(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022046
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】三次元検出パネル及びその製造方法並びに電子装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220127BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220127BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220127BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G02F1/1333
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
G06F3/041 660
G06F3/041 495
G06F3/044 125
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173835
(22)【出願日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】202010724407.4
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リー リエン シン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ジェン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン レン フン
(72)【発明者】
【氏名】チェン タイ シー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジュン チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユーチン
(72)【発明者】
【氏名】リン チュー チャン
【テーマコード(参考)】
2H189
5G435
【Fターム(参考)】
2H189LA07
2H189LA15
2H189LA28
2H189LA30
5G435AA17
5G435EE49
5G435GG43
5G435HH02
5G435KK07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】三次元検出パネル及びその製造方法並びに電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置100において、三次元検出パネルは、カバープレート110と、二次元タッチ検出モジュール140と、圧力検出被覆層160と、光透過性電極層170と、を含む。カバープレートは、タッチ領域111と、タッチ領域を囲む周辺領域112と、をその上に画定する。二次元タッチ検出モジュールは、タッチ領域に配置される。圧力検出被覆層は、二次元タッチ検出モジュールのカバープレートから離れた側にコーティングされる。光透過性電極層は、圧力検出被覆層の二次元タッチ検出モジュールから離れた側にコーティングされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ領域及び前記タッチ領域を囲む周辺領域を画定するカバープレートと、
前記タッチ領域に配置された二次元タッチ検出モジュールと、
前記二次元タッチ検出モジュールの前記カバープレートから離れた側にコーティングされた圧力検出被覆層と、
前記圧力検出被覆層の前記二次元タッチ検出モジュールから離れた側に被覆された光透過性電極層と、
を含む、
三次元検出パネル。
【請求項2】
前記圧力検出被覆層の材料は、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)を含む、
請求項1に記載の三次元検出パネル。
【請求項3】
前記圧力検出被覆層の厚さは、約7μm~約10μmの範囲内である、
請求項1又は2に記載の三次元検出パネル。
【請求項4】
前記二次元タッチ検出モジュールが、OGS-SITO(one glass solution single-sided indium tin oxide)型タッチモジュールである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項5】
前記光透過性電極層は、銀ナノワイヤ電極層である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項6】
前記三次元検出パネルのCIELAB色空間のL*軸の値が92以上であることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項7】
前記三次元検出パネルのCIELAB色空間のa*軸の値は、約-1.5~約1.5の範囲内である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項8】
前記三次元検出パネルのCIELAB色空間のb*軸の値は、約-2~約2の範囲内である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項9】
前記圧力検出被覆層は、互いに離間した複数の圧力検出ブロックを備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項10】
前記光透過性電極層は、互いに間隔を置いて配置され、前記圧力検出ブロックにそれぞれ接触する複数の電極ブロックを含む、
請求項9に記載の三次元検出パネル。
【請求項11】
タッチ領域及び前記タッチ領域を囲む周辺領域を画定するカバープレートと、
前記タッチ領域に配置された二次元タッチ検出モジュールと、
前記二次元タッチ検出モジュールの前記カバープレートから離れた側にコーティングされた圧力検出被覆層と、
前記圧力検出被覆層の前記二次元タッチ検出モジュールから離れた側に被覆された光透過性電極層と、
を含む、
三次元検出パネルと、
前記光透過性電極層の前記圧力検出被覆層とは反対側に配置された表示モジュールと、
を備える、
電子装置。
【請求項12】
カバープレート上に二次元タッチ検出モジュールを配置し、
前記二次元タッチ検出モジュールの前記カバープレートから離れた側にポリマー被覆層をコーティングし、
前記ポリマー被覆層を乾燥させ、乾燥ポリマー被覆層を形成し、
前記乾燥ポリマー被覆層の前記二次元タッチ検出モジュールから離れた側に光透過性電極層をコーティングし、
前記乾燥ポリマー被覆層をポーリングして、前記乾燥ポリマー被覆層を圧力検出被覆層に変換する、
三次元検出パネルの製造方法。
【請求項13】
前記光透過性電極層のコーティングは、前記乾燥ポリマー被覆層をポーリングする前に行われる、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光透過性電極層の被覆は、前記乾燥ポリマー被覆層をポーリングした後に行われる、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元検出パネル及びその製造方法並びに電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチモジュールの多様な開発により、タッチモジュールは工業用エレクトロニクス及び民生用エレクトロニクス製品に成熟して適用されてきた。スクリーン表面上のタッチ点の二次元位置(例えば、X軸方向とY軸方向)を決定することから、スクリーン表面に加えられる力の変化によって生じる力のパラメータ(例えば、Z軸方向)を検出することまで、要求は進歩した。フレキシブルパネルの適用要件も避けられない。
【0003】
しかしながら、従来の三次元タッチ-圧力一体型パネルでは、圧力センサは、通常、二次元タッチパネルの上下に取り付けられる。この製造方法は、従来の製造プロセスと統合できないだけでなく、追加の接着剤(光学的に透明な接着剤(OCA))の使用を必要とする。さらに、この種のアウトセルタッチ-圧力一体型パネルの設計においては、カバープレートに加えて、圧力センサを保護するために追加の透明フィルムが必要とされる。したがって、追加の製造工程が必要となり、追加のコストが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、上記課題を解決するための三次元検出パネルをどのように提供するかが産業界の重要課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上記課題を効率的に解決することができる三次元検出パネルを提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一実施形態によれば、三次元検出パネルは、カバープレート、二次元タッチ検出モジュール、圧力検出被覆層、及び光透過性電極層を含む。カバープレートは、タッチ領域とタッチ領域を囲む周辺領域とをその上に画定する。二次元タッチ検出モジュールは、タッチ領域に配置される。圧力検出被覆層は、二次元タッチ検出モジュールのカバープレートから離れた側にコーティングされる。光透過性電極層は、圧力検出被覆層の二次元タッチ検出モジュールから離れた側にコーティングされる。
【0008】
本開示の一実施形態では、圧力検出被覆層の材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む。
【0009】
本開示の一実施形態では、圧力検出被覆層の厚さは、約7μm~約10μmの範囲である。
【0010】
本開示の一実施形態では、二次元タッチ検出モジュールは、OGS-SITO(one glass solution single-sided indium tin oxide)型タッチモジュールである。
【0011】
本開示の一実施形態では、光透過性電極層は銀ナノワイヤ電極層である。
【0012】
本開示の一実施形態では、三次元検出パネルのCIELAB色空間のL*軸の値は、92以上である。
【0013】
本開示の一実施形態では、三次元検出パネルのCIELAB色空間のa*軸の値は、約-1.5~約1.5の範囲内である。
【0014】
本開示の一実施形態では、三次元検出パネルのCIELAB色空間のb*軸の値は、約-2~約2の範囲内である。
【0015】
本開示の一実施形態では、圧力検出被覆層は、複数の圧力検出ブロックを含む。圧力検出ブロックは互いに離間されている。
【0016】
本開示の一実施形態では、光透過性電極層は、複数の電極ブロックを含む。電極ブロックは互いに間隔をあけて配置され、圧力検出ブロックにそれぞれ接触する。
【0017】
本開示の一実施形態によれば、電子装置は、前記三次元検出パネルと、表示モジュールとを備える。表示モジュールは、圧力検出被覆層から離れた光透過性電極層側に配置される。
【0018】
本開示の一実施形態によれば、三次元検出パネルを製造する方法は、カバープレート上に二次元タッチ検出モジュールを配置し、二次元タッチ検出モジュールのカバープレートから離れた側にポリマー被覆層をコーティングし、ポリマー被覆層を乾燥させ、乾燥ポリマー被覆層を形成し、乾燥ポリマー被覆層の二次元タッチ検出モジュールから離れた側に光透過性電極層をコーティングし、乾燥ポリマー被覆層をポーリングして、乾燥ポリマー被覆層を圧力検出被覆層に変換する。
【0019】
本開示の一実施形態では、光透過性電極層の被覆は、乾燥ポリマー被覆層をポーリングする前に行われる。
【0020】
本開示の一実施形態では、光透過性電極層の被覆は、乾燥ポリマー被覆層をポーリングした後に行われる。
【0021】
従って、本開示の三次元検出パネルでは、二次元タッチ検出モジュールがOGS方式を採用しており、二次元タッチ検出モジュール上に圧力検出被覆層及び光透過性電極層がコーティングプロセスによって順次形成されている。したがって、接着剤の使用を省略することができ、全体の厚さ及び製造コストを効果的に低減することができる。また、OGS方式を用いた二次元タッチ検出モジュールは、GFF方式を用いた二次元タッチ検出モジュールよりも厚さが薄く(すなわち、OGS方式は、GFF方式の多層構造を積層するために接着剤を使用する厚さを排除し、結果として力伝達率の減少をもたらす一方で、タッチ検出電極層を単一層の厚さに濃縮するために、ブリッジとして誘電体層を使用する)、優れた信号導通特性を得ることができ、電力信号の抽出効率を向上させることができる。
【0022】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、実施例によるものであり、請求される開示のさらなる説明を提供することを意図していることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【0024】
【
図1】本開示の一実施形態による電子装置の概略図である。
【0025】
【
図1A】
図1の二次元タッチ検出モジュールの上面図である。
【0026】
【
図2】本開示の一実施形態による圧力検出被覆層の上面図である。
【0027】
【
図3】OGS(one glass solution)型タッチ検出モジュール及びGFF(glass-film-film)型タッチ検出モジュールをそれぞれ使用した三次元検出パネルの力対力信号強度のグラフである。
【0028】
【
図4】本開示の一実施形態による三次元検出パネルの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に例示されている本開示の実施形態を詳細に参照する。可能な限り、図面及び説明において同一の参照番号を使用して、同一又は類似の部分を参照する。しかしながら、ここで開示される特定の構造的及び機能的詳細は、例示的な実施形態を説明する目的のために単に代表的なものであり、多くの代替的な形態で具現化することができ、ここに記載される例示的な実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態を開示された特定の形態に限定する意図はないが、反対に、例示的な実施形態は、開示の範囲内にあるすべての改変、均等物、及び代替物をカバーするものであることを理解されたい。
【0030】
図1を参照する。
図1は、本開示の一実施形態による電子装置100の概略図である。
図1に示すように、本実施形態の電子装置100は、一例としてタッチ表示装置であり、三次元検出パネルと表示モジュール190とを備えている。表示モジュール190は、三次元検出パネルの下方に配置される。
【0031】
具体的には、三次元検出パネルは、カバープレート110と、遮蔽層120と、光学整合層130と、複数のトレース150(
図1では1つのみが示されている)とを含む。カバープレート110には、タッチ領域111と、タッチ領域111を囲む周辺領域112とが画定されている。遮蔽層120は、カバープレート110の周辺領域112に配置されている。光学整合層130は、カバープレート110上に配置され、遮蔽層120を覆い、タッチ領域111の上面を平坦にする。トレース150は、光学整合層130上に配置され、周辺領域112に配置される。従って、カバープレート110の底面から見ると、遮蔽層120はトレース150を観察者から遮蔽することができる。
【0032】
いくつかの実施態様において、カバープレート110の材料はガラスを含むが、本開示はこれに限定されない。
【0033】
図1Aを参照する。
図1Aは、
図1の二次元タッチ検出モジュール140の上面図である。
図1及び1Aに示すように、三次元検出パネルは、二次元タッチ検出モジュール140をさらに含む。二次元タッチ検出モジュール140は、タッチ領域111に配置され、第1タッチ検出電極層141と、誘電体層142と、第2タッチ検出電極層143とを含む。第1タッチ検出電極層141は、光学整合層130上に配置され、複数の第1軸導電ユニット141aを含み、(
図1Aに示すように)これらはタッチ領域111内で互いに離間されている。第2タッチ検出電極層143は、光学整合層130上に配置され、複数の第2軸導電ユニット143aを含み、これらはタッチ領域111内で互いに離間しており、第1軸導電ユニット141aと交差している。より具体的には、第1軸導電ユニット141aは、(
図1Aに示すように)第1軸導電チャネルを形成するように直列に接続された複数のダイヤモンド状電極であってもよいが、電極の形状はこれに限定されず、他の電極形状であってもよい。複数の第1軸導電チャネルは、第1タッチ検出電極層141を形成する。同様に、第2軸導電ユニット143aは、(
図1Aに示すように)第2軸導電チャネルを形成するように直列に接続された複数のダイヤモンド状電極であってもよいが、電極の形状はこれに限定されず、他の電極形状であってもよい。複数の第2軸導電チャネルは、第2タッチ検出電極層143を形成する。
【0034】
誘電体層142は、第1軸導電ユニット141aを覆い、第1軸導電ユニット141aと第2軸導電ユニット143aとを電気的に絶縁する。したがって、第1タッチ検出電極層141と第2タッチ検出電極層143との間のタッチ信号(相互キャパシタンス検出信号等)を、トレース150を介して抽出することができる。
【0035】
具体的には、前述の「第1軸」と「第2軸」は、例えば互いに直交する二つの軸(例えば、X軸とY軸)である。すなわち、第1軸導電ユニット141a(第1軸導電チャネル)は、第1軸に沿って延びる導電線であり、第2軸に沿って間隔をおいて配置することができる。第2軸導電ユニット143a(第2軸導電チャネル)は、第2軸に沿って延びる導電線であり、第1軸に沿って間隔をおいて配置することができる。
【0036】
また、第2軸導電ユニット143aは、第1軸導電ユニット141aと上方から交差しており、誘電体層142は、少なくとも第1軸導電ユニット141aと第2軸導電ユニット143aとの交差部において電気的に絶縁している。第2タッチ検出電極層143は、第1タッチ検出電極層141から誘電体層142によって分離されてブリッジ状の構造を形成していることがわかるので、本実施形態の二次元タッチ検出モジュール140は、OGS-SITO(One Glass Solution single-sided indium tin oxide (ITO))型タッチモジュールである。
【0037】
図1に示すように、三次元検出パネルは、圧力検出被覆層160及び光透過性電極層170をさらに含む。圧力検出被覆層160は、二次元タッチ検出モジュール140のカバープレート110から離れた側に被覆される。光透過性電極層170は、圧力検出被覆層160の二次元タッチ検出モジュール140から離れた側に被覆される。圧力検出被覆層160が発生する力信号は、光透過性電極層170を介して取り出すことができる。
【0038】
いくつかの実施態様において、圧力検出被覆層160の材料は、ポリフッ化ビニリデン (PVDF)を含む。すなわち、圧力検出被覆層160は、格子状の圧電材料である。この材料の結晶のある方向に圧力をかけて変形させると、双極子の大きさや方向も変化し、電荷量も変化して電圧が発生する。
【0039】
いくつかの実施態様において、圧力検出被覆層160の厚さは、約7μm~約10μmの範囲である(好ましくは約8μmである)。
【0040】
以上の構成により、二次元タッチ検出モジュール140は、OGS方式を採用しており、二次元タッチ検出モジュール140上に、圧力検出被覆層160及び光透過性電極層170がコーティングプロセスにより順次形成されているため、従来の三次元タッチ-圧力一体型パネルに二次元タッチパネルと外圧センサとを一体化するために用いられていた接着剤を省略することができ、全体の厚さ及び製造コストを効果的に低減することができる。
【0041】
図3を参照する。
図3は、OGS型タッチ検出モジュール及びGFF(Glass-Film-Film)型タッチ検出モジュールを用いた三次元検出パネルの力対力信号の強度のグラフである。例えば、
図3に示されるグラフを生成するために使用される実験的ターゲットは、
図1に示される三次元検出パネルと、GFF方式のタッチセンサモデルを使用する別の三次元検出パネルとすることができる。
図3から、同じ力の下でOGS型タッチ検出モジュールを用いた三次元検出パネルによって得られる力信号の強度は、GFF型タッチ検出モジュールを用いた三次元検出パネルのそれよりも著しく大きく、力信号の抽出効率の向上に役立つことが明らかである。本実施形態のOGS方式を採用した二次元タッチ検出モジュール140が優れた信号伝送特性を得ることができるのは、二次元タッチ検出モジュール140の厚さが薄いのに対し、GFF方式のタッチ検出モジュールは2枚のフィルムを接着するために必要な接着剤のために、厚ささが大きいからである。また、多層スタック構造によるGFF構造の過剰な厚さは、力伝達減衰を引き起こし、圧力検出によって抽出され得る力信号の明白でない強度をもたらすと言える。
【0042】
図1に示すように、三次元検出パネルは、接着剤180をさらに含む。表示モジュール190は、光透過性電極層170の圧力検出被覆層160から離れた側に接着されている。
【0043】
いくつかの実施態様において、光透過性電極層170は、銀ナノワイヤ(SNW、AgNWとも呼ばれる)電極層とすることができる。詳細には、光透過性電極層170は、基板と、その中にドープされた銀ナノワイヤとを含む。銀ナノワイヤは、基板内で互いに重なり合って、導電性ネットワークを形成する。基板は、コーティング、加熱、及び乾燥などのプロセスを介して、銀ナノワイヤを含む溶液によって形成される非ナノ銀材料を指す。銀ナノワイヤは、基板内に分布又は埋め込まれ、部分的に基板から突出する。基板は、銀ナノワイヤを腐食及び摩耗から保護するなど、外部環境から銀ナノワイヤを保護することができる。いくつかの実施態様において、基板は、圧縮可能である。
【0044】
いくつかの実施態様において、銀ナノワイヤのワイヤ長は、約10μm~約300μmの範囲である。いくつかの実施態様において、銀ナノワイヤのワイヤ直径(又はワイヤ幅)は、約500nm未満である。いくつかの実施態様において、銀ナノワイヤのアスペクト比(ワイヤの長さとワイヤの直径の比率)は、10を超える。いくつかの実施形態において、銀ナノワイヤは、銀で被覆された他の導電性金属ナノワイヤ又は非導電性ナノワイヤなどの変形形態とすることができる。銀ナノワイヤ電極層を形成するための銀ナノワイヤの使用は、ITOと比較して、低価格、単純なプロセス、良好な柔軟性、屈曲に対する耐性などの利点を有する。
【0045】
いくつかの実施態様において、第1タッチ検出電極層141又は第2タッチ検出電極層143の少なくとも一方は、銀ナノワイヤ電極層、金属グリッド又はインジウムスズ酸化物(ITO)電極層とすることができるが、本開示は、これに限定されない。
【0046】
いくつかの実施態様において、三次元検出パネルは、90%を超える光透過率(400~700nmの波長範囲の波長を有する可視光)及び3%未満のヘイズを有する。三次元検出パネルを光透過率及びヘイズに関する前述の要件を満たすようにするために、いくつかの実施態様において、第1タッチ検出電極層141又は第2タッチ検出電極層143の少なくとも一方は、銀ナノワイヤ電極層である。
【0047】
いくつかの実施形態では、比色計によって測定された三次元検出パネルのCIELAB色空間のL*軸(輝度軸)の値は92以上であるが、本開示はこの点に関して限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態では、比色計によって測定される三次元検出パネルのCIELAB色空間のa*軸(すなわち赤-緑軸)の値は、約-1.5~約1.5の範囲であるが、本開示は、この点に関して限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態では、三次元検出パネルのCIELAB色空間のb*軸(すなわち、黄-青軸)の値は、約-2~約2の範囲であるが、本開示は、この点に関して限定されない。
【0050】
図2を参照する。
図2は、本開示の一実施形態による圧力検出被覆層160の上面図である。
図2に示すように、圧力検出被覆層160は、複数の圧力検出ブロック161を含む。圧力検出ブロック161は、互いに離間している。また、光透過性電極層170は、複数の電極ブロック(図示しないが、圧力検出ブロック161の形状を参照されたい)を含む。電極ブロックは、互いに間隔をあけて配置され、圧力検出ブロック161にそれぞれ接触している。これにより、各圧力検出ブロック161で発生した力信号を各電極ブロックから抽出することができ、多指圧力検出を行うことができる。
【0051】
図4を参照する。
図4は、本開示の一実施形態による三次元検出パネルの製造方法のフローチャートである。
図4に示すように、本方法は、ステップS101~S105を含む。
【0052】
ステップS101では、カバープレート上に二次元タッチ検出モジュールを配置する。
【0053】
ステップS102では、二次元タッチ検出モジュールのカバープレートから離れた側にポリマー被覆層をコーティングする。
【0054】
いくつかの実施形態では、ステップS102は、印刷プロセスによって実行され得るが、開示はこの点に関して限定されない。
【0055】
ステップS103では、ポリマー被覆層を乾燥する。
【0056】
いくつかの実施態様において、ステップS103は、ポリマー被覆層を約60℃の温度で約30分間焼成し、次いでポリマー被覆層を約135℃の温度で約30分間アニールすることによって実施することができるが、開示はこの点に関して限定されない。
【0057】
ステップS104において、乾燥したポリマー被覆層の二次元タッチ検出モジュールから離れた側に光透過性電極層を被覆する。
【0058】
いくつかの実施形態では、ステップS104は、約3000rpmの回転速度を有するスピンコーティングプロセスによって行うことができるが、開示はこの点に関して限定されない。
【0059】
ステップS105では、乾燥したポリマー被覆層をポーリングして、乾燥したポリマー被覆層を圧力検出被覆層に変換する。
【0060】
いくつかの実施態様において、ポリマー被覆層の材料は、PVDFを含む。ポリマー被覆層をポーリングする前には、双極子の方向はランダムに配置される。乾燥したポリマー被覆層をポーリングするとき、電場の磁力線に基づいて双極子の方向が順方向に整列するように、乾燥したポリマー被覆層に電場を印加することができる。
【0061】
本実施形態では、光透過性電極層のコーティング工程(すなわち、ステップS104)は、乾燥ポリマー被覆層のポーリング工程(すなわち、ステップS105)の前に行っているが、他の実施形態では、光透過性電極層のコーティング工程は、乾燥ポリマー被覆層のポーリング工程の後に行ってもよい。
【0062】
本開示の実施形態の前述の説明によれば、本開示の三次元検出パネルにおいて、二次元タッチ検出モジュールはOGS方式を採用し、圧力検出被覆層及び光透過性電極層は、コーティングプロセスによって二次元タッチ検出モジュール上に順次形成されることが分かる。したがって、接着剤の使用を省略することができ、全体の厚さ及び製造コストを効果的に低減することができる。また、OGS方式を用いた二次元タッチ検出モジュールは、GFF方式を用いた二次元タッチ検出モジュールよりも厚さが薄く(すなわち、OGS方式は、GFF方式の多層構造を積層するために接着剤を使用する厚さを排除し、結果として力伝達率の減少をもたらす一方で、タッチ検出電極層を単一層の厚さに濃縮するために、ブリッジとして誘電体層を使用する)、優れた信号導通特性を得ることができ、電力信号の抽出効率を向上させることができる。
【0063】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されたが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0064】
本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。以上のことを考慮して、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることを条件として、本開示の修正及び変形をカバーすることを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ領域及び前記タッチ領域を囲む周辺領域を画定するカバープレートと、
前記タッチ領域に配置された二次元タッチ検出モジュールと、
前記二次元タッチ検出モジュールの前記カバープレートから離れた側面に設けられ、接触する圧力検出被覆層と、
前記圧力検出被覆層の前記二次元タッチ検出モジュールから離れた側面に設けられ、接触する光透過性電極層と、
を含む、
三次元検出パネル。
【請求項2】
前記圧力検出被覆層の材料は、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)を含む、
請求項1に記載の三次元検出パネル。
【請求項3】
前記圧力検出被覆層の厚さは、約7μm~約10μmの範囲内である、
請求項1又は2に記載の三次元検出パネル。
【請求項4】
前記二次元タッチ検出モジュールが、OGS-SITO(one glass solution single-sided indium tin oxide)型タッチモジュールである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項5】
前記光透過性電極層は、銀ナノワイヤ電極層である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項6】
前記三次元検出パネルのCIELAB色空間のL*軸の値が92以上であることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項7】
前記三次元検出パネルのCIELAB色空間のa*軸の値は、約-1.5~約1.5の範囲内である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項8】
前記三次元検出パネルのCIELAB色空間のb*軸の値は、約-2~約2の範囲内である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項9】
前記圧力検出被覆層は、互いに離間した複数の圧力検出ブロックを備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の三次元検出パネル。
【請求項10】
前記光透過性電極層は、互いに間隔を置いて配置され、前記圧力検出ブロックにそれぞれ接触する複数の電極ブロックを含む、
請求項9に記載の三次元検出パネル。
【請求項11】
タッチ領域及び前記タッチ領域を囲む周辺領域を画定するカバープレートと、
前記タッチ領域に配置された二次元タッチ検出モジュールと、
前記二次元タッチ検出モジュールの前記カバープレートから離れた側面に設けられ、接触する圧力検出被覆層と、
前記圧力検出被覆層の前記二次元タッチ検出モジュールから離れた側面に設けられ、接触する光透過性電極層と、
を含む、
三次元検出パネルと、
前記光透過性電極層の前記圧力検出被覆層とは反対側に配置された表示モジュールと、
を備える、
電子装置。
【請求項12】
カバープレート上に二次元タッチ検出モジュールを配置し、
前記二次元タッチ検出モジュールの前記カバープレートから離れた側にポリマー被覆層をコーティングし、
前記ポリマー被覆層を乾燥させ、乾燥ポリマー被覆層を形成し、
前記乾燥ポリマー被覆層の前記二次元タッチ検出モジュールから離れた側に光透過性電極層をコーティングし、
前記乾燥ポリマー被覆層をポーリングして、前記乾燥ポリマー被覆層を圧力検出被覆層に変換する、
三次元検出パネルの製造方法。
【請求項13】
前記光透過性電極層のコーティングは、前記乾燥ポリマー被覆層をポーリングする前に行われる、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光透過性電極層の被覆は、前記乾燥ポリマー被覆層をポーリングした後に行われる、
請求項12に記載の方法。