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特開2022-22025筆記具用油性インキ組成物およびそれを収容した筆記具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022025
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】筆記具用油性インキ組成物およびそれを収容した筆記具
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/16 20140101AFI20220127BHJP
   B43K 8/03 20060101ALI20220127BHJP
   B43K 7/02 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
C09D11/16
B43K8/03
B43K7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125986
(22)【出願日】2020-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】中村 尚嗣
(72)【発明者】
【氏名】名渕 由弦
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350GA04
4J039AB02
4J039BA13
4J039BA35
4J039BC20
4J039BE01
4J039BE22
4J039CA07
4J039EA18
4J039EA42
4J039EA44
4J039GA26
4J039GA27
(57)【要約】

【課題】着色材に酸化チタン顔料を用いた油性インキであっても紙面に鮮明な筆跡を形成できるとともに、酸化チタン顔料の再分散性が良好である筆記具用油性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具を提供すること。
【解決手段】酸化チタンと有機溶剤とショ糖脂肪酸エステルとを含有する筆記具用油性インキ組成物とし、さらに前記ショ糖脂肪酸エステルのHLB値を7~16とした筆記具用油性インキ組成物とし、それを収容した筆記具とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタンと有機溶剤とショ糖脂肪酸エステルとを含有する、筆記具用油性インキ組成物。
【請求項2】
前記ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が7~16である、請求項1に記載のインキ組成物。
【請求項3】
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、油性インキ組成物総質量に対して0.1~20質量%である、請求項1または請求項2に記載のインキ組成物。
【請求項4】
セルロース誘導体を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容してなる筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具用油性インキ組成物およびそれを収容した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
油性インキを充填した筆記具(油性筆記具)は、筆記対象が水性インキがはじかれやすいプラスチックなどの非浸透面であっても筆記が容易であることから、様々な素材への筆記に盛んに利用されている。特に、インキの着色材に酸化チタンを用いた油性筆記具は鮮明で耐光性に優れる筆跡を形成できることから使用に適した環境が広く、使い勝手に優れるものである。
【0003】
しかしながら、酸化チタンをインキ用の着色材に用いた油性筆記具は、筆記対象が紙である場合、酸化チタンが紙表面に留まらずに酸化チタンが有機溶剤とともに紙繊維間の隙間を通って紙の内部に速やかに侵入して筆跡の鮮明性を良好としにくいことがあり、また、経時的に酸化チタンがハードケーキを形成して酸化チタンの再分散性が低下することがあるため、これらを改善する検討が行われている。(例えば特許文献1参照)
【0004】
特許文献1には、着色剤としての酸化チタンと、マイカ顔料と分散剤と油溶性樹脂と有機溶剤とを含有し、特定のインキ粘度を有する油性インキが記載されている。この従来技術のインキは専らマーキングペンに充填されて利用されるものであり、筆記時に酸化チタンが紙の内部に侵入することがマイカ顔料によって抑制されて、鮮明な筆跡が形成可能とされている。
また、前記インキは酸化チタンのハードケーキ化が抑制可能とされている。
【0005】
しかしながら、酸化チタンは比重が高く、粒子径が小さいため、有機溶剤とともに紙内部に速やかに侵入する顔料であるため、前記従来技術のインキをもってしても紙面に鮮明な筆跡を形成することは容易ではなかった。また、前記従来技術のインキは、酸化チタンがハードケーキを形成することを抑制する性能が不十分であり、酸化チタンがハードケーキ化して再分散が困難となることがあるため、改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2014/175086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の欠点を鑑みてなされたものであり、即ち、着色材に酸化チタンを用いた油性インキであっても紙面に鮮明な筆跡を形成できるとともに、酸化チタンの再分散性が良好である筆記具用油性インキ組成物、およびそれを収容した筆記具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、
「1.酸化チタンと有機溶剤とショ糖脂肪酸エステルとを含有する、筆記具用油性インキ組成物。
2.前記ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が7~16である、第1項に記載のインキ組成物。
3.前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、油性インキ組成物総質量に対して0.1~20質量%である、第1項または第2項に記載のインキ組成物。
4.セルロース誘導体を含有する、第1項~第3項のいずれか1項に記載のインキ組成物。
5.第1項~第4項のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容してなる筆記具。」とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、着色材に酸化チタンを用いた油性インキであっても紙面に鮮明な筆跡を形成できるとともに、酸化チタンの再分散性が良好である筆記具用油性インキ組成物、およびそれを収容した筆記具が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。尚、本明細書において、配合を示す「部」、「% 」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。
【0011】
本発明による筆記具用油性インキ組成物( 以下、場合により、「油性インキ組成物」、「インキ組成物」または「組成物」と表すことがある。)は、酸化チタンと、有機溶剤と、ショ糖脂肪酸エステルとを含有してなる。以下、本発明によるインキ組成物を構成する各成分について説明する。
【0012】
(酸化チタン)
インキ組成物は着色材として酸化チタンを含有する。酸化チタンは発色性と隠蔽力に優れ、筆跡の鮮明性を良好としやすい顔料であるが、比重が高く、粒子径が小さいため、筆記対象が紙の場合は酸化チタンが紙表面に留まらずに紙繊維の隙間を通って紙内部に侵入しやすいため筆跡の鮮明性を良好とし難いことがある。また、酸化チタンは経時的にインキ中でハードケーキを形成して再分散が困難となりやすい。しかしながら、酸化チタンは後述するショ糖脂肪酸エステルと併用することで、筆記対象が紙であっても鮮明な筆跡を形成することができるとともに、酸化チタンのハードケーキ化が抑制されて酸化チタンの再分散性が良好となる。また、補色用の着色材と組み合わせることで、多様な色彩を実現できる。
【0013】
インキ組成物に適用できる酸化チタンとしては特に制限はないが、被覆材により表面被覆されてなるものが好ましく、被覆材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛等の無機酸化物、脂肪酸、有機シリコーン等の有機物、モリブデン等の金属、またはリン酸塩などが適用される。被覆材で表面被覆された酸化チタンはインキ組成物においてハードケーキ化することが抑制されて再分散が容易となりやすい。
インキ組成物における酸化チタンのハードケーキ化を抑制し、酸化チタンの再分散性を良好とすることを考慮すれば、被覆材はアルミナを含有することが好ましく、アルミナとシリカを含有することがより好ましい。
【0014】
また、酸化チタンの平均粒子径は、0.1~1μmであることが好ましく、0.15~0.5μmであることがより好ましい。酸化チタンの平均粒子径を前記範囲内とすると、酸化チタンの分散安定性やペン先からのインキ吐出性を良好としつつ、酸化チタンの発色性や隠蔽力を高めて、筆跡を鮮明なものとしやすい。
尚、粒子径の測定はレーザー回折式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA-300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出する。
【0015】
酸化チタンの含有量は、インキ組成物総質量に対して5~50質量%とすることが好ましく、10~40質量%とすることがより好ましい。含有量を前記範囲内とすると、酸化チタンの分散安定性やペン先からのインキ吐出性を良好としつつ酸化チタン濃度を高めることができることから、筆跡の鮮明性を良好としやすい。
尚、酸化チタンは、インキ組成物の配合時における酸化チタン分散性を良好とするために酸化チタン分散剤とともにインキ組成物に適用されても良い。
【0016】
(ショ糖脂肪酸エステル)
ショ糖脂肪酸エステルは、着色材として酸化チタンを用いたインキで紙面に形成された筆跡を鮮明なものとする。これは、ショ糖脂肪酸エステルが酸化チタンと紙繊維の両者に対して高い親和性を有し、吐出されたインキ中の酸化チタンがショ糖脂肪酸エステルを介して紙表面に速やかに吸着することで酸化チタンが紙の繊維間の隙間を通って紙内部へ侵入することが抑制され、筆跡の発色性や隠蔽力が良好となるためであると推測される。
【0017】
さらにショ糖脂肪酸エステルは酸化チタンのハードケーキ化を抑制して酸化チタンの再分散性を良好とする。これは、酸化チタン表面に吸着したショ糖脂肪酸エステルが、酸化チタン同士が接触して酸化チタンによる緻密な凝集体が形成することを抑制するためであると推測される。
【0018】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖脂肪酸モノエステル、ショ糖脂肪酸ジエステル、ショ糖脂肪酸トリエステル、ショ糖脂肪酸ポリエステルから選ばれる少なくとも一種以上から構成される。
具体的には、ショ糖脂肪酸モノエステル0~40質量%と、ショ糖脂肪酸ジエステル、ショ糖脂肪酸トリエステル及びショ糖脂肪酸ポリエステルから選ばれる少なくとも一種が60~100質量%とからなる低HLB値ショ糖脂肪酸エステル、又は、ショ糖脂肪酸モノエステル50~80質量%(好ましくは50~70質量%)と、ショ糖脂肪酸のジエステル、トリエステル、ポリエステルから選ばれる少なくとも一種が20~50質量%(好ましくは30~50質量%)とからなる高HLB値ショ糖脂肪酸エステルが用いられる。
尚、前記ショ糖脂肪酸ポリエステルは、トリエステル以上、オクタエステルまでの高次エステルをいう。また、ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸成分は、特に限定されるものではなく、炭素数2~30の飽和又は不飽和脂肪酸であってよい。
前記脂肪酸として具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0019】
前記HLB値は、ショ糖脂肪酸エステル中のモノエステルの割合に対応しており、モノエステルの割合が低いほど、ショ糖脂肪酸エステルは親水性が低く、HLB値が低くなり、また、モノエステルの割合が高いほど親油性が低く、HLB値が高くなる。
本発明のインキ組成物に用いられるショ糖脂肪酸エステルとしては、HLB値が7~16であるものが好ましく、9~16であるものがより好ましい。
前記HLB値を有するショ糖脂肪酸エステルは、酸化チタンが紙内部へ侵入して筆跡の鮮明性が低下することや、酸化チタンがハードケーキを形成して酸化チタンの再分散性が低下することを抑制しやすい。
尚、本発明のインキ組成物におけるHLB値はグリフィンが提唱した化合物の親水性を評価する値であり、下記一般式(1)によって算出される値をいう。グリフィン法によるHLB値は、0~20の範囲内の値を示し、数値が大きい程化合物が親水性であることを示す。
HLB値=20×(親水基の質量%)=20×(親水基の式量の総和/界面活性剤の分子量)・・・(1)
【0020】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、インキ組成物総質量に対して0.1~20質量%、好ましくは0.5~15質量%の範囲で添加される。0.1質量%未満では所望の効果が得られ難く、20質量%を超えるとショ糖脂肪酸エステルの溶解安定性が低下し、ショ糖脂肪酸エステルが析出して筆記性に悪影響が生じやすくなる。ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、20質量%以下で所望の効果は充分に得られる。
【0021】
(有機溶剤)
有機溶剤は、従来汎用の溶剤を使用できる。また、インキ組成物は、二種以上の有機溶剤を含んでいてもよい。
本発明のインキ組成物は、有機溶剤が揮発し易い20℃における蒸気圧が5.0~50mmHg、より好ましくは10~50mmHgの有機溶剤を使用することが好ましい。このような有機溶剤は、インキ組成物を収容する筆記具が、マーキングペンである場合に特に好ましい。
このような蒸気圧を有する有機溶剤を使用することにより、筆跡の乾燥性を向上させることができる。そのため、筆跡を手触した際、未乾燥のインキが手に付着したり、筆記面上の筆跡を形成していない空白部分を汚染する等の不具合を生じることなく、良好な筆跡を形成できる。
20℃における蒸気圧が5.0~50mmHgの有機溶剤としては、エチルアルコール(45)、n-プロピルアルコール(14.5)、イソプロピルアルコール(32.4)、n-ブチルアルコール(5.5)、イソブチルアルコール(8.9)、sec-ブチルアルコール(12.7)、tert-ブチルアルコール(30.6)、tert-アミルアルコール(13.0)等のアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(8.5)、エチレングリコールジエチルエーテル(9.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(7.6)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(10.6)等のグリコールエーテル系有機溶剤、n-ヘプタン(35.0)、n-オクタン(11.0)、イソオクタン(41.0)、メチルシクロヘキサン(37.0)、エチルシクロヘキサン(10.0)、トルエン(24.0)、キシレン(5.0~6.0)、エチルベンゼン(7.1)等の炭化水素系有機溶剤、メチルイソブチルケトン(16.0)、メチルn-プロピルケトン(12.0)、メチルn-ブチルケトン(12.0)、ジ-n-プロピルケトン(5.2)等のケトン系有機溶剤、炭酸ジメチル(39.8)、蟻酸n-ブチル(22.0)、蟻酸イソブチル(33.0)、酢酸n-プロピル(25.0)、酢酸イソプロピル(48.0)、酢酸n-ブチル(8.4)、酢酸イソブチル(13.0)、プロピオン酸エチル(28.0)、プロピオン酸n-ブチル(45.0)、酪酸メチル(25.0)、酪酸エチル(11.0)等のエステル系有機溶剤等が挙げられる。
尚、括弧内の数字は20℃におけるそれぞれの有機溶剤の蒸気圧を示す。
上記した有機溶剤の中でも、筆跡の速乾性、及び使用しうる樹脂や添加剤の溶解性という観点から、炭素数4以下のアルコール及び/又は炭素数4以下のグリコールエーテル類がより好ましく、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルがさらに好ましい。
また、本発明のインキ組成物は、沸点が160~250℃の有機溶剤を含んでいても良い。
このような比較的高沸点の有機溶剤は、インキ組成物を収容する筆記具がボールペンである場合に好ましい。
また、このような比較的高沸点の有機溶剤を、マーキングペン等に収容して使用するインキ組成物に含有させ、筆跡の乾燥速度を調整することにより、多湿環境下において生じやすい筆跡の白化を抑制することができる。特に、炭素数3以下のアルコール及び/又は炭素数4以下のグリコールエーテル類といった20℃における蒸気圧が5.0~50mmHgの有機溶剤を使用する場合、このような高沸点有機溶剤を使用し、乾燥速度を調整することが好ましい。
高沸点有機溶剤として、ベンジルアルコール(205)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(245)、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル(170)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(190)、プロピレングリコールジアセテート(190)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(175)、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル(212)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(209)、プロピレングリコールフェニルエーテル(243)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(242)、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(229)、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(274)、p-キシレングリコールジメチルエーテル(235)、ギ酸ベンジル(201)、酢酸ベンジル(212)、プロピオン酸ベンジル(222)、酪酸ベンジル(240)及びイソ酪酸ベンジル(230)等が挙げられる。
尚、括弧内の数字はそれぞれの有機溶剤の沸点(摂氏)を示す。
また、インキ組成物は前記した有機溶剤以外に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル及びγ-ブチロラクトン等の有機溶剤も適用できる。
本発明のインキ組成物における有機溶剤の含有量は、インキ組成物の総質量に対して40~80質量%であることが好ましい。
【0022】
(セルロース誘導体)
インキ組成物はセルロース誘導体を含有することが好ましい。
セルロース誘導体は、酸化チタンがインキ中で凝集して、所謂酸化チタンのハードケーキが形成することを一層抑制することができる。
【0023】
インキ組成物に適用できるセルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、エチルセルロースが酸化チタンが凝集してハードケーキを形成することを抑制する効果に優れるため、好ましく用いられる。
セルロース誘導体は一種又は二種以上を用いてもよい。
【0024】
(ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル)
さらに、インキ組成物にはペン先のドライアップを抑制する目的で、ソルビタン脂肪酸エステル及び/ 又はポリグリセリン脂肪酸エステルを適用できる。前記性能は、ペン先が外気に晒された状態で溶剤が蒸発していくにつれて析出してペン先表面に皮膜を形成することで、ペン先からの溶剤の蒸発を抑制するとともに、筆記時に前記塗膜が容易に破壊されることで満足させると考えられる。
【0025】
前記ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトールの還元物であるソルビタンと脂肪酸とのエステルであり、前記脂肪酸として具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エイコサン酸、オレイン酸等が適用される。特に、炭素数18以上の飽和脂肪酸が高い効果を発現するため、ステアリン酸やベヘン酸が好適である。
具体的な化合物としては例えば、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリパルミテート等が例示できる。これらの中で、HLB値が2~7の範囲のものがより好ましく用いることができる。
【0026】
特に、前記エステルを構成するソルビタンと脂肪酸が、ソルビタン:脂肪酸において1:1~1:3の範囲で構成されるものは、耐ドライアップ性が高く、更に、低温で析出した場合であっても、環境温度が戻った際に再び溶解するという再溶解性に優れるため、より有用である。
【0027】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリンと脂肪酸とのエステルであり、前記脂肪酸は、炭素数4~24、好ましくは炭素数8~22、より好ましくは、炭素数12~20の飽和又は不飽和脂肪酸である。前記脂肪酸として具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エイコサン酸、オレイン酸等が例示できる。特に、炭素数18以上の飽和脂肪酸が高い効果を発現するため、ステアリン酸やベヘン酸が好適である。これらの中で、HLB値が2~9の範囲のものがより好ましく用いることができる。
【0028】
特に、前記ポリグリセリンのモノマーであるグリセリンと、エステルの脂肪酸基となる脂肪酸において、グリセリン:脂肪酸が1:1~4:1の範囲で構成されるものは、耐ドライアップ性が高く、更に、低温状態で析出した場合であっても、環境温度が戻った際に再び溶解するという再溶解性に優れるため、より有用である。
【0029】
(補色用着色材)
インキ組成物は、筆跡の色彩を調整するため、補色用着色材を含んでいてもよい。補色用着色材は特に限定されず、染料として、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応染料、バット染料、硫化染料、含金染料、カチオン染料、分散染料等が挙げられ、顔料としては、無機顔料、有機顔料、および熱変色性カプセル顔料等が挙げられる。
顔料をより具体的に挙げると、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化亜鉛、鉄黒、黄色酸化鉄、弁柄、複合酸化物系顔料、および群青などが、また有機顔料としてはアゾ系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、チオインジゴ系顔料、スレン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などが挙げられる。
前記顔料は、溶媒に分散させ、顔料分散体としたものでも良い。
【0030】
また、熱変色性カプセル顔料としては(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適であり、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として適用される。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH =1~7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8~50℃)を示すものや、特開2006-137886号公報、特開2006-188660号公報、特開2008-45062号公報、特開2008-280523号公報、等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記水性インキに適用される色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち-50~0℃、好ましくは-40~-5℃、より好ましくは-30~-10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50~95℃、好ましくは50~90℃、より好ましくは60~80℃ の範囲に特定し、ΔH値を40~100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
【0031】
インキ組成物における補色用着色材の含有量は、インキ組成物総質量に対して、0.01~15質量%とすることが好ましく、0.1~10質量%とすることがより好ましい。
【0032】
更に、本発明の筆記具用油性インキ組成物には、必要に応じて上記成分以外に、樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、潤滑剤、粘度調整剤、剥離剤、顔料分散剤、消泡剤、剪断減粘性付与剤、界面活性剤等の各種添加剤を使用できる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
【0033】
樹脂としては、先の有機溶剤に対して可溶なものであれば特に限定されることなく適用でき、具体的には、ケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン- インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン- ホルムアルデヒド樹脂、α - 及びβ - ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物等を用いることができる。
樹脂を用いることで筆跡の滲みを抑制したり、筆跡の定着性や堅牢性を高めることができる。
【0034】
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等が使用できる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α-トコフェロール、カテキン類等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、2-(2′-ヒドロキシ-3′-t-ブチル5′-5′-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p-安息香酸-2-ヒドロキシベンゾフェノン等が使用できる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が使用できる。
【0035】
剥離剤としては、ホーロー、ガラス、金属或いは熱可塑性又は熱硬化性プラスチック等の素材からなる筆記板(ホワイトボード)に用いられるインキ組成物に含まれる剥離性を付与できる化合物であれば全て用いることができ、例えば、カルボン酸エステル類、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を挙げることができるが、好適に用いられる剥離剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又はこれらの塩、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、ポリアルキレングリコールエステルから選ばれる化合物であり、一種又は二種以上を併用して用いることもできる。
【0036】
また、本発明の油性インキ組成物をボールペンに適用する際には、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル) やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル等の潤滑剤を必要により添加することもできるが、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等を用いるとボール受け座の摩耗防止効果に優れる。
【0037】
更に、剪断減粘性付与剤を添加することによって、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知の化合物を用いることが可能であり、例えば、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、架橋型N-ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N - ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体非架橋型N - ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体の水溶液、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、デキストリン脂肪酸エステル、N-アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等が例示できる。
【0038】
また、前記酸化チタン分散剤としては、アクリル系重合物が好ましく用いられる。
【0039】
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
【0040】
前記インキ組成物は、チップを筆記先端部に装着したボールペンやマーキングペンに充填して実用に供される。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用に液栓や固体栓等のインキ追従体が密接している構造のボールペンを例示できる。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
【実施例0041】
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に実施例及び比較例のインキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は質量部を示す。
また、平均粒子径は、本実施例においては、コールター法(電気的検知帯法)によりキャリブレーションを行った前記レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)用いて体積基準による平均粒子径(メジアン径)および粒子径を測定した。
【0042】
【表1】
【0043】
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)エチルアルコール
(2)炭酸ジメチル
(3)テルペンフェノール樹脂 (ヤスハラケミカル社製、商品名:YSポリスターS145)
(4)ポリエーテル変性シリコーン (ダウ・ケミカル日本社製、商品名:FZ2222)
(5)エチルセルロース (日新化成社製 商品名:エトセル10CPS)
(6)ショ糖ステアリン酸エステル(第一工業製薬社製、商品名:DKエステルF-70、HLB:7)
(7)ショ糖ステアリン酸エステル(第一工業製薬社製、商品名:DKエステルF-160、HLB:16)
(8)ショ糖ステアリン酸エステル(三菱ケミカルフーズ社製、商品名:リョートーシュガーエステル S-970、HLB:9)
(9)ルチル型酸化チタン(テイカ株式会社製、商品名:JR-707、平均粒子径:0.27μm、被覆材で表面が被覆されてなる酸化チタン、被覆材:アルミナおよびシリカ)
(10)アクリル系ブロックコポリマー(大塚化学株式会社、商品名:TERPLUS MD1000、有効成分40質量%)
【0044】
・インキの調製
エチルセルロースおよびテルペンフェノール樹脂以外の各成分と有機溶剤をディスパーにて2000rpm、1時間攪拌した後、エチルセルロースおよび又はテルペンフェノール樹脂を加えて更に1時間攪拌することで各インキを調製した。
【0045】
・試験用筆記体の作製
前記実施例及び比較例で作製したインキを用いて、試験用の筆記体を作製した。
尚、インキを収容する筆記体には、商品名:ペイントマーカー細字[(株)パイロットコーポレーション製:軸筒内のインキ収容部に、直径5.6mm、質量0.71gの鋼球2個を収容]を用いた。
【0046】
前記試験用筆記体の作製、で作製した筆記体を用いて以下の試験を行った。
・筆跡鮮明性の評価
試験紙(活英社製:色上質紙 黒 中厚)に文字を筆記し(筆記文字:永)、筆跡を目視で確認した。評価基準はAおよびBを合格とし、Cを不合格とした。
A…白色が鮮やかで、文字が明瞭である。
B…白色が若干薄く、筆跡が所々透けて紙の黒色が確認されるものの、文字は十分視認できる。
C…白色が薄く、全体的に筆跡が透けて紙の黒色がはっきりと確認できる。筆跡の視認性が悪い。
【0047】
・酸化チタンの再分散性の評価1
試験用筆記体にて筆記した後、前記試験用筆記体をペン先を上向きにした状態で室温下において3日間放置した後筆記を行い、放置前の試験用筆記体で形成した筆跡と放置後の試験用筆記体で形成した筆跡とを目視で比較した。尚、筆記文字は「永」であり、試験紙には前記試験紙と同種のものを用いた。
また、放置した試験用筆記体で筆記を行う直前に試験用筆記体をペン先を下に向けた状態で上下に20回振盪(上下各1回ずつの振盪を基準に20回、ストローク量10cm、1回の振盪に要した時間1秒)させた。評価基準はAおよびBを合格とし、Cを不合格とした。
A…放置前の試験用筆記体で形成された筆跡と放置後の試験用筆記体で形成された筆跡は、筆跡の鮮明性に差がない。
B…放置前の試験用筆記体で形成された筆跡と比べて、放置後の試験用筆記体で形成された筆跡は白色が若干薄くなり、鮮明性がやや低下した。
C…放置前の試験用筆記体で形成された筆跡と比べて、放置後の試験用筆記体で形成された筆跡は白色が顕著に薄くなった。放置後の試験用筆記体で形成された筆跡は視認性が悪い。
【0048】
・酸化チタンの再分散性の評価2
試験用筆記体にて筆記した後、前記試験用筆記体をペン先を上向きにした状態で室温下において10日間放置した後筆記を行い、放置前の試験用筆記体で形成した筆跡と放置後の試験用筆記体で形成した筆跡とを目視で比較した。尚、筆記文字は「永」であり、試験紙には前記試験紙と同種のものを用いた。
また、放置した試験用筆記体で筆記を行う直前に、筆記体をペン先を下に向けた状態で上下に20回振盪(上下各1回ずつの振盪を基準に20回、ストローク量10cm、1回の振盪に要した時間1秒)させた。評価基準は、Aを合格とした。
A…放置前の試験用筆記体で形成された筆跡と放置後の試験用筆記体で形成された筆跡は、筆跡の鮮明性に差がない。
【0049】
前記各試験の結果を以下の表に示す。
【0050】
【表2】