(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022028
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ストラップ
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20220127BHJP
A45C 13/30 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A47G29/00 B
A45C13/30 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125995
(22)【出願日】2020-07-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】519126332
【氏名又は名称】株式会社はちみつクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】田中 義之
【テーマコード(参考)】
3B045
3K100
【Fターム(参考)】
3B045AA05
3B045CE07
3B045GA00
3B045GA01
3B045GA02
3B045GB03
3B045GB04
3B045GD03
3K100AA08
3K100AF07
3K100AG03
3K100AH30
3K100AJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使い勝手がよく、シンプルでコンパクトな構造で容易に長さ調節が可能で、携帯性・運搬性および収納性に優れるストラップを提供すること。
【解決手段】物品が取り付けられる提げ紐110と、提げ紐110が設けられ表側パッド片122および裏側パッド片124を有しこの両パッド片を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部120と、パッド部120の二つ折りの状態を保持する保持機構部130と、パッド部120に設けられ提げ紐110の長さを調節可能とする調節機構部とを有するものであって、調節機構部はパッド部120の長手方向の両端部に設けられ、提げ紐110を巻き付けたりまたは解いたりすることにより提げ紐110の長さを調節可能となるよう機能構成したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が取り付けられる提げ紐と、
この提げ紐が設けられ、表側パッド片および裏側パッド片を有しこの両パッド片を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部と、
このパッド部の二つ折りの状態を保持する保持機構部と、
上記パッド部に設けられ上記提げ紐の長さを調節可能とする調節機構部とを有するものであって、
上記調節機構部は、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられ、上記提げ紐を巻き付けたりまたは解いたりすることにより、当該提げ紐の長さを調節可能とするよう機能構成したことを特徴とするストラップ。
【請求項2】
上記提げ紐はその一部が露呈されるよう上記パッド部に摺動可能となるよう埋設され、
上記調節機構部は上記裏側パッド片に設けられて、上記露呈した提げ紐の部位にて長さを調節可能としたことを特徴とする請求項1記載のストラップ。
【請求項3】
上記保持機構部はホックから構成され、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のストラップ。
【請求項4】
上記保持機構部は、上記パッド部に形成された舌片部に設けられ、ホックから構成されたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のストラップ。
【請求項5】
上記提げ紐は、上記パッド部の裏側パッド片側に設けられたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載のストラップ。
【請求項6】
上記表側パッド片および上記裏側パッド片は、上記パッド部の短手方向の中央部位に一体形成された折り曲げ部を介して開閉自在となるよう形成されたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載のストラップ。
【請求項7】
物品が取り付けられる提げ紐が設けられ表側パッド片および裏側パッド片を有しこの両パッド片を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部と、このパッド部の二つ折りの状態を保持および解除可能とする保持機構部と、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられ上記提げ紐の長さを調節可能とする調節機構部とを有するストラップにあって、
上記提げ紐の長さを短く調節する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐を上記調節機構部に巻き付けることにより長さを調節し、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させ、
上記提げ紐の長さを長く調節する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐の上記調節機構部に巻き付けられた部分の巻きを解くよう調節し、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させ、
上記提げ紐を上記パッド部に収納する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐を上記調節機構部に全て巻き付け、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させるようにしたことを特徴とするストラップの提げ紐の長さ調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンや小型のタブレット型情報端末機器のような携帯型情報端末機器、或いはショルダーバッグや鞄等に取り付けられる提げ紐、所謂ショルダーストラップ、ネックストラップ或いはハンドストラップと称されるストラップおよびストラップの提げ紐の長さ調節方法に関する。特に、紐の長さ調節および収納に着目し取り扱い性の改善を図ったストラップおよびストラップの提げ紐の長さ調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンや小型のタブレット型情報端末機器のような携帯型情報端末機器を携帯する際やこれを取り扱う際、利用者自らが種々のストラップや手帳タイプの専用カバー等を装着することにより機器の保護、利便性および携帯性・運搬性の向上或いは見栄えの良さを図ってきている。特に、ストラップは小型軽量で自由度が高く使い勝手もよく、携帯性・運搬性の面で優れ、しかも安価で幅広く普及しているものである。
【0003】
また、ポシェットやサコッシュと称されるショルダーバッグの類いにあっては、肩から下げるための長い吊り紐、所謂ショルダーストラップが設けられている。同様に、ビジネスで利用される鞄にあっても、利用者の負荷軽減や運搬性を考慮してショルダーストラップが設けられているものが多々ある。
【0004】
上述のストラップは、紐やベルトの長さを調節可能なものもあるが、長さは一定で調節が不可能なものもある。調節可能なものについては、利用者が所望の長さに調節して利用すればよいものである。他方、調節不可能なものについては、利用者自身が長さを自身に合うよう工夫して利用する、或いは諦めてそのままの状態で利用する傾向にあった。
【0005】
下記特許文献1には、使用時や不使用時に特に適切な形態を与え得るショルダーストラップが開示されている。このものにあっては、一部に引き出し環を備え、この引き出し環を介してベルトをストラップの実効長を構成する肩掛け領域とストラップの実効長を構成しない引き出し領域とに区成したものであり、引き出し環を肩掛け領域に使用状態で所定方向の荷重が掛かったときに端ベルト部材を拘束し、肩掛け領域が所定方向と異なる方向に引っ張られたとき若しくは引き出し領域が引っ張られたときに当該端ベルト部材を開放し得るように構成し、開放時に肩掛け領域または引き出し領域の一方から他方に端ベルト部材を連続的に移動させてストラップの実効長を変更可能となるようにしたことを特徴としたものである。
【0006】
また、下記特許文献2には、ストラップのベルト部分を伸縮自在の蛇腹形状にし、ストラップ不要時にベルト部分が自動的に短縮することで、汚れたり邪魔になることを防ぐ伸縮自在の鞄用肩掛けストラップが開示されている。このものにあっては、ストラップのベルト本体をステッチにより蛇腹形状の襞を形成維持させるようにし、伸縮性ゴム紐によりストラップ加重時にはゴム紐の伸展によりベルト本体の襞を開放しベルト本体の長さを最大にし、且つストラップから加重を除いた場合にはゴム紐の収縮力により襞相互の間隔を縮小させベルト本体の長さを最小にすることにより、ストラップを使用しない場合にストラップが長すぎて邪魔になったり汚れたりするのを防ぐことを特徴とするものである。
【0007】
さらに、下記特許文献3には、鞄等の肩掛けベルトに伸縮収納装置を設け、鞄等を吊り下げたり、ベルトを収納したり自在にできる伸縮収納装置付き肩掛けベルトが開示されている。このものにあっては、吊りベルトの一端にベルトを巻き取ることも伸ばしたりすることも自在にできるベルトの伸縮収納装置を設けて、ベルトを軸に流動的に動く肩当てを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
さらに、下記特許文献4には、肩パッドから互いに反対側に導出された二つのベルトの部分の長さを略均等に調節することができる長さ調節手段を肩パッド内に設け、長さ調節手段により調節し、余分となったベルトの部分を肩パッド内に位置させるショルダーベルトが開示されている。このものにあっては、肩パッドから互いに反対側に導出された二つのベルトの部分の長さの調節を長さ調節手段によって均等に行うことができるため、その調節量の如何に拘らず肩パッドを常にベルトの長さ方向の略中央に位置させることができ、ベルトの長さを調節することにより余分となったベルトの部分を肩パッドの内側に位置させることができるので外部に露出することはなく、見栄えを良好にすることができることを特徴としたものである。
【0009】
さらに、下記特許文献5には、長さ調節式丸編ベルト・ストラップが開示されている。このものにあっては、丸編・長ベルトの一端にカメラ等を懸吊する吊環を固着し、他端に丸編・長ベルトを任意の位置で挟持する挟持用開閉口を形成したベルト長さ調節用係止部材を固着し、丸編・長ベルトの中間を折返し部として折り返し、挟持用開閉口に折り返したベルト部を係合して並設するとともに並設部に肩当てを移動可能に両ベルトに係合し、さらに丸編・短ベルトの一端に吊環を固着し、他端に丸編・長ベルトの折返し部に連着する中継環を固着するようにしたことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第5436648号公報
【特許文献2】実用新案登録第3123287号公報
【特許文献3】特開2002-253327号公報
【特許文献4】特開平5-309010号公報
【特許文献5】実開昭49-105109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近時は、ショルダーストラップ、ネックストラップ或いはハンドストラップと称される物品に取り付けられるストラップは、自由度が高く使い勝手もよく、携帯性・運搬性の面で優れ、しかも安価で幅広く普及しているものである。特に、紐やベルトの長さを調節可能なものが多くなってきている。
【0012】
斯様なストラップが不要の場合、取り外し可能なものについては、ストラップを取り外せばよい。ここで、取り外したストラップを収納または携帯・運搬する際は、長さを適宜調節するのが一般的である。しかし、調節したとしても、紐やベルトは露呈された状態であることには変わりはない。
【0013】
例えばバックルやアジャスターといった長さを調節する機構を有するものにあっては、ストラップを取り外してたとえ最短長になるよう長さを調節したとしても、紐やベルトは勿論、当該調節機構も露呈された状態である。
また、ストラップ利用時に所望の長さに紐やベルトを調節した場合、調節機構は勿論、調節されて余分となった部分は同様に露呈された状態であり、見栄えも悪いものである。
【0014】
特許文献1に開示されたものは、ストラップのねじれを簡単、的確に防止可能とし、肩パッドの両側の端ベルト部材を自在に調節可能とすることで自在な姿勢や持ち方に対応可能な自由度を得ることができるようにしたものであり、ストラップの長さの長短調節や取り外した際の取り扱いを考慮したものではない。また、そのような思想・発想は見出せないものである。
【0015】
特許文献2に開示されたものは、ベルト部分を伸縮自在の蛇腹形状にすることで鞄に装着したままでベルト長を調節可能としたものであり、取り外した際の取り扱いを考慮したものではない。また、そのような思想・発想は見出せないものである。さらには、ベルト部分が特殊な形状なので、取り扱いの面や見栄え並びに製造面に於いても大きな影響を与えるものである。
【0016】
特許文献3に開示されたものは、吊りベルトの一端にベルトの巻き取り可能な伸縮収納装置を設けることにより、肩掛けベルトを使用しない場合には手掛けと一緒にベルトを丸めて持ったり長いままぶら下げたりする煩わしさを解消し、ベルトを取り外した場合には収納・取り出しの面倒を解消はするが、あらたに独特な伸縮収納装置を設ける必要がある。このため、その取り付け部位によっては、見栄えや鞄等の収容量に影響を与えるものである。また、ネックストラップやハンドストラップの類いへの適用、応用は容易ではない。
【0017】
特許文献4に開示されたものは、ベルトの長さを調節したときでも肩パッドをベルトの略中央に位置させることが容易で、ベルトの長さ調節後の余分なベルトの部分が外部に露出せず、見栄えを良くすることができる新規なショルダーベルトではあるが、長さ調節作業が容易ではなく習熟を要するものである。また、ベルトを取り外した際の取り扱いを考慮したものではない。また、そのような思想・発想は見出せないものである。
【0018】
特許文献5に開示されたものは、調節用係止部材の固定部材を締めたり緩めたりすることで丸編ベルトの長さを調節可能としたものであるが、特殊なベルト2本を使用した特殊な用途を想定したものである。シンプルな構造ではあるものの、ストラップへの適用、応用は容易ではない。また、そのような思想・発想は見出せないものである。
【0019】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、上述した不具合を解消し、誰でも容易に長さ調節が可能で、携帯性・運搬性および収納性に優れるストラップおよびストラップの提げ紐の長さ調節方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、使い勝手がよく、取り付け後の自由度が向上する実用的なストラップおよびストラップの提げ紐の長さ調節方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、シンプルでコンパクトな構造で生産性および経済性に優れるストラップおよびストラップの提げ紐の長さ調節方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0021】
(1) 物品が取り付けられる提げ紐と、この提げ紐が設けられ表側パッド片および裏側パッド片を有しこの両パッド片を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部と、このパッド部の二つ折りの状態を保持する保持機構部と、上記パッド部に設けられ上記提げ紐の長さを調節可能とする調節機構部とを有するものであって、上記調節機構部は上記パッド部の長手方向の両端部に設けられ、上記提げ紐を巻き付けたりまたは解いたりすることにより当該提げ紐の長さを調節可能とするよう機能構成したことを特徴とする。
【0022】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記提げ紐はその一部が露呈されるよう上記パッド部に摺動可能となるよう埋設され、上記調節機構部は上記裏側パッド片に設けられて上記露呈した提げ紐の部位にて長さを調節可能となるよう構成したことを特徴とする
【0023】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、上記保持機構部はホックから構成され、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられるよう構成したことを特徴とする。
【0024】
(4) 上記(1)、(2)または(3)の構成にあって、上記保持機構部は、上記パッド部に形成された舌片部に設けられ、ホックから構成されたことを特徴とする。
【0025】
(5) 上記(1)、(2)、(3)または(4)の構成にあって、上記提げ紐は、上記パッド部の裏側パッド片側に設けられるよう構成したことを特徴とする。
【0026】
(6) 上記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の構成にあって、上記表側パッド片および上記裏側パッド片は、上記パッド部の短手方向の中央部位に一体形成された折り曲げ部を介して開閉自在となるよう形成されるよう構成したことを特徴とする。
【0027】
(7) 物品が取り付けられる提げ紐が設けられ表側パッド片および裏側パッド片を有しこの両パッド片を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部と、このパッド部の二つ折りの状態を保持および解除可能とする保持機構部と、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられ上記提げ紐の長さを調節可能とする調節機構部とを有するストラップにあって、
上記提げ紐の長さを短く調節する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐を上記調節機構部に巻き付けることにより長さを調節し、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させ、
上記提げ紐の長さを長く調節する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐の上記調節機構部に巻き付けられた部分の巻きを解くよう調節し、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させ、
上記提げ紐を上記パッド部に収納する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐を上記調節機構部に全て巻き付け、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させるように機能構成したことを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、容易に長さ調節が可能で、携帯性・運搬性および収納性に優れるものである。
【0029】
また、上記構成によれば、使い勝手がよく、取り付け後の自由度が向上する実用的な効果を奏するものである。
【0030】
さらに、上記構成によれば、シンプルでコンパクトな構造なので、特殊な専用部品を要さず生産性および経済性の面に於いて優位となるものである。
【0031】
さらに、上記構成によれば、提げ紐の余分な部分は露呈することもないので、見栄えもよくなるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、誰でも容易に提げ紐の長さ調節が可能となり、携帯性・運搬性および収納性に優れるという実用的効果を奏するものである。
また、本発明によれば、使い勝手がよく、取り付け後の自由度向上に寄与するものである。
さらに、本発明によれば、シンプルでコンパクトな構造であるので、生産性および経済性に優れるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係わるストラップの要部を模式的に示す上面側からの(二つ折り時に外面側となる)平面図である。
【
図2】同実施形態に係わり、要部を模式的に示す下面側からの(二つ折り時に内面側となる)平面図である。
【
図3】同実施形態に係わり、調節機構部を側面側から模式的に示す図である。
【
図4】同実施形態に係わり、ストラップ利用時のパッド部を二つ折りにした状態を上面側から模式的に示す図である。
【
図5】同実施形態に係わり、ストラップ不要時のパッド部を二つ折りにした状態を上面側から模式的に示す図である。
【
図6】同実施形態に係わり、ストラップの使用状態の外観を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0035】
本実施形態に係わるストラップ10は、スマートフォンや小型のタブレット型情報端末機器のような携帯型情報端末機器、ショルダーバッグや鞄、或いはペットボトルや飲料水用容器等に取り付けられる提げ紐、所謂ショルダーストラップ、ネックストラップ或いはハンドストラップと称されるものであり、特に、紐の長さ調節および収納に着目し取り扱い性の改善を図ったものである。
【0036】
即ちストラップ10は、物品200が取り付けられる提げ紐110と、提げ紐110が設けられ表側パッド片122および裏側パッド片124を有しこの両パッド片122,124を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部120と、パッド部120の二つ折りの状態を保持する保持機構部130と、パッド部120に設けられ提げ紐110の長さを調節可能とする調節機構部140,140とを有し、調節機構部140,140は裏側パッド片124の長手方向の両端部124a,124bに設けられ、提げ紐110を巻き付けたりまたは解いたりすることにより提げ紐110の長さを調節可能となるよう構成されている。
【0037】
なお、保持機構部130は、パッド部120の裏側パッド片124に一体形成された舌片部150並びに表側パッド片122および裏側パッド片124に設けられ、複数のホックから成るものである。
【0038】
さて、提げ紐110は、直径3mm、長さ120cmのコード状のPVC(ポリ塩化ビニール)素材の紐であり、その両端部に物品200が取り付けられるものである。
なお、提げ紐110の直径、長さ、形状および素材は上記に限定されることなく、適宜変更可能であることは勿論である。
【0039】
パッド部120は、同一形状(即ち、角丸長方形状)および同一表面積の合皮製の柔軟性を有する表側パッド片122および裏側パッド片124が四つの折り曲げ部126を介して左右対称(
図1、
図2参照)となるよう一体形成されることにより、構成されている。ここで、折り曲げ部126は、パッド部120の短手方向の中央部位に形成されており、折り曲げ部126を中心にパッド部120が二つ折りに折り曲げられたときに、両パッド片122,124の内面側が当接状態に重ね合わさるよう開閉自在となるよう機能構成されている。
【0040】
また、パッド部120の裏側パッド片124側には、提げ紐110が設けられている。即ち、裏側パッド片124の長手方向の両端部124a,124bでは提げ紐110が埋設された状態で、中央部では提げ紐110が露呈するような状態で摺動可能となるよう設けられている。
【0041】
保持機構部130は、ホック凸部およびホック凹部から成る着脱自在なホックである。即ち、舌片部150に設けられたホック凸部131と表側パッド片122の外面側に設けられたホック凹部132、パッド部120の長手方向の両端部120a側、即ち表側パッド片122の内面側の一端部に設けられたホック凸部133と裏側パッド片124の一端部に設けられたホック凹部134、
パッド部120の長手方向の両端部120b側、即ち表側パッド片122の内面側の他端部に設けられたホック凸部135と裏側パッド片124の他端部に設けられたホック凹部136とから構成されている。而してホック凸部131とホック凹部132が、ホック凸部133とホック凹部134が、およびホック凸部135とホック凹部136が夫々嵌合することにより、パッド部120の二つ折りの状態を保持するよう機能構成されている。
なお、保持機構部130は、上記ホックに限定される訳ではなく、パッド部120が開閉自在となるよう二つ折りの状態を保持されるのであれば、他のものであってもよいことは勿論である。
【0042】
調節機構部140は、直径20mmの金属製の円板状のガイド部142とガイド部142の下面側中央部位に一体形成された長さ10mmの巻き取り軸144から成り、裏側パッド片124の長手方向の両端部124a,124bに設けられている。ここで、ガイド部142は、裏側パッド片124の内面から所定の間隙を存するよう設けられている。当該間隙を形成することで、提げ紐110を巻き取り軸144に巻き付けたり或いは巻き付けた提げ紐110を解いたりすることが可能となるよう機能構成してある。例えば裏側パッド片124の中央部で露呈状態にある提げ紐110の部位を、巻き取り軸144に巻き付けたり或いは巻き付けた提げ紐110の部位を解いたりすることになる。また、これに限らず、裏側パッド片124の長手方向の両端部124a,124bから外方へ指向して露呈状態にある提げ紐110の部位を巻き付けたり解いたりしてもよいことは勿論である。
なお、調節機構部140のガイド部142の他面側中央部位には、前述したホック凹部134,136が設けられている。
【0043】
なお、調節機構部140は、裏側パッド片124に接着剤等により埋設固定してもよいし、螺子止めするようにしてもよい。また、ガイド部142および巻き取り軸144の大きさや形状は、上記に限定されることなく適宜変更してもよいことは勿論である。
【0044】
上記構成につき、その作用を以下に説明する。
【0045】
先ず、提げ紐110の長さを短く調節してストラップ10を利用する場合、保持機構部130を開放状態にし、即ちホック凸部131とホック凹部132、ホック凸部133とホック凹部134およびホック凸部135とホック凹部136を夫々非嵌合状態にする。すると、保持機構部130によるパッド部120の二つ折りの状態が解除されるので、裏側パッド片124の巻き取り軸144に提げ紐110の不要な長さ分を巻き付けることにより、長さを調節すればよい。
【0046】
この後、ホック凸部131とホック凹部132、ホック凸部133とホック凹部134およびホック凸部135とホック凹部136を夫々嵌合状態にすれば、表側パッド片122と裏側パッド片124が重なり合って、不要な部分はパッド部120内に収納される。而して所望の長さにてストラップ10の利用が可能となる。
【0047】
次に、提げ紐110の長さを長く調節してストラップ10を利用する場合、保持機構部130を開放状態にし、即ちホック凸部131とホック凹部132、ホック凸部133とホック凹部134およびホック凸部135とホック凹部136を夫々非嵌合状態にする。すると、保持機構部130によるパッド部120の二つ折りの状態が解除されるので、裏側パッド片124の巻き取り軸144に巻き付けられた提げ紐110を所望の長さ分だけ解くことにより、長さを調節すればよい。
【0048】
この後、ホック凸部131とホック凹部132、ホック凸部133とホック凹部134およびホック凸部135とホック凹部136を夫々嵌合状態にすれば、表側パッド片122と裏側パッド片124が重なり合って、所望の長さにてストラップ10の利用が可能となる。
【0049】
最後に、ストラップ10を利用せずしまっておく場合、或いはストラップ10だけを物品を取り付けることなく携帯・運搬する場合、即ち提げ紐110をパッド部120内に収納する場合は、保持機構部130を開放状態にし、即ちホック凸部131とホック凹部132、ホック凸部133とホック凹部134およびホック凸部135とホック凹部136を夫々非嵌合状態にする。すると、保持機構部130によるパッド部120の二つ折りの状態が解除されるので、裏側パッド片124の巻き取り軸144に提げ紐110の外部に露呈していた部分、即ちパッド部120から露呈していた部分を全て巻き付ける。
【0050】
この後、ホック凸部131とホック凹部132、ホック凸部133とホック凹部134およびホック凸部135とホック凹部136を夫々嵌合状態にすれば、表側パッド片122と裏側パッド片124が重なり合って、提げ紐110の外部に露呈していた部分全てはパッド部120内に収納される。而して提げ紐110が外部に露呈することなく、ストラップ10の片付けと携帯・運搬が可能となる。
【0051】
なお、この状態にあるストラップ10を例えば手首に巻き付ければ、アクセサリーとしても機能するものである。
【0052】
上記実施形態によれば、誰でも容易に提げ紐110の長さ調節が可能で、使い勝手がよく、取け付け後の自由度が向上する実用的に優れたストラップ10を提供できるものである。
【0053】
また、上記実施形態によれば、収納性および携帯性・運搬性に優れるとともに、提げ紐110の余分な部分は外部へ露呈することもないので、見栄えもよくなるものである。
【0054】
さらに、上記実施形態によれば、シンプルでコンパクトな構成で実現できるので、生産性および経済性の面に於いても優位となるものである。
【0055】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
10 …ストラップ
110 …提げ紐
120 …パッド部
122 …表側パッド片
124 …裏側パッド片
126 …折り曲げ部
130 …保持機構部
131,133,135 …ホック凸部
132,134,136 …ホック凹部
140 …調節機構部
142 …ガイド部
144 …巻き取り軸
150 …舌片部
【手続補正書】
【提出日】2020-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が取り付けられる提げ紐と、
この提げ紐が設けられ、表側パッド片および裏側パッド片を有しこの両パッド片を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部と、
このパッド部の二つ折りの状態を保持する保持機構部と、
上記パッド部に設けられ上記提げ紐の長さを調節可能とする調節機構部とを有するものであって、
上記調節機構部は、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられ、上記提げ紐を巻き付けたりまたは解いたりすることにより、当該提げ紐の長さを調節可能とするよう機能構成し、
上記提げ紐はその一部が露呈されるよう上記パッド部に摺動可能となるよう埋設され、
上記調節機構部は上記裏側パッド片に設けられて、上記露呈した提げ紐の部位にて長さを調節可能としたことを特徴とするストラップ。
【請求項2】
上記保持機構部はホックから構成され、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられたことを特徴とする請求項1記載のストラップ。
【請求項3】
上記保持機構部は、上記パッド部に形成された舌片部に設けられ、ホックから構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のストラップ。
【請求項4】
上記提げ紐は、上記パッド部の裏側パッド片側に設けられたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のストラップ。
【請求項5】
上記表側パッド片および上記裏側パッド片は、上記パッド部の短手方向の中央部位に一体形成された折り曲げ部を介して開閉自在となるよう形成されたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載のストラップ。
【請求項6】
物品が取り付けられる提げ紐が設けられ表側パッド片および裏側パッド片を有しこの両パッド片を重ね合わせるよう二つ折りに開閉自在となるパッド部と、このパッド部の二つ折りの状態を保持および解除可能とする保持機構部と、上記パッド部の長手方向の両端部に設けられ上記提げ紐の長さを調節可能とする調節機構部とを有し、上記提げ紐はその一部が露呈されるよう上記パッド部に摺動可能となるよう埋設され、上記調節機構部は上記裏側パッド片に設けられて、上記露呈した提げ紐の部位にて長さを調節可能とするストラップにあって、
上記提げ紐の長さを短く調節する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐を上記調節機構部に巻き付けることにより長さを調節し、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させ、
上記提げ紐の長さを長く調節する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐の上記調節機構部に巻き付けられた部分の巻きを解くよう調節し、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させ、
上記提げ紐を上記パッド部に収納する場合は、上記保持機構部による上記パッド部の二つ折りの状態を解除して上記提げ紐を上記調節機構部に全て巻き付け、上記保持機構部にて上記パッド部の二つ折りの状態を保持させるようにしたことを特徴とするストラップの提げ紐の長さ調節方法。