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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022064
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】バルブ構造及びバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/22 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
F16K1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213517
(22)【出願日】2020-12-23
(62)【分割の表示】P 2020125143の分割
【原出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】391060432
【氏名又は名称】株式会社オーケーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(74)【代理人】
【識別番号】100199831
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(74)【代理人】
【識別番号】100203688
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】徳谷 保浩
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA26
3H052CB23
(57)【要約】
【課題】本願発明の目的は、組み立てが容易なバルブ構造及びバルブを提供することである。
【解決手段】バタフライバルブ12を、筒状部16から突出する突出部18を有する弁箱14と、円筒部26が弁箱14の筒状部16内に配置されたシートリング24と、シートリング24の円筒部26内に配置された弁体30と、弁箱14の突出部18に接続する首部材40と、貫通方向先端が弁体に30に固定された弁棒32と、を備えて構成した。弁箱14を、2個の弁箱構成部品(1)及び(2)を連結することにより、シートリング24の円筒部26が弁箱14の筒状部16内に配置されるように構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部と、該筒状部に連続する連接部と、を有する金属製の弁箱と、
円筒部を有し、該円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置されたシートリングと、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、を備えたバルブを構成するバルブ構造であり、
前記弁箱と、
前記シートリングと、
前記弁箱が有する前記筒状部と前記シートリングが有する前記円筒部との間に設けられ、空気が存在する略リング形状の空間部と、
を含み、
前記弁箱は、複数の弁箱構成部品から構成され、
前記複数の弁箱構成部品を連結することにより、前記シートリングの前記円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置された状態となるように構成され、
前記空間部内に、前記円筒部に接触する接触板であって該円筒部の円周方向全体に渡って覆う連続する略リング形状の接触板を有しており、該円筒部の円周方向全体に渡って覆う連続する略リング形状の断熱部材を備え、
流路を流れる流体から前記シートリングに伝わった低温が、前記弁箱の前記筒状部に伝わり難くなるように構成したバルブ構造。
【請求項2】
前記断熱部材は、前記接触板と、該接触板から前記弁箱へ向かって膨出する複数枚の円弧状の膨出部と、該接触板及び相対向する2枚の膨出部に連続する複数枚のフィンとを、備える請求項1に記載するバルブ構造。
【請求項3】
前記断熱部材は、放射状に分割されて構成され、4個の断熱部材構成部品が時計回りに配置され組み合わされて略リング形状を構成する請求項1又は2に記載するバルブ構造。
【請求項4】
前記空間部内に、熱伝導率の低い空気層及び熱伝導率の低い断熱部材層の2層が存在し、
異なる物体間の熱伝達による熱損失により、流路を流れる流体から前記シートリングに伝わった低温が、前記弁箱の前記筒状部に伝わり難くなるように構成した請求項1~3のいずれかに記載するバルブ構造。
【請求項5】
前記首部材と、
前記弁箱の前記連接部と前記首部材との間に介装された断熱性を有する介装部材と、
を備えた請求項1~4のいずれかに記載するバルブ構造。
【請求項6】
前記請求項1~4のいずれかに記載するバルブ構造と、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、
を備えたバルブ。
【請求項7】
前記請求項1~4のいずれかに記載するバルブ構造と、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、
前記弁箱の前記連接部と前記首部材との間に介装された断熱性を有する介装部材と、
を備えたバルブ。
【請求項8】
前記請求項2に記載するバルブ構造の組立方法であり、
2個の弁箱構成部品が、断熱部材の膨出部の側壁に沿って摺動しながら、互いに接近させられるステップと、
一方の弁箱構成部品の係合突起と他方の弁箱構成部品の係合凹部とが係合されるステップと、
2個の弁箱構成部品が互いに当接されるステップと、
を含む組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、バタフライバルブ等のバルブを構成するバルブ構造及びバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体の流れを閉鎖又は開放するためにバタフライバルブ(バルブ)が使用されている。図8に、一例として、バタフライバルブ100を示す。バタフライバルブ100は、弁箱104と、シートリング110と、弁体108と、首部材112と、弁棒106と、を備えている。弁箱104は、筒状部103と、筒状部103から突出する突出部105と、を有する。シートリング110は、円筒部109を有し、円筒部109が弁箱104の筒状部103内に嵌め込まれて配置されるように構成されている。弁体108は、シートリング110の円筒部109内に配置される。円筒部109の内側中空部が流路102を構成する。首部材112は、回転駆動手段や制御手段等を有するバルブ駆動部(図示しない)に固定するフランジ(固定部)118を有し、弁箱104の突出部105に接続するように構成されている。弁棒106は、首部材112、弁箱104の突出部105、及びシートリング110に回転可能に貫通され、貫通方向先端(図示しない)が弁体108に固定され、弁体108とともに回転中心C0のまわりに回転するように構成されている。シートリング110は、弁体108が当接するシート部114を有している。首部材112は、筒状部116の下部が弁箱104の突出部105に挿入されている。
【0003】
バタフライバルブ100は、組み立て工程において、シートリング110を弁箱104の筒状部103内に嵌め込むために、シートリング110の形状を変形させる必要がある。例えば、図9に示すように、シートリング110の一部120を握持して矢印Aに示すように捩じり、シートリング110を、筒状部103に嵌め込める形状に変形させておいて筒状部103に圧入して配置する必要がある。シートリング110は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴムから形成されているが、円筒部109は分厚く、シートリング110を変形させるのは困難であった。このため、バタフライバルブ100の組み立ては困難であった。なお、バタフライバルブが有するシートリングの取り付けに関連する文献が存在する(特許文献1参照。)。しかし、本願発明に関連するものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-153266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明の目的は、組み立てが容易なバルブ構造及びバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のバルブ構造は、筒状部と、該筒状部に連続する連接部と、を有する弁箱と、
円筒部を有し、該円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置されたシートリングと、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、を備えたバルブを構成するバルブ構造であり、
前記弁箱と、
前記シートリングと、
を含み、
前記弁箱は、複数の弁箱構成部品から構成され、
前記複数の弁箱構成部品を連結することにより、前記シートリングの前記円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置された状態となるように構成されたことを特徴とする。
【0007】
また、本願発明のバルブ構造は、前記バルブ構造において、
前記弁箱と、
前記シートリングと、
前記弁箱と前記シートリングとの間に設けられた略リング形状の空間部と、
前記空間部内に配置される略リング形状の断熱部材と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本願発明のバルブ構造は、前記バルブ構造において、
前記複数の弁箱構成部品は、前記断熱部材の外周面に接触するように配置されたことを特徴とする。
【0009】
また、本願発明のバルブ構造は、前記バルブ構造において、一方の弁箱構成部品の連接部に、係合突起が設けられ、他方の弁箱構成部品の連接部に、該係合突起に係合される係合凹部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
本願発明のバルブ構造は、前記バルブ構造において、前記断熱部材の前記外周面と、前記弁箱の内周面とが、前記弁棒の回転中心に対する垂直断面において、円弧形状であり、互いに接触するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本願発明のバルブ構造は、前記バルブ構造において、前記シートリングの外周面と、前記弁箱の内周面とが、前記弁棒の回転中心に対する垂直断面において、円弧形状であり、互いに接触するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本願発明のバルブ構造は、前記バルブ構造において、前記シートリングは、前記弁体の外周面が当接するシート部を有し、
前記シート部は前記弁体側が凹む凹曲面を有し、
前記弁体は、前記弁棒の回転中心のまわりに回転し、前記外周面が前記凹曲面に当接し、該外周面が該凹曲に入り込むシール量が徐々に増大した後停止するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本願発明のバルブは、筒状部と、該筒状部に連続する連接部と、を有する弁箱と、
円筒部を有し、該円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置されたシートリングと、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、
を備えたバルブであり、
前記バルブ構造を備えたことを特徴とする。
【0014】
本願発明の組立方法は、前記バルブ構造の組立方法であり、
2個の弁箱構成部品が、断熱部材に沿って摺動しながら、互いに接近させられるステップと、
一方の弁箱構成部品の係合突起と他方の弁箱構成部品の係合凹部とが係合されるステップと、
2個の弁箱構成部品が互いに当接されるステップと、
を含むことを特徴とする。
【0015】
弁箱が複数の弁箱構成部品から構成される本願発明のバルブが備えるバルブ断熱構造は、
筒状部と、該筒状部に連続する連接部と、を有する弁箱と、
円筒部を有し、該円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置されたシートリングと、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、
を備えたバルブのバルブ断熱構造であり、
前記弁箱と、
前記シートリングと、
前記弁箱と前記シートリングとの間に設けられた略リング形状の空間部と、
から構成されたことを特徴とする。
【0016】
また、本願発明のバルブが備えるバルブ断熱構造は、前記バルブ断熱構造において、前記空間部内に略リング形状の断熱部材を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本願発明のバルブが備えるバルブ断熱構造は、前記バルブ断熱構造において、前記断熱部材は、放射状に複数に分割されて構成されたことを特徴とする。
【0018】
弁箱が複数の弁箱構成部品から構成される本願発明のバルブが備えるバルブ断熱構造は、
筒状部と、該筒状部に連続する連接部と、を有する弁箱と、
円筒部を有し、該円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置されたシートリングと、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、
を備えたバルブのバルブ断熱構造であり、
前記弁箱と、
前記首部材と、
前記弁箱の前記連接部と前記首部材との間に介装された断熱性を有する介装部材と、
から構成されたことを特徴とする。
【0019】
弁箱が複数の弁箱構成部品から構成される本願発明のバルブにおいて、
筒状部と、該筒状部に連続する連接部と、を有する弁箱と、
円筒部を有し、該円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置されたシートリングと、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、
前記弁箱と前記シートリングとの間に設けられた略リング形状の空間部と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本願発明のバルブにおいて、前記空間部内に略リング形状の断熱部材を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本願発明のバルブにおいて、前記断熱部材は、放射状に複数に分割されて構成されたことを特徴とする。
【0022】
また、本願発明のバルブにおいて、前記弁棒と反対方向から前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された補助弁棒を備え、
前記断熱部材は、前記補助弁棒を回転可能に保持することを特徴とする。
【0023】
弁箱が複数の弁箱構成部品から構成される本願発明のバルブにおいて、
筒状部と、該筒状部に連続する連接部と、有する弁箱と、
円筒部を有し、該円筒部が前記弁箱の前記筒状部内に配置されたシートリングと、
前記シートリングの前記円筒部内に配置された弁体と、
バルブ駆動部に固定する固定部と、前記弁箱の連接部に直接的又は間接的に接続される接続部と、を有する首部材と、
前記首部材、前記弁箱の前記連接部、及び前記シートリングに回転可能に貫通され、貫通方向先端が前記弁体に固定された弁棒と、
前記弁箱の前記接続部と首前首部材との間に介装された断熱性を有する介装部材と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本願発明によれば、シートリングの円筒部の外周に複数の弁箱構成部品を配置して連結することにより、シートリングの円筒部が弁箱の筒状部内に配置されて嵌め込まれた状態となる。このため、シートリングの円筒部を弁箱の筒状部内に嵌め込むために、シートリングを変形させる必要がない。これにより、シートリングと弁箱とを組み付けるのが容易であり、バルブの組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願発明に係るバルブ構造及びバルブを示す正面断面図である。
図2図1に示すバルブを組み立てる状態を示す分解斜視図である。
図3図1に示すバルブ構造の作用を説明するための断面図であり、シートリングの上端付近の一部省略平面断面図を示し、同図(b)はシートリングの上端付近の正面断面図を示し、同図(c)はシートリングの下端付近の正面断面図を示す。
図4】本願発明のバルブ構造の他の実施形態を示すA-A線切断部断面図である。
図5図4のバルブ構造のシートリングの凹曲面の形成方法の一例を説明するための概念図である。
図6】同図(a)は、本願発明のバルブ構造の他の実施形態を示す断面図であり、同図(b)は、同図(a)のバルブ構造の作用を示す断面図であり、同図(c)は、従来のバルブ構造を示す断面図であり、同図(d)は、同図(c)のバルブ構造の作用を示す断面図である。
図7】同図(a)は、本願発明のバルブ構造の他の実施形態を示す断面図であり、同図(b)は、従来のバルブ構造を示す断面図である。
図8】従来のバルブを示す斜視図である。
図9】従来のバルブの課題を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明に係るバルブ構造及びバタフライバルブ(バルブ)の実施形態について図面に基づいて説明する。図1及び図2において、符号200は、本願発明に係るバルブ構造であり、符号12は本願発明に係るバルブである。以下、バルブ構造200及びバタフライバルブ12の構成について、図1及び図2に基づいて説明する。
【0027】
(構成)
本願発明のバタフライバルブ12は、弁箱14と、シートリング24と、弁体30と、首部材40と、弁棒32と、断熱部材58と、を備えて構成される。
【0028】
(弁箱14)
まず、バタフライバルブ12は、筒状部16と、筒状部16に連続して筒状部16から突出し、中空部76を有する突出部(連接部)18と、を有する弁箱14を備える。弁箱14は、内周面14Iが後述する断熱部材58の膨出部(リブ)59の外周面59Sに接触するように配置された2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)から構成される。内周面14I及び外周面59Sは、円弧形状を有し互いに接触する。また、弁箱14は、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)を連結することにより、後述のシートリング24の円筒部26が弁箱14の筒状部16内に配置されて嵌め込まれた状態となるように構成されている。弁箱構成部品14(1)及び14(2)は、ボルト20及びナット22によって連結される。弁箱14は、アルミニウム(純アルミ又はアルミ合金)から形成される。弁箱14は、アルミニウム以外の金属から形成されてもよい。弁箱構成部品14(1)の突出部18に、係合突起204(図2に示す)が設けられ、弁箱構成部品14(2)の突出部18に、係合突起204に係合される係合凹部(図示しない)が設けられている。また、弁箱構成部品14(1)の突出部18に、係合凹部206(図2に示す)が設けられ、弁箱構成部品14(2)の突出部18に、係合凹部206に係合される係合凹部(図示しない)が設けられている。
【0029】
(シートリング24及び流路27)
バタフライバルブ12は、円筒部26を有し円筒部26が弁箱14の筒状部16内に配置されるシートリング24を備える。シートリング24は、ゴム又は樹脂から形成される。シートリング24は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンゴム)又はNBR(ニトリゴム)から形成され、他のゴム又は樹脂から形成されてもよい。シートリング24は、Y軸方向(流路方向)において、後述の断熱部材58を挟持する2個の膨出部25を備える。シートリング24は、後述の弁体30が当接されるシート部28を有している。シート部28は、円筒部26の内面26Iから突出し、湾曲した帯状である。シート部28の断面形状は、特に限定されない。円筒部26の内側中空部は、流路27を構成する。
【0030】
(弁体30)
バタフライバルブ12は、シートリング24の円筒部26内に配置された弁体30を備える。弁体30は、略円盤形状又は略円板形状である。弁体30は、ステンレスから形成される。弁体30は、ステンレス以外の金属から形成されてもよい。弁体30は、後述の弁棒32を挿入して固定する固定穴34と、後述の補助弁棒36を挿入して固定する固定穴38と、を備えている。
【0031】
(首部材40)
バタフライバルブ12は、ボルト(図示しない)によって、バルブ駆動部46に固定するフランジ(固定部)42と、弁箱14の突出部18に間接的に接続される円筒状の接続部44と、を有する首部材40を備える。首部材40は、アルミニウムから形成され、アルミニウム以外の金属から形成されてもよい。バルブ駆動部46は、弁体30及び後述の弁棒32を回転駆動させるための回転駆動手段や制御手段等を有している。バルブ駆動部46は、レバー式、ギヤー式、シリンダ式、電動式等の公知のものが用いられる。接続部44は、後述の介装部材48を介して、弁箱14の突出部18にボルト78によって固定される。フランジ42は、熱伝導率の低い空気が存在する空間43が設けられている。結果的に、フランジ42とバルブ駆動部46との断熱効果を向上させることができる。
【0032】
(弁棒32)
バタフライバルブ12は、首部材40、後述の介装部材48、弁箱14、及びシートリング24に回転可能に貫通され、貫通方向先端52が弁体30に固定された弁棒32を備える。弁棒32は、ステンレスから形成され、ステンレス以外の金属から形成されてもよい。弁棒32は、貫通方向後端54が、回転駆動手段によって回転させられる回転軸56に固定される。回転軸56、弁棒32及び弁体30は、バルブ駆動部46によって、一体的に、弁箱14、及びシートリング24等に対して、回転中心C1のまわりに回転する。弁棒32は、熱伝導率の低い空気が存在する中空部55を有する。弁棒32と回転軸56との断熱のためである。
【0033】
(空間部70及び断熱部材58)
バタフライバルブ12は、弁箱14の筒状部16とシートリング24の円筒部26との間に設けられた略リング形状の空間部70を備える。バタフライバルブ12は、筒状部16と円筒部26との間の空間部70内に略リング形状の断熱部材58を備える。断熱部材58は、断熱性を有する樹脂から形成され、例えばPOM(ポリアセタール)から形成され、POM以外の断熱性を有する樹脂から形成されてもよい。断熱部材58は、弁箱14の筒状部16とシートリング24の円筒部26との間に挟持され、シートリング24の2個の膨出部25の間に挟持される。断熱部材58は、断熱部材構成部品58(1)、58(2)、58(3)及び58(4)が組み合わされて構成される。断熱部材構成部品58(1)、58(2)、58(3)及び58(4)が、時計回りに配置され組み合わされることにより、略リング形状を構成する。すなわち、断熱部材58は、放射状に、断熱部材構成部品58(1)、58(2)、58(3)及び58(4)の4個に分割されて構成されている。断熱部材構成部品58(1)、58(2)、58(3)及び58(4)は、各々、シートリング24の円筒部26に接触する接触板57と、接触板57から弁箱14へ向かって膨出する複数枚の円弧状の膨出部59と、接触板57及び相対向する2枚の膨出部59に連続する複数枚のフィン61とを、備える。複数枚の膨出部59の中の相対向する2枚と、複数枚のフィン61の中の相対向する2枚と、によって囲まれる空間(部材は存在しない)が複数個形成される。この空間の各々には、熱伝導率の低い空気を存在させることができる。
【0034】
断熱部材構成部品58(1)は、弁棒32が挿入される孔62が設けられている。断熱部材構成部品58(1)は、弁箱14の筒状部16とシートリング24の円筒部26との間に挟持され、弁棒32が孔62に挿入され、シートリング24の2個の膨出部25によって挟持されることにより、弁箱14等に対するXYZ方向の移動が規制される。断熱部材構成部品58(3)は、後述の補助弁棒36が挿入される穴64が設けられている。なお、本願明細書において、貫通するものを「孔」と言い、貫通しないで底面を有するものを「穴」と言う。断熱部材構成部品58(3)の中の穴64は、補助弁棒36を回転可能に保持する。断熱部材構成部品58(3)は、弁箱14の筒状部16とシートリング24の円筒部26との間に挟持され、補助弁棒36が穴64に挿入され、シートリング24の2個の膨出部25によって挟持されることにより、弁箱14等に対するXYZ方向の移動が規制される。
【0035】
断熱部材構成部品58(2)及び58(4)は、夫々、断熱部材構成部品58(1)と断熱部材構成部品58(3)との間に挟持される。断熱部材構成部品58(2)及び58(4)は、弁箱14の筒状部16とシートリング24の円筒部26との間に挟持され、シートリング24の2個の膨出部25によって挟持され、断熱部材構成部品58(1)と断熱部材構成部品58(3)との間に挟持されることにより、弁箱14等に対するXYZ方向の移動が規制される。このため、断熱部材構成部品58(1)を、シートリング24の円筒部26に取り付け、断熱部材構成部品58(3)を円筒部26に取り付けて保持しておいて、断熱部材構成部品58(2)及び58(4)を断熱部材構成部品58(1)と断熱部材構成部品58(3)との間に挟持した状態とすることができる。この状態で、断熱部材構成部品58(1)、58(2)、58(3)及び58(4)を包み込むように、弁箱構成部品14(1)と14(2)とを組み合わせれば、断熱部材58全体のシートリング24等への取り付けが容易となる。
【0036】
断熱部材58は、断熱部材構成部品58(1)と58(2)との間、断熱部材構成部品58(2)と58(3)との間、断熱部材構成部品58(3)と58(4)との間、及び、断熱部材構成部品58(4)と58(1)との間に予めクリアランスを設けて形成してもよい。この場合、各断熱部材構成部品の製造精度が、断熱部材58をシートリング24に取り付け作業に影響を与えることがない。すなわち、断熱部材58をシートリング24に取り付けるときに、各断熱部材構成部品が大きすぎて、シートリング24に各断熱部材構成部品を組み合わせることができないのを防止できる。
【0037】
(介装部材48)
バタフライバルブ12は、弁箱14の突出部18と首部材40の接続部44との間に介装される介装部材48を備える。介装部材48は、断熱性を有する樹脂から形成される。介装部材48は、例えば、POM(ポリアセタール)から形成され、POM以外の断熱性を有する樹脂から形成されてもよい。介装部材48は、突出部18と接続部44とに挟持される被挟持部66と、弁棒32が挿入され、突出部18の中空部76に挿入される筒状部68と、を備える。介装部材48は、突出部18と接続部44とがボルト78によって固定されることにより、被挟持部66が突出部18と接続部44との間に挟持され固定される。
【0038】
(補助弁棒36)
バタフライバルブ12は、弁棒32と反対方向からシートリング24に回転可能に貫通され、貫通方向先端80が弁体30に固定される補助弁棒36を備える。補助弁棒36は、ステンレスから形成され、ステンレス以外の金属から形成されてもよい。補助弁棒36は、断熱部材構成部品58(3)の穴64に挿入され、穴64の内周壁及び底面74によって回転可能に保持される。
【0039】
(バルブ構造200、バルブ断熱構造10及び11)
バルブ構造200は、バタフライバルブ12を構成し、弁箱14と、シートリング24と、空間部70と、断熱部材58とから構成される。バルブ断熱構造10は、バタフライバルブ12を構成し、弁箱14と、シートリング24と、空間部70と、断熱部材58とから構成される。すなわち、バルブ構造200は、バルブ断熱構造10を構成する。バルブ断熱構造11は、バタフライバルブ12を構成し、弁箱14と、首部材40と、介装部材48とから構成される。
【0040】
(作用及び効果)
(シートリング24及び弁箱14の取り付け)
上述のように、断熱部材構成部品58(1)を、シートリング24の円筒部26に取り付け、断熱部材構成部品58(3)を補助弁棒36に取り付けて保持しておいて、断熱部材構成部品58(2)及び58(4)を、各々、断熱部材構成部品58(1)と断熱部材構成部品58(3)との間に挟持した状態に、断熱部材58がシートリング24に取り付けられる。次に、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)が、断熱部材58に重ね合わされ、ボルト20及びナット22によって連結される。これにより、シートリング24の円筒部26が弁箱14の筒状部16内に挟み込むように配置された状態となる。このため、シートリング24の円筒部26を弁箱14の筒状部16内に配置するために、図9に示すように、シートリング110を変形させて弁箱14に押し込む必要はない。これにより、シートリング24と弁箱14とを組み付けるのが容易であり、バタフライバルブ12の組み立てが容易となる。また、ロボットを用いてシートリング24を弁箱14に嵌め込むことが可能となり、自動組み立てへ進行させることができる。
【0041】
また、ボルト20及びナット22を取り外して弁箱構成部品58(1)と弁箱構成部品58(2)とを離脱させることにより、断熱部材構成部品58(2)、(3)及び(4)をシートリング24から取り外すことができ、バルブ12を分解することが容易となり、シールの調整が容易となる。
【0042】
次に、弁箱14の組立の流れについて、時系列的に、以下に説明する。第一段階として、図3(a)に示すように、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)が、断熱部材58の中でY軸方向最外郭の2個の膨出部59の間において、2個の膨出部59の側壁に沿って摺動しながら、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)は、互いに接近させられる。2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)が互いに接近させられた後、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)が介装部材48に係合される。
【0043】
第二段階として、図3(b)に示すように、弁箱構成部品14(1)及び14(2)の内周面14Iが、断熱部材構成部品58(1)の膨出部59の外周面59Sに接触し摺動しながら、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)は、互いに接近させられる。第三段階として、図3(c)に示すように、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)の内周面14Iが、断熱部材構成部品58(3)の膨出部59の外周面59Sに接触し摺動しながら、弁箱構成部品14(1)及び14(2)は、互いに接近させられる。第四段階として、係合突起204と係合凹部206とが係合され、2個の弁箱構成部品14(1)及び14(2)が互いに当接され連結される。この時、弁箱構成部品14(1)及び14(2)は、内周面14Iの円弧形状が外周面59Sの円弧形状に当接する。上述のように、段階的に、弁箱構成部品14(1)と弁箱構成部品14(2)とを組み合せるため、部品同士の位置を合わせる気遣いをなくし、相対位置の調整作業をなくすことができる。また、上述のように、シートリング24の上端付近及び下端付近において、断熱部材58の膨出部59又は係合突起204等を位置決めのための案内として、弁箱構成部品14(1)及び14(2)を接近させて連結させることができる。このため、バタフライバルブ12の組立の容易化を図ることができる。
【0044】
次に、本願発明のバタフライバルブ12の流路27を流れる流体と、バルブ駆動部46と、の間の断熱の作用及び効果について、以下に説明する。バタフライバルブ12の場合、流路27に低温の流体が流れることにより、流路27を流れる流体の低温は、流体の接触面積の大きなシートリング24の円筒部26に伝わり(熱は高温側の円筒部26から低温側の流体へ移動する。)、円筒部26の外周面に伝わる。
【0045】
ここで、弁箱14の筒状部16とシートリング24の円筒部26との間には、空間部70が存在する。空間部70内の空気の熱伝導率は低いため、円筒部26の外周面の低温は、空間部70を通って筒状部16に伝わり難くなる(高温側の筒状部16から低温側の円筒部26へ熱が移動し難くなる。)。また、空間部70内では、円筒部26の外周面と断熱部材58との隙間に沿って、より低温の空気は下部へ移動し、より高温の空気は、弁箱14の上部の突出部18に近接する上部へ移動する。このため、バルブ駆動部46がバタフライバルブ12の上に位置する場合、低温は、突出部18に伝わり難くなり、突出部18に近接する首部材40に伝わり難くなる(突出部18と首部材40との間には、介装部材48が存在するが、介装部材48の作用及び効果は後述する。)。これにより、低温は、首部材40のフランジ42に伝わり難くなり、フランジ42に接するバルブ駆動部46に伝わり難くなる。さらに、フランジ42は、フランジ42とバルブ駆動部46との断熱効果を向上させるために、熱伝導率の低い空気が存在する空間43が設けられている。このため、低温が、フランジ42からバルブ駆動部46に伝わることはない(高温側のバルブ駆動部46から低温側のフランジ42に熱が移動することはない。)。本願発明によれば、上述のような作用により、低温の流体とバルブ駆動部46との間の断熱を行うことができ、バルブ駆動部46が低温となってバルブ駆動部46に結露が生じるのを防止できる。
【0046】
また、本願発明によれば、低温の流体とバルブ駆動部46との間の断熱を行うことができるため、低温の流体とバルブ駆動部46との間で断熱を行うために、バタフライバルブを熱伝導率の低いステンレスから形成する必要がない。このため、バタフライバルブを、高価で高重量なステンレスとは異なるアルミ等から形成できる。このため、バタフライバルブのコストを低減でき、製造が容易となる。
【0047】
また、弁箱14の筒状部16とシートリング24の円筒部26との間の空間部70に断熱部材58を備えているため、空間部70内に、熱伝導率の低い空気層及び熱伝導率の低い断熱部材層の2層が存在する。これにより、円筒部26の外周面の低温は、弁箱14を介してバルブ駆動部46へ、より伝わり難くなる。また、異なる物体間の熱伝達による熱損失により、円筒部26の外周面の低温は、弁箱14を介してバルブ駆動部46へ、より伝わり難くなる。これにより、流路27の低温の流体とバルブ駆動部46との間の断熱を行うという効果が顕著に生じる。
【0048】
また、本願発明によれば、弁箱14の突出部18と首部材40の接続部44との間に、断熱性を有する介装部材48を備えているため、低温は、突出部18から接続部44へ、より伝わり難くなる。また、異なる物体間の熱伝達による熱損失により、低温は、突出部18から接続部44へ、より伝わり難くなる。このため、流路27の低温が弁箱14及び首部材40を介してバルブ駆動部46に、より伝わり難くなり、流路27の低温の流体とバルブ駆動部46との間の断熱を行うという効果がより顕著に生じる。また、空間部70と断熱部材58と介装部材48との相乗効果により、流路27の低温の流体とバルブ駆動部46との間の断熱を行うという効果が、更に顕著に生じる。
【0049】
なお、弁棒32は、熱伝導率の低い空気が存在する中空部55を有し、長くて断面積小さいため、流路27の流体の低温が、弁体30から弁棒32を介してバルブ駆動部46に伝わることは、殆どない。また、弁体30を介して補助弁棒36に伝わった低温は、断熱部材構成部品58(3)の穴64の付近によって遮断され、弁箱14に伝わることはなく、弁体30から補助弁棒36に伝わった低温が、弁箱14等を介してバルブ駆動部46に伝わることはない。
【0050】
以上、本願発明の一実施形態について説明したが、本願発明は他の実施形態であってもよい。例えば、弁箱14が2個の弁箱構成部品14(1)及び(2)から構成されるバルブ構造200において、図4に示すように、断熱部材58の膨出部59の外周面59Sと、弁箱14の弁箱構成部品14(1)及び(2)の内周面14Iとが、弁棒の回転中心C1に対する垂直断面において、円弧形状であり、互いに接触するように構成されてもよい。この場合、弁箱構成部品14(1)及び(2)を断熱部材58及びシートリング24に取り付けるときに、内周面14Iを外周面59Sに当接させることで、弁箱構成部品14(1)及び(2)の断熱部材58及びシートリング24に対する位置ずれを防止して取付け精度を向上させることができる。
【0051】
また、図4に示すバルブ構造200において、弁体30の外周面30Sが当接するシート部28は、図4及び図5に示すように、弁体30側に凹曲面28CCを有してもよい。この場合、弁体30は、弁棒の回転中心C1のまわりに時計まわりに回転し、外周面30Sが凹曲面28CCに当接し、外周面30Sが凹曲面28CCに入り込むシール量SWが徐々に増大した後、図4に示すシール位置で停止するように構成される。シール位置とは、回転していた弁体30がシート凸部28CVからの抵抗力により完全に停止する位置である。シール位置は、弁体30の回転トルク、シートリング24の弾性係数、及びシート凸部28CVの寸法によって定まる。図4に示すシート部28の場合、外周面30Sが凹曲面28CCに入り込むシール量SWが徐々に増大し、凹曲面28CCからの抵抗力により、弁体30の回転速度が徐々に減少し十分に減少した状態で、シール位置で停止する。このため、弁体30を確実にシール位置で停止させることができる。
【0052】
この凹曲面28CCの形成方法の一例を、以下に説明する。CAD画面において、最初に、例えば弁体の外周面の回転軌跡円R1を描き、回転軌跡円R1に対して、半径が一定ピッチで小さくなる複数のピッチ円を描く。また、回転中心C1と、シール位置において外周面が凹曲面に接する点と、を通る直線ST0を描き、直線ST0に対して、半時計まわりに一定角度ピッチで回転させた、回転中心C1を通る複数のピッチ直線を描く。次に、回転軌跡円R1及びピッチ円と、直線ST0及びピッチ直線と、の交点の中から、凹曲面を形成できるような所定の交点を選択する。選択した交点を通るスプライン曲線を描き、このスプライン曲線が凹曲面28CCとなる。
【0053】
凹曲面28CCの形成方法の一例を、図5に従って、以下に具体的に説明する。弁体30の回転中心C1を中心とする回転軌跡円R1の半径をr1とする。まず、回転軌跡円R1を描く。次に、回転軌跡円R1に対して、半径がdmm(例えば1mm)ピッチで小さくなる複数の円を描く。すなわち、半径r1-dmmのピッチ円R2、半径r1-2・dmmのピッチ円R3、半径r1-3・dmmのピッチ円R4、半径r1-4・dmmのピッチ円R5、及び半径r1-5・dmmのピッチ円R0を描く。各円を描く順序は限定されない。
【0054】
弁体30がシール位置にある時、θ(弁体30の回転角度)=0°とする。回転中心C1と、シール位置において外周面30Sが凹曲面28CCに接する点P0と、を通る直線ST0を描く。次に、ST0に対して、半時計まわりに角度θ1(例えば3°)ピッチで回転させた、回転中心C1を通る複数のピッチ直線を描く。すなわち、θ=0のときのC1を通る直線ST0、θ=-θ1のときのピッチ直線ST5、θ=-2・θ1のときのピッチ直線ST4、θ=-3・θ1のときのピッチ直線ST3、θ=-4・θ1のときのピッチ直線ST2、及びθ=-5・θ1のときのピッチ直線ST1を描く。各直線を描く順序は限定されない。
【0055】
ST1と回転軌跡円R1との交点P5、ST2とR2との交点P4、ST3とR3との交点P3、ST4とR4との交点P2、ST5とR5との交点P1、及びST0とR0との交点P0をプロットする。次に、これら交点P5等を通るスプライン曲線を描く。このスプライン曲線が凹曲面28CCとなる。P5は、弁体30の外周面30Sがシートリング24の凹曲面28CCに接し始める点である。P5においては、シール量SW0=0mmであり、P4においては、シール量SW4=1・dmmであり、P3においては、シール量SW3=2・dmmであり、P2においては、シール量SW2=3・dmmであり、P1においては、シール量SW1=4・dmmであり、P0においては、シール量SW0=5・dmmである。以上、凹曲面28CCの形成方法の一例を説明したが、凹曲面28CCの形成方法は限定されない。
【0056】
また、本願発明のバルブ構造200において、図6(a)に示すように、シートリング24の外周面24Sと、弁箱14の内周面14Iとが、弁棒の回転中心に対する垂直断面において、円弧形状であり、互いに接触するように構成してもよい。この場合、外周面24S及び内周面14Iの円弧形状は、弁体30の回転軌跡30Tに一致するように構成されている。また、外周面24S及び内周面14Iの断面形状が円弧形状であることにより、3次元的には、外周面24Sと内周面14Iとは、球面合わせとなる。外周面24Sと内周面14Iとの間に、外周面24S及び内周面14Iと球面合わせとなる断熱部材を介在させてもよい。なお、弁箱14を分割して構成しているため、内周面14Iの球面形状を低コストで容易に形成できる。図6(c)は、従来のバルブ構造122を示す。
【0057】
図6(c)に示す従来のバルブ構造122は、組み立てにばらつきが生じると、図6(d)に示すように、シートリング110のシート部114と弁体108の回転軌跡108Tとの間に隙間GPが生じる。このため、隙間GPを埋めるためにシート部114を大きく形成する必要があった。これに対して、本願発明のバルブ構造200は、組み立てにばらつきが生じた場合、図6(b)に示すように、シート部28は弁体30の回転軌跡30Tに沿って移動するため、隙間は生じず、ばらつきを吸収できる。このため、シール量を低減し、弁体30を閉めるための操作トルクを低減できる。なお、外周面24Sと内周面14Iとは、球面合わせであり、シート部28は弁体30の回転軌跡30Tに沿って3次元的に移動する。
【0058】
また、本願発明のバルブ構造200は、図7(a)に示すように、シール部28の半分に凹曲面28CSを備えてもよい。図7(a)及び図7(b)において一点鎖線は、弁体の締め切り位置を示す。バルブ構造200は、図7(b)に示す従来のバルブ構造122と比べて、弁体がシール部を圧縮する面積を少なくすることができる。このため、弁体を閉めるための操作トルクを低減できる。
【0059】
以上、本願発明の実施形態について説明したが、本願発明は上述の実施形態に限定されず、適宜設計変更を加えて実施できる。例えば、弁箱は2個の弁箱構成部品から構成されることに限定されず、3個以上の弁箱構成部品から構成されてもよい。本願発明のバルブは、バタフライバルブに限定されず、低温流体が使用されるバルブであれば、バルブの種類は限定されない。また、本願発明のバタフライバルブには、一軸偏心、二軸偏心及び三軸偏心のものが含まれる。
【符号の説明】
【0060】
200:バルブ構造
10、11:バルブ断熱構造
12:バタフライバルブ(バルブ)
14:弁箱
14(1):14(2):弁箱構成部品
14I:内周面
16:筒状部
18:突出部(連接部)
24:シートリング
25:膨出部
26:円筒部
26I:内面
27:流路
28:シート部
28CC:凹曲面
28CV:シート凸部
30:弁体
30S:外周面
32:弁棒
36:補助弁棒
40:首部材
42:フランジ(固定部)
43:空間
44:接続部
46:バルブ駆動部
48:介装部材
55:中空部
56:回転軸
57:接触板
58:断熱部材
58(1)、58(2)、58(3)、58(4):断熱部材構成部品
59:膨出部(リブ)
59S:外周面
61:フィン
66:被挟持部
68:筒状部
70:空間部
74:底面
204 係合突起
206 係合凹部
C1:回転中心
P0:シール位置において外周面30Sが凹曲面28CCに接する点
P5:弁体30の外周面30Sがシートリング24の凹曲面28CCに接し始める点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9