(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022045
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】3次元センシングモジュール及びその製造方法並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220127BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20220127BHJP
G01L 1/20 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/041 495
G06F3/041 660
G01L5/00 101Z
G01L1/20 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173833
(22)【出願日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】202010721518.X
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リー リエン シン
(72)【発明者】
【氏名】ワン レン フン
(72)【発明者】
【氏名】イェ ツァイ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リン ウェイ イー
(72)【発明者】
【氏名】チェン タイ シー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ツァイ クエイ
(72)【発明者】
【氏名】チュアン チー チェン
(72)【発明者】
【氏名】リン スン ポー
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】X-Y-Z3軸電極が同時にフレキシブルな特性を有し、フレキシブルな次元センシングモジュール及びその製造方法並びに電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器100において、3次元センシングモジュール110は、接触圧力感知構造111を含む。接触圧力感知構造は、第1の機能性スペーサ層11b11と、第1の機能性スペーサ層上にコーティングされた第1の透光性電極層11b21と、第1の透光性電極層上にコーティングされた第2の機能性スペーサ層111b12と、第2の機能性スペーサ層上にコーティングされた第2の透光性電極層111b22と、第2の透光性電極層上にコーティングされた第3の機能性スペーサ層111b13と、を備える。第1、第2及び第3の機能性スペーサ層の抵抗率は、第1及び第2の透光性電極層の抵抗率よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触圧力感知構造を備える3次元センシングモジュールであって、
前記接触圧力感知構造は、
第1の機能性スペーサ層と、
前記第1の機能性スペーサ層上にコーティングされた第1の透光性電極層と、
前記第1の透光性電極層上にコーティングされた第2の機能性スペーサ層と、
前記第2の機能性スペーサ層上にコーティングされた第2の透光性電極層と、
前記第2の透光性電極層上にコーティングされた第3の機能性スペーサ層と、を備え、
前記第1の機能性スペーサ層、前記第2の機能性スペーサ層及び前記第3の機能性スペーサ層の抵抗率が、前記第1の透光性電極層及び前記第2の透光性電極層の抵抗率よりも大きい、3次元センシングモジュール。
【請求項2】
前記接触圧力感知構造は、
第1のフレキシブルタッチ電極層、ここで前記第1の機能性スペーサ層が前記第1のフレキシブルタッチ電極層上にコーティングされる、と、
前記第3の機能性スペーサ層上にコーティングされた第2のフレキシブルタッチ電極層と、をさらに備え、
前記3次元センシングモジュールは、前記第2のフレキシブルタッチ電極層上に配置されたフレキシブルカバープレートをさらに備える、請求項1に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項3】
前記第1のフレキシブルタッチ電極層及び前記第2のフレキシブルタッチ電極層を介したタッチ位置信号および圧力感知信号を検出するように構成されたコントローラ、
をさらに備える請求項2に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項4】
前記第1のフレキシブルタッチ電極層、前記第1の透光性電極層、前記第2の透光性電極層、または前記第2のフレキシブルタッチ電極層のうちの少なくとも1つは、銀ナノワイヤ電極層である、請求項2または3のいずれかに記載の3次元センシングモジュール。
【請求項5】
前記第1のフレキシブルタッチ電極層及び前記第2のフレキシブルタッチ電極層の抵抗率が1Ops(Ohms Per Square)から150Opsの範囲であり、前記第1の透光性電極層及び前記第2の透光性電極層の抵抗率が150Opsから500Opsの範囲であり、前記第2の機能性スペーサ層の抵抗率が500Opsから1000OPSの範囲であり、前記第1の機能性スペーサ層及び前記第3の機能性スペーサ層の抵抗率が800Opsから1200Opsの範囲である、請求項2から4のいずれか1項に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項6】
前記第1の機能性スペーサ層および前記第3の機能性スペーサ層の厚さは、実質的に同一である、請求項1から5のいずれか1項に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項7】
前記第2の機能性スペーサ層の厚さは、前記第1の機能性スペーサ層又は前記第3の機能性スペーサ層の少なくとも一方の厚さよりも小さい、請求項6に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項8】
前記第2の機能性スペーサ層の厚さが30nmから100nmの範囲であり、前記第1の機能性スペーサ層及び前記第3の機能性スペーサ層の厚さが400nmから1200nmの範囲である、請求項7に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項9】
前記第1の透光性電極層及び前記第2の透光性電極層のそれぞれは、互いに離間した複数の電極ブロックを備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項10】
前記第1の機能性スペーサ層、前記第2の機能性スペーサ層、または前記第3の機能性スペーサ層のうちの少なくとも1つは、低濃度の銀ナノワイヤでドープされた基材層である、請求項1から9のいずれか1項に記載の3次元センシングモジュール。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の3次元センシングモジュールと、
前記3次元センシングモジュールの下に配置された表示モジュールと、
を備える電子機器。
【請求項12】
第1のフレキシブルタッチ電極層を形成すること;
前記第1のフレキシブルタッチ電極層上に透光性感圧複合層をコーティングすること、ここで、前記透光性感圧複合層は、少なくとも1つの透光性電極層と、少なくとも1つの機能性スペーサ層とを含み、前記少なくとも1つの透光性電極層の抵抗率が、前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の抵抗率よりも小さい;及び
前記透光性感圧複合層上に第2のフレキシブルタッチ電極層をコーティングすることを含む3次元センシングモジュールを製造する方法。
【請求項13】
前記透光性感圧複合層をコーティングすることは、
前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の第1の機能性スペーサ層を、前記第1のフレキシブルタッチ電極層上にコーティングすること;
前記少なくとも1つの透光性電極層の第1の透光性電極層を前記第1の機能性スペーサ層上にコーティングすること;
前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の第2の機能性スペーサ層を、前記第1の透光性電極層上にコーティングすること;
前記少なくとも1つの透光性電極層の第2の透光性電極層を、前記第2の機能性スペーサ層上にコーティングすること;及び
前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の第3の機能性スペーサ層を、前記第2の透光性電極層上にコーティングすることを含む請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2020年7月24日に出願された中国特許出願第202010721518.Xの優先権を主張する。
【0002】
(背景)
(開示分野)
本発明は、3次元センシングモジュール及びその製造方法並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
タッチモジュールの多様な開発により、タッチモジュールは工業用エレクトロニクスおよび民生用エレクトロニクス製品に成熟して適用されてきた。要求は、スクリーン表面上のタッチ点の2次元位置(例えば、X軸方向とY軸方向)を決定することから、スクリーン表面に加えられる力の変化によって生じる力のパラメータ(例えば、Z軸方向)を感知することまで進歩した。フレキシブルパネルへの適用の要求も避けられない。
【0004】
しかしながら、従来の産業界で提案されている技術は、タッチモジュールに搭載される圧力センサにおいて以下の問題を有していた。(1)X-Y-Z3軸電極が同時にフレキシブルな特性を有することができず、フレキシブルなアセンブリとして使用することができない。(2)一部の領域のみがZ軸センシング機能を有する。
【0005】
このため、上記課題を解決するための3次元センシングモジュールをどのように提供するかが、産業界の重要課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第109857278号明細書
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、上記の問題を効率的に解決することができる3次元センシングモジュールを提供することである。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、3次元センシングモジュールは、接触圧力感知構造を含む。接触圧力感知構造は、第1の機能性スペーサ層と、第1の透光性電極層と、第2の機能性スペーサ層と、第2の透光性電極層と、第3の機能性スペーサ層とを備える。第1の透光性電極層は、第1の機能性スペーサ層上にコーティングされる。第2の機能性スペーサ層は、第1の透光性電極層上にコーティングされる。第2の透光性電極層は、第2の機能性スペーサ層上にコーティングされる。第3の機能性スペーサ層は、第2の透光性電極層上にコーティングされる。第1の機能性スペーサ層、第2の機能性スペーサ層及び第3の機能性スペーサ層の抵抗率は、第1の透光性電極層及び第2の透光性電極層の抵抗率よりも大きい。
【0009】
本開示の一実施形態では、接触圧力感知構造は、第1のフレキシブルタッチ電極層および第2のフレキシブルタッチ電極層をさらに含む。第1の機能性スペーサ層は、第1のフレキシブルタッチ電極層上にコーティングされる。第2のフレキシブルタッチ電極層は、第3の機能性スペーサ層上にコーティングされる。3次元センシングモジュールは、第2のフレキシブルタッチ電極層上に配置されたフレキシブルカバープレートをさらに含む。
【0010】
本開示の一実施形態では、3次元センシングモジュールは、第1のフレキシブルタッチ電極層および第2のフレキシブルタッチ電極層を介してタッチ位置信号および圧力感知信号を検出するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0011】
本開示の一実施形態では、第1のフレキシブルタッチ電極層、第1の透光性電極層、第2の透光性電極層、または第2のフレキシブルタッチ電極層のうちの少なくとも1つは、銀ナノワイヤ電極層である。
【0012】
本開示の一実施形態では、第1のフレキシブルタッチ電極層および第2のフレキシブルタッチ電極層の抵抗率は、1Ops(Ohms Per Square)から150Opsの範囲である。第1の透光性電極層及び第2の透光性電極層の抵抗率は、150Opsから500Opsの範囲である。第2の機能性スペーサ層の抵抗率は、500Opsから1000Opsの範囲である。第1の機能性スペーサ層および第3の機能性スペーサ層の抵抗率は、800Opsから1200Opsの範囲である。
【0013】
本開示の一実施形態では、第1の機能性スペーサ層および第3の機能性スペーサ層の厚さは、実質的に同一である。
【0014】
本開示の一実施形態では、第2の機能スペーサ層の厚さは、第1の機能性スペーサ層または第3の機能性スペーサ層の少なくとも1つの厚さよりも小さい。
【0015】
本開示の一実施形態では、第2の機能性スペーサ層の厚さは、30nmから100nmの範囲である。第1の機能性スペーサ層および第3の機能性スペーサ層の厚さは、400nmから1200nmの範囲である。
【0016】
本発明の一実施形態では、第1の透光性電極層及び第2の透光性電極層の各々は、互いに離間した複数の電極ブロックを備える。
【0017】
本開示の一実施形態では、第1の機能性スペーサ層、第2の機能性スペーサ層、または第3の機能性スペーサ層の少なくとも1つは、低濃度の銀ナノワイヤでドープされた基材層である。
【0018】
本開示の一実施形態によれば、電子機器は、3次元センシングモジュールと表示モジュールとを含む。表示モジュールは、3次元センシングモジュールの下に配置される。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、3次元センシングモジュールを製造する方法は、第1のフレキシブルタッチ電極層を形成すること;前記第1のフレキシブルタッチ電極層上に透光性感圧複合層をコーティングすること、ここで、前記透光性感圧複合層は、少なくとも1つの透光性電極層と、少なくとも1つの機能性スペーサ層とを含み、前記少なくとも1つの透光性電極層の抵抗率が、前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の抵抗率よりも小さい;及び前記透光性感圧複合層上に第2のフレキシブルタッチ電極層をコーティングすることを含む。
【0020】
本開示の一実施形態では、透光性感圧複合層をコーティングすることは、前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の第1の機能性スペーサ層を、前記第1のフレキシブルタッチ電極層上にコーティングすること;前記少なくとも1つの透光性電極層の第1の透光性電極層を前記第1の機能性スペーサ層上にコーティングすること;前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の第2の機能性スペーサ層を、前記第1の透光性電極層上にコーティングすること;前記少なくとも1つの透光性電極層の第2の透光性電極層を、前記第2の機能スペーサ層上にコーティングすること;及び前記少なくとも1つの機能性スペーサ層の第3の機能性スペーサ層を、前記第2の透光性電極層上にコーティングすることを含む。
【0021】
したがって、本発明の3次元センシングモジュールでは、2層のフレキシブルタッチ電極層と、その間に積層された透光性感圧複合層とによって、2次元タッチ位置信号と3次元圧力感知信号とが同時に得られるように、接触感圧構造が形成されている。本開示の3次元センシングモジュールは、複数のコーティングプロセスのみによって簡単に完成させることができる。したがって、タッチモジュールと表示モジュールを別々に製造して接着する従来の複雑な方法と比較して、本開示の3次元センシングモジュールの製造プロセスは、接着剤の使用を完全に排除することができる。その結果、多層接着工程および接着剤の厚さを低減することができ、本開示の3次元センシングモジュールは、薄い設計を実現することができる。
【0022】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、実施例によるものであり、請求される開示のさらなる説明の提供を意図していることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【
図1】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図2】
図1の電子機器のいくつかの構成要素の部分図である。
【
図3A】押圧されない、
図1の透光性感圧複合層の部分拡大図である。
【
図3B】押圧された、
図1の透光性感圧複合層の部分拡大図である。
【
図4】本開示の別の実施形態による電子機器の概略図である。
【
図5】本開示の一実施形態による3次元センシングモジュールを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
以下、添付図面に例示されている本発明の実施形態を詳細に参照する。可能な限り、図面及び説明において同一の参照番号を使用して同一又は類似の部分を参照する。しかしながら、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、例示的な実施形態を説明する目的のための単に代表的なものであり、したがって、多くの代替的な形態で具現化することができ、本明細書に記載される例示的な実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態を開示された特定の形態に限定する意図はないが、反対に、例示的な実施形態は、開示の範囲内にあるすべての改変、均等物、および代替物をカバーするものであることを理解されたい。
【0025】
図1及び2を参照する。
図1は、本開示の一実施形態による電子機器100の概略図である。
図2は、
図1の電子機器100のいくつかの構成要素の部分図である。
図1及び2に示すように、本実施形態の電子機器100は、一例としてタッチディスプレイであり、3次元センシングモジュール110と、表示モジュール120とを備えている。表示モジュール120は、3次元センシングモジュール110の下方に配置されている。
【0026】
具体的には、3次元センシングモジュール110は、接触圧力感知構造111及びフレキシブルカバープレート112を含む。接触圧力感知構造111は、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1と、第2のフレキシブルタッチ電極層111a2と、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1と第2のフレキシブルタッチ電極層111a2との間に位置する透光性感圧複合層111bとを備える。透光性感圧複合層111bは、第1の機能性スペーサ層111b11と、第1の透光性電極層111b21と、第2の機能性スペーサ層111b12と、第2の透光性電極層111b22と、第3の機能性スペーサ層111b13とを含む。第1の機能性スペーサ層111b11は、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1上にコーティングされている。第1の透光性電極層111b21は、第1の機能性スペーサ層111b11上にコーティングされている。第2の機能性スペーサ層111b12は、第1の透光性電極層111b21上にコーティングされている。第2の透光性電極層111b22は、第2の機能性スペーサ層111b12上にコーティングされている。第3の機能性スペーサ層111b13は、第2の透光性電極層111b22上にコーティングされている。第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12及び第3の機能性スペーサ層111b13の抵抗率は、第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22の抵抗率よりも大きい。第2のフレキシブルタッチ電極層111a2は、第3の機能性スペーサ層111b13上にコーティングされている。フレキシブルカバープレート112は、第2のフレキシブルタッチ電極層111a2上に配置される。
【0027】
いくつかの実施態様において、フレキシブルカバープレート112の材料は、可撓性ポリマー材料を含む。例えば、可撓性ポリマー材料は無色ポリイミド(PI)を含むが、本開示はこの点に関して限定されない。
【0028】
図1に示すように、3次元センシングモジュール110は、コントローラ113をさらに含む。コントローラ113は、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1及び第2のフレキシブルタッチ電極層111a2に電気的に接続されている。
図2に示されるように、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1および第2のフレキシブルタッチ電極層111a2の両方は、パターニング後の電極層であり、これらのパターンは、例示のためだけであり、本開示の範囲を制限することを意図していない。なお、コントローラ113が第1のフレキシブルタッチ電極層111a1及び第2のフレキシブルタッチ電極層111a2を介してタッチ位置信号を検出する原理については、ここでは詳細に説明せず、従来技術を参照することができる。
【0029】
いくつかの実施態様において、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1、第1の透光性電極層111b21、第2の透光性電極層111b22、又は第2のフレキシブルタッチ電極層111a2の少なくとも一つは、銀ナノワイヤ電極層(SNW,AgNWとも呼ばれる)、金属グリッド、又はインジウムスズ酸化物(ITO)電極層とすることができるが、本開示は、この点に関して限定されない。
【0030】
いくつかの実施態様において、透光性感圧複合層111bは、85%を超える光透過率、及び3%未満のヘイズを有する。透光性感圧複合層111bを前述の光透過率およびヘイズの要件を満たすようにするために、いくつかの実施態様において、第1の透光性電極層111b21または第2の透光性電極層111b22の少なくとも一方は、銀ナノワイヤ電極層である。
【0031】
図3Aを参照すると、
図3Aは、押圧されていない、
図1の透光性感圧複合層111bの部分拡大図である。
図3Aに示されるように、第1の透光性電極層111b21および第2の透光性電極層111b22のそれぞれは、基材およびその中にドープされた銀ナノワイヤを含む。銀ナノワイヤは、基材内で互いに重なり合って、導電性ネットワークを形成する。基材は、コーティング、加熱、および乾燥などのプロセスを介して、銀ナノワイヤを含む溶液によって形成される非ナノシルバー材料を指す。銀ナノワイヤは、基材内に分布または埋め込まれ、部分的に基材から突出する。基材は、腐食および摩耗から保護するなど、外部環境から銀ナノワイヤを保護することができる。いくつかの実施態様において、基材は、圧縮可能である。
【0032】
いくつかの実施態様において、銀ナノワイヤのワイヤ長は、約10μm~約300μmの範囲である。いくつかの実施態様において、銀ナノワイヤのワイヤ直径(または線幅)は、約500nm未満である。いくつかの実施形態では、銀ナノワイヤは、銀でコーティングされた他の導電性金属ナノワイヤまたは非導電性ナノワイヤなどの変形形態とすることができる。銀ナノワイヤ電極層を形成するための銀ナノワイヤの使用は、ITOと比較して、低価格、単純なプロセス、良好な柔軟性、屈曲に対する耐性などの利点を有する。
【0033】
透光性感圧複合層111bを前述の透光性およびヘイズの要件を満たすようにするために、一部の実施形態では、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、および第3の機能性スペーサ層111b13を透光性コーティングとすることができる。いくつかの実施態様において、
図3Aに示されるように、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12又は第3の機能性スペーサ層111b13の少なくとも1つは、低濃度の銀ナノワイヤでドープされた基材層とすることができる。具体的には、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、及び第3の機能性スペーサ層111b13は、低濃度の銀ナノワイヤがドープされた基材層を含み、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、及び第3の機能性スペーサ層111b13の抵抗率が、第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22の抵抗率よりも大きく、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、及び第3の機能性スペーサ層111b13は、より大きな光透過率を有する。いくつかの実施態様において、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、及び第3の機能性スペーサ層111b13の基材は、第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22の基材と同一であるが、本開示はこれに限定されない。
【0034】
いくつかの実施態様において、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1及び第2のフレキシブルタッチ電極層111a2の抵抗率は、1Ops(Ohm per Square)から150Ops(できれば60Ops)までの範囲であるが、本開示は、これに限定されない。いくつかの実施態様において、第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22の抵抗率は、150Opsから500Ops(できれば300Ops)までの範囲であるが、本開示は、これに限定されない。いくつかの実施態様において、第2の機能性スペーサ層111b12の抵抗率は、500Opsから1000Ops(できれば600Ops)の範囲であるが、本開示は、この点に関して制限されない。いくつかの実施態様において、第1の機能性スペーサ層111b11及び第3の機能性スペーサ層111b13の抵抗率は、800Opsから1200Ops(できれば800Ops)の範囲であるが、本開示は、この点に関して限定されない。
【0035】
実際の応用において、抵抗率を測定して、ドープされた銀ナノワイヤの濃度が高い(例えば、第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22)か、低い(例えば、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、および第3の機能性スペーサ層111b13)かを確認することができる。さらに、第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、及び第3の機能性スペーサ層111b13も低濃度の銀ナノワイヤでドープされている場合、抵抗率の差は厚さに関連する。
【0036】
図3Bを参照する。
図3Bは、押圧された、
図1の透光性感圧複合層111bの部分拡大図である。
図3A及び3Bに示すように、第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22が銀ナノワイヤからなるため、フレキシブルカバープレート112側からの外力が透光性感圧複合層111bに伝達されると、その力によって第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22が圧縮され、内部の銀ナノワイヤが第1の機能性スペーサ層111b11、第2の機能性スペーサ層111b12、及び第3の機能性スペーサ層111b13に接近し貫通する。接触点の数が多くなると、透光性感圧複合層111b全体の導電性が向上する(すなわち、抵抗率が減少する)。例えば、
図3Aに示すように、透光性感圧複合層111bが押圧されていない場合には、第1の透光性電極層111b21の銀ナノワイヤL1と第2の機能性スペーサ層111b12の銀ナノワイヤL2とは接触しない。
図3Bに示すように、透光性感圧複合層111bを押圧すると、第1の透光性電極層111b21内の銀ナノワイヤL1は、第2の機能性スペーサ層111b12をさらに貫通して、銀ナノワイヤL2と接触する。したがって、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1および第2のフレキシブルタッチ電極層111a2を介して透光性感圧複合層111bの抵抗率の変化を検出した後、コントローラ113は、外部押圧力の値を算出することができる。例えば、外部押圧力が大きいと、透光性感圧複合層111bの抵抗率の変化量が大きくなる。逆に、外部押圧力が小さい場合には、透光性感圧複合層111bの抵抗率の変化量は小さい。このため、透光性感圧複合層111bの抵抗率の変化から外部押圧力の値を算出することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、コントローラ113は、タッチ位置信号および圧力感知信号を同時に検出することができる。他のいくつかの実施形態では、コントローラ113は、タッチ位置信号および圧力感知信号を順次検出することができる。
【0038】
いくつかの実施態様において、第2の機能性スペーサ層111b12の厚さは、約30nmから約100nm(好ましくは約40nmから約80nm)の範囲である。
【0039】
以上の構成により、透光性感圧複合層111bと第1のフレキシブルタッチ電極層111a1及び第2のフレキシブルタッチ電極層111a2との間の抵抗率を高めることができる。このため、コントローラ113がタッチ位置信号を検出する際に、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1および第2のフレキシブルタッチ電極層111a2を介して得られる容量検出信号は、透光性感圧複合層111bに妨げられにくく、より明瞭となる。
【0040】
なお、
図1に示すように、透光性感圧複合層111bの第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22は、モノリシック構造であり、1本指検出機能を有するものであってもよいが、これに限定されるものではない。
図4を参照する。
図4は、本開示の別の実施形態による電子機器200の概略図である。
【0041】
図4に示すように、電子機器200は、3次元センシングモジュール210と、表示モジュール120とを含む。3次元センシングモジュール210は、接触圧力感知構造211及びフレキシブルカバープレート112を含む。接触圧力感知構造211は、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1と、第2のフレキシブルタッチ電極層111a2と、第1のフレキシブルタッチ電極層111a1と第2のフレキシブルタッチ電極層111a2との間に位置する透光性感圧複合層211bとを備える。透光性感圧複合層211bは、第1の機能性スペーサ層111b11と、第1の透光性電極層211b21と、第2の機能性スペーサ層111b12と、第2の透光性電極層211b22と、第3の機能性スペーサ層111b13とを含む。
図1に示す実施形態と比較して、本実施形態の電子機器200は、第1の透光性電極層211b21及び第2の透光性電極層211b22に関して変形されている。
【0042】
具体的には、第1の透光性電極層211b21及び第2の透光性電極層211b22は、それぞれ複数の電極ブロックを含む。電極ブロックは互いに離間している。製造時には、
図4に示すような複数の電極ブロックを有する第1の透光性電極層211b21及び第2の透光性電極層211b22を得るために、
図1に示す第1の透光性電極層111b21及び第2の透光性電極層111b22をそれぞれパターニングすることができる。分離された電極ブロックにより、コントローラ113は、多指検出を実現することができる。
【0043】
図5を参照する。
図5は、本開示の一実施形態による3次元センシングモジュールを製造する方法のフローチャートである。
図5に示すように、3次元センシングモジュールの製造方法は、ステップS101~S103を含む。
【0044】
ステップS101では、第1のフレキシブルタッチ電極層を形成する。
【0045】
ステップS102では、透光性感圧複合層が、第1のフレキシブルタッチ電極層上にコーティングされる、ここで透光性感圧複合層は少なくとも1つの透光性電極層と少なくとも1つの機能性スペーサ層とを含み、透光性電極層の抵抗率が機能性スペーサ層の抵抗率よりも小さい。
【0046】
ステップS103では、第2のフレキシブルタッチ電極層が、透光性感圧複合層上にコーティングされる。
【0047】
一部の実施形態では、ステップS102は、ステップS102a~S102eを含む。
【0048】
ステップS102aでは、第1の機能性スペーサ層が、第1のフレキシブルタッチ電極層上にコーティングされる。
【0049】
ステップS102bでは、第1の透光性電極層が、第1の機能性スペーサ層上にコーティングされる。
【0050】
ステップS102cでは、第2の機能性スペーサ層が、第1の透光性電極層上にコーティングされる。
【0051】
ステップS102dでは、第2の透光性電極層が、第2の機能性スペーサ層上にコーティングされる。
【0052】
ステップS102eでは、第3の機能性スペーサ層が、第2の透光性電極層上にコーティングされる。
【0053】
いくつかの実施形態では、前述の工程におけるコーティングプロセスは、スピンコーティングプロセス又はスリットダイコーティングを含むが、本開示は、この点に関して限定されない。
【0054】
一部の実施形態では、ステップS102bとステップS102cの間に第1の透光性電極層をパターニングするステップを追加することができ、ステップS102dとステップS102eの間に第2の透光性電極層をパターニングするステップを追加することができる。
【0055】
本開示の実施形態の前述した説明によれば、本開示の3次元センシングモジュールにおいて、接触圧力感知構造は、2つのフレキシブルタッチ電極層と、それらの間に積層され透光性感圧複合層とによって形成され、2次元タッチ位置信号と3次元圧力感知信号とを同時に提供することが分かる。本開示の3次元センシングモジュールは、複数のコーティングプロセスのみによって簡単に完成させることができる。したがって、タッチモジュールと表示モジュールを別々に製造して接着する従来の複雑な方法と比較して、本開示の3次元センシングモジュールの製造プロセスは、接着剤の使用を完全に排除することができる。その結果、多層接着工程および接着剤の厚さを低減することができ、本開示の3次元センシングモジュールは、薄い設計を実現することができる。
【0056】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0057】
本開示の範囲または精神から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。以上のことを考慮して、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることを条件として、本開示の修正および変形をカバーすることを意図している。