(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022068
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程
(51)【国際特許分類】
C03C 17/30 20060101AFI20220127BHJP
A01P 1/00 20060101ALN20220127BHJP
A01P 3/00 20060101ALN20220127BHJP
A01N 55/10 20060101ALN20220127BHJP
A01N 25/34 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
C03C17/30 A
A01P1/00
A01P3/00
A01N55/10 500
A01N25/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006499
(22)【出願日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】202010722299.7
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521028578
【氏名又は名称】江蘇秀強玻璃工藝股ふん有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】張新利
(72)【発明者】
【氏名】趙慶忠
(72)【発明者】
【氏名】毛慶剛
(72)【発明者】
【氏名】陸怡錦
(72)【発明者】
【氏名】陸亜静
(72)【発明者】
【氏名】張賽賽
【テーマコード(参考)】
4G059
4H011
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC30
4G059FA05
4G059FB03
4H011AA02
4H011AA04
4H011AA05
4H011BB16
4H011DA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程を提供する。
【解決手段】第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤及び粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを有する有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を作って、続いてそれをプラズマ処理されたガラス表面に塗布して、ベーキング硬化処理を行うことで、有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスを得る。これにより、ガラス表面に粗いマイクロナノ構造を持つ有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを構築し、ガラス表面に超親水性及び自己清浄機能を付与し、表面に堆積したほこりや細菌の死骸を適時に除去し、抗菌・抗ウイルス性を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のプロセスを含むことを特徴とする超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
S1、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を準備し、それは第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤及び粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを有し、その中で、前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの含有量は前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤の10wt%~30wt%となり、
S2、ガラスの前処理をし、きれいに洗浄したガラス表面に対してプラズマ処理を行い、表面活性化されたガラスを得て、
S3、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを作って、工程S1で記述した有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を工程S2で得た前記表面活性化したガラス表面に塗布し、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを得て、
S4、ベーキング硬化処理を行い、工程S3で得た前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングに対してベーキング硬化処理を行い、超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスを得た。
【請求項2】
工程S1において、前記粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの質量比は0.5:1~2:1であることを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【請求項3】
工程S1において、前記粒径が20~100nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの表面における第四級アンモニウム塩官能基の密度は0.5~3μmol/m2となり、粒径が100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの表面における第四級アンモニウム塩官能基の密度は0.25~1.5μmol/m2となることを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【請求項4】
工程S3において、前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングの厚さは3~50μmとなり、前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングの表面における第四級アンモニウム塩官能基の密度は500~1200μmol/m2となることを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【請求項5】
工程S1において、前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤は、重量部によって、20~40重量部の第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイルと、55~75重量部の脱イオン水と、0.5~1.5重量部の酢酸を有することを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【請求項6】
前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイルは分子量が12000~20000となるヒドロキシル末端基第四級アンモニウム塩化ポリエーテル変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項5に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【請求項7】
工程S1において、前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの製造方法は以下のプロセスを含んで、その中で、工程S11において、前記水酸化ナトリウムの濃度は1.8~2.5mol/L、温度は70~90℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は20~100nmになり、前記水酸化ナトリウムの濃度は1~1.8mol/L、温度は40~70℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は100~300nmになることを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
S11、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムと、水酸化ナトリウムと、脱イオン水と、エタノールを均一に混合した後、40~90℃に加熱してから、オルトケイ酸テトラエチルと、アルコキシ基を有する有機ケイ素第四級アンモニウム塩を加えて、温度を一定に保持させたままで10~24時間反応させて、遠心、洗浄、乾燥して、シリカナノ粒子を得て、
S12、エタノールを使って、S11で得た前記シリカナノ粒子に対して抽出を行い、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを除去し、第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを得た。
【請求項8】
工程S2において、前記プラズマ化する気体はO2、N2、NH3又はArの一種又は複数種であり、前記プラズマ処理の時間は10~20分間となることを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【請求項9】
工程S3において、前記塗布とは、浸漬塗装、スプレー塗装、回転塗布、流し塗り、ロール塗布、拭き取り塗装、電気めっき等の一種を含むがこれらに限定されないことを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【請求項10】
工程S4において、前記ベーキング硬化の温度は50~280℃となることを特徴とする請求項1に記載の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌・抗ウイルスガラスの技術分野に関し、特に超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌技術は今まで細菌が人の体に侵入することを防ぐための有効な手段である。広義では、抗菌とは、滅菌、殺菌、除菌、静菌、消毒など細菌を抑制することを意味する。抗菌ガラスは微生物学と材料科学を結合した新型材料であり、環境や人体にやさしいから「グリーンガラス」と呼ばれている。抗菌ガラスは、カンジダ菌等のような糸状菌や、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌、枯草菌等のような細菌微生物に強い殺菌効果があるとともに、薬剤抵抗性が出ないようにする。
【0003】
「抗菌ガラス」は最近新しく研究開発してきた機能性ガラスであり、元の採光、風避け、雨避けを基にして、静菌と殺菌の機能が追加される。それで、我々の生活環境を改善や向上させるだけではく、医療や、衛生及び家電等の業界に全面的に抗菌工程を実施することが可能になり、ガラスを使えるところに、どこでも抗菌グラスを使え、例えば、医療業界、製薬業界、食品業界、家電業界、学校、車船等の場所や業界に、抗菌ガラスを応用することができる。
【0004】
今国内外では、抗菌ガラスに関わる特許や製品が現れて、例えば、2014年CES家電製品中心の見本市で、コーニングは全く新しい「ゴリラガラス」が展示した。このガラスは、ガラスが融解状態で、少量の銀イオンをガラス表面に染み込んで得られたガラス製品であり、銀イオンが固体のガラスから緩やかに溶け出すことで、ある程度で、抗菌機能を実現する。銀イオンは空気で酸化しやすくて変色するので、ガラスが変色しないように、染み込んだ銀イオンの量は非常に少ない。しかも、このような銀系抗菌ガラスは、溶解性のある銀イオンにより抗菌機能を実現するが、銀イオンはいつか溶き尽くすため、最後は抗菌効果を失ってしまう。これも「ゴリラガラス」が市場で認められない原因である。
【0005】
今多くの抗菌ガラスに関わる特許に、銀系抗菌ガラスとチタン系抗菌ガラスを主とし、その中で、銀系抗菌ガラスは、高温か焼で銀イオンをガラスの表層に埋め込んで、水気と接触することで銀イオンを緩やかに放出し、細菌の増殖を抑制する役割を果たす。チタン系抗菌ガラスは、高温の下で、光触媒抗菌剤TiO2をガラス表面にコーティングして、TiO2は半導体であり、紫外線が照射された下で、表面に強い酸化力の持つヒドロキシルラジカルが発生し、細菌を構成する有機物及び細菌の生存に及ぼす有機栄養生物を迅速に分解し、細菌のタンパク質を変異させることで、静菌効果を達成する。
【0006】
近年は銀系抗菌ガラスとチタン系抗菌ガラスが、ある程度で、発展してきたが、まだまだ解決すべき問題がたくさんある。例えば、銀系抗菌ガラスについて、(1)普通の銀系抗菌ガラスは、融解状態で一定量の銀イオン(Ag+)をガラス表面に埋め込むことで得たものであり、埋め込まれたAg+は空気で酸化されやすいため、ガラスが黄色や、さらに茶色がかった黒色に変化し、ガラスの美しさに深刻な影響を与える。ガラスを変色させないために、加えたAg+はごく少量にしないといけなく、銀イオンの量は少なすぎると、細菌に対して抑制作用だけを果たし、本格的に死滅させることはできないため、銀系抗菌ガラスは「静菌ガラス」しか認められない。(2)銀系抗菌ガラスは初期段階で強い殺菌効果を持つが、使用後期に、抗菌効果が急激に低下し、抗菌の使用寿命は長くない。また、TiO2系抗菌ガラスは、紫外線が照射されてから光触媒半導体を刺激してその表面にヒドロキシルラジカルを発生させることで、殺菌作用を実現するが、実際の応用条件では常に紫外線が照射できない状況がよくあり、しかも、紫外線は人体に悪影響を与えるため、TiO2系抗菌ガラスは実用応用に、ある程度で限界性がある。
【0007】
第四級アンモニウム塩は素晴らしい非徐放性抗菌剤として、その製造方法は簡単で、構造が安定で、人への刺激性が小さく、広域抗菌機能を持つ等のメリットがある。そのため、第四級アンモニウム塩は抗菌分野で広く研究、応用されている。第四級アンモニウム塩の抗菌のメカニズムは、陽イオンにより細菌を吸着し、細菌を第四級アンモニウム塩と十分に接触させて、第四級アンモニウム塩構造における長いアルキル鎖によって細菌の構造を破壊して細菌を殺す。そのため、第四級アンモニウム塩の抗菌作用を発揮するために、病原菌と接触しなければならない。
【0008】
中国特許CN107987722Aで公開された有機ケイ素殺菌液、有機ケイ素殺菌剤、抗菌ガラスとその製造方法及び応用において、有機ケイ素第四級アンモニウム塩を抗菌剤として、樹脂や乳剤等の接着剤なしで、殺菌率は99%以上に達し、しかも、得たコーティングも透明で無色である。しかし、この特許では、コーティングの使用寿命がどれぐらいあるかについて言及せず、また、有機ケイ素第四級アンモニウム塩の静電吸着作用により、ほこりや細菌の死骸等がガラス製品の表面に堆積しやすくなり、活性化基が細菌との接触を妨げて、抗菌性を低下させる。
【0009】
上記に鑑みて、本発明は、ガラス表面に粗いマイクロナノ構造の持つ有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを構築し、ガラス表面に超親水性及び自己清浄機能を付与し、表面に堆積したほこりや細菌の死骸を適時に除去し、抗菌・抗ウイルス性を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記既存技術にある不足に対して、本発明は、超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程の提供を目的とする。ガラス表面に粗いマイクロナノ構造の持つ有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを構築し、ガラス表面に超親水性及び自己清浄機能を付与し、表面に堆積したほこりや細菌の死骸を適時に除去し、抗菌・抗ウイルス性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を実現するために、本発明の使用する技術的な解決方案は以下の通りである。
【0012】
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程は、以下のプロセスを含む。
【0013】
S1、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を準備する。それは第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤及び粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを有する。その中で、前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの含有量は前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤の10wt%~30wt%となる。
【0014】
S2、ガラスの前処理をする。きれいに洗浄したガラス表面に対してプラズマ処理を行い、表面活性化されたガラスを得た。
【0015】
S3、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを作る。工程S1で記述した有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を工程S2で得た前記表面活性化したガラス表面に塗布し、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを得た。
【0016】
S4、ベーキング硬化処理を行う。工程S3で得た前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングに対してベーキング硬化処理を行い、超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスを得た。
【0017】
さらに、工程S1において、前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの製造方法は以下のプロセスを含む。
【0018】
S11、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムと、水酸化ナトリウムと、脱イオン水と、エタノールを均一に混合した後、40~90℃に加熱してから、オルトケイ酸テトラエチルと、アルコキシ基を有する有機ケイ素第四級アンモニウム塩を加えて、温度を一定に保持させたままで10~24時間反応させて、遠心、洗浄、乾燥して、シリカナノ粒子を得た。
【0019】
S12、エタノールを使って、S11で得た前記シリカナノ粒子に対して抽出を行い、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを除去し、第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを得た。
【0020】
その中で、工程S11において、前記水酸化ナトリウムの濃度は1.8~2.5mol/L、温度は70~90℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は20~100nmになる。
【0021】
前記水酸化ナトリウムの濃度は1~1.8mol/L、温度は40~70℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は100~300nmになる。
【有益な効果】
【0022】
既存技術と比べて、本発明で提供する超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程の有益な効果は以下の通りである。
【0023】
(1)本発明で提供する超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程では、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液における第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤は優れた成膜性及び抗菌・抗ウイルス性を持って、コーティングがガラス表面における付着力と塗布性を著しく向上させることができる。その中で、ポリエーテルセグメントによりコーティングの親水性を上げ、第四級アンモニウム塩基は優れた抗菌・抗ウイルス性を持つ。第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアは比表面積が大きく、ガラス表面が細菌との接触面積を拡大し、更に抗菌・抗ウイルス性を向上させる。メソポーラスシリカマイクロスフェアの表面におけるヒドロキシ基とガラス表面の活性化基の間に化学結合が発生し、更にコーティングの付着力を向上させるようになる。粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを使って、ガラス表面に粗いマイクロナノ構造の持つ有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを構築し、ガラス表面に超親水性及び自己清浄機能を付与し、表面に堆積したほこりや細菌の死骸を適時に除去し、抗菌・抗ウイルス性を向上させることができる。
【0024】
(2)本発明で提供する超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程では、粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの質量比を調整するだけで、異なる粗いマイクロナノ構造の表面を構築することが可能になり、抗菌・抗ウイルス性が異なるガラスを得られる。二種類の粒径の第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアはその質量差を小さくにしたほうがよく、大きすぎると、コーティング表面の粗いマイクロナノ構造の分布が不均一になり、更にその自己清浄機能の均一性が低下する。また、粒径が大きいメソポーラスシリカマイクロスフェアの比表面積及び第四級アンモニウム塩官能基の密度がある程度で下げるため、多く加えると、抗菌・抗ウイルス性が低下する。
【0025】
(3)本発明で提供する超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程では、ヒドロキシル末端基第四級アンモニウム塩化ポリエーテル変性シリコーンオイルをお勧め、乳化剤の追加は不要で、少しの酢酸を加えるだけで、水溶液においてよく分散できるため、コストも節約できるし、環境にやさしいエコ生産も実現することができる。ヒドロキシル末端基はガラス表面の活性化基と化学結合を発生させることで、コーティングの付着力を向上させる。
【0026】
(4)本発明で提供する超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程では、抗菌・抗ウイルスコーティングは、第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル及び第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを有し、長鎖ポリマーをメソポーラスシリカマイクロスフェアと組み合わせることで優れた抗菌・抗ウイルス役割を果たして、全面的に抗菌・抗ウイルスや、殺菌を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラス表面のコーティングの構造を示す図である。
【
図2】本発明の超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの殺菌メカニズムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
これから、本発明の各実施形態に関わる技術方案について詳しく説明する。もちろん、説明する実施形態は本発明の実施形態の一部に過ぎなく、全ての実施例ではない。本発明の原理から逸脱しない前提において、実施した改善又は修正は、いずれも本発明の保護範囲とみなすべきである。
【0029】
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、以下のプロセスを含む。
【0030】
S1、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を準備する。第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤及び粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを有する。その中で、前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの含有量は前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤の10wt%~30wt%となる。
【0031】
S2、ガラスの前処理をする。きれいに洗浄したガラス表面に対してプラズマ処理を行い、表面活性化されたガラスを得た。
【0032】
S3、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを作る。工程S1で記述した有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を工程S2で得た前記表面活性化したガラス表面に塗布し、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを得た。
【0033】
S4、ベーキング硬化処理を行う。工程S3で得た前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングに対してベーキング硬化処理を行い、超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩を得た。
【0034】
図1と
図2に示すように、上記技術方案を使う場合、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液における第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤は優れた成膜性及び抗菌・抗ウイルス性を持って、コーティングがガラス表面における付着力と塗布性を著しく向上させることができる。その中で、ポリエーテルセグメントによりコーティングの親水性を上げ、第四級アンモニウム塩基は優れた抗菌・抗ウイルス性を持つ。第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアは比表面積が大きく、ガラス表面が細菌との接触面積を拡大し、更に抗菌・抗ウイルス性を向上させる。メソポーラスシリカマイクロスフェアの表面におけるヒドロキシ基とガラス表面の活性化基の間に化学結合が発生し、更にコーティングの付着力を向上させるようになる。粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを使って、ガラス表面に粗いマイクロナノ構造の持つ有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを構築し、ガラス表面に超親水性及び自己清浄機能を付与し、表面に堆積したほこりや細菌の死骸を適時に除去し、抗菌・抗ウイルス性を向上させることができる。
【0035】
第四級アンモニウム塩類活性シリコン化合物は特殊の分子鎖構造を備え、主鎖はケイ素-酸素二重結合構造(-Si-O-)となり、側鎖は正電荷の持つ陽イオン官能基及び塩化物イオンを有する。その中で、正電荷の持つ陽イオン官能基により、ウイルス体膜の浸透性を変えるとともに、体膜を突き破ることも可能であり、体膜内からタンパク質が外へにじみ出て、タンパク質の変性が不活化になる。その他、第四級アンモニウム塩類活性シリコンの側鎖における塩化物イオンはウイルス体膜を突き抜けて且つウイルス体膜内のタンパク質と結合して三塩化窒素に形成し、更にタンパク質を変性させ、この過程を「塩素消毒」と呼び、最後にはウイルスの不活化を実現する。
【0036】
ということで、第四級アンモニウム塩類活性シリコンコーティングは特殊な分子構造を持って、新型コロナウイルスに二重非活性化作用を持って、しかも、このコーティングは付着力が強く、耐摩耗性が良く、安全で無毒であり、本当グリーンで、持続的に殺菌・抗ウイルス効果を持つ素晴らしい製品であり、人々の健康を守ることができる。
【0037】
さらに、工程S1において、前記粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの質量比は0.5:1~2:1である。二種類の粒径の第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアはその質量差を小さいにしたほうがよく、大きすぎると、コーティング表面の粗いマイクロナノ構造分布が不均一になり、更にその自己清浄機能の均一性が低下する。
【0038】
さらに、工程S1において、前記粒径が20~100nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの表面における第四級アンモニウム塩官能基の密度は0.5~3μmol/m2となり、粒径が100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの表面における第四級アンモニウム塩官能基の密度は0.25~1.5μmol/m2となる。粒径が大きくなると比表面積はこれに応じて減少し、第四級アンモニウム塩官能基の密度もいくつか下降するため、粒径が大きいメソポーラスシリカマイクロスフェアの添加量はあんまり多くしないほうがよい、そうでないと抗菌・抗ウイルス性が低下する。
【0039】
さらに、工程S3において、前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングの厚さは3~50μmとなり、前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングの表面における第四級アンモニウム塩官能基の密度は500~1200μmol/m2となる。有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングの表面における第四級アンモニウム塩官能基の密度とは、ガラス表面の単位面積に、一定の厚さを有するコーティングに含まれている第四級アンモニウム塩官能基のことを意味する。第四級アンモニウム塩官能基の密度は500~1200μmol/m2の間になる時、細菌の死骸がガラス表面での吸着堆積は静電気作用を主とし、ガラス表面の超親水の浸潤作用により、表面に吸着した細菌の死骸を素早く除去し、抗菌・抗ウイルスを繰返して、耐久性を実現する。
【0040】
さらに、工程S1において、前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤は、重量部によって、20~40重量部の第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイルと、55~75重量部の脱イオン水と、0.5~1.5重量部の酢酸を有する。第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイルに乳化剤の追加は不要で、少しの酢酸を加えるだけで、水溶液においてよく分散できるため、コストも節約できるし、環境にやさしいエコ生産も実現することができる。
【0041】
さらに、前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイルは分子量が12000~20000となるヒドロキシル末端基第四級アンモニウム塩化ポリエーテル変性シリコーンオイルである。ヒドロキシル末端基第四級アンモニウム塩化ポリエーテル変性シリコーンオイルを採用する場合、ヒドロキシル末端基はガラス表面の活性化基と化学結合を発生させることで、コーティングの付着力を向上させる。
【0042】
さらに、工程S1において、前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの製造方法は以下のプロセスを含む。
【0043】
S111、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムと、水酸化ナトリウムと、脱イオン水と、エタノールを均一に混合した後、40~90℃に加熱してから、オルトケイ酸テトラエチルと、アルコキシ基を有する有機ケイ素第四級アンモニウム塩を加えて、温度を一定に保持させたままで10~24時間反応させて、遠心、洗浄、乾燥して、シリカナノ粒子を得た。
【0044】
S112、エタノールを使って、S111で得た前記シリカナノ粒子に対して抽出を行い、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを除去し、第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを得た。
【0045】
その中で、工程S111において、前記水酸化ナトリウムの濃度は1.8~2.5mol/L、温度は70~90℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は20~100nmになる。
【0046】
前記水酸化ナトリウムの濃度は1~1.8mol/L、温度は40~70℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は100~300nmになる。水酸化ナトリウムの濃度及び反応温度を上げると、オルオルトケイ酸テトラエチルの加水分解速度は早くなり、形成した結晶核の数はそれにつれて増えるため、粒径は少なくなる。逆な場合、粒径は大きくなる。
【0047】
さらに、前記工程S2において、前記プラズマ化する気体はO2、N2、NH3又はArの一種又は複数種であり、前記プラズマ処理の時間は10~20分間となる。ガラスに対してプラズマ処理を行った後、ガラス表面にヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基などの活性化基が形成し、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液における活性化基と化学結合して、コーティングの吸着力を上げる。
【0048】
さらに、工程S3において、前記塗布とは、浸せき塗装、スプレー塗装、回転塗布、流し塗り、ロール塗布、拭き取り塗装、電気めっき等の一種を含むがこれらに限定されない。
【0049】
さらに、工程S4において、前記ベーキング硬化の温度は50~280℃となる。高温でベーキングする際、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液は硬化し、ガラス表面に吸着力と被覆性が優れた抗菌・抗ウイルスコーティングが形成する。コーティングにおける第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル及び第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアは何れもいずれも耐熱性・熱安定性に優れているため、ベーキングする際に、熱劣化が生じない。
【0050】
(実施形態1)
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、以下のプロセスを含む。
【0051】
S1、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を準備する。粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤に加えて、よくかき混ぜた後、有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を得た。その中で、前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの含有量は前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤の20wt%となる。粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの質量比は1:1となり、第四級アンモニウム塩官能基の密度はそれぞれ2μmol/m2と1μmol/m2となる。
【0052】
前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤は、重量部によって、30分の分子量が15000となるヒドロキシル末端基第四級アンモニウム塩化ポリエーテル変性シリコーンオイルと、69.2分の脱イオン水と、0.8分の酢酸を有する。
【0053】
前記第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの製造方法は以下のプロセスを含む。
【0054】
S11、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムと、水酸化ナトリウムと、脱イオン水と、エタノールを均一に混合した後、40~90℃に加熱してから、オルトケイ酸テトラエチルと、アルコキシ基を有する有機ケイ素第四級アンモニウム塩を加えて、温度を一定に保持させたままで10~24時間反応させて、遠心、洗浄、乾燥して、シリカナノ粒子を得た。
【0055】
S12、エタノールを使って、S11で得た前記シリカナノ粒子に対して抽出を行い、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを除去し、第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを得た。
【0056】
その中で、工程S11において、前記水酸化ナトリウムの濃度は1.8~2.5mol/L、温度は70~90℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は20~40nmになる。
【0057】
前記水酸化ナトリウムの濃度は1~1.8mol/L、温度は40~70℃になる場合、得た第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径は100~120nmになる。
【0058】
S2、ガラスの前処理をする。きれいに洗浄したガラス表面に対してプラズマ処理を行い、表面活性化されたガラスを得た。前記プラズマ化する気体は体積比が等しいO2とN2である。前記プラズマ処理の時間は15分間に設定する。
【0059】
S3、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを作る。工程S1で記述した有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液を工程S2で得た前記表面活性化したガラス表面に塗布し、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを得た。
【0060】
S4、ベーキング硬化処理を行う。工程S3で得た前記有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングに対して250℃でベーキング硬化処理を行い、コーティングの厚さが20μmとなる超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスを得た。テスト結果によれば、有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングの表面における官能基の密度は800μmol/m2となる。
【0061】
(実施形態2)
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、実施形態1と比べて違うところは、工程S1において、前記第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤は、重量部によって、30分の分子量が18000となるヒドロキシル末端基第四級アンモニウム塩化ポリエーテル変性シリコーンオイルと、69.2分の脱イオン水と、0.8分の酢酸を有することである。上記違うところ以外は、他は実施形態1とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0062】
(実施形態3~8)
実施形態3~8で提供する超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程は、実施形態1と比べて違うところは、第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径が小粒径及び大粒径との質量比は表1に示す。上記違うところ以外は、他は実施形態1とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0063】
第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアの粒径が小粒径及び大粒径との質量比
【0064】
【0065】
(比較形態1)
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、実施形態1と比べて違うところは、工程S1において、粒径が20~40nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアのみを有する。上記違うところ以外は、実施形態1とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0066】
(比較形態2)
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、実施形態1と比べて違うところは、工程S1において、粒径が100~120nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアのみを有する。上記違うところ以外は、実施形態1とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0067】
(比較形態3)
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、実施形態1と比べて違うところは、工程S1において、第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアをメソポーラスシリカマイクロスフェアに変えたことである。即ち、工程S11では、アルコキシ基を有する有機ケイ素第四級アンモニウム塩を追加しなかったことである。上記違うところ以外は、実施形態1とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0068】
(比較形態4)
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、実施形態1と比べて違うところは、工程S1において、第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを追加しなかったことである。上記違うところ以外は、実施形態1とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0069】
(比較形態5)
超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの製造工程であって、実施形態1と比べて違うところは、工程S2において、ガラスに対してプラズマ処理を行わなかったことである。上記違うところ以外は、実施形態1とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0070】
実施形態1~8及び比較形態1~5で得た超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスに対して抗菌・抗ウイルス性及び接触角テストを行う。中国国家標準GB/T21866-2008に基づいて、殺菌ガラスの抗菌・抗ウイルス性に対してテストし、ガラスの24時間抗菌率をテストし、計算した抗菌率に基づいて抗菌・抗ウイルス性を評価し、結果は表2に示す。菌株は大腸菌及び黄色ブドウ球菌である。
【0071】
標準ISO21702:2019に基づいて超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの抗菌・抗ウイルスガラス性をテストする。ウイルスの名称は、A型インフルエンザウイルスH1N1(A/PR/8/34)であり、宿主の名称は、MDCK細胞である。
【0072】
実施形態1~8及び比較形態1~5の接触角及び抗菌・抗ウイルス性
【0073】
【0074】
表2から見れば、本発明で作った超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスの表面の接触角は10°より小さい、それに対して、比較形態1及び2では、粒径が一種類だけの第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアで、且つメソポーラスシリカマイクロスフェアを追加しなかった場合、接触角は著しく増加する。本発明で構築した粗いマイクロナノ構造により、その親水性及び自己清浄機能を上げる。比較形態1~5の抗菌・抗ウイルス性は、本発明の製造方法により作った抗菌・抗ウイルスガラスより明らかに悪く、本発明の抗菌・抗ウイルスコーティングは第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイルと第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを有し、長鎖ポリマーをメソポーラスシリカマイクロスフェアと組み合わせることで優れた抗菌・抗ウイルス役割を果たして、全面的に抗菌・抗ウイルスや、殺菌を実現することができる。
【0075】
実施形態1で作った超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスに対して抗菌・抗ウイルスの耐久性をテストし、テスト方法は以下の通りである。
【0076】
(1)耐摩耗性をテストする。750グラムのウールマットを使って1000回を磨く。全てのテスト結果は耐摩耗性をテストした後、またコーティングが細菌に対する殺菌効果をテストする。殺菌率は90%以下で不合格、90%以上で合格、95%以上では優である。
【0077】
(2)耐酸性をテストする。2枚のサンプルを取って、1MHC1条件の下で、24時間の実験を行い、正面からコーティングを観察し、膨張、皮むけ、脱落がないこと。テストした後、殺菌率は依然として99.99%より大きい。
【0078】
(3)耐アルカリ性をテストする。2枚のサンプルを取って、PH=10の下で、24時間の実験を行い、正面からコーティングを観察し、膨張、皮むけ、脱落がないこと。
【0079】
(4)耐溶剤性をテストする。2枚のサンプルを取って、75%アルコールにおいて、24時間の実験を行い、正面からコーティングを観察し、損傷、変色、溶解、脱落がないこと。
【0080】
(5)耐沸騰水性をテストする。2枚のサンプルを取って、1時間の実験を行い、正面からコーティングを観察し、皮むけ、割れ目がないこと。
【0081】
(6)耐湿熱性をテストする。2枚のサンプルを取って、58℃、95%湿度で500時間の実験を行い、正面からコーティングを観察し、膨張、変色、皮むけ、脱落がないこと。
【0082】
(7)耐湿凍性をテストする。2枚のサンプルを取って、-20度/80度で一週間の実験を行い、正面からコーティングを観察し、皮むけ、割れ目、脱落がないこと。
【0083】
(8)耐紫外線性をテストする。2枚のサンプルを取って、15kWH/m2で200時間の実験を行い、正面からコーティングを観察し、皮むけ、割れ目、脱落がないこと。テスト結果は表3に示す。
【0084】
実施形態1及び比較形態1~5の抗菌・抗ウイルスの耐久性
【0085】
【0086】
実施形態1で作った超親水性・長い寿命を持つ有機ケイ素第四級アンモニウム塩抗菌・抗ウイルスガラスに対して、耐久性及び清浄機能をテストし、テスト結果は表4に示す。
【0087】
実施形態1で作った抗菌・抗ウイルスガラスの耐久性及び清浄機能
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
表4~7から見れば、本発明で作った抗菌・抗抗ウイルスガラスコーティングは優れた耐久性及び清潔性能を持っていることが分かる。
【0093】
上記通り、本発明では、粒径がそれぞれ20~100nm及び100~300nmとなる第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアを使って、ガラス表面に粗いマイクロナノ構造の持つ有機ケイ素抗菌・抗ウイルスコーティングを構築し、ガラス表面に超親水性及び自己清浄機能を付与し、表面に堆積したほこりや細菌の死骸を適時に除去し、抗菌・抗ウイルス性を向上させることができる。有機ケイ素抗菌・抗ウイルス溶液における第四級アンモニウム塩化ポリエーテルシリコーンオイル乳剤は優れた成膜性及び抗菌・抗ウイルス性を持って、コーティングがガラス表面における付着力と塗布性を著しく向上させることができる。その中で、ポリエーテルセグメントによりコーティングの親水性を上げ、第四級アンモニウム塩基は優れた抗菌・抗ウイルス性を持つ。第四級アンモニウム塩で修飾されたメソポーラスシリカマイクロスフェアは比表面積が大きく、ガラス表面が細菌との接触面積を拡大し、更に抗菌・抗ウイルス性を向上させる。メソポーラスシリカマイクロスフェアの表面におけるヒドロキシ基とガラス表面の活性化基の間に化学結合が発生し、更にコーティングの付着力を向上させるようになる。
【0094】
上記の実例の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎなく、それによって、本発明の保護範囲を制限してはいけない。本発明の原理から逸脱しない前提において、実施した改善又は修正は、いずれも本発明の保護範囲とみなすべきである。