタンガム、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスコポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、レシチンが好ましく、ジェランガム、キサンタンガム、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、レシチンがより好ましく、キサンタンガム、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、レシチンがさらに好ましく、キサンタンガム、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、がさらにより好ましい。
【0027】
(C)増粘剤の市販品としては、例えば、Aristoflex AVC、Aristoflex HMB、Aristoflex HMS(以上、クラリアントジャパン株式会社製)、SEPIGEL305、SEPINOV EMT 10、SIMULGEL NS、SIMULGEL FL、SEPIPLUS S、SEPINOV P88(以上、SEPPIC社製)、アデカノールGT700(ADEKA社製)等が挙げられるが、これに限らない。
【0028】
本発明の外用組成物において、組成物全量に対する増粘剤単独の総含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。外用組成物の全量に対して、増粘剤の含有量は、外用組成物の全量に対して、0.01質量%~5質量%であり、0.05質量%~3質量%であることが好ましく、0.1質量%~2質量%であることがより好ましく、0.1質量%~1.5質量%であることがさらに好ましい。。本発明の外用組成物中の増粘剤の含有量を上記範囲とすることで、外用組成物の粘度が適切に調整されると共に、保湿力を備えながらもべたつきや刺激感が抑えられた組成物とすることができる。
【0029】
[(D)炭素数5~10のアルカンジオール、プロパンジオール、両親媒性化合物、セラミド類]
【0030】
炭素数5~10のアルカンジオール
本発明の外用組成物は、炭素数5~10のアルカンジオールを含むことが好ましい。
炭素数5~10のアルカンジオールは、炭素数5~10のものが好ましく、炭素数5~8のものがより好ましく、炭素数5~6のものがさらに好ましい。また、炭素数5~10のアルカンジオールは、1,2-アルカンジオールであることが好ましい。
炭素数5~10のアルカンジオールとしては、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオールが挙げられる。中でも1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールが好ましく、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオールがより好ましく、1,2-ペンタンジオールがさらに好ましい。
炭素数5~10のアルカンジオールの市販品としては、HYDROLITE-5、HYDROLITE-5 Green(シムライズ(株)製)、KMO-6(大阪有機化学工業製)、マイクロケア Emollient PTGJ、マイクロケアEmollient HXD(THOR製)、ジオールPD、ジオールPD-V(高級アルコール工業(株)社製)、などが挙げられる。なお、炭素数5~10のアルカンジオールは、1種又は2種以上を使用できる。
【0031】
本発明の外用組成物中の炭素数5~10のアルカンジオールの含有量は、外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がさらにより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。また、炭素数5~10のアルカンジオールの含有量は、外用組成物の全量に対して、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、8質量%以下がさらにより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
炭素数5~10のアルカンジオールの含有量は、複数種の炭素数5~10のアルカンジオールを含む場合は、それらの総含有量である。
【0032】
プロパンジオール
本発明の外用組成物は、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール)を含むことが好ましい。
【0033】
本発明の外用組成物中のプロパンジオールの含有量は、外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がさらにより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。また、プロパンジオールの含有量は、外用組成物の全量に対して、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、8質量%以下がさらにより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。また、市販品としては、特に限定されないが、Zemea Select Propanediol等が利用できる。
【0034】
両親媒性化合物
本発明の外用組成物は、両親媒性化合物を含むことが好ましい。
両親媒性化合物は、アルキレンオキシド誘導体、ホスホリルコリン含有重合体、二価カルボン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である。
【0035】
本発明の外用組成物に含まれるアルキレンオキシド誘導体は、例えば、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオキシブチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビット、ポリオキシアルキレンエリスリトールエーテル、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレントリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンキシリトール、ポリオキシアルキレンジペンタエリスリトール、ポリオキシアルキレンイノシトール、ポリオキシアルキレンスクロースエーテル、ポリオキシアルキレントレハロースエーテル、ポリオキシアルキレンマルチトールエーテル等があげられる。
【0036】
このようなアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で合成することができる。例えば、炭素数1~30のヒドロキシ化合物に、エチレンオキシド、及び、炭素数3~4のアルキレンオキシドを付加重合した後に、炭素数4のアルキレンオキシドを反応させることによって得られる。なお、炭素数1~30のヒドロキシ化合物にエチレンオキシド、及び、炭素数3~4のアルキレンオキシドを付加重合する段階においては、エチレンオキシドとアルキレンオキシドとをランダム重合してもよく、又は、ブロック重合してもよい。付加反応には、アルカリ触媒、相関移動触媒、ルイス酸触媒等を用いることができる。一般的には、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いることが好ましい。
【0037】
このようなアルキレンオキシド誘導体の分子量は、本発明の効果を奏する限り限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは、200以上であり、より好ましくは、300以上であり、さらに好ましくは、400以上である。
【0038】
アルキレンオキシド誘導体の性状は、本発明の効果を奏する限り限定はされないが、前記式(I)及び(II)において、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは、25℃で半固形状(ペースト状を含む)~液体状である成分であることが好ましい。
【0039】
このようなアルキレンオキシド誘導体において、良好な外用組成物を提供する観点から、オキシアルキレン基は炭素数2~4のオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基(オキシn-ブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシt-ブチレン基)、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基等が挙げられる。中でも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
【0040】
このようなアルキレンオキシド誘導体において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの場合は、良好な外用組成物を提供する観点から、構成するアルコールの炭素数は2~32が好ましく、4~24がより好ましく、4~10がさらに好ましい。中でもブチルアルコール、デシルテトラデシルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールが好ましく、ブチルアルコール、デシルテトラデシルアルコールがより好ましく、ブチルアルコールがさらにより好ましい。
【0041】
このようなアルキレンオキシド誘導体において、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドの場合は、良好な外用組成物を提供する観点から、構成するアルキルグルコースのアルキル基は炭素数は1~24が好ましく、炭素数1~16がより好ましく、炭素数1~10がさらに好ましく、炭素数1~6がさらにより好ましく、メチルグルコースが特に好ましい。
【0042】
中でも、アルキレンオキシド誘導体は、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルグルコシド、ポリオキシプロピレンアルキルグルコシド、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビット、ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンソルビット、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールエーテルポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジペンタエリスリトール、ポリオキシエチレンジペンタエリスリトール、ポリオキシプロピレジペンタエリスリトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルグルコシド、ポリオキシプロピレンアルキルグルコシド、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテルからなる群より選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましく、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテルからなる群より選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましい。
【0043】
これらは、合成することもでき、市販品をそのまま使用することもできる。市販品としては、限定はされないが、ユニルーブ50MB-26(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(17E.O.)(17P.O.))、ユニルーブ50MB-168(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(37E.O.)( 38P.O.))、ユニルーブ50MB-11(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(9E.O.)(10P.O.))、ユニセーフ10P-8(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(10E.O.)(8P.O.))、ユニルーブMT-630B(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(30E.O.)(6P.O.))、ソルビュールGS-01(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(24E.O.)(13P.O.))、ユニルーブMS-70K(ポリオキシプロピレンステアリルエーテル(15P.O.))、ユニオールHS-1600D(ポリオキシアルキレンソルビット)、プロノン#208(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(150E.O.)(35P.O.))、プロノン#124P(ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール)、ユニオールD-2000(ポリプロピレングリコール)、マクビオブライドMG-10E(ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10E.O.))、マクビオブライドMG-20E(ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20E.O.))、マクビオブライドMG-10P(ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(10P.O.)、マクビオブライドMG-20P(ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(20P.O.))、ウィルブライドMG2070(ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメチルグルコシド)、ユニルーブ5TP-300KB(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル(5E.O.)(65P.O.));ユニルーブ50TG-32(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(24E.O.)( 24P.O.))、ウィルブライドS-753(ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.) (8E.O.)( 5P.O.))、ユニオックスG-1200(ポリオキシエチレングリセリン)、ユニルーブDGP-700、ユニルーブDGP-950(ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル)(以上、日油株式会社製);SY-DP14、SY-DP9(ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル)(以上、阪本薬品工業株式会社製);ニューポールGP-1000(PPG-16グリセリルエーテル)、ニューポールSP-750(ポリオキシアルキレンソルビトールエーテル)、ニューポールPE-68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(160E.O.)(30P.O.))、ニューポールPE-78(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(150E.O.)(35P.O.))、ニューポールGEP-2800(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(24E.O.)(24P.O.))(以上、三洋化成株式会社製);エマルゲンPP-290(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(160E.O.)(30P.O.)、花王株式会社製);NIKKOL SG-G2424(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(24E.O.)(24P.O.)、NIKKOL SG-DTD630(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(30E.O.)(6P.O.)、NIKKOL SG-DTD620(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(20E.O.)(6P.O.))、NIKKOL PEN-4612(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(12E.O.)(6P.O.))(以上、日光ケミカルズ製);GLUCAM P-10(ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(10P.O.))、GLUCAM P-20(ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(20P.O.))GLUCAM E-10(ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10P.O.))、及びGLUCAM E-20(ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20P.O.))(以上、ルーブリゾール社製)からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、ユニルーブ50MB-26、ユニルーブ50MB-168、マクビオブライドMG-10E、マクビオブライドMG-20E、マクビオブライドMG-10P、マクビオブライドMG-20P、ウィルブライドMG2070、ウィルブライドS-753、ユニルーブ5TP-300KB、ユニルーブ50TG-32、ユニオックスG-1200、ユニルーブDGP-700、ユニルーブDGP-950、ニューポールGEP-2800、NIKKOL SG-G2424、GLUCAM P-10、GLUCAM P-20、GLUCAM E-10、NIKKOL PEN-4612、NIKKOL SG-DTD620、NIKKOL SG-DTD630、ユニルーブMT-630B、ソルビュールGS-01及びGLUCAM E-20及び、からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0044】
本発明の外用組成物に含まれるホスホリルコリン含有重合体は、ホスホリルコリンを含有する有機化合物をモノマーとして含む重合体全般を指す。特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、中でも、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むモノマーを重合させて得られる重合体である、2-メタクロイルオキシホスホリルコリン含有重合体が好ましい。中でも、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体(ポリクオタニウムー51)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体、及びポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体がより好ましい。ホスホリルコリン含有重合体の市販品としては、Lipidure-PMB(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液、ポリクオタニウムー51)、及びLipidure-HM(ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(いずれも日油(株)製)からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Lipidure-PMB(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液)がより好ましい。
【0045】
本発明の外用組成物に含まれる二価カルボン酸エステルは、二価のカルボン酸とグリコール、グリコールエーテル等のヒドロキシ基で縮合したエステルであり、特に限定されないが、例えば、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(トリエチレングリコールモノエチルエーテル)、アジピン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、アジピン酸ビス(トリエチレングリコールモノエチルエーテル)、及びコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエチルヘキシルが挙げられ、中でも(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエチルヘキシルが好ましく、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールがより好ましく、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールがさらにより好ましい。また、市販品としては、特に限定されないが、コハク酸ジエトキシエチル(CRODAMOL DES)、コハク酸ジエチルヘキシル(CRODAMOL OSU)(いずれもクローダジャパン(株)製)、Neosolue-Aqua・Neosolue-AquaS((エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10)、Neosolue-Aqulio(シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール)(いずれも日本精化(株)製)が利用できる。
【0046】
セラミド類
セラミド類としては、例えば、天然由来品、合成品(擬似セラミド含む)問わず、公知のセラミド類を用いることができる。合成品、半合成品、誘導体及び複合体などを含む市販されている製品を利用することも可能であり、そのような製品として、例えば、高砂香料株式会社製の「セラミド2」、「セラミド2リポソーム」、「セラミド2ベシクル」及び「セラミド2,5ベシクル」、EVONIC社製の「セラミド3」及び「セラミド6(II)」並びに日本精化株式会社製の「フィトプレソームセラ2」及び「フィトソームセラ2,3,6」が挙げられる。擬似セラミドとして、セラミドそのものではないものの、セラミドと類似の性質を持った成分も開発されてきている。擬似セラミドとしては、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)として市販されている、味の素株式会社製の「エルデュウPS306」、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)として市販されている、味の素株式会社製の「エルデュウPS203」及びセチルPGヒドロキシエチルパルミタミドとして市販されている、花王株式会社製「ソフケアセラミドSL-E」が挙げられる。
その他、スフィンゴシン及びフィトスフィンゴシンなどのスフィンゴイド塩基、スフィンゴ糖脂質並びにスフィンゴリン脂質などもセラミド類として知られており、市販されている原料を使用することが可能である。 セラミド類としては、例えば、天然由来品、合成品(擬似セラミド含む)問わず、公知のセラミド類を用いることができる。合成品、半合成品、誘導体及び複合体などを含む市販されている製品を利用することも可能であり、そのような製品として、例えば、高砂香料株式会社製の「セラミド2」、「セラミド2リポソーム」、「セラミド2ベシクル」及び「セラミド2,5ベシクル」、EVONIC社製の「セラミド3」及び「セラミド6(II)」並びに日本精化株式会社製の「フィトプレソームセラ2」及び「フィトソームセラ2,3,6」が挙げられる。擬似セラミドとして、セラミドそのものではないものの、セラミドと類似の性質を持った成分も開発されてきている。擬似セラミドとしては、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)として市販されている、味の素株式会社製の「エルデュウPS306」、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)として市販されている、味の素株式会社製の「エルデュウPS203」及びセチルPGヒドロキシエチルパルミタミドとして市販されている、花王株式会社製「ソフケアセラミドSL-E」が挙げられる。
その他、スフィンゴシン及びフィトスフィンゴシンなどのスフィンゴイド塩基、スフィンゴ糖脂質並びにスフィンゴリン脂質などもセラミド類として知られており、市販されている原料を使用することが可能である。
セラミド類としては、例えば、天然由来品、合成品(擬似セラミド含む)問わず、公知のセラミド類を用いることができる。合成品、半合成品、誘導体及び複合体などを含む市販されている製品を利用することも可能であり、そのような製品として、例えば、高砂香料株式会社製の「セラミド2」、「セラミド2リポソーム」、「セラミド2ベシクル」及び「セラミド2,5ベシクル」、EVONIC社製の「セラミド3」及び「セラミド6(II)」並びに日本精化株式会社製の「フィトプレソームセラ2」及び「フィトソームセラ2,3,6」が挙げられる。擬似セラミドとして、セラミドそのものではないものの、セラミドと類似の性質を持った成分も開発されてきている。擬似セラミドとしては、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)として市販されている、味の素株式会社製の「エルデュウPS306」、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)として市販されている、味の素株式会社製の「エルデュウPS203」及びセチルPGヒドロキシエチルパルミタミドとして市販されている、花王株式会社製「ソフケアセラミドSL-E」が挙げられる。
その他、スフィンゴシン及びフィトスフィンゴシンなどのスフィンゴイド塩基、スフィンゴ糖脂質並びにスフィンゴリン脂質などもセラミド類として知られており、市販されている原料を使用することが可能である。
【0047】
本発明の外用組成物において、(D)成分の総含有量は、特に限定されず、他の配合成分の種類等に応じて適宜設定されるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、(D)成分の総含有量は、組成物全量に対して、好ましくは、0.0001~20質量%、より好ましくは0.001~15質量%、さらに好ましくは0.005~12質量%、さらにより好ましくは、0.05~10質量%、最も好ましくは、0.1~8質量%である。
【0048】
[(E)有効成分]
(E)有効成分とは、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、ニコチン酸アミド、l-メントール、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、トラネキサム酸、アラントインからなる群より選択される1種以上の成分である。からなる群より選択される1種以上の成分である。
【0049】
上記「塩」は、薬学的に許容される塩であって、限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、第3級アミン塩、アンモニウム塩など)、又は無機塩基との塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、ジカリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩などのアルカリ金属塩など)などが挙げられる。中でも、モノアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ジカリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩が好ましく、モノアンモニウム塩、ナトリウム塩、ジカリウム塩、マグネシウム塩がより好ましく、ジカリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩がさらに好ましい。
【0050】
具体的成分としては、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、l-メントール、アラントイン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、イソステアリルアスコルビルリン酸2ナトリウム、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム、グリセリルアスコルビン酸、ビスグリセリルアスコルビン酸、ヘキシル3-グリセリルアスコルビン酸、3-グリセリルアスコルビン酸、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、マレイン酸アスコルビルトコフェリル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、αトコフェロール、βトコフェロール、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノイン酸トコフェリル、トラネキサム酸が好ましく、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、l-メントール、アラントイン、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、αトコフェロール、βトコフェロール、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、トラネキサム酸がより好ましく、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、l-メントール、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、トラネキサム酸がさらに好ましく、グリチルリチン酸ジカリウム、l-メントール、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、トラネキサム酸が特に好ましい。
【0051】
本発明の外用組成物における(E)有効成分の含有量は、組成物の全量に対して、0.001質量%~10質量%であり、0.01質量%~8質量%であることが好ましく、0.05質量%~5質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることがさらに好ましい。
【0052】
本発明において、(E)有効成分がグリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、l-メントール、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、アラントインから選ばれる1種または2種以上である場合の含有量は、組成物の全量に対して、0.001質量%~10質量%であり、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.01質量%~3質量%であることがより好ましく、0.05質量%~1質量%であることがさらに好ましい。
また、本発明において、(E)有効成分がアスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩から選ばれる1種または2種以上である場合の含有量は、組成物の全量に対して、0.001質量%~10質量%であり、0.01質量%~8質量%であることが好ましく、0.01質量%~5質量%であることがより好ましく、0.05質量%~3質量%であることがさらに好ましく、0.1質量%~3質量%であることがさらにより好ましい。
さらに、本発明において、(E)有効成分がニコチン酸アミド及びまたはトラネキサム酸である場合の含有量は、組成物の全量に対して、0.001質量%~10質量%であり、0.01質量%~8質量%であることが好ましく、0.05質量%~5質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることがさらに好ましい。
【0053】
(基剤又は担体)
本発明の外用組成物は、その必須成分及び上記で説明した成分等を、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤と共に、常法に従い混合して乳化を行い、各種の用途に応じた製剤形態の組成物とすることができる。
【0054】
本発明の外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬品、医薬部外品等に添加される公知の成分、例えば、血行促進剤、収斂剤、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、安定化剤、抗酸化成分、着色剤、パール光沢付与剤、分散剤、キレート剤、pH調整剤、保存剤、増粘剤、刺激低減剤、抗炎症性成分、殺菌消毒性成分(抗菌性成分)、角質軟化性成分、温感成分、発毛促進性成分、保湿成分、抗シワ剤、抗糖化成分、細胞賦活化成分、美白成分等の任意成分を添加することができる。これらの添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。なお、これらの任意成分からは、上述の(A)~(E)成分に含まれる成分は除くものとする。
【0055】
本発明の外用組成物の調製方法は、特に制限されず、外用組成物を調製するのに必要な上述の各種成分を適宜選択、配合して混合し、常法により調製することができる。また、本発明の外用組成物の適用量や用法は特に制限されず、通常、1日あたり1回~数回、適量を、患部を含む領域に塗布して用いることができる。
【0056】
本発明の外用組成物は、通常pH4~9の範囲であり、本発明の効果の観点から、pH4.5~8.5であることが好ましく、pH4.5~8であることがより好ましく、pH5~7がさらにより好ましい。なお、このpHはpH調整剤の使用により調整することができる。
【0057】
(粘度)
本発明の外用組成物は、25℃で流動性を有する剤型が好ましい。例えば、液剤、懸濁化剤、ローション剤、エアゾール剤、ミスト剤、乳液、ジェル剤、またこれらを不織布のシートやマスク等の基材に含浸させたシート製剤、マスク製剤などもあげられる。このような観点から、本発明の外用組成物の粘度(25℃)は、10~100000mPa・sが好ましく、10~50000mPa・sがより好ましく、50~10000mPa・sがさらにより好ましく、8000mPa・s以下が特に好ましい。
本発明において、粘度は、第17改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法に準拠し、B型粘度計VISCOMETER TV-10(東機産業株式会社製)を用いて、測定条件を、温度25℃、ロータがM4、回転数が12rpm、回転時間が60秒とした際に測定される値である。
【0058】
(粘弾性)
本発明において、製剤の特性評価の1つとして、粘弾性を評価する。一般に動的粘弾性において、せん断速度が低い状態において、せん断粘度が高いほど、製剤が流れ出にくく(たれにくい)、せん断粘度が低いほど、製剤が流れ出やすい(たれやすい)。せん断速度が低い状態でのせん断粘度が低いと、容器への充填又は不織布への含浸が容易となり、また充填後の容器内または不織布での含浸ムラも生じにくくなる。一方で、液だれの懸念が高まってくる。しかし、本発明の外用組成物は、(A)ヘパリン類似物質と(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩とを組み合わせることで、粘性を適度に調整することが可能となるため、成分の有効性や独特の使用感を持ちながら、せん断粘度にかかわらず液だれを抑制できる。
本発明において、粘弾性は、MCR302レオメーター(Anton Paar社製)にて低粘性用コーンプレート(CP50-1-SN34184)を用いて測定した値である。(せん断速度依存性 温度25℃;せん断速度:0.01~10000 (1/s))
【0059】
(製剤形態)
本発明の外用組成物の形態は、それぞれの医薬品、医薬部外品、化粧品等として適した製剤形態であれば特に限定されないが、例えば、液体状、流動状、又は半固形状とすることができる。また製剤形態としては、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤やマスク剤、ミスト剤、エアゾール剤、スティック、泡状のフォーム剤等が挙げられる。中でも、液剤、懸濁剤、乳剤、乳液とすることが、広範囲への塗布、子供や高齢者等の使用場面、マスク製剤への含浸しやすさの点から好ましい。これらの製剤は、常法、例えば第17改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。
【0060】
さらに、本発明の外用組成物は、ぬるつき、べたつきなくさらさらとした使用感をもちながら、高い保水・保湿性により肌を滑らかにする効果を持ち、また広範囲に塗り伸ばす際に皮膚に負担なく塗り伸ばせることから、季節や部位を問わず使用できるオールインワン製剤とすることもできる。
【0061】
本発明の外用組成物は、粘度を適切に調整でき、液だれも抑制できるため、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した形状、材質の容器に収容し、使用することができる。具体的な容器としては、例えば、スプレータイプ(非正倒立あるいは正倒立仕様)、ボトルタイプ、チューブタイプ、ジャータイプ、スポイドタイプ、ディスペンサータイプ、スティックタイプ、パウチ袋、及びチアパックなどが例示される。
【0062】
これらの容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)などが例示される。また、これらの材料は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮し、各種コーティング処理を行ったり、これらの材料を例えば混合するなどして組み合わせたり、積層したりして、容器材料として用いることができる。コーティングの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、ポリアミドイミドなどを例示できる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、エチレンビニルアルコール樹脂、金属(アルミ等)を用いることが好ましい。内面を被覆する樹脂としては、ポリアミドイミドまたはポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。
【0063】
また、べたつきやぬるつきのある製剤の場合には、塗布後に衣服への付着感などが懸念されることがあるが、本発明の外用組成物は、良好な使用感(さらさら感、肌の滑らかさ)をもつため、頭皮や背中や腰などの手の届きにくい患部または肌、あるいはベビーや乳幼児や子供、高齢の方などが使用する場合にも塗布しやすく、また塗布後に衣服への付着の懸念点も改善されることが見込まれる。
【0064】
<外用組成物の液だれ抑制方法>
本発明は、(A)ヘパリン類似物質及び(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上を配合することを特徴とする、外用組成物の液だれ抑制方法の発明も含む。具体的には、(A)ヘパリン類似物質を含む外用組成物において、(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩を配合することで、粘度が適切に調整されるため、容器から吐出させる際の主に吐出口からの液だれを効果的に抑制できる。
【0065】
また本発明の外用組成物は、粘度を適切に調整でき、液だれも抑制できるため、マスク組成物として不織布等のマスク基材に含浸させ、マスク製剤とした場合にさらに効果を発揮する。
【0066】
<マスク製剤>
ここで、本発明の第二の発明であるマスク製剤は、マスク基材と、前記マスク基材に含浸されたマスク組成物とを備えるマスク製剤であって、
前記マスク組成物は、
(A)ヘパリン類似物質;
(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上、
を含有することを特徴とする。
ヘパリン類似物質を含むマスク組成物において、上記(B)成分を含有させることにより、粘度が適切に調整されて液だれを抑制し、使用性に優れ、保湿力を備えながらもべたつきや刺激感が抑えられ、マスク製剤を適用前後におけるハンドリングも良好となり、ヘパリン類似物質の優れた薬理効果と良好な使用感とを両立させたマスク製剤とすることができる。また、不織布等の基材にマスク組成物を含浸させたマスク製剤の場合には、通常、袋等の包装体などに収容された製品として提供される場合が多いが、袋からの取り出し時や、マスク製剤を肌に適用している間等の使用時における液だれの発生は大きな課題となっており、本発明のマスク製剤はこのような製品に対する課題解決においても、高い効果を奏する。
【0067】
また、本発明のマスク製剤におけるマスク組成物は、上記(A)ヘパリン類似物質及び(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の必須成分に加えて、(C)増粘剤、(D)炭素数5~10のアルカンジオール、プロパンジオール、両親媒性化合物、セラミド類 からなる群より選択される1種以上、(E)有効成分等の追加成分を含んでもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、基剤・担体となる成分や、その他の任意成分を含んでいてもよい。なお、上記(A)及び(B)の必須成分(C)~(E)の追加成分、基剤・担体成分、その他の任意成分の詳細については、本発明の第一の発明と同様である。
【0068】
本発明のマスク製剤に含まれるマスク基材としては、本発明のマスク組成物を含浸担持することが可能であれば特に限定されず、織布、不織布等を任意に使用することができる。上記織布、不織布を構成する繊維としては、特に限定されず、例えば、合成繊維、天然繊維、又はこれらを混合組み合わせてなる繊維等から選択できる 。具体的にはレーヨン線維、コットン、パルプ、セルロース、テンセル、リヨセル、キチン、キトサン、コラーゲン、アルギン酸等の線維素材を挙げることができるが、これらに限定されない。また、任意の熱可塑性バインダーを含むことができ、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系;ナイロン等のポリアミド系;ポリアクリロニトリル系;等の各種樹脂から構成される熱可塑性のバインダーを挙げることができるが、これらに限定されない。また、不織布に含まれる熱可塑性のバインダーは、上記のなかから1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を任意に組み合わせて含んでいてもよい。
なお、このような不織布の材質としては、レーヨン、コットンリンター、コットンの少なくともいずれかを含むことが好ましく、例えば、レーヨン40;PET60、レーヨン74;パルプ26、コットン100、ベンゼリーゼ(コットンリンターを原料とするキュプラ長繊維不織布)、レーヨン80;PP/PEバインダー10;分割PET/PE10等の不織布があげられるが、これに限らない。
【0069】
また、マスク基材の目付けは、特に限定されず、例えば、10~100g/m2、好ましくは20~80g/m2、より好ましくは30~70g/m2、更に好ましくは30~60g/m2である。
【0070】
また、マスク基材の厚さは、特に限定されず、例えば、0.01~20mm、好ましくは0.05~10mm、より好ましくは0.1~5mmである。
【0071】
また、マスク基材は、任意の形状が規則的又は不規則的に表面及び裏面の少なくとも一方面に凹凸形状で表される立体模様を有するマスク基材であっても、かかる立体模様を有さないマスク基材であってもよい。上記凹凸形状は、例えば、メッシュ加工、エンボス加工、ドット加工又はこれらの加工法の組み合わせ等の任意の方法により加工することができ、メッシュ加工を含む方法(例えば、メッシュ加工のみを施す方法、メッシュ加工とエンボス加工とを組み合わせた方法、メッシュ加工とドット加工を組み合わせた方法等)が好ましい。なお、マスク基材が凹凸形状を有する場合、マスク基材全体の平均厚さ(mm)が、上記のようなマスク基材の厚さの範囲内にあることが好ましい。
【0072】
また、マスク基材に含浸させるマスク組成物の量は、特に限定されず、通常、マスク基材の重量の0.5倍~30倍の範囲で含浸させることができ、好ましくは1倍~28倍、より好ましくは1倍~26倍である。
【0073】
本発明のマスク組成物を含浸したマスク製剤は、顔面全体や目まわりなどのポイント用として、さらに(A)ヘパリン類似物質の効能を必要とするようなバリア機能が低下していたり、保湿が必要な個所に一定時間適用することができる。また、本発明のマスク製剤は、シート剤の形態としても同様に適用できる。例えば、マスク製剤の適用が難しい部位や広範囲への均一塗布が必要な場合には、シート基材に含浸させたシート剤とすることで、頭皮、首回り、背中、腹部、手足全体、肘やひざ裏、衣服や金属との擦れる部分などの該当部位を拭きながらケア使いとすることもできる。
【0074】
また、液だれの面においては、袋等の包装体からの取り出し時に加えて、マスク製剤を肌に適用している間においても、マスク製剤からの液だれを抑制する効果を発揮することは前述の通りであるが、マスク基材自体の製剤保持力が高く、肌に対する保湿持続力が高いことから、さらにマスク製剤を長時間、肌の上に適用した後に、取り外す際にも、皮膚への負担なく剥がすことができ、剥離後にかゆみや刺激を感じることがない。従って、本発明のマスク製剤は、荒れ肌、かぶれ肌、乾燥肌、敏感肌、過敏肌などバリア機能が低下した肌への適用も可能となる。
なお、本発明のマスク製剤は、あらかじめ包装袋(容器)内にてマスク基材と外用組成物とを共存させ、マスク基剤に外用組成物を含浸させた状態で提供される使用形態に加えて、マスク基材と外用組成物と別々に提供し、用時に使用者がマスク基剤に外用組成物を含浸させて適用する使用形態をも含む。
【0075】
(適用部位)
本発明のマスク組成物は、特に制限されないが、スキンケア用途での顔やボディへの使用に加えて、汗や皮脂をかきやすい部位、衣服・マスク・金属との擦れや床ずれ、などの外部刺激をうける部位、化粧、尿、花粉やPM2.5などの微粒子などの付着による炎症やかぶれのある部位、乾皮症やアトピー等の症状部位、掻きむしり、乾燥あるいはバリア機能が低下したような部位及び打ち身、関節痛や筋肉痛を伴う部位などへの使用が考えられる。頭皮、顔、耳周り、首元、胸元(バストトップを含む)、背中、腕、肘(内側・外側)、手、爪周り、腋窩部、腹部、外陰部、臀部、デリケートゾーンや肛門部、脚、指、足先、足裏、関節及び筋肉などそれぞれの症状に合わせて使用することができる。
【0076】
(用途)
本発明のマスク組成物は、例えば、普通肌用のみでなく、ベビー用、乳幼児用、子供用、高齢者用、介護用、肌の弱い方用、敏感肌用、過敏肌用、乾燥肌用、ゆらぎ肌用、トラブル肌用、一時的な敏感肌の方用、荒れ肌用、アトピー肌用、あせもや外部刺激によるかぶれ肌用等として使用することができる。
【0077】
<マスク製剤の液だれ抑制方法>
本発明は、(A)ヘパリン類似物質、(C)増粘剤を含有するマスク組成物において、(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上を配合することによる、マスク製剤の液だれ抑制方法の発明も含む。具体的には、(A)ヘパリン類似物質、(C)増粘剤を含む外用組成物において、(B)ヒアルロン酸、その誘導体およびそれらの塩を配合することで、粘度が適切に調整されるため、袋等の包装体からマスク製剤を取り出す際の液だれや、マスク製剤を使用する場面において、肌に適用している間のマスク製剤からの液だれを効果的に抑制することができる。
【実施例0078】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0079】
[使用原料]
以下の試験例及び処方例で使用した原料は、下記の通りである。試験例の各表中の数値は、下記の原料製品自体の配合量である。
ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(10P.O.):マクビオブライドMG-10P(日油株式会社製)
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.):WILBRIDE S-753(日油株式会社製)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(17E.O.)(17P.O.):ユニルーブ50MB-26(日油株式会社製)
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液:Lipidure PMB-RT(日油株式会社製)
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール:Neosolue aqulio(日本精化株式会社製)
【0080】
[試験1]特性試験
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。下記の表1~4に記載の処方に従い、常法にて、実施例及び比較例の外用組成物を調製した。各表中の数値の単位は、特に断りがない限り質量(%)である。
【0081】
(粘弾性)
各組成物の粘度(mPa・s)をMCR302レオメーター(Anton Paar社製)にて低粘性用コーンプレート(CP50-1-SN34184)を用いて測定した。
(条件;せん断速度依存性 温度25℃ せん断速度:0.01~10000 (1/s))
せん断速度1(1/s)でのせん断粘度について、測定結果を同じ表1~4にそれぞれ示す。
【0082】
表1~4に示す通り、ヘパリン類似物質及びヒアルロン酸又はその塩を含む試験例は、ヒアルロン酸類のみ配合した製剤、基剤成分のみの製剤(以上、参考例)や比較例と比べて、ムコ多糖類を2種配合しているにもかかわらず、低せん断速度での粘度が大きく低下した。
本発明において、粘弾性はせん断速度が小さいときの粘性を重力による液ダレのしやすさと考えることができるが、この粘弾性が低いほど、流れ出やすいため、容器への充填又は不織布への含浸が容易となり、また充填後の容器内または不織布での含浸ムラも生じにくくなる。
【0083】
(安定性(外観性状))
各実施例および比較例の製剤を30mLガラス瓶に充填し、25℃、60℃の恒温槽に各日数保管した(25℃2週間、60℃3日)。製造直後の試験製剤および熱安定性試験後に十分に室温に戻した後の試験製剤について、目視による外観性状評価(分離、析出)を行い、各実施例および比較例の組成物が長期安定性を有しているかどうかを判定した。評価、判定結果を同じ表1~4にそれぞれ示した。
<評価基準>
× 分離、析出が見られた。使用感に影響が見られた。
○ 外観の変化はみられず安定であった。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
表1~4に示したように、各実施例製剤は、いずれも粘性が大きく低下するものの、いずれも安定性に問題はなかった。特に表2に記載した油分を含む乳化製剤、可溶化製剤は、製剤の粘性が低いと分離や析出等の安定性の懸念が出てくるが、(A)ヘパリン類似物質と(B)ヒアルロン酸ナトリウムを共に配合した実施例3では、分離や析出も見られず、安定性が良好であることが確認できた。
【0089】
(使用感(塗布時の肌なじみ、ぬるつき、べたつき、塗布後のさらさら感))
評価基準について理解した被験者5名の腕に、各試験製剤を塗布し、当該塗布部の感触について1~5点(整数値)の評価を行った。すなわち、塗布時のべたつきについて、強く感じるものは1点、感じないものは5点とし、被験者の感じる感触に相当する値を示させた。同様に塗布時のぬるつきについて、強く感じるものは1点、感じないものは5点とした。また塗布時の肌なじみについて、肌になじみにくいものは1点、肌になじみやすいと感じるものは5点とした。さらに塗布1分後の後肌のさらさら感についても同様に感じないものは1点、強く感じるものは5点とした。次に各例の点数の平均値を算出し、その試験製剤の評価の値とした。
【0090】
表5に示すように実施例について、ムコ多糖類を2種配合したにも関わらず、各実施例の製剤では塗布時の使用感の各評価項目で優れていることが確認できた。
さらに(D)、(E)成分を配合した実施例6~10の各試験製剤についても、(A)ヘパリン類似物質と(B)ヒアルロン酸類を併用することにより、各評価項目において、使用感が改善されていることが確認できた。
また、実施例9、10の試験製剤については、(B)ヒアルロン酸ナトリウムの濃度を増量したにもかかわらず、(A)ヘパリン類似物質を配合することで、製剤の使用感が改善されることが確認できた。
以上より、(A)ヘパリン類似物質、(B)ヒアルロン酸ナトリウムを併用することで、良好な使用感と多様な有効性の両立が可能であることが確認できた。
【0091】
【表5】
【0092】
[試験2]
下記の表1~4に記載の各処方の外用組成物を作成し、マスク組成物として約2.5g不織布に含浸させたマスク製剤としたものを試験製剤とし、各試験を実施した。不織布は各0.2gに裁断したものを使用し、一定量の試験液と不織布を2つ折りにしたものをジッパー付きの袋に充填し、24時間静置保管した後の各試験製剤を評価に用いた。
使用した不織布;品番SD2-40;材質レーヨン80;PP/PEバインダー10;分割PET/PE10;目付40(g/cm2)
使用した袋;ポリエチレン製;厚み0.04mm;縦85cm;横60cm
【0093】
(液だれ評価)
各試験製剤を袋から取り出す際の液だれを「液だれ (即時)」とし、また取り出した各試験製剤を高さ23cmのボードにピンで張り付けたのち、2時間経過した後の液だれを「液だれ(経時)」として、それぞれの液だれの状況を下記評価基準に従って評価した。
なお、使用状況を想定すると、「液だれ (即時)」は、使用時にマスク製剤を包装袋から取り出した際の液だれに相当し、また、「液だれ (経時)」 は、マスク製剤を肌の上に適用している間の液だれに相当する。
結果を同じ表1~4にそれぞれ示す。
<評価基準;液だれ (即時)>
×× ボトボトと連続した液だれ、または液だまりができるほど液だれがある。
× すぐに止まる不連続な液だれがある。
○ 全く液だれがおこらない。
<評価基準;液だれ (経時)>
×× ボードの下部に液だまりができるほど液だれがある。
× ボードの下部まで液だれがあるが、液だまりはない。
△ ボードに液だれの跡がわずかにみられるが、ボードの下部まで到達していない。
○ 全く液だれがおこらない。
【0094】
表1~4に示したように、(A)、(B)成分の併用により、参考例のベース基剤または(B)成分のみ配合した比較例と比べて、いずれも製剤の粘性が大きく低下しているにもかかわらず、「液だれ(即時)」、「液だれ(経時)」とも液だれが抑制された。一方、同じ酸性のムコ多糖類であるジェランガムを配合しても、「液だれ(即時)」、「液だれ(経時)」とも液だれが抑制できなかった。
【0095】
(含浸量)
各試験製剤を袋から取り出し、重量を測定した。そして、含浸改善率を下記式により求めた。結果を同じ表1~4にそれぞれ示す。
含浸量 = 袋から取り出し後の不織布ごとの重量 - 各不織布の重量
含浸量変化率(%) = 実施例の含浸量/対応する参考例(ベース基剤のみ)の含浸量 × 100
【0096】
表1~4に示すように、(B)成分単独の比較例と比べて、(A)、(B)成分の併用をした実施例はいずれも含浸量は増加した。また表3の結果より、(A)、(B)成分の併用に加えて、(D)成分または(E)成分を配合することで、さらに含浸量は増加することがわかった。
【0097】
(含浸後の試験製剤の評価)
各試験製剤を袋から取り出した後、2つ折りのまま室温下で1日静置保管した後、重量を測定した。また重量測定後の2つ折りの試験製剤に関して、試験製剤の乾燥の程度(保湿感)と折りたたまれた試験製剤を広げる際の抵抗の有無について、下記の評価基準に従って、評価を行った。結果は表1~4に記載した。
<評価基準>
×× 試験製剤が完全に乾燥している。または互いに張り付いて、パリッと固まっており、広げるのが困難。
× 試験製剤はしっとりした感はなく、容易に広げられない。または広げる際にバリバリと抵抗を感じる。
△ 試験製剤はしっとりとしているが、互いに張り付いていて容易に広げられない。
〇 試験製剤がしっとりとしていて、抵抗なく広げられる。
◎ 試験製剤が柔らかく、かなりしっとりしていて、抵抗なく広げられる。
【0098】
表1~4に示すように、実施例の各試験製剤はいずれも(A)、(B)成分の併用により、含浸後の試験製剤は保湿感があり、折りたたまれた試験製剤は抵抗を感じることなく広げることが可能であった。一方、(A)を配合せず(B)のみを配合する比較例の各試験製剤は保湿感は多少あるものの、試験製剤が互いに張り付いており、容易に広げることはできなかった。また、表3、4において、(A)、(B)成分の併用に加えて、(D)成分または(E)を配合すると、1日後の試験製剤の重量も増加し、試験製剤の柔らかさや保湿感が大きく改善されることがわかった。特に(E)成分としてトラネキサム酸を配合すると、1日後のシートの柔らかさの点において改善されることが分かった。
本発明において、使用後の試験製剤の重量および、がしっとりとした状態が持続しており、やわらかく、また容易に剥がしやすい、との結果が得られたことから、マスク製剤を長時間、肌に適用した後に肌からはがす際の刺激感や負担感がなく、肌への負担が懸念される肌の状態であっても、適用することが可能となる。特に(A)(B)成分に加えて、さらに(D)成分または(E)成分を加えることで、マスク製剤においてマスク組成物の含浸量が増加し、またマスク製剤の経時的な保水力もより持続するため、より高い効果を持続して得ることが可能となる。
【0099】
(マスク基材への浸透評価)
表4の各実施例、比較例の処方の外用組成物(試験液)をポリスチレン製の秤量皿に2.5gはかりとった後、圧縮シートマスク(パルプ100%;直径約2cm;厚み0.4cm)をそのトレイに静置して試験製剤とした。その後、試験製剤における試験液のマスク基材への浸透の速さ(s)と程度(マスク基材全体の高さおよび試験液が浸透した高さの測定およびマスクの上面の状態の外観観察)を評価した。さらに試験液が全てマスクに浸透されたサンプルについては、追加で2.5gの試験液をトレイに加え、追加した試験液のマスク基剤材への浸透の速さと程度を同様に評価した。結果は表6に記載した。
さらに、各重量(2.5g、5g)の試験液を含浸した後および評価した試験製剤を室温にて1日静置保管した後の試験製剤について、乾燥の程度(保湿感)と折り重なった試験製剤を広げる際の抵抗の有無について、下記の評価基準に従って、評価を行った。結果は表4に記載した。
<試験液添加後の試験製剤の評価基準>
×× 30分経過後も2.5gの試験液を全て浸透しておらず、液のこりがある。またマスク基材への含浸も部分的であり、マスクを容易に広げられない。
× 2.5gの試験液を全て浸透したが、追加の2.5gの試験液は30分経過後も全量浸透しておらず、液のこりがある。またマスク基材への含浸も部分的であり、試験製剤は容易に広げられない。
△ 5gの試験液は全量浸透しているが、圧縮されたマスク基材の上部までは浸透しておらず、圧縮されたマスク基材の上下で明らかな触感の差が見られる。試験製剤は部分的に乾燥し張り付いているため、容易に広げられない。
〇 5gの試験製剤が全量マスク基材全体に浸透しており、抵抗なく広げられるが、圧縮マスク基材の上下でわずかにしっとりさに差が見られる。マスクは抵抗なく広げられる。
◎ 5gの試験液がマスク基材全体に均一に浸透しており、試験製剤はしっとりとしていて、抵抗なく広げられる。
<1日静置保管した後のマスク評価基準>
×× 試験製剤が完全に乾燥している。または互いに張り付いて、パリッと固まっており、広げるのが困難。
× 試験製剤はしっとりした感はなく、容易に広げられない。または広げる際にバリバリと抵抗を感じる。
△ 試験製剤はしっとりとしているが、互いに張り付いていて容易に広げられない。
〇 試験製剤がしっとりとしていて、抵抗なく広げられる。
◎ 試験製剤が柔らかく、かなりしっとりしていて、抵抗なく広げられる。
【0100】
【表6】
【0101】
表6に示すように、粘性が低い製剤ほど早く浸透しやすく、また粘性成分を配合しないほど、より均一に液が浸透することが確認できた。
実施例の各試験製剤はいずれも(A)、(B)成分の併用により、比較例、参考例と比べて、粘性が低下することで早く均一に含浸しやすくなることに加えて、含浸直後及び1日後の試験製剤の状態において、含浸後のマスク基材の保湿感が維持できており、折りたたまれた試験製剤は抵抗を感じることなく広げることが可能であった。
実施例3~5のように、油を含む乳化製剤、さらに(D)成分を配合した場合であっても、各試験製剤5g全量を均一に問題なく含浸させることができた。
さらに直後および1日後の試験製剤の状態は保湿感、柔らかさの点ではかなりしっとりと柔らかく大きく改善されていた。
一方、(A)成分のみを配合する参考例2は、粘性が低い分、含浸しやすさは備えているものの、均一して含浸させるのに時間を要するとともに、1日後の試験製剤の状態では乾燥感があり、試験製剤を広げる際に抵抗を感じる結果となった。また(B)成分のみを配合する比較例では、粘性の高さが邪魔をして、なかなか含浸せず、液残りも発生した上に、1日後の試験製剤の状態はしっとり感があるが、試験製剤が互いに張り付いており、容易に広げることはできなかった。また、表3、4において、(A)、(B)成分の併用に加えて、(D)成分または(E)を配合すると、1日後の試験製剤の重量も増加し、試験製剤の柔らかさや保湿感が大きく改善されることがわかった。特に(E)トラネキサム酸を配合すると、特に1日後の試験製剤の柔らかさの点で大きく改善されることが分かった。
【0102】
試験2に示したように、マスク基材である不織布シートにマスク組成物を含浸させた本発明のマスク製剤に対する、液だれ、マスク製剤の広げやすさ、剥がしやすさの評価結果から、本発明のマスク製剤は、良好な使用感、取り扱いやすさの観点において、有用であることが確認できた。
また、一般にマスク基材への含浸量が多いほど、1度のケアで得られる成分の有効性や製剤の機能の面で効果が高いことが考えられる。
また、一般に粘性が高いマスク組成物をマスク製剤とした場合、不織布等のマスク基材への含浸しやすさが低下するため、マスク基材に均一に含浸せずにムラが生じたり、特に複数枚のマスク基材を含浸させる場合には、均一に含浸させるために封入する枚数を少なく調整する必要が出てきたり、マスク組成物を高重量含浸することが困難等の課題があったが、本発明のマスク製剤は、粘性を適宜調整することができるため、その有効性と使用感のために(B)成分を高濃度で配合した場合においても、マスク基材に含浸しやすい製剤とすることが可能である。このことで、マスク製剤を個包装ではなく、複数枚まとめてひとつの包装袋に収容した商品形態の場合など、複数枚のマスク製剤が重なった場合においても、個々のマスク基材に速やかにムラなくマスク組成物を含浸させたマスク製剤とすることが可能である。
また、圧縮マスクへの浸透評価において、トレイ上の試験製剤がなくなる時間が短いほど、浸透しやすいといえる。また浸透した試験製剤が天面まで均等に浸透しているほど、マスク製剤において、マスク製剤の含浸ムラの懸念がなく、また複数枚のマスク製剤を充填するタイプの製品仕様に対しても適用可能である。
【0103】
以下に、本発明の皮膚外用組成物(医薬品、医薬部外品、化粧品)、マスク製剤の製剤処方例を示す。各表中の数値の単位は、特に断りがない限り質量(%)である。
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
【表11】